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黒一色彩バウムテストの解釈

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Academic year: 2021

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(1)

黒一色彩バウムテストの解釈

名 島 潤 慈 *

The I n t e r p r e t a t i o n  o f  t h e  B l a c k ‑ C o l o r  Baum Test  J u n j  i  N  AJIMA 

( R e c e i v e d  N  ovember  13 , 1998) 

The p u r p o s e  o f  t h e  s t u d y  i s   t o  d i s c u s s  t h e  s i g n i f i c a n c e  o f  t h e  B l a c k ‑ C o l o r  Baum'  T e s t , e s p e c i a l l y  t h e  o n e  o f  t h e  C o l o r  Baum T e s t  i n  which t h e  s u b j e c t  i s   a s k e d  t o  draw  a  c o l o r e d  t r e e  on an A4 s i z e d  s h e e t  o f  w h i t e  p a p e r  w i t h  t h e  i n s t r u c t i o n   “ P l e a s e  draw a  t r e e  which b e a r s  f r u i t , u s i n g  t h e s e  c o l o r  p e n c i l s . "   I n  t h e  p a p e r  t h e  a u t h o r  t r i e s  t o  p r e s e n t   v a r i o u s  ways o f  i n t e r p r e t a t i o n  o f  b l a c k  a n d  c o l o r  T r e e s .   Much more r e s e a r c h  on t h e   a c h r o m a t i c  ( p e n c i ) I and c h r o m a t i c  ( c o l o r  p e n c i ) I d r a w i n g  p h a s e s  o f  t h e  Tree , i t   g o e s   w i t h o u t  s a y i n g , n e e d s  t o  b e  d o n e .  

I 本 稿 の ね ら い

黒鉛筆のみを用いて実のなる木の絵を描いてもら うパウムテストは Koch ( 1 9 5 2 ) によって大成された ものであるが,その後,表 l に見られるように,さ まざまな研究者が色つきのパウムテストを試みてい る.

筆者自身は Fodor と K e n d e l 1 ( 9 6 6 ) の論文を参考 にして,約2 5 年前から H B 鉛筆による黒色パウムと 1 2 色の色鉛筆による色彩パウムの 2 枚法を施行して きた(名島・増田ら, 1974;名島・増田, 1 9 9 3 ) . そ

して,乙の 2 枚法を仮に「黒一色彩パウム 2 枚法」

と名づけ,これについての紹介と若干の考察も行っ た(名島, 1 9 9 6 , 1 9 9 8 ) .  

ただし,黒一色彩パウム 2 枚法では呼びかたとし て少し煩雑なので,今後は「黒一色彩パウムテスト

J

( B l a c k ‑ C o l o r  Baum T e s t  :  BCB テストと略記)に 統一したい.なお, B l a c . k ‑ C o l o r  Baum T e s t では英 語とドイツ語が混合しており, Baum の代わりに T r e e のほうが望ましいかもしれないが,日本語でも 既に「パウムテスト」という言い方が一般化してい るので,ここではあえて BaumT e s t としておきた 表 l 色彩を用いたパウムにおける色の数

研 究 者 |色の数と用具| 色 名

Buck , . J N. 1 ( 9 4 8 , 1 9 4 9 ) 1 )   1  8 色. |赤・緑・黄・青・茶・黒・紫・撞 クレヨン

2)

P a y n e , J .   T .   1 ( 9 4 9 )

1)

I 8 色. |赤・緑・黄・青・茶・黒・紫・樟 クレヨン

2)

Hammer , . E F .   ( 1 9 5 8 )  1 )   I 8 色. |赤・緑・黄・青・茶・黒・紫・樟 クレヨン

2)

F o d o r , V  o n  S .   & K e n d e l , K . I 6 色. |赤・緑・黄・青・茶・紫 ( 1 9 6 6 )  

名島他(1 9 7 4 ,1 9 9 6 )   1 1 2 色市販の|赤・緑・黄・青・茶・黒・紫・樟・黄緑・

色鉛筆

3)

桃・水・白

3)

注 1) Buck , P a y n e , Hammer のものは, H‑T‑P T e c h n i q u e   (家・木・人技法)の中の木であ る.

注 2 )クレヨンは,“ C r a y o l a "wax c r a y o n である.

注 3 )名島は 1 9 9 7 年より,白色の代わりに肌色を用いている.

ホ心理学科

‑ 6 1 ‑

(2)

本稿では,この黒一色彩パウムテストの解釈上の 留意点について,これまでに述べたことをより深め る形で記述してみたい.また,色彩ノ T ウムテストの 類型など,新しい整理法についても提示・検討して

みたい.

なお,従来は市販の 1 2 色の色鉛筆の中に白色を含 めていたが, 1997 年からは白色の代わりに肌色を用 いている.したがって, 1 2 色は,赤色・緑色・黄色・

青色・茶色・黒色・紫色・撞色・黄緑色・桃色・水 色・肌色となる.

白色を除外した理由について言えば,たしかに白 色は黒色の上に塗りつけることによって多少とも灰 色のような効果をもたらすことができる.また,被 検者の中には r ここに白色が欲ししりとはっきり述 べるような人もいる.しかし,実際のところ白色は 使用頻度が極めて低いし,白色の A4 用紙に単独で 用いられた場合にはほとんど目立たない.逆に肌色 ならよく目立つし,しかも人物画を描いてもらうさ いに顔や手足の色に使用できる. (筆者は最近多くの 場合,パウムテストが終了した後,被検者に被検者

自身の自画像を描いてもらうようにしている.自画 像は,本人の全身像である. )

I

I 色の数

色彩パウムの色の数が 1 色ないし 2 色と少ない場 合,以下の 3 つが考えられる.

まず第 1 は,被検者の知的水準が低い場合である.

第 2 は,被検者が抑うつ状態にある場合である.

ただし,抑うつ状態にある場合には,①ここに述べ ているように色の使用数がきわめて少ない場合と,

②色の使用数は 4 色から 5 色と平均的であるが,し かし,そのなかに黒色や寒色が用いられているとい う場合の 2 つがある.なお,筆者が以前吟味したよ うに(名島, 1 9 9 8 ) ,抑うつ状態が色の数の少なきゃ 黒色の使用ではなくて,もっぱらパウムの形態的特 性,例えば,パウム空間の極度の縮小や下向きの枝 として表出されていることがあるので,注意が必要 である.

第 3 は,外界からの情緒刺激に対する反応性が低 下している場合である.これは,上の第 2 の抑うつ 状態に見られる場合もあるが,それ以外では,例え

表 2 6 歳から 1 5 歳までの発達段階と色彩パウムの色の数

)1

(今村, 1 9 9 8 )   6 歳 7 歳 8 歳 9 歳 1 0 歳 1 1 歳 1 2 歳 1 3 歳 1 4 歳 1 5 歳 男 M 4 . 2 2   3 . 7 8   4 . 1 2   5 . 5 7   5 . 8 0   6 . 2 5   4 . 7 0   4 . 1 0   4 . 2 8   4 . 3 9  

( 1

. 4 0 )   ( 1 . 2 7 )   ( 2 . 0 8 )   ( 2 . 9 2 )   ( 3 . 0 6 )   ( 2 . 5 ) 1 ( 2 . 5 4 )   . 1 ( 7 8 )   ( 2 . 1 2 )   . 1 ( 5 0 )   N  9  1 8   1 7   2 3   1 5   1 6   2 7   3 9   3 9   1 8   女 M 4 . 4 4   4 . 8 3   5 . 6 7   6 . 8 1   7 . 4 0   5 . 8 1   5 . 5 4   4 . 4 4   5 . 0 3   5 . 8 8  

( 1

. 5 0 )   ( 2 . 0 9 )   ( 3 . 1 6 )   ( 2 . 8 8 )   ( 2 . 9 8 )   ( 2 . 5 5 )   . 1 ( 8 9 )   ( 1 . 2 2 )   ( 1 . 7 6 )   . 1 ( 4 ) 1 N  9  1 8   1 5   1 6   1 5   1 6   2 6   3 2   3 2   1 7   合 M 4 . 3 3   4 . 3 1   4 4 . 8  6 . 0 7   6 . 6 0   6 . . 0 3   5 . 1 1   4 . 2 5   4 . 6 2   5 . 1 1   計 1 ( . 4 5 )   ( 1 . 8 ) 1 ( 2 . 7 5 )   ( 2 . 9 6 )   ( 3 . 1 3 )   ( 2 . 5 4 )   ( 2 . 2 8 )   1 ( . 5 6 )   ( 2 . 0 0 )   . 1 ( 6 3 )  

N  1 8   3 6   3 2   3 9   3 0   3 2   5 3   7 1   7 1   3 5   注l) M は平均値, ( )のなかは SD ,Nは被検者数.

表 3 1 0 歳代後半から 50 歳代までの発達段階と色彩パウムの色の数

1)

1 0 歳代後半 2 0 歳代前半 2 0 歳代後半 3 0 歳代 4 0 歳代 5 0 歳代 男 M 4 . 5 7   4 . 5 4   3 . 8 1   4 . 4 5   5 . 2 7   5 . 4 0  

( 1

. 4 0 )   . 1 ( 5 3 )   . 1 ( 1 7 )   ( 1 . 5 6 )   . 1 ( 2 2 )   ( 2 . 0 6 )   N  7  4 8   1 6   2 0   1 1   5  女 M 4 . 9 1   4 . 8 3   4 . 7 1   5 . 0 4   4 . 4 0   4 . 5 4   ( 0 . 9 4 )   1 ( . 6 7 )   ( 1 . 3 9 )   . 1 ( 3 ) 1 . 1 ( 1 0 )   1 ( . 2 7 )   N  5 6   6 4   1 7   5 2   6 0   3 7   合 M 4 . 8 7   4 . 7 1   4 . 2 7   4 . 8 8   4 . 5 4   4 . 6 4   計 . 1 ( 0 1 )   . 1 ( 6 ) 1 . 1 ( 3 4 )   . 1 ( 3 9 )   ( 1 . 1 4 )   1 ( . 4 2 )  

N  6 3   1 1 2   3 3   7 2   7 1   4 2   注l) M は平均値, )のなかは SD , Nは被検者数.

‑ 6 2

(3)

ぱ分裂病者のように極度に自閉的になっている場合 がある.

ちなみに,境界例の場合などに時折見られるが,

ロールシャツハテストでは色彩反応が多く出ている のに,色彩パウムは青や紫など, 1 色のみで描かれ ていることがある.これは一見矛盾しているようで あるが,しかし,詳細に検討してみると,ロールシ ャツハテストの色彩反応は例えば「血」といった反 応なのである.つまり,外界からの情緒刺激に対す

る応答性を表すもの(色彩パウムの色)ではなくて,

もっぱら内的な破壊欲動と結びついた色彩反応なの である.

乙こで色の数について補足しておきたい.表 2 は , 6 歳から 1 5 歳までの年齢別の色の数,表 3 は , 1 0 歳 代後半 (15‑19 歳 , ) 2 0 歳代前半 (20‑24 歳 , ) 2 0 歳 代後半 (25‑29 歳入 3 0 歳代 ( 3 0 一 3 9 歳 , ) 4 0 歳代 (40‑

4 9 歳 , ) 5 0 歳代 (50‑59 歳)のそれぞれの年代の色の 数の平均値を表にしたものである.

6 歳から 1 5 歳までの,つまり小学校 1 年生から中 学校 3 年生までの年齢別の色数は,今村(1 9 9 8 ) の 調査資料である.

一方, 1 0 歳代後半から 5 0 歳代までの年代別の色数 は,筆者自身がここ数年の聞に収集したものである.

被検者は,学生の場合には高校生・看護学院生徒・

大学生など,社会人の場合には主婦・医師・看護婦・

公務員・会社員・実業家・自営業・薬剤師・臨床心 理士など多岐にわたる.なお,今村の資料も筆者 の資料も,社会適応上特に問題のない,いわゆる正 常適応者の色彩パウムである.

表 2 と表 3 から分かるように,色彩パウムに用い られた色の数の平均値は,多くの年齢層で 4 色代が 最も多く,ついで 5 色代である.ただし 4 色より も少ないほうで言えば 7 歳男子は, 3 . 7 8 色 , ' 2 0 歳 代後半男性は3 . 8 1 色であり 5 色よりも多いほうで 言えば, 9 歳女子は6 . 8 1 色 , 1 0 歳女子は7 . 4 0 色 , 1 1 歳男子は6 . 2 5 色である.

筆者の資料である表 3 の , 1 0 歳代後半から 5 0 歳代 までのすべての被検者の色の数の全体平均は,男性 が4 . 5 3 色,女性が4 . 7 5 色,男女全体が4 . 6 9 色である.

このようにしてみると, 1 0 歳代後半以降の被検者の 場合には,色彩パウムにおいておおむね 4 色から 5 色の色が用いられるといってよいであろう.

I I I   色彩の影響性

黒一色彩ノてウムテストの描画順は,最初に黒色パ ウム (HB 鉛筆),次に色彩パウム(色鉛筆)であ

る.これら 2 枚のバウムはそれぞれ単独でも解釈で きないことはないが,やはり 2 枚を比較検討するこ とがきわめて重要である.検討項目は,筆者が以前 に例示したように(名島, 1 9 9 8 ) ,色彩が導入された ことによって,①ノてウムの大きさ(パウム空間)が どのように変化したか,②ノ T ウムのバランスがどの ように変化したか,③パウムの豊かさがどのように 変化したかなどである.

一般的に言って,黒色パウムに比べて色彩パウム の大きさが増し,バランスがよくなり,内容が豊か になることはよいサインである.逆の場合には悪い サインと言える.例えば,内容の豊かさについて言 えば,黒色パウムは 2 線枝で描かれていたのに,色 彩パウムになると 1 線枝になった場合,これは,色 彩が導入されることによって 1 線枝という退行所見 が出現しているので,あまりよいサインとは言えな い. (この場合の解釈としては,乙の被検者は他者と の感情的・情緒的関わりの中に入ると,幼児的な考 え方や行動をとりやすくなるということが考えられ よう. )

色彩の影響性が多面に及んでいる場合がある.例 えば,①黒色パウムよりも色彩パウム(黄・緑・黄 緑・茶の 4 色)の大きさが小さい(パウム空間) ,② 黒色ノ T ウムの樹冠の中には実がたくさんあるが枝が

1 本もない,しかし,色彩パウムになると潤筆で枝 もたくさんあり実もある(パウムの豊かさ) ,③黒色 パウムは左傾斜であるが,色彩パウムは右斜め上を

目指している(パウムの形態)一このような人は,「ふ だんはどちらかと言えば内向的な性格であるが,外 界(他者)からの情緒刺激によく反応し,外交的に

なる.しかも,繊細になる.しかし,このことはま た,外界との関係で気を使いすぎて外界に巻き込ま れてしまうという欠点も持つ」といった解釈が可能 であろう.

I V   色彩パウムの類型

筆者の手元には,正常適応者から分裂病者に至る までの数千枚の色彩パウムがあるが,解釈上の 1 つ の試みとして,とれらの色彩パウムを類型別に分け てみたのが表 4 である.

表 4 の最初の基本型は,文字通り色彩パウムの基 本的なもので, 4 色程度の自然色が使用されるもの である.これをより具体的に言えば, 4 色ないし 5 色の自然色が用いられる. 4 色の場合には,茶色の 幹と枝,赤い実,緑と黄緑の樹冠, 5 色の場合には,

茶色の幹と枝,赤と櫨の実,緑と黄緑の樹冠といっ

(4)

表 4 BCB テストにおける色彩ノ守ウムの類型 類 型 名

基本型

定 義 │  意 味

( b a s i c  t y p e )   精徹型

平均して 4 色程度の自然色が使用|自然な感受性を表す.

されている.

( e l a b o r a t e  t y p e )  

基本型をより糟般にしたもの.多|細やかで繊細な感受性を表す.

くの色彩で微妙な色合いが表現さ れている.

逸脱型

( d e v i a n t  t y p e )  

紫の葉や実,ピンクの幹といった 具合に,自然から逸脱した色彩が 使用されている.自然色と逸脱色 の両方が用いられている場合,逸 脱色のみの場合など,いろいろな

タイプがある.

思考障害(妄想を含む)の可能 性が高い.

混乱型

( c o n f u s i o n a l  t y p e )   収縮型

逸脱型の極端なもので,数多くの 色彩が乱雑に用いられている.

感情の無統制状態を表す.

感情の抑制を表す.

( c o n s t r i e t i v e  t y p e )  

1 色ないし 2 色の自然色が用いら れている.つまり,色彩の使用が 極端に抑制されている.

回避型

( a v o i d a n t  t y p e )  

1 2 色の色鉛筆の中の黒色のみが用 いられている.これは,鉛筆によ る黒色パウムと同じになる.

感情の回避を表す.他者との感 情的・情緒的な関わりを回避・

思避する傾向.

た具合である.色彩の使い方もごく自然で無理がな い.このような色彩パウムは,被検者のごく自然で 穏やかな感受'性を表していよう.

精徹型は,基本型をより精敏にしたものである.

平均以上の多くの色彩を用いて,微妙な色合いが表 現されているものである.被検者の細やかで繊細な 感受性を表していよう.

逸脱型は,紫色の葉や幹,ピンクの幹といった具 合に,自然な色の使い方から外れた色彩が用いられ ているものである.このような色彩パウムは,筆者 の経験からすれば,被検者が思考障害を有している

ことが多い.この思考障害の中には,妄想も含まれ る.

混翫,型は,上の逸脱型の極端なもので,数多くの 色彩が脈絡なく乱雑に用いられているものである.

これは被検者の,感情面での混乱・無統制状態を表 していよう.そう病ないしそう状態において典型的 に見られるパウムである.

収縮型は,茶色のみの木とか,茶色の木と緑の葉 といった具合に, 1 色ないし 2 色の自然色が用いら れているものである.このような,自然色ではある が色彩の使用が極端に抑制されている色彩パウムは,

被検者の感情が抑制されていることを表していよう.

なお 1 色ないし 2 色が逸脱色の場合には,そのパ ウムは収縮型ではなくて逸脱型となる.

最後の回避型は, 1 2 色の色鉛筆の中の黒色のみが

用いられているものである.この色彩パウムは結局,

鉛筆による黒色パウムと同じになる.このような色 彩バウムを描く被検者では,感情の回避が見られる.

つまり,他者との感情的・情緒的な関わりを回避も しくは思避する傾向がうかがえる.

V 結果のフィードパックの問題 筆者は臨床場面においては,黒一色彩パウムテス トを行う前に必ず被検者(児)に rパウムテストの 終了直後に結果をフィードパックする

J

ということ

を約束している.

結果をフィードパックする場合,以下のような点 に留意するとよいであろう.

(1)可能な限り被検者の持つ「ょいところ」を探知し て,それを言葉で返すようにする.例えば,原因

( 1 9 9 8 ) は,ひきこもりのひどい 4 0 歳代のある女性の 入院分裂病者に対して r他者からの情緒刺激に応ず る力を有している」といった意味のことをクライア ントにフィードパックしたところ,彼女は翌朝久 しぶりに皆と一緒のラジオ体操に自分から参加した とのことである.

( 2 )   rよくないところ

J

をフィードパックする場合,

l つの讐告ないし警戒事項の形で被検者に伝えるよ

うにする.例えば rあなたは他人と情緒的に関わろ

うとすると,過去の心の傷,それもおそらくは小学

校低学年のころに受砂た何らかの心的外傷体験がぶ

- 6 4 ー

(5)

り返してくるようですね.そして,そのような場合 には,他人に対してひどく攻撃的になってしまうよ うですね.しかし,こういったことは人との関係を 著しく悪化させますので,気をつけられたほうがよ いように思います

J

r 現在のところあなたは,外の世 界と感情的に関わらないようにしておられます.こ れは多分,あなたが必要以上に自己防衛的であるこ

とや,見捨てられ感が強いことと関係しているのか もしれません.たしかに,他者と関わらな貯れば自 分が傷つくととはありませんが,しかし,傷つくこ

とがない代わりに,自分がそれ以上発展していく機 会もなくなってしまいます.誰か,自分にとって大 切な人だと思えるような人がいたら,その人との関 係を努力して深めていくようにされるとよいかもし れません」といった具合である.

( 3 ) できるだけ専門用語を使わずに,相手に分かるよ うな言葉を用いる.相手が幼児なら,幼児が理解で きるような言葉を用いる.

( 4 ) 心構えとしては?テスト結果のフィードパック を,被検者の自己理解を促進させるための 1 つの媒 介物として利用するようにする.つまり,理想的に 言えば,テスト結果のフィードパックをするための 時間を十分にとっておき,パウムテストの所見につ いて話し合いながら,被検者の自己理解を促してい く.なお,稀ではあるが,被検者によっては 2 枚の パウムを描くのに 1 時間くらいかかる人もいるので (強迫神経症者や強迫的パーソナリティの持ち主に よく見られる) ,その場合には,次回の面接を約束し て,その回で結果をフィードパックするようにする.

言うまでもないことであるが,パウムテストで得 られる情報量は限られているので,推測でしか言え ない部分は慎重に伝達する.あるいは,まったく伝 達しない.必要なら,被検者の了解を得て,パウム テスト以外の心理テストも施行する.

V I   おわりに

本論文においては,筆者のこれまでの臨床経験に 基づいて,黒一色彩パウムテスト,それも特に色彩 パウムの結果を解釈するさいの留意点について述べ

た.また,色彩パウムを描くさいに用いられる色の 数の平均値や,色彩パウムの類型分類などについて

も触れた.黒一色彩パウムテストと他のパーソナリ

テ ィ テ ス ト と の 関 連 性 , 色 彩 パ ウ ム に お け る 色 彩 の

深層心理学的意味など,いくつかの事柄については 本稿では吟味できなかった.これらは,今後の課題

としたい

引用文献

Buck , J .   . N 1 9 4 8  The H‑T‑P t e c h n i q u e :  A  q u a l i t a t i v e  and  q u a n t i t a t i v e  s c o r i n g  manua . J Joumal o f  C l i n i c a l   P s y .   c h o l o g y , 4 : 4 , 3 1 7 ‑ 3 9 6 .  

Buck , J .   N .  1 9 4 9  The H‑T

Pt e c h n i q u e .  Joumal o f  C l i n i .   c a l  P s y c h o l o g y , 5 : 1 , 3 7 ‑ 7 4 .  

F  o d o r , Von S .   und  K e n d e l , K .   1 9 6 6   V e r g l e i c h e n d e   B e o b a c h t u n g e n  von s c h w a r z e n  und f a r b i g e n  Baumzei

c h n u n g e n  b e i  p s y c h o t i s c h e n  P a t i e n t e n :  E i n  B e i t r a g  z u r   o b j e c k t i v e n   U n t e r s u c h u n g   d e r   A f f e k t i v i t a t   b e i   P s y c h o t i k e m .  S c h w e i z e r  A r c h i v  f u r  N e u r o l o g i e , Neur

o c h i r u r g i e  u n d  P s y c h i a t r i e , 9 7 , 3 6 1 ‑ 3 8 6 .  

Hammer , E .   F .   1 9 5 8  The c h r o m a t i c  H‑T‑P , a  d e e p e r   p e r s o n a l i t y ‑ t a p p i n g  t e c h n i q u e .  I n  E .  F .  Hammer  (E d . ) , The C l i n i c a l  A p p l i c a t i o n  o f  P r o j e c t i v e   Dr a w i n g s .  S e c .   ond p r i n t i n g .  S p r i n g f i e l d :  C .  C .  Thomas. P p . 2 0 8 ‑ 2 3 5 .   原因則代 1 9 9 8   P e r s o n a l  c o m m u n i c a t i o n .  

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名島潤慈・増田勝幸・増田徳幸・増田文枝 1 9 7 4 色 彩 B a u m t e s t に関する研究(1) ロールシャツハ・テストとの 関 連 性 第 2 5 回中国四国精神神経学会発表資料.

名島潤慈・増田勝幸 1 9 9 3 パウム・テスト 上里一郎監修 心理アセスメントハンドブック 西村書庖 P p . 2 2 3 ‑ 2 3 8 . Payne , J .  J .   1 9 4 9  Comments on t h e  a n a l y s i s  o f  c h r o m a t i c  

d r a w i n g s .   J o u r n a l  o f  C l i n i c a l  P s y c h o l o g y  

5 : 1 , 7 5 ‑ 7 6 .  

. . . . . .   65‑

表 4 BCB テストにおける色彩ノ守ウムの類型 類 型 名 基本型 定 義 │  意 味 ( b a s i c  t y p e )  精徹型 平均して 4 色程度の自然色が使用|自然な感受性を表す.されている

参照

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存在が軽視されてきたことについては、さまざまな理由が考えられる。何よりも『君主論』に彼の名は全く登場しない。もう一つ

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・虹彩色素沈着(メラニンの増加により黒目(虹彩)の色が濃くなる)があらわれ

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた