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規制緩和におけるタクシー会社のマーケティング戦 略

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(1)

規制緩和におけるタクシー会社のマーケティング戦

著者 冨田 健司

雑誌名 静岡大学経済研究

巻 9

号 4

ページ 23‑37

発行年 2005‑03‑10

出版者 静岡大学人文学部

URL http://doi.org/10.14945/00008585

(2)

規制緩和におけるタクシー会社のマーケティング戦略

1

冨 田 健 司

1.は じめ に

2001(平13)年 2月 1日 に改正、施行 された道路運送法 によると、 タクシー事業はそれまでの 免許制か ら、一定の安全条件を満たせば参入で きる許可制 に変わった。 この改正 は新規参入や増車 を促 し、価格の値下 げやサービスの向上を狙 ったものである。一方、運賃に関 しては過当競争防止 のため許可制 としてお り、変更に際 して も、初乗 り料金を安 くして長距離を極端に割高にするよう な利用者を混乱 させるケースには修正を求める内容である2。

この規制緩和の影響を受 けて、近年、 タクシー会社の中にはマーケティングを意識 し、顧客満足 に努めているところも多数見 られる。顧客満足向上の追及は他社 との差別化につながり、競争優位 を獲得することが可能なため、多額の利益を享受することも可能 となる。そこで、本稿ではタクシー 会社が顧客満足を向上 させ、競争優位を築 くことができるマーケティング戦略のイ ンプ リケーショ

ンを示す ことを目的とする。

本稿の構成 は次のようになる。 まず、第2節でタクシー業界の規制緩和の概要を確認 し、続 く第 3節MKタクシーなどタクシー会社の新 しい取 り組みを示す。 その後、第4節で顧客満足の向 上がなぜ重要なのかについて述べ、第5節で タクシー会社における競争優位のマーケティング戦略

として、具体的なイ ンプ リケーションを考察する。

本稿 は、平成15年度静岡大学産業連携事業研究成果報告書『 タクシー事業のニーズ並びに ビジネスモデルに 関す る調査研究』(代表土居英二)の「規制緩和 におけるタクシー会社 のマーケテ ィング戦略」 に加筆、修 正 した ものである。

日本経済新聞2001(平16)年2月 1日 を参考に している。

‑23‑

(3)

2.タク シ…業 界 の規制緩 和34

先述 したように、道路運送法 は2002(平13)年に改正、施行 されたが、それ以前のタクシー業 界への新規参入や事業区域の設定 は免許制であり、運賃・ 増車 は認可制だ った。許認可権限者の運 輸省 (現、国土交通省)は、新規参入の増車を需給調整の名の もとに抑制 し、運賃・ 料金 は公共料 金 として捉え、経費を原価計算か ら割 り出 し、必要な水準を確保 してきた。 タクシー業界 は、運賃 を公共料金 として抑制 されてきたため、規制 に守 られてきた業界 と言える。

改正後、 タクシー事業への新規参入や事業区域の設定が免許制か ら許可制 に変わった。運賃・ 料 金は許可制が継続 されたが、増車 は届出制に移行 し、法的整備の面か ら需給調整規制は撤廃 された。

この規制緩和により、 タクシー業界の競争 は激 しくなってい くものと予想 される。例えば、運賃が 5000円を超えた場合、50%割り引 く大幅遠距離運賃割引を行なう企業や、現行初乗 り2キ ロメー ト 660円 (中型車)のところを500円に設定するワンコイ ンタクシーの出現、 自動許可枠を下回る運 賃を設定 したり、2割の深夜早朝割増運賃を廃止す る企業が現れた。

3.タク シー会社 の事例

3‑1.MKタ クシ…の概要5

MKタ クシーとは京都市 に本社を置 くタクシー会社で1960(昭35)年に設立 された6。 事業内 容はタクシー以外にもハイヤー、貸切バス、特定バス、運行管理、乗務員派遣、整備、オー トガス スタンド、旅行、新開発行、貴賓室、警備など幅広い。2002(平14)年度 の売上 は128億 (対 前年比10.3%増)、 従業員数 は2444人 (2003(平15)年7月 1日 現在)である。当社の歴史 は表

本節 は古知 (2003)を 参考にしている。

規制緩和 による競争激化の動 きはタクシー業界だけでな く、他の業界で も見 られる。例えば、 ガスに目を向 けると多 くの国では規制産業である。 それはイ ンフラ設備のために多大 なコス トがかかるため、政府の保護 が無 ければ産業 として成 り立たず、完全 自由競争 となり過度の競争が起 これば安全性が脅かされる恐れがあ るためである。 しか し、イギ リスではガスは完全 自由化 となり、多 くの企業が市場 に参入 した。その結果、

大 口企業向けのガス会社 と、小 国家庭向けのガス会社 とに三分 され、価格 の下落 と、 よりベネフィットの高 いサー ビスを顧客 にもた らした。 ガス以外にも、電気、通信、航空、医療など規制が厳 しい業界 は幾つか存 在す る。 しか し、我が国だけでな く、多 くの国々で規制緩和の傾向にある。

本節はエムケイ株式 HP(http://WWW.mk―group.co.jp)を参考にしている。

企業の正式名称は「エムケイ株式会社」だが、本稿では「MKタクシー」として記述する。

‑24‑―

(4)

l MKタ クシーの沿革

1960(昭不口35)年 タ ク シー株 式 会 社 設 立 (10両 の新 規 免 許 取 得)

1933(昭38)年 桂 タ ク シー株 式 会 社 の経 営 権 を譲 受 (両社 で46台)

1696(昭禾日44)年 MKシ ス テ ム導 入

1970(圧召不日45)盗F MK新聞 の前身「MK通信」発刊

「 個人 タク シー追 い越 し運動」実施 交通遺児 を万 国博 に招待

MK団地完成(運動扶養、 自宅交替制実施) 1971(断目禾日46)生F 「 あ りが とう運動」実施

「 タク シーを市民 に返 す」運動

1972(氏目不日47)生F 深夜 ステー シ ョン解説 (急病・ 急用・ 出産 に対応)

「 市民 の声 を聞 く運動」展 開

「 身体 障害者優先」確立

1次「 動 く情報 デパ ー トJ実 1973(田目不日48)生F 身体 障害者 エキスポ ラ ン ド招待

MK会員制度」発足 市 バ ス代行 開始 (北区鷹 ヶ峰)

「 飲酒運転追放運動」実施 1975(面目不口50)4F 学 士 ドライバ ー を採 用

1976(田目不日51)4F 特定イヾス運行 開始 (京都市立東養護学校 の送迎 バ ス)

MK運4つのあいさつ」実施 (挨拶 がで きなければ運賃 はいただ きません)

1977(昭禾口52)年 ミナ ミタ ク シー と桂 タ ク シーを合 併 、MK株式 会 社 に社 名 変 更 1978(昭53)年 救急 タク シー発足、全乗務員 に 日本赤十字救護員資格取得 を義務づ ける

MK新聞 を本格 的 に発行、市民 へ の配布 を開始 1979(昭不日54)年 「 市民 の意見 を聞 く会」 を 自主 的 に開催

「 小型料金 の中型車」導入

「 都市交通 改革 に関す る要望書J提 1980(昭 不口55)年 1毎 月1日市 バ ス に乗 る運 動 」 を展 開 1981(日召禾56)生F 「 着物 を着 る運動」 を行 な う 1982(昭57)年 運 賃 値 下 げ 申請

1983(昭 不口58)年 身 体 障 害 者 割 引制 度 、 認 可 実 施

MK貨物 業 務 開始 、MKト ラベ ル業務 開始 ハ ナ エモ リデ ザ イ ンの制 服 採 用

1984(日目不59)生F 乗 務 員 派 遣 シ ス テ ム ス タ マ ト 1985(昭禾日60)年 運 賃 値 下 げ裁 判 で勝 訴

聴 講 生 制 度 、 英 会 話 タ ク シー を開 始 1986(田召禾口61)生F タ ク シー大 学 構 想 実 現 へ 向 け作 業 開始 1987(昭62)年 割 引 回数 券 認 可

1989(平成 元)年 タ ク シー の待 合 室「 ス テ ー シ ョ ンMKJを 祇 園 と大 阪 に開 設 1990(男

2)生F 京都駅八条 口向か いにMK貴賓室 開設 固定給 ハ イヤー制度発足

英会話 資格認定試験導入 1992(ヽ

4)qF 全 車 両 禁 煙 実 施

1993(目F厄5)生F タ ク シー運 賃10%値下 げ実 施 1995(工

7)生F 阪神淡路大震災 に救援無償 タク シー派遣

全国初 の深夜早朝値下 げ実施 (深夜早朝割増運賃2割1割) 1997(工

厄え9)奮F 「 関西 スカイゲイ トシャ トル (乗り合 い ジャンボ タク シー)」 導入 京都府公案委員会 よ り警備業務認定・ 整備業務開始

1998(用「 厖10)生F 「 定期観光 ジャンボハ イヤー」免許・ 導入 ハ イヤー運賃値下 げ認可

現金輸送業務 開始

1999(lF厄 え11)至F 1京 都 観 光 業 界 の発 展 を め ざ して」 を提 案 2001(用「 厄13)生F GPS無線 自動配車 システム導入

「 京都市 の新交通体系〜市民参加型公共交通機 関 ネ ッ トヮー ク〜」発表 2002(工

14)盗F 観 光 バ ス事 業 開 始 、 代 行 運 転 サ ー ビス開 始 割 引 回 数 券 の発 売 を 開始

J:1急便 との提 携 に よ る宅 配 便 取 次 ぎサ ー ビス を 開始 増 車 届 出制 に よ り、2002年度 末 の車 輌 は688両 2003(用「 厖15)生F き もの 割 引 を 実 施

(HFf : http: / / www.mk-group.co.jp)

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(5)

1の ようにまとめ られ、 さまざまな取 り組みを積極的に行なっていることが読み取れる7。

2003(平15)年時点で、MKタ クシーは中型車の タクシーを152台、月ヽ型車を606台、 ジャン ボタクシーを101台保有 してお り、 それ以外 にハイヤーを23台、貸切バスを15台保有 している。料 金は中型 タクシーの場合、初乗 りが 2キ ロメー トルまで590円、それ以降373メ ー トル毎に80円が加 算 され、小型 タクシーの場合、初乗 りが 2キ ロメー トルまで580円、それ以降425メ ー トル毎 に80円 が加算 される (表2)。 京都地区の他社の多 くは中型 の初乗 りが650円、小型 の初乗 りが640円なた め、他社 と比べてMKタ クシーは10%ほど低価格 となっている。 そ して、5000円超分の料金を3

割割 り引 く遠距離割引や身体障害者割引を行なっている。

2 MKタ クシ…の価格比較

表 1の 「MKシステム」(1969年)とは賃金制度のことである。当時のタクシー乗務員の平均的賃金 は約7 万円であったが、昭和初期のタクシー乗務員の収入 は航空機のパ イロッ ト、大企業の部課長 と同 クラスで生 活 レベル も高か った。そのため、サー ビスの質 もよ く、社会的地位 も大変高か った。社長の青木信明氏 は、

タクシー乗務員の生活を向上 させることが必須 と考え、乗務員給与を12万円に引 き上 げた。根底か ら給与 シ ステムを見直 し、 まず乗務員の給与を確定 した上で、職員、役員の順に給与を決めていった。

「学士 ドライバー」(1975年)とは大学卒業者を乗務員 として雇用することである。MKタ クシーでは同業 他社か らの転職者を採用 していない。 それは、MKタクシーでは「挨拶の励行」を厳 しく義務付 けしている が、既存の運転者 は従来の習慣が身に付いていて、い くら教育を繰 り返 したところで、いざ営業 に出ると元 の習慣が出て しまうと考え られるか らである。 したが って、MKタ クシーでの採用は他産業か らの転職者を 養成す ることが主体 となるが、新卒者 を採用 して、一般企業 と同 じように一か ら教育 してい くことが必要で あると青木氏は考えるため、大学新卒者を積極的に募集 している。彼 は「学士 ドライバーはきわめてマナー が良 くサービスの レベルが高い。その上、会社の指示 も良 く徹底するか ら、乗客に好評だ。 こういう社員を 全員揃えればタクシーの信頼性 は今 とは比較にな らない くらい向上する」 と指摘 している。そのため、MK

タクシーでは他産業 と同様 に学士 ドライバーに対 して完全月給制による給与の保障を している。 タクシーと 言えば歩合制が常であるが、それを完全月給制 に したのは、 タクシーに事故が多か った り、サー ビスが悪 い 根本の原因が歩合制の賃金体系 にあ り、高年齢になるほど収入が下が ってい くの もこの業界だけの非人間的 なところだ と青木氏 は考えたか らである。

一示 一示

MKタ ク シー 京都一般タクシー 初乗り運賃(2 kml 590F電 650円

加 算 運 賃 373m仁 郎0円 339m毎80円 遠距離割引 5000円3割 9000円超 1割 引

きもの割引 1割 引 な し

MKタ ク シー 東京一般タクシー 初乗り運賃(2b) 600円 660F電

加 算 運 賃 301m毎80円 274m毎80円 遠距離割引 9000円超 1割 引 9000円1割 深 夜 割 増 2割 増 3割 増

MKタク シー 大阪一般タクシー 初乗り運賃(2 km) 500Fヨ 660円

加 算 運 賃 225m在180円 273m住180円 遠距離割引 5000円3割 9000円1割

名古屋

MKタ ク シー 大阪一般タクシー 初乗り運賃(2m) 500Fヨ 610F町

加 算 運 賃 214m毎50円 316m毎90円 遠距離割引 9000円1割 9000円1割

(Hff : http: / / www.mk-group.co.jp)

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さらに、1割の料金を割 り引 く「 きもの割引」を行なっている。 きもの割引の概要は次のようで ある。京都 は国際観光都市 として、そ して日本文化が誇 る着物文化の中心 として世界に訴求 してい る。その着物文化の発展 と京都経済の活性化の一助 として、料金割引に焦点を当てタクシーに乗 り 易 くす ることによって、より多 くの人が着物 に関心を持ち日常生活にも気軽に取 り入れたり、京都 観光への関心を高めたり、電車やバスなどの公共機関を利用 しに くい着物を着た人で も移動 し易い 交通体系作 りを構築することを目的 としている。 このきもの割引は2003(平15)年7月16日に認 可 され、上記の遠距離割引や身体障害者割引など他の割引と併用で きる。

3‑2.MKタ クシーの取 り組み

MKタ クシーのコンセプ トは「最高のサービスを提供 します」 に集約 される。 それは主に先述 した低価格 と、徹底 した乗務員教育 による安心できる接客マナーである。例えば、乗務員が乗客に 言 う「 4つ の挨拶」があり、それは以下の4つである。

「 あ りが とうございます。MKの○○で ございますが、 どちらさまで しょうか。」

「 はい、○○で ございますね。か しこまい りま した。

「 どち らの道か ら参 りましょうか。 はい、○○か らで ございますね。か しこまいりま した。」

「 お忘れ物 はございませんで しょうか。 あ りが とうございま した。」

こうした接客 マナーを武器 にMKタ クシーでは他 に もさまざまなマーケティング活動を行なっ ている。例えば、MKタクシー専用のタクシーチケ ッ トがある。 タクシーチケ ッ トに関す る企業 向 けのマーケテ ィングでは、顧客企業への来客者 に、顧客企業がMKタクシーのタクシーチケ ッ

トを渡 してMKタ クシーを利用すれば、MKタ クシーの質の高 いサー ビスで来客者 は満足す る上 に、その顧客企業のイメージがアップする。 さらに、低料金 システムのため、顧客企業の経費を削 減す ることがで きるというベネフィットを訴求 している。

MKタ クシーでは洗練 されたハイヤー専門乗務員を持つ ことによ り、顧客企業の大切な取引や 役員車 にこのハイヤーの利用を促 している。MKタクシーでは乗務員を専属で派遣 し、役員車や 社用車の運行を管理する乗務員派遣事業 も行なっている。

そ して、MKタクシーの本社がある京都では、国際観光都市 という地域特性をいか し、500名 観光 ドライバーを抱えてお り、英語でアテンドで きる英会話 ドライバーもいる。四季に合わせ、半 日コースや1日コースなど多彩な観光 コースを持ち、なかには非公開寺院の見学 も可能にしている。

また、MKタクシーでは7人乗 りと9人乗 りの2種類 の リフ ト付 きジャンボタクシーを持 ち、

大人数でタクシーに乗 ることを可能 に している。 この ジャンボタクシーは車椅子を搭載することが できるため、車椅子の顧客で もスムーズに乗車できる。

‑27‑

(7)

さらに、京都、東京、大阪、名古屋、神戸のMKタ クシーはタクシー、ハイヤーともに全車禁 煙車両である。当然、乗務員 も車内で喫煙 しないため、車内で煙草の臭いはせず、禁煙者か ら高い 支持を得ている。

4.タク シー会社 の マーケ テ ィング戦 略 4‑1。 MKタクシーのマーケテ ィング戦略

マーケティング戦略は製品戦略 (PrOduct)、 価格戦略 (Price)、 広告・ 販売促進戦略 (PrOmoti

on)、 流通戦略 (Place)と いった4つの戦略か ら論 じられ ることが多いため、本稿で もこれにな らい議論する。

まず製品戦略 (PrOduct)と してサー ビス業では顧客サービスが該当す るが、MKタクシーの場 合、質の高いサービスが挙 げられる。具体的には徹底 した従業員教育による接客マナーである。 そ れが顧客の高い満足を得、継続的な利用へ と繋が っている。 また、観光 タクシーを充実 させたり、

社会のニーズが禁煙傾向にあるため、業界ではいち早 く全車禁煙に したことも質の高いサービスに 含まれる。

次の価格戦略 (Price)と しては低価格戦略が挙 げ られる。前節の冒頭で も記 したが、各地域 に おけるMKタ クシーと他社 との価格の比較 は表2のようになる。単なる低価格だけでな く、 きも の割引や遠距離割引、身体障害者割引などの割引 も行なっている。

広告・ 販売促進戦略 (PrOmotion)ではさまざまな試みによ り顧客の関心 をひいている。MK

新聞の発行8ゃ、 タクシーを市民 に返す運動、飲酒運転追放運動、毎月1日市バスに乗 る運動、着 物を着 る運動などを行なっている。 さらに、市民の意見を聞 く会の開催、都市交通改革 に関す る要 望書の提案、「京都観光業界の発展をめざ して」の提案、「京都市の新交通体制〜市民参加型公共交 通機関ネッ トワーク〜」の発表、阪神淡路大震災時での救援無償 タクシーの派遣など、企業の利益 追求だけでな く、市民や産業の発展を目的とした取 り組みを積極的に行なっている (表1)。

流通戦略 (Place)と は企業か ら顧客へより効果、効率的に商品やサービスを届けることで、MK

タクシーでは専用乗 り場の開設が挙げ られる。祇園 と大阪にタクシーの待合室「 ステーションM

K」 を開設 したり、京都駅八条 口向かいにMK貴賓室を開設 し、顧客がMKタクシーを利用 し易 くしている。 また、イ ンターネットで タクシーやハイヤー、観光 タクシーなどの予約を可台ヒに して いる。

このように、MKタ クシーは製品戦略、価格戦略、広告・ 販売促進戦略、流通戦略の全てにお

8「MK新聞」 は京都の情報 を発信す る情報紙で、月 2回 発行 され る。MK観光 ドライバーによる京都 の観光 情報、京都の映画、 レス トランメニューなどの紹介、楽 しめる内容の読み物か ら教養 に役立つ連載の数 々、

運輸行政に対するMKタクシーの主張などが記事 となっている。

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(8)

いて多様な取 り組みを行なうことにより、顧客か ら高い満足 と信頼、高いブランドを得 ることに成 功 している。

4‑2.他社の取 り組み9

2003年 (平15)年 9月 6日 の日本経済新聞によると、 日本国内のタクシーとハイヤーの利用者 2001(平13)年度で延べ23億 4400万人 と、5年の間に利用者 は3万人強減少 した。 タクシーとハ イヤーの台数 は26万台 とほぼ横ばいであったが、2002(平14)年2月 の規制緩和 により、新規参 入や既存事業者の車両増加で約6千台増加 してお り、競争 は激化 している。 そのため、MKタ

シー以外 にも幾つかの企業がさまざまな取 り組みを行なっている。

料金割引に関 して都道府県別 に見 ると、大阪府では83.8%も の企業が価格引き下げを行ない、価 格競争が最 も激 しい都道府県 といえる。反対 に北海道、東海、中国では価格引 き下げはほとんど行 なわれてお らず、東京都で も価格引き下 げを行なった企業 は16.7%に 留 まっている。価格引き下 げ の内容で最 も多か ったのは遠距離割引で45。6%の企業が行な ってお り、初乗 り料金の引 き下 げは 27.5%だ った (日本経済新聞2004(平16)年 2月 3日)。

初乗 り料金の引き下げは近距離客の取 り込みを目的 とした ものであ り、多 くの企業が実践 してい る。 ワンコイ ンタクシー (横浜市)で2003(平15)年9月 より、初乗 り料金を500円 (距2

キロ)に設定 した。 また、西 タクグルァプ4社では初乗 り料金を590円 (1.6キ)か350円 (850 メー トル)に引き下 げ、佐賀県温泉 タクシー (佐賀県浜玉町)でも初乗 り料金を260円 (750メ ー ト )に引 き下 げた。

それ以外の価格割引 も幾つか見 られる。例えば、関西学研都市交通 (京都府精華町)では、乗客 が学生証を提示すれば1割割 り引 くサー ビスを2003(平15)年9月より導入 した。平井 タクシー (高松市)では、 うどん店巡 りをする観光客を対象に、通常より1割程度安い料金で うどん店を案内 するうどん割引を2003(平15)年12月より行なっている。有本観光バス (岡山県)では、乗客が

1日 に2回当社のタクシーを利用す ると、2回日の料金を1割引きとする。

また、三ケ森 タクシー (北九州市)では定期券 システムを導入 した。 自宅 と勤務先、 自宅 とかか りつけの病院など特定区間を事前 に設定 し、lヶ月往復で通常 より3割安 い価格 に設定 した。 さら に、一定距離内な らどこか らで も何度で も乗れるlヶ月 フ リーパス券 も取 り扱 っている。 これは2 割安 い価格が設定 されている。

一方、東京都内では、個人 タクシーが迎車料金を2003(平15)年9月 より廃止するものの、法 人事業者 は追随 していないといったように料金割引競争 はあまり行なわれていない (上述の16.7%

本項 は日本経済新聞2001(平 成13)年2月 1日2003年 (平15)年9月 6日 、2003(平 成15)年10月 3日 、 2004(平16)年2月 3日 を参考に している。

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とい う数値 で も示 され る)。 その代 わ り、 当地 区で はサー ビスの質 を競争優位 の源泉 と した競争 が 行 なわれて い る。 日本交通 (品川 区)では高級車路線 を打 ち出 し、かつてハ イヤーの色 とされて い た黒塗 り車両 の導入 と、乗務員 の接客態度 を改善 した。 また、規制緩和後 に新規参入 したふ くね こ タク シー (足立 区)ではメルセデスベ ンツC180の車両 を用 いることによ り、結婚式 な どの予約 を 多数得 てい る。 さ らに、 日の丸交通 (文京区)ではカーナ ビゲー シ ョンを導入す ることによ り、乗 客 が行 き先 を登録 したカー ドを示せば黙 っていて も目的地 に送 るサー ビスを展開 している。

5.競争 優 位 の マーケ テ ィング戦 略 5‑1。 顧客満足の重要性

前節で見たように、多数の企業が多彩なマーケティング活動を行なっているが、その目的は顧客 満足の向上にある。嶋口 (1994)によると、企業の事業が成長するためには、 まず事業を生か して くれる顧客に喜んで もらえる効果的事業運営が必要であると同時に、そのや り方 は生産性の高いや り方、つまり効率的運営でなければな らない。効果は顧客の喜びをもって顧客創造や需要創造を可 能 に し、効率 は生産性を高めなが ら利潤を作 り事業の拡大再生産への道につながる。つまり、効果 的なマ=ケティング手段により、顧客満足を高めるとともに、より効率的に実行 し自社の利益を確 保す ることによって、企業 は競争優位に立つ ことができる。

それではなぜ顧客満足が重要かと言えば、先行研究によると顧客満足は信頼の構成要素 となるか らである (Anderson and Weitz 1992)。 また、Anderson and Weitz(1992)は 信頼が継続取引

(反復購買)意図の構成要素 となることを指摘 している。一方、顧客満足 はサービス・ クオ リティ (Cronin and Tay16r 1992)や評判 (Webster 1991)によって形成 される。

このサービス・ クオ リティとはParasuraman,Zeithaml,and Berry(1988)や Parasuraman, Berry,and zeithaml(1991)に よると、「顧客の知覚 と期待のギ ャップ」 と定義 され、有形性、

信頼性、反応性、確実性、共感性 といった 5つ の次元か ら構成 される。Parasuraman,Berry,and Zeithaml(1991)によると、「有形性」 とは物理的な施設、設備や従業員の外見 についてのクオ リ ティのこと、「信頼性」 とは約束 されたサー ビスを正確に遂行す る能力のこと、「反応性」 とは迅速 なサービスを顧客 に提供する意向の こと、「確実性」 とは顧客か らの信頼 と信用を高める従業員の 知識や能力のこと、「共感性」 とは顧客に対する気遣いや個人的な注意のことを指す (松尾・ 奥瀬・

カロラス 2001)。 上記の関係は図 1に まとめ られるЮ。

この図 1の 右側か ら見てい くと、継続取引意図を高めること、つまリリピーターを高めることが 企業にとっての至上課題である。なぜな ら企業が新規顧客を獲得するのに要するコス トより、既存

10 もちろん、各 々の項 目にはそれ以外 の構成要素 も考 え られ るが、議論 の散漫 を防 ぐためによ リシンプルなモ デル に心 が けた。

‑30‑―

(10)

顧客を維持するコス トの方が安いか らであり、 また高い満足度の リピーターのクチコミ効果を期待 す ることができるか らである。継続取引意図を高めるためには顧客の信頼を高める必要があり、高 い顧客満足を得ていなければな らない。

単に乗客を目的地 まで乗せて走 るというだけでは顧客 は満足せず、ゼロ満足つまリアンサティス ファクションの状態にある。 これはタクシーのサービスに満足 しているわけではないが、かといっ て大 きな不満を持 っているわけで もないという状態である。需要過剰、つまリサー ビスを供給する 企業間の競争が少ない時には、顧客が このアンサティスファクションの状態で も企業はある程度の 利益を上 げることがで きる。 しか し供給過剰、つまり企業間の競争が激 しくなった時には、顧客 に は企業を選択する権利が発生するため、企業 は顧客満足向上 に努めたマーケティング戦略を実行 し なければな らない。 図 1の サー ビス・ クオ リテ ィはマーケテ ィングの4Pでい うと主 に製品戦略 (Product)の 問 題 で あ り、 企 業 はそ れ以 外 の価 格 戦 略 (Price)、 広 告・ 販 売 促 進 戦 略 (Promotion)、 流通戦略 (Place)を 合わせたマーケティング・ ミックスを考えなければな らない。

その際、重要 になるのは他社 との差別化である。Porter(1980)は 3つ の基本戦略を提唱 した (図2)。 3つ の基本戦略とは差別化、 コス トリーダーシップn、 選択 と集中2で、彼 は差別化 とコス トリーダーシップとを企業が両立す ることはできないと議論 した。つまり、製品性能やサービス品 質で差別化すれば低価格にすることはで きず、反対に低価格戦略を採れば製品やサービスにおいて コス トリーダーシップとは、同業他社の中で最 も低価格で製品を生産 し(サー ビスを供給 し)、 価格 を武器 に競争優位 に立つ戦略のことである。

選択 と集中とは、企業が所有するヒト0モ ノ0カネといった有形の経営資源は限 られているため、全ての事 業を行な うのではな く、 自社が得意な事業のみを選択 し、当該事業 に資源を集中させる戦略のことである。

サー ビス・

クオ リテ ィ 有形性 信頼性 反応性 確実性 共感性

顧客満足の位置付 け

‑31‑

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差別化することは不可能であると論 じた。

しか しその後、新宅 (1986、 1994)、 青島・ 加藤 (2003)は水晶発振式腕時計業界や電卓業界の 例を挙げ、差別化 とコス トリーダーシップとが両立可能であることを示 している。 ただ、 この両立 に関 して伊丹他 (2001)は次のような限定を している。市場 は付加価値の高 さにより順に差別化市 場、差別化定番市場、価格志向定番市場 に分類 され、差別化 とコス トリーダーシップとを両立でき るのは中程度の価格帯、かつ中程度の製品・ サービス品質が求め られる差別化定番市場においての みである。

タクシー業界で もMKタクシーのように差別化 と低価格 とを両立することは可能であろう。

5‑2.インプ リケーション

最後に本項では、 これまでの議論を踏まえ、 マーケティングの視点か らタクシー業界における競 争戦略のイ ンプ リケーションを示す。

企業がある新製品を発売 し、それに市場ニーズが発生すると、たちまちその類似製品を作 る企業 が大量に表れ、す ぐに供給過剰の状態 となり、激 しい顧客争奪戦が繰 り広げられることとなる。ま た、製品の普及につれ、市場における情報量が多 くなり、消費者 はパ ンフレットを収集 したり、周 囲か ら情報を集めることにより、製品機能を比較する。その結果、付加価値の高い製品のみが市場 で生 き残 ることとなる。

同様の動 きはタクシー業界において も見 られるはずである。大都市ではタクシー台数が多 くなり、

コス トリーダーシップ

  差別化戦略

選択 と集中

(コ ス ト重視)       差別化重視

コス ト重視 顧客が認識 した独 自性 競争 優 位 の源泉

(出:Porter(1980))

2 3つの基本戦 略

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競争激化に合わせて情報提供を行な うタクシー企業 も増加 している。 これにつれ、以前 と比較する と市場における情報量 も増加 した。消費者が集めることのできる情報の質 と量が深まったことによ り、 タクシー企業 は比較対照 される。

供給が過剰にな り、消費者の情報収集能力が高まると、企業 はマーケテ ィング手段による差別化 を行なうようになる。 こうした動 きは現在のタクシー業界において既に見 られるし、今後いっそ う 著 しくなると思われる。

繰 り返 しにな るが、 差別化 のためのマーケテ ィング戦略 は製 品戦 略 (PrOduct)、 価格戦略

(Price)、 広告・ 販売促進戦略 (PrOmotion)、 流通戦略 (Place)と いった4つの戦略か ら議論 さ れることが多いため、本稿で もそれに従う。

[製品戦略]

タクシー業界の場合、製品 とはサービスのことであるが、サービスは中核機能 と付随機能 という 2つ の レベルに分かれる。中核機能 とは乗客を安全 に目的地 まで運ぶ行為であり、付随機能 とは快 適 さや予約の利便性、乗務員や企業 との親 しみやすさなどである。多 くの ビジネスが製品やサー ビ スの中核機能だけで勝負できないのと同様、 タクシーに関 して も高い安全性 に加え、付随機能の提 供が重要 となる。乗務員の接客サー ビス改善が指摘 されるなか、顧客視点に立ち、乗客がより快適 に過 ごせる空間の提供や、乗務員のきめ細やかな接客サービス、予約 システムの充実は欠かせない。

特に、乗客の不安を取 り除 くための方策には考慮 したい。例えば、消費者が化粧品や シャンプー などを購入する場合、「美 しくな りたい」 とい う直接的な欲望以外 に、安 らぎ、安心感、精神的満 足感 といった間接的な欲望 も存在する。 タクシーの場合、乗客の欲望 は「 目的地まで安全に早 く運 んで欲 しい」であり、多 くの乗客 はさほど高い関与を持 っていないが、運転が乱暴であったり道 に 迷 った りすれば不安を感 じ不満足を抱いて しまう。安全かつ快適、 きめ細やかな接客サービスを経 験 した時、乗客 は乗務員や企業そのものに対 して信頼を抱 き、個人や組織 に対 してブランドを形成 するようになる。

近年、 ビジネスの場では戦略的提携が積極的に行なわれている。企業の持つ経営資源には限界が あるため、相互に補完することがその目的の 1つ である。 タクシー業界の場合、規模の経済性など の面で何 らかの効果があるのな ら、つまり乗客がより質の高いサー ビスを受 けられるのであれば、

各 タクシー会社 は連携 に積極的 となることが望 ま しい。

[価格戦略]

通常の企業間競争では市場の飽和につれ、低価格を武器 にす ることが多い。 ところが、 タクシー 業界の場合、都道府県 によって低価格戦略は温度差が激 しい。先述のように、大阪府では83.8%も

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の企業が価格を引き下 げたが、反対 に北海道、東海、中国では価格引き下げはほとんど行なわれて いない。 しか し、低価格化への動 きは競争激化につれて徐々に広まっていき、同時に消費者の間で も、価格に関する意識が高まってい くと思われる。

現在ではユニクロなど低価格を売 りにす る企業 もあれば、依然 として高価格なDCブラン ドやセ レク ト0シ ョップも数多 く存在する。消費者は価格 と製品の品質 (機)とのバ ランス を考え、納 得がいけば値段が高 くて も購入を厭わないのである。

タクシー料金に関 して これまで消費者が比較対照することはほとんど無か ったが、初乗 り運賃や 距離 ごとの料金を明確 に示す企業が現れてきたため、:こ の動 き、の同調 は必須である。,そして、 タ クシー料金が他社 と同 じか大 きな差が無いのな ら、接客サー ビスの質や予約 システムの充実など消 費者の利便性を高めていけば、消費者が知覚する価格 に対す る品質の程度 は高 まる。つまり、消費 者にとっての心的価格 は低下 し、顧客満足が高 まる。

[広告・ 販売促進戦略]

これまでのところ、大半のタクシー会社 は積極的な広告・ 販売促進戦略を行なっていないが、だ か らこそ広告 コミュニケーションはタクシー業界にとってきわめて大切なマーケティング手段であ る。,広告 には情報提供型、説得型、知名型などの種類がある。情報提供や知名効果を狙 ったテ レビ 広告を行なうタクシー企業が増加するべ きだ し、 コス トを低 く抑えたいのであればケーブルテ レビ や、イ ンターネットによる情報提供を行なうなど、いずれにせよ少 しで も情報を提供 しようとする 姿勢は必要である。

また、看板広告や電話帳広告 にも配慮 したい。 タクシーの場合、 日常生活においてさほど利用 し なかったり、近い距離 しか乗 らない消費者の場合、消費者は価格差にさほど敏感ではなく、タクシー に対する関与が低いため、看板広告 にたい した関心を示 さずに見過 ごす可能性 も高い。 ところが、

消費者が 自宅に居て慌てて タクシーを利用 したい時、関与が一気に高 まり、 タクシァ企業の選択を 短期間で、かつ限 られた情報量で行なわなければな らない。そのため、低関与時に培われた記憶に 頼 ることとなる。 自宅の近 くにある看板広告の存在を思 い出 して、急いで電話番号を調べに行 った り、チラシ広告を見たことがあるという記憶があればそれを探す。消費者が自宅で短時間のうちに タクシー企業 と連絡を取 りたい場合、電話帳広告 は大切な情報収集源 となるため、 タクシー企業が 新規の顧客を獲得するためには効果的な看板広告や電話帳広告 に気を配 るべ きである。

[流通戦略]

流通 とは供給者か ら需要者へ商品やサ,ビスを効果的、効率的に流す ことであり、 タクシー業界 の場合、専用乗 り場、 タクシー台数、予約 システムなどの問題を考慮 しなければならない。専用乗

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り場 に関 しては、狭い範囲の中に集中的に幾つか設 ける戦略 と、広範囲の中で分散 して設 ける戦略 との 2つ があるが、消費者への訴求効果を考えると前者の方が消費者の記憶に残 りやすい6これは タクシ‐に限 らず、他業界において も同様のことがいえる場合が多いも         '

タクシー台数に関 しては自社で何台のタクシーを持 ち、 どの地域 に何台のタクシーを稼動 させる のかを、曜 日や時間別 に戦略的に決めていかなければならない8できるだけ、需要量 に合 うだけの 供給量に抑えた方が低 コス トですむため、統計学的なアプローチにより最適供給量を分析 しておか なければな らない。

従来のスーパーマーケ ットは遅 くて も夜8時までの営業で年末年始 は数 日間連続 して休業 してい た。 これはサービス提供者であるスーパ‐マーケ ッ ト側の都合であり、そうではな く顧客視点で年 中無体 に したのが コンビニである。 コヽンビニの夜中の売上や年末年始の売上が多いため、̀近年 スー パーマーケットの中には夜10時11時まで開いているところや、なかには24時間営業 していたり、

年末年始 も連続 した休みを取 らないところが多い。 どの時間帯 にどのような顧客ニーズがあるのか、

それに見合 った供給体制が整え られているのか再考の余地があると思われる。

また、 インターネッ トなどによる予約 システムの充実は望 ま しい。その際、電話で予約 した顧客 や、 ホームページを探 して予約 した自発的な顧客 に関 しては、価格割引など何 らかの特典を付 ける

と リピー ト購買 につなが り易い。

さらに、百貨店の多 くは食料品、化粧品、女性用小物、女性服、男性服、子供服やお もちゃ、家 具イ ンテ リア、 レス トランと全て揃 っているため、家族皆のニーズを一箇所でかなえることができ、

一 日中過 ごす ことができるのをコンセプ トとしている。そ して、何階に何を売 っているのかという 館内の配置は多 くの百貨店で類似 している。 そうした中、差別化を図 ったのが渋谷109である。

渋谷109では女性、 しか も10代後半か ら20代前半の若 い女性 をメイ ンターゲ ッ トにし、彼女たち を満足 させるブランドショップのみとした。 また、丸井で もメイ ンターゲ ッ トを若者に絞 り、 レス トラン、食料品売 り場を排除 した。 このようにタクシー事業、ハイヤー事業、観光 タクシー事業な どの うち、 自分の得意分野 に経営資源を集中させ ることも戦略 として考え られる。

もう 1つ 、場について触れたい。秋葉原に行 くと電器屋が多 く、秋葉原 は家電の街 として知 られ ている。電器屋が1つの場所に集積す ることによって、電化製品を比較 し安 く買いたい消費者層を 取 り込む ことがで きる。美容院に して も、 ク リーニ ング店にして も、 ロー ドサイ ドのファミリー レ ス トランに して も、1店だけで店を構えるより、 ライバル企業である同業他社数社が近隣に集 まる ことによって、競争か らサービスの質が相乗効果で高 まり、それに伴い消費者の認知が高まると、

人が集 まって くる。浜松地区や京都地区において も多数のベ ンチャー企業が連なり、協調 と競争が 並存することにより、技術が発展 した。 この現象 はタクシー業界において も言えるか もしれない6

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(15)

[顧客満足]

以上見てきたように、マーケティングの 4つ の手段 は他のタクシー会社 と差別化するための もの であるが、それは顧客視点 に立ち、顧客の満足を高めるものでな くてはならない。単にお客 さんを 乗せて目的地まで運ぶ というだけでな く、「 お客様」 として意識 して乗務員の手動 による ドアの開 け閉めゃ、道順の希望に関するお伺い、道順の選択理由などを詳 しく説明することは顧客満足を高 めるために有効な戦略 となる。

また、 アメ リカの百貨店の中には、顧客が返品に来た時、それが自社で売 っていないものだとし て も返品に応 じるところがある。顧客を「 お客様」としてもてなす努力や工夫は多 くの企業が行なっ ている。 タクシー企業にとって、乗客は「 お客様」であり、彼 らの潜在的なニーズを一緒に見つけ、

共 により高品質のサービスをマネジメントしてい く姿勢が重要である。 こうした関係性の構築によ り、顧客 はタクシー企業に対 して信頼や安心感を抱 き、 リピー ト購買することとなる。

6.むすぴ

タクシー会社に限 らずどの企業において も、事業 (組)永続 は究極的な目的であり、そのため には高 い顧客満足を得 ることが必要で、 マーケテ ィング手段 による差別化を行 なうこととなる。

Kotler(1980)によると、ベス トの戦略は他社 と競争 しない状況を創 り出す ことである。つまり、

他の企業が簡単に真似をできない状況を創 り出す ことであり、そのためには従来 と異なった土俵を 創 り出す ことが有効 となる。 これを創造するためには顧客視点に立ち、従来の常識にとらわれず、

じっくり考えることが必要である。

沼上 (2000)は「考えることの大切 さ」 を指摘 している。人間は日々の仕事 に追われると、長期 的に考えなければな らない重要な計画を考えな くなって しまう。 しか し、「戦略的」 に思考す るた めに「大 きく考える」「未来を考えようとする」「論理的に考える」 という3つ のスタンスの重要性 を指摘 している。 これは何 も企業の経営・ マーケティングだけに限 ったことではな く、人々が生活 する上で も同 じことがいえる。 タクシァ会社の経営・ マーケティングでは乗客、乗務員などの従業 員、企業組織の全てがより幸福な状態でいられるような手段をあれ これ模索 し、最善の道を見つけ なければな らない。顧客満足向上の前提 として従業員の満足度を高めることが必要であり、そのた めには トップが明確な ビジョンを示 してい くことが重要であろう。

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日、2004(平16)年 2月 3日.

http://www.mk̲group.co.jp

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表 l MKタ クシーの沿革 1960(昭 不口 35)年 ナ タ ク シー株 式 会 社 設 立 (10両 の新 規 免 許 取 得 ) 1933(昭 不 口 38)年 桂 タ ク シー株 式 会 社 の経 営 権 を譲 受 (両社 で 46台 ) 1696(昭 禾日 44)年 MKシ ス テ ム導 入 1970(圧 召不日 45)盗 F MK新 聞 の前身「 MK通 信」発刊 「 個人 タク シー追 い越 し運動」実施 交通遺児 を万 国博 に招待 MK団 地完成 (運 動扶養、 自宅交替制実施 ) 1

参照

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