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博士学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博士学位論文内容の要旨

氏 名 石橋

イ シ バ シ

ユ ウ

所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(作業療法学)

学 位 記 番 号 健博 第

92

号 学位授与の日付 平成

27

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第2項該当

学 位 論 文 題 名

The Relationship Between Homebound Status and Occupational Competence, and Its Effects on Health-related Quality of Life

(閉じこもりと作業有能性の関係性,および健康関連

QOL

への影

響)

副論文①

地域在住閉じこもり高齢者の生活様式の特徴に関する研究 -福島県只見町における調査から-

副論文②

閉じこもり高齢者の1

日の生活様式の転帰による比較

-福島県只見町における調査から-

論 文 審 査 委 員 主査 教 授 小林 法一 委員 教 授 石井 良和 委員 教 授 大嶋 伸雄

委員

准教授 友利 幸之介

(

神奈川県立保健福祉大学

)

【論文の内容の要旨】

高齢者の閉じこもりは,早世や健康寿命の短縮などの原因になる「健康問題」とされて おり,介護予防事業では臨床心理士や保健師を中心に閉じこもり予防のための支援が行 われている.世界作業療法士連盟

(2012)

によると,作業療法の主目標は,人々が日常生 活の活動に参加できるようになることであり,対象者の活動に焦点をあてた支援が作業 療法に求められている.しかし,閉じこもり高齢者が普段の活動に問題があるのか明ら かにされていなかった.そこで,作業療法の理論である人間作業モデル

(Model of Human Occupation,

以下

MOHO)

を基盤に,

2

つの副論文と主論文を通して閉じこもり と作業有能性の関係性,および健康関連

QOL

への影響を検討した.

副論文

1

では,福島県南会津郡只見町の地域支援事業の生活機能評価を受けた高齢者

60

名を対象に,作業質問紙を用いて

1

日の活動内容,活動時間,活動に対する価値や

興味などの認識状況を調査し,閉じこもり高齢者の生活様式の特徴を非閉じこもり高齢

(2)

博士学位論文内容の要旨

者と比較した.その結果,閉じこもり高齢者も外出を必要とする活動を行っていること や,非閉じこもり高齢者よりも

1

日の活動に対して否定的な認識を持つことがわかった.

また,ロジスティック回帰分析の結果,閉じこもり高齢者の生活様式の特徴は「うまく できなかった」と「休息に該当」と感じる活動時間の長さであった.副論文

1

では,閉 じこもり高齢者の生活様式の特徴が

1

日に行っている活動ではなく,活動に対する認識 が低い状況が低いことにあることが示唆された.

副論文

2

では,福島県南会津郡只見町の閉じこもり高齢者

40

名を対象に, 「入院も しくは介護保険利用者となった閉じこもり高齢者

(

低下群

)

」と「健康を損ねなかった閉 じこもり高齢者

(

無変化群

)

」の間で

1

年前の活動内容および時間使用や活動認識に違い があったのか,作業質問紙を用いて比較した.具体的には,

1

回目の調査で作業質問紙 を用いて調査し,

1

年後の

2

回目の調査で入院状況および介護保険法の認定状況を調査 した.

2

回目の調査結果を基に,入院および介護保険法のサービスを受給していた閉じ こもり高齢者を低下群,それ以外の閉じこもり高齢者を無変化群に分類し,

2

群間で作 業質問紙を比較した.その結果,両群とも外出を必要とする活動を行っていた一方で,

低下群は無変化群よりも仕事と認識した活動時間が有意に短く,また,活動に対する興 味と価値が有意に低かった.本研究より,活動に対する価値や興味が低かった閉じこも り高齢者が低下群となっていたことが明らかとなった.

2

つの副論文を通して,閉じこもり高齢者は普段から外出していることが明らかにな った一方で,普段の活動を遂行することに問題を感じていることが明らかになった.ま た,活動認識の低い閉じこもり高齢者は,要介護や入院など将来健康を損ねる恐れがあ ることも明らかとなった.一方,

2

つの副論文の課題は,閉じこもりと作業有能性に関 係性があるのか,閉じこもりと活動遂行に問題があること,どちらが高齢者の健康に影 響したのか検討することであった.そこで,主論文では閉じこもりと作業有能性の関係 性,および健康関連

QOL

への影響を検討した.

主論文は,東京都荒川区

A

地区に在住する

65

歳以上の全高齢者

5,135

名を対象に,

郵送調査を行った.主論文の実施に先立ち,副論文の調査手法の課題を検討した.

2

つ の副論文で用いた作業質問紙は,多くの時間,労力,費用がかかり,また,分析手法も 複雑であった.そこで,より簡便に作業の遂行状況を評価できる作業に関する自己評価 改訂第

2

(

以下

OSA

)

を用いることにした.

OSA

Ⅱは

MOHO

を基盤とした評価で,

作業有能性

(

普段の活動への参加状況の程度

)

や価値を自己評価できる質問紙である.今

回,返信のあった分析対象者

1,317

名を

OSA

Ⅱの作業有能性の結果と外出頻度から

4

群に分類し,作業有能性および健康関連

QOL

の評価

SF-8

で算出される

8

項目の得点

を比較した.作業有能性を4群間で比較した結果,同じ作業有能性に分類された群間で

は得点に有意差が認められず,閉じこもりと作業有能性に有意な関係性がないことが明

らかとなった.また,健康関連

QOL

4

群間で比較した結果,作業有能性が低い群の

方が閉じこもり群よりも

8

項目中

6

項目で有意に得点が低く閉じこもりよりも作業有能

(3)

博士学位論文内容の要旨

性の方が健康関連

QOL

に影響することが明らかとなった.

以上の

3

論文により,高齢者にとって閉じこもりも作業有能性の低さの方が健康を損ね る因子となることが明らかとなった.したがって閉じこもり高齢者に対する作業療法は,

外出頻度や行動に焦点をあてるのではなく,普段の作業に焦点をあてた評価や介入を行

うべきであると結論づけた.

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