小学校低学年の「詩の学習」実践例と分析
著者 深美 和夫
雑誌名 金沢大学語学・文学研究
巻 19
ページ 32‑37
発行年 1990‑07‑31
URL http://hdl.handle.net/2297/23736
実践I詩を読みましょう(指導者福田芳子教諭米泉小)「はしるのだいすき」まどみちお作・日書一年下lはしるの滝いす篝lはしるのだいすきたったたったたつ
つちをけってくさをけってかぜをけってたったたったたったたった
おもしろい
はしるのだいすき
たったたったたつ
あしもはしる
むねもはしる
かおもはしるたったたったたったたった
おもしろい
小学校低学年「詩の学習」実践例と分析
1本時の学習のねらい音読することによってリズミカルに走っている姿、その時の気持ちを確かにさせたい。「むね③、かお③」のイメージ化から、体全体が走るおもしろさを深めさせたい。2指導過程の流れ凹めあてをつかむ読んでおもしろい、すき、わかったことをみつける。②読みとったことを話し合
、7.〈胸や顔が走るって、どんなことかな〉を中心に、③にも目をむけて、表現のよさを分析する。 ③本時のまとめ力いつぱいに走ったことがわかる。3実践の分析(指導者の考察を含む)⑪めあてをつかむ「詩のおもしろいところ、すきなところ、わかったところをみつけよう」という学習課題だったことがよかった。なぜなら感想を述べるということだったからである。一人ひとりの思いが自由に出され、学習の姿勢がつくられた。「しんどど「ほっぺたまっかになる」「たったたったがすき」などと、目にうかぶようだという実感がだされた。②読みとったことを話し合う学習の集中のために音読を取り入れた。単なる音読ではなく、「つちを、くさを、かぜを」と「けって」とは、どちらに力を入れて読んだらよいかなど、感動の発見につながる音読をめざした。この音読後、「かぜをけって」の場面に立ち止まり、情景を思いうかべながら走っている姿を動作化させた。「むね③はしる、かお③はしる」に視点を限定して、走るおもしろさを深めるため、〈足も走るね。胸とか顔も走るのかな〉と問いかけ、ペープサ1トを操作しつつ、「胸や顔が走るってどうなる 深美
和 夫
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CCC T CT 顔もがんばっているよ」という読みとりをするためには「胸も定 しかし、「がんばって力いっぱい走ること、足だけでなく、胸も jかになって走ること」 ●「顔が走る」とは、「顔がゆれること」「あせをかくこと」「まつ こと」 ●「胸が走る」とは、「胸がいたくなること」「胸がどきどきする この時、確認した声の一例である。 ことかを」と矛盾を考えさせたP
●・-●●●③●●●●●るとどうなるかな」という発問ではなく、「胸が走るってどんな
●。。●一」と」とした方が適切だったようてある。ここで考え直したことは、ペープサートよりも、先の動作化の方が、イメージをふくらませ、興味をもったようである。つまり、自らが、「たったたったたつ」のリズムを楽しんでいたかと思う。…■「みんな、足も、胸も、顔も走るように走ってごらん。走る動作化をするO顔をひきつらせる表情の子、胸をつき出して走る子、首をふりながら走る子、●とうとう廊下にまで出て走り出す子、みんな、とっても工夫して走ってくれたね。足、胸、顔のほかに走ったものは、手です。おなかもです。髪も、ゆれたから走ります。
C TCCCCC TC
このように、指導者の思いをこえて作者の心にせまった読みをしたようである。さらに「本時のふりかえり」では、ことばを大切にしたり、音読の内容をふまえた感想がみられた。
CTCTC
佃本時のまとめをする「動作化室と音読』作者の気……l繰り返し音読する。力を入れて読めたかな。たったたったたったたったと走るとどうなる?心が走るみたいです。気持ちよくなります。うれしくなります。すてきになります。心が気持ちよくなります。走る気持ちをいろいろ考えてくれたね。この詩を書いた人は、何といっていますか。
おもしろいノ はあはあ、口も走ります。これ全部、何が走ることになるの。からだじゅうです。からだじゅうを走らせて読んでみよう。二連を、それぞれ音読する。
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4「はしるのだいすき」の音読について⑪児童の変容一年生なりに読みの変容に気づき、より感動が高まったことは、先述の「3実践の分析」で明確になっている。本時の学習のねらいにも「音読することによってリズミカルに走っている姿、その時の気持ちを確かにさせたい」とあったが、学習前と学習後の音読(テープ録音)を、次時に聞かせたところ、興味を示しながら
聞き入ったという。これは、学習初めの音読が、学習が深まるにつれて声の大きさ、強さ、間の取り方に工夫がでていた一つの特徴であろう。②より効果的な音読の方法を児童の変容で、音読の工夫がみられたと記したが、本時の音読を聞いていてもっと効果的に指導できたのではないかという方 ‐…■Iわたしは、このしのたったたったたったたったのところがすてきです。うれしそうなようすが、めにうかびます。じでもわかるので、このしがすきになりました。しで、おもしろいのもあります。それは、むねもはしるってかいてあるのでおもしろいです。いっしょうけんめい、はしっているみたいです。でも、むねがドキドキしてきます。かおも、まっかになってわらうみたいです。わたしは、このしがおもしろいなとおもいました。 法を考えてみたい。音読で変化がみられなかった表現は、次の部分である。。たったたったたつつまり、@行の一宇分。たったたったたったたったにあたる間のほしいとこ
←←←ろが、一気に●行のよう
●たったたったたつに続けて音読しているの●たったたったたったたったである。音読の音声(録音テープ)を聞くことによって、音読の工夫が理解できるのだが、表記説明としたい。録音テープによる音読を聞かせる時、板書(文字カード)で次のように示し、「みなさんの音読は、どちらかなどと気づかせるとよい。つまり、板書(字配り)の違いに気づかせる。たったたったたつ上記のA・Bを比Aたったたったたったたった較すると、「ああA たったたったたつの方の読み方だ」とBたったたったたったたった気づくだろう。右のA・Bの表記と、読み手の音読感覚を自由に練習することによって、Bの読みの工夫に入るわけである。これは、読み手の感覚によって変化していくことを前提とするが、音読の方法で共通するものは多くある。●たったたった・・…・の間をおく息つぎ。●走っている場の読み手のイメージを大切にする。●声の調子の工夫(強弱、高低など)。
○○○○○○○○この○○○印は、声の調子を
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3実践の分析(指導者の考察を含む) 実践Ⅱ詩を書きましょう(指導者小坂利明教諭米泉小)「インコのした」かとうひきあき日書二年下 たったたったたつ………示す。工夫が考えられよう。右に記したことは、一年生であるからこそ気づかせたいのである。こんなことぐらいと見過ごしがあってはならない。いくつかの積み重ねによって豊かな音読ができる。音読で大切なことを加えたい。それは暗調するということである。暗誘できるということは、表現の意味内容をイメージ化し自分の理解として解釈するからである。小学校低学年は、意味のとれない文字表現だと興味をもたず暗調もしない。自分の生活体験に近いものほど同化し暗論してくれるのである。liIお母さん、お母さん早く来てごらん。とてもかわいいんだよ。かわいくて絵にかけないくらいだよ。お米つぶの半分の半分くらい。もも色でね。レタスを食べるときしか見せないんだよ。 1本時の学習のねらいこれまでに見たことのなかったインコのかわいいしたを見て、お母さんに思わずよびかけた作者の気持ちを読みとる。倒置法的な書き方に気づかせ、詩の表現効果に気づき、書き方へと目を向けさせる。2指導過程の流れ(略) 側詩の組み立てを考える
CCCCC話
麹畳蕊; '111m
この学習は、実践Iの詩を読みましょうと違い、詩を書きましょうの題材である。⑪めあてをつかむみんなの書いた詩を紹介し、本時の詩(但し、題名と初めの二行は示さない)を指示し、音読させる。(録音はしている)〈何のことを書いた詩かな〉というめあてをはっきりさせたので、児童はそれなりに意識してくれた。
Tあと二行のことばがあるんだけど、初めか後か、 題名
につけたらよいか黒板に、n.㈹の詩
ワ
な。比べて読むとどうかな。
の配置を示す。
ワ
どちら
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cc CCCTCC C
---1L
(イ)T
先生、㈹の方、お話をきいているみたい。ほら、作文み
たいよ。どっちも、とってもかわいがっているよ。お母さんってよんでいるのは、さけんでいるみたい。どんな時、お母さん、お母さんってよびますか。たいへんなしっぱいなんかして、こまった時…。:。早く知らせたい時、お母さんってよぶよ。ねえ、はじめて見たのでなあい。だから、うれしくってお母さん、お母さんっていったのです。先生も、そう、早くいいたかったってわかってきた。でも、どう、どちらにつけたらいいのかな。早く知らせたいんだから、先でなあい。絵にかけないくらいって、小さいことでしょう。このことはじめて見たんだから、はじめの方だと思う。
(イ)、
 ̄ ̄ ̄-------
|と早お早お|と
’て〈母〈母’て
|もきざ|も
’来ん来ん|
|かて、て、|か
|わ おお’わ
’いご母ご母|い いらさらさい んん/しんんん だ。、。、だ よよ◎ ◎
考察音読の心要(実践I.Ⅱの実践から)
音読するということは、表現されている内容をつかむということである。いいかえれば、学んだこと見つけたことを確かめるために音読を行うということである。実践Iの「たったたった………」のそれぞれ問をおいて音読す
るイメージ。実践Ⅱの「お母さん……早く来てごらん」の二行の力強さを音読するイメージ。低学年の児童が、楽しく学習に参加するということは、学習意欲 ……lTもう一度、㈹とⅢの両方を読んでみようね。自分ですきななように読んでみましょう。C(それぞれ、㈹.Ⅲを音読する。)Tくふうして読んだところ、聞いてあげようね。C(数人の音読から、うれしくてたまらず思わずさけんだことを話し合う。)T次は、みんなの書いた詩を読もうね。 Cお話をきいているみたいっていったけれど、なんか、ざ力さまみたいよ。Cやっぱり、お母さんってよぶところが先だよ。Tみんなのいったことでは、㈹の方だということね。よく考えたよ。
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党を育てる大切さを感じた。教師も児童、豊かな音読、朗読へ話し方が必要である。 その手だての一つとして、音読があげ、や文字表現する中で、言語感覚が高まる。
②作品の表現内容と、自分の体験と比べることによって、作品を書く意欲を高める。「お母さん……」とよんだことのある体験を文字表。現させる。「学校でもインコがアサシラギ食べたとき、したを見たよば「こまった時、お母さんってよんだよ》の生活体験を、そのまま文字表現させることによって言語感覚が高まる。以上、一年、二年の詩の学習から、毎日の言語環境の中で言語感を育てる大切さを感じた。教師も児童も、そして家庭でも、個性 イメージする音読が必要である。 を持続させる手だての工夫がみられるからである。 凸
その手だての一つとして、音読があげられるのである。音声表現
Ⅲ場所の様子や人物の心情を考え、一語一語工夫して音読させる。「たったたった。…・・」「……けって」は叔學にリズムだけをとっても高まった音読とはいえない。うれしさ、さわやかさ、走っている体の力強さをくり返した表現になることを正しく理解させる、
(前金沢市立米泉小学校校長)
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