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中尾理恵子 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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中尾理恵子 論文内容の要旨

主 論 文

Relationship between lifestyle and mental health: A population-based survey in Nagasaki Prefecture, Japan

長崎県における一般住民調査による生活習慣と精神的健康との関連 中尾理恵子、本田純久、門司和彦、安部恵代、青柳 潔

( Acta Medica Nagasakiensia, 55巻,印刷中)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻

(主任指導教員:青柳 潔 教授)

緒 言

現在の産業化の進んだ社会におけるうつ病や不安症の割合の増加は、失業や自殺に関 連する。しかし、日本では精神的不調を訴えるケースの 19%しか医療的治療を受けていな いという報告がある。また、日本の女性では、うつ病の有病割合は他の西洋諸国と比較して 低いが、うつ病のリスクのあるものの割合は高いという結果がある。これまで精神的健康に関 する問題は、産業保健分野において研究が多く、労働時間やjob demand-controlとの関連 があることが明らかになっている。しかしながら地域住民を対象とした精神的健康の調査に 関する先行研究は少なく、地域住民の精神的健康の実態は明らかではない。

一方、2000年にスタートした国民の健康づくり運動である「 健康日本21」は、生活習慣病 対策のために食生活、身体活動、精神的健康、喫煙、飲酒の生活習慣の目標を示し、健康 寿命の延伸とQOL(Quality of Life)の向上をめざしている。これまで、精神的健康と生活習 慣の関連は明らかではなく、地方自治体の保健事業は生活習慣への対策を生活習慣病予 防として実施しており、精神的健康と生活習慣を組み合わせた取り組みはない。

そこで本研究では、全県を網羅した地域住民の生活習慣と精神的健康の状況を明らか にし、精神的健康に関連する生活習慣の要因を明らかにすることを目的とした。

対象と方法

長崎県に居住する20歳以上の一般住民を対象とした断面調査を実施した。郵送法による

(2)

自己記入式質問紙調査を 2005 3 月に行った。対象者の選定は、2001 年に実施した県 民生活習慣状況調査(Nagasaki Health Study 2001)の対象者のうち5年後の調査への参加 に同意した4517名であった。回答は、2714名から得られ(回収率60.1%)、GHQ-12の全項 目を回答した2146名(男性1052名、女性1094名)を分析対象とした(有効回答率47.5%)。

調査内容は、属性(性別、年齢、同居家族、職業)、主観的健康感、食習慣、運動習慣、休 養 ・ 睡 眠 、 喫 煙 習 慣 、 飲 酒 で あ っ た 。 ま た 精 神 的 健 康 の 評 価 に は General Health Questionnaire 12項目質問紙 (GHQ-12)を用い、GHQ-12項目得点が4点以上を高得点と した。

生活習慣や属性が GHQ-12項目得点に及ぼす影響を調べるために、多重ロジスティック 回帰分析を行った。また精神的健康の年齢毎の特徴を明らかにするために、GHQ-12 項目 得点高得点者割合の5歳毎の移動平均を計算しグラフ化した。

結 果

GHQ-12 の高得点者割合は男性 15.6%、女性 18.9%であり、女性が有意に高かった

(p=0.041)。男性では35歳時に高得点者割合が40%を占め、ピークを示したのに対し、女性

では25歳から40歳まで高得点者割合は35%程度の高いレベルを維持した。

単変量解析で精神的健康の低下と関連していた項目は、年齢が若いこと(p<0.001)、食習 慣が不規則であること(p<0.001)、不十分な睡眠(p<0.001)であった。加えて、男性では定期 的に運動をしないこと(p=0.001)、女性では現在タバコを吸うこと(p=0.01)と関連がみられた。

多変量解析の結果、女性であること(OR:1.3, 95% CI:1.0-1.6)65歳以上に比べて年齢が若 いこと(40-64歳でOR:1.4, 95%CI:1.0-1.940歳未満でOR:2.5, 95%CI:1.7-3.6)、食習慣が 不規則であること(OR:1.7, 95%CI:1.2-2.4)、不十分な睡眠(OR:2.8, 95% CI:2.1-3.6)が精神 的健康に関連した。

考 察

長崎県の20歳以上の一般住民を対象として、精神的健康と生活習慣に関する質問紙調 査を実施した結果、精神的健康の低さに関連する因子は、女性であること、若年であること、

生活習慣(食習慣、睡眠)であった。男性の精神的健康が最も低下した年齢は、職業上のス トレスがもっとも高くなる時期であり、そのために精神的健康が低下するという先行研究と一 致していた。しかし、女性の若年層で精神的健康の低下が長期間見られた点は新しい知見 であった。この時期の女性は、出産や育児と勤労とを合わせて行っている者が多い年齢域 であり、身体的な負担だけでなく精神的な負担が大きいことが推測された。今回の調査は断 面調査であるため、精神的健康が低いために食事や睡眠がうまくとれなくなっているのか、

食事や睡眠がとれないために精神的健康が低下しているのかの因果関係の判断はできな いが、食事や睡眠が精神的健康と関連していることが明らかとなった。これらのことは、地域 での精神保健対策は対象を焦点化し、生活習慣対策と組み合わせて実施することが効果 的であることを示唆した。

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参照

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