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上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,第

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上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,第

16

,1517

,平成

22

3

通常学級 における特別 な教育的ニーズのある子 ども連への支援

‑ユニバーサルデザインの視点 から‑

特別論文

道 城

1.変化する 「 通常学級

現在、通常学級 に特別な支援 を必要 とする子 ども達が多 く在 籍 している。文部科学省が行った実態調査か らも、通常学級に 行動面 もしくは学習面 に問題 を抱 える児童生徒が

6.3%

である ことが明 らか となった ( 文部科学省

,2002)

。つ ま り、通常学 級に多様な子 ども達が在籍 してお り、今後 も支援の必要性が増 してい くと考 え られ る。 この ような特別 な支援 を必要 とす る 子 ども達の増加 に伴 い、通常学級 において学級担任以外 の支 援者が支援 を行 う機会 も増 えた。神戸市では

、2002

年 に 「通 常の学級 における

LD

等への特別支援事業」が発足 した。 これ は、通常学級 において教員補助者が

LD、ADHD

、高機能 自閉 症 などの児童生徒及び学習面、行動面に何 らかの教育的ニーズ がある児童生徒の支援 を行 うといちた事業であ り、大学、教育 委員会、小 中学校が連携 して行 うものであった ( 松見 ・道城,

2004)

。教員補助者 は、教育学、心理学 を専攻す る大学院生、

学部学生であ り、週

1

3

1

チームとなって支援 を行 ってい る。 この ように、大学などの地域の リソースを活用 した支援体 制や、各地域の実状 に合わせた通常学級 に対する支援が全国で 行われ始めている

。2007

年には、特別支援教育支援員の設置が 決定 した ( 文部科学省

,2007)

。支援員は、 日常生活上の補助 や学習支援、学習活動上のサポー トなど、学校や学級のニーズ に従 って支援 を行 う。「 公立小 中学校 における特別支援教育支 援員 ( 介助貝及び学習支援員等)活用状況」 といった実態調査 によると、全 国の公立小 中学校

35,155

校の うち

、32,301

校が特 別支援教育支援貝を設置 した と回答 したことが明 らか となった ( 文部科学省

,2008)

。 また、国公立、私立の幼稚 園、小 中学 校、高等学校 を対象に行われた実態調査 によって、特別支援教 育支援貝は約2万8千人配置 されてお り、支援 を受けている幼児 児童生徒 は約

7

7

千人であることが明 らか となった ( 文部科学 省初等中等教育局特別支援教育課

,2007)

しか し、支援員や それに準 じた教員補助者、介助員、学習支援貞などは、地域 に よって様 々であ り、採用条件 ( 面接、免許状 の有無)、勤務条 件 などにも大 きな差がある。今後、通常学級 をサポー トす る効 果的な体制づ くりが課題 となる。

2.

通常学級におけるユニバーサルデザイン

現在 、通常 学級 に在籍 す る特 別 な支援 が必 要 な児童生徒 の増加 に伴 って

‑通常学級 にお け るユ ニバ ーサ ルデザ イ ン

(universaldesign)

の必要性が高 まっている。ユニバーサル デザインとは元々は建築やデザインの分野か ら生 まれた概念で あ り、すべての人々に利用可能な製品 と環境のデザインを指す

上越教育大学学校教育研究科臨床 ・健康教育学系

裕 貴*

(TheCenterforUniversaldesign,1997;

武藤

,2007a)

。つ ま り、バ リアフリーの ような 「 特殊解」 を指向す る ものではな く、全ての人を対象 としていることが特徴である( 古瀬

,1998)

0

通常学級 におけるユニバーサルデザインとは、特別な支援が 必要な児童生徒 だけでな く、 どの子 どもにも過 ごしやす く学び やすい学校生活 ・授業 を目指す ことをい う ( 佐藤

,2007)

発 達障害児のために工夫 した指導や説明が他の児童にも役立った り、学級経営 として も有効 な場合がある。問題行動 を起 こす児 童生徒 に対する個別支援ではな く、学級経営や授業づ くりなど の全体への指導や指示 を工夫することがユニバーサルデザイン である。現在、発達障害などの児童生徒 を含 む学級経営や授業 づ くりについて、現場の取 り組みが まとめ られている ( 鹿瀬 ・ 桂 ・坪 田

,2009;

小 島 ・宇野 ・井滞

,2008)

。特別 な支援 を必要

とする児童生徒の行動問題が きっかけで学級の荒れに発展 して しまうケースを目にする機会 も多い。発達障害児 を含む学級の ユニバーサルデザインによる学級経営や授業づ くりに関する実

・証研究が求め られているのである。

3.

通常学級における様 々な変数

ユニバーサルな支援 を考える際、通常学級 には様々な変数が ある。例 えば、上述 の教材 ・教具、指導案 ( 贋瀬 ・桂 ・坪 田,

2009)

、教室内の座席 などの物理的環境設定、学級規模、 メ ン バーなどである。 また、教室のルール、すべ きこと、教師の指 示なども該当する。特別な支援 を必要 とする子 どもを含めたす べての子 ども達に分か りやす く、伝わる授業づ くりや学級経営 には様 々な変数が関わっているのである.現在 まで、効果的な 教師の教授スキルをまとめた ものや

(

川上 ・秋 山

,2006)

、授 業チェックシー トを用いた支援 に関する研究がある ( 小林 ・古 田島 ・長揮

,2009)

。著者 は、特 に授業の前段 階である、教室 のルールの指導や教師の効果的な指示 を重要 と考えている。現 在、教師の指示 に焦点を当てたマニュアル本 を執筆中であ り、

出版 を予定 している。

さて、教室内には様 々なルールが存在す る。例えば、通常学 級 には、授業 を受 ける際、 また集 団行動 を行 うために必要 な ルールが多数存在す る。 ルール とは 「 教 師が設定す る学校生 活 に関す る基準、決 ま り」であ り、例 えば 「チ ャイムが鳴っ た ら席 に座 る」 といった学校全体 に共通す る ものか ら、「 宿題 プリン トは教卓の上に置 く」 といった学級独 自の ものを指す。

Emmer,Evertson,Clements,&Worsham(1997)

は、学級経 営の重要な要素の一つ として 「 教室のルールを確立すること 」

を挙げた。 また、教室内の児童の適切 な行動 を促すためには、

ルールについて話 し合 った り、ルールを守っている児童 を具体 例 として示すなどして積極的に教 える、児童がすべ き行動 を明

‑ 15

(2)

道 城 裕 貴+

確 に記載 したスケジュール表 を掲示す る

(Sprick,Borgmeier

,

&Nolet,2002)

な どの教 師の事前 的行動が効果的 とされて

いる

(e.g.,Paine& Paine,2002)

。 さらに、 この ような教師 の行動 と児童の学力向上 との相 関関係 も明 らか となっている

(Martens&Kelly,1993)。Johnson,Stoner,&Green(1996)

は、中学

1

年生の数学 の授業で 「 授業の準備 をす る」 な どの ルールを全員に教 えた結果、課題従事行動が顕著に向上 したこ とを示 した

。Stoner&Green(1992)

は、小学1 年か ら

3

年の児 童の うち、教室のルールを正確 に説明、確認で きたのは

10%

未 満であることを明 らかに した。学級支援の一つ として、「チ ャ イムがなった ら席 にすわる」 といった学級のルールを教える試 み も行われている

(e.g.

,道城 ・松見

2007)

。つ まり、教室内の ル丁ルを教 えることは、学級経営や学力向上 を考える上で も非 常 に重要 と考えることがで きる。

通常学級の学業スキルを一斉指導す る際に、「 す ることがで きない」問題の原因の一つは、課題や教示の意味を理解 してな いため といった指摘がある

(Skinner,2005;

武藤

,2007b)

。児 童の能力 と指示の レベルが一致すると学業達成が上がるといっ たことも指摘 されている

(eg.,Centereta1.,1982)

O教師の指 示 に関連する変数 としては、アイコンタク ト、指示内容、予告 などが挙げ られている

(Martens&Kelly,1993)

。 また、指示 内容 ( 命令、質問、平叙文) による差 は見 られなかった こと が明 らか となっている。 しか し、指示 内容の文脈 は関係 して お り、指示 を しているときに聞いている児童

(on‑task)

と聞 いていない児童

(off‑task)

では差が見 られたことが示 された。

効果的な指示は、 シンプルで系列的で、例示問題が含 まれてお り、全ての児童が

on‑task

の時 に最 も効果的であるとされてい る

(Wyne&Stuck,1982)

。 この ように、通常学級 に存在す る様 々な変数について実証的なアセスメン トを行い、効果的な 学級経営や授業づ くりに役立てることが必要である。

4.

今後の 「 通常学級 」

現在、通常学級 における支援体制は変化 し続 けている。特別 支援教育の実施 に伴 って、修士号 などの学位や特別支援教育士

(SENS)

などの資格の取得、研修機会の増加 によ り専 門性が 高い教師が増 えている一方で、専 門性の差 も大 きくな り、支援 の格差が生 まれている。 ここでは、それ らを踏 まえた上で憂 慮 してい る問題 を挙 げたい。一つ 目は、個人情報 の保護であ る。通常学級 に在籍す る児童生徒の専門機関による診断結果、

WISC‑

Ⅲなどの心理 ・発達検査の結果、個別の指導計画などは 個人情報 に該当 し、 きちんと管理 されなければならない。数年 前 までは、あ ま り目にすることがなかった情報であるが、学校 レベルで管理体制 を作 る必要がある。

2

つ 目は、心理 ・発達検 査の実施である。最近では、校内で行 う場合 も増 えているよう だが、ある程度の専門性 をもつ教師が行 うべ きであ り、保護者 へのインフォーム ドコンセ ン トも必ず行わなければな らない。

「テス トを していいで しょうか ?」 といった唆味 な ものでは な く、知能指数

(IQ)

が明 らかになるな ど、正確 な情報提供 が必要である。 また、検査の 目的は、 よ り正確 な実態把握 によ り支援 を考案することであ り、決 して学級選択の判断材料だけ ではない

。3

つ 目は、本人に対する障害告知 と周囲の子 ども達 に対する障害理解教育である。予防的な観点か ら集団の社会性

トレーニ ング

(socialskillstraining;SST)

や心の健康教育は 行われているが

(e.g.

,大村 ・松見

,2010;

山崎

,2000)

、障害理 解教育はまだ手探 り段階である。本人への障害告知 も専門家に よって も意見が分かれてお り、医師によるもの、保護者による ものなど方法 も多岐に亘っている。障害告知 とまではいかず と も、 自己理解 は早期か ら必要であ り、実証研究の積み上げが求 め られている。今後、 さらに通常学級 に多様な子 ども達が在籍 し、個性 を認め合 う学級づ くりを目指すために、 これ らの問題 は解決 されてい くべ きだろう。

文献

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‑ 17

参照

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