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カウンセラーの態度、技法及び面接効果の評定に関 する研究

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

カウンセラーの態度、技法及び面接効果の評定に関 する研究

著者 玉瀬 耕治, 乾 信一郎

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 37

ページ 43‑53

発行年 2001‑03

その他のタイトル A Study on the Rating of Counselor's Attitude, Skills, and Interview Effects

URL http://hdl.handle.net/10105/7096

(2)

カウンセラーの態度、技法及び面接効果の 評定に関する研究‡

玉瀬耕治・乾信一郎n

      (心理学教室)

要旨:本研究ではカウンセラーの面接態度、面接技法、および面接効果を 測定するための評定尺度を作成し、尺度についての因子論的検討を行った。

面接態度についてはカウンセラー印象評定尺度、面接技法については非言 語的および言語的技法評定尺度・面接効果については受け入れ可能性・再 来談可能性評定尺度を作成した。これらの尺度を用いて、「スクールカウ ンセラーによる実践事例」の面接ビデオの評定に示された各尺度間の関係 を検討した。その結果・カウンセラーの面接態度がもっとも面接効果に影 響していることが示唆された。

キーワード:面接態度、面接技法、面接効果

 カウンセリング研究を進めていく上で、カウンセリング過程で何が生じているのかをどのよう に査定するかという問題はきわめて重要である。しかし、この分野の研究はわが国ではまだあま り進展しているとはいいがたい。米国においては、たとえばIvey&Au舳er(1978)やCarkhuff

(1969)、Cormier&Cormier(1985)らが開発した多様な測定材料が紹介されている。筆者

(第1著者)は、これまでにマイクロカウンセリング(Ivey&Authier,1978)の枠組みに従っ て、カウンセラーの意図の問題(玉瀬・西川,1992a,1992b)やカウンセラーの非言語的かかわ

り行動の問題(玉瀬・石田;1995.1996)、質問の仕方の問題(玉瀬,1991;玉瀬・鳥巣・荊11.

1991;玉瀬・荒木,1993;玉瀬・井上,1994;玉瀬・平野,1997)、受け入れ可能性の問題(玉瀬・

上松,1996;1997;1999)など、いくつかの問題に焦点をあててカウンセリング過程の研究を進 めてきた(玉瀬,2000)。これらの研究では、従来の諸研究を参考にしつつ、ほとんどは筆者ら が独自に実験材料や測定材料を考案してきたといえる。それらの測定材料の信頼性や妥当性につ いては、徐々に精度を高めてきてはいるものの、いまだ必ずしも満足のいくものではない。

 本研究では、これまでに筆者らが使用してきたいくっかの測定材料にさらなる改良を加え、統 計的な手法による精度の確認を行うことを試みた。先の研究(玉瀬・乾,2000)においても、本 研究で確認した測定材料を用いており、一定の信頼水準に達しているものであるが、測定材料の 検討そのものの報告は扱われていない。本研究では、カウンセリング過程に関して先の研究と同 じ考え方をしているが(図1)、適用したカウンセリングの面接ビデオはまったく異なるもので あった。すなわち、先の研究(玉瀬・乾,2000)ではロジャーズ、パールズ、エリスといういず れもカウンセリング理論を代表する著名なセラピストによる面接ビデオを用いているが、本研究

■A Study on the Rating of Counse1or s Attitude,Ski11s,and Interview Effects

}Koji TAMASE(D印〃物em砂Psツ。ん。Jo馴,M〃αση三リe戸sめ。ゾ〃口。α亡;oη,N〃α63018528)

 and Shinichiro INUI(Grαdαα士e Sω由m oゾPsツ。ん。Zogツ,Nαrαση三リe7s北ツ。!週dαcαれ。η)

(3)

ではわが国におけるスクールカウンセラーによる実際の面接ビデオを用いた場合はどうなるのか を問題にした。また、先の研究では面接態度→面接技法→面接効果という評定の流れは示したも のの、そこに含まれている2つの研究でその流れが結果としてどのようになるのかを示したもの ではない。

 本研究の第1の目的は、カウンセラー技法評定尺度、カウンセラー印象評定尺度、クライエン ト受け入れ可能性評定尺度を作成し、それらの信頼性を検討することであった。本研究の第2の 目的は、クライエント受け入れ可能性評定と再来談可能性評定をカウンセリング効果の測度とし、

カウンセラー印象評定(面接態度の評定)およびカウンセラー技法評定(面接技法の評定)がカ ウンセリング効果の測度とどのような関係にあるのかを検討することであった。

カウンセラーの面接態度 面接技法    面接効果

.一〉      一一〉

(カウンセラー印象評定) (技法評定) (受け入れ・再来談可衛生評定)

図1本研究における各評定の位置づけ 方  法

被験者

 教員養成系大学の大学生、94名(男31名、女63名)が被験者(評定者)として参加した。

材料

①面接場面を撮影したビデオテープ

 r学校教育とカウンセリングースクールカウンセラーによる実践事例一」(メディア教材研究 開発部門,1998)約22分を用いた。本研究では1回の面接の開始から終了までのすべてを視聴さ

せた。

②カウンセラー印象評定尺度

 玉瀬・石田(1996)で使用した項目を一部修正し、新たに3項目追加したものを使用した。こ の尺度は、純粋性、尊重性、および共感性の3要因について評定するように構成されている。

③カウンセラー技法評定尺度

 カウンセラー技法評定尺度は・第1著者のカウンセリング関係の授業において、「グローリアと 3人のセラピスト」(Shostrom,1966)、「スクールカウンセラーによる実践事例」(メディア教 材研究開発部門,1998)、「治療的面接一丁さんとの面接」(佐治,1992)のいずれかを視聴した 直後に求められた自由記述による感想を参考にして作成された。これらの受講学生の合計は86名

表1 記述された非言語的または言語的技法、及び出現頻度 非言語的技法    人数

視線

うなずき・相づち 動作

姿勢 表情

12 14 8 15

2

言語的技法     人数 質問       9 要約       10 指示       21 言葉遣い         6 言い換え      4 繰り返し         4

(4)

であった。表1は、技法を非言語的技法と言語的技法に分けて、記述された頻度を整理した結果 を示したものである。これらの技法に関する言己述の中から、より多く記述されているもの、量的 に評定可能なものを選んで評定項目として使用した。非言語的な技法としては、視線、動作、う なずき・相づち、言語的な技法としては質問、要約、指示の6技法をとりあげ、それぞれについ て3項目、合計18項目の尺度を作成した。各尺度の3つの項目は、非言語的技法では量、タイミ

ング、自然さ、言語的技法では量、タイミング、難易度の適切さを測定するものとして作成した

(表4および表5)。

④ クライエント受け入れ可能性評定尺度

 Cono1ey,Cono1ey,Ivey,&Schee1(1991)、玉瀬・上松(1996)を参考にして受け入れ可能性 評定尺度を作成した。評定項目は、認知的側面に関する3項目、感情的側面に関する3項目、お

よび行動的側面に関する3項目の合計9項目からなっており、「全くそう思わない」から「非常 にそう思う」までの6段階で評定させるものである(妻6)。

⑤ 再来談可能性評定尺度

 クライエントの再来談の可能性を客観的な視点から検討することを目的として、助言の受け入 れ可能性評定項目の最後に、「このカウンセリングならばクライエントはもう一度受けてみても 良いと思うだろう」という質問1項目を追加した。

⑥ 調査用紙の作成

 調査用紙は、1枚目がカウンセラー印象評定尺度、カウンセラー技法評定尺度、2枚目がクラ イエント受け入れ可能性評定尺度、再来談可能性尺度によって構成されてい孔

手続き

 実験は集団で実施されれ調査用紙には、1(全くそう思わない)から6(非常にそう思う)

までの6段階評定を行うための解答欄が設けられている。調査者(第2著者)は、まず調査用紙 を配布し、「今からカウンセリング場面のビデオを見ていただきます。このビデオを見ていただ いた後に、調査用紙への回答をしていただきます」と教示した。その後「調査用紙には①カウン セラーの印象に関する評定、②カウンセラーの動作や発言に関する評定、③カウンセリングの効 果に関する評定が含まれているのですが・まず、①・②について評定を行います。続いて①、② で行った評定に基づいて③の評定を行っていただきます。調査用紙の内容を考慮した上でビデオ をご覧下さい」と説明し、ビデオの再生提示を開始した。

 ビデオの再生提示後、学籍番号、年齢、性別の言己入を求め、評定の仕方を再度確認した上で、

まず①、②の評定を行わせた。次に①、②の評定を全員が終えたことを確認した後で、③の評定 に移った。③の評定では「調査用紙1枚目の回答を考慮して、以下の質問にお答えください」と 教示した。このように評定を2段階に分けたのは、過程モデル(図1)の考え方に適合する手続

きをとったためである。

結  果 カウンセラー印象評定項目の決定

整理された項目に対して6件法で回答を求めた結果について、因子分析(主因子法、バリマッ クス回転)を行ったところ、1因子構造であることが明らかとなった。各評定項目についてG−

P分析を行い、項目・全体(当該項目を除く)相関を調べたところ、G−P分析ではすべての項 目でG群とP群の間に1%水準の有意差が認められた。項目・全体相関に関しては相関係数が.40

(5)

以下であった3項目を削除することにした(表2)。その結果について、ふたたび因子分析(主 因子法、バリマックス回転)を行った結果、1因子構造であることが確認された(表3)。

表2 印象評定の平均、標準偏蓬および項目・全体相関 項        目

(1)相手と一緒になって考えようとしてい乱

(2)自然な態度で接している。

(3)相手を人間として認め・尊重してい乱

(4)態度が安定している。

(5)相手の話の内容を理解しようとしてい乱

(6)ありのままの自分を出している。

(7)相手の役に立とうとしている。

(8)相手の感情を理解しようとしている。

(9)カウンセラーであることを誇示していない。

(10)人柄が出ている。

(11)あたたかく、思いやりをもって接している。

(12)相手のおかれた状態に合わせて話を進めようと   している。

(13)わざとらしくない。

(14)価値判断をせず、相手を受容している。

(15)偉そうにしている。

平均

5,01 4.1I 5,19 5,13 5,32 3,31 4,69 5,13 4,73

3,51

4.78

5.21

3,33 5,02 4.81

標準偏差  項目・全体相関

O.98 1,22 0,90 0,70 0,85 1,20 0,79 0,82 1,02 1,16 0.99

0.77

1,23 0,87 1.27

O.69 0,65 0,63 0,37 0,51 0,35 0,51 0,68 0,55 0,45 0.73

O.46

O.61 0,52 0.27

表3 最終的なカウンセラー印象評定尺度項目 項         目

(1)相手と一緒になって考えようとしている。 (共感性)

(2)自然な態度で接している。 (純粋性)

(3)相手を人間として認め、尊重している。(尊重性)

(4)相手の話の内容を理解しようとしてい孔 (共感性)

(5)相手の役に立とうとしている。(尊重性)

(6)相手の感情を理解しようとしている。(共感性)

(7)カウンセラーであることを誇示していない。 (純粋牲)

(8)人柄が出ている。 (純粋性)

(9)あたたかく、思いやりをもって接している。(尊重性)

(1O)相手のおかれた状態に合わせて話を進めようとしてい乱(共感性)

(11)わざとらしくない。 (純粋性)

(12)価値判断をせず、相手を受容してい乱 (尊重性)

寄与率(%)

固有値 α係数

項目・全体相関  因子負荷量

O.72 0,66 0,64 0,51 0,52 0,69 0,52 0,41 0,75 0,45 0,58 0.51

O.77 0,70 0,71 0,58 0,60 0,75 0,56 0,44 0,79 0,53 0,61 0.57

53,29

4,80 0.88

注:この尺度は1因子構造であるが、括弧内は理論上の構成要因との関係を示している。

(6)

ガウンセフー非言語的技法評定項目の決定

 整理された項目に対して6件法で評定を求めた結果について、因子分析(主因子法、バリマッ クス回転)を行ったところ、固有値が1.0以上の解釈可能な3因子が抽出された。各因子につい て、G−P分析を行い、項目・全体の相関を調べたところ、各項目ともG群とP群の間には1%

水準の有意差がみられた。項目・全体の相関係数はすべての項目で.40以上であった。第1因子 はカウンセラーの視線に関する項目であり「視線因子」と名づけた。第2因子は動作に関する項 目であり「動作因子」と名づけた。第3因子はうなずきや相づちに関する項目であり「うなずき 因子」と名づけた(表4)。

衰4 非言語的技法評定の平均、標準偏差、項目・全体相関および因子負荷量        項目 ・目     平均 標準偏差      視線  動作 うなずき

       全体相関

(1)視線の合わせ方は適量である。     4,52  0.92

(2)視線の合わせ方のタイミングは良い。  4,52  0.92

(3)視線の合わせ方は自然である。     4,44  1.08

(4)動きやジェスチャーは適量である。   4,11  1.02

(5)動きやジェスチャーのタイミングは良い。4,23  1.02

(6)動きやジェスチャーは自然である。  4,31  1.02

(7)うなずきや相づちは適量である。    3,68  1.42

(8)うなずきや相づちのタイミングは良い。 3,77  1.36

(9)うなずきや相づちは自然である。    4,15  1.33 寄与率(%)

固有値 α係数

O.80     0,85    0,34     0,08

0,81    0,85   0,29    0,22

0,78    0,83    0,23    0,07 0,70     0,38    0,73     0,29

0,75    0,22   0,86    0,15 0,74    0,33   0,78    0,27 0,80    0,08   0,23    0,88 0,78    0,28   0,20    0,83 0,76    0,18   0,16    0.87

28.32   25.05    28,07 2,55    2,25     2,53 0,89    0,86     0.89

カウンセラー言語的技法評定項目の決定

 整理された項目に対して6件法で評定を求めた結果について因子分析(主因子法、バリマック ス回転)を行ったところ、固有値1,O以上で解釈可能な1因子が抽出された。得られた1因子につ いて、G−P分析を行い(すべての項目は1%水準で有意)、項目・全体の相関を調べた。各項 目とも項目・全体の相関係数は.40以上であった(表5)。

受け入れ可能性評定項目の決定

 整理された項目に対して6件法で評定を求めた結果について因子分析(主因子法、バリマック ス回転)を行ったところ、固有値1.0以上で解釈可能な1因子が抽出された。得られた1因子につ いて、G−P分析を行い(すべての項目は1%水準で有意)、項目・全体の相関を調べた。各項 目とも項目・全体の相関係数は.40以上であった(表6)。

カウンセラー印象評定、カウンセラ 技法評定とクライエント受け入れ可能性、再来談可能性評 定との相関

 上記の分析によって決定された各尺度の項目を用いて、本研究で想定されたカウンセリング過 程におけるカウンセラーの面接態度(カウンセラー印象評定)や面接技法(技法評定)がクライ エントにどのような影響を与えたか(面接効果)を、受け入れ可能性評定と再来談可能性評定を

(7)

用いて測定した。ここではこれらの関係について相関分析、重回帰分析と単回帰分析を用いて検 討した結果について述べる。

衰5 言語的技法評定の平均、標準偏蓬、項目・全体相関および因子負荷量 項         目       項目 ・

平  均  標準偏差

      全体相関 因子負荷量

(1)話の内容をわかりやすくまとめてい乱

(2)指示を与えるタイミングは良い。

(3)質問の内容はわかりやすいものである。

(4)話の内容をまとめるタイミングは良い。

(5)指示を与える回数は適量である。

(6)質問を行うタイミングは良い。

(7)話の内容をまとめる回数は適量であ私

(8)質問の回数は適量である。

(9)指示の内容はわかりやすい。

4,93 4,77 5,13 4,85 4,64 4,66 4,68 4,73 5.07

O.79 0,90 0,83 0,91 0,94 0,89 0,92 0,85 0.84

O.71 0,71 0,71 0,76 0,70 0,75 0,67 0,68 0.70

O.63 0,71 0,61 0,61 0,61 0,75 0,54 0,63 0.78

寄与率(%)

固有値 α係数

53,29

4,80 0.90

表6 受け入れ可能性評定の平均、標準偏差、項目・全体相関および因子負荷■

項         目       項目 ・ 平  均  標準偏差

      全体相関 因子負荷量

(1)このカウンセリングは行動を直接的に改善する   のに役立っている。

(2)このカウンセリングはクライエントとの偏った   考えを改善するのに役立ちそうだ。

(3)このカウンセリングはクライエントの感情を安   定させるのに役立ちそうだ。

(4)このカウンセリングは短期間で行動を解決する   のに役立っている。

(5)このカウンセリングはクライエントの混乱した   考えを整理するのに役立ちそうだ。

(6)このカウンセリングはクライエントとの自発性   を引き出すのに役立ちそうだ。

(7)このカウンセリングはクライエントの行動に変   化を与えるのに役立ちそうだ。

(8)このカウンセリングはクライエントが自分の可   能性に気づくのに役立ちそうだ。

(9)このカウンセリングはクライエントに自分を見   直すゆとりを持たせるのに役立ちそうだ。

4.05

2.98

4.94

3.70

4.74

4.84

4.55

4.04

4.20

1.23

1.15

O.97

I.18

1.13

1.12

1.24

1.39

1.43

0.56

0.41

O,54

0145

0.57

O.47

0.59

0.62

O.60

O.66

O.51

O.66

0.56

0.69

0.59

O.70

0.73

O.71

寄与率(%)

固有値 α係数

42.4

3,82

0.83

(8)

①各尺度間の相関

 表7は印象評定および非言語的、言語的技法評定と受け入れ可能性評定、再来談可能性評定と の相関係数を算出したものである。相関係数はいずれも1%水準で有意であった。

表7 受け入れ可能性、再来談可能性と各評定間1』おける相関係教

受け入れ可能性 再来談可能性

印象評定 非言語技法評定 言語技法評定 視線

うなずき 動作

O.67      0,67

0,58      0,54

0,66      0,56 0,51      0,34 0,57      0,58 0,39      0.43

②印象評定、非言語的技法評定、言語的技法評定を説明変数とする重回帰分析

 表8は面接効果を測定した受け入れ可能性評定および再来談可能性評定を目的変数とし、それ らに影響する要因としての印象評定および非言語的、言語的技法評定を説明変数として重回帰分 析を行った結果を示したものであ孔この表で明らかなように・印象評定・非言語的技法評定、

言語的技法評定の3説明変数を用いた場合は、印象評定と言語的技法評定のみが有意であった。

これらの有意な2つの変数のみを用いて再度分析したところ、自由度修正済み決定係数は3変数

表8 重回帰分析による標準偏回帰係数、■相関係数、および決定係教

受け入れ可能性 再来談可能性

3説明変数   印象評定  非言語技法評定  言語技法評定

0.37・・      O.55・.

O.12      0,03

0.28■.       0.13

重相関係数

決定係数(自由度修正済み)

0,71      0,66 0,49      0.44

2説明変数   印象評定  言語技法評定

0.41・・       O.59

O.33・・       O.09

重相関係数

決定係数(自由度修正済み)

0,70      0,66 0,49      0.43

表9 印象評定の1説明変釧こよる単回帰分析

受け入れ可能性 再来談可能性

印象評定 0.67・,       0.67,・

相関係数

決定係数(自由度修正済み)

O.67      0,66 0,45       0.44

(9)

の場合と変わらなかった。さらに、もっとも偏相関の高かった印象評定のみを説明変数とする単 回帰分析を行ったところ(表9)、自由度修正済み決定係数による説明率は2変数を用いた場合 と大差はなく、カウンセラーの面接態度に関わる印象評定の要因が面接効果にもっとも強く関与 していることが示唆された。

③非言語的技法における3因子を説明変数とする重回帰分析

 上言己の分析から非言語的技法については、他の要因に比べて面接効果への影響はより少ないこ とが推測できるが、この技法の評定尺度は3因子によって構成されているので3つの因子の相対 的な影響の強さにっいてさらに検討した。表10は受け入れ可能性評定および再来談可能性評定を 目的変数とし、非言語的技法に関する3つの因子を説明変数として重回帰分析を行った結果を示

したものである。この表で明らかなように、3つの因子のうち・動作とうなずきの因子が有意と なり、視線はあまり影響がないことが示唆された。さらに視線を除いて再度分析した結果、動作 の要因がより重要であることが明らかとなっ㍍動作の要因のみを説明変数とする単回帰分析で も、自由度修正済み決定係数による説明率は2変数を用いた場合と大差はなく、動作の要因が面 接効果にもっとも強く関与していることが示唆された。ただし、これらの結果については、用い

られたビデオとの関係を慎重に考察する必要があるものと考えられる。

表10重回帰分析1こよる標準偏回帰係数、重相関係数、および決定係数

3説明変数  視線  動作

  うなずき 重相関係数

決定係数(自由度修正済み)

2説明変数  動作

  うなずき 重相関係数

決定係数(自由度修正済み)

受け入れ可能性 再来談可能性

O.22       −0,12

0.38       0.56・.

O.10       0.20・

0,61      0,61

0,35       0.35

O.50,.      O.49.

0,14       0.18 0,57       0,59 0,33       0.35

表11動作の1説明変数による単回帰分析

動作 相関係数

決定係数(自由度修正済み)

受け入れ可能性 再来談可能性

O.57,.      O.58..

O.57      0,57 0,32      0.33

      考  察

 まず、評定尺度の作成に関する問題について取り上げてみたい。本研究では、図1に示されて いるようなカウンセリング過程に関する考え方に基づいて各評定を位置づけている。これはカウ

(10)

ンセリングの効果を規定する要因が何であるのかを探求しようとするものである。大きく分けて カウンセラーの面接態度に起因する要因と、カウンセリングの技法に起因する要因が考えられよ う。それらの要因がクライエントの側からみた場合に、それを受け入れ、カウンセリングを続け ようとするかどうかに現れるものと推測できる。

 面接態度に関わる測定では、カウンセラー印象評定尺度を作成した。この尺度は従来用いてき たもの(玉瀬・石田,1995;1996;玉瀬・乾,2000a)に修正を加えたものである(表3)。玉瀬・

乾(2000b)の研究1の結果から、この尺度はロジャーズ理論の実践をもっとも敏感に反映する ものとみなされる。この尺度は、純粋性、尊重性、および共感性に関わる項目を選択して構成さ れているが、因子分析の結果、これらは3つの独立した因子ではなく、むしろ単一の因子として 扱う方がよいことが分かった。

 面接技法に関わる測定では、カウンセラー技法評定尺度を作成した。予備的な調査によって、

どのような項目を選択すべきかを検討し(表1)、それを参考にして項目の設定を行った。この 評定尺度では非言語的技法と言語的技法を別々に扱い、それぞれについて測定できるようにした。

非言語的技法評定尺度では3つの因子を独立に扱ってよいことが示された(妻4)。ただし、こ の結果は項目の表現によって変動する可能性は残されている。項目・全体相関は高く、1つの因 子として扱っても差し支えないであろう。言語的技法評定尺度については単一の因子であること が示された(表5)。この評定尺度を用いた先の研究(玉瀬・乾,2000b)では、ロジャーズとパー ルズの間で顕著な違いが示されている。

 面接効果に関わる測定では、受け入れ可能性・再来談可能性評定尺度を作成した。この尺度は 玉瀬・乾(2000b)でも用いているが、因子分析的検討については報告していない。尺度の構成

に際しては、行動、認知、および感情の3要素が考慮されたが、因子分析の結果、1因子構造で あることが明らかとなった(表6)。各項目の文章表現の長さや表現の仕方がどの程度因子分析 の結果に影響しているかにっいては、さらに検討を要するように思われる。再来談可能性評定に ついては、玉瀬・乾(2000b)でもセラピスト間で明瞭な差が示されており、敏感な尺度である といえる。

 次に、カウンセラーの面接態度と面接技法がクライエントにどのような影響を与えていると受 け取られたか(面接効果)について述べる。重回帰分析において説明変数を印象評定、非言語的 技法評定・および言語的技法評定の3変数とした場合・印象評定の標準偏回帰係数がもっとも高

くなり(受け入れ可能性、再来談可能性ともに有意)、次に言語的技法の値が高かった(受け入 れ可能性のみで有意)。説明変数を印象評定と言語的技法評定の2変数にした場合も、印象評定 のみにした場合もあまり決定係数の値は変わらず、印象評定、すなわちカウンセラーの態度が面 接効果を規定するもっとも重要な要因であることが示唆された。言いかえれば、カウンセラーの 技法そのものよりも態度的なものが重要であるといえる。非言語的技法については今回の結果で は面接効果にはあまり貢献していないが、この技法の尺度が3因子から構成されているので、3 因子の相対的な影響の強さを重回帰分析によって調べたところ、視線、動作、うなずきのうち、

動作の要因が面接効果にもっとも影響していることが示された。一般的には視線の効果が大きい とみなされているが、今回なぜ動作の要因が面接効果と関係があったのかにっいては、断定的な 表現は避けて、用いられたビデオとの関係などにっいてさらに検討する必要があると思われる。

 本研究の結果が、どの程度視聴したビデオの特殊性を反映しているかは現段階では明らかでは ない。本研究で尺度についての検討が一応できたので、今後はさまざまなビデオにこれらの尺度

(11)

を適用して、カウンセラーの面接態度や面接技法が面接効果にどのような影響を与えているのか を実証的に検討していきたい。

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参照

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