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上 原 由 起 夫

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(1)序. 四. 論. ABGBにおける抵当制度. 序. 担保証券制度の展開. 結. 論. 論. 1 不動産金融機関の発達 2 担保証券について. 三. 1 構成 2 いわゆる所有者抵当について. 二. 一. ︵1︶. 上原由起夫. 1抵当権発達のシェーマとの関連を中心としてー. オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂. 一. ︵2︶. ﹁保全抵当から投資抵当へ﹂というシェーマが抵当制度発達のプ・セスとして︑当然のこととされてきた︒しか. 六一. し︑そうした把握を疑問とする見解が生じてぎており︑この新しい見解がだんだん承認されてきつつあるといえよ オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(2) ︵3︶. うo. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 六二. 鈴木教授は︑﹁債権担保のための抵当権より投資抵当権へという公式は︑資本主義発展が特異の態様を示している. ドイツーとくにプ・イセンfについてのみ︑妥当するものであり︑資本主義が典型的に発展したといわれるイギ ︵4︶ リス・フランスには︑むしろ妥当しないのである﹂とされ︑﹁わが国で︑抵当法の改正論がなされる場合︑法技術的. 見地においての模範として︑ドイッ抵当法の精緻な構成が取り上げられることは︑むしろ当然である︒ただもし︑そ. の前提としておよそ資本主義の発展にともない︑債権担保のための抵当権から投資抵当権への発展がおこなわるべき. ものなるゆえ︑その最高の発展形態たるドイッ抵当法が指標とさるべしとする考えがあるとすれば︑戒心すべきであ ︵5︶. ろう︒わが国の抵当権についての立法論は︑本質的には︑わが国の資本主義の経済的歴史的事情によって︑決せらる べぎであろう﹂と結論づけられる︒. 高島教授は︑結論的には︑鈴木教授とほぼ同様の立場をとられるが︑﹁しかしこの結論は︑抵当権の独立性の確立. が︑ドイッ資本主義の発達の特殊性に応ずることの認識のみにもとづくものではない︒そこでは︑抵当法変化の限界. 確認がひとつの根拠とされたし︑さらに︑抵当権の独立性の確立が︑たしかに︑ドイッにおける特殊な事情にもとづ. き︑特殊な要求に応ずるものであることをみとめながらも︑なお︑ドイッ特有の現象にとどまらないことを承認し︑. ︵6︶. そのうえで︑この現象から法則を抽出しうるか否かをたしかめ︑これを否定することから︑右の結論をみちびいたの である﹂と述べられる︒. 本稿では︑私のオーストリア民法︵とくにオーストリア一般民法典≧蒔①目o冒霧切辞磯R膏冨ωO①器旨93︵以.

(3) ︵7︶. ︵8︶. ︵9︶. 下︑ABGBと略す︶︶の物権制度研究の一環として︑ABGB成立以後のオーストリアにおける不動産抵当制度につ ︵10︶. いて﹁保全抵当から投資抵当へ﹂のシェーマがどのように展開してゆくのかを探ろうとするものである︒ ︵11︶. ︵12︶. オーストリアは︑いわゆるプ・イセン型の農業資本主義の発展をなしたのであり︑プ・イセンと同様の経済構造が ︵13︶. 成立していたといえよう︒しかし︑抵当制度については︑プ・イセンにおける︑あの﹁投資抵当権﹂の発展及び︑ド. イッ法における﹁精緻な論理構造と︑みごとに一貫した体系﹂とは︑異なっている︒経済構造によって規定されるは. ずの抵当制度が︑このように異なるのはどういうわけなのか︒あくまで︑債権担保のための抵当権︵保全抵当︶であ. ったABGBの抵当権が資本主義の発展につれて︑どのように変質してゆくのかを辿ることにより︑はたして︑﹁投. 一九一六年の第. 資抵当権﹂への道を歩んで行くのかについて検討してゆくことにする︒そのために︑ABGBにおける抵当制度が︑. 一八七一年成立の一般土地登記法︾一蒔o目o冒窃O毎ロきq9詔①器言︵以下︑GBGと略す︶と共に︑. 三次一部改正法によって改正される過程︑さらには︑一部債券↓Φ器魯三身震零ぼΦ一び琶閃や担保証券頃き島二臥を. 不動産金融機関の史的展開と合わせて考察することにより︑オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂の関係に ついて論じてゆくことにする︒. ︵1︶ こうした発展を意識して書かれたものとして︑我妻栄﹁資本主義と抵当制度の発達﹂﹃民法研究W担保物権﹄所収三頁以. 下︑同﹃近代法における債権の優越的地位﹄︑石田文次郎﹃投資抵当権の研究﹄などをあげることができよう︒. ︵2︶ 山田教授は︑すでに昭和二六年に執筆された論文中で︑日本民法をして現在の事情のもとではドイッ民法にならわせる必. 六三. 昭和一三年に︑鈴木教授が︑法律時報二八巻一一号一二頁以下に︑﹁ドイッ抵当権法と資本主義の発達﹂を発表された︵鈴. 要のないことを説かれる︵山田晟﹁土地の動化について﹂﹃田中先生還暦記念・商法の基本間題﹄所収四二八頁以下︶︒. オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(4) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 六四. さらに昭和四七年に︑高島教授がこの見解を発展せられた︵高島平蔵﹁ドイッ抵当法の発達についてー﹃従属性から独立. 木禄弥﹃抵当制度の研究﹄所収三頁以下︶︒. 性へ﹄の図式を中心としてー﹂比較法学七巻二号=二頁以下︑以下﹁高島・ドイッ抵当法﹂として引用する︶︒すでに︑. 教授は︑昭和三三年に早稲田法学三三巻一・二冊一二七頁以下に発表された﹁ドイッ不動産担保法の近代化について﹂にお. いて︑不動産担保権近代化のメルクマールとして︑﹁付従的権利としての不動産担保権の確立﹂をあげられ︑ドイッ民法典. ︵以下︑BGBと略す︶を近代的抵当制度の典型とする通説を批判されていた︵高島平蔵﹃近代的物権制度の展開と構成﹄. 所収二一九頁以下︶︒なお︑そこでの近代化のメルクマールとしての﹁付従性﹂を﹁従属性﹂と言いかえられた事に注意す. 昭和五三年になると︑椿教授が︑﹁私は近ごろ︑価値権とか投資抵当への発展などといった学説に支えられた近代抵当権. べきである︵高島・ドイッ抵当法︶︒. の把握が︑はたして今後もそのまま妥当すべきかにつき少し疑いをもちはじめており︑そのような意味で法定担保・典型担. かどうかは︑今次の立法後もーむしろ正確にはそれとかか. 保の一方的尊重に対してもすなおに支持できないため︑結論がどうなるかはともかくとして︑既成担保の再検討なり是正と. いう視角に賛成したい︒近代的彪抵当権が担保の女王である. わりなく1学説が検討を続行すべき課題であろう﹂︵﹁取引法研究会レポート・仮登記担保法と典型担保規定の準用﹂中 の︑椿寿夫﹁若干の整理と補足﹂法律時報五〇巻三号八二頁︶と指摘される︒. 基礎として進められた︒もっとも︑租織者が︑鈴木︑椿の両教授であったから当然といえば当然であるが︵日本土地法学会. ︵3︶ 昭和五三年五月一七日の日本土地法学会第一〇回大会シンポジウム﹁不動産金融における法と経済﹂も︑こうした見解を. 鈴木・前掲書二七頁︒なお︑同﹁担保制度の分化と信用制度﹂川合一郎編﹃現代信用論㊤﹄所収九六頁参照︒. 編﹃不動産金融・水資源﹄土地問題双書一〇巻二頁以下の︑鈴木︑伊藤進の両教授の報告参照︶︒ ︵4︶・︵5︶. ︵6︶ 高島・ドイッ抵当法一四四頁︒なお︑同﹃物的担保法論−総論・法定担保権﹄三一頁以下参照︒. 歴史と理論 ﹄ 二 〇 四 頁 参 照 ︒. ︵7︶ ABGBの成立史︑内容︑その後の発展について︑日本でまとまった紹介がなかったことにつき︑五十嵐清﹃比較法学の.

(5) 上原由起夫﹁オーストリア民法典と近代的所有権の形成−分割所有権とその解体を中心としてー﹂早稲田大学大学院法研. 論集一七号二九頁以下において︑私はABGBにおける近代的所有権の形成過程について明らかにした︒今度は︑不動産抵. ︵8︶. 鈴木教授が︑ブ・イセンのラソトシャフトの機能について考察された︵鈴木・前掲書二八頁以下︶のも︑ブ・イセンにお. 当制度の 側 面 か ら ア プ ロ ー チ す る こ と に な る ︒. 国冒旨プ歪昌oqぎ象o国oo窪薯o茜一虫畠仁昌ひqど一零一. 六五. ψ這鱒ツヴァイ. プ・イセンの投資抵当権については︑田中克志﹁プ・イセンにおける投資抵当権成立史﹂民商法雑誌七五巻三号四二五頁. ない︒. わが国でのオーストリア経済史の研究として︑進藤牧郎﹃ドイッ近代成立史﹄を注目すべき労作としてあげなければなら. 今来陸郎編﹃中欧史﹄︹前間良爾執筆︺六三頁︒. ゲルト/ケッツ﹃比較法概論・原論・上﹄大木雅夫訳二九七頁も同様︶︒. に施行されたとするのは誤りである︵N毒o蒔o昌\民α訂. ABGBは︑一八噌一年六月一日に公布され︑一八二︸年一月一日に施行された︒ツヴァイゲルトの原著が︑一八哺一年. しなければならない︒オーストリアについても同様である︒. ントシャフト制度eIその前史・一八世紀前中期の土地所有および抵当制度f﹂大阪市立大学法学雑誌一〇巻四号三八頁︶. せんとするには︑土地所有権の機能する側面としては︑賃借権ではなく抵当権から接近﹂︵石部雅亮﹁シュレージェンのラ. ける私的土地所有権研究の前提であり︵同四〇頁︶︑石部教授が指摘されるように︑﹁ドイッ的土地所有権の特色を明らかに. ︵9︶. ︵10︶. ︵n︶. ︵12︶. ABGBにおける抵当制度 成 オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶. 構. 二. 鈴木・前掲書二八頁︒. 以下がある︒ ︵13︶. 1.

(6) ω. 六六. ABGBの抵当権についての規定は︑ その第二編﹁物の法ω8冨葭9洋 に関して﹂の第六章﹁担. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶ ︵1︶. ︵2︶. 体系的構造. パソデクテソ. ABGBは︑ガイウスの法学提要の体系に依拠している︵ツヴァイゲルト・前掲書三〇三頁︶のであり︑久保教授が︑A. ﹁担保権は︑弁済をなす義務が一定の期日に履行されないならば︑債権者に︑ある物から. この場合に︑﹁質権﹂︵ツヴァイゲルト・前掲書三〇四頁︶と訳すのは正確でない︒. 担保権と担保の概念. ︵2︶. 典編纂史の基本的諸問題・近代﹄︵法制史研究一四号別冊︶所収六頁以下︶︒. BGBを﹁﹃学説集﹄式体系﹂を採用している例にあげておられるのは誤解であろう︵久保正幡﹁総論﹂法制史学会編﹃法. ︵1︶. 保権頃碧砕9拝に関して﹂である︒. ③. ︵3︶. ︵4︶. 与えられる物権である︒債権者にこの権利を与える物が担保℃計且である﹂︵ABGB第四四七条︶として︑債権担保. 一七九四年成立のプロイセソ一般ラソト法︵以下︑ALRと略す︶も︑同様に付従性を規定していた︵田中・前掲論文四. のための付従性︵従属性︶を有する物権という構成をとったのである︒占有権︑所有権に続く第三の物権である︒ ︵3︶. 夏9霊﹃岳o閃o器ヨ巨8U窪§冨昌国邑似且RユR. 四七頁︑伊藤真﹁不動産競売における消除主義・引受主義の問題ープ・イセン法の発展を中心としてー︵二︶﹂法学協会雑誌 八九巻九号八○頁以下︶︒. 一〇 〇一ρω︒謡一●. ︵4︶N︒凶一一900BB窪9﹃警R畠器 一蒔①ヨ①凶器窪﹃鴨島畠︒08︒ 一●>びけ. ﹁流通しているそれぞれの物は担保として使われることができる︒その物が動産ならば︑それは質. Oo20旨o凶〇三ωoげo昌鼠oづ巴o匡ρ一一︒一Wユ. ︶ 担保の種類 3 ︵.

(7) 呂と呼ばれる﹂︵ABGB第四四八条︶︒. ︵5︶. 権頃碧9︷碧α叉は狭義の霞きユと名づけられる︒その物が不動産ならば︑抵当権=く宕9魯叉は土地担保9⁝山︐ 鳳. ﹄ε一59目a霧. ALRでは︑担保権をd暮R風m口昏8算という︵田中・前掲論文四四六頁︶︒. ︵6︶. 8三8呂一︑︑理論. このように︑担保権というのは上位概念であり︑客体が不動産の場合に︑抵当権ということになる︒. ︵7︶. 担保権の取得 ABGBは︑ALRと同様に︑所有権の取得について︑. ︵5︶. ↑D. ︵8︶. を採用し︑﹁権原目冨一と法定の取得方式卑薫R菖凝鐙旨なしには︑所有権は取得されることができない﹂︵AB. GB第三八○条︶と規定する︒そして︑﹁権原だけでは所有権を与えない︒所有権及びすべての物権は︑法律で規定さ. れた場合を除いて︑法定の引渡及び受領お畠島9①Oび段恕幕ロ且O冨ヨ聾ヨoによってのみ取得されることがで. きる﹂︵ABGB第四二五条︶のであり︑﹁不動産所有権の譲渡のために︑取得行為が︑そのために定められた公の登記. 簿に登記されなければならない︒この登記が︑国ぢ<〇二①一ど凝︵冒冨び巳辞一9︶と名づけられる﹂︵ABGB第四三一条︶ のである︒. この理論が︑担保権にも適用されるので︑﹁担保権は︑つねに有効な債権に結び付くが︑それぞれの債権は担保権. 取得のための権原を与えない︒この権原は︑法律︑裁判所の言渡︑契約又は所有者の遺言に基く﹂︵ABGB第四四九 条︶︒. 六七. そして︑﹁担保権を現実に取得するために︑権原を与えられた債権者は︑担保に入れられた物を︑それが動産なら オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(8) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 六八. ば受託し︑それが不動産ならばその者の債権を︑不動産所有権取得のために規定された方法で登記させなけれぽなら. ない︒権原は︑その物に対する人的権利を与えるだけであり︑物的権利を与えないのである﹂︵ABGB第四五一条︶︒ ︵9︶. ︵10︶. このり﹄9一房9B&島毬ε冨口島︑︑理論は︑プ・イセンと同様に︑オーストリアでも批判を受けることにな ︵11︶. ︵12︶. る︒サヴィニーが唱えたあの無因性理論が︑﹁ドイッヘの窓口﹂といわれる指導的民法学者︑ヨーゼフ・ウソガー ︵13︶. ︵14︶. 冒器9q畠Rを筆頭とするオーストリア歴史法学派によって受け入れられたからである︒ ︵15︶. しかし︑プ・イセンで︑この理論を一八七二年の所有権取得法に採用したのに対し︑オーストリアでは︑ついに立 ︵16︶. 法化されるに至らなかったのであり︑判例もこれに従わなかった︒ ︵17︶. 無因性理論が︑現実の社会的事情にとって必要不可欠なものではなくて︑オーストリアの歴史法学者達が︑ドイツ. ︵18︶. のパソデクテン法学に魅せられたのである︒今日では再び︑有効な権原がなければならないということが一般に認め られている︒. ここでは︑オーストリアにおいて︑学説の努力にもかかわらず︑無因性理論が定着しなかったことに注意しなけれ. ばならない︒要するにそれは理論的意義のみをみいだしうるのであって︑現実性を欠いていたと評価してよいであろ うo. ︵19︶. このように︑ABGBの抵当権は︑登記によって取得されるというわけであるが︑その登記には公信力が認められ. ︵20︶. ていたことに注目すべきである︒とくに︑抵当権については第四六九条と第一四四六条の規定が重要であり︑後述の. ﹁2 いわゆる所有者抵当について﹂で取り扱うことにしたい︒そして︑ABGBが︑公信の原則を規定しているこ.

(9) ︵21︶. とから︑ALRのように︑ただちに﹁投資抵当権﹂が成立したとはいえないと解する︒公信の原則を認めたら︑即﹁投 資抵当権﹂が成立するという論理的必然性はないと考える︒. 次に︑いよいよ所有者抵当の問題を論じることになるが︑公信の原則についても︑その中で語られることになるで あろう︒. ALRにおけるこの理論の採用については︑石部雅亮﹃啓蒙的絶対主義の法構造ープロイセン一般ラント法の成立1﹄一. 有川哲夫﹁オーストリア法における不動産の二重譲渡e﹂福岡大学法学論叢二二巻三・四号六〇〇頁︵以下︑﹁有川・二. 六七頁参照︒. ︵6︶. ︵7︶. この条文が有因主義を規定する︵原島重義﹁﹃無因性﹄概念の系譜についてー﹃無因性﹄概念の研究その一1﹂﹃法と政治. 重譲渡﹂と し て 引 用 す る ︶ ︒ ︵8︶. オーストリア民法学において︑ツァイラーとウソガーの二人を︑それぞれの時代の代表としてあげうるであろう︒ツァイ. ツヴァイゲルト・前掲書二九九頁︒. の研究﹄︵九州大学法学部創立三十周年記念論文集︾所収四六九頁注餐八︶︶︒ ︵9︶. ラーについては︑上原・前掲論文三五頁以下参照︒. ︵10︶. ウソガー以来︑ABGBの教科書は︑パンデクテソ体系によって記述されることになる︵ツヴァイゲルト・前掲書三〇〇. ツヴァイゲルト・前掲書三三六頁︒. オーストリア歴史法学派の研究は︑興味ある課題である︒. 頁︶︒ ︵n︶. 六九. してー︵一︶︵二×三︶︵四︶﹂名城法学一九巻三・四合併号︑二〇巻三・四合併号︑二二巻二号︑二四巻一号にくわしい︒. ブロイセンの所有権取得法については︑有川哲夫﹁﹃土地所有権取得法﹄︵一八七二年︶の研究ー所有権譲渡理論を中心と. ︵12︶ ︵13︶. オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(10) ω. 原島重義﹁債権契約と物権契約﹂﹃契約法大系豆贈与・売買﹄所収一〇九頁注︵一︶︒. 原島重義﹁﹃無因性﹄確立の意義についてー﹃無因性﹄概念の研究その二1﹂法政研究二四巻一号八七頁以下︒. 七〇. 4 ︵ 1︶. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. ︵5 1︶. ︵16︶ 原島教授は︑無因性確立の意義をプロイセソの抵当制度の展開に結び付けて考察される︵原島・前掲法政研究二四巻一号. ω8冨目9鐸. 一80. 0讐. 七三頁以下︶︒しかし︑オーストリアでは︑無因性が定着しなかったことを考えると︑抵当制度の展開にストレートに結び. ツヴァイゲルト・前掲書三三六頁︒今日の教科書は︑この理論で説明している︵Oω畠乱言R. 付けてよいかは疑問である︒. ψ一零●. 有川教授は︑﹁ドイッ的モデルの他にオーストリア法における公信主義︵℃昌一鼠薮富冥一賞ぢ︶の立場があることを指摘す. OぼR︸ω8冨畦9犀℃一〇〇〇〇〇. ω﹄O.︶︒. ︵17︶・︵18︶. ︵19︶. ることは︑比較法的検討の素材を提供する意味からも有意義であろう﹂とされ︑へーデマンの評価を肯定するならば︑﹁オ. ︵20︶. ーストリア法学者の業績を無視することはできないであろう﹂と述べられる︵有川・二重譲渡六〇七頁︶︒. 鈴木教授は︑ALRに﹁公信原則が立てられたことをもって︑投資抵当権法の成立と見ることができよう﹂︵鈴木・前掲. 書一九頁︶とされる︒. ︵21︶. ︵22︶. ABGBでは︑所有者抵当制度は承認されていなかったのである︒混同については︑﹁公の登. 2 いわゆる所有者抵当について ABGB成立時 ︵23︶. 記簿に登記された権利と義務は︑公の登記簿から抹消されるまで同一人に混同することによって消滅しない︵第四六 ︵24︶. 九条と第五二六条︶﹂︵ABGB第一四四六条︶との規定があった︒ツァイラーによると︑とくに物権の場合に︑公の登記. 簿中に必要な配慮をなすべきであるとのことである︒公の登記簿を信じて取引した者の権利は保護されなければなら.

(11) ︵25︶. ︵26︶. ないからである︒公信の原則がここに表われているといえよう︒しかし︑抵当不動産の所有者が債務者と別人であっ. ても︑所有権と抵当権が混同する場合に︑この規定により所有者抵当権田鴨昌葺日Rξ宕3爵が成立するというこ. とは認められていなかった︒そして︑所有者と債務者が同一人ならば︑債権が混同によって消滅し︑消滅における付. 国×3びOo曾8一〇窪ω90ω=矯℃o夢の犀㊦畦oo耳矯ド︾耳. 順位確定の原則の要求. ︒員ω・嵩︒︒. 一〇. ︵27︶. 〇 どω●08● 一〇〇〇. 所有者に消滅した抵当権の空位を確保しようという試みとして︑一八六九年に土地登記. ︵26︶ 国図器き℃qぴ=恩鼠富嘆一昌臥宰一〇〇﹃Pω︒ωooい. ︵24︶・︵25︶N①一一一①500ヨヨo昇葺一<・田. 〇一頁︶である︒. ︵23︶ ﹁或る特定の問題が法典の他の個所で規定されている旨読者に指示するような親切な規定﹂︵ツヴァイゲルト・前掲書三. ︵22︶. 従性の原則︵後掲ABGB第四六九条第一段︶により抵当権も消滅してしまうのである︒. ②. 法のための政府案がオーストリア議会に提出された︒その案の第一六条で︑所有者に︑返済された金額で︑その順位. で新抵当権を設定する可能性を開いた︒しかし︑補足条項によると︑この登記は六〇目だけ有効であり︑その後︑職 ︵28︶ へ!デマソによると︑﹁いくじのない試み﹂とのことである︒こ. 権をもって抹消されなければならないとのことで︑. のきわめて窮屈な制限にもかかわらず︑この政府案は採択されなかった︒しかし︑学説は︑所有者抵当の機能を果た ︵29︶. すべく努力し︑ついに二〇世紀の最初の一〇年に︑支配的学説は︑少なくとも後順位抵当権者の順位昇進を否定する. 七一. ようになったのである︒学説は︑ABGB第四六九条の規定を利用したのである︒この規定は︑前述の消滅における オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(12) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 付従性を明文︵第一段︶で定めたものである︒. 七二. ﹁債務の消滅↓一眞口畠により担保権は消滅する雲穿鐸窪︒しかし︑担保権設定者は︑担保物が同時にその者に. 返還されるということに対してだけ︑債務を消滅させることを義務づけられている︒抵当権の廃止︾亀冨ど凝のた. めに︑債務の消滅だけでは十分でない︒抵当物は︑債務が公の登記簿から抹消されるまでずっと拘束されている﹂ ︵ABGB第四六九条︶︒. 第二段は︑動産担保についての規定であって︑ここでは第三︑四段が問題となる︒ツァイラーによると︑抵当権. が︑公の登記簿から抹消されうるという債権者の法定要件を備えた宣言書国詩毎旨躍の引渡に対してだけ︑債務を. ︵30︶. 弁済し︑これに続いて抹消を優先的に生ぜしめるという慎重さが必要とのことである︒なぜならば︑抹消が生じない ︵31︶. 限りは︑所有者は︑抵当権を当てにして登記されている債権について︑いぜんとして責任を負うからである︒公信の 原則を定めた規定である︒. ここの叙述は︑=亀o目帥昌P問o昌8ぼ葎oα窃N一詮罵8げ3一旨図一図.冒ぼ﹃β昌8芦目・鱒N国籠津ρ一〇ω伊P曽ω角・に. よる︒. ︵27︶. さらに研究を進めたい︒. ︵28︶ 国亀oB帥昌P鉾鉾O 幹oo一ω︒政府︵債務者保護︶と︑議会︵債権者保護︶の構成員の階層の対抗関係があると思われる︒. 当時の学説の紹介がある︒. ︵29︶望qげo昌岳仁oFOoヨB①ロ冨﹃N仁Bα曾oRo一〇獣8げ①昌巴蒔oヨ①ぎoロぴ薗吋磯oユ8ゴ①口080言げ信oげρH団P︸這O鱒ω●①刈O賄●に. 〇一ρω.Noo膳● ︵30︶ No筥0500BBo暮畦︸一一●閃亀こ一9>耳・℃一〇. ︵3 1︶ 国図Po5鉾Pρ堕ω●巽●.

(13) ③. 第三次一部改正法. 2︶. ︵3. ABGBの改正作業は︑一九〇四年に︑政府がウンガーの提案により︑ABGB改正委員会 ︵33︶. を設置したことに始まる︒そして︑一九一四年から一九一六年にかけて三次にわたる一部改正法が公布されるのであ 4︶. ︵3. ︵35︶. る︒この改正法は︑﹁全体としてドイッのBGBの模範によって影響された﹂とか︑﹁いろいろな点でBGBに依拠し. た﹂といわれるが︑BGBの所有者抵当制度を採用しなかったことは注目すべぎことである︒又︑この改正法は︑一 ︵36︶ ︵37︶ 九〇七年に成立したスイス民法典︵以下︑ZGBと略す︶をも参考としたのであるが︑ZGBの所有者抵当制度とも異 なっている︒. まず︑第一四四六条の混同の規定は︑一九一六年の第三次一部改正法第三六条により︑次のように変わった︒. ﹁公の登記簿に登記された権利と義務は︑公の登記簿から抹消されるまで︑混同によって消滅しない︵第五二六条︶︒. そのときまで︑登記された担保権は︑所有者により︑又は強制執行の方法で︑第三者に移転することができる︵第四 六九条ー第四七〇条︶﹂︒. この規定により︑所有者が債務者と別人である場合には︑所有者抵当権国蒔窪暮目o旨毛09魯となるが︑所有者 ︵38︶. と債務者が同一人である場合には︑債権が混同によって消滅しているから︑消滅における付従性の原則が働き抵当権. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. も消滅してしまい︑所有者抵当権にはならないということである︒この場合の所有者の権利を︑債務が弁済等により. ︵9 3︶. 消滅した場合と共に︑所有者抵当権ではなくて︑所有者の処分権<①筏凝彗閃霞8算8ω国蒔窪慈B震ωと理論構成. し︑これについては︑同じ第三次一部改正法の第三三条により︑第四六九条に次の段を追加することになった︒. 七三. ﹁そのときまで︑物の所有者は︑受取証書又は他人に被担保債務の消滅を示す証書に基いて︑登記された被担保債 オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(14) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 権の金額を越えない新債権の上に担保権を移転することができる﹂︒. 七四. こうして︑ABGBは︑改正法により︑順位確定の原則を採用するようになったが︑第三次一部改正法第三四条に. より︑第四六九a条が追加され︑一定の場合に後順位抵当権者の昇進が認められたことに注意せねばならない︒. ﹁担保権設定時に︑この処分権は放棄することができない︒所有者が他人に対して特定の抵当権を抹消する義務を. 負うならば︑この義務が︑公の登記簿の抵当権の個所に登記されている場合は︑所有者は︑その抵当権を処分するこ とができない﹂︵ABGB第四六九a条︶︒. ︵40︶. この規定を︑後順位抵当権者が活用することにより︑実際には︑順位昇進の原則に戻ってしまうおそれがあるとい えよう︒. ABGB第四七〇条は︑第三次改正法第三五条により︑次のように全く新しい規定になった︒. ﹁債務の消滅︵第四六九条︶叉は混同︵第一四四六条︶後︑担保権の登記抹消前︑又はその不動産もしくは担保権が. 譲渡される前に︑抵当不動産が強制競売されるか︑強制管理が許可されるならば︑競落代金の配当につき︑その担保. 権は何ら顧慮されてはならない︒その担保権によって担保された債権が第三者に対してなお存続しているか︑又は所. 有者に弁済の代償として求償が当然帰せられている︵第一三五八条︶かぎりでのみ︑その債権額に相当する金額は︑所 有者に配当される﹂︒. このように︑債権をともなう場合︑つまり所有者抵当権である場合には︑所有者は競落代金から配当を受けられる. のであり︑債権をともなわない場合︑つまり所有者の処分権である場合には︑所有者は配当を受けられないのであ.

(15) る︒ドイッ︵BGB︶では︑債権をともなわない場合でも所有者土地債務として︑実行債権者の権利より後順位なら. ︵41︶. ば競落代金から配当を受けられるのであり︑スイス︵ZGB︶では︑債権の存否にかかわらず配当を受けられないの. ︵2 3︶. ヴィ:アッカー﹃近世私法史﹄鈴木禄弥訳四二七頁.. ツヴァイゲルト・前掲書三〇二頁−三〇三頁︒. ツヴァイゲルト・前掲書三〇二頁︒. である︒このように︑三国を比較してみると︑オ:ストリア︵ABGB︶の制度の木目の細かさが感じられる︒. ︵33︶. BGBについては︑松井宏興﹁ドイッ所有者抵当制度史︵一︶﹂大阪市立大学法学雑誌二一巻一号八三頁以下にくわしい︒. ︵34︶. ︵35︶. ZGBについては︑鈴木・前掲書一八一頁−一八二頁︑三七八頁以下参照︒. ヴィーアッカー・前掲書六〇一頁︒. 閣腎︒目零o茜ω湯gヨα①ωα曾︒﹃這︒三ω98櫛一蒔oヨoぎ窪℃ユく讐希︒算ω一一.國ユ ド=似一陣ρω 畠①畦8菖一〇貫ω︒鳶ω︒. ︵36︶. 国ぼo目 毛 色 単 鉾 鉾 O. ︵7 3︶ ︵38︶. 9斜謡︒クラングのコメンタールは︑第一四四六条の所有者抵当権も所有者の処分権という用語で. ︵39︶. わない場合に︑ドイッ︵BGB︶では︑所有者土地債務国楓9葺Bo茜歪昌審9三自になり︑スイス︵ZGB︶では︑空白担. 統一している︵囚一き堕民oBBo旨巽弩B≧侭oヨ巴器ロげ辞αqo島魯8089昏βoF一<●ω皇一8Pψ3ωし︒債権をともな. ︵40︶. 石田文次郎博士は︑この規定が﹁わが民法上の解釈に資する点が多いと思はれる﹂︵石田・前掲書二五七頁︶と評価され. こうした規定は︑BGB第八七五条︑第一一七九条︑ZGB第八一四条第三項などにもみられる︒. 保位置一83唱富&ω9一ざになる︒. ︵41︶. 七五. ︵ヌスバウム﹃独逸抵当制度論﹄宮崎一雄訳一一六頁以下︶︒なお︑三和一博﹁所有者抵当の構成についてードイッ民法を. る︒このように︑オーストリア法はスイス法と異なるのであるから︑ヌスバウムのように一律に批判するのは正当でない. 中心とする一考察﹂東洋法学二巻一号一四三頁−一四四頁は︑ヌスバウムに従って記述している︒. オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(16) ω. 七六. こうして︑所有者抵当の機能を営む制度として︑ABGBには所有者の処分権という制. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 登記法の規定について. 度が導入されたことをみてきたのだが︑第三次一部改正法によって同時に改正されたGBGにおける︑この種の制度. 順位留保幻き頒く03魯聾 GBG第五八条︵第三次一部改正法第三七条︶﹁①担保権抹消の場合に︑所有者は︑同. も合わせてみておかなければならない︒ i. こ. 時に土地登記簿に新担保権の登記を︑抹消された担保権の順位において︑かつ︑その金額まで︑登記許可後︑三年以. 内留保しておくという登記をすることができる︒この留保は︑所有権交替の場合に︑新所有者に有利に働く︒②. けれども︑不動産の強制執行の場合に︑競売手続開始の登. の規定は︑新債権が︑直接連続している抵当債権の二番以下の順位の代りになる場合︑準用される﹂︒第三次一部改 正法第三七条第三段︵GBG第五八条には含まれない︶﹁③. 11. 条件付担保権登記閃8冒讐o謹き身oo耳8一暮轟讐凝GBG第五九条︵第三次一部改正法の第何条か不明である︶. ︵42︶. 記まで︑それの利用がなされなかったならば︑留保は考慮されない﹂︒ ︶. ﹁① 不動産所有者は︑その不動産で担保している担保権の順位において︑かつその金額まで︑担保権が︑新債権の. ために︑新担保権の登記許可後一年以内に旧担保権の抹消が登記されるならば︑法律上の効力を得るという制限で登. この条件の発生は︑旧担保権の抹消と同時に公の登記簿に登記されなけ. その期間内に抹消を申請しない場合︑又は抹消が許可されない場合︑新担保権は期間の終了と共. 記されることを請求することができる︒② ればならない︒③. に消滅する︒そして︑それに関するすべての登記ともども職権をもって抹消されなければならない︒㈲旧担保権の抹. 消についての申請の訴の時に︑抵当債務者の他に債権者も︑新債権のための担保権を自己に有利に登記する権限があ.

(17) る︒⑤. 旧担保権がいくつ. 旧担保権が設定されている場合︑その順位で登記された新担保権は︑設定が抹消されるか︑関係者の承諾で. 登記した新担保権に移されるという︑追加条件︵第一項︶のもとでだけ法律上の効力を有する︒⑥. かの登記対象を共同担保している場合は︑新担保権は︑すべての登記対象上の旧担保権が抹消されるという︑追加条. 件︵第一項︶のもとでだけ︑法律上の効力を有する︒の第一項から第六項までの規定は︑新債権が︑直接連続してい る抵当債権の二番以下の順位の代りになる場合︑準用される﹂︒. こうして︑オーストリアのいわゆる所有者抵当制度についてみてきたのであるが︑そこにいくつ. 一〇刈oo℃ω﹄一伊︶︒. ︵42︶ この制度は︑借替資金融資者に担保を確保する︵国oNδ一・妻巴紹きO旨区ユa島oωげ辞鳴島畠8国9鐸潮ω拝戸斜・︾二F. ⑤ 改正法の評価. かの特徴をみることができる︒まず︑この制度が順位確定の原則を貫き︑後順位抵当権者の順位昇進を防止すること. のみが念頭に置かれ︑最初から所有者が︑BGBのような原始的所有者土地債務とか︑ZGBのような空白担保位置 ︵43︶. を設定するような規定は置かれなかったことであり︑このことは︑抵当権が証券化されなかったこととも関連してい. る︒これについて︑オーストリアに借替の要求が起こり︑借替法が制定されたことを合わせて考えると︑低利の債務. への借替をスムーズにすることが︑この制度の眼目ではなかったかと思われる︒そこで︑順位確定の原則を貫く必要. と︑ABGB第四六九条及び第一四四六条という公信の原則を有する規定の存在が︑解釈を促したといえよう︒する. 七七. と︑興味深いことには︑公信の原則が︑債務者ないし所有者保護の方向に働いたともいえよう︒そして︑順位確定の ︵44︶ 原則が採用されたことにより︑借替の自由を通じて債務者ないし所有者保護が貫徹されてゆくことになる︒結局︑こ オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(18) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 七八. のような所有者による抵当権譲渡の意義は所有者の保護にある︒要するに順位確定の原則をもって︑﹁投資抵当権﹂の. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. メルクマ!ルと考える必然性はないのである︒そこで︑オーストリアにおいては︑公信の原則と順位確定の原則は︑. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ち. ヤ. ヤ. ち. ヤ. ち. ヤ. ヤ. ヤ. ち. ち. ち. ﹁投資抵当権﹂のメルクマールとしては働かなかったということができる︒そして︑特筆すべきことは︑ドイッの土. 地債務に対するオーストリア法学の根強い反情である︒土地債務をあくまで認めようとせず︑所有者の処分権という ︵45︶. 構成を採用したことは︑理論的には︑付従性︵従属性︶の固守にある︒実際的には︑土地債務は︑不動産信用の適当. な流動化において危険に思われるから拒絶したという見解もある︒不動産信用の適当な流動化が機能するのは抵当権. 付債権譲渡の場面においてであり︑この場合に︑BGBのように抵当権付債権を化体した抵当証券=属舜冨寄旨二無. の制度を︑ABGBは︑結局︑採用しなかったのである︒そこで次に︑ABGBの枠外にある制度として︑一部債券. 9器噂oo置.︶︒. 一八八八年六月一四日法︵帝国法律公報第八八号︶︑一九〇七年二月. と担保証券について︑不動産金融機関の史的展開と合わせて考察してゆくことにしよう︒ いわゆる借替法内op︿Rユo置昌鴨鴨器9としては︑. 二二日法︵帝国法律公報第四八号︶をあげることができる︵閏80B曽昌P鉾騨O. ︵43︶. 単内OBBOロ富5Hω阜︸ド=巴ぴげ. ロ. 一〇ωどω●Qo癖P︶︒. 改正後のこのような所有者抵当制度は︑抵当市場の破壊により︑第一次大戦後には︑ほとんど利用されないとのことであ. る︵困. ︵必︶. 担保 証 券 制 度 の 展 開. ︵45︶ 国一 昌堕 ●曽●O ω︒ωお︒. 三. 不動産金融機関の発達.

(19) ︵1︶ オーストリアにおける担保証券制度の発達は︑発行機関との関係でみてゆかねばならない︒. すでに︑ヨーゼフニ世の治下に︑ベーメン王国の諸ラントにおいて︑09鼠び日δ霧出且09﹃o箆珠9富が設立. された︒これは︑臣民q旨R貫βに対して︑不作の年に特に耕作のための援助を与えるものであった︒ ︵2︶. 一七七〇年と︑その翌年︑ベーメンを襲った飢鐘は死者二五万を出したとのことであり︑ヨーゼフニ世自身︑つぶ. さに視察し︑積極的に救済を行なった︒まさに︑この機関は︑ヨーゼフニ世の農民保護政策の一環だったわけであ る︒. 一九世紀に入ると︑このような機関の大部分は︑O①一臼o注①となり︑一八六三年七月九日法で︑ベーメンのための. 一八八二年三月二二日法と共に︑農業地区貸付金庫ピきα&昌訂魯臥岳90切o恩爵零oお9臣路霧器に変化した︒. 一八六三年七月九日のベーメンのための法にょれば︑金銭に変じた08鼠どぎ霧鴨賃①箆①8且①と︑Oo艮ユど−. ぎ霧鴨一象o且o及び︑一八六四年八月六目法と一八八二年三月二二日法により形成された貸付金庫く自零どω葵器器. の加入者は︑在来のOo暮二ぴ暮一9詔98置①8且oに参加していた農場所有者であった︒そして︑ヨーゼフの土地台. 帳により耕地に比例して毎年分配されるべき貸付金庫の純益が︑これらの者に与えられたのである︒. ヨーゼフニ世の治下において︑いわゆるざ目目三緯貯①毛巴ω窪ざ︒︒ω①も設立された︒これは︑一七九〇年に︑世. 襲支配評鼠ヨ8芭ぽ畦ω9臥什によって支配された臣民の被後見人の所有金冨魯且①侭①匡と︑この国o且ωの共同 ︵3︶. のげ罷ゑ富訂二零ぎ︾三紹ロ昌騎の結合が︑被後見人の利益のために命令されたことによるものである︒. 七九. しかし︑一八四八年の土地解放により︑隷民制が廃止されたので︑一八四九年七月一九日の陸下の決定で︑皇帝に オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(20) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. して国王の主税局に︑この被後見人の所有金の受領が委任された︒. 八○. 一八五八年一一月九日の皇帝の決定で︑﹁被保護者勺蔚鴨幕8巨o器と︑農業不動産信用の利益になるように﹂. 毛母紹甲︿RB猪Sのざ目ヨ三蝕奉>巳o讐凝が命令された︒. 抵当権者信用=矯冨浮o冨88鼻にとって重要な制度として︑一八一九年設立の貯蓄金庫制度ωB鼻器8艮霧簿暮 ︵4︶ があげられる︒これは︑信用制度一般︑特に不動産信用にとって大きな意義を有したとのことである︒ ︵5︶. しかし︑オーストリアにおける担保証券制度形成は︑一八四一年に始まる︒この年に︑オーストリアにおける最初. の担保証券アソシュタルト瞑§象ユ無睾斡巴けが現われたのである︒それは︑ガリツィアのシュテンデによって作ら. れた︑ガリツィア・シュテンデ・クレディート・アンシュタルトである︒構成員である一き身器8冨O痒Rの所有. 者の相互性O畠9器置讐簿と連帯責任9臣貰訂囲葺凝に基いており︑少なくとも一80論P竃騨の担保を提供. した農場主は構成員になることができた︒担保証券債権のための担保は︑抵当権で担保されたアンシュタルトの貸付. 金︑積立金︑Uoヨ①の瓜8罵o注oの責任︑規約による指定にょり行なわれた︒それゆえに︑抵当証券所持人は︑未回. 収の債権を︑選択により︑アンシュタルト︑Uoヨoω菖8一8且①︑又はアンシュタルトの債務者としてアンシュタルト. に加入した農場主の農場に弁済請求する権利を有したのである︒一八六八年に︑このクレディート・アンシュタルト. は︑ガリツィア土地信用組合国&窪R8馨段oぢに変わった︒. だが︑この形式においても︑担保証券制度の発展に沈滞が起こった︒ドイッにおいて一八五〇年初めに発生した︑. 株式会社組織による担保証券制度の新しい形式が︑オーストリアの担保証券制度の新たな発展に作用することにな.

(21) 一八. る︒そこで︑オーストリア国立銀行に抵当信用課国着o浮魯畦6お島母耳び亀琶αQが設立される︒しかし︑少なくと. も800中ρ匡騨の大地主階級だけに貸し付けたので︑その活動範囲は限られていた︒ ︵6︶ 一八六八年七月二日法︵帝国法律公報第九三号︶には︑担保証券制度についての統一規定が定められた︒. 一八六〇年代後半には︑一連の抵当信用株式会社頃嵩o夢魯畦6審島冨9一窪鴨ω亀8訂津が設立されたが︑ 七三年の経済恐慌の後︑再び一部は廃止された︒. 当時のオ!ストリアの株式会社組織の担保証券アンシュタルトとしては︑次のものがある︒. ウィーソのオーストリア・ハンガリー銀行の抵当課出鴇宕些魯畦昏些亀§㎎ ウィーンの一般オーストリア土地信用会社 レムベルクのガリツィア株式抵当銀行 ウィーンのオ!ストリア抵当銀行. ウィーソのオーストリア中央土地信用銀行. ツェルノ!ウィッツのヴコヴィーナ・ボーデン・クレディート・アンシュタルト. プラハには︑ボヘミア土地信用会社があり︑その財産については︑一八八四年一二月二三目に破産が開始された︒. 担保証券取引の清算を︑一八八六年にウィーンのアング・・オーストリア銀行が受け継ぎ︑その目的のために︑今ま での五%︑五・五%︑六%の担保証券の代りに︑四・五%の担保証券を特別に発行した︒. 八一. 物質的繁栄一般及び特に農業振興にとって︑抵当権者信用制度は︑きわめて重要なので︑オーストリアに台頭した オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(22) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 八二. 個々の帝室直属地の自治体代表は︑抵当権者アンシュタルト︑特に担保証券アンシュタルトの設立を決心しなければ. ならなかった︒そうした機関は︑株式会社のように営利面に向けられなかったので︑貸付を求める不動産所有者に︑ ︵7︶ 廉価の︑受戻権のない償還しうる信用を与える可能性を提供する立場に置かれた︒. すでに︑一八六〇年代に︑公的機関であるランデス・アンシュタルトが生じた︒それは︑ピきα88且ωの責任と︑. ︵8︶. 自治体当局の指導監督で︑固有の利益のない担保証券貸付を︑管理費の担保と準備金勾①ωR奉8且ω形成のためのわ ずかの公課と引換に与えた︒ ︵9︶. へーデマンは︑この機関を﹁もっとも抜きんでている手本﹂と評価し︑その目的を︑﹁利益を打算せず︑農村・都 市の不動産金融と地方自治体の金融を助成する﹂ものとする︒ この機関に属するものとして特に次のものがある︒. ベーメン王国の抵当銀行. 上シュレージェンと下シュレージェン公爵領のボーデン・クレディート・アンシュタルト. モラヴィア辺境伯領の抵当銀行. ︵10︶. イストリヤ辺境伯領土地信用協会冒呂言8島ρaぎ8注㌶ユO牙一客霞噴雲禦Oα︑一ω鼠帥 ガリツィア王国のランデス・バンク. ウィーンの低部オーストリア・ランデス・ヒポテーケン・アンシュタルト リンツの上部オーストリア・ランデス・ヒポテーケン・アンシュタルト.

(23) ︵11︶. 国会議事録によると︑他の帝室直属地においても︑ランデス・ヒポテーケン・アンシュタルトの設立が許可された. とのことである︒それに︑ベーメン王国のランデス・バンクが加わった︒けれども︑それは︑ベーメン王国の抵当銀. 行の活動範囲に含まれない限り︑抵当権者信用許可の権限がある︒この営利に向けられない抵当権者制度︵ガリツィ. ア土地信用組合も属する︶に︑一八六〇年代に貯蓄金庫によって設立された担保証券アンシュタルトが加わる︒ その例として次のものがある︒. グラーツのシュタイアマルク貯蓄金庫の担保証券アンシュタルト ウィーンの第一オーストリア貯蓄金庫の担保証券アンシュタルト. ツェルノーウィッツのヴコヴィーナ貯蓄金庫の担保証券アンシュタルト ブリュンのメーレン貯蓄金庫の担保証券アンシュタルト. これらの担保証券アンシュタルトは︑債務者に担保証券自体を交付して︑債務者が第三者である買主から現金を受. け取るか︑叉は︑これらのアンシュタルトは︑債務者と約定した︑もしくはその時々の︑取引所相場を支払うか︑仲 介料と引換に委託販売を処理するという具合に担保証券を引き受けるのである︒. なお︑重要なことは︑﹁流通状態にある担保証券の総額は︑抵当債権の総額と一致しなければならない﹂というこ. とが︑最高原理とみなされるということである︒しかし︑この原理は︑個々の担保証券機関に︑後に取得されるべき. 八三. 抵当権のために︑一定の最高額まで︑現金又は有価証券での担保に対して︑担保証券を発行する権利が︑帰属する限 りは︑全く例外なく通用しない︒ オ!ストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(24) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 八四. 株式会社と貯蓄金庫の担保証券アソシュタルトは︑発行されうる担保証券の最高額に拘束されている︒担保証券の. 総額は︑払い込まれた株式資本︑準備金と一定の釣り合いがとれていなければならない︒通常︑総額は︑株式資本︑ 準備金の二〇倍を越えてはならない︒. 担保証券業務の外に︑さらに他の業務iすべての銀行業務1に従事する権限のあるアンシュタルトの場合に︑担保. 証券債権者に存する危険は︑二つの一八七四年四月二四日法︵帝国法律公報第四八号と第四九号︶により︑大部分取り除. 以下の叙述は主として︑男帥く霞oF弓富昌3ユoヰ8辟り一〇〇〇μψ合ヌによる︒. かれたといわれる︒この二つの法律について︑次に検討することになる︒これらの法律は︑前年︵一八七三年︶の恐 ︵12︶ 慌におけるアソシュタルトの倒産が原因となって︑立法されたのである︒. ︵1︶. 分割所有権との関係について︑上原・前掲論文五二頁参照︒. 進藤・前掲書二七〇頁︒. ヘーデマソは︑担保証券貸付の創始を一八五六年のオーストリア国立銀行に求める. ︵3︶. ψ蕊︒しかし︑. ω.癖S. ︵2︶. 評≦段oF鉾PO. 憎. ≦搬oFPPO. ︵5︶. ︵4︶. 国o山o目. 昌P鋭鉾O. ω.鱒O刈︒. ︵国&①B帥ロP男o旨ωo冒津什①ユoωN一≦一30窪ω一ヨ図一図●冒ゲ浮仁昌山o芦目︒N℃一=似一津P一〇ωρω●NO刈し︒. ︸. ︵6︶. 国o畠oB帥昌P鉾帥●O. 杉本正幸﹃不動産金融論﹄二七四頁以下︑同﹃不動産金融機関論﹄五七頁以下に﹁下オーストリヤ州抵当銀行﹂として紹. ω・NOO●. ︵7︶. ω●㎝O. ︵8︶. 国①ユoB 昌P曽.曽.O ω●曽O︒. ≦搬o貫国●ρO. ︵9︶ ︵10︶.

(25) 介されている︒ 2︶国80B塁Pρ. ω●臼・. .O ω●N8●. ︵n︶ 勺四≦隷oF帥●帥︒ O. 担保証券について ︵13︶. 一部債券↓亀ω3三身R零ぼ①一ど畠. ︵1. 2 ω. 一部債券は︑抵当権による担保をともない︑無記名式又は指図式になっ. ており︑この場合︑抵当権は︑土地登記簿に表示された債権者に対してではなくて︑債券のその時々の所持人叉は被 ︵14︶. 裏書人に対してだけ責任を負い︑担保権の譲渡は︑債券の引渡又は裏書によって生じる︒それゆえ一部債券は︑本来. の担保証券瞑彗3ユ駄とは区別すべきである︒. 担保された債券は︑抵当権で担保された債務全体に結び付くのではなくて︑あるまとまった分担額︵部分債務︶に結. び付くので︑莫大な数の債券が交付される︒この方式によって︑鉄道国債固oD窪富ぎω冨讐¢ω3三身R8目①一喜躍︑. 取引所建設債券劇警8富轟三魯窪︑種々の鉱工業債券︑鉄道優先債券固8呂昌ε昌〇二鼠富o菖蟷怠8等が交付さ. れるのである︒個々の一部債券所持人全員は︑全額について登記された債権の共同権利者として同一順位である︒. 一部債券のために供与された抵当権の登記簿上の取扱について︑一八七四年四月二四日法︵帝国法律公報第四九号︶. が︑さらに詳細に規定している︒まず︑第一一条で︑担保権の登記には︑債務者によって交付された担保設定証書が. 必要であり︑指定された債権者のために登記された担保権の︑一部債券所持人への譲渡は︑譲渡人によって作成され. 八五. た担保譲渡証書に基いて行なわれると規定する︒そして︑第一二条で︑一部債券所持人のための担保権登記の場合︑ オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(26) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 八六. 又は担保権の一部債券所持人への譲渡の場合に︑一部債券の発行︑その数︑金額について︑及び︑償還について決め. た︑証書中に記載されている重要な諸規定とならんで︑債権総額が権利者の名称の代りに申告されなければならない. と規定する︒又︑第二二条により︑一部債券の取得と同時に︑担保権は︑債権総額の登記から生ずる順位でもって取. 得されることになる︒次に︑第一五条で︑一部債券の所持人のために登記された担保権の全部又は一部の抹消は︑目. につくメルクマールによって一部債券が取引に役立たなくなった後で︑償還された一部債券の呈示によって諸権利の. 消滅が示されるときにも生ずるとする︒そして︑抹消の申請に︑この一部債券の目録<RNo凶9三ωが添えられなけ. ればならず︑抹消を通知されるべき︑一部債券所持人の共同管財人に︑この通知と同時に送達されなければならない︒. しかし︑謄本が証書集d詩⁝留昌器ヨ目冨轟中に挿入されなければならない︒特別の国家の監督下にある企業によ. って発行された一部債券の場合には︑目録の提出の代りに︑監督を行なう公の機関の︑一部債券が無用になったとい. う承認ω︒ω鼠怠讐凝で十分である︒無効と宣言された一部債券の場合には︑弁済についての受取証書と︑権利者及. び義務者によって交付された︵又は監督機関によって承認された︶︑複本U唇一涛魯の交付が行なわれなかったとい. う宣言書卑冠弩毒閃で十分である︒第一七条は︑国家によって発行された一部債券の場合は︑大蔵大臣が承認を与 え︑ラントの一部債券の場合は︑ラソト政府が承認を与えると規定する︒. なお︑債務証券縛ビ匡<R零日9ビ凝は本来の担保証券である︒これには︑一九三八年にオーストリアで施行さ. れたドイッ抵当銀行法が適用される︒ただ︑オーストリアにおいて︑公法上のクレディート・アンシュタルトによっ. て︑実施命令の施行前に発行された債券には適用されない︒この担保証券瞑§留魯o冒には︑今までのオーストリ.

(27) ア法がさらに適用される︒すなわち︑アンシュタルトは︑担保に基いて︑それを発行する︒その担保は︑通例︑アン. シュタルトの抵当債権︑そのほか︑有価物︑特に︑現金又は有価証券である︒つまり︑アンシュタルトは︑抵当貸付. を担保証券で与えるのである︒信用受供者は︑入用金を担保証券の売却において作るのであり︑さらに求めに応じて. 銀行自ら︑担保証券を約定価格で引き受けることによって︑売却を配慮するのである︒発行された担保証券の総額は︑. 9倉oo唐.による︒. アンシュタルトの抵当債権の総額に一致し︑この抵当債権が担保となるとのことである︒ ここの叙述は主として︑閣ぼ窪N名o蒔︸鉾斜O. 一部債券を国矯℃○浮葵窪びユ無とする説もある︵Oω畠鮎窟窪℃勲勲ρ︑@嵩伊・︶︒. ︵13︶. いわゆる担保証券法もう一つの一八七四年四月二四日法は︑﹁担保証券所持人の権利の確保に関する﹂法律. ︵M︶. ω. ︵15︶ ︵帝国法律公報第四八号︶である︒次に︑その規定を順にみてゆくことにする︒. 第一条﹁国家の監督下に担保証券を交付するアンシュタルトは︑規約により︑担保証券の優先的担保に用いられな. ければならない財産を︑それに付加された政府委員菊紹尋毒暢8Bヨ一のω畔の同意でのみ︑処分することができ る︒. 政府委員は︑規約による担保証券担保が︑その処分によって侵害されないという確信を得たときだけ同意を与える ことを要する︒. 八七. このような処分を企てるアンシュタルトの証書に基いて︑公の登記簿への登記は︑その証書が政府委員によって共 オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(28) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 同作成されているときだけ行なわれることができる﹂︒. 八八. 第二条﹁担保証券の所持人は︑第一条で表示されたアンシュタルトの財産から優先的に満足を受ける権利を有する︒. それゆえに︑その債権が担保証券に起因しないアンシュタルトの債権者は︑この権利を侵すことがないとぎだけ︑強 制執行をなすことができる︒. この財産の総額はアンシュタルトの破産の場合に︑その請求権がアソシュタルトの担保証券に起因する債権者が︑ 他の破産債権者より優先的に満足を受けることができる特別財団を構成する﹂︒. 第三条﹁国家の監督下に担保証券を交付する権利があるアソシュタルトの財産に︑強制執行がなされるならば︑も. し︑この物が担保証券所持人の担保に用いられなければならないならば︑裁判所に︑これについて通知することが義. 務である政府委員に︑強制執行を許可する裁判所は︑これについて職権をもって通知しなければならない︒この通知. に基いて︑裁判所は︑許可された強制執行を︑第二条第一項に含まれている規定に従って︑制限しなければならない︒. さらに︑政府委員は︑担保証券所持人の権利が危うくされると考えるならば︑この所持人を代理する共同管財人の選 任を当該裁判所に尽力して得なければならない︒. このような管財人は︑アンシュタルトの破産の場合に︑破産裁判所により︑職権をもって選任されるべきである︒. このような共同管財人の選任は︑権利が︑その経過において︑担保証券所持人の代理人の不存在により妨げられる であろう者によっても請求されることができる︒. 所持人を代理する共同管財人に関して︑無記名式であるか︑又は裏書により譲渡可能な一部債券が適用される諸規.

(29) 定が︑この管財人に適用される﹂︒. 第四条﹁担保証券発行のための国家の許可が︑この法律の効力開始後にようやく与えられるアンシュタルトは︑担. 保証券の優先的担保のために定められた財産を︑担保証券からの請求権の満足のための担保99一9として設定し なければならず︑これを規約中に明白にしなければならない﹂︒. 第五条﹁登記簿上窪魯①島魯の権利が得られることができる者の担保として設定された財産に関して︑その責任. は︑アンシュタルトによって発行された担保証券からの請求権の満足に対する保全の担保として︑アンシュタルトに より出された宣言書悔蒔一陛目閃に基いて公の登記簿に登記されるべぎである︒. O鎧ぎ霧富包の全部又は一部の抹消の達成のためには︑担保証券所持人の満足のための担保として用いられる︑. 抵当権を設定されている財産が︑全部叉は一部︑消滅したという政府委員の公の承認閃oω感ユαq毒ひqだけで十分であ るQ. 登記ならびにOき二〇器富邑の抹消を政府委員は通知されるべきである︒共同管財人の選任は︑この目的のために 必要でない︒. 登記と9暮δ霧匿且の抹消の目的のために交付された証書と︑なされた登記は︑印紙税を免除され︑手数料がか からない﹂︒. 八九. 第六条﹁規約に応じて現金叉は有価証券が担保として設定されるならば︑アンシュタルトの他の財産から分離した︑. この担保物O 暮一〇器098梓は︑政府委員の共同差押蜜冨℃Rおの下で保管されるべきである︒ オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(30) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 九〇. 被保護者男留鵯幕8置o器の財産が出資されることができない有価証券は︑担保としての設定から除外される﹂︒. 第七条﹁担保証券を交付し︑ラントの財産がその責任を負うところのランデス・アンシュタルトに︑この法律の諸. 規定は︑議会常任委員会及び議会常任委員会によって全権を与えられて派遣された委員が︑この法律において政府委 員に割り当てられた任務の履行をなす権限があるという条件で適用される﹂︒. 第八条﹁この法律の効力は︑公布の日に始まる︒ その実施は︑司法・内務・大蔵大臣に委任される﹂︒. この法律の特徴としては︑国家の監督下にあるアンシュタルトが︑担保物を処分するのには︑政府委員の同意が必 要だということで あ る ︒ ︵16︶. ︵17︶. そして︑物的担保については︑その法的性質が争われている︒転抵当という説と︑担保権類似の特別の弁済権とい う説が対立してい る ︒. なお︑担保9暮一9という制度は︑﹁新しい法律概念﹂とのことである︒. ω︒一8︒. ︵15︶ この法律については︑帝国法律公報第四八号により︑訳した︒ 図oN一〇 一 ・ 譲 o 一 の R 噂 鉾 鉾 O. ︵1 7︶ 閏冒o旨名o茜り曽●薗●O ψ霧︒. ︵16︶.

(31) 四 結 論. 以上︑オーストリアの抵当制度について︑ABGBの成立時からの展開を辿ってきた︒そして︑ABGBにおいて. は︑プ・イセンの所有権取得法とは異なり︑無因性理論は結局︑採用されなかったことを述べてきた︒次に︑公信の. 原則を定めた規定が︑所有者抵当の機能を果たすべく解釈され︑しかも改正法によって︑具合良く明文化されたこと. もみてきた︒しかし︑その機能は借替の確保に結び付けられたものであり︑後順位抵当権者の順位昇進を防止するも. のであることが分かった︒自ら予め順位を確保しておくといった積極的機能は︑もたされなかったのである︒こうし. て︑公信の原則も︑順位確定の原則も︑ABGBにおいては︑﹁投資抵当権﹂のメルクマールとしてではなくて︑債. 務者ないし所有者保護のメルクマールとして機能したのであった︒経済構造は︑たしかにプ・イセン型農業資本主義. の発展段階を辿ったとしても︑必ずしも︑そうした経済的基盤に対応した抵当制度が展開しなかったといえよう︒. しかし︑オーストリアの資本主義の発達は︑莫大な資金を必要とする︒そこで︑各種の不動産金融機関が発達し︑. 一部債券や担保証券という制度を利用して︑大量に資金を獲得することになる︒このような有価証券の担保として︑. 抵当権は︑重大な作用を営むようになる︒こうしたABGBの枠外にある制度の発達が︑オーストリア経済を支える. 上に︑重要な役割を果たしたことは否定できない︒それが︑逆にABGBの十分な展開を要求しなかったともいえる であろう︒. 九一. こうしてみると︑オーストリア抵当制度にとって︑﹁投資抵当権﹂は︑いかなる位置づけを与えられるべきであろ オーストリア抵当制度の展開と﹁投資抵当権﹂︵上原由起夫︶.

(32) うか︒. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 九二. ABGBにおいては︑あくまで付従性︵つまり保全抵当︶に拘泥したことが所有者抵当制度立法化に端的に現われ. ている︒そして︑今まで述べてきた︑一部債券や担保証券の制度が︑不動産金融機関との関連において︑オーストリ. ア資本主義発達の原動力となったと解しうるのであり︑しかもこれらの制度は︑保全抵当を前提とするのである︒つ. まり︑ABGBが保全抵当であることには積極的意義があることになる︒結局︑﹁投資抵当権﹂へ変質しないことに 意味がある︑と考える︒. オーストリアの抵当制度は︑保全抵当に留まった︑しかし︑それゆえに︑資本主義の発達に貢献したというのが︑ ここでの一応の結論である︒.

(33)

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