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第二十九巻第由号    責任保険における﹁第三者﹂の地位  

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(1)

第二十九巻第由号    責任保険における﹁第三者﹂の地位  

一 高法六六七条に 関・する 山 考察−1  

明   中   正  西  

一序 L説  

 商法六六七条の意義及び﹁第三老﹂の地位に関する従来の学説  

三▲ 私  見   

第一暫任保険の保険額政  

界二 外国法制   

第三 被保険者の権利と﹁第三者﹂の権利1﹁優劣﹂の問題  

︹附︺商法六六七条ほ保管者の茸任保険限りのことであるか  

第四 賀任保険請求権  

H 免脱請求栃 村 保険金請求権  

第五 保険者に対する﹁第三老﹂の権利  

四 結  語    ︵三三六︶  仙八  

(2)

︵1︶  

の風俗に反するものと考えられ︑﹁過失なき災害だけが保険による保護の対象となりうるという揺がしえない保険  

の道徳的原則﹂に対し︑﹁過去なき災害は填補されず︑過失ある場合にのみ填補請求権を生ずるという新らしい原  

人2︶  則﹂′によるものとして非難された︒責任保険に対する疑惑の念が漸次弱くなつて来たのは十九世紀中葉以降のこと  

である︒その際責任保険の社会的承認な導くに与って力があつたのは︑加害者が充分の賠償能力を有しない者であ       ︵ 3︶  る場合匿は︑責任保険のみが被害者に現実の補償を与えることができるといケ事実であつた︒責任保険がはじめて  

確固たる地位を占め・るに至ったのはフランスにおいてであつて︑一八四五年七月山口のパリ控訴院判決がそ.の効力  

を認めて以来のことである︒それ以後責任保険ほまずフランス紅おいて斬らしい種類の保険として漸次発達し︑時  

代が下るに従い︑フランス以外の諸国においても︑フランスの影響の下に︑或ほそれとは独白に︑責任保険の利用  

︵4︶  

がはじまり︑責任保険は近時著るし小隆盛をみることとなつた︒この発展の申紅あつて︑責任保険は︑多くの場合  

︵5︶  

触過失損害賠償責任主義の裏打ちたるの役割を果して来た︒しかし責任保険誕生当初存した疑念は未だ完全になく  

なつているわけでほない︒このことは︑今日なお若干の国が被害者に対して負う債務額の〟部ほ被保険者が必ず自  

らこれを負担すべしとの原則 ︵いわゆるOb−igatOriscFer︵Sch乱en⊥Se−bstbeha−t︸d打Ou紆rtOb−i的atOir2︶ を  

︵6︶  

守っているのを見るも明らかであろぅ︒   

責任保険は︑被保険者たるペき者の利己的な立場かち見ても︑有用な制度であることは確かである︒しかし︑前  

︵7︶  

にも二言したように︑責任保険制度是認の端緒と克ったのほ第三者保護の思想であり︑責任保険が多くの国で盛ん  

に利用されるに至ったのも︑それが第三者の利益を保護するという機能をも果七えたからである︒責任保険は︑多  

くの場合︑無過失損害賠償責任主義︑戎ほ純然たる過失主義よりほ高度な責任原理の発展と相表裏して発展して釆   

︵8︶  

た︒責任保険の利用によつて︑山方高度な責任を課せられる者をしてそれによる損害を保険者に転修することをえ  

︵三三七︶ 山九   賓任保険における﹁第三者﹂の地位  

(3)

しめ︑他方被害者たる第三者には︑﹁自己に有利な判決という紙きれの上の賠償に止らずして︑現実の賠償﹂をえ  

しめることができる︒そして今日の若干の責任保険において軋︑この第二の面︑すなわち︑第三者をして現実の賠  

償をえしめるという面が強く前面に出されている︒各国における若干の義務保険制度の導入はこのことを如実に物  

︵10︶  

語っている︒責任保険をこの方向に利用するため︑各国ほまた︑第三者が何らかの形において保険請求権笹特別の       ︵ 

11︶  

力を及ぼしうるよう︑種々の配慮を講じて来たのである︒   

かくの如くにして︑第三者ほ責任保険に射し極めて密接なる関係を有する︒わが商法は夙にこの点に特別の注意  

を払い︑特に保管者の責任保険につき︑諸外国の立法に先んじて︑第三者に保険者に対する切直按の請求権を与え  

るという措置払出た︵現行商法六六七条︶︒また最近においては︑自動車損害賠償保障法も︑同法の規定にもとず  

て自動車保有者の責任保険につき同趣旨の規定を匿いた︵同法山六条議︶︒しかしながらわが国払おいては︑責任  

保険の利用は従来必ずしも盛んではなく︑責任保険は充分の形において発展せしめられているとはいえないのでほ  

︵12︶ ないかと思われ一る︒また学説上も︑責任保険についての研究は従来必ずしも充分ではないようであって︑すでに商  

法六六七条の解釈につき意見が破れているという状態である︒商法六六七条は︑後にも述べるように︑実靡ユの必  

要から︑従来の一般理論からすれほ変則的な︑従って体系的完結性を欠く法則を特に認めようとするものであるか  

ら︑そのことが問題の論理的な解決を二見やや周難にしていること√は否定でせない︒しかし自動車損害賠償保障法  

は︑白動車保有者は︑自動車事故よ・り生ずべき人的損害についての損害賠償責任につき︑必ず責任保険契約を締結  

すべきものとしている︵同法五条︶︒これによかも資任保険ほわが国においても今後その重要性を増すことであろ  

う︒それのみならず︑最近各種の方面匿おいて責任保険の利用が漸く盛んになろうとしつつあるかの如くである︒  

この点にかんがみれば︑右の如き学説の状態はまことに遺憾なこととしなければならない︒本稿は︑直接的には︑南緯    ︵三三八︶ 二〇  第二十九巻 第四日つ  

(4)

六六七条の解釈に関するが︑同時に︑出来うべくんは責任保険に対する基本的視点を得ることをも目的としている︒  

述ぶる守ころはもとより私仙個の見解︑それもいわほ仙つの試論であって︑独断にわたるところが少くないであろ  

うことを惧れる︒大方の御叱正を賜ることができれば幸甚である︒   

︵1 

A∽SekuranミaFrb亡CF−讐声S.−薫なお︑以下文献の引用にあたっては︑Haftp芸cht諾r乳c訂rung ほこれをHPく.と  

略記する︒   

︵2︶ l◆ 言n Gierke﹀HP声 und iFre Zuk亡nft︶ ZHRr 切d●′昌一S■00   

︵3︶ WaEeaa〇.  

︵4︶ Ma層S.HPく●︸−宮戸 S● ∽叫∴叫.つOnGierkeu aa〇二S・巴・   

八5︶ 野津務・保険法︵新法学全集︶ 二七六貢︑野田良之・フランスの責任保険法︑法学協会雑誌五六巻一九貞以下︑大森忠夫  

保険契約の法的構造二〇六東︑宅aEe﹀aaO:∽・−ら∴Picard2tBes㌢n.Traitかgぎ野a−des一a溜uranCeSt2rreStreS●  

tOme目−−思∽.n・−おet suiく∴宍02nig−Schwei詣risches Pr肯at諾rSic訂rungsrecぎ︶−辞−﹀S・たた・なお小町谷  

操三・保険制度が民事責任に及ぼす影響︵田中排太郎博士還暦記念論文集一九五頁以下︶︑及び間松参太郎・無過失損害  

賠償責任論の新版虻附せられた我妻教授の序文参照︒   

︵6︶ 例えばオーストリー保険契約法二山山灸︵遥1.daNu Ebre雲We−gu <ersic訂rungsくertragSreC芝︸ S.食卓 S・3−.︶︒わ  

が自動車保険普通約款二条二号は︑保険者が項補する﹁損害賠償金直関する損害﹂は被保険者が支払うべき賠償金の四分  

の三であると七ている?船舶保険衝突損害購濾金填補条項一条︑航空保険損害賠償責任担保特約条項二琴も同様である  

︵なお︑伊沢・自動車資任保険︑法学八森二八〇頁参照︶︒これらは勿論︑さもなくば︑被保険者の側に︑第三者の利益を出  

来うる限り守るという意識が︑ともすれば減少するおそれがあるという考慮にもとずくものと考えられる︒なおこの点に  

−  

責任保険における﹁第三者﹂の地位  ︵仁一三九︶ 二心   

(5)

第二十九巻 第四号  

︵三四〇︶ 二二  

っき︑大森忠夫・フランス保険契約法︵現代外国法典双書︶ ∵U六・山〇七頁︑加藤劃郎・自動車損害賠償保障法案︑ジ  

ュリスト八六号五九頁︑小田垣光之輔・自動車損害賠償保障論一二四貢参照︒   

︵7︶ 言葉の問題であるが︑雷任保険がカバーすべき被保険者の着任の相手方︑・例えば保管者の背任保険の場合の所有者︑日動  

蕃保有者の密任保険の場合の自動黄事故の被害考を本稿でほ﹁被害竜虎る第三者﹂または単に﹁第三者﹂と呼ぶ︒   

︵さ︶ こ二貝註︵5︶参照︒   

︵9︶ ROe宇Jaeg2r︐只Ommentar2mScbくくGこ N.Bdこー諾Nu S.∽声   

八望 とく紅自動車保有者の義務保険制度については︑例えば加藤・前掲論文ジュリスト八六号五九頁参照︒なお伊沢・前掲︑法   学八巻五〇二頁以下参照︒   

︵11︶ この点についてほ三の第二においてやや詳しく述べる︒   

︿望 わが国従来の各種背任保険の普通約款ほ︑すべて︑被保険者が讐一名に対しその債務を履行したことをもって︑保険請求  

権発生の条件としている︵例えば自動車保険普通約款二条二号︑船舶保険衝突損害賂倣金頭補条項妄︑航墾保険損害賠  

償責任担保特約粂項一条︶︒この点につき後述三三頁以下参照︒しかし自動車損害賠償﹂背任保険普通約款についてほ︑自  

動車損害賠償保障法三条議との関係において︑別に考えなければならない︵後述喜︒また本年六月言認可された  

組立保険普通約款ほ必ずしも右の立場によらない趣旨の如くである︵同二条二号参照︶︒  

二   

右に言したよう紅︑責任保険は第三者の保護という作用を果しうるが故に今日の隆盛をみた︒元来︑第三者ほ責  

任保険請求権について︑他の種の保険においてその保険請求権につき利害を有する契約外の第三者︑例えば火災保険  

をつけられた建物につき抵当権を有する眉︑よりも遥かに密接な関係を有する︒けだし責任保険においてほ︑保険   

ン/_ 〆・ノ   

(6)

請求権の発生虹ほ少くとも被保険者が第三者に対し責任を負担したことを必要とし︑それは第三者が損害を蒙った  

︵1︶  

ことを前提とするからである︒従って︑被保険者が第三者の満足以前に保険金の支払を受けた場合︑被保険者がそ  

れを第三者の満足に充てるべきである︑ということは︑少くとも第三者の側から見れほ︑当然の要請でなければな  

らない︒従ってまた︑この際第三者が当該保険契約より生ずる利益を自己に帰せしめるよう︑自己の名において直  

接保険者に請求しうるものとすれ閥︑それほ第三者にとって好都合であることは勿論︑責任保険に内在し︑かつ今  

しこれでほ︑特に被保険者が充分の資力を召しない者であゆときほ︑保険請求権乃至は保険金が被保険者の他の偵   日それに課せられているところの任務をより簡明匿果さしめる所以ともなるであろう︒   

しかしながら︑従来の契約法の一般理論からすれば︑かかる結果は当然これを認むることをえないのは言うまで  

むない︒すなわち︑責任保険契約は自己又は被保険者たるべき者が第三者に貴任を負担するに至るべきことを限れ  

それ軋つき保険による保護を得たいと望む保険契約署と︑それにつき保険を与えることを引受ける保険者との間に       血V  

締結されるものであって︑被保険者の負担すべき責任の相手方たる第三者をもって直ちに被保険者とするものでは  

ない︒また賓任保険契約にあってほ第三者に直接保険者笹対する権利を与えるという合意が契約当事者間に常に存  

在するとほ見ることをえないであろう︒従って︑茸任保険契約は被害者たる第三者を被保険者とする﹁他人のため  

にする保険契約﹂ではない︒かぐして︑第三老ほ保険者鑑対し直接保険金の支払を求めえないのは勿論︑保険請求  

︵2︶  

権についても譲受・賀取・差押等の行為に出ない限りは︑何ら特別の力を及ぼすことが出来ない道理である︒しか   

纏者の自由なる攻撃にさらされる結果︑第三者の地位はすこぶる安全を欠くこととなり︑賞任保険につき第三者が  

有する経済的に極やて密接な関係が法的にほ全く顧慮されないほかりでなく︑今日責任保険が果すべきものとされ  

ている作用が完うされないこととならざるを得ない︒また被保険者が破産宣告を受けた場合に︑第三者ほ保険請求  

︵三四一︶ 二三   責任保険旺おける﹁第三者﹂の地位  

(7)

第二十九巻 第四号  ︵三四二︶ 二四  

権について何らの優先的地位をも有せず︑保険請求権ほ破産財団に属するものとすると︑第三者はその請求額の一  

部の満足を受けるに止るに反し︑他の破産債権者ほ被保険者の例えば不法行為から利益を得られるという︑いささ       ︵ 3︶  か公平を欠く結果となる︒   

わが商法は早くからこの点に閲し︑特に保管者の茸任保険について︑特別の考慮を払って来た︒まず旧商法六六  

〇条は次の如く規定する︒﹁動産又ハ不動産ハ賃借人用益老若クハ受益者ソノ他ノ資格ヲモツタ之ヲ占有ン叉ハ保  

管スル者ニオイデ白己ノ利益ニチ′モ所有者ノ利益ニチモ之ヲ保険二付スルコトヲ得但執レノ利益ニテ保険千村レタ  

ルカニ付疑アルトキハ自己ノ利益ニテ保険テ付シタルモノ卜者倣ス︵以←議︶自己ノ利挙−テ保険二付︶ウル場  

合二在テハ第一二被保険者自己ノ損害テ充テンカ為次工所有者二対スル自己ノ責任二充テ・ンカ為保険一石レタルモ  

ノ卜者倣ス其貴任・ニ充ツル被保険額ノ部分二対シテハ被保険者ノ債権者ハ総テ請求権ヲ有セス︵以上二項︶﹂︒この  

第二項の規定ほ︑﹁被保険者が所有者虹対する責任紅充りべき保険金額についてほ︑所有者のみがその利益を草く  

︵4︶  

べきであって被保険者の他の債権者は所有者に均零すること﹂が出来ないとしたものである︒新商法四二一条ほそ  

れを更紅進めて﹁賃借人其他他人ノ物ヲ保管スル者力其支払フコトアルヘキ損害賠償ノ為其物ヲ保険二村レタルト  

︵5︶  

キハ所有者ハ保険者二対レ直接二其損害ノ填補ヲ請求スルコトヲ得﹂と規定した︒現行商法六六七条である︒吏に  

自動車損害賠償保障法仙六各二項も同様に︑﹁保有者の損害賠償の責任が発生したときは︑被害者は⁝:・保険会社  

に対し︑保険金額の限度に.おいて︑損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる﹂と規定している︒  

これらは何れも被害者たる第三者に直接保険者に灯し保険金を支払うべきことを請求する権利を認めたものであっ  

て︑これによって第三者の地位がすこぶる有利なものとなったことは明らかである︒   

しかしながら︑商法六六七条の解釈︑就中同条によって認められた第三者の保険者紅対する直接の請求権と︑元   

(8)

来被保険者が有する保険請求権の間の関係如何については︑学説がわかれて・いる︒また︑同条がひと少保管者の安  

住保険のみに関するものであるか︑それともひろく責任保険一般に及ぼさるべき法則であるか︑という点につい七  

も︑学説ほ必ずしも二致していない︒われわれの議論を進めるに先立ち︑ここ紅従来の学説を概観して︑それぞれ  

についてわれわれの疑問の二三を提出することとしよう︒   

築山の点についてほ学説は三つ軋岐れる︒まず︑第三者の請求権が優先する︑とするものがある︒例えば松本博  

士ほ次のように説かれる︒﹁商法四二㌻条の保険における所有者の請求権ほ便宜のため法律の規定によりて特に創  

設せちれたるものとすれば︑此権利を生じたるの故をもって保管者が被保険者として保険者に対して有する権利が  

消失すべきの理由なし︒同条中保管者の権利を剥奪するが如き文句を発見すること能わざるのみならず︑仮し保管  

者の権利を剥奪する以上ほ其範囲においてほ所有者の保管者に対する損害賠償請求権をも剥奪せざるべからず︒然  

らざれほ保管者は依然として損害賠償義務を負ひて而も保険者に対する権利を失うものとすれは︑其利益は却て傷  

嘗せらるるの恐れあるべし︒何となれば保険者に資力なく保管者却て資力を有する場合あるべく︑此場合には保管  

者に損害賠償を請求するを利とすべければなり︒故に解釈上保険者に対する保管者の被保険者たる権利と︑所有者  

の四二仙条の規定に依る権利とは両々併存するものと論結せざるを得ず︒是においてか︑両請求権問に順位なきか︑  

若し競合し▼て両請求傾が行使せられたるときほ何れに対して弁済すべきかの問題を生ずべし︒而して此問題を解決  

すべき法文直接の根拠なきを以て︑或ほ両請求権聞砿ほ順位の観念なく保険者は其何れに弁済すべきかの選択権を  

ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ  有するとの説を生ずることあるべし︒然れども︑元来保管者の受くる損害は自己が所有者に損害を賠償するに因り  

ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ  てのみ現実に発生するものなるを以て︑保管者が先ず所有者に損害の賠償を為したるときは︑保険者に対して其損  

害の項補を請求することを得べきも︑然らざる限り′は所有者のみが保険者に対して有する権利を行使することを  

芸任保険におけるm第三者﹂の地位  ︵三四三︶ 二五   

(9)

第二十九巻 第四号  ︵三四四︶ 二六  

得るものと解せ.ざるべからず︒換言すれば︑所有者の請求権は保管者の請求権に優先するものにして︑保管者は所  

︵6︶  

有名に損害を賠償し其請求権を消滅したる場合において始めて自己の請求権を行使することを待ぺきなり﹂ ︵傍点  

筆者︶︒   

第二匿︑商法六六七条は被保険者の保険請求権を第三者に移転せしめる︑とみる立場がある︒野津教授ほ次の如  

く説かれる︒﹁⁝⁝︵責任保険契約は︶保険者の自己のためにする保険契約であるから︑保管者みづからが被保険  

者であり︑一般理論からすれば︑保険事故発生の際紅ほ︑保険金請求権を行使し得べきはずであるが︑本条ほ︑便  

宜上︑保険金請求権が︑被保険者た嵐保管者から︑所有者に︑移転することを規定したものと解すべきである︒す  

なわち︑保険金額請求権は︑此の保険契約の効力発生と同時に︑本条の規定に因り︑法律上当然︑何等の意思表示  

をも要せず︑保管者から所有者に移転するのである︒しかし︑其れ故に︑爾後︑他人の為めにする保険契約となる  

わけではない︒何となれば︑被保険利益そのものに変更を生ずるわけではなく︑所有老としての利益を︑保険契約  

の目的とするのではないからである︒唯だ︑保管者が︑被保険者として︑保険金額の支払を受けるかはりに︑所有  

者が︑保険事故発生の際に︑之を受けることを得る権利を取得するに過ぎないのである︒⁝:真の結果︑所有者ほ  

保管者に対してほ︑損害賠償請求権を有し︑保険者に対tては︑損害填補請求権を有するわけであるが︑保管者が  

損害賠償をすれは︑民法五〇〇条に依り︑保管者ほ︑所有者に代位して︑保瞼老に対する填補請求権を取得するこ  

と紅なる︒之近反して︑保険者が先ず所有者に対して填補給付を為すならば︑保険者ほ︑保管者に対する所有者の  

損害賠償請求権を第四山六条に依り︑代位して取得するかという紅︑此の場合にほ︑鱒四二ハ条の適用ほないとい  

わねばならない︒何となれぼ︑保管者ほ︑かかる場合のために︑保険契約を締結したのであるからである︒また︑  

保険者が此の場合所有者に保険金額を支払うのは︑被保険者たる保管者に支払うかわりに︑所有者に支払うという   

(10)

∫・  

︵7︶  

だけのことである﹂ ︵カ?コ内聾者︶︒   

第三に︑商法欝六六七条によ軒︑被保険者も第三者もともに保険者に対する権利を有し︑両者の権利の間には当  

然に優劣ほなく︑何れかが先にその権利を行使すれば︑よれによって他方はその権利を失う︑と見る立場がある︒  

田中誠二教授ほ次のように説かれる︒﹁私ほ第三説を正当とするものである︒第二説は第六六七条の条文を余りに  

離れるむのであって︑同条を再傭船契約に閲す褐算七五九条の条文︵特に↓船舶所有者ノミ﹂の用語︶と比較すれ  

は⁝・︑この解釈の無理なことが分明するのみならず︑実質的にもこのように解しなければならない理由はない︑︒  

ヽヽ 第二説は︑〟般責任保険の被保険者のてん補請求権発生の時期との間に/山致しないこととなり︑不都合を生ずる︒  

ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ 〜 ヽ ヽ ヽ ヽ ︑ 1 1 1 〜 1 1 1 ︑ 1 1 ︑︑  ︑︑︑︑ ︑  結局第三説せ正当とし︑また本説を採ると第六六七条の立法趣旨を達しないとの非難も当らないので︑損害発生の  ︐︑︑す︶  

︑︑︑︑︑︑︑%︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑.︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︐︑︐︑︑︑︐︐︐ 際に所有者ほ本条軋基く直接請求権を敏速に行使しそのはか有効の方法なとればよろしいのである﹂ ︵傍点筆者︶︒   

以上の如く︑両論求権問の関係如何についてほ薩々の解釈が行われているが︑その多くは充分われわれを納得さ  

せ得ないものを含んでいるように思われる︒商法第六六七条によって保管者の請求権が法律上当然に.所有者に移転  

する︑とされる︒その根拠は〟体何処にあるのであろうか︒法律ほ﹁所有者ハ保険者二対ビア直接二其損害ノ填補  

ヲ請求スルコトヲ得﹂というに止り︑被保険者の請求権が消滅するという根拠は見出しえないように思われる︒ま  

た︑保険請求権が所有者に移転しても︑それによって当然紅保管者が所有者に対する損害賠償義務を免れることに  

︵9︶  

ほならないであろうが︑論者は保管者がかかる不利な地位に立つことを容認されるのであろうか︒備考によれは責       ︵ 10︶  任保険の経済的意義ほむしろ被保険者の保護という点に見出されるのである︒更にまた︑その移転の時期ほ保険契  

約の効力発生と同時である︑とされる︒これは︑保険者ほ被保険者に対抗しうぺき免責事由を所有者に対しては一  

切これを対抗しえないとする趣旨であろうか︒この点も若干疑問を残す︒また保管者の権利と痍有者の権利は何れ  

︵三四五︶ 二七   式任保険における﹁第三者﹂の地相  

(11)

第二十九巻第四号  

︵三四六︶ 二八  

も当然にほ他方に優先せず︑何れかが先に填補を受けれほ他方が請求権を失う︑とされる︒しかしこれでほ︑所有  

者に保険者に対する直接の請求権を認めた意味が実質上大幅に減少するといわざるをえない︒商法第六六七姦が︑  

従来の表理論からすれほ極めて異例な保険者に対する直接の請求権なるものを第三者に与えているのは︑責任保  

険における第三者の地位を極めて重視しているからにはかならないのであって︑解釈論として右の如き結果を認め  

︵11︶   ることほ︑わが商法の立場を不当に無視すること紅ならないであろうか︒論者は﹁本説を採ると第六六七条の立法  

趣旨を達しないとの非難も当らないので︑損害発生の′際に所有者は本条に基く直接請求権を敏速に行使し︑そのは  

か有効の方法をとれほよろしいのである﹂とされる︒しかしいやしくも立法趣旨濫考慮を払うのであれぼ︑被保険  

者が所有者叱先んじて有効に保険金の支払を受けうる︑というその可能を問題としなければならないであろう︒他  

方において︑保管者が所有者に賠償を為さない限り折有者が優先して填補を受けうる︑とする説は結論的にほ妥当  

である︑と考えるが︑その理由づけは若干明確を欠くよう笹思ゎれる︒就中︑所有者の権利が優先する理由として  

︵12︶   ﹁保管者の損害は所有者に賠償を為すことによって現実に発生する﹂とされるのほ問題である︒若しそれが︑被保  

険者に損害を生ずる以前に保険請求権が発生するということを前提とするのであれば︑それは﹁損害の填補﹂を目  

的とする損害保険契約に大きな例外をみとめることになりはしないか︒また︑与れが保険請求権の発生にほ被保険  

者の第三者に対する債務の負担があれば足りるということを前提とするものであれば︑現実の損害云々ほほたして       ︵l3︶ 所有者優 

先の充分な根拠となりうるであろうか︒   

右の第二の問題︑すなわら繭婆ハ六七条が保管老の責任保険限りの特別であるか否かについてほ︑これを肯定す      ︵ 

14︶   るのが多数説の立場であるかの如くである︒さりながら膏山博士が︑第三者が直接保険者に対するの権利を有する  

ということは︑わが商法ではたまたま火災保険の条項において明らかにされているが︑これは﹁畢発する竺般菖   

(12)

任保険に通ずる一つの便宜立法とみるべきものであって︑只火災保険関係たるに止らないであろう﹂とされるのは  

︵15︶   注目に値する︒  

︵1︶ぎer一旨direk−e富er2苫d2SGesc邑1g−en的egen旨2iner買p旨1くerS旨un閃SgeS2一富a−−un−erd㌢  

ge旨denschw212e→註enG2Se−2en■ScFweizer−SC互N−男S・N罠∴Cassa2>旨direk−eFOrderungsleC官des 

GescF賀gtengegendenぎrsicher2rdesA已OmObi−ba−−ers﹂琵V S・N芦   

︵2︶産津・前掲二七六貢︑大森忠夫・保険契約法︿損害保険実務譲葉一巻所収︶ニハ七頁︑壱四頁︒季N・B・Br貫  

DasP旨at責Sicherungsrecht﹂琶︸S・声§こ2−Se軍KOmmen−aニ↓・A已こBe芦印NuArt・−・Cassaniu  

aaOこS.N芦⁝K02nig︶aaO:S・缶∽・  

なお︑いうまでもないことながら︑他人のため写る責任保険契約も勿論ありうる︒例えば甲が自動車所有者乙を被保険  

者として自動芸任保険契約姦結すれば︑それは他人のため写る雷保険契約である︒しかし自動憲政の被害者た   るべきもの義侠険者与るならほ︑それはもはや琵保険で賢い︒それは他人のため写る保険でしかありゝ姦い︒  

けだし︑そこで保険に付せられるのほ︑被害者が自動毒故により物的または人的損害を蒙ちないことにつき有する利益   であるからである︒しかし被害者の保護を図る制度として︑背任保険と他人のため写る保険の何れがより有用であるか  

という問題は勿論残る︒   

︵3︶ R邑i・la2笥−aaO⁚A声塵二戸−・伊沢・前掲︑法学八巻五〇三頁︒   

︵4︶ 松本蒸治・保管者の賓任保険を論ず︑商法解釈の諸問題三九一貢以下︒   

︵5︶新商法四二二琴は直接旧商莞六〇条をうけついだものとは勿誓えない商法修正莞由聖二五貢k日く︑本条ハ既  

成商法中二存セサル所ナリ︶︒しかし南条に聖者の地位の強化という同一の方向吉指すものであり︑新商法におけ  

る方がそれがより強化されているとは言える︒松本・前掲論文・商法鰍釈の諸問題三九哀以下参照︒  

︵三四七︶ニ九   賓任保険における﹁第三者﹂/の地位  

(13)

第二十九巻 第四号  ︵三四八︶ 三〇  

︵6︶ 松本・前掲論文・商法解釈の諮問讐元四頁以下︒水口蓄蔵・保険法論霊九頁︑青山衆司・保険契約法︵現代法学全集︶   

ニ宗貢以下︑大隅健劇郎・保険法講義案七九頁︑伊沢・前掲︑法学八巻五〇九頁︑石井照久・商法︵下︶八七貞︑上柳  

克郎・保険法講義案五八頁︑大森・保険契約法宗七頁以下︑鈴木竹雄・商行為法・・海商法・保像法八九貞︑同・演習講  

座商法﹁下﹂山六二勇も結論紆には同旨である︒  

︵7︶ 野津・前掲二四三員以下︒  

︿8︶ 田中誠ニ・保険法二三頁︵ただ←引用文中解義・第二説・第三説ゐ呼称ほ︑われわれの叙述の順序に従い︑変えさせ  

ていただいた︶︒なお三浦義道・保険法論二五一員以下もはば同説と思われる︒  

︵9︶=この点はすでほ松本博士の指摘されるところである︒松本・前掲論文︑商法解釈の諸問題三九四頁︒  

︵10︶ 野津・前掲二七五頁以下︒  

︵11︶ はぼ同旨︑野津・前掲二四五貫︒  

︵望 もっとも︑このことを特に明言されるの払松本博士だけである︒他の学説の乱由づけほ必ずしも明確でほないが︑大隅教  ︑︑︑︑︑︑ヽ1︑ヽヽヽヽヽヽヽヽ   授は︑﹁商法四二妄の立法の璧宗ら推して︑所有者の請求権は︑保管者の請求権に対して優先的に行使され得べき地  ︑︑︑︑ヽヽヽヽヽヽヽヽヽ  将にあるものと解す﹂ぺしとざれ前掲七九頁﹀︑大森教授ほ﹁この法則の趣旨にかんがみて︑所有者の権利ほ保管者の   

それに優先するものと解す湯が妥当である﹂とされる︵保険契約法二ハ七貢︶︒結論的に言って︑所有者の権利の優先  

を芸ロにして基礎づけようとすれば︑このようにいうはかないと思う?  

︵13︶ この点ほすでに野津教授が拒摘される︒野津・前掲二四四東︒  

︵誓 石井・前掲八七頁︑大森・保険酪約法﹁六八東︑鈴木・演習講座商法︵下︶一六二弓  

︵空 曹山壷任保険︵岩波法律学辞典︶三三五頁︒なお伊沢教授ほ商法六方七条を自動車所有者の畜産保険紅及ぼすべしと  

される︵前掲︑法学八巻五〇九東︶︒   

(14)

三  

以上においてわれわれは︑わが国における従来の学説を概観し︑その多くについてわれわれの不満を述べた︒し  

からほわれわれとしてほこの問題をどう考えるか︑というこせ紅なるが︑試論の本筋に入るに先立ち︑責任保険の  

保険事故をどう見るか︑それを︑常三者の地位に影響を及ぼす限りにおいて︑一応阿らかにしておく必要があると  

思われる︒  

第鵬 賓任保鹸の保険事故   

責任保険以外の損害保険軋おいても︑被保険者に損害が発生するまでには︑観念的には︑例えば︑火災の原因  

−火災−損害︑というように数個の事件が存在する︒しかし責任保険においては︑かかる事件の薮は他の保険  

におけるよりも遥かに多く︑その連鎖は遥かに長い︒例えば︑自動車の不注意な運転!歩行者をほねる一歩行  

者の損害−!恕害賠償義務の成立−損害賠償の請求−損害賠償義務の確定−被害者の満足 −被保険者の現  

実の損害へ筋極財産の減少︶︑というが如くである︒従って︑これらの事件の何れを保険事故とするかについて︑従  

来から種々の立場・種々の学説が出されたのは︑或意味では︑無理から聖﹂とといえよう︒従来あらあれた学説を       ︵ 1︶  見ると︑S或は被保険者が第三者に対し自ら現実にその債務を履行したことをもって保険事故とし︑河東は被保険  

︵2︶  

者の損害賠償義務の確定をもって保険事故とし︑M或ほ第三者が被保険者紅対しその義務の履行を請求したことを  

︵3︶  

もって保険事故とし︑伺或はまた被保険者に責任が生じたことをもって︑従って被保険者監月任が生じた限りにお  

いていわゆる損害事故をもって保険専管して鑓︒㈹更賢た︑聖者の票の冨のあるなしに従い︑是保  

険事故の何れの効果が問題となるやに従い︑場合によって被保険者望月任を生ずべき事実の発生︑及び第三者の綺  

︵三四九︶ 三融   責任保険における﹁第三者﹂の地位  

(15)

個々の責任保険契約におい′て︑何が︵保険請求権発生の条件としての︶保険事故であるかほ︑もとより契約当時  

著の意思解釈︑就中普通約款の解釈の問題である︒しかしながらわれわれほ︑例えば売買契約を考える場合紅︑必   ずしも個々の売買契約にとらわれることなく︑まずそのいわば理念型を考えるのと同様︑責任保険についても︑そ  

の理念型ともいうぺきもの︵就中現代責任保険の理念型︶を考え︑その下払おける保険事故ほ何かを考えうる筈で  

ぁる︒それは︑責任保険というこの伝統的に使い慣らされた名称︑その下に予想せられる契約当事者の通常の意思︑   及び責任保険の歴史的発展から帰納しうると考えられる︒そしてまたそれをもととして︑保険事故に関する種々の   定め︑或は学説についてわれわれの評価を与えることができるであろう︒   ヽヽ  

責任保険は責任保険︵Haf昏−icht琵Sicherun叫︸aSSuranCederespOnSapi≡か二iabi書ins宅anCe︶であって︑  

債務履行保険でもなく︑また被請求保険でもない︵何れも勿論日本語として熟さない︶︒責任保険契約締鵜にあた  

り︑保険契約者がその発生を危惧し︑それについて保険が与えられることを望むのほ何であろうか︒保険契約者ほ   責任負担ということ自体の発生ほこれを危惧せずして︑彼自らが︑或は被保険者たるべきものが第三者に対して責   任を負担した場合に︑彼或ほ被保険者たるべきものが第三者に対しそれを履行することになりほしないかを惧れる   のであろうか︒或ほまた︑膚任は負担したが︑どうか大目に見逃してくれるようにとのみ望みつつ︑撃二者がそれ   につき履行の請求をするに至ることを慣れるのであろうか︒保険契約者はこれらを惧れて責任保険契約を締結する   のであろうか︒恐らくそうでほあるまい︒通常の場合においては︑保険契約者ほ彼自ら或ほ被保険者たるべきもの   が︑第三者に対し責任を負担した場合にほ︑それを履行すること︑戎ほ第三者がその責任を問うことほむしろ当然   であると考えるに相違ないのである︒また保険者は︑保険料の決定にあたり︑披保険者が第三者監荏を負担する   

第二七九巻 第四号  

︵5︶  

求の何れかを保険事故とする︒   ︵三五〇︶ 三一仙  

(16)

に至る可能性ほこれを問わずして︑被保険者が責任を負担した場合に︑被保険者がそれを忠実に履行する蓋然性︑  

或ほ第三者がそれにつき履行の請求をする蓋然性む考慮するであろうか︒保険者としてもこれらのことはむしろこ  

れを自明とするであろう︒かくの如く軋して︑契約締結にあたり︑保険契約者がその発生を危惧し︑それについて  

保険が与えられることを欲し︑保険者がそれについて保険を与えることを欲するところのものは︑被保険者が第三       ︵ 

6︶   者に対して責任を負担するということであるのが通常であろう︒更にまた︑被保険者が第三者に対し糞任を負担す  

る紅至った場合においてほ︑保険契約者ほ被保険者が直ちに保険請求権を取得することを望んでいるものと見なけ   れほならない︒けだし︑保険請求権の発生が被保険者自らが第三者にその義務を履行すること紅かからしめられる  

ならば︑被保険者がたまたまそのための手段を有しない場合にほ︑折角保険がつけてあるに拘らず︑保険による保  

ヽ 護を全然受けられなくなって︑責任保険の効用が実際上大いに減ずるからである︒以上の見地からすれば︑その理  

念型と目されるものにおいては︑安住保険契約ほ被保険者が第三者に対し責任を負担すべき場合のために締結され  

る保険契約であり︑その保険事故は︑被保険者が第三者に対し責任を負担し空しと︑その限りにおいて 

損害事故であるといぅはかほない︒   

ところが右にも見たように︑責任保険の保険事故の何たるやについてほ︑従来からいろいろの学説が出されてお  

り︑またいろいろの定めがなされている︒責任保険の理念型における保険事故を考えたわれわれとしては︑これら  

の立場についても一応の説明を与えるところがなければならない︒右に上げたところのうち机は保険契約法制定以  

前のドイツにおける学説であるが︑それほ︑被保険者が第三者に対してその儀務の履行をなしてほじめて保険請求   ≠   権が発生するとするのが典型的な約定であるという事実を前提としていると考えられる︒またわが国従来の各種責  

任保険の普通約款においても︑被保険者が第三者にその儀務を履行することが保険金請求権発生の条件とされてい  

式任保険における﹁第三者﹂の地位  

︵享五 三三   

(17)

︵三重一︶三四  

第二十九巻第四号 ︿㌍辟 

ら保険請求鹿発生の条件というその主たる法的働果の面㌢する従来の保険事故の定義に従えは︑これらに ︵8︶   

ぉいてほ︑痍険事故は被保険者が第三者にその債務を履行し雪﹂とである︑ということにな蕗これらは︑われわ   れの見るところ紅よれば︑従来ともすれば責任保険に与えられたところの非難を少しでも避けんがためにとられる  

構成である︒右の学説は︑責任保険の一つの特殊の場合であるところの再保険紅ついて特に主張せられたところで  

あ甘が︑再保険においては︑被保険考は通常充分の資力を有する保険会社であるから︑被保険者の利益の点から見  

ても︑かかる構成も必ずしも不合理なものでほないと考えられる︒しかし再保険ほ形式的にほ責任保険の一種であ  

るが︑今日でほ責任廃除と分離し・て独立のものとして論ぜられることが多く︑漸余の責任保険にあってほ︑今日で  

︵9︶  

ほ被保険者が常に充分の賠償能力を有するとは予想できないのであって︵他面から言えは︑若干の責任保険の分野  

においてほ賠償を命ぜられる額ほ容易に被保険者個人の資力を超えうるのであって︶︑第三者に対し被保険者が債務  

を履行したことをもって保険事故とするのほ︑被保険者の側から見てすこぶる不利である︑と言わねばならない︒  

また責任保険に従来与えられた非難は︑仮にそれが当ってい︑るとしても︑諸外国の立法・判例・学説の認めているよ  

ぅに︑またわれわれが本稿においてわが商法について提言しようとするように︑保険請求権に若干の変容を加える  

ことにより︑その少くとも部は容易瞥﹂れを避けうるのであっ七︑今日かかる構成をとる必要ほあるまいと考え  

られる︒次に右の向は︑保険契約法制定以前におけるライスグリヒーの意見であるが︑これも保険請求権の発生が  

被保険者の損害賠償義務の確定にかからしめられている︑という約定を前提としての立言である︒保険請求権が第  

三者に対する被保険者の貴任負担軋よって発生するといっても︑その際被保険者の貴任の額が何らかの方法によっ  

て確定されなければならないのはむしろ当然であるから︑この見解ほ︑彼らに技術的問題に幻惑されて︑ことの本       ︵ 

10︶   質を見誤った観がある︒㈹及び囲と何の相違は︑主としセ︑第三者の請求が理由のないものである場合に︑その防   

(18)

︵11︶  

黎の費用を保険者が負担するという法律ならびに約款の規定を︑第三名の請求が理由のあるものである通常の場合  

と如何なる幽係にあるものとみるか︑その際の説明方法の相逮に由来する︒Mは第三者の請求が理由のないもので  

ある場合をも含めて統一的に説明するために︑保険請求権ほ第三者望摘求があることによって発生するとするので  

ノ ある︒しかしながら︑責任保険においてかかる費用を保険者が填補しなければならぬ必然的要請は存しないのみ  ︵ 12︶  ならず︑かかる費用の保険自体ほ元来爵任保険ではなくして︑たまたま責任保険とあわせ行われるに適するところ       ︵ 13︶  の特殊の保健であるにすぎない︒従ってかかる費用の填補がなされる旨の合憲を含む資任保険は宝任保険の⁝特殊  

の形態というべく︑われわれの所謂理念型の貴任保険における保険零故︑Ⅴゎば本来の保険事敵をゆるがすことは  

できない︑と考える︒論者ほまた︑被保険者が第三者に対して貴任を負担するも︑第三者がその責任を問わざるこ  

る約定を予想してい兎いと言うはかない︒′従って︑以下の論述においてぼ︑当然のことながら︑撃二者が被保険者 働   ともありうべく︑′この場合︑被保険者の責任負担により直ちに保険請求権が発生するとすれば︑被保険者に利得を  

︵14︶  

生じうる︑といぅ点を指摘する︒しかし右の如き場合は所詮例外的場合にすぎないのである︒   

このようにして︑われわれの所謂本来の保険事故のほかに︑保険請求樫の発生の条件紅ついてほ種々の約定が可  

︵15︶ 能であり︑また実際上なされて・いるところであるが︑芸任保険における第三者の地位を考える場合には︑それらの  

うち︑被保険者がその債務を履行して保険請求権が発生するとするものは︑暫くこれを除外しな・ければならない︒  

けだし︑右の場合には︑第三者が被保倹者から債務の履行を受けないうちは保険請求権は発生しないのであるから  

︵他面から言えば︑保険請求権発件のときにほ第三者はすでに被保険者からその債務の履行を受けているのである  

から︶︑第三者の地位を問題にする余地が存しないからである︒就中商法六六七条及び自動車損害賠償保障法はかか  

から債務の履行を受ける前に︑保険請求権が発生する場合のみが考察の対象となる︒  

養任保険における﹁第三者﹂の地位  ︵三五三︶ 三五   

(19)

戌ダ  

︵三五四︶ 三六  第二十九巻 第四号  

︵1︶ ︼㌘旨e㌻NfくR.−00畏﹀ S−¢∞・:﹂の見解は専ら再保険について主張されたが︑当時の見方に従えば︑すべての背任保険に  

ついて妥当すべきものであった︵ドewisV LeFrbucF desくersicherungsrec≡sこ0000タS・N2︶︒しかし少くとも今日のドイ  

ツにおいてほ︑もほやこの説を支持する老ほない︵Senge㌘Die S邑Fng de平内eSC冨di慧enDrittenin der HPく:ヒ篭扇  

−¢∽∽︐S.N岨由u.Nり00f.  

モ   S.㌘Kess−er︸ Derくersic訂rロngSfa岩in deり喜Pく.﹀ lher首gsJ.−父苛.S.∽可︶︒なおドイツ保険契約法一四九条︑オ  ーストリ保険契約法劇こ○象山項参照︒   

︵2︶ RGN■ ∽S.N党∴Lewi∽︸ aa〇・S・N−や  \  ︵3︶ 野津・前掲二七八房以下︑鈴木・商行為法・海商法・保険法九〇頁︒ドイツ匿おける近時の多数説であか︒Z.渾Br宍k.  

PくRこS.澄Nderse−be﹀﹈雷山ぎmentar∵評m∽N仁ゆー∽∽⁝RGZ一書S・父㌣=ふS・u可﹀−∽NS・N∽∽・くgL Senger●aa〇・  

その他Spi−rein−訂cO旨atd疫sura計かderespOn00abi≡?niき一浩料.p.軍ROe宇Jaeger:a〇..Art●∽¢芦N率い  

EhreヨZWeig﹀ KOmmentar Num OeくくGニー詫や S.∽宗■  

︵4︶ 大森・保険契約法︑仙七二頁︑野中誠二・前掲二三五頁︒Hagen.宕r∽ic訂rungsrecht甲Abtg・−鴇N︸S・崇が∵曇︳  

Kess−e♪ aaOこ S.N買∴KOenig−aa〇.リS.V 畠琵●  

︵5︶ 伊沢孝平 

︵6︶ くg−.Ziegler︺ 亡nters宍F仁ngen各erdie官賢ffe ︸宮f賢c芝eteEreigF訂ヘビ阜︸宕rsicFer巨g︒︐芯岸 Sトヒr  

nament−icF S.−帖f∴ 只ess訂r︸ aa〇.S.い監.   

︵7︶ 二二頁註︵12︶参照︒  

︵8︶ 例えば田中耕太郎・保険法講義要嶺二‖一考 ﹁保険事故とは保険者の給付がその到来に繋る出来事又ほ状態︵例えほ火  

災︑盗難︑死亡︶であって損害保険においては之れを危険という︒﹂ 大森・保険契約法八九頁︑﹁保険者は保険の目的につ   

(20)

き偶然なる二疋の事故紅よっ七生ずる損害を填補することを約する︒この保険者の填補義務を具体化せしめる事故を保険  

事故という︒﹂ 鈴木品行為法・海商法・保険法七二頁︑﹁保険事故とは︑保険者が給付の背任を負う紅いたるべき原因た   

.る事実をいう︒﹂LeFma芦訂Frbuchdes詳nde−害eCh−sこ屋u S・−○声宕rsicher喜gSfa≡s−dasEreignis−mit  

des琵囲intrittdieL2istungspf−icぎdes宕rsic訂rers2n−裟2ざRi−−er︶R2CどderSee責sicFe呂g一−罠㍍.NNN⁚  

ざr∽ic旨ungsfal=stdasdi2Ent邑筐igungspf−icb−a邑誉nd20deranund−琵sic=us穿2ndeG2−aぎereignis.   

︵9︶ Senger−aaO:S.−たWaEe︸aa〇.S.∴あいKOenig﹀aa〇..S一き串   

︵10︶ ドイツ保険契約法品玉四条参照バ  

︵11︶ 例えばドイツ保険契約法一五〇条︑フランス保険契約法五i姦雄  

︵12︶ 右らの規定ほ何れも任意規定である︒   

︵13︶ SO ReのSler一aaOこ S.澄f.   

︵14︶ フランス保険契約法五〇条参照︒   

︵空 この点はすでに大森教授が指摘される︒大森・保険契約法山七三弓   

第二 外 国 法 刺  

すでに三ロした如く︑第三者ほ保険請求権にほ何ら特別の力を及ぼしえないという法形式的帰結をその営まみと  

めることは︑責任保険につき第三者が有する密接な経済的関係を裏切るばかりでなく︑今日責任保険紅果せられて  

いる社会的役割にみるも適当ではない︒この占荘かんがみ︑ヨーロッパの各国も第三者に保険請求権軋対する何ら  

むの形払おける支配力︑或ほそれに対する優先的地位を容認して釆ている︒しかし︑必ずしもすべて︑わが商法六  

六七条の如く︑第三者に保険者に対する直接の権利を与えているわけではないヶドイツ保険契約法刷五六条旧朗定  

責任保険における﹁第三者﹂の地位  ︵三五五︶ 三七   

(21)

第二十九巻 第四号  ︵三五六︶ 三八  

ほ︑﹁保険者は︑被保険者が第三者に対し給付義務を負う範囲において︑元来被保険者軋支払うべき填補額をその  

第三者に支払うことができる︒保険者は第三者に支払をなすに先だち︑被保険者に通知しなければならない︒被保  

険者の請求があった場合にほ第三者紀文払をなすべき義務を負う﹂と規定し︑周じく山五七条は︑被保険者の財産  

につき破産の開始あるときは︑第三者ほ︑被保険者に生じたる自己の請求権紅つき︑被保険者の填補請求権より別  

除弁済を受けること︑ができる︑と規定する︒その下において学説・判例ほ責任保険請求権ほ︑第三者が被保険者か  

ら満足を受ける以前においてほ︑免脱請求権であるとみることによって︑被保険者ほ自らに対する保険金の支払を  

■︑1︶  

求めえないという結論を導き︑被害者たる第三者以外の者への像険請求権の譲渡性を否定した︒同法山五六条新規  

定は更に保険請求権の処分を第三者に対する関係において無効としている︒フランヌでほ︑山九二年七月仙七日  

の破毀院判決以来︑判例・学説は法律の明文の規定なきにかかわらず︑第三者に保険者に対する直接の請求橿︵い  

わゆるactiOndirect2︶を認めて来た︵山八八九年二月山九日法は︑家屋の賃借人の責任保険及び失火にもとずき隣  

人に対し負担することあるべ・き賠償畜任の保険につき︑保険金が第三者に帰する︵箸eattribuか︶とするとともに︑  

被保険者に対する保険金の支払を禁じたにとどまり︑劇九エ年五月二八臼法ほ︑企業災害責任保険につき︑第三  

者は保険請求権上に先取特権︵priま一介喝e︶を有する︑第三者が満足を受けない限り被保険者は保険金を受けとれな  

い︑とする紅とどまる︶︒保険契約法も︑責任保険一般についてでほあ烏が︑第三者が満足を受けない限り︑保険  

者は保険金を第三者以外の者に支払ってはならない︑と規定するのみである︒学説はその下匿おいても引続き第三  

︵2︶  

者は保険者鱒対する直接の請求権を有するものとしている︒スイス保険契約法は︑・その六〇条山文において︑第三  

者は保険請求権上に法律上の質権︵gese訂︼icFesPfandrecFt︶ を有するものとする ︵責任保険血般に関する︶︒こ  

れによって︑保険者ほ︑第三者が被保険者からその債務の履行を受ける以前においては︑第三者に対する関係にお   

(22)

いて有効に保険金を被保険者に支払うことをえず︑被保険者はその保険請求権を処分することをえない︒一九  

三二年二月山五日の自動蕃交通法は自動車所有者の義務的責任保倹紅つせ︑第三者に直接保険者に対するの権利  

︵3︶  

へ句OrderungsrecFt un昔tte−bargegenden∴宕rsichereこ を与えている ︵同法四九条︶︒オーストリーでは︑ま  

ず〟九〇八年の自動車道行者定住法ほ自動車責任保険につき︑第三者に保険請求権上鱒法律上の質権を与え︑つい  

で保険契約法刷∵七条はこの法則をすべての責任保険に及ぼし︑スイス法と両様︑仙般に責任保険においては︑第  

三者は保険請求権上に質権を有することとした︒これによって︑第三者が被保険者から賠償を受ける以前における  

被保険者への保険金の支払︑被保険者の保険請求権の処分ほ︑いずれも第三者に対する関係匿おいてその効力を有   

︵4︶  

しない︒なお︑スイス法におけるもオーストリ十法匿おけるも︑債権質の効果ほ︑わが国及びドイツにおけると興  

り︑当該債権実現の場合の優先権を庭礎ずけるにつきるのであって︑質権債権者が直ちに直接第三債務者︑すな  

︵5︶  

わち保険者に保険金の支払を求めうること軋ほならない点鱒注意しなければならない︒この点との関連において︑ス  

︵6︶  

イス保険契約法六〇条二文ほ︑保険者は︑被保険者への通知又はその承諾を要せずして︑第三者に保険金の支払を  

なしうるとし︑オーストリー保険契約洋二二八条は︑被保険者がその第三者紅対する債務を未だ履行せざる限り︑  

保険者は︑予めその旨を被保険者に通知して︑保険金を第三者に支払うことができ︑被保険者め請求があった場合  

にほ保険者ほ保険金を第三者に支払う義務を負う︑と規定する︒一九三四年二月二七日のイクリヤ破棄院判決ほ︑ 

被保険者破産の場合にも第三者ほ自己の被保険者に対する債権にもとずき保険請求権に対し債権者代位権を行使す  

ることがで計︑第三者ほそれにより取立てられた金額を自らのみの利益に帰せしめるこ七が出来るとして︑ドイツ  

︵7︶  

保険契約法仙五七条とはば同様の結果を導いているといわれる︒デンマーク保険契約法九五条仙項によれば︑第三  

︵8︶  

者ほその損害賠償請求権の確定と同時に保険請求権を代位取得すると言われる︒スエーデン保険契約法は︑責任保  

呂任保険における﹁第三者﹂の地億  ︵三五七︶ 三九   

(23)

第二十九巻 第四号  ︵三五八︶・四〇  

険一般については︑第三者に保険請求権上の質権も保険者に対する直接の請求権をもちえず︑被保険者ほ第三者が  

満足を受けた場合︑またほ第三者の同意がある場合に限り保険金を受けとりうる︑とするにとどまるがへ同法九五  

条一項︶︑山九二九五月山○日の自動車保険法ほ︑スイス自動車交通法と同様︑自動車所有者の義務的責任保険につ  

︵9︶  

き︑第三者笹保険者に対するの直接の請求権を与えている︒ノールクエー保険契約法九五条によれほ︑第三者が満  

足を受けない間は︑被保険者の他の債権者ほ保険請求権を攻撃しえず︑被保険者破産の場合には第三者ほ保険者に  

︵10︶  

対する直接の請求権を有するといわれる︒   

右の概観によって次のことが底ちに明らかであろう︒すなわち︑若干の国ほ第三老に保険者に対するの直接の請  

求権を認めてはいるが︑それは多くは義務保険のみについてであり︑またそれが認められたのは比較的新らしいこ  

とであって︑最も古いフランスでも山九仙 二特以来のことである︒従ってこれから見れほ︑すでに明治三二年  

八九九年︶に︑義務旗険制度は勿論とられていない保管者の責任保険について︑これを認めたわが商法はハそれま  

でのわが国における確固たる私法学の伝統の欠除ということは暫く別として︶︑第三者の地位を極めて重視してい  

るもの・というはかほない︒  

T︶ 中川−蓮井・ドイツ保険契約法︵現代外国法典双撃三六頁︑二九四頁以下︒伊沢・前掲︑法学八巻五〇七貫以下︑野  

田艮之・ドイツにおける自動車安適法の改正と義務保険制度の創設︑法協五八巻一八四八買︒ 訂ib−﹀Diejur邑ぎ訂  

Zat彗der/HPく・Y AssJbrb.−等00ーS︐−N︑苛∴⁝望ecま訂im︸ Das AbsOnderungsrecht des 冒itten im閂Onk宅Se紆s  

Haftpf−icF言ersic訂rungsn2Fmer00︼LN・H害00﹀S・00○−f∴ders2−be︑Di2Recまss−2−FngdesDritten旨r HPく小.LZ.  

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(24)

ズ4︶  

︵2︶   ︵3︶   

︵5︶   

︵6︶  

︵7︶   

︵8︶   

︵9︶   

︵10︶  

主任保険における﹁第三者﹂の地位   00ーS.N∽Ou ¢∽S.N−−﹀−淫S■ N諾仁∽W・  野田・フランスの竃任保険法︑法協重ハ彗写以→︑伊沢・前掲︑法学八巻五〇六甲大森・フ一アンス保険契約法6五  黄以下︑Spi旨nこp・Ci−⁚p﹂苫e−suiヂⅥnO−ablemen−p・−澄e−suiく∴ぎarde−穿sOn︶Op・Cl−・∴ワ∽恕et  sき∴GOda千Perra亡d・Chaman−ier︼COdedesass仁ranCeS︵cOmmentaire︶︺p・島ごts亡iく・  R邑i・laegerこa〇.St N買⁝訂ぎer︺aa〇・︸S・N罠←Cas凰aa〇・↓S・巴∴只Oenig︸aaO⁚S・缶芦忘−f・小田  容・前掲︑二八二見参照︒  EFrenzweig気OmmentarNumOe∃G:−冨uS/書巾∴WaEe■aa〇・・S・−憲∴Jann♀∴賢aftfaぎzeug邑隻ic亭  RecFt琶d・宕rs岩訂run閃lmIn・undA邑and︸蓋d≦竃W・芽ft岸−諾べ・S・−芦 A一誌.﹈㍍−ScF河G∴ Art.∽○00OeE〇.  ROe宇Jaeger−aa〇二Aユ.賢二芦⁚㌶・  WaFie︸ aa〇.J S.−3f.  Sen笥.1▼aaOこS.N㌣■焦−ひP  Senger.aaOこ S−N∽Vら−課●  野e宇Jae笥︸aa〇・︸Ar−・宍二子乎Senger−aa〇・¶S・寧声軍JannOt﹀aaO⁚S∴∃・   

なお︑本稿脱稿後入手した木村栄÷イタリヤ保険契約法︵損害保険研究ス彗亘二七巧二八頁にょれば︑完  

閤二年イタカヤ民法典∵几㌻七姦二項は︑﹁保険者ほ︑予め被保険者に通知をなして︑被害者たる第三者に直接保険金を  

支払うことができるし︑被保険者の請求あるときは直接支払わなければならない﹂と規定し︑同二七六七条は︑讐看は 

保険金について先取特権を有する︑としている︒   

︵三五九︶ 四山   

(25)

右に見たように︑各国一ほ︑或ほ第三者のみが保険金を受取るべきものとし︑或ほ第三者に保険請求権上の質権を  

与え︑或は更に進んで︑第三者に保険者に対する直接の請求権を与えている︒しかしながら︑第三者が保険者に対  

する直接の請求権を認められたのは︑フランスを除いてほ︑いずれも比較的最近のことであって︑それも義務保険  

のみについでである︒それに対しわが商法ほ︑別段義務保険制度もとられていない保管者の責任保険についてそれ  

を認めており︑それを認めるにつき時期的にはフランス紅も先んじているのである︒わが商法がかくも第三者の地  

位を重しとしている点は︑その解釈にあたっても充分ぬ顧慮されねほならない︒また第三者の直接の請求権を考え  

る場合にほ︑それを右の如き世界的趨勢の山環とし七みることが必要であろう︒   

ゎが商法ほ︑第三者に保険者に対するの直接の請求権を与え︑他の多くの国の商法ないしは保険契約法にもまし  

て︑第三者の地位を重しとしいる︒かかる商法の下匿おいて︑商法六六七条によって︑被保険者も第三者もともに  

保険者に対する請求権を有し︑その何れも当然軋ほ他方に優先するものでほなく︑被保険者といえども第三者に時  

期的に先立つ限り︑保険金の支払を受けうる︑とするが如き解釈をとるLとほ許されるであろうか︒第三者の権利  

が優先するという明文の規定︑或ほ第三者のみが保険金の支払を受けうるという明文の規定ほ存しないかもしれな  

い︒しかし︑右の如き解釈によれば︑商法六六七条ほその実効の半ばを失うというも過言でほな︑い︒けだし︑第一二  

一 着の保険者に対する権利か被保険者のそれ軋先んぜられうるとすると︑被保険者が先紅保険金の支払・を受けうる可  

能性は極めて大であって︑第三者転保険者に対する権利を有しっつも︑多くの場合にほそれを主張するに由かく︑  

また事実上保険金の経済的利益を受けることも確実を期しがたいからである︒そもそもわれわれの実定法なるもの  

は事倭のかかる中途半端な規制を訂的としているものであろうか︒なるはど法律の規定は這片手落ちであり︑か   

第二十九巻 第四号  

撃ニ.被保険者の権利と第三者の権利!﹁優劣﹂の現題   ︵三六〇︶ 四二  

(26)

つ矛盾紅満ちているが如き外観を呈することほあろうけしかしそのような場合には︑それらの規定の藩味を出来る  

便り矛盾なく︑統ふ的合理的に把握すべく努めることが法律解釈学の伝統的任務であったのであり︑そしてそれほ  

今日においても変らないのである︒   

商墜ハ六七条は︑第三者は保険者に対する直接の請求権を有す㌧としている︒この趣旨ほ生郁されねばならな  

い︒そのためには︑われわれほこの際︑被保険者が第三者に対しその債務を履行しない間は︑保険者は被保険者に  

対し保険金の支払をなしえない︑ということを解釈論として確定すべきである︑と考える︒被保険者が第三者に対  

し自らその儀務を履行しない間ほ︵責任保険契約が締結されていても︑それによって当然に被保険者が第三者に対  

する義務を免れることにならないこと勿論である︶︑保険者ほ被保険者に対し保険金の支払をなしえず︑被保険者ほ  

保険者紅白己に対する保険金の支払を求めえず︑保険者はただ第三者に対してのみ保険金の支払をなしえ︑第三  

者のみが保険金の自ら正対する支払を求めシることとすべきである︒かかる結論をみとめることが商法六六七条を  

生かす唯一の途である︑とわれわれは考える︒これに対してほ︑或いは︑かかる結論は不当匿被保険者の利益を無視  

するものである︑という非難が加えられるかも知れない︒しかtそれは中らない︒けだし︑保険者が第三者に保険  

金を支払うと︑それによって第三者紅対する被保険者の億廟ほ︵勿論保険金の範囲内で︶消滅するが︵民法四七四  

条︶︑保険好約暑が契約締結にあたり責任保険虹所期した経済的目的は︑自己又は被保険者たるべき者の第三者に  

対する責任負担に基く経済的不利益軋備えるということであって︑第三者に・対する保険金の支払によって自らの免  

︵1︶  

漬という結果がえられるならほ︑それで保険契約者も被保険者もその目的をはぼ達しうるからである︵この点に  

関してはなお︑第四︑責任保険請求権の項で論ずる︶︒   

この点に関する諸外国の立法・判例・学説の動向も︑かかる解釈に有力なる支持を与える︒フランスでは︑判例  

︵三六 四三   資任保険払おける﹁第三者﹂の地位  

参照

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