読み語 りにおける読み手の方略
上越教育大学教職大学院 松 本 修
1 研究の経緯 と本論の 目的
読み語 り ( 読み聞かせ)実践 においては、読み語 りに用い られてい るテ クス トに主 とし て導かれ る物語 内容の レベルの コ ミュニケー シ ョン、同 じくテ クス トにかかわる物語言説 の レベルの コ ミュニケー シ ョン、そ して読み語 りの場 にお ける読み手 とオーデ ィェ ンス と の コ ミュニケー シ ョンとい うよ うな、 3 つの レベルの コ ミュニケー シ ョンが交錯 して行 わ れ ている。 こ うしたコ ミュニケー シ ョン実践 において、読み手は どの よ うな方略 を用いて いるのであろ うか。本論 は、読み語 りの ビデオデー タを用いた一連の研 究を整理 し、新た なデー タによって、 どの よ うな要因によって どの よ うな方略 を選択す るかについて改めて 検討す るものである。
松本 ・鈴木 ( 2 0 0 4 ) は、公立図書館 で行 われてい る読み語 りボランテ ィア団体の読み語 り実践のデー タをもとに、読み語 りが どの よ うな コ ミュニケー シ ョンとして行 われている か、その理論的モデル を提示 した。
読み語 りにおいては、絵本テ クス トを媒介 としつつ、読み手の提示す るテ クス トを通 じ て、読み手 と子 ども ( オーデ ィェ ンス)の コ ミュニケー シ ョンが行 われてい ること ( 図 1 )、
テ クス ト空間にある語 り手 ・聞 き手 ・人物が、読み語 り空間にお ける読み手 と子 どもとの 関係 にかかわ りなが らコ ミュニケー シ ョンが行 われ ること ( 図 2) 、そ して、読み語 りコ ミュニケーシ ョンは、読み語 り空間 とテ クス ト空間を包含 しなが ら、お よそ 「 物語内容」
「 物語言説 」 「 読み語 りの場」 の三つの レベル の コ ミュニケー シ ョンの重 なった重層的な ものであるとした。読み手の個性や、読み語 り実践の中でのダイナ ミックスは、 この三つ の レベルの コ ミュニケー シ ョンのバ ランスや移動によって説明できる。
読み手には、読み手 一子 どもとい うコ ミュニケー シ ョンを多用す るタイプ と、語 り手 一 聞き手 コ ミュニケー シ ョンに限定す るタイプを両極 とす る、様 々なタイプのバ リエー シ ョ ンが存在 し、実際には、読み手は様 々な回路 を複数用いて行 った り来た りしなが ら、読み 語 りの実践 を行 っている。用 いる回路やその取 り合わせ によ り、子 どもの反応 が異なるこ
とも明 らかになった。
松本 ( 2 0 0 7 a ) では、教師 ( H 教諭) に よる読み語 り実践 を と りあげ、 1 年生 と 3 年生 を対象 とした同一テ クス トによる読み語 りを、松本 ・鈴木 ( 2 0 0 4 ) の枠組みによって、主 として読み手側 のス トラテ ジー に着 目して、比較検討す る共同研究を行 った。 これは、学 校 にお ける読み語 りにおいて留意すべ き点をま とめるとい う目標 を見据 えた研 究である。
具体的には、読み語 りのモー ドを、 「 読み手が、物語 内容、物語言説 、読み語 りの場 の ど の レベルでの コ ミュニケー シ ョンに重心 を置 くか
」として、そのモー ドが どの よ うに異な るかについて検討 した。結果 として、 3 年生対象 に比較 して、 1 年生の場合、次のよ うな 特徴が認 め られ た。
1 年生対象 の場合 には、形容詞や副詞 、連体詞 な ど、喚起力の大 きい言葉が音声的に強
調 され る。 また、間の取 り方な どその他 の音声上の特徴 も合わせ ると、読み手は、 1年生
対象の場合 によ り強 く、物語世界、絵本テ クス ト‑の関心 を引 くよ うな特徴的な読みのス
トラテ ジー を用いている。 これ は主 として Ⅱの物語言説 レベルの コ ミュニケー シ ョンの関
係 を強 めるとい う意味 を持 ってい る。それが結果的に Ⅰの物語 内容 レベルの コミュニケ‑
シ ヨンの関係 を強 める働 きを してい る。
図 1 読み語 り空間
テ クス ト 2
矢印は コ ミュニケー シ ョンの働 きかけの方向
読み手 ‑→ 誓 言三告 Lノ
図 2 テ クス ト空間 読み手
( 実体)
読み語 り空間
語 り手 n a r r a t o r
絵本 ( ‑対象テ クス ト) 物語空間
人物 テ クス ト空間
図 3 コ ミュニケー シ ョンの構造
聞 き手 na r r a t e e
子 ど も
( 実体)
読み語 り空間
テ クス ト媒介 コ ミュニケー シ ョン
Ⅰ 物語 内容 読み手 ≒作 中人物 ( 作 中人物)
Ⅱ 物語言説 読み手 ≒ 語 り手
Ⅲ 読み語 りの場 読 み 手
作 中人物 ≒子 ども 聞き手 ≒ 子 ども 子 ども
現実の コ ミュニケー シ ョン
( 実線 の コ ミュニケー シ ョンの回路が点線 よ りも比較的優勢) ( 読み語 りでは さま ざまな回路 を行 った り来た りしてい る) また、 1年生の場合 、絵本 を 自分の正面 に持 って読み語 りを行 ってお り、通常の絵本 を 自分の左横 に持 って子 どもと同 じ方向か ら読む読み方 と異 なってい る。 これ は、児童 と絵 本 とを同時 に視界 に捉 えよ うとす るための工夫である と考 え られ る。 よ り強 く絵本テ クス
トに子 どもを引きつ ける とい う役割 を持 ってい る
さらに、 1年生の場合 には、読み語 りの導入部分で時間をか けた り、絵 だけのペー ジで あま り時間をかけない よ うに して子 どもの過度の反応 を抑制す る とい うよ うな特徴 も見 ら‑
れ た。 これ は、Ⅲの読み語 りの場 の レベル にお ける、読み手 と子 どもの現実の コ ミュニケ ー シ ョン も強化す る働 きを持 っている。
こ うして、 1年生対象 の方が、結果的 にすべての レベル での コ ミュニケー シ ョンを強 め るよ うに仕組 まれ てい る と考 え られ る。
3 年生 の場合 、 「 読み語 りとは ど うい うものか」 とい う文化 が既 に子 どもの側 にあるた
め、その安 定 した約束事 にの って読み語 りを進 め ることがで きるが、 1年 生の場合 、、読
み語 りの文化その ものが共有 されていないために、いわば常に コ ミュニケー シ ョンの回路 を保 ち、強化す る必要が生 じてい・ るのだ と説 明す ることもできよ う。 ただ し、 3 年生が単 に読み語 りを学習である とみな し、単に 「 お行儀 よく」聞いてい るのだ とい う可能性 もあ る。
松本 ( 2 0 0 6 ) では、 H 教諭 による同 じ読み語 りデー タをもとに、主 として相互作用の側 面に着 目して、比較検討 した。
ここでは、 「 読み手が子 どもを見 ること」 を、Ⅲの レベル の読み語 りの場 の現実の コ ミ ュニケー シ ョンのモー ドの前景化 と把握 し、その観点か ら相互作用 を分析 した。 3 年生の 場合 のよ うに、読み語 りの文化が共有 されている場合 には、読み語 りにお けるコ ミュニケ ー シ ョンの さま ざまなモー ドがオーデ ィェ ンスに もある程度 自覚 され てお り、 しか もテ ク ス ト中心にそれ らが統合 されて、秩序だった相互作用がな され ている と考 え られ る。それ に対 して、 1 年生の場合 の方が、読み手は子 どもを見 る回数が多 く、 1 回あた りの平均の 時間 も長 く、Ⅲの レベルの読み語 りの場 の コ ミュニケー シ ョンが優勢である。
しか した とえば、本文の 「 つ きひがす ぎさった 」 以降の終盤 では、 1 年生の場合 8 回読 み手は子 どもを見てい るのに対 し、 3 年生の場合 11 回 と見 る回数が逆転 している。 この 物語の展開の箇所では、 1年生の場合急 に不規則 な発話が少な くなってい ることか ら見 ら れ るよ うに、物語 内容や物語言説 レベル での コ ミュニケー シ ョンのモー ドが前景化 された ため、いわば直接 の コ ミュニケー シ ョンの回路 を強化す る必要がなかった もの と考 え られ る。 だか ら逆 に、全体的に 1年生の場合 、現実の コ ミュニケー シ ョンが優勢であると見 る ことができる。導入 において、子 ども全員 に題名 を読 ませ た り、作者 の紹介 を した りして 時間をかけて読み語 りの場 を作 ってい ることも同 じ意味 をもっている と思われ る。
松本 ( 2 0 0 7 b) では、 1 年生 と 3 年生 との違 いが、担任 ・非担任 とい う集 団の特性 によ ってい るのではないか とい う疑問を明 らかにす るために、また、デー タ となった‑教師の 特性 によっているのではないか とい う疑問に応 えるために、 2 人の教師による、 2 年生を 対象 とした担任 クラスでの読み語 りデー タと非担任 クラスでの読み語 りデー タ、都合 4つ のデー タを、同様 の観点か ら分析検討 した。テ クス トは同一である。
いずれの場合 も、担任 クラスの方が、子 どもの状況 を知 っていることもあ り、視線 を向 ける回数やその意味に違 いがあ り、直接 の コ ミュニケー シ ョンに よる指導的なふ るまいが やや多 くなる。 0 教諭 は落 ち着かないクラスの状況に合 わせて緊張 を保つためか読み語 り のス ピー ドがかな り速 くなっていた。 H教諭 は隊形 を整 えることに時間を とっている。子
どもの よ うす を丁寧 に観察 し、それ に対応 した コ ミュニケー シ ョンがな されている。その コ ミュニケー シ ョンは、人間関係 ができていることもあ り、 自由な感 じの もの となってい る。
非担任 クラスでは、反対 に、子 ども‑の視線 は こまめに反応 を確認す るもの となってお り、読み語 り中の子 どもの発話 もほ とん どない。型 どお りの読み語 りのスタイル になる傾 向が見 られ る.担任 クラスの方が、一見落 ち着 きがない子 どもの状況の中で も自在な コ ミ ュニケー シ ョンが観 察 され た こ とか ら、松本 ( 2 0 0 6 , 2 0 0 7 a ) で確認 され た、 「 年齢 が上の クラスでの読み語 り文化の共有 」 には、 ラポールがないための型‑の依存 とい う側面があ ることが確認 できた。
2 イ ンタ ビュー に よ る読み 手の意 識 の検 討
一連の研究において、残 され ている課題 として、次の よ うな点があげ られ る。
・読み手の 「 読み語 りのあ り方 」 についての信念 と方法の特徴 とには関係 があるか ?
・オーデ ィェ ンスの違い ( 複数学年 ・担任か非担任か) による読み語 りの違いは、読み手 のス トラテジーの違い として 自覚 されてい るか ?
これ らはいずれ もイ ンタビューによってある程度解決可能である。そのため、次の よ う にイ ンタビュー を実施 した。 自然なや りとりの中で読み手の意識が明 らかになるよ う、座 談形式の構造化 されていないイ ンタ ビュー を実施 した。
インタ ビューデー タ 実施 日 20 06 年 7 月
イ ンタビュアー :松本 (S) イ ンタ ビュイー :H教諭 ・o教諭 方法 質問事項 を具体的には予定 しない非構造化イ ンタ ビュー
ただ し、資料 として三つの論文 ( 原稿段階の ものを含む) とビデオを用意 し、 ビ デオを部分的に視聴 した り、論文の分析や課題 の箇所 を確認 しなが ら実施 した。
以下、関連す ると思われ る部分 を引用 しつつ、読み手 自身が 自らのス トラテジーについて 意識 しているかについて検討す る。
2. 1 1 年生対象の場合 と 3 年生対象の場合の違い
学年 の違い と担任 ・非担任 の違いの どち らが コ ミュニケー シ ョンに違いを与 えてい るか とい う点については、まず次の よ うなや りとりが① にある。
S: これは印象 として どっちに、 どっちですか。
H : 担任 だか らです。
S: 担任だか らです、例 えば ( 両方) 3 年生 として 自分担任 グラスのがにぎやかになる。
H : うん ううん、にぎやかってい うか、 コミュニケーシ ョン
S: が多 くなる、多 くなる。
しか し、一方、② の 1年生 と上の学年 での違いについてのや りとりでは、次のよ うな発 言がある。
0 :
低学年のほ う、反応は早いってい うかこ うですね。
S: 同 じ担任 グラスに して も低学年が多 くなる、両方かな
H :うん、そ うだね。
また、③では、次の よ うな発言がある。 これ は学年 による違いのス トラテジー として意 識化 されている。
H : うん、そ うそ う、ちゃん とまあ聞 く態勢 とい うのになっている最初か らなってね、 3 年生 ね。ただ、す ぐ本の世界に行 ける、
1年生はや っぱ り興味でひきつけない といけないか らいろ いろ、ね。
さらに、⑤ では、イ ンタビュアーの発達段階 と担任 ・非担任 と両方影響があるとい う総 括 に対 して同意 している。
S: まあ、や っぱろ発達段階 と、
H : うん
S: 学校文化 と、
H : うん
S 三読み聞かせ文化 と、
H : うん
S: 三つ、みんな働いている感 じかな
H :うん、そ うです。
また、⑨ の 「 強調の仕方 」 では、次の よ うに、無意識的な面があることが示 されてい る。
H :
でもどっかにアクセン トをおくとかで子どもたちを集中させるとか、ね‑何かあるよね。
0 :
たぶんや りなれているから無意識だろうと思 う。
H :
うん
以上か ら見 る と、 H 教諭 の場合 、「 オーデ ィェ ンスの違 い ( 複数学年 ・担任 か非担任 か) による読み語 りの違 いは、読み手のス トラテ ジーの違 い として 自覚 されているか ?」 とい う問いについては、 自覚 されてい る面 とされていない面 とがあ り、 自覚 されてい る面につ いては、ス トラテ ジー として意識 されている とい うことになろ う。 しか も、学年 の違い と 担任 ・非担任の違 い との両方の要素がそ こに関わってい ることを示 してい る。その背景 に は、読み語 りの文化、発達段階、学校文化の少 な くとも三つの要素が絡んでいる可能性 が ある。
この ことについては、⑧ で、 1 年生対象の場合 と 3 年生対象の場合 とで本の持 ち方が、
正面にお くか、横 にお くか とい う違いがあった ことに対応 して、それが意図的な ものであ るとい う自覚があることに も見て取れ る。
S: これは意図的なんだろうなという
H :
そのとこがね。こどもはよくみえるんすっげえ
0 :お‑お‑
さらにまた、⑩ で、 0 教諭 も同 じよ うなことを感想 として述べてい る。
H :
自分のクラスだともう気配だけで集中しているから
0 :分かる。
S: あーはいはい
0 :うん、あるよね。
H :
なんか見なくても肌で感 じる。( 笑い)
o: ( 笑い) やっぱ り見るとい うよりもなんってい うのその反応をみるとい うよりもちゃんと ね、ちゃんと 3 年生の場合は本の内容をどう思っているかなっていう感 じで見るかもしれない けど
1年生のあのときは( 笑い)
H :
なんかそ うい うある。
S: そ うい う意味では指導 目線 とか強い言い方だけど H : 見る回数の目的が違 う。
0 :
そ うそ うそ うそ うかも知れない( 笑い)
2. 2 2 年生対象 の担任 ク ラス と非担任 ク ラスの場 合 の違 い
この違いは、 0 教諭 の方が強 く表れていた。 この ことについて、⑫ で次の よ うな発話が ある。
S :6 分 3 秒、 6 分 26 秒、すごく速いのあの担任クラスがね。
H :
あー
0 : 担任クラスもたないですよねだから S : あーやっぱりそこが大きいですよね。
担任 クラスが 「もたない」 とい うのは、支援 を必要 とす るよ うな状況の子 どもが多い と い う実態か ら、長い時間をかけてゆっ くり読む ことができない とい う意味である。しか し、
それ には別の要因 もあることが補足 され てい る。
o :
あとさっきいったようにその反応を一つ一つ確かめなくてもどの程度は理解できているか
ら、どのぐらいの言葉は普段つかっているか。
S: あーす ぐわかるとい う点 もあるよね。
0 :
この言葉はまえに使 っているとい うのがあるか ら、その分カ ッ トされ るの と後は学級のメ ンバー的に早 くや ったほ うが うま くい くクラス とい うのが。でそんなに違 うとは
H: ( 笑 い)
また、子 どもを見る見方の違いについて、⑬で次のよ うなや りとりがある。
S: うんだか らそ して二人 とも、えー これ分か りづ らい、えーで も二人 とも担任の方がかけて いるんだね。や っぱ りね。
0 : うーん うん うん
S: そ う時間的に子 どもを良 く見ているとい うことがおきてま したこれは面 白いですね
0 :うん うん、なるほ ど
S: えー と、で、なんだ、あー担任の ところちょい とみ るんだなちょい とみるんだ。
見る時間は、担任 クラスの方が総計で長 く、一回あた りの見 る時間が短いことが確認 さ れている。つま りこまめに見ているとい うことになる。これは次の発話にも示 されている。
H :
ほかのクラスのほ うが子 どもの顔 をよ‑ くこ うみた し印象にも残 っているんです よ。
H : ほかのクラスのほ うがや っぱ り反応一つ一つ確かめている。
0 :
確かめるね。それは似ている。そ うだ
S: それ確かめるの もち ょいなんだよねきっ と
H :こまめに確かめてる。
ラポールの違いによって、子 どもを見るとい う行為の意味が違 っている。 これは、読み 語 りの場における直接的なコミュニケーシ ョンの質が違 っていることを示 している。担任
・非担任 による違いは、それまでの人間関係 が影響す ることがわかる し、そのことは自覚 化 されたス トラテジー として選択 されていることがわかる。ただ、それほ ど大きな違い と
しては 自覚 されていない側面 も確認できた。
2. 3 読み手の 「 読み語 りの あ り方」についての信念 と方法の特徴
読み手の 「 読み語 りのあ り方 」 についての信念 と方法の特徴 とには関係があるか ? と い う課題 については、⑪ に次のよ うなや りとりが見 られ る。
S: で‑ も う関連付 けていいのか分か らないんです けど0さんは、あの読みまち読み間違いを 起 こす と訂正す るんです。
0 :
うん H : うん
0 :
うん、 してると思 う。
S :Hさんはまあ意味が通 らない とか じやなければそのままいきます。
H :
そそそ うそ うだ と思 う。
0 :
うん
S: とい うことちょっと中心のおき方がテキス ト中心 と若干それ と違 う意見 とかコミュニケー シ ョン中心 とい う感 じになんのかな とい うのが第‑の分析ですね。
o :
で もや っぱ り自分で も意識 して読み
S: して読みます、あの読み直すわけね。
o :
で、テキス トを中心に したい とい うの もある。
o教諭 は、テキス ト中心にす るとい う信念 を背景に、読み間違いは訂正す るとい う方法 を自覚的に用いていることがわかる。
S: や っぱ りながれ を重視す るとい う点で、や っぱ り読み直 しはそのながれ をとい う側面はあ るんだ と思 う。それは どっち有す ると意外にそ こ‑んは出るのかなってい う感 じもしたんです け ど
H : だか らあの展開のままにこ うどん どんい く。
S: ああああ
H : こう気づいてるのか、そ こでや っぱ りとめちゃいけない。
S: そ うそ う、なるほ どね、なるほ ど。
H : うん、せ っぱっまった場面で言い直す と興 ざめになる。
H 教諭 は逆に、読み語 りの ライブな感覚 を重視 してお り、そ こに力点があるため、意味 が通れ ば訂正 しない とい う方法 を 自覚的に用いていることがわかる。
3 まとめ
以上、見てきた よ うに、一連 の研究でな された分析 は、読み手によってほぼ確認 され、
そのス トラテ ジーはある程度 自覚的に用い られているものであることがわかった。
くわ しくは別稿 にゆず るが、0教諭 が行 った別テ クス ト 「 わにわにのおおけが」による 読み語 りの実践 において も、今回確認 され た特徴 は同 じよ うに見ることができた。
た とえば、読み語 りの時間は次の よ うになってお り、読み語 り前 と後の時間がほぼ同 じ であるのに対 し、読み語 りその ものの時間は、短い物語であるに もかかわ らず 21 秒 も担 任 クラスの方が短 い。 これ はそ もそ も、早 口であること、間が短い ことに原 因がある。
また、子 どもの発話 も 「 五本 ちゃん とあるよ 」 や 「 わにの り、わにの り、わにの りだっ て 」 とい うよ うに、読み語 りを遮 るよ うな発話が非担任 クラスには多 く、担任 クラスには 少 ない ことも影響 してい る。
読み語 りの時間
総時間 読み語 り前 読み語 り中 読み語 り後 担任 クラス 2: 01 0: 33 1 : 1 9 0: 09
この数字 については、0は、 「( 笑 い)うん、はい。 たぶん違 うクラス もっていた らその クラスのス ピー ドだ と思います 。」 と述べてお り、 この差がオーデ ィェ ンス との ラポール に依 っていることを示 している。
今後は、 さらに多様 な実践 を検討 しつつ、読み語 りに新たに取 り組 も うとす る教員 に と っての読み語 りについてのア ドバイス としてま とめていきたい。
用いた読み語 り実践のデー タ
2005 年 5 月 H教諭 「さかなは さかな
」上越市M小学校 1 年 3 年
2006 年 6 月 H 教諭 「 に じいろの さかな 」 上越市 M 小学校 2 年 担任 ・非担任 5 ‑ 6 月 0 教諭 「 に じいろの さかな 」 上越市 K 小学校 2 年 担任 ・非担任
同上 「 わにわにのおお けが 」 同上 文献
一ヽ
松本修 ・鈴木利矢子
( 20 0 4) 「 読み語 りの実践 における語 り方の構造 」 『読書科学』第 48巻第 4 号 ( 通巻第 1 9 0 号) 200 4. 1 2 p p. 1 2 3‑ 1 3 3
松本修
( 20 06) 「 読み語 りにおけるオーデ ィェ ンスの特性 と読み語 りのモー ドー読み手 とオーデ
ィエ ンスの相互作用に着 目して‑
」『 Gr ou p eBr i c ol a g e
紀要』No. 2 4 Gr o u peBr i c ol a g e20 0 6. 1 2
p p . l l ‑ 2 2
松本修 ( 2 0 0 7 a ) 「 読み語 りにお けるオーデ ィェ ンスの特性 と読み語 りのモー ドー読み手の方略 に着 目して」『読書科学』第 51 巻第 1 号 ( 通巻第 1 9 9 号) 2 0 0 7 . 4 p p. 3 5 ‑ 4 3
松本修 ( 2 0 0 7 b ) 「 読み語 りにお けるオーデ ィェ ンスの特性 と読み語 りのモー ドー読み手 とオー デ ィェ ンスのラポール に着 目して‑」日本読書学会第 51 回研究大会 発表資料集 p p . l l ‑ 2 2
(『臨床教科教育学会誌』投稿 中)
本論文は 2008 年 6 月、表現学会第 44 回大会 ( 於愛知学院大学) にお ける発表 をもとに し てい る。参会者 の示唆 に富む ご議論 に感謝す る。
付録 :イ ンタ ビューデー タ 実施 日 2 0 0 6 年 7
月イ ンタビュアー :松本
(S)イ ンタビュイー
:H教諭
・0教諭 方法 質問事項 を具体的には予定 しない非構造化イ ンタ ビュー
ただ し、資料 と して三つの論 文 ( 原稿段階の もの を含 む) とビデ オ を用意 し、 ビデオを 部分的に視聴 した り、論文の分析や課題 の箇所 を確認 しなが ら実施 した。
プ ロ トコル は 自然 な文章形式で起 こ した。重要 な発言が含 まれ てい る部分 を抜 き出 し、番号 と簡 単なタイ トル を付 した。
①
学年の違 いと担任 ・非担任の違いの影響
S: で、まず全体 として 1 年生のほ うが子 どもはがいろいろ しゃべった りしま した よね。
H : はい、そ うかな
S: で、読み手の直接 コ ミュニケーシ ョンが 3 年対象の場合に比べて多い とい う特徴があったわけです よね。で、
これが、や っぱ り1 年生 と3 年生の違いなのか どうなのか。
H : うん うん
S: や っぱ りあの ときもあったんですけど担任、担任 グラスだか らそ うなん じゃないの、
H : うん、そ うそ う
S: これは印象 として どっちに、 どっちですかo H : 担任だか らです。
S: 担任だか らです、例 えば ( 両方) 3 年生 として 自分担任 グラスのがにぎやかになる。
S
②o す H S O S H
③s H s H s H S H s H
うん ううん、
が多 くなる、
に 多 ぎゃかってい うか、コ ミュニケーシ ョン くなる。
1 年生 と上学年の違い
: 例 えば、全校朝会で、校長先生が夏休み楽 しかったですかっていった ら、「 はい」なんてい うのが 1 年生で : そ うそ う
: まあ、それはそ うだな
: 低学年のほ う、反応は早いってい うかこ うですね。
: 同 じ担任 クラスに しても低学年が多 くなる、両方かな うん、そ うだね。
「 1 う 皆 う 解 う で う
お
」T人 ′二 .J( r. 1 .. 一. LV さ 年 ん で ん 説 ん も ん 願
かなはさかな 生がいろいろ な^ 、カ さ な か ん さ ,つ L Aつ 」 し っ
の読み語 りをめ ぐって ( 1) やべってて
イ タ て
トルを呼んで なが ら始まってい くじやないですか。
ん うん
3年生の時には
、しますっていって
H : うん うん
S :K くん読んでってい うと H :うん
S: さかなさかなっていって さかなは さかな題名ですねって ん か ん 、ん ,ん ,ん に う さ う で う で う で う 界 ⁚ ⁚ ‑ ‑ ⁚ ‑ ⁚ ‑ ⁚ 世 H s H s H S H S H の の う ん ん ぐ そ け 絵 そ な う す 、行
「 う う で さ ん ん も か , や な そ つ ね だ 、入 う る は の ば とこ 0 っ そ つ そ 、 t.V け う て う 1 つ\ て
④
H s H つ 一 う ミ そ ィ .っ ス そ てそのや り取 りを して
い くと非常にコン トロールがきいた ところがあって
、ちゃん とまあ聞 く態勢 とい うのになっている最初か らなってね 、 3 年生ね。ただ、す ぐ本
、 ‑/ヽ ‑ /ヽ′ Vヽ ・ ・ ・ ‑Pレ ■ / I 1 Jヽ′ L i A ヽ 77ー1 /Y ′t 'T く フ ヽ‑ ′ヽY VJ ' 1 ^I / J I J‑ ̲ /r ( フ ヽ一 ′ヽq I ‑ ヽ ) ]⊥
、 1 年生はや っぱ り興味でひきつけない といけないか らいろいろ、ね。
さかな」の読み語 りをめ ぐって (2)
3 年生の学年ってい うのはわ りと、 まあ、いわゆるまあお利 口さんなんだけ ど
り その私が、その時間の何分か らは、あのH先生が本を読んで くだ さるんですによって担任があ らか じめ言ってある し、そ うい う態勢になっちゃっているか ら、いまか らね‑ どの話読んで くれ るんだろ うとか S : はい
H : わ ざわざ違 う先生がきて、お話 を呼んで くれ るってい うだ と思 うけ どもなあ
S: うん
⑤
時間の経過による
1年生の変化
0 : そ しているときに、秋 とか冬は どうなっているの。
H : も、 もちろん、あのそのつ ぎね、そのつ ぎの年にきた ときに も私の一になってたで しょう。 ( 笑い) 0 : 読み聞かせた ら も ( そ 本 う ね , ぅ 当 ん 一 本 ) そ だ ,
H S H O H O lつ ' も ん A(ノ ヽ に 当 I(ノ ー1ノ 逮 ‑(ノ 逮
H : や っぱ もう分かっている。
0 : あの声をそろえて挨拶す るとか、
0 : H : 0 : H : 0 : H s う そ そ 思 そ そ そ ま
の先生が聞いた ことには誰かが答 えるけど i つ i :
う う う あ
う こ う な Oや そ た そ し よ 、
とは心の中につ くと言 う。
い と本題に入れないのが分かっている。
つ ぼろ発達段階 と H : うん
S: 学校文化 と、
H : うん
S: 読み聞かせ文化 と、
H : うん
S: 三つ、みんな働 いている感 じかな H : うん、そ うです。
0 : 読み聞かせで、
S: うん
0 : 何人 も話ができたけ ど子 どもとこ うあれ これ本 を使いなが ら、 コ ミュニケーシ ョンをとるのを 目的
S: うん うん
0 : 目的、大きな 目的 とす るのか。
S: うん うん
0 : 本その ものを楽 しませ るかで、
S: 間違いなくそ うだね
0 : S 違 うか ら多分イメージとしてその読み語 りね。 I(ノ ん
0 : 子 どもたちとコミュニケー シ ョンをとるとい う面か ら考えると、いまの 3 年生は、あの、お行儀 よす ぎるん だろ うけ ど、
S: よす ぎて、そ うか もしれない。
0 : その もの、その世界 とい う言 うんた らす ごく本題 にさっといった と思 う。
⑥
o s o s O s
読み語 りの文化 (1)
ボ う ど
ランテ ィア さんでちょっ と話題 になったんだけれ ども ん
二に座 らせ るか とか はいはいはいはいはい
: いすか座 らすか距離が どうか とか
はいはい、 もいすだ と授業の雰囲気になっちゃ うもんね。
H O O S O S H O うん
そ うそ うそ う
: や っぱ り読み聞かせ を使 って この聞 く うん
練習みたいのがある。
あー うん
‑つね、全員一つの ものに集 中す るとい うO
⑦
読み語 りの文化 o : 読み聞かせ を始め
) と ち 自 2 た つ は ( ) 一 . 'ーヽ て 次 つ ら
S: あーあーん取 o : 本を持 ってた
きは最初本 を持 っ、見せた らその本をもう持ってって しま うとか や う。
分が読む とか とい うのが
S: あーあ一 0 : 何回かあって
S: うん
0 : で、今はあた しがいつ もの位置に丸いいすですわると
S: なん
0 : まつ とか座 っただけで
S: そ うい うことができる。
H :うん うん うん
S: 分かる‑ 0
o : なに も持 ってないのに、今 日は読んで くれないのてい うよ うなだか らや っぱ りその読み聞かせ文化みたいな の
がH : うん
S: や っぱ りあるん
⑧
o s H S H s H s H O
読み語 りの文化 (3)
: ある意味学級づ くり( こ そ ),つ で そ こ 笑い)だ しね
ん ときた しかに論文にも書いてあるよ うに一年生の とき正面に うそ う
こう本持 っ ん、そ ,ぅ れ ーつ ′
三年生 そ う は意 t .・ ・ ■ ・
図
その とこが お‑お‑
⑨
強調の仕方 H
0 H S
Aつ ′ こ う は ね そ き た う と て そ ん う え い み と く な よ Aつ ま ろ 机 だ ど ん こ な O 的 ね
るんす っげえ
で もどっかにアクセ ン トをお くとかで子 どもたちを集 中させ るとか、ね‑何かあるよね。
たぶんや りなれているか ら無意識だろ うと思 う。
うん はいはいはい
0: 1 ペー ジごとに引き付 けると H : そ うそ うなんか
0 : や ってるか ら‑
S : はいはいはいはい 0 : あ と言葉 を知 らない。
S : はいはいはい
o : か ら、こ、強調す るとの もあると思 うんだよ。
H : その ときはあんま考えてない とお もうんだけ ど( 笑い)
⑩
子 どもへの視線
S : で子 どものみ る回数がや っぱ り 1 年生が多い。
0 : 多いで しょう、多い と思 う。
S : つていった。
o :3 年生 も他人のクラスの子だか らさ H : うん
0 : ね、なんか
S : あ程度みなきゃいけないね。
分のクラスだ もう気配だけで集 中 しているか ら 0 : 分かる。
S : あーはいはい 0 :うん、あるよね。
H : なんか見な くて も肌で感 じる。 ( 笑い)
o: ( 笑い) や っぱ り見るとい うよりもなんってい うのその反応 をみるとい うよ りもちゃん とね、ちゃん と 3 年生 の場合は本の内容をどう思っているかなってい う感 じで見るか もしれ ないけ ど 1 年生のあの ときは ( 笑い) H : なんかそ うい うある。
S : そ うい う意味では指導 目線 とか強い言い方だけ ど
H : 見る回数の 目的が違 う。
0 : そ うそ うそ うそ うか も知れない ( 笑Ll ) H : ( 笑い)
0 : おか しい ( 笑い)
⑪
子 どもへの視線 と読み間違いの訂正
S: それで、えー と0さんは文の終わ りで子 どもにみる。
0 : うん
S: 文末だよね。
0 :うん
S: つてい うことはま特徴 じゃないか と 0 :うん
H : うん
S: ですね。そ‑それ か らなんだH さんは、一つはなんだ、そ うい う、そ うい う文末だ とい うふ うにはっき り H S
0 S
い で そ う な ら 、も や ち ん 一 じ そ う で
\ ですね。
け ーつ ′ つ そ 」‑つ う動か しますね。
関連付 けていいのか分か らないんですけ ど 0 さんは、あの読み まち読み間違いを起 こす と訂正す る んです。
0 :うん H : うん 0 :うん、 してる S :H さんはま H : そそそ うそ 0 :うん
S: とい うこ 感 じになんの
あ う ち な と か
0 : でもや っぱ り
S: して読みます ら o o通 う う が 思 思 味 と と 意 だ と う で の つ い 分 あ よ と 臼 . 中 の
ない とか じやなければそのままいきます。
心のお き方がテキス ト中心 と若干それ と違 う意見 とか コミュニケー シ ョン中心 とい う が第‑の分析ですね。
も意識 して読み 読み直すわけね。
0 : で、テキス トを中心に した い とい うの もあるo H : うん
S: ほ ら、も う以前にその鈴木 R ちゃんのデー タで もあったんですね。 もう明 らかに読み
違いを直す人 とかな り違 う読んでる人 といるんです よね。や っぱ りね。だか らまあちょっと、あま りにも違 う読 んで くれて も( 笑い)
H : うん
S: や っぱ りながれ を重視す るとい う点で、やっぱ り読み直 しはそのながれ を とい う側面はあるんだ と思 う。そ れは どっち有す ると意外にそ こ‑んは出るのかなってい う感 じもしたんですけ ど
H : だか らあの展開のままにこ うどん どんい く。
S: ああああ
H : こ う気づいてるのか
S: そ うそ う、なるほ どね、
そ こ
、な でや っぱ りとめちゃいけない。
るほ どn
H : うん、せ っぱっまった場面で言い直す と興 ざめになる。
⑫