審 査 論 文 要 旨(日本文)
論文提出者氏名:内山 綾子 審査論文
題 名: Effect on mental health of a participatory intervention to improve
psychosocial work environment: A cluster randomized controlled trial among nurses
(心理社会的職場環境改善のための職員参加型介入がメンタルヘルスに 及ぼす効果:看護師を対象としたクラスターランダム化比較試験)
著 者:Ayako Uchiyama, Yuko Odagiri, Yumiko Ohya, Tomoko Takamiya, Shigeru Inoue, Teruichi Shimomitsu
掲載誌:Journal of Occupational Health (in press, 2013)
(審査論文要旨:日本語論文の場合1,000字以内・英語論文の場合500 words)
【背景と目的】
労働者のメンタルヘルスには、心理社会的な職場環境が良好であることが重要であると報告 されているが、職場環境改善の効果を検討した介入研究はほとんどみられない。そこで本研 究では、看護師を対象として職員参加型の心理社会的職場環境改善介入を実施し、メンタル ヘルスに及ぼす効果を検討した。
【対象および方法】
看護師(n=434、2 病院)を対象とするクラスターランダム化比較試験を実施した。部署単位 で介入群(11部署、n=182)と対照群(13部署、n=218)に無作為に割付けた。介入方法は、
各部署の主任をリーダーとし、部署の職員全員が改善活動に取り組む職員参加型とした。介 入期間は6か月間とし、前半3か月間は、研究者とリーダーによる全体ミーティングの中で、
各部署の現状把握、改善策の立案、改善活動の進捗状況の報告等を月に 1 回行い、併せて個 別インタビューを通じて研究者が改善活動を支援した。後半 3 か月間は、自主的な改善活動 の継続期間とした。介入前と介入直後に、メンタルヘルスの指標として「抑うつ」、心理社会 的職場環境として「仕事の要求度」、「仕事のコントロール」、「上司支援」、「同僚支援」、「努 力」、「報酬」、「目標の明確さ」、「仕事の能率」、「マネジメントへの参加」、「能力向上」、「職 場風土」、「リーダーシップ」、「フィードバック」を、自記式質問紙を用いて評価した。解析 は、部署を考慮したマルチレベル分析を用い、群(介入群/対照群)と測定時点(介入前/
介入後)の交互作用により介入の効果を検討した。
【結果】
「抑うつ」には介入効果は認められなかった(F=0.132, n.s.)。しかしながら、心理社会的職場環 境のうち、「同僚支援」(F=7.120, p=0.008)と「目標の明確さ」(F=8.792, p=0.003)は交互作用が 有意、また「仕事のコントロール」(F=3.840, p=0.051)も有意傾向であり、介入群に効果が認め られた。
【結論・考察】
看護師を対象として、部署を単位とした 6 か月間の職員参加型の心理社会的職場環境改善介 入を行った。メンタルヘルスの指標とした抑うつに介入効果はなかったが、いくつかの心理 社会的職場環境に改善が認められ、職員参加型介入の有効性が示唆された。今後は改善され た心理社会的職場環境がメンタルヘルスに及ぼす効果について、より長期的に検討する必要 がある。
東 京 医 科 大 学