1.はじめに
インドは BRICS の一員として経済成長が著しい国である。特に IT 産業の成長は世界的にも 知られているが、それに対して庶民の生活はどうなのだろうか。通常は、生活のレベルによっ て教育も変わってくるが、教育に対する認識の変化はあったのだろうか。教育は、貧困からの 脱却において極めて重要な役割を果たしていると見なされており、経済的利益の向上を促進し ている。それにもかかわらず、インドでは社会階層と教育レベルとの間に密接な関連があるこ とが示されている[Tsujita.Y:117]。しかし、義務教育は制度化にともない、インド全体に普 及してきているが、社会階層を変動させるパワーとなるのだろうか。
また、このようなインドで異文化結婚をし、外国に暮らすことはコミュニケーションや同化、
同調など多くの問題を抱えるものだが、子どもができた場合、子育て、教育という問題が出て くる。自分が生まれ育った環境での子育て、教育は自分の体験を参考にすることができるが、
外国ではそうすることができない。教育制度や教育環境、教育に対する意識が違うからである。
しかし、教育は子どもにとって重要なものであり、親の経験が影響することを考えると、異文 化での子どもの教育は大きなハンディキャップとなる。
そこで本稿では、異文化結婚し、インドに居住する日本人女性にインタビューをすることに よって、異文化での教育の実態とインドの教育、とくに初等教育の現状とその問題点を考察し ていくこととする。
研究論文
南アジアにおける異文化結婚と教育
宮 崎 智 絵
立正大学非常勤講師
On Intercultural Marriage and Education in South Asia
Chie MIYAZAKI Part-timeLecturer,RisshoUniversity 要旨
インドは、家庭環境、地域環境、民族、カーストなどさまざまな相違を内包している社会 である。そのため、教育にもさまざまな問題がある。特に初等教育は、2009年「無償義務教 育に関する子どもの権利法」の制定により義務教育の普及が進んできているとはいえ、家庭 環境、地理的環境などによりドロップアウトする子どもも多い。そこで、貧困率が高く、識 字率が低く教育に課題の多いウタッル ・ プラデーシュ州に住むインド人と結婚した2人の日 本人女性にインタビューした。公立学校では教員の勤務状況が悪いなどのインドの教育状況 と問題点が明らかとなった。インド社会の構造が変動している現代において、異文化にルー ツをもつ日本人女性が子どもを育てるのはさまざまな困難がある。その中で、インド社会と 同調しつつ、日本人同士で協力し合いながら支えあって異文化での子どもの教育に取り組ん でいるのである。
2.インドの教育の概要
2 . 1 教育制度と学校
インドの教育制度は、州により若干の相違はあるが、就学前教育、前期初等教育(1年-5 年)、後期初等教育(6年-8年)、前期中等教育(9年-10年)、後期中等教育(11年-12年)、
高等教育の5 ・ 3 ・ 2 ・ 2制を基本としている(1)。この国内の枠組みの中で、初等中等教育と中 等教育の区分は各州の政府によって決定される[Tsujita.Y:122]。前期初等教育は、基本的な 読み、書き、算数の能力を提供し、後期初等教育の準備をすることを目的としている。後期初 等教育は、初等教育からの学習成果の上に計画され、中等教育への準備することを目的として いる。
インドの義務教育は、初等教育段階までとなっており、その間、生徒は無償で教育を受ける ことができる。実際には、ほとんどの州が中等教育まで無償で教育を実施している。インド憲 法では、教育は連邦と州の協同事項とされているが、連邦政府による基準を採択するか否かは 州政府に任せられており、教育の実質的所管は州政府にある。そのため、州によって教育制度 に違いが見られるのである。
中等教育段階では、普通教育と職業教育に分かれる。普通教育は、進学を希望する生徒が選 択し、人的資源開発省の所管である。職業教育は、就業を希望する生徒が選択し、労働省の所 管である。職業教育の中には、初等教育以上の教育を修了した生徒を対象とする産業訓練機関 と前期中等教育以上の教育を修了した生徒を対象としているポリテクニクがある。中等学校(10 年生)修了後、第10学年修了共通試験に合格した者は上級中等学校に進み、2年間の教育を受 ける。その後、第12学年修了共通試験を受け、大学によっては別に入学試験を行うところもあ るが、その結果によって大学に進学するのである。
そして、インドの学校は、統計上、政府立学校、地方自治体立学校、政府認可を受ける私立
(認可補助有校と補助無校)、無認可校の4種類である。認可補助有校は、政府の財政補助を受 ける代わりにカリキュラム、教授語、スタッフ人事などについて比較的厳格な政府による統制 下におかれている公立学校に準じた教育機関である。認可補助無校は、財政補助を受けない代 わりに政府からのコントロールが弱い。無認可校は、設備、人事、教育内容、すべてにわたっ て政府の管理 ・ 統制の外で経営をしている学校で、制度上は「私塾」としかいいようがないの だが、実態としては学校として機能しており、NationalCouncilofEducationalResearchand Training(NCERT)も「通常の学校と同じ形態の無認可の教育機関(塾を除く)」と定義して いる[佐々木:35-36]。インドは、家庭環境、地域環境、民族、カーストなどさまざまな相違 を内包している社会であり、全国一律に公立と私立学校というように設立することは難しいの である。さまざまな形態の学校があることで、子どもの家庭環境などにあわせて学校に行きや すくすることができるのである。4種類の学校にはそれぞれの存在意義があり、教育を広く普 及させる役割があるのだ。
2 . 2 教育と法
インドの義務教育は、独立後の1950年1月26日に施行された憲法(1949年11月26日に成立、
一部施行)第45条で「各州は、すべての子どもに対し、14歳に達するまで、無償義務教育を憲 法の発効から10年以内に保障するよう努める」と規定された。しかし、1960年度の就学率は、
初等教育学校第1-5学年は62.4%、第6-8学年は22.5%に過ぎず、1970年になっても識字率 は30%を下回っていた[坂田:34]。このように就学率も識字率も低水準であったことから、
1980年代後半から初等教育の普及が大きな国民的課題として議論され、1986年に全国教育政策
(NationalPolicyonEducation,NPE1986)が策定された。この政策の実施にあたっては、それ まではあまり初等教育に関与してこなかった連邦政府が積極的に乗り出すこととなった。さら に、1980年代後半から、スウェーデン、英国、オランダなどの二国間援助をうけいれるように なり、それらのプロジェクトがそれなりの成功をおさめるにつれ、あらためて新たなアプロー チの必要性が教育関係者の認識につながった[中村:23]。
そして、1992年には、全国教育政策を改正し(NPE1992)、女子教育の重視と初等教育の質 の向上を唱えたことに加え、憲法改正により初等、中等、成人、ノンフォーマル、職業教育の 管理を地方議会などの権限とすることが定められた。この結果、教育における行政権限は州か らさらに下の機関へと移り、住民の意思を反映しやすいものに変わった。また、この改革を具 体化するため、インド政府は世界銀行にも支援をもとめ、包括的な初等教育制度の改革にのり だした[中村:26]。憲法施行から40年以上たってようやく初等教育制度の改革が本格化したの である。時代的には、独立後は外国資本によらない五ヵ年計画に基づく過剰な規制を行ってい たが、1980年代には規制は緩和されたがあまり効果はなかったことに加えて、1991年湾岸戦争 により原油価格高騰、中東への出稼ぎからの送金激減による対外債務危機のため構造改革し、
経済開放を行なった時期である。
そして、2002年憲法改正が行われ、第21A 条に6-14歳のすべての子どもは教育を受ける権 利を有することが明記された。また、教育を受けることが憲法の第3章 fundamentalrights(第 12条-第35条)として明記され、国民の基本権と位置付けられた。それに伴い、これまで6-
14歳までの無償義務教育について規定していた第45条が「6歳未満の子どもへの乳幼児保育及 び教育についての規定」に改められた。第51A条(基本義務)には「(k)親 ・ 保護者の6歳か ら14歳までの子に対する教育機会を提供する義務」が加えられた[牛尾:66-67]。子どもが就 学しない理由の一つは、親が教育に対して意味を見出していなかったり、労働力としているな ど親側が原因となっていることも多い。ここにおいて、憲法で親の義務として子どもの教育を 規定していることは大変重要で意義のあることである。
2009年には、インド憲法21条に基づき「無償義務教育に関する子どもの権利法(RightofChil- drentoFreeandCompulsoryEducationAct,RTE)」が制定された。RTE は、6-14歳まで のすべての子どもが学校で無償の義務教育を受ける権利を有することを認めているため、学校 に通っていない子どもの状況や NFE のあり方に変化がもたらされることが期待された[針塚:
1]。さて、ここにおいての「義務教育」とは、適切な政府が無償の初等教育を提供する義務、
そして6歳から14歳までの年齢のすべての子どもの入学、出席、修了を確実にすることを意味 する。「無償」とは、子どもが初等教育を受けることや修了することを妨げるようないかなる費 用も支払うことがないことを意味する[針塚:7(2)]。
RTE 施行後の変化の主要なものは、子どもが年齢にあった学年で勉強できるように特別教育 を行っていること、また RTE を周知するための取り組みがなされた結果「すべての子どもが 学校で教育を受ける」ことを人々が意識するようになってきたということである[針塚:16]。
一方で、RTE が施行され、許可条件を満たさない学校は認められないことになった。これに よって、インド各地の無認可学校は閉鎖を迫られることになった。RTE 第18条第1項では、政 府や地方自治体の設置 ・ 所有 ・ 統制する学校以外の学校は規定の申請書を作成し、当該機関よ り認可証明書を取得しない限り、設置 ・ 運営されてはならないことが定められている。また、
第19条第2項には、憲法施行前に設置された学校が規定された規範や基準を満たしていない場 合、法の施行から3年以内に独自の費用でこれらの規範や基準を満たす必要があることが定め られている。つまり、インド各地に展開する無認可学校は RTE の施行によってその法的正当 性を喪失することになったのである。RTE の条項からは、認可条件を満たしていない学校を公 教育制度から除外し、教育制度の正規化を図ることで、子どもの教育権を保障しようとする連 邦政府の意図を読み取ることができる[小原:160-161]。しかしながら、働く子どもや山間部 などの通学困難地域の子どももいるなど多様な環境に置かれた児童に一律に同じように教育を 受けさせることは困難であり、無許可学校があることで教育を受けられる子どもにとっては、
逆に教育の機会を奪うことにもなりかねないのである。そこで、各州の対応は別れることとなっ たのである。
デリーでは認可私立学校と無認可学校によって構成されるデリー私立学校協会が、デリー教 育局に学校認可条件を見直しよう要請し、敷地面積に関する認可条件を緩和することに成功し ていることが明らかとなった。協会の提示する統制方針は、既存の認可条件を見直すことで、
経済的な理由により認可条件を満たすことができない無認可学校の一部を正規化し、これらの 学校に在籍する子どもの教育権を保障する方法を示すものであった。アーンドラ ・ プラデーシュ 州では、政府が厳格な認可基準のもと無認可学校を統制する方針を示し、数百もの無認可学校 が閉鎖に追い込まれた。これに対し、グジャラート州は、生徒の学習成果に重点をおく認可方 針の導入を発表した。無認可学校の展望は、RTE 施行以降、それぞれが展開する州の統制方針 に大きく依存すこととなった。無認可学校は、公立学校が機能不全状態にある中、政府から補 助を受け取ることなく公教育を支えてきた[小原:171]。本来、インドの公的な教育は、憲法 により基本的には各州の担当となっていたが、1976年の憲法改正により中央の議会が教育に関 する立法を担当することとされ、さらに1986年の国家教育政策(NationalPolicyonEducation)
により、中央政府は初等教育の一部分を負担することとなった。現在、州は、初等教育支出の 90%を負担し、10%を中央政府が負担している。中央政府は、10%のみの財政負担であるが、
中央政府主導の政策が追加的なものとして推進されるため、州の実行する初等教育政策にかな りの影響をもっている[中村:13]。政府の影響をどこまで受けるのか、あるいはどのような教
育状況にあるのかなど、州によって対応が違うということは、どの州に居住しているかによっ てどのような初等教育が受けられるかが違ってくるのである。日本では、どこに居住していて も均等な教育を受けることができる。しかし、インドに居住して子どもに教育を受けさせるの は、複雑な教育ステムと居住地域の教育状況を理解、把握しなければならないのである。
ところで、インドでは、1950年制定のインド憲法は10年以内に無償の義務教育の普及を努力 目標とし、1986年制定の児童労働法は14歳以下の児童労働を禁じているが(3)、「学校に通わない子 ども期」を過ごす子どもが一定数いることは、社会的に容認されているかのような状況が続い てきた。さまざまな理由により学校に通うことが難しい子どもたちに対して、インド政府はノ ンフォーマル教育(Non-FormalEducation,NFE)を提供し、子どもたちは学校よりも柔軟な 形態の NFE を受けてきたのである[針塚:1]。そもそもインドの教育制度の特徴は、ノンフォー マル教育やオープン ・ スクールなどのオルタナティブ教育が併存している点にある。インドで は、一般の学校教育制度が国内の多様性に対応しきれず、ドロップアウトする生徒が少なくな い。そのため、国内の差異を尊重し、全ての教育段階においてパートタイムの教育制度を整備 している[杉本 ・ 小原:14]。NFE は、子どもの都合にあった時間帯に、通常の教員免許はな いが、NFE 向けの研修を受けている非正規の教員が、自らの家やコミュニティセンターなどで 授業を行うもので、労働をせざるを得ない子ども、学校が遠くて通えない子どもなどに教育の 機会をあたえていた[中村:13]。
また、2000年に国立教育計画研究所(NIEPA)と人的資源開発省により出された「万人に教 育を2000年の評価」では、NFE の主要な特徴を以下のように整理している(NIEPA 2000)
[MEPAandGovernmentoflndia]。
・前期初等教育を2年、後期初等教育を3年とする短縮コースをとること。
・パートタイムの指導や学習者に都合の良い場所での少人数学習。
・村のコミュニティによって提供される場所やその他の NFE センターによる学習。
・地域で採用され、訓練された無給のパートタイムの指導者や監督者を認めること。
・マネージメントの柔軟性と地方分権化を重視すること。
・フォーマルなシステムに相当するカリキュラムや教材、学習道具を使用しつつも、地域環 境と学習者のニーズに適合していること。
・子どもが NFE の試験や資格を受けることでフォーマルなシステムに移行が可能であるこ と。
このように、NFE は、柔軟かつ機動性のあるコンパクトな教育システムであり、地元密着で 幅広く子どもを受け入れる受け皿となったのである。広大で多様な人や環境のインドにおいて、
より多くの子どもに教育を受ける機会を与える方法なのである。
3.日本人女性からみたインドの教育
3 . 1 インド ・ ウッタル ・ プラデーシュ(UP)州の概要
ウッタル ・ プラデーシュ州は、人口は1億7600万人で、インドの州の中で第1位、面積は第
5位で、デリー、ハリヤナ州、ビハール州、ネパールなどに接している大きな州である。政治 的には、インド国民会議派のラーフル ・ ガンディーの地元である。ラーフルは、父は元インド 首相ラジーヴ ・ ガンディー、祖母も元インド首相インディラ ・ ガンディー、曾祖父は初代首相 ネルーである。また、今回インタビューを行なったヴァラナシィは、ガンジス河が南東から流 れ、ヴァラナシィで北に向かって大きく蛇行している。マニカルニカーガートを中心に南北約 6キロにわたって沐浴のための階段状の施設であるガートが連なり、ヒンドゥー教の聖地ヴァ ラナシィのある州として有名である。そして、工業、商業も発達している大都市で、すぐ近く には仏教の聖地として知られるサールナートもあり、聖地への巡礼や観光などを目的として多 くの人々が訪れるインド四大都市に次ぐ大都市である。
教育では、インドの中でも特に教育普及の遅れた州であるが、インド政府はこの州において、
包括的な教育改革に乗り出した(ウタッル ・ プラデーシュ州基礎教育プロジェクト UttarPradesh BasicEducatimProiect,PROBE)[中村:26]。インドの1億1300万人の貧しい人々の半分はウ タッル ・ プラデーシュ州、ビハール州、及びマーデイア ・ プラデッシュ州の3州におり、さら に貧しい人々の4分の3は農村に住んでいる。初等教育の問題もこれらの地域において特に深 刻な問題になっている[UNESCO]。
第11次5カ年計画(2007-2012)では、急速な経済成長に対応するためには労働市場に対応 したスキルと知識を持った人材育成が急務となったことから、高等教育に重点をおいた政策が 展開されている。ただし、高レベルの教育水準達成には依然として格差があることから、後進 州とされているウッタル ・ プラデーシュ、ビハール、オリッサの各州において識字率30%以下 の低水準にある47県を特別重点地区(SpecialFocusDistrict)としてプロジェクト展開をする など格差是正のための政策もきめ細かく実施されるようになった。さらに2001年国勢調査の結 果によれば男子初等教育就学率は100%を達成したが、女子の就学率は85.9%と低く、初等教育 に関して女子の状況改善のための方策がとられている[西川:6]。
このように、ウタッル ・ プラデーシュ州は、貧困率が高く、識字率が低く、男女の就学率に 差があるなど教育格差がある州である。
3 . 2 インタビュー対象者について
Eさんはヴァラナシィでレストランをインド人の夫(Fさん)ともに営む30代の女性である
(年齢は2008年の第1回目のインタビュー当時)。現在の家族形態は、Fさん、Fさんの両親、
弟夫婦、弟などである。インドに入っていく努力に関しては、食事、生活、インドならではの 知恵などインド人と同じように住み、言葉は3年間主婦をしていた間にヒアリングで覚えた。
Eさんは、言葉ができるようになって社会に認められるようになったと感じている。Eさんは インド人のお嫁さんとして振舞い、インドに同調しようとしつつも、やりすぎはよくないと肩 の力を抜いている。また、他の日本人とは、インド人の男性と結婚した日本人女性やヴァラナ シィ ・ ヒンドゥー大学の学生、インド人の彼氏をもっている女性などと付き合いがあるが、イ ンド人の友人はいない。Eさんは、インド人とは友人になれないと感じている[宮崎2010:
81-83]。
そしてIさんは、ヴァラナシィでホテルとレストランを経営する夫と結婚し、居住している 日本人女性で、30代後半である(年齢は2012年の第1回目のインタビュー当時)。ホテルで生活 しており、地域社会との接触はほとんどない状態であった。インド人女性に関しては、Iさん は見習うことが多く、お母さんを尊敬しているという。男性社会なので、男性の視点になりが ちだが、日本は男女平等を主張しすぎて役割を忘れてしまっているところがあると感じている。
インドでは、男がお金を稼いで持ってきて、女が家を守る。日本は男女で家庭を見る目線が違 うので感情的になる。役割の平等は日本にいるとズレがあるが、インドは割り切っている。子 ども、家事が大家族でないと大変。インドにおける同調に関しては、してはいけないことはし ない。社会性、例えば、人前では男性と歩かない、外でお酒を飲まない、タバコを吸わない、
外で男の人と親し気に口をきかない、など自分では意識していないが、住んでいるのでこれぐ らいはやらないといけない、と感じて実行しているそうだ。日本人との付き合いは、旅行者で 何人かと、在住の日本人何人かだそうだ。また、インド人の友だちもおり、夫の友だち、女性 もいるそうだ。男性は相談役、女性は日本人の友人と同じ付き合いをし、境遇が似ているので むしろ面倒を見てもらっているという。インドの人は面倒見が良いので、友だちになるといい、
とIさんは感じている[宮崎2013:56]。
さて、第1回目のインタビューから数年たち、子どものいなかったEさんに長男が誕生し、
Iさんの子どもたちも成長して小学生となった。そこで再びEさんとIさんに2019年3月10日 にヴァラナシィでインタビューを行なった。現在、Eさんは年長クラスの長男、Iさんは小学 校6年生の長女と小学校4年生の長男を育てている。ニューデリーとムンバイに日本人学校、
チェンナイとバンガロールに補習授業校があるが、2人とも子どもを地元の私立学校に通わせ ている。
3 . 3 学校と教員
EさんとIさんは、「学校については、インドはまともなところは私立しかない。公立は無料 だが先生がいなかったり、アルバイトしていたりした。ある程度余裕があれば私立へ通わせる が私立にも上下の幅がある」という。
インドでは、私立学校がエリート学校であるという構図は、1980年代前後から大きく変化し てきた。従来には見られなかったような豪華な富裕層向けの学校が設立される一方で、政府系 学校の劣悪な教育水準や運営の在り方への失望から、低所得層を対象とした学校として数多く の私立学校が出現するようになったのである[押川2010:400-401]。4種類の学校の中では、
公立学校に通う生徒が最も多く、就学人口のおよそ6割が在籍している。公立学校では、州法 にしたがい、女子、農村出身者、指定カースト ・ 部族出身者、障害者に対する優先枠が設けら れている[杉本 ・ 小原:15]。
そして、中央政府が設立 ・ 運営する国立学校には、中央政府の公務員および防衛職員の地方
移動に伴う子弟の教育のための学校として KendriyaVidyalayaSangathan(KVS,中央学校組 織)と、貧困層、被差別グループの子どもたちなどを主な対象にした JawaharNavodayaVidy- alaya(JNV,ジャワハル ・ ナボダヤ学校)がある。政府は中等教育予算の86%をこの KVS と JNV につぎ込んでいる。KVS は1965年から設置され、レベルは第1学年から第12学年まで2004 年現在929校が設立されており、94万人が学んでいるが、女子および特定カースト出身者は無償 である。この学校は農村地区の社会経済的に不利な地域の子どもたちの中から、優れた能力を 持つ者を小学校5年次の客観選抜テストで選抜し、比較的に恵まれた施設と優秀な教員のもと で3言語による教育を行おうという計画である。生徒は教育費、食費、住居費は無償で、制服、
教科書、文房具、帰省費用、衛生費まで支給されている[杉本 ・ 小原:16-17]。日本では、公 立学校でも私立学校でも国の検定教科書を使用し、大学などの教員養成コースを修了して教員 免許を取得しなければならないため、教育の質という点では最低限の質は保障されているとい える。しかし、インドはどの学校に行くかによって教育の質がかなり違ってくるのである。と くに公立学校の評判は悪く、子どものことを思うなら、無理をしてでも私立に通わせなくては ならない。一方で、KVS と JNV には多くの予算をとっており、普通の公立学校への予算はか なり低くなっている。これでは公立学校の質は維持できず、私立学校との格差がますます開く のは当たり前である。
また、公立学校の質が悪いのは教員にも問題がある。統計的には把握が困難であるが、一般 的に初等教育の教員の社会的な階層は高いとされる。社会的な階層を示すものとして、父親の 識字率、指定カースト ・ 指定部族の割合などで比較すると、地域の平均より恵まれた階層出身 者が教員になっていることが分かる。一例を示すと、ハルヤナ州の識字率の低いいくつかの郡 では、指定カーストの全人口に対する比率は20%前後であったが、教員に限ると3%でしかな かった[UNESCO: 145]。階層的には恵まれている教員だが、学校にいないことが多く、勤務 状況が悪いことがよく指摘されている。教員が予定された日数の3分の2しか授業をしなかっ たということはまれではなく、援助機関の担当者などが、学校を訪問しても教員が不在であっ たということは非常に多い。1993年の調査では、「先生が毎日学校に来ている。」としている生 徒は、アッサム州では58%、ハルヤナ州では62%であった。他方、初等教育が普及しているケ ララ州では99%であった[中村:19]。これはインドだけの問題ではなく、UNESCO(2016)に よると、インドを含む南 ・ 西アジア地域の教師の質にも課題があることを指摘している。全教 師のうち、訓練を受けた教師が占める割合は南 ・ 西アジア地域が68%と世界で最も低いとして いる。さらに、インドでは、初等教育の普及にむけて、2011-2012年の間に、194,714の小学 校、148,991の上等初等教育を開校したため、126万人以上の小学校教師が不足していると言わ れている[Jayendrakumar:113-116]。そこで、訓練を受けていない教師の対策としてインド政 府は2011年から小学校の教師に対し、CentralTeacherEligibilityTest(CTET,中央教師資格 試験)に合格することを義務付けている。さらに、正規のルートである教師養成課程について の課題もある。教師養成は OECD 諸国の水準と同じであり、多くの州で教師養成入学前に10-
12年間の教育が基本的な要件である。だが、国語、算数などの基礎科目について、教師の多く
は8-10年生までしか履修しておらず、教師予備課程でも基礎科目の勉強にあてられる時間は 十分ではない。90%のインドの教師は2年間の教師予備課程を履修しているが、教師の多くは 講義を行う知識が不十分である[中村:18]。知識不足の教員が、きちんと出勤せず、質の低い 授業しかできない実態が調査から明らかになっている。
以上のように、インドでは学校にも教員にも多くの問題と課題が山積している。主要20州の 農村部で2003年に実施された調査では、私立学校の方が教員の無断欠勤や授業放棄がみられず、
生徒の出席率やテストのスコアが高い傾向があることが指摘されている[MEPAandGovern- mentoflndia]。きちんとした教育を受けたければ私立学校に行かなければならないという格差 が格差を生む構図があり、単に学校だけの問題ではない社会の構造的な問題でもあるのだ。E さんもIさんも日本で教育を受けており、教員が毎日きちんとした授業をする環境で育ってい る。そのため、インドの教育の問題点に対し、日本との比較の中で指摘しているのである。
3 . 4 学歴競争と就学率
Iさんは、子どもを就学前教育に3歳から入れたが、本来は2歳からである。つまり2歳か ら共同生活をするのである。Eさんは3歳から入れたという。インドでは日本よりもはやい段 階で教育を開始している。就学前からすでに学歴競争が始まっているのである。
Iさんによると、「良い大学のため、落ちこぼれないため塾、家庭教師が必要だ」という。日 本は暗記中心からゆとり教育へとシフトしていったが、インドは暗記中心であり、小学校でも 30%以内だが落第があるという非常に厳しい学歴競争である。今日、インドでは、より高いレ ベルの教育を求め、普通教育を受けながら、塾や家庭教師を利用する子弟が増えている。他方、
高い学歴よりもより確かな知識と技術を習得しようと、職業教育を選択する子弟もいる[杉本 ・ 小原:13]。Iさんによると家庭教師を見つけるのが大変だという。多くの家庭で家庭教師を必 要としているためだろう。
一方で、就学できない児童や不登校の児童もいる。インドの就学率については、様々な機関 が独自の調査方法にもとづき、データを公表している。しかし、各機関によってその調査方法 が異なるため、数値も一様でない。インド政府が公表している1999-2000年のデータによると、
全インド、指定カースト10、指定部族のそれぞれの粗就学率は、前期初等教育(1年-5年)
では、96%、92.4%、97.7%、後期初等教育(1年-8年)では、58.8%、62.5%、58.0%となっ ている。初等教育段階では、数値を見る限りでは、被差別集団に対する均等な教育機会の提供 が徹底されていることが分かる。しかし、就学しても続くとは限らない。ドロップアウトも就 学と同じように問題なのである。全インドでは、前期初等教育が39.7%、後期初等教育が56.8%、
前期中等教育が71.3%と、上級学年にあがるにしたがい高くなっている。また、全インド、指 定カースト、指定部族別に見ると、全インドよりも指定カースト、指定カーストよりも指定部 族の中でドロップアウト率が高く、結果の平等が保たれていないことが分かる[杉本 ・ 小原:
14]。
ところで、地域別に見ると、都市部と農村部では、子どもが「学校外」に置かれている主要
な理由が異なっていることを示唆する回答もある。都市部では、28.67%の子どもが貧困や経済 的理由により「学校外」の状態にあるのに対して、農村部では23.33%である。また、都市部の 世帯では、20.74%は子どもが家計を助ける必要があるために「学校外」に置かれていると答え ているが、農村部ではこのことを理由とした回答の割合は9.66%であった。子どもが「学校外」
にある理由として、農村部では20.24%は子どもが勉強に無関心であることをあげているが、都 市部でのその割合は11.99%であった[針塚:11]。学校外に置かれている子どもたちの理由は、
経済的理由、学校での勉強に関心がない、保護者が教育を必要だと考えていないなどである。
「学校外の子どもたち」やドロップアウトする子どもの親の多くは、子どもが学校に行くこと意 味や必要性といった動機に対する意識が欠落しており、学校にいく暇があれば自分の仕事を手 伝ってほしいと考えているのである。せっかく就学してもドロップアウトする児童が非常に多 いことは、学習を続けることが難しい環境であったり本人の問題だったりといろいろ原因はあ るが、就学率とともに見ていかなければならない問題である。インドの所得上位20%の純出席 率(netattendance)は59%、下位20%で44%と貧富による格差は大きい[中村:16]。このこ とからも貧困は、出席率に深刻な影響があり、ドロップアウトにつながるのである。
また、SRIIMRB-International2014では、「学校外の子どもたち」の推定規模について、全国 的には6歳から13歳の推定児童数約2億410万人のうち、約600万6400人が「学校外の子どもた ち」と推定されている。この人数は全インドの該当年齢人口の2.97%に該当するが、2009年調 査では4.53%、2005年調査では6.94%であり、かなり減少している。農村部と都市部の比較で は、「学校外の子どもたち」は、農村部で3.13%(約469万5000人)、都市部で2.54%(約136万 9000人)となっており、都市部より農村部で割合が高くなっている。6歳から13歳の男子の全 人口の2.77%(約316万6000人)、同じく女子の全人口の3.23%(約289万8000人)である[針塚:
10]。地域による格差も大きい。粗就学率(4)を州ごとにみると、1999-2000年にもっとも低かった のはウッタル ・ プラデーシュ州で65%、高かったのはシッキム州で139%であった。地域格差は 州ごとだけでなく、州内の格差もかなりある。世界銀行の統計(1999-2000年)では、ビハー ル州の北部、中部地方では「純」就学率は20%台となっており、全国の80の地方のうち5分の 1では純就学率は50%以下とされている。さらに、識字率(1991年)でみると、ウッタル ・ プ ラデーシュ州のなかの「郡」でみると高い郡では男78%、女69%である一方、低い郡では男 36%、女11%と相当な地域格差、男女格差がある。また郡よりさらに村まで下りていくと、さ らに格差が広がる[SRIIMRB-International2014:10]。インドでは、女性は結婚してしまうと 一族から離れるという社会習慣があるため、女子教育は、「投資」としては見返りのないものと して消極的に判断される傾向がある。女子児童の通学にともなう問題としては、女子児童を持 つ親は教員が女性であることを就学の条件にすることが多いが、社会的な価値観に加え、思春 期の女子生徒の指導への配慮の期待や男性教員からのハラスメントを恐れるためである[中村:
16]。とくに農村部ではまだ伝統的価値観を維持している人も多く、都市部以上に配慮が必要で ある。
しかし、1990年代後半以降、80年代半ば以降取り組まれてきた「すべての子どもに教育を
(EducationAll)」政策も効果もあって、教育統計における生徒登録率は、大半の州においてほ ぼ100%水準に達するまでになっている。登録率という統計の性格上この数値をそのまま就学率 と換算することはできないし、学校の実態や教育関連統計には多くの課題が残されているが、
すくなくともインドのほとんどの地域で、学校へのアクセスについてはある程度の確保が可能 となったとみてよいだろう[押川2010:394]。就学のみで義務教育が浸透しているとは言えな いが、少なくとも、以前よりも学校へ行くという機会が多くの子どもたちに開かれてきている と統計上は言えるだろう。
3 . 5 日本との違い
Iさんによると「週2コマ体育、ダンス、音楽、図工で、あまり力を入れない。最近はダン スなどのアクティビティの多いところも出てきたが、アクティビティがない。」という。
アクティビティがない理由は、独立後のインド政府は、この生活教育を推進し、すべての小 学校、中学校を改組して生活教育学校にしようと努め、事実、地方によってはそれがかなり普 及したが、学力水準が低下するとの不満が親や学校当局者から出され、また、学校の運営にあ たる人々からは、工芸の資材の入手と作品の売却などの手間が大きな負担になるとの苦情もも ちだされたためである。[小原:39]そのため、Iさんが言うように、「基本的に勉強。テスト はヒンディー語だけで2時間半ぐらい。暗記中心。項目が多い。」のであり、暗記中心の学習 で、科目数も日本より多く、細分化されている。そのためテストは非常に大変である。Eさん によると年長クラスでも詩の暗誦のテストがあるという。しかも、小学校で落第があり、日本 よりも厳しい競争を小さい時から行なっているのである。それゆえ、家庭教師や塾などにも頼 らざるを得ない実態が垣間見られる。さらにIさんは、「レベルが高い。テストは英語。」であ るという。ヒンディー語よりも英語が重要視されており、イギリスやアメリカなどに留学や就 職する人も多いため、英語に力を入れているのである。最近では、インドに英語留学をする日 本の大学生もいるほどである。
また、Eさんは「様子を見ながら歩幅を合わせるのが大変。」であるとし、Iさんも「親同士 の情報がない。あちこちから来ているから。手探り。インドは PTA がないから全部学校がや る。」という。日本では何かと問題になっている PTA であるが、異文化結婚による情報不足と いう点では PTA のような組織が有効に働く場合もあるようだ。特にEさんもIさんも経験の ない ISCE ボード、CBSE ボード(5)についても「最終試験は ISCE ボード、CBSE ボードで、試験 のタイプは学校による。」というぐらいで、情報があまり入らないようである。親同士の交流が なく、非常に厳しい状況に置かれている中、教育に関しては夫の存在が薄く、インタビューか らも夫が教育に積極的に協力または関与している印象は受けなかった。だが、Iさんはヴァラ ナシで子ども会をつくっており、日本人同士の協力、情報交換により異文化での子どもの教育 に取り組んでいる。
4.結 語
国際結婚というのは、それまでの地域社会における外婚制や内婚制の観念を大きく逸脱する 行為である。また、結婚が女性の交換であるとするならば、与えるだけ、または貰うだけの国 際結婚はどちらにとってもリスクのあるものである。与える側からすると女性の欠落だけを生 み出し、補充がないということになり、また貰う側からすると異文化の混入、地域社会の混乱 を生み出すというリスクがある。差異化による自文化保持を主張するよりも、同調することに よって地域社会に受け入れられるという行為選択が合理性を帯びてくるのである。
今回インタビューをした2人は、どちらも子どもを日本人学校に通学させていない。ヴァラ ナシィのEさんの夫もIさんの夫もヴァラナシィの学校事情には詳しくないと思われる。その ような中で地元の学校に子どもを通学させている。日本人という異文化をもちつつもインド社 会に同調する行為選択を行なっている母親が教育を担当しているのである。そもそもインド社 会は、伝統的には、保護とケアを必要とする子どもを、拡大家族、カースト集団、村のコミュ ニティ、宗教的な組織が面倒を見てきたのである。しかし、都市化と産業化の拡がりによって、
家族構造や宗教的な規範が崩壊し、人口爆発が起こり、刺激的な都市生活への期待が生ずるに つれて、子どもの環境は歪められてきた。現代のインド社会では子どもにとって、幸せで快適 な家庭に生まれることは特権であり、多くの子どもが享受できることとは考えられていないと いう[Bttpai:1]。インド社会の構造が変動している現代において、異文化にルーツをもつ日本 人女性が子どもを育てるのは状況判断、子どもの将来、社会への同調、と課題が山積している。
その中で、インド社会と同調しつつ、日本人同士で協力し合いながら支えあっているEさんと Iさんの姿は、異文化結婚して子育てをしている人たちにとってひとつの道標となるだろう。
ところで、インドのミドルクラスの人々には、「働くこと」を教えられる子どもと、「学習す る」ことを教えられる子どもを区別する考え方があると言われてきた[Jaiswa1 2000]。しか し、近年のインドにおける教育への熱い期待は、低所得層や社会的弱者をも巻き込み、能力主 義や効率性を求める思潮が社会の広い階層に浸透し受容されてきたことを示しているという見 方もある[押川2011:20-21]。インドの教育における格差は、これまでの歴史過程で構築され た多様な教育システムを学校教育として制度化することにより、徐々に是正されてきている。
ただし、国土の広さと文化的多様性、人口規模の大きさは依然として教育の恩恵に浴せない社 会階層を存在させている。また、トイレなど学校施設面の不備に関しても課題を残している。
このような状況の改善が就学率の上昇に必要とされている[西川:9]。インドの教育は、質の 高い義務教育を無料ですべての6-14歳の児童に提供すること、初等教育における中退率、中 等教育と高等教育への進学率、識字率、性別による識字率の格差、学校教育の質を高めること など多くの目標があるが、巨象インドはその大きさゆえになかなか課題解決をスピードアップ できないのである。ソフトとハード面の両方を向上させ、充実させていくことがインドの発展 にも寄与する。異文化結婚したEさんとIさんは、インドの激しい社会変動に向き合いつつ、
多くの課題を抱えるインドの教育状況の中で、子どもにベストな選択をし、教育をしていって
いるのである。
注
(1)インドの教育体系図である。
(2)RTE において提供される子どもに関する権利はの要約は以下の通りである[針塚:7]。
・未入学の子どもを、年齢に適合した学年に入学させること。
・無償の義務教育を提供するに際して、しかるべき政府、地方自治体、保護者の義務と責任を特 定する。また、中央政府と州政府の間の財政負担とその他の責任の分担を特定する。
・特に、教師対生徒の比率、建物と設備、開校日、教師の勤務時間に関わる規範と基準を定める。
・社会的弱者層や社会的に不利な集団に属する子どもが差別されることがないようにすること。
いかなる場合であっても、初等教育を受けることや修了することを妨げないようにすること。
これらのことをしかるべき政府と各地方自治体に要求することができる。
・憲法にうたわれている価値に調和したカリキュラムの開発。子どもの全人的発達、子どもの知 識、潜在能力、才能の形成、子どもにとつて親しみやすく子ども中心的な学習システムによつ て、子どもが恐怖、トラウマ、不安から解放されるようにすること。
・無償の義務教育を受ける子どもの権利を保護し、監督すること。そして、全国あるいは州の「子 どもの権利保護コミッシヨン」による苦情に対して対応すること。
(3)インドの法律における「子ども」の年齢は ・ 1986年児童労働法では14歳以下、2000年改正少年 法では18歳に至らない年齢の者、2006年幼児婚禁止法では女性であれば18歳の年齢に至らない者、
男性であれば21歳の年齢に至らない者と定義される。
(4)粗就学率は、分母は就学年齢の児童数、分子は就学児童数であるが、分子の数字の中には学齢 を超えて就学している児童もいるため、統計上100%を超えることがある。
(5)ICSE ボードはインド中等教育認定、CBSE ボードは、中央中等教育委員会によって実施される 修了試験
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