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幼稚冨・保育閣での虫飼育実践の提案

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1 目 的

幼稚閤・保育麗での虫飼育実践の提案

幼稚冨・保育閣での虫飼育実践の提案

Proposal for the practice of insect raising  in kindergartens and nurseries 

山 下 久 美 ネ Kumi YAMASHITA 

首 藤 敏 元 判 Toshimoto SHUTO 

山下・首藤のこれまでの研究から、虫は幼稚園や保育障での飼育に相応しい生き物であること が示されてきた(山下・首藤, 2004)。しかし、 f虫」は、小さな無脊椎動物の総称(落合, 1997)  のようなもので、明確に分類できない上に、子どもたちが虫と呼ぶ生き物は、非常に種類が多い。

そのため、いざ幼稚菌や保育国で飼育を始めるといっても、どのような種類を銅育すれば良いの か、迷うところであろうし、「どの虫でも間じように幼児に適した生き物であるか」については、

未だ沼とんど研究されていない。

また現在R本の保育者の大多数は虫の苦手な女性であり、知識も少なく、その飼育は、子ども 自身が園内外で捕獲して偶発的に持ち込んだものを、保育室で飼育するに留まることも多いよう である(山下・首藤, 2004)。このため、一般的な閣においては、虫の飼育についての情報が不足

しており、意味のある保育活動のーっとして取り組むためには、ある程度の時期の予測や餌育の 仕方などの知識も必要であると恩われる。この場合必要なのは、通常の銅育知識だけでなく、幼 稚菌や保育問という場において、有効な'情報であろう。

そこで本論では、虫の飼育を重要な保育活動と位置付けている保育者達から情報を収集・整理 し、保育現場において飼育する上で有用だと思われる清報を提供する。すなわち、幼稚閤や保育 関で飼育することを想定して、その虫が持っている長所あるいは短所などを示し、そのことによ って、個々の保育者が、在職している麗の環境や保育状況、担任している鹿児の年齢や実態に合 った虫を選定して朗育できるようにしたい。

さらに、これらの飼育について保育上の工夫や配慮、事項を検討した上で、教育課程の一例を示 し、虫銅育の提案を行うものとする。

2 方 法 )調査対象

夜職閣が虫の飼育を国の方針として積極的に行っている、あるいは個人で虫の飼育に関心があ り、重要な保育活動の一つで、あると考えている、在職年数が3年以上である保育者78 (25)

上記該当者であることを確認の上、協力の依頼を持った結果、回収率は100%で、あった。

東京都:千代閃区(幼稚菌13人、保育園3閤10人)、新宿区(幼稚園2 3人)、杉並区(幼

東洋英和女学院大学人間科学部 付 埼 玉 大 学 教 脊 学 部

‑159 

(2)

幼稚関・保育圏での虫銅育実践の提案

稚園2 6人)、世田谷区(保育閤l5人)、豊島区(幼稚園12人)、練馬区(幼稚園3 3人)、渋谷区(幼稚園11人)、三鷹市(幼稚閤33人)、臨立市(幼稚園111人、保育閤 2園20人)、府中市(幼稚園17人)、西東京市(保育圏11人)、立川市(保育園1 1人) 神 奈JII!果・横浜市(幼稚霞1 1人)、千葉県:市川市(幼稚園1 1人)

(2)手続き

各霞、または個人に電話連絡の上、手渡し及び郵送、Emailによってアンケートを送り、郵送、

Email、竜話によって回収した。

[質問内容]

・幼稚簡や保育菌で子どもたちと共に餌育を行って、良かったと思える虫の種類名、・回答した虫 を餌育する場合の適応年齢、‑その理由、・幼稚園や保育園で飼育する特に配慮している点

(3 )調査時期

1 屈~ 2004年 6~9 月 2田宮 2005年 10月 ~2006年 1 月

結果

)飼育に向いている虫の種類とその適誌年齢

1 飼資に向いている虫の種類とその適応年鈴 2  3  dzb

!J' カ タ ツ ム リ 3  18  11  8  41  チ ョ ウ ・ ガ 類 3  5  18  35  カブト・クワガヲ 10  20  ダ ン ゴ ム シ 11  3  3  18  オ合マジャクシ 5  5  2  13 

4  11 

トンボ(ヤゴ) 3  4 

テ ン ト ウ ム シ

ス ズ ム シ 2  2  4 

カ マ キ リ 2  2 

コ オ ロ ギ 1¥  y

保育者たちが、幼稚菌や保育園で子どもたちと 共に飼育を行って、飼育するに相応しいと思われ る虫の種類と子どもの年齢との関係の回答結果は、

1のようで、あった。一般に、子どもたちは小さ な無脊椎動物を虫と呼ぶが、回答の中には再生穎 であるオタマジャクシもあげられていた。しかし 蛙にも虫偏がついていることから解るように、元 来日本人の考える虫には明確な分類は存在しない ため、そのまま表中に記すこととする。またカイ コは、チョウ・ガの仲間に含めた。

すべての年齢を総合して見ると、幼児に相応し い虫として、一番多くあげられていたのは貝類で あるカタツムリであった。

年齢日IJに見ても、 3歳児と4議児に最も相応し いとされた虫は、やはり虫はカタツムリだ、った。

3歳児では2番目にダンゴムシがあげられ 3番目のチョウ・ガ類とは差が大きくなっている。

4競児では、 3歳児や5歳児ほど際立つて相応しいと考えられている種績はないが、カタツム リの次にチョウ・ガ類、カブト・クワガタ類が上げられている。

5歳児では、どの年齢よりも「飼育に向くjとして挙げられている種類数が一番多い。虫の錦 育に関心のある保育者たちは、 5歳児クラスでは様々な虫を飼育し、それらがそれぞれに良い経 験になったと考えているようである。その中で最も5歳児に相応しい虫として、多くの保育者が 回答しているのは、チョウ・ガの類であり、 2伎に上げられたカブト・クワガタとの差は大きか った。 2位と 3{立との差は少なく、カタツムリが上げられている。

‑160‑

(3)

幼稚園・保育闘での虫飼育実践の提案

(2)なぜ銅育に向くムシであるかの理由

次に表2から、それぞ、れの虫がなぜ飼育に向くと考えられているか、その理由を見てし、く。

2なせ。飼育!こ向くかの耳霊感 {

bE ない鋳 EZ る織

f ら世T る務

Z

L

;

カ タ ツ ム 1) 13  43  チ ョ ウ ・ ガ 類 16  14  39 

ダ ン ゴ ム シ 18 

カブト・クワガタ

1) 

ァ ン ト ウ ム シ

オタマジャクシ

カ マ 1) 

F¥ 

d 27  25  17  14  14  12  12 

①保膏者はどのようなことを科点だと考えるか

2からは、個々の虫が持っている利点が分かると同時に、虫の飼育経験のどのような部分 を保育者たちが重要だと考えているか、知ることができる。本調査の質問自答の回収は先に示 したように郵送、 Emailと電話によるもので、あったため、電話では回答中に説明が付け加えら れることがあり、また田答後に調査者から、質問をしたケースもあった。それらを合わせなが

ら、表2の結果を以下に示す。

まず、保育者が飼育の利点として1番多く挙げていることは、「体の変化が興味深しリことで あった。確かにアゲ、ハのように幼虫の時から、その成長につれて色や大きさが顕著に変化する 虫は、子どもたちにとって非常に興味深い存庄であろう。昆虫独特の変態の様子を知ることで、

子どもたちの好奇心が喚起され、自然科学的な輿味関心が広がっていくなどの意見が関かれた。

2番呂にその虫を額育する理由として挙げられたのは、「触ることができるjことで、あった。

年齢が低いほど、目で見ただけで、は満足がいか十、特に3歳児以下の幼児にとっては、触って 確認できることが重要だとする意見が多かった。

3番目には f羽化が観察できるjで、これは1番目に挙げられていた体の変化に含まれるよ うに思われるが、保育者たちによれば、自分たちが育てた蝶などが、~~を広げて飛び立ってい く羽化の様子は、子どもに大きな感動を呼び起こすということで、 53IJに加えられた。

4番には、「観察しやすし¥Jr産卵と鮮化が見られる」が冊数ずつ挙げられている。子どもに とっては、じっくり挑められることは、もっとも基本的なことであろうし、小さな卵から、幼 虫が解化する様子は、羽化に次いで子どもたちに感動を呼び起こすものであることが、複数の 保育者の意見からうかがえた。

220

4B

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44

42

32

32

33

433 ヲ

(4)

幼稚園・保育園での虫飼育実践の提案

6番目も同数で「動きや習性が面白し、」と「身近にいる」が挙げられていた。幼児にとって、

興味が尽きない習性を虫類が持っていることと同時に、それらが特別な労力を必要としない幼 児の日常的な生活の中で体験できることは、確かに飼育の大きな理由となるだろう。

次に興味深いのは、 8番釘として f餌脊に手間がかからなしリと、 9番目に「子どもでも世話 がし易しV があげられているにも関わらず、 10番目にその理由とは矛盾するような「毎日世話が 必要であるから」が、挙げられていることである。 r手間がかからなしリについては理解しやす いが、「毎 B世話が必要であるから」ということには、どのような利点があるのであろうか。保 育者によれば、「カイコやカマキリなどは、毎お新鮮な餌を与えなければ自に見えて弱った様子 になる。そのため保育者があれこれ雷わなくても、世話をしなければならないことを子どもたち に直接教えてくれるので、 5歳児の責イ壬感を育てるためにはとても良い。Jとのことで、あった。

その他、「捕まえる面白さがあるJや、「種類によっては舘期間で解、化から成虫になるまでの サイクルを見通せるJことも、虫類の持つ独特な特徴であり、こうしたことを、子どもの経験

として意味があると保育者たちが感じているということが分かる。

②飼資に向く理由(利点)が多く挙げられた虫と1I頃位について

さらに虫の種類別にこの表を見症すが、個々の種類とその長所については、後に、 (4)それ ぞれの虫についての構報のまとめの中でとりあげるので、ここでは飼育に向く理由(利点)が 多く挙げられた虫の名前とその順位を中心に、結果を見ていく。

まずカタツムリは、表2によれば、幼児が飼育するときに最も利点が多い虫だと考えられて いる。これは表1の回答からも納得のし、く結果と言えるだろう。 2番目に飼育に向く理由が多

くあげられたのはチョウ・ガの類で、 3番目は、ダンゴムシで、あった。

カブトムシ・クワガタは、男児に人気があり、山下・首藤 (2004)の調査でも、一番多く飼 育されている虫となっていたが、表2によれば、保育者が考える幼児に向く理由数の多さから すると4番目で、カタツムリの4分のl以下であり、ダンゴムシと比べても半数で、アリと変 わらない。飼育頻度から考えると、保育者たちにとって飼育した時の科点を、意外に感じ難い 虫であることが読み取れるのではないだ、ろうか。特に観察ということにおいて、常におがくず の中にもぐっているカブトムシの幼虫などは、その姿が非常に分かりにくく、年齢が低ければ 低いほど子どもたちが体験として受け取りづらいことが考えられる。

(3 )飼育方法の工夫と配慮事項

3には、虫の飼育を積極的に行っている保育者たちの、餌育の際の配慮事項を示した。また%

数は、 1つの項院について、どのくらいの保育者がそれを実行しているかを表している。結果と して、表に示した6項尽に関

表3虫を飼育するときに重要と考えて行っていること しては、虫の飼育に関心のあ

る保育者の多くが行っている ことが分かる。

また、この他に飼育時に重 要と考えて行っていることの 自由筆記では、「虫の情報が子 どもからクラス全体に広がる

87%  飼脊ケース{土、必ず子どもの見やすい位置に置く 79%  世話;土、子どもと一緒に行う

77%  虫;こ変化があった時、それを取り上げて皆で言語し合う

75%  初めて飼育するものに拐して比絵本や図鑑でその生態を知らせる 75%  飼育ケースの前に飼っている虫の生態が分る本などを置いておく 64%  ノレーべなどを置き、よく綴察できるようにしている

U

(5)

幼稚思・保育闘での虫餌育実践の提案

ように心がけているJr保護者にも関心を持ってもらうよう働きかけるJという回答があった。特 に、母親の中には虫が嫌し、な人もいるため、子どもの前で嫌悪感を露わにせず、子どもの興味を 育てる援助をしてもらえるように働きかけておくということであった。

その他、「子どもと話し合いながら、なるべく子ども自身が主体的に飼育できるようにするJ つでも見たい時に虫が見られるよう飼育ケースは移動させなしリ「不衛生にならないよう管理するj

「活動後の手洗いに気をつけるJr戸外活動の擦には、捕虫鱗や虫かごを用意するJなどで、あった。

(4 )それぞれの虫についての構報のまとめ

①カタツムリ

カタツムリは最も飼育に向いている虫として、保育者たちがあげた虫で、あった。その飼育を 行うのに最適な年齢としてあげられているのは、 3~4 才である。

利点には、以下のようなことがあげられる。

‑さわれる:乳幼児期は力の加減が分かり難く、小さなムシを誤ってつぶしてしまうことも多 いが、年齢が低いほど、さわって確かめることを好む。カタツムリは殻に守られているので、

比較的楽にふれることができ、手にとって、じっくり観察できる。

・産卵・鮮化を観察できる:J雄雄間体であるので、向種のものを何匹か入れておけば 6~7 月 に産卵と僻化が観察できる。小さなカタツムリが育ってし、く様子も見ることができる。

‑動きや習性が面白い:透明なブ。ラスチックの飼育ケースの壁を這っている様子を外側から観察す ると体の動きが興味深い。また金物によって糞の色が変わるのも (ex.人参→桂色)興味深い。

‑身近にいる:身の回りに居て捕獲も楽にできる。ある一定時期飼育し、また外に放すという ことも容易であるし、野外での姿が観察できるメリットもある。

‑世話が簡単である:鏑育には土が必要であるが、餌育ケースの誌には濡らしたキッチンベー ノ《ーを敷き、土は広口瓶のような入れ物に入れて、置いておけば、水分補給もでき、掃除も 楽にできる。餌の野菜を毎R取り替えるのは、 3歳児でも簡単に行える。

その他>関東地方で一般に飼育されるカタツムリの寿命は 2~3 年と言われている。差の仮眠 中や冬越しのための世話が難しければ、捕獲した元の場所に放して、また観察したい時に捕獲す ることも可能であろう。

餌青時の注意>子どもたちの飼育対象となる虫類には、人畜共通感染症の原因となるものは少 ないが、カタツムリの中のアフリカマイマイに寄生する広東住血線虫による症例が、掻稀に見ら れるようである。一般の館育対象となる他のカタツムリでの症例は未だないが、全く存在しない かどうかは分かっていないので、触った後にはみく手を洗うなどの注意が必要である。

②チョウ・ガの類

保育者の餌育例ではチョウ類ではアゲハ類が最も多い。飼育に最も相応しい年齢としてあげられ ていたのは5議児であった。理由は、さわって遊ぶには向かない虫だ、が、 5歳児であれば「見るこ

とで満足できるj、「その生態の由自さに気付ける」からである。あげられた利点を以下に示す。

・体の変化が興味深い:アゲハであれば、鮮イヒ誼後からその成長過程の変化は興味深い。幼虫 は模様や色を変化させながら、幼児でも日々大きくなっていくことが確認できる速度で成長 する。頭の部分だけ残して脱皮した皮を金べる様子も観察でき、幼児にとっては好奇心を強

くそそられる存在である。

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幼稚園・保育国での虫銅育実践の提案

‑羽化が観察できる:イモムシがやがて踊になり、全く異なった姿の蝶になって飛び立つ姿は 子どもたちに大きな感動を与える。

‑世話は、アゲ、ハとカイコでは、意見が分かれる。アゲハは、山搬や柑楢類の枝を花瓶に科し ておけば、 2日ほどは持つが、カイコは新鮮な若葉を必ず毎日与えなければならないので、

アゲハよりは多少手間がかかる。いずれにせよ、その食性に合う新鮮な植物が身近にあれば 餌の確保は楽である。園庭に余裕があれば、柑播類や桑を植えておけば良いだろう。

その他>アゲハは冬越えしないものであれば、解化から沼化まで1ヶ月半ほどであり、短期 間で全てを見通せる。世話も矩期間で済み、計画も立てやすい。また圏庭にアゲハの幼虫の食 草を植えておけば、自然な姿を観察することも容易である。

①ダンゴムシ

3歳児に合う虫だとし、う意見が多い。

・さわれる:体が硬いので、まだ手指の細かい動きが不十分な3歳児でも、安心して持つこと ができる。また動きが早くないので捕まえることも容易で、扱い易く親しみ易い。

・産卵・解化が観察できる :6月墳に雄と維を、飼育環境を整えてケースに入れておくと、

卵と鮮化を観察できる。慣れれば、幼児でも錐雄の見分けがつくので、捕獲する時に確認し ておくと良い。ダンゴムシの鮮化と成長は、 3歳児にとって非常に興味深いものであり、白

く小さかったダンゴムシに色が付いて大きくなる姿を喜ぶことが報告されている。

‑世話が簡単である:手間がかからず、子どもでも館の入れ替えが容易である。身近にどこに でもいるため、幼い子どもたちと共に1番始めに飼育するのに良い虫である。

その他>以上のような利点はあるが、一方、アゲハなどと違って、解化とその幼虫の成長以 外には変化がないので、興味は長くは続き難い。

②カブトムシ・クワガタ

適応年齢は 4"‑'5歳で、年中の時から飼育すると、年長で羽化を観察することができるとい うことで、あった。

‑体の変化が興味深い:おがくずに潜っている、白いイモムシが黒い鎧のような羽をまとって 出てくる様子が、子どもたちの興味を引き付ける。

‑産卵・誕生を観られる:カブトムシは市販されており、成虫も手に入れやすい。雌雄を条件 が整った飼育かごの中に入れておけば、交尾をして卵を産ませることができる。鮮化の頃i 注意しておがくずを掘り返せば、小さなイモムシが誕生しているのを観ることができる。

その他>飼育期間は瞬化から羽化まで10ヶ月ほどかかる。冬越しの開も週一度は、館や水分 に気を配る必要がある。また途中で手間がかかるからといって、飼育を中止したくても、もと もとの生息、地が近いとは限らないので、他の虫のように簡単には放せない。

餌も自然のものを入手することは困難なので、幼虫は、市販のカブトムシ・クワガタの幼虫用の おがくず、成虫は昆虫ゼ、リーで育てることになり、費用がかかる。また人口のもので育てるという

ことは、本来の生態を知らせ葉齢、ということになる。さらに幼虫は、常時おがくずの中にいるため、

姿が見えにくく、幼児には生態が分かり葉齢、が、掘り返したり、触ることは幼虫には負担になる。

飼育を考える時には、あらかじめ、上記のような性格を持っている虫として了解しておかねばな らないが、それらを理解した上で、保育者が偶育に取り紐み本来の生態を観察することができる

‑164‑

(7)

幼稚閤・保育園での虫飼育実践の提案

野外に子どもたちと共に出かける保育活動に発展させれば、多くのことを学びとる機会ともなる。

⑤テントウムシ

適応年齢としては、 2歳から5歳までの年齢があげられていた。

・さわりやすく、観察しやすし、:比較的低年齢で、もそっと持てば、つぶれることがなく、触れ ながら、良く観察することができる。また低年齢の子どもほど、小さいものを集中して見ょ うすることがあるので、興味を持ちやすい。イモムシを怖がる子どもでも、テントウムシで あれば抵抗感がないことも、大きな利点である。

・羽化が観察できる:幼虫から成虫になる時の変化は、興味深い。

・身近におり、飼育に手間がかからなし、:その餌となるアリマキが多く付いている植物さえ身 近にあれば、その枝を取ってきて水に刺しておけば良いので、飼し、易い。ただし、それらが 大量にないと、幼虫も成虫もよく食べるので、飼育し続けることは難しい。

⑥ヤゴ(トンボ)

あげられた年齢としては、 5歳が多かった。ヤゴを水中から捕まえてきて、羽化までの間を 餌育する。水換えが時々必要になり、その度にすくい出す手間がかかる。またその生息してい た水か、あるいはそれに近い水質の、ヤゴの餌となる小さな生物がし、る水換え用の水が必要で、

ある。あげられた利点は、 f感動的な羽化が観察できる」で、あった。

⑦ア1)

適応年齢としては、 4~5 歳があげられていた。どの子どもでも、野外で 1 番始めに出会う 虫はアりではないだろうか。子ども違は初め、つぶしたり、巣穴を掘ったりを繰り返すが、そ こから徐々にその巣穴の中で、起こっていることを想、像し、興味を持つようになる。

‑動きや習性の面白さ:その社会性のある習性は面白く、巣穴の中が覗けるようなケースで餌 育すれば、卵の部雇、鮪の部屋と分かれていることも観察でき、大人でも非常に興味深い。

子どもにとっては、いつも見かける虫でいながら、通常は決して中をみることができなかっ たその生態をみることは大きな喜びである。虫は子どもの科学的な興味を育てるものだとい

う保青者が多いが、アリの生活は子どもの探究心を強く刺激するようである。

・身近にいる:仰処にでもいるので、活動が活発な春から夏にかけての1時期捕獲し、ある程 度満足したらまた戻せばよい。また餌も様々食べるものが多く、飼いやすい。

その他>餌青には大型のケースの中に中型のケースを入れ、 2つのケースの開に土を入れる と、薄いカップ状の館脊用土が出来上がり、タトと内の両側から巣を覗くことができる。アリを 捕獲して飼育ケースに入れる時に、必ず開巣の7ワを入れるようにしないと、戦いはじめ、一 緒に飼育することはできないので注意する。

⑧カマキリ

適応年齢は、 5歳ということである。カマキリは、その食性が動物性で、あるため、飼育には 毎日、生餌を捕獲して与えなければならないため、簡単で、はない0

・解化が観察できる:その卵のかたまりは、目立つので、子どもに拾われ保育室に持ち込まれる 事も多い。たくさんの小さなカマキリが誕生する鮮化のようすは、子どもたちの興味を強く 引く。ただし、数多い子カマキリに生餌を与えて、育て上げることは非常に難しい。

‑動きや官性が面白し、:他の虫を狩って食べるようすは子どもたちにとって驚きである。餌が

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22

3

45

36

(8)

幼稚閤・保育留での虫飼育実践の提案

無い時は、その腹の部分がつぶれ、空腹であることが、年長児であれば見て取れる。こうし たようすを観察して、さまざまな生態を持つ虫がし、ることを理解していくことができる。

その他>僻化したてのカマキリの幼虫を育てることは難しいので、 1際化後にはタトに放せば良いが、

育てたい場合は、ショウジョウパエを餌にする。ショウジョウパエの集め方は、バナナを3c m どに切ってアルミ箔などの上に教せて置くと、その匂いがハエを引き付ける。ショウジョウパエは 小さいので通常の飼育かごであれば網目をくぐって中に入札小さなカマキリの餌となる。しかし、

ある程度の共食いは、避けられない。このような習性を理解した上で飼育する必要がある。

⑨コオロギ、バッタ

適応年齢は、 5歳ということで、あった。コオロギもバッタも、共に捕まえることの面白さが、

どもにとっての魅力であるとされていた。幼児にとっては、動きの早い虫を捕まえられるこ とが嬉しく、自{言が付くということのようである。

子どもたちは捕まえたものをすぐには放したくないが、そのまま放置すれば死なせるだ、けで ある。そこで、ある保育者は、捕まえた後、月曜から金曜までは新鮮な葉をたくさん餌育ケース に入れて世話をするよう子どもたちを指導し、金曜日の降隠時には簡庭に放して帰り、また月 曜日;こ捕まえるということを1カ月半繰り返し行ったということで、あった。こうした餌育形態 が取れるのも虫の大きな利点であろうO

虫 飼 育 の 教 育 課 程 の 一 例

どのような虫を、いつ填餌育するかは、保育者が上記のような情報を考麗しながら、置かれて いる環境や、子どもたちの年齢や興味、保育者として子どもたちに伝えたいこと、自分自身がで きることの範閤、偶発的な出来事などを考え合わせて決定していけば良いと考えるが、参考とし て、虫館育の年間計画の例と、アゲハ朗育の指導計画の例を以下に示す。

(1)虫関育の年間計画例

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 '"'3月

'"  .. ~   ‑. ... e '"  .J /Y~

一一

‑ .  

dンゴムシの成虫、を慰庭で捕まえ、

産卵と際化を観察したら、関庭iこ渓す

4

年中からカタツムリの飼い方を 関いて飼育し,夏休み前に放す   ............. ー砂

アリを鋳育し、巣を作る様子を観 カブ4m

察する Eなを年長から引

4 s,  継 ぎt投話を始め

カタツムヲを飼育し、産卵と鮮化

を観察する。

少し大きくなったら放す

母 一 一 一 一 一 一 一 ‑ ‑ ‑ ー 『時四『由 由『由時『町田 ωーー一歩

カブトムシを館予言し、幼虫から成虫になるまでを 聖子外に出かけ、カブト カブトムシが産卵し、卵から 観察する ムシの自然な姿を観察 幼虫が'f1としたのを確認し したり、放したりする。 たら、飼い方を年中に教え 4一一一一一一一一一一一一一一一惨 また希室望者は家;こ持ち て、引き走法いでもらう

アゲハを飼育し、卵から成虫になる 帰り、成虫の役話をし、

までを観察する。羽化後は放す。 始が羽化するのを観察 する。

‑166 

(9)

幼稚観・保育園での虫飼育実践の提案

(2 )命をいとおしむ心を育てる指導計寵偶 5歳児

<アゲ、ハの銅育を通して>

①草の用意と卵の発見

・顕底やプランターに柑橘類・山栂の苗木、あるいは、パセリやセりなどを育てておく。

5月ごろ、柑橘類・山栂にはアゲハ、パセリなどにはキアゲ、ハが産卵するので、子どもにも 注意を促して、卵が産みつけられていないか、時々観察しておく。

用意する物:食草となる植物

②飼育の呼びかけ

・卵を見つけたら、保育室に枝ごと持込み、葉がしおれないよう花瓶にさして、餌育ケースに 入れておく。なるべく棲数の卵を見つけておく。

‑機会を見て、子どもたちに呼びかけ卵を見せる。

・絵本、小林勇作著「かがくのとも傑作集 あげはj福音館書庖発行(1992年)などを、ゆっ くり読み聞かせる。読み終わった後、もう一度卵を見せて、本当に絵本に出てきたようなア ゲハの幼虫が、この卵から生まれるのか?と、間し、かけ、予想を促す。

・飼育してみたし、か閉し、かけ、飼育するにはどうすれば良いか、何が必要か(餌やりと措除などに ついて)を話し合う。子どもたちの大半に餌育したいという気持ちがあれば、飼育を開始する。

用意する物:飼育ケース(子どもが揖除する持に扱い易いよう、プラスチック製などの軽い もの)、食草を挿すための花瓶(安定感があり、口が細し、小さな入れ物であれば何でも良い)、

アゲハの生態が分かる絵本

③餌育開始

・命があるものであること、世話をしなければ、死んでしまうことなどを伝える。好奇心から、

卵や幼虫をつついたり、触ったりしてみたい幼児も多いが、そうすることがアゲハにとって は、迷惑なことを話しておく。正しい情報を伝えてから、どうすることが、アゲ、ハにとって は、国ることなのか、あるいは必要なことなのかを考えさせる(この時まで、に保育者は、図 鑑などで飼し、方の情報をあらかじめ得ておき、伝えられるようにする。)

・餌育ケースはクラス内の見やすい場所に設置し、そばにアゲハの生態が分る絵本や図鑑を置 き、常時読めるようにしておく。小さな卵や体の細かい部分が見やすいよう大きめのルーペ もそばに麓いておく。

・僻化や、脱皮などで様子が変わったときには、一斉活動の時間に話題として取り上げる。保育者 が話すのではなく、なるべく当日世話をしたデどもから、他の子どもへ報告させるようにする。

用意する物:ムシの生態が分る図鑑、絵本 写実的な絵が{吏われているもの)、ルーペ

④育がうまくいかなかった時

・世話が1)度調に行われていれば良いが、子どもたちが世話をおこたりがちである場合は、クラスで 話し合いの時間を持ち、アゲ、ハにとっては好ましくない状況にあることに気付かせるようにする。

その上で制育を続けるのかを聞い直し、続けるのであれば、どうすれば良いのかを話し合う。

・幼虫などが死んでしまった場合は、命について考える好機でもあるので、決して避けずに、

子どもに死んでしまったことを伝える。死んでしまった虫をどうするか話し合い、子ども違 の、アゲハの死を悲しむ気持ちに保育者も共感を示す。

167‑

(10)

幼稚園・保育園での虫鍋育実践の提案

‑なぜ死んで、しまったのかを話し合い、原因が分れば、それを取り除いて、他の幼虫を無事に 育てられるよう、クラスの皆で考え合う(世話を怠る、誤って農薬ω付いた餌を与える、天 敵の蜂に寄生されていたなど、幼虫が死ぬ原因は様々であるので、正しい答えにたどりつけ るよう、リードする)。知識を得ることで、誤りを繰り返さないことを学ぶ。

・子どもから岳然に湯き上がる命に対する想いを、大切にする。保育者がリードし過ぎたり、

1値観を押し付けることは避けるが、子どもの虫を大切に思う気持ちに対して敏感に応答し、

子ども自身がクラス全体にそうした患いを伝えられるような機会を随時設ける。

⑤羽化を見守り自然に返す

‑科学的な関心や興味が持てるよう、幼虫が5齢になって踊になる持期が近づいたら、踊の色 が仰によって決定されるかなどについて話し、何色になるか子どもが予想、できるようにする。

・羽化の時期を正確に知ることはできないが、その日を予想し、楽しみに待つ。保育中に羽化 が始まった場合は、子ども間土で呼びかけ合えるようにし、羽化を見守る0

・成虫をどうするか、皆で話し合う。自分違が蝶をどのようにしたいかというよりも、蝶にと ってどのような選択が望ましし、か考えられるようにし、成虫の飼育の難しさを理解させる0

.全員が見守る中で自然に返す。

用意するもの:羽化した成虫が飲めるよう小皿を用意し、キッチンペーパーをポカリスエツ トなどで温らせたもの、あるいは水で薄めた蜂蜜を入れておく。

配慮事項

アゲ、ハの飼育は非常に錆単で、手間もかからないが、命のあるものを扱うのだという思いを保 育者自身が持つことが重要だと思われる。保育者も子どもと感動を共有し、その命をいとおしむ 気持ちを持ったときに、心情的な教育効果が生み出されてくることを認、識しておくことが、重要 だと思われる。

また、飼育が始まったら、クラス便りなどで保護者にも理解を呼びかけ、餌が足りない時には 協力を呼びかけ、虫への子どもの関心を援助してもらうことも大切だと思われる。

引用文献

落合進 むしの好きな子・嫌いな子ーその実態と原閣の考察(2) 日本保育学会大会研究論文集第50 1997 p.692 

山下久美・首藤敏元 幼児への動物教材(ムシ類)の提供についての研究埼玉大学教育学部教育実 践総合センター紀要,第3 2004 pp.149157 

山下久美・首藤敏元 幼稚園・保育園の動物飼育状況と銅育体験効果に関する研究展望 一子どもと ムシのかかわりに関する研究に注目して一 埼玉大学教育学部教育実践総合センター紀要, 第4 2005 pp. 177188 

山下久美 ムシ飼育のねらいとその銅脊体験効果について一幼稚間・保育園におけるムシの飼育の意 味…東洋英和女学院大学人文・社会学論集,第23 2006 pp.84‑90 

山下久美・首藤敏元 虫との関わりが幼児の社会性の発達に与える影響について埼玉大学教育学部 紀要57 1 2008 pp.105121

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参照

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