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1  災害時の意思決定支援システムの開発

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Academic year: 2021

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Science & Technology Trends August 2005 5

 大規模災害時には、 初期情報の量は膨大であるが、 誤報も多い一方、 必要な情報の一部は不足してい る。 このような状況にも関わらず、 災害対応に当たる者は、 可能な限り迅速に、 整合性のある意思決定 を行い、 決定内容を効率よく伝達することが求められる。 このため、 計算機を用いて、 災害の全貌をシ ミュレートし、 意思決定を支援するシステムが必要である。

 災害シミュレーションに、 人が意思決定エージェントとして参加し、 救助・消防・ 交通網確保を担う 仮想エージェントの行動を指示するシステムが開発され、 6 月の人工知能学会全国大会で発表された。

このシステムを用い、 被害を最小とする意思決定内容を競う競技会 「ヒューマンリーグ」 を、 ロボカッ プ世界大会・ロボカップレスキュー部門のシミュレーションリーグに組み込む事が提案された。「ヒュー マンリーグ」 には、 意思決定エージェントの他に、 レスキューロボットや一般市民もエージェントとして 参加することが可能で、 平時におけるリスク・コミュニケーションにも活用できる。

  ライフサイエンス分野  TOPICS Life Science

 大規模災害時には、救命・災害軽減化などの対 応を開始するに当たって、迅速に初期情報を収集 する事が必須である。しかし、収集される情報に ついて、次の特徴が挙げられる:①情報量が膨大、

②誤差が多い(同時・同地点で複数の情報が発信 され、間違った情報を含む可能性もある)、③異な った情報間で依存関係が生じ得る、④情報によっ て様々な遅延の可能性が存在する。このような状 況にもかかわらず、災害対応に当たる者は、可能 な限り迅速に、整合性のある意思決定を行い、決定 内容を効率よく伝達する事が求められる。このた め、計算機を用いて、実世界の観測情報をもとに 災害の全貌をシミュレートし、災害対応に関する 意思決定を支援する方法が開発・検証されている。

 これまでの災害シミュレーションでは、人間の 行う部分はプログラム作成や初期設計などに限ら れた。災害に対応する専門家の役割(救助・消防・

交通網確保など)は、あらかじめプログラムに組 み込まれた仮想エージェントが果たし、行動の妥 当性や、意思決定の結果の評価が行なわれてきた。

しかし現実の災害時には、時々刻々意志決定者が 発する指示に応じて、各専門家が行動する。

 本年6月に開催された、人工知能学会全国大会 で、人が意思決定エージェントとしてシミュレー ションに参加し、実時間内で行なった意思決定内 容が評価されるシステムの開発が紹介された。救 助・消防・交通網確保などに携わる仮想エージェ ント達からの報告に基づき、人が各エージェント の行動を指示すると、その結果は仮想災害環境に

反映されてゆく。人命の救助を最も重視し、次い で被害程度の低減化を図るという基準をもって、

意思決定内容が評価される。技術的には、複数の 人が異なる役割を担うエージェントとして参加す る系の開発も可能であり、協調意思決定の支援シ ステム開発につながる。

 ロボカップ世界大会(7月 11 〜 19 日、大阪で 開催)のロボカップレスキュー部門では、ロボッ ト実機のリーグとシミュレーションリーグが行な われた。このシミュレーションリーグに、意思決 定エージェントとして人が参加し、意思決定内容 を競う「ヒューマンリーグ」を組み込む事が提案 されている。

 現時点でレスキューロボットの機能としては、

情報収集が最も期待されているが、他の手段と協 調する事によって効果的に利点を発揮する。情報 収集エージェントとしてのロボットも、「ヒューマ ンリーグ」の中で活用する事ができる。

 大規模災害は、発生時期の予測が困難であり、

災害対応シミュレーションは、平時から継続して 作動している事が望ましい。「ヒューマンリーグ」

のエージェントとして、専門家のみならず、地域 の自治会など一般市民も、参加することが可能で ある。シミュレーションを通して、平時における リスク・コミュニケーションに活用する方法の開 発も進められている。文部科学省の大都市大震災 軽減化特別プロジェクトでは、地方自治体も参画 して災害シミュレーションの実用性が検証されて いる。

トピックス1

 災害時の意思決定支援システムの開発

参考:第 19 回 人工知能学会、桑田喜隆:http://www-kasm.nii.ac.jp/jsai2005/schedule/pdf/000174.pdf   ロボカップレスキュー:http://www.robocup2005.jp/rescue/index.html

  生態信号を感受するレスキューロボットを活用した被災者発見方法の開発:

  http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt043j/0410̲03̲topics/200410̲topics.html#0410life

参照

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