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雑誌名 奈良教育大学附属自然環境教育センター紀要

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

奈良教育大学附属演習林(現自然環境教育センター 奥吉野実習林)における土壌動物

著者 前田 喜四雄, 竹田 友紀子

雑誌名 奈良教育大学附属自然環境教育センター紀要

巻 11

ページ 25‑32

発行年 2010‑03

その他のタイトル Soil animals in the Oku‑Yoshino Forest for Practical Exercises, Center for Natural Environment Education, Nara University of EducationSoil animals in the Oku‑Yoshino Forest for Practical Exercises, Center for Natural Environment Education, Nara University of Education

URL http://hdl.handle.net/10105/3236

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奈良教育大学附属演習林(現自然環境教育センター奥吉野実習林)

における土壌動物

前田喜四雄・竹田友紀子

*1

奈良教育大学自然環境教育センター・

*1

現兵庫県姫路市在住

Soil animals in the Oku-Yoshino Forest for Practical Exercises, Center for Natural Environment Education, Nara University of Education

Kishio MAEDA and Yukiko TAKEDA

Nara University of Education and Himeji City, Hyogo Prefecture

 旧演習林(現自然環境教育センター奥吉野実習林)はかつて林学の教師養成のための林学実習 の場であった.しかし,奈良教育大学に林学の教師を養成する課程がなくなり,本来の役目が消 失した.そこで,この森林を自然環境教育の場に改変しようとした.これまでこの森林は植林や 炭焼きをするために天然林を伐採してきており,これまで生物学的側面からの研究報告は,植生

(原田,1991),種子植物目録(井上,1991),脊椎動物目録(井上・幸田),スギ人工林と萌芽林 の構造(米田,1991),演習林赤谷の水生昆虫(卯田,1991),大型蛾類(藤田,1991)のみであった.

 一方,自然環境教育を行う上で,その土地での食物連鎖を知っておくことは重要である.これ を知る上で,地表面や地中で落葉,落枝,果実,種などの植物や動物の遺体を摂食・粉砕して,

それを真の分解者である菌やバクテリアにまわす役目をもつ土壌動物といわれる一群の小型動物 に関する研究は,その基礎的研究の一つとして重要である.

 今回は,奈良教育大学自然環境教育センター奥吉野実習林において,今まで全く調査が行なわ れていない土壌動物について,まず広く実習林全体の土壌動物層を各季節にわたって調べた.そ の際,森川ら(1959),渡辺・四手井(1963),および中村ら(1970)などによって行なわれてい る,異植生で季節別に土壌動物層がどのように変化するかに焦点をしぼった.

調査地と方法

 奈良教育大学自然環境教育センター奥吉野実習林は奈良県五條市大塔町赤谷にあり,海抜 395.5mから1,186mにわたっており,176haの面積を有する.

 調査に供した土壌は,原田(1991)による植生図に従って,次の4植生から採取された.

  つ目の土壌採取地はスギ・ヒノキの植林群落中の標高495mにあり,40年を越した主にスギ の植林地の中にあり,下層部には,ウラジロガシ,ヒサカキ,ツバキ,コアジサイなどが下刈り の影響で小木のままみられる.従って,年中日当たりがよくなく,土壌中は常に湿気が高いよう に思われる.土壌の表層には,長年の植林木の枝打ちで落とされた枝や葉の分解物が多く蓄積し ている(以下これを植生地Iという).

  つ目の土壌採取地はアセビ・イヌブナ群落中の標高800mにあり,胸高直径が40cmを越すイ ヌブナなどの落葉広葉樹,低木としてアセビなどの林であるが,樹木の密度は高くないようであ る.それに加えて,ここは南斜面になり,特に落葉後の冬から早春にかけては日当たりがよく,

従ってその期間には土壌表面は乾燥しやすいように思われる(以下植生地Ⅱという).

  つ目の土壌採取地はブナ・ミズナラ群落中の標高1,060mにあり,ブナ,ミズナラ,ヒメシセ

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ラなどからなる二次林であるので大木はほとんどないが,樹木の密度は大変に高い.それに,低 木としてはアセビなどの常緑樹もあるので,日当たりのよくなる冬にも土中は比較的乾燥しにく いように思われる(以下植生地Ⅲという).

  つ目の土壌採取地はミヤコザサ・ブナ群落中の標高1,100mにあり,人手があまり入ってない 原生林に近く,胸高直径が40〜50cmを越えるブナの純林で,下草にはミヤコザサがある.この 場所は尾根を上がり切った平坦部にあるため冬には林の中は日当たりがよいが,ミヤコザサに覆 われるため土中はそれほど乾燥していように思われる(以下植生地IVという).

 これらの植生からの土壌は,微少な環境条件の差異による土壌動物の生息状況の誤差を考慮 し,各植生とも30m

2

の範囲で,(1)木の根本から少なくとも1m以上離れている所,(2)木の根 元に近い所で平坦な所,(3)(2)と同じようだが傾斜の所の か所から, か所11× cm,深 さ10cm(990cm

3

)の容積で採取された.しかし,植生別の土壌動物の比較および考察は,これ ら 採取地点からの土壌動物を合計して行なわれた.

 なお,これらの植生,および採取地点における落葉層と腐食層の状況は1992年 月28日に調べ られ,その結果が表 に示されている.

 土壌の採取は,1991年 月25日(以下これを夏の採取という),10月29日(以下秋),12月16日(以 下冬),1992年4月26日(以下春)の 回行なわれた.なお,採取にあたっては,雨や雨直後の日 は避けられた.

 研究室に持ち帰った採取土壌は,平バットの中で比較的大型の目につく動物がまず選びだされ た後,ツルグレン装置に移された.ツルグレン装置は,綱目 mm,直径18cmのロートであり,

土壌表面から10cm上から40w電球で48時間照射された.

 抽出土壌動物は,主に青木(1991),一部渡辺(1973)により検索を行ない,観察数が調べら れた.なお,同定は多くの物で,目レベルとし,一部それでも同定が困難なものについては綱レ ベルまでの同定とした.また,ツルグレン装置で抽出できない小型土壌動物は研究の対象外とし た.甲虫目の昆虫は成虫と幼虫の生活型が大変異なるので,それらを区別した.

結果と考察

 表 に各植生地から観察きれた土壌動物の分類群数を季節別に区別して示す.これによると,

植生地Iが全季節ともに分類群数が多く,続いてⅡはⅣであり,植生地Ⅲが最も少ない傾向であっ た.これについて,中村ら(1970)は北海道での調査より,「トドマツおよびドイツトウヒから なる人工林よりも,針広混交林からなる天然林において土壌動物層が豊富であった.」と報告し ており,ブナ林からなる原生林において 番目に動物層が豊富だったが,スギ植林地でそれが最 も豊富だった今回の結果と少し異なっている.また,京都市付近でモミ,スギ,アカマツ,混交 広葉樹林で研究を行なった渡辺・四手井(1963)は,広葉樹林に最も種類数が多く,モミ林がこ れにつぎ,スギ林,アカマツ林は少なかったと報告している.なお,これらの林はスギ林を除き,

天然林であり,今回の植生地IVにおいて比較的種類数が多いのは同じ傾向であるが,スギ林のそ れが最も豊富であるというのは大きく異なる.

 これは,中村ら(1970)が調べた林の腐食層いずれも 〜 cmと薄かったのに対して,今回 のでは表 から明らかなように,植生地Ⅰにおいて腐食層の平均が14.7cmと最も厚く,一方植生 地Ⅲにおいてそれが最も薄いことに関連するように思われる.渡辺・四手井(1963)とのスギ林 での種類数の差異は,彼らの調査したスギ林には広葉樹や草本がばとんどなかったと述べており,

一方それらがかなりあった今回の調査地との違いが反映されているとも考えられるが,詳細につ いては不明である.

 また,植生地Ⅰにおいては,夏ばかりでなく他の季節においても分類群数が多いのは,冬にも

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樹冠部が常緑の葉によって覆われており,より環境が安定しており,しかもより乾燥しにくいこ とによるものと考えられる.

 表 に各植生地で観察きれた土壌動物の総個体数を季節別に示す. 植生地で四季に抽出きれ た土壌動物は合計10,388,すなわち約 万個体であり,1植生地(99cm

2

) 季あたりにすると約 650個体である.これを cm

2

に換算すると6,558個体であり,きらに実習林全面積(176ha)に換 算すると約l兆 千 百億個体と天文的な数になる.それでも,この数は具体的に実習林を覆っ ている表面積ではなく地図上での平面積での,しかも土壌表面10cmまでに生息する土壌動物の 推定値であるので,実際に実習林内に生息する土壌動物はもっと多くなることになり,いずれに しても大変な数の土壌動物が実習林内に生息していることになる.

 森林における土壌動物数については,京都市付近で行なった渡辺・四手井(1963)の資料が あり,それから換算すると,スギ林では最も個体数の多かった10月で cm

2

当り13.17個体,少な かった 月で5.16,広葉樹株で最も多かった10月で16.26,少なかった 月で6.19であり,一方,

Tamura  et  al.(1969)によるカラマツとカシワ林の結果からは多い 月で15.35であり,少ない 月で1.59と換算された.すなわち,他地域でも,本調査の個体数の多い植生地Ⅰの冬の15.53,

少ない植生地IIの冬の1.98と同じような値を示した.

 観察個体数全季節の合計では植生地Ⅰが圧倒的に多かった.これは,他植生地では秋と冬に土 壌動物の個体数が夏に比べ大変減少しているが,この植生地Ⅰではそれほどでもなく,むしろ冬 に最も多くの土壌動物が観察きれていることを反映している.このことは,植生地Ⅰが40年を越 えたスギを中心とする植林地であり,腐食層も多く,湿度などの環境条件が年を通して相対的に 安定していることによるものと考えられる.これについて,渡辺・四手井(1963)ではスギ林の 個体数が最も少ない結果を得ているが,前述したように,これは彼らの調査地では下層部を覆う 下草がほとんどないことに因っているようであり,今回の結果とそのまま比較はできない.

 次いで植生地Ⅳが多くⅡとⅢは少なかった.これは植生地Ⅲでは一年を通して個体数があまり 変化していないのに対し,ⅡとⅣでは真に個体数の増加がある一方,Ⅱでは冬と春に個体数の大 幅な減少がみられることの反映である.これは特に冬から春にかけて土壌表面が乾燥しやすくな る植生地Ⅱの特殊な環境が原因しているものと思われるが,植生地Ⅲの土壌動物の一年をとおし ての個休数の安定さの理由は今のところ全く不明である.

 また,季節毎にみると,植生地Ⅰを除き,夏が最も多く,全体的には春の個体数が少ない傾向 がみられた.これは大多数の土壌動物の繁殖期が春と夏の間にあることを示しているようである.

 表 に各植生地における季節毎の土壌動物の分類群ごとの観察個体数を示す.合計30分類群 のうち,ダニ目とトビムシ目の個体数が他に比べて圧倒的に多く,ダニ目は全個体数のうちの 39.4%を,トビムシ目のそれは43.6%を占め,両者で83.0%を占めた.これについて,渡辺・四手 井(1963)はモミ,スギ,およびアカマツ柿で土壌動物中,ダニ目とトビムシ目が圧倒的に多く,

その中ではダニ目よりもトビムシ目の個体数が年中多く,広葉樹でもこれに近い結果を得ている.

中村ら(1970)は北海道の天然林と人工林において,中大型土壌動物ではトビムシ目が最も多く,

次いでダニ目が多いという結果を得ている.また,Tamura  et  al.(1969)は北海道のカラマツ,

カシワ林で調査した か月のうち, 月を除く か月でトビムシ目が最も多く,次いでダニ目で あり, 月だけはダニ目が多かつたという結果を報告している.一方,森川ら(1959)は四国松 山での研究より,「トビムシはダニ群についで土壌中の大動物群集である」と述べており,ダニ 目とトビムシ目の数がこれより逆でトビムシ目の方がやや多いということを除けば,今回と同じ 結果を得ている.このダニ目とトビムシ目の相対的数の差異が何に起因するかは不明であるが,

いずれにしてもダニ目とトビムシ目が土壌動物の中で最も個体数が多いというのは共通している.

 また,植生地別にこれら両目をみると,ダニ,トビムシ目ともに植生地Ⅰが最も個体数が多く,

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次いでⅣであり,残りの植生地ではそれらより少なかった.このうち植生地Ⅰのトビムシ目は他 に比べて圧倒的に多かった.このようにスギを中心とする植林地である植生地Ⅰにはダニ目とト ビムシ目が他よりも多く,続いてブナの純林である植生地Ⅳで多かった.このブナ林においてこ れらの土壌動物が多いというのは,森川ら(1959)も腐食に富んだブナ林にダニ・トビムシ目が 多いという観察を行なっているので,もっともな結果である.

 しかし,森川ら(1959)は「杉林の土壌は落葉堆が深く腐食も多いにかかわらずダニとトビム シが多い方ではない.」という結果を得て,「杉の造林土壌はその落葉腐食の性質が何か動物栄養 に欠く点がある」と推論している.また,渡辺・四手井(1963)も同じようにスギ株にこれらの 動物が少ないことを指摘している.これらは今回の結果と逆であり,渡辺・四手井(1963)との 差異については,土壌動物全個休数の比較のところですでに述べたが,森川ら(1959)との差異 については不明である.

 トビムシ目は植生地Ⅰで圧倒的に多く(全植生地中の個体数の45.2%),他 植生地の間に差 はあまりなかった.また,季節別では全体的に明瞭な傾向はみられなかったが,植生地Ⅰの冬が 23.3%,秋が11.1%といずれもトビムシ数の10%を越え,顕著に多かった.これについて,中村 ら(1970)は北海道の天然林においてトビムシ目が中秋と厳冬に多かった報告をしている.一方,

渡辺・四手井(1963)はスギ林では 月に最も少なく,次いで 月に少ないが,他の林では 月 に最も少ないという結果を得ている.このように論文により,増減の時期が異なるのは,地域に より優先種が異なりその発生消長の時期の差異によってこのトビムシ全体の個体数が影響をうけ ることに因るものと思われる.

 ダニ目は植生地ⅠとⅣで多く,他で少なかった.その中では植生地Ⅱの冬と寿が特に少ないが,

これらの季節のここの土壌が最も乾燥しやすいことの影響が推測される.季節別にみると,どの 植生においても夏が最も個体数が多く,続いて植生により秋か冬が多く,いずれも春が最も少な かった.

 しかし,中村ら(1970)は北海道の天然林と人工林において,いずれも春にダニ目の個体数が 最も多く,さらに最も少なかったという,今回のとは全く逆の結果を得ている.一方,渡辺・四 手井(1963)はスギ林では 月に最も少なく,次いで12月に少ないが,他の林では 月に最も少 なく,次いでモミ林では 月と12月,広葉樹株では12月と 月,アカマツ林では12月と 月とい う結果を得ている.すなわち,調査地域によりその個体数の年間変化に差があるが,これはおそ らくダニ目群を構成する具体的な種の違いを反映しているものと考えられ,これ以上の考察はこ こでは避ける. 

 ダニ目とトビムシ目に次いで,甲虫目の幼虫(5.7%),カメムシ目(2.3%),ハエ目(1.6%),チャ タテムシ目(1.6%),ハチ目(1.6%),クモ目(0.6%),コムカデ綱(0.5%),甲虫目の成虫(0.5%)

となり,これまで取り上げた10分類群は観察分類群全体の 分 にあたるが,これら10分類群の 個体数のみで全観察個体数合計の97.4%,すなわちほとんどすべてとなった.森川ら(1959)は スギ林やブナ林でダニ目やトビムシ目に次いで,上述の甲虫目の幼虫とハチ目の個体数が多いと いう,また渡辺・四手井(1963)はスギ林と広葉樹林ではハエ目,ハチ目,甲虫日,クモ目,ム カデ綱が多いという,さらにTamura et al.(1969)はミミズ綱,ハチ目,甲虫目の幼虫が多いと いう結果を得ており,ミミズ綱とムカデ綱を除くと,今回の傾向に近い.しかし,中村ら(1970)

はイトミミズ目とカニムシ目が多いという今回とはかなり異なった結果を得ているが,原因は明 確でない.

 他にカニムシ目(0.4%),ナガミミズ目は0.3%,イトミミズ目は0.2%を占めるが,残りの分類

群の個体数はいずれも1%以下を示し,そのうちの5分類群では2個体以下の関さす個体数と稀で

あった.

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 ダニ・トビムシ目以外の分類群の土壌動物を季節別にみると,ハエ目とクモ目を除き,全般的 に夏に多くの個体が見られている.この中で夏に最も多く,秋,冬,春と個体数が徐々に減少し ている分類群は,甲虫目の幼虫,ハチ目,チャタテムシ目であり,後者は春には全く見られなかっ た.カメムシ目は夏にのみ見られ,それ以外の季節は全く見られないか,ほとんど見られなかっ た.この傾向はナガミミズ目でもみられた.カニムシ目は夏に最も多く,次いで秋であり,冬と 春は全く,あるいはほとんど見られなかった.コムカデ綱は夏に最も多く,他の季節でも見られ たが個体数は夏より明らかに少なかった.甲虫目の成虫は夏に多かったが,春にも多く,他の季 節には少なかった.

 一方,ハエ目は各季節に見られたが,春に最も多く見られた.また,クモ目は一年中見られた が,個体数の変化はあまり見られなかった.

 これらについては,一般的には春から夏にかけて動物が繁殖し,その結果が夏の個体数の増加 に表われていると推測される.しかし,やはり本当の数の増減の原因追及には動物の実際上の存 在単位である種の繁殖周期や生活習性を把握しなければならず,今回のように動物の同定が綱や 目までではこれ以上の考撃はできないので,結果の報告にとどめた.

 植生地別に各分類群の土壌動物の個体数をみると,甲虫目の幼虫とハチ目はほとんど全ての植 生地で見られるが,植生地Ⅰで特に多く見られた.ワラジムシ目も同様な傾向であるが,他の植 生地でほとんど見つかっていないところが異なる.カニムシ目は植生地ⅡとⅠで多く,他は少な かった.コムカデ綱もこれと似た傾向が見られた.クモ目と甲虫目の成虫は植生地ⅠとⅣで多い 傾向を示した.

 一方,チャタテムシ目とハエ目では植生地による顕著な個体数の差異の傾向は見られず,しい ていえば,前者では植生地Ⅱが,後者では植生地Ⅲがやや多いようであった.

 これらのことについても,季節による個体数の変動のところで述べたように,同定を種まで行 なわないと,正確な生息場所や環境選択についての考察が困難であり,また,観察個休数がそん なにも多くないこともあるので,今回は考察しなかった.

要約

 奈良県五條市大塔町赤谷にある奈良教育大学自然環境教育センター奥吉野実習林(旧演習林)

から表 のように つの異なる植生を選び(これを植生地とした),1991年7月25日(夏),10月 29日(秋),12月16日(冬),および1993年 月26日(春)の 回,11× cm,深さ10cmの土壌 を 植生地から か所採取し,ツルグレン装置で主に中型土壌動物を抽出した.観察された土壌 動物の分類群数では植生地Ⅰが最も多かった(表 ).土壌動物総個体数は植生地Ⅰで最も多く,

次いでⅣであり,植生地Ⅰの冬を除き全体的には夏に多かった(表 ).この実習林に生息する 中型土壌動物は 兆個体以上と推定された.各土壌動物の中では,トビムシ目とダニ目の個体数 が圧倒的に多かった(表 ).次いで,甲虫目,カメムシ目,ハエ目,ハチ目,チャ夕テムシ目 であった.ダニ目は植生地Ⅰで最も多く,次いでⅣであり,また季節別では夏に多く,冬にむかっ て少なくなる傾向を示した.トビムシ目も植生地Ⅰで圧倒的に多かったが,季節による個体数変 動の明確な傾向はみられなかった.他の土壌動物のいくつかにおいて,植生地Ⅰで個体数が多い 傾向にあったが,一部では植生地による特別な傾向の観察されない動物群もあった.また,全般 的には夏に個体数が多く春にむかって減少するという傾向にあったが,個体数の年変化のあまり みられないものや春に個体数の最も多いものなどもみられた.

引用文献

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 (この論文は,平成 年度の卒業研究を基礎とし,それに平成4年度春に新しい資料を追加し たものであり,平成 年度・ 年度文部省特定研究報告,「自然および人間活動における循環過 程に関する研究と教育へのその適用についてー自然の総合的な見方,考え方の育成をもざして」

(奈良教育大学,平成 年 月)に収録されているが,この報告書は公表されたものとはいえず,

公の目にはほとんどふれないものであるので,今回その時の論文に手を加えて,まとめなおした

ものである.)

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(9)

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