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竹下茂之 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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竹下茂之 論文内容の要旨

主 論 文

A snack enriched with oral branched-chain amino acids prevents a fall in albumin in patients with liver cirrhosis undergoing chemoembolization for

hepatocellular carcinoma

分岐鎖アミノ酸高含有経口栄養剤は、肝硬変を有する肝細胞癌患者に対する肝動脈塞 栓術後のアルブミン低下を予防する

竹下茂之 市川辰樹 中尾一彦 宮明寿光 柴田英貴 松崎寿久 村岡 徹 本田琢也 大谷正史 秋山祖久 三馬 聡 小澤栄介 藤本真澄 江口勝美

(Nutrition Research 29(2);89-93:2009)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:中尾一彦教授)

緒 言

肝癌は本邦でも癌の死亡原因において男女とも上位に入る重要な疾患である。ただ 他の癌と違い肝癌は慢性の肝疾患を背景に持つことがその治療を複雑にしている。と くに肝硬変を背景に持つ場合、残存する肝機能を評価することは、肝癌の評価と同様 に重要である。

肝癌に対する治療法としては肝切除や肝移植などの手術療法、ラジオ波焼灼療法や エタノール局注療法などの経皮的治療、肝動脈塞栓術(TACE)や肝動注療法などの IVR 治療などが挙げられる。しかし、肝切除や経皮的治療は適応が限られており、それら の治療ができないレベルで肝癌が広がっている場合には TACE が選択されることが多 い。TACE はその治療適応が広く、肝機能が悪い例も含まれるため、術後に血漿中蛋白 値やアルブミン値の減少を含めた肝機能の悪化を見る例も少なくはなく、その改善に は時間を要することが多い。その結果、肝癌への治療の継続が困難となり、QOL の低 下や予後の短縮をきたす可能性も危惧されている。

肝硬変患者では分岐鎖アミノ酸(BCAA)の低下と芳香族アミノ酸(AAA)の増加が みられ、BCAA/AAA 比(フィッシャー比)の低下をきたす。フィッシャー比の低下は肝 性脳症の病態に深く関係しており、BCAA 製剤が肝性脳症に有効であることは多くの臨 床 研 究 に よ り 示 唆 さ れ て い る 。 さ ら に 肝 硬 変 患 者 で は protein-energy malnutrition(PEM)の状態にあり、BCAA 製剤は肝硬変の低栄養状態にも有効であると

(2)

の報告が多数あり、慢性肝炎患者における肝性脳症や PEM に対する標準的治療として BCAA 製剤の投与が推奨されている。

そこで我々は肝硬変患者における栄養補給として優れた成果を上げている BCAA 高 含有経口栄養剤(アミノレバン EN)が TACE による肝予備能低下に与える影響を検討 した。

対象と方法

対象は2004年7月から2005年6月の間、当科に肝癌の治療で入院し TACE が選択された 56 症例。TACE 前日より 22 時にアミノレバン EN 1包 1X を内服開始 し、2 週間 継続した。28 例はアミノレバン投与群、28 例はコントロール群とし、術 前後での以下の項目の差異を検討した。

Body mass index(BMI), 総蛋白(TP),アルブミン(Alb),白血球数(WBC),赤血球数(RBC), 血小板数(Plt), AST, ALT, ALP, γ-GTP, LDH, 総ビリルビン(TB), 総分岐鎖アミノ 酸チロシンモル比(BTR), アンモニア(NH3), 遊離脂肪酸(NEFA), コリンエステラーゼ (ChE), 総コレステロール(TC), 中性脂肪(TG), 空腹時血糖(FPG), インスリン(IRI), HOMA, 入院期間

統計学的検討は Mann-Whitney の U 検定で行った.

また、全生存期間、無治療生存期間について Kaplan-Meier 法、log-rank 検定を用い て検討した。

結 果

患者背景の Child-Pugh score に有意差は認めなかったが、Alb、WBC、RBC、Plt、

TB、BTR、ChE、TC においてコントロール群が有意に良好であった。両群とも TACE 後 に TC、Alb の低下を認めたが、アミノレバン EN 投与群において TP、Alb の低下が有 意に抑制された(p=0.019、p=0.0336)。中性脂肪は両群とも TACE 後で減少しており、

減少程度はほぼ同程度であった。遊離脂肪酸も TACE 後では両群ともに低下しており、

アミノレバン EN 投与群では減少が抑制されている傾向はみられたが、有意差は認め なかった。総コレステロールは両群において TACE 後に減少していたが、アミノレバ ン EN 投与群では有意にその減少が抑制されていた(p=0.0118)。アンモニア値はアミ ノレバン EN 内服群では TACE 後に低下していたが、非内服群では TACE 後にアンモニ ア値の上昇を認めた(p=0.0157)。入院期間、全生存期間、無治療生存期間に関しては 両群間に有意差を認めなかった。

考 察

TACE 前日からアミノレバン EN を内服することにより TACE 後の TP、Alb、TC の低下 を抑制でき、また、アンモニアの上昇を有意に抑制することができた。これはアミノ レバン EN 眠前投与が TACE 施行肝癌患者のアンモニア値の改善のみならず蛋白質、コ レステロール代謝に良好な影響与えることを示唆しており、TACE 後の肝予備能低下が 誘因となる腹水貯留や浮腫、脳症などを予防し、QOL の低下を改善できる可能性があ ると思われた。

参照

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