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技術論的経営経済学 笠 原 俊 彦

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(1)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ. 「原価計算. l Jに お け る. シュマ. レンノ《ツハの. 技術論的経営経済学 笠 原 俊 彦. I. 序. νュマーレシバッハが「動的貸借対照表論の基礎?と閉じ年に発表した論文 「原価計算 I.Jは,かれの技術論的私経済学の学問的性格を明らかにするうえ で,きわめて重要な文献である。われわれは,さきに,かれの意図にしたがえ ば,その技術論的私経済学が規範論としての性格をもつことを明らかにしたの であるが,このような特質をもつかれの学説は. I 原価計算 I.Jにおいて,よ. りよく展開されているからである。本稿の課題は,志/ュマーレシバッハの技術 論的私経済学に関する,とれまでのわれわれの研究に引き続いて. I 原価計算. I.Jを中心として,かれの技術論的私経済学の学問的性格を明らかにするとと にある。. E 経営経済学の部分としての原価計算論の課題 志/コマー νシバッハによれば,. 経営経済学 (Betriebswirtschaftslehre) の. (1) E. Schmalenbach. "GrundlagendeI ' d ynamischer B i l a n z l e h r e . Z e i t s c hf ' i‑ f tfurHandel s . w i s s e n s c hl Z f t l i c h eF o r s c h v n g,1 3 .. Ja h r g .,1 9 1 9 . . S e l b s t k o s t e n r e c h n u n g1 ", Z e i t s c h r i f t fur Handels・ (2) E. SChmalenbach, . 加 i s s e n s c h a f t l c h eF o r ' s c h v n g,1 3 ., Ja h r g .,1 9 1 9 . (3) 笠原俊彦稿r 動的貸借ー対照表論の基礎」における νコマーレシパァハの技術論的私 経済学J W 呑川大学経済論議』第5 1巻第5 号 , 1 9 7 8 年 , 87~93 ぺ lージを参照せよ。 (4) 笠原前掲稿および同稿「初期乙/ュマーレシパツハにおける「技術論的私経済学」の 構想.1W 香川大学経済論議』第5 0巻5・ 6 号 , 1 9 7 8 年 。.

(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 3 5. Jにおけるジュマ ‑vシパッハの技術論的経営経済学 原価計算 I r. 部分とし ての原価 計算論. ー ‑351. , e Lehre vonder Selbstkostenrechnung) は i d (. 経営の経 済性をで きる限り 増進する よう,原 価計算を 理論的に. 形成しな ければ. 経済性と しての ならなし てここに 経営の経 済性とは ,全体利 害の観点 からする ) を意味 t i e k h c i l t f a h c s t r i eW h c i l t f a h c s t r i w n i e m e eg i d 共同経済 的経済性 ( の私経済 的経済 し,私経 済的観点 ないし個 別利害の 観点から する経済 性とし℃ ある生産 1 性から明 確に区別 されるべ きもので ある。そ こで,原 価計算は 不経済的 な仕事に よって財 が 1 者が多く 儲けたか 少く儲け たか」を 気遣わず 浪費されない」よろに配慮する。 このように,ジュマ ‑ V Yバッハは. 原価計算 1Jにおいて,全体利害の 1. これに対 応し 観点から 区別され る個別利 害の観点 を私経済 的観点と 規定し, 別科学の 名称、 て,全体 利害の観 点からす る経済性 を選択原 理とする かれの個 。 を,それ までの私 経済学か ら経営経 済学に改 めること になった 貸借対 この経営経済学の 1部として の原価計 算論は, 閉じくそ の l部をなす た総合経 済的 照表論とともに, ζ こに共同 経済的経 済性と呼 ばれるこ とになっ な目的を 実現す 目的を追 求する。 それは, 経営ない し企業に 対して, このよう 原価計算 1 は るための 手段を指 し示そう とするの である。 モこで, われわれ 策 IJ においても, νュマ ‑ V Yバッハの 意図する 個別科学 が,総合 経済的政 う。この 意味に 論の一環 としての 対企業政 策論をな すことを 確認しろ るであろ われる。 おいて, それは, 政策論と しての国 民経済学 の 1部をなすよろに思 に私経済 的観 だが, V ュマ ‑ V Yバッハによれば,経営経済学は, このよう ても,国 民経済 点ではな く総合経 済的ない し共同経 済的観点 を取るこ とによっ 国民経済 学と経営 経済学と は,そ 1 学的研究 になるわ けではな い。なぜ なら はないか らであ の素材の 大部分を 共有する に止り, その精神 を共有す るもので する思惟 。 Jここに 精 神とは, かれにお いては, それぞれ の個別科 学が保持 る 3. Schmalenbach, (5) 本節におけるジュマー νシパツハの所論は,主として次による。 E. 1. 258~26 . S S , . 0 . .a a . 8 5 .2 .0.,S .a (6) E.Schmalenbach,a 動的貸借対照表論の基礎」における νュマーレシパツハの技術論的私経 r (7) 笠原稿 r 2ページを参照せよ。 済学J9 . 9 5 .2 .,S .0 .a . Schmalenbach,a (8) E.

(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑352 ー. 538. 第 53 巻 第 2号. (Denken) を意味する。そして,かれによれば,. i1つの専門学科の本質を形. 成するものは,第 1には,その素材ではなしそこに育まれる思惟である。」 にのような νュマーレンバッハの主張におい て,われわれは,かれが,共同 l. 経済的観点および私経済的観点という素材考察の観点すなわちワイヤーマ シおよび乙/ェーニッツが選択原理と呼んだものにではなく,これから区別され る精神ないし思惟に,国民経済学と経営経済学とを区別する標識を求めている ことを知りうるであろう。 それでは,かれにおいては,国民経済学と経営経済学とは,それぞれ如何な る思惟を有するのであろうか。. 乙の聞に対するかれの回答は. i 国民経済学. は,哲学的諸科学に固有の性質を有する lつの哲学的科学である。これに対し て,わたくしが提唱する経営経済学は,応用科学 ( angewandteW i s s e n s c h a f t ) であ幻ということにある。すなわち,. かれは,. 国民経済学と経営経済学と. が,前者が哲学志向的思惟を,後者が技術志向的思惟をそれぞれ有することに よって,相互に区別されると解するのである。 さて,. νコマーレンバッハは,経営経済学の保持する思惟すなわち経営経済. 学的思惟 ( d a sb e t r i e b s w i r t s c h a f t l i c h eDenken) を ,. denken) とも呼ぶ。 それは,. 目的思惟 ( d a sZweck‑. 経営経済学的思惟が特定の目的のための手続き. 規則を明らかにしようとする思惟であり,したがって「目的によって満たされ ている」からに他ならない。 「原価計算 1Jにおいてジコマーレシバッハが提唱し展開しようとするもの は,このような経営経済学的思惟の 1っとしての原価計算的思惟 ( d a sk a l k u l a ‑. t o r i s c h eDenken) に基づく原価計算の理論である。かれによれば,近代の生 活においては,原価計算的思惟がすでに少なからず存在しており,また,実務 界の原価計算制度 ( d a sp r a k t i s c h eK a l k u l a t i o n s w e s e n ) において,. E .S c h m a l e出 a c h,a .a . 0.,S .259. E .S c h m a l e n b a c h,a .a .0.,S .259. ( l 1)E" S c h m a l e n b a c h,a .a .0 .,S . 259.. (9) ( 1 0 ). 原価計.

(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 3 9. r 原価計算 I Jにおける Vュマーレシパツハの技術論的経営経済学. ‑ " ‑ 3 5 3 ‑ ‑. 算の「理論」なるものも布在する。そして,実務家のこの種の「理論 Jには, しばしば経験の宝(e i n Erfahrungsschat Z ) が含まれている。しかし,それは 同時にまた,誤りを含んでいる。そこで,このような誤りを排し,原価計算的 思惟に基づく正しい理論を形成すること,これが原価計算論の課題である。 かれのこのよろな論述について,われわれは,ことで次のことに注意してお くべきであろろ。乙/コマーレンバッハが実務家の「理論」についてその誤ちを 排し,正しい理論を形成しようとするとき,そこにおける正誤の判断は,実務 家の現実の目的に基づいて行なわれるのではなく,. νュマーレンバッハのいわ. ゆる共同経済的経済性に基づいて行なわれるにとが, これである。この場合に は,実務家の「理論 j は,そこに示された手段が志ノュマーレシバッハのこの目 的に対して有効であるかといろ手段批判のみならず,そもそも,その「理論J における目的が νコマーレシパッハのこの目的から見て正しいか否かといろ, 目的自体の批判をも受けることにならざるをえない。この,特定の目的ないし 価値を正しいものとし,とれと異なる目的ないし価値を誤りとする思考こモ, ( 1 2 ). のちに述べるよろに,かれの学説の規範論的性格を如実に示すものに他ならな L 。 、. E 原価の評価基準としての最大比較可能性の原則 志/ュマー νンバッハによれば,経営の職分は,経済的給付を経済的に遂行す. w i 紅 蹴 Et ること ( すなわち,経営は,そ}の生産した財が,消費した財に対して価値余剰を示すよ うに活動しなければならない。これが経済 (Wirtschaften) の意味である。 原価計算は,. 年度成果計算とともに,. このような価値余剰を計算する。だ. が,両者はいくつかの点で相違し,このことが,後者において計算される費消 に対し""C,前者において計算される原価を相違させる。このような相違点を, ( 1 2 ) 本稿392~394 ページを参照せよ。 ( 1 3 ) 本節における乙ノュマー νシパツハの所論は,主とし τ ,次による。 E. Schmalen .a . 0.,S 5 . 264~265 , 267~274. bach,a.

(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑354ー. 第 53巻 第 2号. 540. われわれは,次の 3つにまとめることがでまるであろう。 第 1に,原価計算は,一定期聞における経営経過の最終的結果を把握する年 度成果計算と異なり, 握する。. 主として給付単位に関わらせて,. この点における両者の特質は,. 原価および利潤を把. 年度成果計算を経営経済的時間計算. ( b e t r i e b s w i r t s c h a f t l i c h eZ e i t r e c h n u n g ) , 原価計算を給付単位計算 ( S t u c k ‑ rechnung)と呼ぶことによって,適切に表現されうる。原価計算 と年度成果計 i. 算とのこの相違は,原価に対して,次のような特質を与える。費消が,経営に よって一定期聞に消費された財の価値のすべてを含むのに対しむ原価は,給 付生産によって引を起こされた財の価値の消費のみを含むということが,. とれ. ljii. である。そこで,例えば,何らかの政治的目的のために企業が寄付をなすこと により生じる財の価値の消費は,費消ではあるが原価ではない。. e i n ek o n t i n u i e r l i c h e . 第 2に原価計算は,年度損益計算と異なり,継続計算 ( f o r t g e s e t z t e Reohnung) としての特質を有しなし、。年度成果計算は継続計算 であり,そこでは,各計算期聞が継続的に接続されて,企業の生涯全体の像と しての成果計算の連鎖を生み出す。このような計算においては,例えば過去の 諸期聞においてなされた計算の誤りが当期の計算に影響を与え,. 当期の費消. は,当期の給付生産ではなくむしろ以前の諸期閣の給付生産と関係する財の価 値の費消を含まぎるをえない。これに対して,原価計算においては,特定の原 価は,. これに関係のない他の原価の構成要素を含まない。. 第 8に,原価計算は,年度成果計算と異なり,公開性 ( o f f i z i e rChar 叫c t e r ) をもたず,. その結果は,. 算においては,. 経営内部においてのみ用いられる。そこで,原価計. 外見を繕うための原価の粉飾は必要でなし、。. ここでは,事実. ( S a c h e ) とそが問題である。 この第 3点において,志/コマーレンパッハは,公開性をもっ年度成果計算が 粉飾を伴ラと考えている。現実の年度利潤計算において粉飾がなされること は. r 動的貸借対照表論の基礎」. において,かれがすでに指摘したことであっ.

(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 541. I 原価計算 1Jにおける乙/ュマーレシパッハの技術論的経営経済学. 一355ー. た。だが,かれ自らが提唱する年度利潤計算ないし年度成果計算 f J:,とのよう な年度利潤計算と異なり,労働と素材とが不経済的用途に使用されることを防 札資本が流れ込むべきでない場所に流れ込むことを防ぐために,商事企業の 経済性を精確に測定するという課題を有するものであった。原価と費消との相 違を明らかにするために原価計算と対比されるべさ年度成果計算は,まさにこ の年度成果計算でなければならない。とのあるべき‑成果計算における給付およ び費消の規定においては,粉飾は問題となりえない。 もっとも,このあるべきF成果についても,経営の経済性の増進といろ課題を 課されている商人が経済性の尺度としての利潤を公表する過程においては,粉 飾の問題が生じろる。年度成果計算における粉飾の問題は,. あるべき利潤の. 規定の問題としてではなしまさにとのよラな利潤の公表過程の問題として把 揚される場合にのみ,意味をもっといわれなければならない。 だが,いずれにせよ,. νュマーレンバッハは,以上の 3点、から,原価計算に. おける原価が,年度成果計算における費消と必ずしも一致しないことに,注意 を喚起する。その際,かれは,両者のこのよろな不一致について,とくに両者 の構成要素の相違に注目し,費消の要素であるが原価の要素ではないもの,お よび費消の要素ではないが原価の要素であるものの存在を指摘する。前者は, 例えば,年度成果計算における過大減価償却および原材料棚卸し額の過小評価 によって過大に計算される費消,諸種の引当金,開発費,将来の事業の準備に. n e u t r a l e rAufwand) 闘して生じる財務費などであり,これをかれは,中性費消 ( と総称する。後者は,例えば,年度成果計算において過小減価償却がなされる ために費消として計算されないこととなる減価償却費,自己資本利子,および 場合によっては,偶発費のための割り増し額 ( P r a m i e n ) を含み, これは付加 原価 ( Z u s a t z k o s t e n ) と総称される。. νュマーレンパッハのこのような名称. ( 1 4 ) 笠原前掲稿72‑3ページを参照せよ。 ( 1 5 ) 笠原前掲稿51‑52ぺージを参照せよ。 ζ のうち,自己資本利子は I 動的貸借対照表論の基礎」においては,経済性の尺 度としての利潤を計算するための費消の構成要素とされ℃いるのであり、この点にお いじこれを付加原価とする νュマー νンパツハの論述は,矛盾を含む。笠原前掲稿 67ページを参照せよ。. ( 1 6 ).

(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 4 2. 第 53巻 第 2号. ‑356‑‑. は,通常,原価が費消から計算されるといろ事情を考慮するものである。すな わち,前者は,費消のろち原価となりえずこの意味において中性的性格を有す る部分であり,後者は,費消から求められた原価部分にさらに加算されるべき 原価部分である。 ところで,以上のよろに費消から区別される財の価値の消費を原価 (Kosten) と呼ぶとき,乙/コマーレンバッハは,このと とによって, このような財の価値 i. の消費がこの財の取得価格ないし貨幣支出額として評価されるべきことを主張 しようとしているわけではない。かれにおいては,原価は,財の取得のための 貨幣支出額と同じ名称で呼ばれているにも拘わらず, これとまったく異なる評 価値をもつのである。 かれは,年度成果計算の場合のみでなく,原価計算においても でなく,. 消費が決定的である」と解する。だが,. r 貨幣支出. またことにおいても,かれ. は,原価の尺度として,価格を排除しなし、。むしろ,かれは,経営が国民経済 の部分であるがゆえに,通常は,国民経済的価格が,原価さらにはこれに対応 ( 1 9 ). する給付の尺度である,と主張する。このような論述から,われわれは. r 動. 的貸借対照表論の基礎」のみならず「原価計算 IJにおいても,財の国民経済 的価値をそのものとしてなでし国民経済的価格によって把握されラる限りで 計算山しようとするかれの行き方を看取しうるであるラ。. νュマーレシバッハによれば,原価を如何に評価するべきかを決定する基準 (Richtschnm) は,最大比較可能性の原則 ( d a sP r i n z i pdergrosten Ver‑ g l e i c h b a r k e i のである。その数字の比較可能性ないし尺度性 ( M a s s t a b l i c h k e i t ) を欠く原価計算は,そのような成果計算と同じく,その価値の大半を失う。な ぜなら,経済とは選択を意味し,また選択とは比較を意味するのであり,原価 ( 1 7 )やしたがって,原価という名称は.,かれが意味しようとするものの名称として,適切. ではない。だが,との名称、は,専門用語として一般的に用いられるようになっている ので,かれもこれを用いるのである。 VgI .E .Schmalenbach,a .a . 0.,S . 2 6 8 . .a . 0.,S .2 6 8 . ( 1 8 ) E . SChmalenbach,a .a .O ., S .2 7 4 . ( 1 9 ) V g l .E . Schmalenbach,a.

(8) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ r 原価計算 IJにおける V ュマーレシパツハの技術論的経営経済学. 5 4 3. ‑357 ー. 計算は, この比較のために,原価を計算するものだからである。そ乙で,かれ はいろ。. r 原価計算の意味における原価は,何らかの給付のために消費される. 財の比較価値 (Vergleichswert e ) である。」 較可能性は,. かくして,かれにおい℃は,比. 原価の計算のあり方 ( d i eArt derKostenansetzung) とりわけ. 評価のあり方を決定する原則である。 こ乙で,. われわれは,. 比較可能性の見地が,. 年度成果計算におけると異な. り,原価計算において著しい重要性を与えられていることに注意しなければな らな L、。年度成果計算においては継続性の原則が比較可能性を阻害したのに対 して,非継続計算としての原価計算においては,とのような阻害は存在しない。 われわれがすて》に明らかにしたよろに,継続性の原則は,年度成果計算を全体 利潤と結合させ,このことによって収益と費消とを収入と支出とに結び付け 必〉そして, このことはi/ュマーレシバッハの年度成果計算を,経済性の尺 度としての利潤計算から儲けの尺度としての利潤計算へと転化させる l要因を なしたのである。これに対しむ原価計算における原価は,このよラな制約と は無縁であり,その評価は,端的に,共同経済的経済性を高めるための比較な いし選択の見地から行なわれうる。. νュマーレンバッハは,このような比較可能性重視の要請すなわち最大比較 可能性の原則を,単に比較可能性の原則と呼ぶ。だが, ここにいう比較可能性 の原則は,かれが「動的貸借対照表論の基礎」において述べた比較可能性の原則 と同一視されてはならない。なぜなら. r 動的貸借対照表論の基礎」における. 比較可能性の原則は,絶対額において正確な利潤,したがって利潤の期間相対 ( 2 4 ). 的変化の正確な度合,の把握が犠牲に!されうる限界を示す原則だったのに対し ( 2 0 ) E . Schmalenbach,a .a . 0.,S .2 7 0 . ( 2 1 ) 笠原前掲稿59ページを参照せよ。 ( 2 2 ) 笠原前掲稿98‑99ページを参照せよ。. νュマーレシパッハの次の文は,われわれのとのような解釈を裏づけるように恩わ ich mehr an d i eAusgaben an, れる。 "DleAufwandrechnungknupft eIheb1. ( 2 3 ). a l sd i eKostenrechnung; s i e musdas mitRucksichta u fd i eK o n t i n u i e r1 ic h ‑ k e i td e rRechnung. (Vgl . E. Schmalenbach,a .a . 0.,S . 272.) ( 2 4 ) 笠原前掲稿56‑57ページを参照せよ。.

(9) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑ ‑358ー. て ,. ζ. 第5 3 巻 第 2号. 544. こにいろ最大比較可能性の原則ないし比較可能性の原則は,端的に最大. の比較可能性をもっ原価および給付の把握を要請するものだからである。これ は"むしろ. r 動的貸借対照表論の基礎」にいろ尺度性の原則に通ずるものを. もつ。 乙/コマーレンバッハが「原価計算 1Jにおい℃とのように比較可能性を重視 することに関連してわれわれが指摘しておくべきことは,かれがここでは,経 営問比較の必要性を強調していることである。かれは,何らかの業穫に属する 経営のすべてが協力して各経営に共通の原価グループおよび給付単位を設定 し,この標準備[を中央機関に計算させて,. 各経営に供するべきことを主張す. る。かれによれば,今日,各経営はそれぞれ独自に,自らの異期聞の出較に原 価の比較の拠り所を求めているにすぎず,経営秘密漏洩に対する恐れから,上 記のような経営間比較をなすまでには至っていない。だが,かれによれば,こ の経営間比較の問題は,単なる私的問題ではなく,同時に重大な公的問題であ る。最大経済性はドイツ国民経済の義務であり, この義務を巣すためには,経 営問比較のための法規さえ設けられるべきである。 さて,乙/ュマーレンバッハによれば,最大比較可能性の原則からするとき, 原価は,財を調達するために支払われた価格で評価されてはならない。なぜな ら,この価格は,. 偶然的要素を含むからである。. このことの例として,. かれ. は,取得価格が,保有されている財のその時点までの偶然的な保有期間の長短 に応じて,さまざまの過去に属する価格情勢を反映することをあげる。かれの この例においては,取得価格による評価は,偶然的な,さまざまの過去に属す る価格による評価となるがゆえに,比較可能性を害することとなる。とのよう な比較可能性の阻害要因を除去するためには,. われわれは,. 取得価格に代え. て,例えば,統一的な時価を用いればよいであろラ。 だが. vュマーレンバッハの考えは,このように単純ではない。かれは,特. 殊な計算価値 (Kalkulationswerte) による原価の評価を提唱する。この計算 ( 2 5 ) Vgl .E . Schmalenbach,a .a . 0.,S .3 5 0 ..

(10) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 4 5. r 原価計算 I Jにおける νュマーレシパツハの技術論的経営経済学. ‑359 ー. 価値は,比較が具体的に何を目的とするかによって,さまざまな内容を与えら れる。そして,. この計算価値こそは,. かれの原価計算論の中心をなすのであ. る。以下において,われわれは,計算価値が如何なる性質を有するものである かを,乙/ュマーレシパッハの論述にしたがって明らかにすることとしたい。. W 生産要素の用途選択と計算価値 乙/コマーレンバッハは,経営がなしうる比較として 8種をあげる。 1.生産 物と生産物との比較. 2.生産物と原価との比較, 3 . 原価と原価との比較,が. これである。このちち第 1のものは,何らかの生産要素を如何なる用途に用い るべきかを決定するために,第 2のものは,最も低廉な調達方法および生産方 法を用いるとさ,特定の生産が行なわれるべきか否かを決定するために,第 3 のものは,当該生産に役立ちうる代替的生産諸要素のいずれを用いるべきか, 特定の生産要素を如何に調達するべきか,如何なる生産方法を用いるべきかを 決定するために,それぞれ行なわれる。かれによれば,第 2のものは,価値余 剰を求めて生産をなす経営において最もしばしば行なわれるものであり,第 3 のものは, とりわけ経営統制U ( B e t r i eb s k o n t ro l l e)のための原価計算におい℃ 行なわれるものである。 以上 3つの比較のうち,. νュマーレンバッハは,. まず,. 第 lのものについ. て,生産要素の用途選択のための計算価値を論じる。かれのこの論述は,われ われが本節で取り上げよラとするものに{也ならない。残る第 2および第 3のも ののうち,第 3のものについては,かれは,経営統制の問題ではなく,われわ れが次節で取り上げる,経営の最適操業度実現のための価格としての計算価値 の 問 題 を 論 じ る 。 こ れ に 対 し む 第 2のものについては,かれは,計算価値の 問題を論じていない。かれは,第 2のものに関連して,わずかに,かれがのち ( 2 6 ) 本節における νコマーレシパツハの所論は,主として次による。 E.Schmalenbach, a .a . 0.,S S . 273‑284. ( 2 7 ) 松本剛教授は,これについて,われわれと異なる解釈を示している。松本岡J I 著『原 価理論の構造],森山者活, 1976年 , 66‑67ページを参照せよ。.

(11) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑‑360ー. 第 53 巻 第 2号. 546. に略述し,われわれが第W節のはじめの部分に示す価格下限を問題にしている に過ぎないように思われる。 さて,生産要素の用途選択について,かれは,まず生産要素の価格が時間的 に変化しないという暗黙の仮定を置き, 1.生産要素の調達に制約があるために 生産要素が不足する場合, 2 .生産要素の用途に制約があるために生産要素が過 剰である場合の 2つについて,. 生産要素の用途選択が生産要索ないし原価財. ( K o s t e n g ut e r)の評価値としての計算価値によって行なわれるととを説明して いる。 1 . 生産要素が不足する場合の計算価値 ここにいわゆる生産要素が不足する場合とは,ある生産要素について, この 取得価格以上の収益をあげうる用途のすべてを充足するだけの量が程在しない 場合を意味する。この場合について,かれは 2つを区別する。その第 1は,経 営が現在の保有量以上の生産要索を如何にしても調達できない場合である。こ のとき,. この経営は,その保有する原価財を,最も経済的な用途のみに用いね. ばならない。この場合には,計算価値は,経済性において相対的に劣る用途を 排除するべきものであり,排除される用途のうちで最良のものの効用 ( N u t z e n ) の値として算定される。この値は,採用される用途が有するべき効用の最低限 である。これを,乙/ュマーレシバッハは,以下のよラに例示する。 ( 例 1) 条件1.. rY当り 2,500マノレクで購入された銅の在庫 10トンがある。. 条件 2 . これ以上の銅は,もはや購入されえない。. . 銅の用途には,次のものがある。 条件 3 用. 途左の用途での銅の使用可能量. 2 3. 志の用途での銅トン当り予想収益. キログラム 4, 000. マノレク 000 25,. 000 5,. 1 9, 000. 000 1,. 9, 000.

(12) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 4 5. 京備計算 1Jにおける νュマー νγ パツハの技術論的経営経済学 l f. 4. 000 2,. 000 6,. 5. 000 8,. 000 4,. ー ‑361. 排除され る用 との条件 では,用 途 lから 3までが採 用され, 銅の計算 価値は, 000マルクであ 6, 途 の う ち で 最 良 の 用 途 , す な わ ち 用 途 4の銅トシ 当り収益 。 る. 例 2) (. .は(例 条件1.および 2. 1)に同じ。. . 銅の用途には,次のものがある。 条件 3 用途左の用途での鋼の使用可能量. 左の用途 での銅ト ン当り予 想収益. 000キログ/ラム 4,. ノ 000マ Jレタ 25,. 2. 000 5,. 000 9, 1. 8. 000 3,. 000 9,. 4. 000 2,. 000 6,. 5. 000 8,. 000 4,. この条件 では,用 途 1から 8までが(ただし. 3に つ い て は し 000キログラム ) 8 2 (. 000マルクである。 のみ)採用され,銅の計算価値は, 9,. いると仮 定され 以上 2つの例に おいては ,銅の購 入は,絶 対的に制 約されて 約を緩め ,高い たのであるが, νュマーレ ンバッハ は,つま に,との ような制 価格を支 払えば銅 がさらに 購入され うる場合 ,換言す れば,購. 入が価格 の面で. ) 9 2 (. のみ制約される場合,を例示する。. 例 3) (. .は(例 2) に同じ。 条件1.および 3 000マルクの代金を支払えば銅が購入されうる。 . トシ当り 5, 条件 2. て,銅が分割し℃ きる。 ととがで を,知る いるとと 使用可能である,という暗然の仮定を霞いて 違に対応す! 得量の相 営の銅取 る当該経 点におけ ) とこにおける価格の相違は,同一時 9 2 ( らない。 ければな 解されな るものと. から,われわれは ,V ュマーレシパツハが,各用途につい ) との伊j 8 2 (.

(13) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑362‑‑. 第 53 巻 第 2号. 548. この条件においては,計算価値は 5, 000マノレクである。 以上 8つの例から,志/ュマー νシバッハは,次のよろに結論する。生産要素 が不足する場合の原価財の計算価値は,排除される用途のちちで最良のものの 原価財単位当り収益であり,新たに調達がなされることとなるときには,. この. 信為が計算価値となると。ことにいわゆる排除される用途のうちで最良のもの の原価財単位当り収益とは,当該原価財の機会原価に他ならない。. 2 . 生産要素が過剰である場合の計算価償 ことに生産要素が過剰である場合とは,ある生産要素について,その取得価 格以上の収益をあげうる用途が不十分である場合を意味する。ジュマーレシバ ッハは,この場合の計算価値を以下のように説明する。 (例1). 500マルクで調達された銅の在庫 1 0トンがある。 条件 1. トシ当り 2, 条件 2. との銅の用途が下に見られるように不十分である。 用途志の用途での銅の使用可能量. 五の用途での銅トン当り予想収益. 4, 000キロク。ラム. 1 0, 000マノレク. o h M の 0. 44ku. 5, 000. 3, 000. 1, 000. 000 2,. 000 2,. 500 1,. 000 8,. 000 1,. 条件 3 . 銅の在庫を売却することもでまない。 この条件では,銅の計算価値は, 1, 5 0 0マルクである。 ( 例 2) 条件 1.および 2.は(例1)に同じ。. νコマーレシパ y ハがとと}では価格の時間的変動を排除して}いると解する限れと の価格が再 取得時価でないととは,いうまでもない。 ζ の点について,田島壮き宗教授 は,われわれと異なる解釈を示しているように恩われる。田島壮幸著『ドイツ経営学 の成立 j (増補版) 169ページを参照せよ。. ( 3 0 ). i.

(14) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 549. 原価計算 I Jにおける νュマーレンパツハの技術論的経営経済学. 一363ー. , 8 0 0マルクで売却されちる。 条件 3. 銅の在庫がトン当り 1 この条件においては,銅の計算価値は, 1 , 8 0 0マノレクである。. 以上の例から明らかなように,生産要素が過剰である場合の計算価値は,当該 生産要素の売却をも, この用途の 1っと解すれば,排除される用途のうちで最 高の経済性をもつものの収益の値である。これがやはり生産要素の機会原価で あることは,とくに説明するまでもないであろう。 さて,われわれの理解によれば,以上は,生産要素の価格が時間的に変化し ないという仮定のもとでの計算価値の説明である。だが,このような仮定は, 現実的でないであろ可。そこで,. νュマーレシバッハは,生産要素の価格が時. 間的に変化する場合の計算価値について,次のように説明する。. 1 . 価格が上昇する場合 在庫の計算価値は,新しい取得価格がこれを超えるまでは,採用されない用 途のうちで最良のものの収益である。価格が上昇した後も引き続き用いられる 原価財の計算価値は,その上昇した価格である。この第 2の場合こそ 原材料の l. 大部分に妥当する。そこ!で,原材料については,計算価値は 実際取得価格では l. なく時価であるといろ原則が設定されうる。いまだ引き受けていない注文の価 格を呈示するために原価計算. ( K a l k u l at i o n ) を行なう場合には,理論的には. 注文を引き受ける時点における原価財の価格を予想しこれを用いるべきであ る。低い取得価格と高い時価との閣で動く平均価格は,貯蔵するために購入な いし注文され,それ以上は購入されない原材料についてのみ,問題となる。何 らかの手数料を得るために注文された財は,注文の際に実際の取得価格で計算 されているがゆえに, この価格によって評価されるべきである。. ( 3 1 ) なお, νュマー νシパツハは,以上に続いて,連産品 ( K u p p e lp l o d u k t e ) につい . E. 8chmalenbach,a .a . 0.,88.280 ℃計算価値の求め方を説明している。 (Vg1 ‑283.) だが,計算価値の性格を明らかにしようとするわれわれにとっ℃は,それは とくに取り上げるだけの価値を有しない。 ( 3 2 ) とのと とに関する田島壮幸教授の解釈は,われわれと異なる。 田島前掲番1 7 0ペー ジを参照せよ。 ω.

(15) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑.364ー. 第 53巻 第 2号. 550. 2 . 価格が下落する場合 この場合にも,何らかの手数料を得.るために注文された特別の財は,やは り,その取得価格で評価されるべきである O これに対して,経常的に必要とさ れる原価財については,実際の取得価格ではなく,時価による評価がなされる べきであるといろ原則が,適宜に用いられる。 以上においては,計算価値は,経営に,国民経済的財を国民経済的に見て効 用の多い用途にできる限り使用させるための,. 原価財の評価値である。モれ. は , 乙れを原価財の諸々の用途の収益と比較し,それ以上の収益をもっ用途を 選択するための基準として用いられている。われわれは, このような計算価値 とし‑C,時価が基本的役割を果すととを容易に理解しうる。なぜなら,財の時 価がその時における財の国民経済的価値を表わす限り,. 一般に,. 時価より大. きい収益をあげラる財の用途は,国民経済的価値を増加させ,逆に, これより 小さい収益しかあげえない用途は,国民経済的価値を減少させるからである。 そ:して,時価と値を異にする機会原価は,一般に,原価財の時価を超える収益 をもっ用途が当該経営の使用しうる原価財の置によっては賄いきれない場合, すなわち原価財が不足して.いる場合,に計算価値となると解しうるであろう。. νコマーレシバッハは,原価財が過剰の場合にもこのような機会原価を計算 価値として用い,原価財の価格に満たない収益をもっ用途をさえ採用しようと していたのであるが, とのような用途の採用は,原価財の売却を別とすれば, そのまま では,価値余剰の生産という経営の目的に反するといわれなければな l. らない。. V 経営の最適操業度と計算価値 争1:1 マーレンバッハは,計算価値を,経営が設定するべき価格としても用い. る。かれのいわゆる比例率 ( d e rp r o p o r t i o n a l eS a t z ) としての計算価値がと ( 3 3 ) 本節における乙ノュマー νンパツハの所論は,主とし.‑C,次による。 E .S c h m a l e n ‑ b a c h,a .a .O .. S S .284‑‑324..

(16) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 1 5 5. 原価計算 IJにおける νュマー νシバッハの技術論的経営経済学 r. ‑‑365‑‑. れは,ま ず,操 れである 。このよ うな計算 価値を明 らかにす るために ,われわ ない。 業度と原 価との関 係につい てのかれ の論述を 辿らなけ ればなら 相違から ,比例 ヰ/ュマ ーレシバ ッハは, 操業度の 変化に対 する変化 の仕方の ‑ s e r g e d eKosten), 逓減原価 ( x i f eKosten),固定原 価 ( l a n o i t r o p o r p 原価 ( する。 eKosten),逓増原価 (progressiveKosten)といち 4つの総原価を区別 v i s し生産量 が半 比例原価 は,操業 度に完全 に順応す る,すな わち,操 業度ない l単位当り のそ 分になれ ば半分に ,倍にな れば倍に なる総原 価であり ,生産物 の値は, 操業度の 変化に拘 わらず常 に同額と なる。 固定原価 は,操業 度が変化 してもま ったく変 化しない 総原価で. あり,生 産物. 1単位当り のその憶 は,操業 度に反比 例する。 逓減原価は,操業度とともに増加するが,. その増加 の程度が 操業度の それよ. の増加に つれて減 りも低い 総原価で あり,生 産物 1単位当り の儲では ,操業度 ) 5 3 ( す(34) 少 る。これは,次のように例示されうる。 操業度 単位. 総原価 マルク. 生産物単 位当り原 価 マノレク. 0 0 0 , 1. 0 0 0 0, 0 1. 0 0 1. 0 0 2 , 1. 0 0 8,0 0 1. 0 9. 0 0 6 , 1. 0 0 0 8, 2 1. 0 8. 0 0 0 2,. 0 0 0 0, 5 1. 5 7. 逓増原価 は,操業 度ととも に増加し ,しかも その増加 の程度が. 操業度の それ. 増加につ れ よりも高 い総原価 であり, その生産 物 1単位当り の値は" 操業度の. )一定という仮定が置かれ e g a l n a s b ie tI e B ) とζ では,いうまでもなく,経営設備 ( 4 3 ( S‑ e l g e d s b e i l t e B 逓減 ( は,経営 を,かれ ており, とのような仮定のもとでの原価逓減 ‑ n e 凶 s G ( 逓減 ある規模 価逓減で 関する原 の変化に 備の規模 ) と呼んで,経営設 n o i s . 5 2 3 , 0 9 2 . S , . O . a . a .E.Schmalenbach, ) から区別する。 VgI n o i s s e r g e d が,操業度の変化 ) i/コマーレシパツハは,操業度に年度を付して表示している。だ 5 3 ( ある。そと で は不要で ば,年度 からすれ れの主旨 とするか 化を問題 による総原価の変 シパッハは, ν ジュマー われわれは,以下,すベ‑C,年度を省いて表示する。また, これ われは, は,われ ,以下で ているが で表わし K 操業度の単位を R 原価の単位を る。 と表示す ,マルク れ,単位 をそれぞ i.

(17) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑‑366ー. 第 53 巻 第 2号. 552. て増加する。とれは,次のよろに例示されうる。 操業度. 総原価. 単位. 生産物単位当り原価. マルク. マノレク. 3, 2 0 0. 256, 000. 80. 600 3,. 000 324,. 90. 00 4,. 000 400,. 1 0 0. 。. V ュマーレンバッハは,以上. 4つの総原価のうち,. 比例原価と固定原価と. が,いくつかの経営においては,近似的ながら単独で l経営の総原価となりラ ることを指摘する。だが,かれにおいて,この 4つの総原価がとりわけ問題と されるのは経営の操業度の変化に対応する総原価の変化の諸領域とし℃で ( 3 6 ). ある。かれは, これを,表 lおよび図 lのように例示している。 表 操業度. 総原価. 単位. マルク. 総原価の諸領域. マノレク. 500. 000 1 0 0,. 200. 800. 1 0 0, 000. 1 2 5. 1, 000. 1 0 0, 000. 1 0 0. 1, 200. 1 0 8, 000. 90. 1, 600. 1 2 8, 000. 80. 000 2,. 1 5 0, 000. 75. 400 2,. 1 8 0, 000. 75. 2, 800. 210, 000. 75. 2 0 0 3,. 2 5 6, 000. 80. 3, 600. 324, 000. 90. 0 0 0 4,. 400, 000. 1 0 0. ( 3 6 ) との表 1において. る 。. 生産物単位当り原価. 固. 定. 逓. 減. 比. 初j. 増. I 総原価の諸領域」という語句は,わたくしが付けたものであ.

(18) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 5 3. 原価計算 I Jにおける νュマー νシパツハの技術論的経営経済学. ー 367‑. 図 4 0 0, 0 0 0. 原 ︐ ︐. ︐ ︐. a. ︐︐ ︐ ︐︐ ︐ aF. a. マ 、. a ︐. 4 ︐. 3 0 0, 0 0 0. f 面 号. lレ. ク2 0 0, 0 0 0. 1 0 0, 0 0 0. 一」ーー一‑ーーーー」ー一一一自由』斗ーー一回 1 . 0 0 0 2, 0 0 0 3, 0 0 0 4, 0 0 0 操業皮(単位). 志/ュマーレシパッハによれば, この例において,操業度 2, 000単位までの固 定原価および逓減原価の領域は過小操業度を,操業度 2, 000単位から 2, 800 単位 800単位から 4, 000単位までの までの比例原価の領域は正常操業度を,操業度 2,. 逓増原価の領域は過大操業度を示している。 さて,乙/ュマーレンバッハの以上の説明においては,固定原価と比例原価と は,操業度の変化に伴う総原価の変化の領域,しかもかなりの幅をもった領域 として示されている。だが,われわれは,かれが,他方において,ほとんどす べての経営において,. 通常,. 総原価はきわめて低い操業度から完全ないし正. 常操業度に至るまでは逓減原価の領域を示し,. この領域が終って正常操業度に. 達すると,しばしば突然に逓増原価の領域になり,そして,経営拡大なくして はもはや生産量を増加しえない段階に達する,. と述べていることに注意しな. ければならない。このような主張からすれば,操業度の変化に伴う総原価の経 過は,通常,上例に示されたものと異なり,そのほとんどが逓減原価および逓 増原価の領域からなり,固定原価と比例原価とは,十それぞれ,逓減原価の出発. ( 3 7 ) V g l .E .S c h m a l e n b a c h,a .a .0 .,S .2 8 8 ..

(19) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑368‑‑‑. 第 53 巻 第 2号. 554. 点および逓減原価から逓増原価への変換点において,いわば瞬時的に現われる に過ぎないことになるであろう。 とのようにして,逓減原価と逓増原価とは,総原価の経過のほとんどの部分 を占めるのであるが,志/コマーレンバッハによれば,まさにこの 2つの原価こ そは,操業度に比例して変化することも操業度に対して静止的であることもな く特殊な変化の仕方を示し,しかもその変化の程度が実に多様でありうるた め,比例原価と固定原価に比べてその原価計算的処理が困難である。そこで, かれは,. この 2つの原価の原価計算的処理上の困難を克服する方法として,. 逓減原価を固定原価と比例原価との,逓増原価を負の固定原価すなわち固定収. 益 ( f i x eE r t r a g e ) と比例原価との混合原価とみなし,それぞれをその構成要 素に分解する方法を提唱する。 ここに逓減原価および逓増原価の構成要素とされる比例原価,固定原価は, 総原価としての比例原価,固定原価とまったく別のものである。それらは,志/ コマーレンバッハによって比例的部分,固定的部分とも呼ばれている。われわ れは, i 毘乱を避けるために,逓減原価および逓増原価の構成要素については, 比例原価,固定原価という用語を用いず,専ら比例的部分,固定的部分という 用語を用いることにしよう。 志/ュマーレシバッハは,まず,逓減原価の分解を,われわれが先に示した表. 1の逓減原価の部分(表 2lt:再記)につい℃説明する。. 表 操業度. 総原価 単位. マノレク. 2 生産物単位当り原価 レ ク マJ. 1, 000. 1 0 0, 000. 1 0 0. 2 0 0 1,. 1 0 8, 000. 90. 600 1,. 1 2 8, 000. 80. 2, 000. 000 1 5 0,. 75.

(20) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 5 5. r 原価計算 IJ における νコマ ーレシパツハの技術論的経営経済学. ‑369‑. l. この伊jにおいては,操業度の上昇につれて逓減の程度が低くなっており,こ のととは,表 2の各操業度の聞においても逓減の程度が次第に低くなっ℃いる ことを推測させるのであるが,いまこのことを無視して,表 2の各操業度の聞 においては,逓減の程度が一定であると仮定する。 まず,操業度 1, 000単位から 1, 200単位までについて,次の計算がなされる。 操業度の増加は 2 00単位,総原価の増加は 8, 000マノレクだから, 総原価の比例的部分は, 生産物単位当りでは, 8, 000マルクム 200単位2K0マルク 操業度 1, 000単位における総額では, 40マルク. x1,000単位 =40,000マルク. , 200単位における総額では, 40マルク 操業度 1. x1,200単位 =48,000マルク. 総原価の固定的部分は, 操業度上 0 00単位または 1, 200単位における総原価と比例的部分との差,すな わち 1 0 0, 000マルク ‑40, 000マルク =60, 000マルク. または,. 1 0 8, 000マノレク ‑48, 0 0 0 'マルク =60, 000マルク 同様の計算を操業度 1 , 2 0 0単位からし 600単位まで, 1, 600単位から 2, 000単位ま での各層についても行なえば,表 3it:,示されるような結果が得られる。 表 操業度. 固定的部分 単位. 層. 1, 200. 8 比例的部分. 総原価. マルク 6 0, 000. マノレク 4 0, 0 0 0. マルク 1 0 0, 000. 60, 000. 000 4 8,. 1 0 8, 000. ( 3 8 ) i /ュマ ーνシパッハによれば, ζ のととは,下に示すように,操業度 1, 000 単位か ら2, 000単位に至る各操業度関についての操業度増分1 単位当りの総原価増分の値の推 .a .0 .,SS. 288‑289.) 移からも知られる。 (Vgl. E. Schmalenbach,a 操業度層 操業度の増分 (a) 総原価の増分 (b) (b)/(a) l. 単位. 単位. マルク. マルク. 1, 000‑1, 200 200 8, 000 40 1, 200‑1, 600 4 0 0 20, 0 0 0 50 1, 600‑2, 000 400 2 2, 000 55 ( 3 9 ) ν ュマーレシパツハは,この 200 単位については200Kと記しているが, .a .0 ., S.295.) らかに誤りである。 (Vgl. E. Schmalenbach,a. ζ れは,明.

(21) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑370ー. 層. 層. 5 5 6. 第5 3 巻 第 2号. 1, 600. 2, 000. 48, 000. 60, 000. 1 0 8, 000. 48, 000. 000 80,. 1 2 8, 000. 000 40,. 88, 000. 1 2 8, 000. 000 40,. 1 1 0, 000. 1 5 0, 000. との結果について問題となるのは,特定操業度における 1つの総原価が,下 位の操業度における総原価と比較されるか土位の操業度における総原価と比較 されるかによって. 2通りに分解されているにとである。これは,逓減の経過. が一様でない総原価を,. この経過におけるわずかの諸点においてのみ確認し,. しかも隣接する 2点聞の逓減の程度を一様と仮定することによって生じるもの に他ならない。 そこで,乙/ュマー νンバッハは,次の方法を用いて,各操業度における,た だ 1組の総原価分解値を求める。すなわち,まず,表 3に示された各操業度に. おける固定的部分の上位および下位の値を別々に結ぶ滑らかな 2曲線を図 2の 破線のように描き,この 2曲線の中閣を通る 1つの曲線を下図の実線のように 描いて,各操業度におけるこの曲線上の値として,. 固定的部分の値を読み取. る 。 図. 2. 9 0 0 0 8 0 0 0. 原. f 商. 6 0 0 0 5 0 0 0 4 0 0 0. て " 3 jレ 0 0 0 ク. 2 0 0 0. に. 1 0 0 0 2 0 04 0 06 0 08 0 01 0 0 0 1 2 0 0 1 4 0 0 1 6 0 0 1 8 0 0 操業度(単位〉.

(22) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 557. ["原価計算 IJ における乙ノュマ ‑ V Yパツハの技術論的経営経済学. ‑‑371ー. 同じ操 次に比例的部分の値は, このよろ にして求 められた 固定的部 分の値を 業度における総原価の値から差し引くととによって求められる。 は,表 4 このようにして得られた総原価分解の結果を, νュマーレンバッハ 分が生産 物 l単 のように 示してい る。われ われは, この表に おいて, 比例的部 位当りで示されていることに留意しておくべきである。. 4. 表 操業度. 生産物単 位当り比 例的部分. 固定的部 分. 総原価. 単位 000 1,. マノレク 500 9, 6. マノレク 30.50. マノレク 000 0, 0 1. 200 1,. 0 0 0 55,. 44.17. 000 8, 0 1. 400 1,. 0 0 5 7, 4. 50.36. 000 8, 1 1. 600 , 1. 000 43,. 53.12. 000 8, 2 1. 800 1,. 000 0, 4. 55.00. 000 9, 3 1. 000 2,. 500 8, 3. 55.75. 000 0, 5 1. する。 かれによれば,この結果は..,通常の場合にとって十分な精確性を有 について つぎに, 逓増原価 の分解は ,表 1の逓増原 価の部分 (表 5に再記) 説明される。 表 操業度. 総原価. 5 生産物単 位当り原 価. 単位 800 2,. マルク 000 210,. マルク 75. 200 3,. 000 256,. 0 8. 600 3,. 000 324,. 0 9. 000 4,. 000 0, 0 4. 0 0 1. 200単位の場 合とを比 べると, 生産量の 差は 400 800単位の場合と 3, 操業度 2, 000マノレクだから, この 2つの操業 度の聞に おける比 例 6, 単位,総 原価の差 は 4 的部分は,. 000マルク +400単位 =115マルク, 生産物単位当り!で・は, 46,.

(23) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑372 ー. 558. 第 53 巻 第 2号. 操業度 2, 8 0 0単位のときの絶対額では 1 1 5マルク x2, 800単位 =322, 000マルク である。 ところが, このとぎの総原価は, 2 1 0, 000マルクに過ぎないから, 固定的部分は, 2 1 0, 0 0 0マルク ‑322, 0 0 0マ ル ク =‑112, 0 0 0マルク すなわち 1 1 2, 0 0 0マルクの収益となる。 乙のような計算を,上表の隣接するすべての操業度聞について行なえば,表. 6が得られる。. 6. 表 操業度. 生産物部単位分当り 比例的. 総原価. 単位. マルク. 第! 2, 800 層 3, 2 0 0. 層 3, 6 0 0. 層 4, 0 0 0. 2 5 6, 0 0. 3 2 4, 0 0 0. 4 0 0, 0 0. マノレク. 1 1 5. 1 7 0. 1 9 0. 比例的部分 マノレク. 固定的部分 マノレク. 3 2 2, 0 0 0. 0 0 0 ‑112,. 3 6 8, 0 0 0. 000 ‑112,. 5 4 4, 0 0 0. 0 0 0 ‑288,. 6 1 2, 0 0 0. 0 0 0 ‑288,. 6 8 4, 0 0 0. 0 0 0 ‑360,. 760, 0 0 0. 0 0 0 ‑360,. この結果を用いて逓減原価の場合と同様の手続きを踏めば,各操業度におけ る l組の総原価分解値が得られることは明らかであろう。 以上のように逓減原価および逓増原価を分解する乙/ュマーレンバッハの意図 は,生産物 1単位当りの値を求めるところにある。この値をかれは比例率と呼 ぶ。われわれは, これが,いわゆる限界原価と同じ性格を有することに注意し. ( 4 0 ) 以上に説明した,原価分解についての νュマーレシバッハの論述は,それが明解で. なかったためもあっ て,論争を引き起した。これについては,次を参照せよ。田島前 掲替 1 7 7 ‑ 1 9 2ページ。 l.

(24) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 5 9. [""原価計算 I Jにおける νュマーレシバッハの技術論的経営経済学. ‑373‑. L ν ュマーレンバッハが以上に示した原価分解の手続きは,. なければならなれ. 限界原価を近似的に求めるための手続きをなすのである。 志/::1.マーレシバッハがこのように比例率を求めるのは,. これを計算価値とし. て用いるためである。このことを,かれは,逓増原価の場合,逓減原価の場合 の順に説明する。 ( 例 1)逓増原価の場合. 00トシで操業しており,このとき ある採石業者が,その正常給付能力の臼産 2 のトシ当. 3 2 保価は 4マルクである。かれは日産 2 50トシまで操業しうるが,そ. 0トシについては,一様にトン当り 5.5マルクの追加的原価 のとき増産される 5 .5マノレクがこの増産の場合の比例率である。 が必要である。との 5 これまでは日当り 2 0 0トンの石材がトン当り 5マルクで販売されていた が,いま,市場がこれ以上の販売を要求するとする。このとき,日産 2 00トシ. . 5マノレク未満の価格で販売することは,私経 を超えて生産される石材部分を 5 済的見地ばかりか,共同経済的見地からしても誤りで怠る。なぜなら,そうす. .5マルクに満たない消費者が吸引 れば,当該石材部分についての効用価値が 5 され,財の浪費が生じるからである。そこで,販売者は,その給付に対して比 例率以上の価格を要求しなければならない。. ところで,. νュマーレンバッハは,この価格を,正常給付能力を超えて生産. ( 4 1 ) Vgl .H e i n r i c hv o n5 t a c k e l b e r g,G l u n d l a g e ne i n e rr e i n e nK o s t e n t h e o r i e, 5 5 .1 1 6 ‑ 1 1 7,1 1 9 . また,とのととは,中村常次郎教授によっても,明解に説明さ れている。中村常次郎稿「共同経済的経済性の基準ー一一 νュマーレシパツハ的「経営 0巻3 号 , 1 9 5 1年 , 48‑49ページ(註) 経済学j の成立一一一 J ~福島大学経済学論集.] 2 を参照せよ。また, この意義については, H.v .5 t a c h e l b e r g,a . a . 0 ., 5 . 1 1 7,お よび中村常次郎稿「ジュマーレシパッハ批判一一共同経済的経済性の規準(ニ)一一」 0巻4 号 , 2 9 6ペ ージを参照せよ。 『福島大学経済学論集J2 ( 4 2 ) νュマー νシパッハは,とれを立方メートノレ当りとしている ( V g l .E . 5chmalen・ b a c h,a .a .0 .,5 .3 2 2 . ) が,われわれは,とれをトシ当りと修正して,かれの 論述の他の部分と整合させることとする。とのことについては,次をも参照せよ。田 島壮幸前掲番 1 9 3ページ。 l.

(25) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 6 0. 第53巻 第 2号. ‑‑374‑. される石材部分のみに要求するわけではない。かれによれば, とのような要求. Gedankenu b e r をなすひとは,純粋経済学的研究の中に,社会的公正の思惟 ( s o z i a l eG e r e c h t i g k e i t ) を導入しえないひとである。総原価が逓増する操業. . 5 0マルク以上の効用価 度をもたらす程の需要の場合には,買い手のすべてが5 値をもっ用途にのみ石材を用いなければならなし、。このよろな用途を見い出し えない買い手は排除されるべきである。そこで,すべての買い手が少なくとも 比例率に等しい価格を支払ろか, さもなければ買い手は売り手に対して過度の 操業の要求を止めるべきである。. 0 0トンを超える給付のみ 乙/ュマーレシパッハによれば, この結論は, 日産 2 についての結論と異なり,共同経済的見地からのみ導かれるものである。そこ でいう。. r 価格問題を何よりも所得の問題として考察するものは,. 当然なが. ら , これとまったく違った結論を引き出すことになる。」 さて,乙/コマーレンバッハによれば,比例率は,ある経営が他の経営に対し て給付を販売する場合のみならず, 自家消費の場合にも,計算価値として用い られなければならない。かれによれば経営は複数の下部経営. ( U n t e r b e t 咽. r i e b e )から構成されており, し た が っ て 経 営 の 総 原 価 は , これら下部綴営 の原価である個別原価 ( E i n z e l k o s t e n ) から構成されるのであるが, この個別 原価についても,それぞれ比例率が計算されうる。そして,下部経営の聞で給 付の交換ないし振り替えがなされるとき,各下部経営は,その比例率を振り替. d i eV e r r e c h n u n g s p r e i s e ) の基礎として用いなければならないのであ え価格 ( る 。 このようにして,比例率は,販売価格ないしこの意味?とおける国民経済的価 格の場合のみならず経営の下部経営がその給付を相互に!振り替え計算する. B e t r i eb s p r e i s e ) の場合にも用いられる。かれによれば,か ための経営価格 ( れが逓増原価の場合について販売価格に関し℃述べたことは, 価格に関しても当てはまるのである。. そのまま経営. νュマーレシバッハは,逓減原価の場合. ( 4 3 ) E. S c h m a l e n b a c h,a .a . 0.,S . 323..

(26) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 6 1. 1 " " 原 価 計 算 IJ における V ュマーレシパッハの技術論的経営経済学. ー375ー. をまさに経営価格について例示する。 ( 例 2) 逓減原価の場合 ある工場が自家用の橋を有し, これを利用して輸送を行なっている。この総 原価は,橋の維持費,減価償却費,利子およびその他すべての輸送原価を含め て,一定時間単位につき,輸送貨物量 1 0 0, 000トンで 2, 500マルク,同 200, 000 トンで 2, 600マルクとする。これについて原価分解を行なえば,次のよろにな る 。 輸送貨物量 トン. 固定的部分. 比例率(1, 000トン当り). マノレク. 1 0 0, 000. 2, 400. 000 200,. 2, 400. マルク. 現在の輸送貨物置は 1 5 0, 000トンであり, この 1, 000t:y当り平均原価 1 7マ ノ レ クが下位経営に対して利用価格として課されている。. 1 5 0, 000トシの他になお 40, 000トンの需要が存在するが,. この場合,. 現在輸送量. とれは, 1, 000トシ当. り 1マルクの価格しか負担しえないがゆえに充足されていない。だが,. この. 4 0, 000トンは,比例率以上の効用価値を有するのだから充足されるべきであ る 。 この(例 2) で述べた考え方を,. νュマーレンバッハは次のようにも説明す. る。炉に火が燃えているとき, この火を活用して洗い湯を沸かすとすればこの 湯にも燃料費が課せられるべきであり,このようにして計算された洗い湯の原 価を考えれば洗い湯は節約されざるをえない, と請うるひとがいう。これに反対 して主婦はいうであろう。1"だって,火はそれでも燃えているではありません か」と。かれによれば,この言葉は計算価値に関する主婦の確信を反映してお り,この確信は,多くの学識ある原価計算者の確信よりも根拠を有する。 ところで,逓減原価の場合については, νュマーレンバッハは,同ーの比例 率が,すべての需要に対して要求されるべきか否かを明らかにしていない。 以上の説明からすれば,逓減原価の場合については,ジュマーレンバッハは..,.

(27) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑‑‑376 ー. 第 53巻 第 2号. 562. 輸送貨物量 1 5 0, 0 0 0トンのときの総原価が 1, 0 0 0トン当り 1 7マルクの平均原価に 等しい価格によって補償されている状態を前提し,付加的輸送貨物量のみにつ いて,これが新たにもたらす単位当り原価すなわち比例率をその価格として要 求し,これと収益とを比較して付加的輸送を認めるべきか否かを論じているよ ろにも思われる。 だが, とのような解釈は,かれが(例1)に関して述べた社会的公正の思惟 と一致しえない。逓増原価の場合の例からすれば,われわれは, νュマーレシ. l2) においても同ーの比例率 1, 0 0 0トン当り 1マノレクを,すべて バッハが(初i ( 4 4 ). の需要に対して等しく要求するものと解せざるをえないであろう。 さて,われわれが,以上の(例1)および(例 2) について注意するべきこ とは,比例率としての価格が,利潤機会の放棄さらには赤字をさえもたらしう ることである。(例1)において,需要が増加したがすべての買い手が比例率. 0トンについては買い手 以上の価格を支払いうるわけではないとき,例えば, 3 は5 . 6マルクをを支払いラるが 2 0 0トンについては買い手は 5 . 3マルクを支払い うるに過ぎないとき, 3 0トンについては5 . 6マルク, 2 0 0トシについては 5 . 3マ ルクの価格を要求すれば,採石業者は 2 6 3マルクの利益を得る。だが. vュマ. ーレシバッハは,このような価格でなく,買い手のすべてが支払いうる lつの 統一的価格 5 . 3マルクを要求する。この 5 . 3マノレクは増産に伴う追加的原価ない し比例率を補償しえず,したがって増産はなされない。この場合の採石業者の 利益は 2 6 0マルクであり,かれは,増産を断念することによって. 3マルクの. 利益を放棄することになる。 次に(例 2) の場合,新たに充足されるべき 4 0, 0 0 0トンの需要が負担しうる 価格に合わせて, 1 , 0 0 0トシ当り 1マノレクの価格をすべての需要に対して設定す. 4 0 0・マルクの赤字となる。 れば, 2, 以上のような利潤機会の放棄さらには赤字こそ,. νュマー νンバッハのいわ. ( 4 4 ) 田島教授によれば,V ュマー νンパッハは第 5版においてこのととを認めている。 (田島前掲書200ページを参照せよ).

(28) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 5 6 3. r 原価計算 IJにおける V ュマー νンパツハの技術論的経営経済学. ‑‑377 ー. ゆる社会的公正の思惟からする,または共同経済的見地のみからする経営の価 格設定の効果に他ならない。このような効果をもっ価格設定が,経営の経済性 をそれが生み出す価値余剰に求め, この値を利潤として計算しょラとする νョ マーレンバッハの行き方と整合的であるかは問題であろう。かれのこの行き方 からすれば,利潤機会を活用する価格政策こそ要求されてしかるべきものであ ると思われるのである。 それはともかく,. 上記のよろな効果を伴う価格設定を要求することによっ. て,乙/:1.マーレシバッハは,具体的に何を達成しよろとするのであろうか。こ の問題を考察しようとするとさ,われわれは,次の ζ とを看過しえない。. νュ. マーレンバッハが,本節においてわれわれが紹介したその論述を始めるに当っ て,経営における原価の逓減と逓増とを明らかにすることは原価計算の責務で あり,逓減原価で活動し℃いる部分を十分に働かせ,. 逓増原価で活動してい. る部分の負担を軽減することは,製造計画の選択および価格政策の責務である と述べるとともに,かれの原価計算論がこれら経営経済学の重要課題に尽くそ. ν ;コマーレシバッ. うとするものであることを言明していること, これであさ. ハのこの言明は,,'経営の価格設定に関するかれの主張が,経営の正常操業度を ( 剖 〉. 達成するという観点から導かれていることを示している。かれは(例1)の 逓増原価ないし過大操業度の場合には操業度の軽減を(例 2) の逓減原価な いし過小操業度の場合には操業度の増加を要求し,かくして,正常操業度を達 成しようとしているのである。 このよラな正常操業度の達成について,. われわれは,. ジュマーレシバッハ. が経営の総原価とこれを構成する諸々の個別原価とが必ずしも同一の動き を示さないととを指摘し経営の正常操業度の段階で強い逓減的個別原価が 存在し場合によっては同時に逓増的個別原価が存在することを,. この経営の. 構成の欠陥として理解していることをも考慮しなければならない。かれはい う 。. 1このような経営の製造計画には欠陥がある。すなわちその操業の構成は. ( 4 5 ) Vgl . E. Schmalenbach,a .a . 0.,S .2 8 4 . ( 4 6 ) E. Schmalenbach,a .a . 0.,S .2 9 4 ..

(29) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 3 巻 第 2号. ‑‑378‑. 564. 不良である。このよろな経営は,その逓滅的部分をより強く, その逓増的部分 をよ灼弱く操業させるような諸ー製品を製造しなければならない・ …・。」そし 1. てJ かれによれば,そのために注文を正しく構成することが,製造計画および. k a l k u l a t o r i s c h eB e t r i e b s l e i t u n g ) 価格設定の責務ないし原価計算的経営管理 ( の重要な課題とされるのである。 とのよろな論述からすれば,経営の正常操業度を達成するということは,よ り正確には,諸々の下部経営の正常操業度を達成しつつ l経営の正常操業度を 達成することを意味するといいうるであろろ。比例率としての計算価値は,こ のような課題を達成するために経営が価格として設定するべき「原価の評価値で ある。 以上において,志/ヱマーレシバッハは,個別経営が設定するべき「価格を問題 とした。この価格は,個別経営内部において下部経営が他の下部経営に対して 設定するべき振替価格ないし経営価格と経営が外部の消費者に対して設定 するべき販売価格とに分かれたのであるが,われわれは, このうちの後者が, 国民経済において成立する価格とは必ずしも同ーではないことに注意しなけれ ばならない。国民経済における価格の成立は経営の事情のみでなく,. ζれ. と競争関係にちる他の経営および消費者の事情をも考慮してはじめて論述され うるものだからで認。特定の経営の設定する価格が直ちに国民経済において 成立しうるのは,一般に,この経営が強力な独占的地位を有する場合のみであ るととが注意されなければならない。 ところで. vュマーレシバッハは. r 原価計算 1Jにおいて国民経済におけ. る価格の形成ないし成立の問題をも論じている。 そこで,われわれは,次にこ l. のことに関するかれの論述を尋ねるととにしよう。. V I 国民経済的価格形成と計算価値 志/コマーレシバッハは,国民経済における価格形成につい て,国民経済学に 1. ( 4 7 )V g ! .E .S c h m a l e n b a c h,a .a .0 .,S . 3 51 ..

(30) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 565. 原価計算 I Jにおける νュマーレシパツハの技術論的経営経済学. 一379ー. おけるクイーン学派の価格理論を取り上げる。かれがここにクイーン学派の価 格理論として取り上げるものは,限界効用理論 ( Grenznut z e n t h e o r i e ) および とりわけ限界対偶理論 ( T h e o r i ed e rG r e n z p a a r e )である。この 2つを,かれ は,次のよラに説明する。 絶対的稀少性をもっ財,すなわちその供給量が絶対的に限られている財,の 価格を決定する主たる要因は,自由な市場においては, この財の使用価値ない し効用と締少性である。この財の価格は,その需要が満たされる購買者層のラ ちでこの財に対しく最も小さい効用をもつものの効用によって決まる。(限界 効用理論) だが,一般には,財の供給量は絶対的に限られ:ているわけではない。通常の 再生産可能な財の場合には,価格が引き合うものである限り財の生産が行な われる。すなわち稀少性は相対的である。いま,このような財について,正 常な企業者利潤 ( d e rnormaleUnternehmergewinn) を含むその生産原価が 一定であれば,価格は生産原価を超えることができない。なぜなら,価格が生 産原価を超えれば,より多くの生産が行なわれ,直ちに価格が下落するからで ある。 だが,生産原価は,通常,一定ではない。財の生産の増加は,より高い生産 原価をもっ,またはより高い企業者利潤を要求する新しい生産者層の活動を必 要とする。この生産者層は,より高い価格を要求する。他方,購買者は,価格 が高くなる程脱落し,その需要は満たされない。かくして価格は,その需要が 満たされる最後の購買者層と実際に生産をなす最後の生産者層との閣で決定さ れる。換言すれば,それは,限界需要と限界供給とが一致する点で決まるので ある。(限界対偶理論〉 己/ュマーレンバッハによれば,限界対偶理論は,古典的国民経済学の価格理 論と異なり,価格が生産原価によって直接に決まるわけではなく,これから事. ( 4 8 ) 本節における志/コマーレンパツハの所論は,主とし て,次による。 t. .a .0 .,8 8 . 332‑347. b a c h,a. E . 8 c h m a l e n ‑.

(31) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑‑380ー. 第5 3巻 第 2号. 566. 離しろることを明らかにする。例えば,需要が増加したとき,新しい生産者層 が生産に参加しまたは既存の生産者層が増産すれば,ひとはことに生産制約の 克服を理解しうるのであるが,この生産制約は時に大きしそのため生産の増 加が生じないことがある。この場合に,限界対偶理論は,価格が実際に生産を なす最後の生産者層の生産原価より高い値になることを教える。また,それ は,ある財の需要の 1部が突然失われたとき,その価格が生産原価の水準より 低くなるととをも教えるのである。 さて,乙/コマーレシバッハは,. クイーン学派のこのような価格理論が計算価. 値の原則 ( d i eR e g e l nd e sK a l k u l a t i o n s w e r t e s )と一致する点をもっと主張し これを次のように説明する。例えば,ある財の供給が何らかの理由で減少すれ. W i rt s c h a f t 1 i c h e ば買い手の 1部が脱落せざるをえないのであるが,経済原則 ( G r u n d s a t z e ) としての計算価値の原則に従えば,この脱落者は,当該財に対 して,相対的に小さい効用をもつものでなければならない。このことによって 当該財は,これに対して相対的に大きい効用を有する買い手に供給され,共同 経済的に見て財の浪費が防がれるのである。限界対偶理論は,需要と供給とが これまでより高い価格で均衡することによって,経済原則の要請する供給がな され,財の浪費が防がれると とを教える。 i. これを要するに,志/ュマーレシバッハは,限界対偶理論における価格が国民 経済における財の用途選択の基準となり財の浪費を防ぐ点に,ワィーシ学派の 価格理論と計算価値の原則との一致点を見い出すのである。そして,かれは, ととにおける価格を国民経済の計算価値として理解することになる。 ( 4 9 ) i /'"マーレシパッハによれば,計算価値は,少なくとも近似的に,すべての有機体 に存在しなければならないのであり,したがって有機体の 1つとしての国民経済にお いても,存在しなければならない。そして,国民経済を,諸々の個別経済から構成さ れる有機体にするものは,慣習と,民法および商法とによってとりわけ代表される法 律である。 かれによれば 1つの国民において,諸々の個別経済の結合が不適切なため,全体 福祉がある限度以上に疎かにされると,その国民は衰退する。との国民の衰退は,経 済的給付能力の高い他の国民が存在する場合には,加速される。そして,最も経済的 な国民が、長期にわたって,他の国民を抑圧する ζ とになる。とのような認識から, i/",マーレシパッハは,国民経済において諸々の個別経済を適切に結合するべきもの 重視し,とのような計算価値として価格を把握するのであ として,計算価値をとくにE g l .E . 8 c h m a l e n b a c h,a .a .0 .,8 8 .332.‑333. る 。 V.

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