(様式6号) 「課程博士用」
学 位 論 文 の 要 旨
専 攻 名 材料科学 専 攻 氏 名
ふ り が な
園
その木
き秀
ひで聡
とし○
印学位論文題目
Studies on the Electrode–Electrolyte Interface in Aqueous Lithium–Oxygen Rechargeable Batteries
(和訳 水系リチウム–空気二次電池の電極–電解液界面の研究 )
携帯機器や電気自動車などの電源として用いられているリチウムイオン電池は,その高いエネル ギー密度やサイクル特性から現代社会に欠かせないものとなっている.しかし,より高いエネルギ ー密度を持つ二次電池に対する需要が高まっているため,理論容量の高い活物質を利用することが 求められる.そのようなものの一つとしてリチウム–空気二次電池が挙げられる.負極にリチウム金 属の溶解析出反応,正極に酸素の酸化還元反応を利用していることから高いエネルギー密度が期待 できる.この電池系は正極側の電解液によって水系と非水系に分類できる.水系リチウム–空気二次 電池は固体電解質などの保護層によって正極側と負極側を分けたセル構成をとる.本研究では特に 電極–電解液界面に着目し,その物性と電気化学特性を明らかにすることによって水系リチウム–空 気二次電池のための材料設計指針を得ることを目的としている.
リチウム金属は金属負極の中でも高い理論容量と低い標準電極電位を示すため,理想的な負極活 物質として注目されてきた.しかし,充電反応であるリチウム金属析出過程においてウィスカー状 の析出形態を示すことが課題となっている.そのような析出形態を示す一因として基板やリチウム 金属表面に形成する不均一な表面被膜の存在が挙げられる.当グループではこの表面被膜の形成を 抑制するべく,強い還元剤である水素化ホウ素リチウム (LiBH 4 ) を含む電解液を検討してきた.こ れは特異なリチウム金属析出形態を示すことから負極用電解液として有用だと考えているが,その 表面被膜形成挙動については明らかでない.
負極–電解液界面について,LiBH 4 系電解液をはじめとする各種電解液中における電極表面被膜形 成プロセスの初期段階を調査した.電気化学水晶振動子マイクロバランス (EQCM) による被膜の形 成挙動解析と X 線光電子分光法 (XPS) による被膜の組成分析を行った. EQCM 測定結果より, LiBH 4
系電解液中では他電解液の 100 分の 1 程度の質量の被膜しか生成せず,本電解液が被膜形成抑制に 効果的であることが定量的に示された.XPS による深さ分析測定でも,30 秒間のアルゴンイオンエ ッチングで基板の銅電極が露出しており,非常に薄い被膜が生成していることが示された.このよ うに, LiBH 4 系電解液は疑似的に表面被膜のない環境を作り出すことができるため,リチウム金属負 極の特異な析出形態を引き起こすと考えられる.ヘキサフルオロリン酸リチウム (LiPF 6 ) 系電解液 では,1.5 V vs. Li/Li + 以上の高電位で PF 6 − アニオンが速やかに分解し,高密度で薄いフッ化リチウム 層が形成されていることを確認した.また,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドリチウム系 電解液では,有機成分を多く含んだ厚い被膜が形成されていた.これはカーボネート系溶媒中でも エーテル系溶媒中でも同様であった.これらの結果より,負極–電解液界面に生成する被膜は電解液 のアニオン種に強く依存するという知見が得られた.
続紙 有■ 無□
(様式6号-続紙) 「課程博士用」
氏 名
ふ り が な