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小学校家庭科教育の実態と大学における 教員養成のあり方

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小学校家庭科教育の実態と大学における 教員養成のあり方

山口 明美

小学校 の家庭科の授業 において,家庭科 の指導力 に課題が感 じられる事例 を 耳 にす ることがある。

本研究 は,小学校家庭科担 当教員がかか える課題 を明 らかにす る とともに, どの ような家庭科教員が求め られているのかを把握 し,大学ではどの ような家 庭科教員 を養成 していけばよいのか を検討す ることを 目的 とした。その結果, 問題の原因 として教員の多忙化や授業時数の削減 とともに,家庭科のね らいや

目的の理解,教材理解,実技の指導力 な ど教員の資質・能力不足が問題 となっ ていることが明 らか となった。問題事象 にかか るデー タの質的分析 をもとに, 家庭科 の教員養成の具体 的あ り方 として指導技術 の向上 と生活経験値 の向上, 生活の中か ら問題 を見 出 し,課題 を設定 し,解決方法 を検討 し,計,実,

評価 ・改善す るPODOSサイクル を実施す ることに よ り,さ らなる生活 の向 上のために創意工夫す る力,生きる力 を養 うための教員養成が求め られると考 える。

キーワー ド :小 学校,家庭科,指導力,教員養成,経験値

I.研究の背景 と目的

学習指導要領が2020年か ら変更 され,「知識・技能」か ら,「思考力e判断力・

表現力」や「主体的に多様 な他者 と協議す る力 ・人間性 ・前向 きな態度」が重 視 される形 とな り,脱指示待 ち人間,アクテ イブラーナーの育成が求め られて いる①と鈴木氏 は話す。2020年か ら全面実施 となる小学校学習指導要領解説家 庭科 は,日標 として生活の営みに係 る見方 ・考 え方 を働かせ,衣食住 な どに関

(2)

する実践的・体験的な活動を通 して,生活をよりよくしようと工夫する資質・

能力を育成することを目指す。とある。その内容 として(1)家族や家庭,衣食住, 消費や環境などについて,日常生活に必要な基礎的な理解を図るとともに,そ れらに係る技能を身に付けるようにする。(2)日 常生活の中から問題を見だし て課題を設定 し,様々な解決方法を考え,実践を評価 ・改善 し,考えたことを 表現するなど,課題解決する力を養 う。(3)家庭生活を大切にする心情を育み 家族や地域の人々との関 りを考え,家族の一員 として,生活をよりよくしよう と工夫する実践的な態度を養 う。 とある。つまり家庭科においては教科で育成 を目指す資質・能力を「知識及び技能」「思考力,半断力,表現力」「学びに向 かう力,人間性等」の三本柱 をたてている②。家庭科では生活のなぜ を解明 し 生活を創意工夫する生 きる力を育成することにある。そのために「知識・技能」

は基盤 ともなるためこの考え方は外せないといえる。

では,その力を育成する教師に問題はないのであろうか。最近学生を指導す る立場か ら感 じられるのは,学生の経験値の低 さである。小学校の教員 を目指 す者の大半は,中学・高校時代に家庭科の内容はほとんど記憶になく,ま して は実習・演習は専門系の高校 を卒業 していない限 り受けていないのが現状であ る。それは小学校現場の教員にも言えるのではないかと考えられる。今回,小 学校の教員にインタビューをし,小学校における家庭科の現状 と問題点を探 り,

今後の教員養成校における示唆を得ることを目的とした。

.研究方法

本研究では,現状 を把握す るために質的研究 を行 うこととし,直接観察だけ では とらえに くい事柄 に関す るデータを得 るために当事者 との会話 を通 じて得 る方法であるインタビュー形式 をとった。

1)イ ンタビューの方法

構造化面接 を用い,面接対象者 に面接形式が不慣れな人 もいることが考 えら れるため,イ ンタビュー実施の3週間前 にあ らか じめ質問内容 を開示 し,調 参加 の任意性 を確認す るとともに音声 データの許可,及び音声 データの消去 は

(3)

小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方 95

調査実施か ら24か月以内 とす ることで同意 を得た。

イ ンタビューは小学校 で行い,小学校で提供 された場所で,1対1の対面式 で実施 した。で きるだけ堅苦 しくな らない よう雰囲気 をつ くることに心がけ, インタビューの所用時間は1時間前後 とした。

面接実施前 に面接調査 の同意書 を読 んだことの確認 面接調査の同意書への 署名,事前調査票の回収 を行 った。

2)対象者の属性

薩摩川内市内の小学校2校

性 別 年齢層

教 育職員歴 教員年数 小学校家庭科 出身大学

指導歴 家庭専科 年数

K 50′/59歳 33年 10年 0 教員養成系学部 その他 F 30〜 39歳 4年 2年 2年 他大学部 (英)

50′‑59歳 35年 12年 1年 教員養成系学部 その他 Y 30′ヽ´39歳 13年 8年 0 教員養成系学部

非家庭科 の専 門 H 30〜 39歳 12年 3年 0 教員養成系学部

家庭科選修

3)インタビュー内容 ウォーミングアップとして

1)家庭科指導に限らず,教員の資質,知識 。技能について,最近問題がある /気になることがあればお答えください。

2)家庭科指導に限らず,教員の資質,知識・技能について,最近良いと思 う ことがあればお答えください。

本題に関わる内容

(1)小学校の家庭科の授業について,問題であると思 うことや気 になること があればお答えください。

(2)反対に,良いなと思う家庭科授業の具体事例についてお教え下さい。

(4)

(3)「家庭科の担当者 としての資質お よび知識 ・技能」 について

先生か ら見て,授業者が家庭科 について「知 らない」「で きない」 と顕著 に 感 じられることがあ りますか。

①実習 を伴 う授業 において

②実習を伴わない授業において

(4)「 研修0教員養成への要望」に関して

①家庭科を担当する教員としてどのような資質・能力をもっていてほしいと 思われますか。

②そのためにどのようなことを大学で学べばよいと思われますか。また,ど のような方法が適していると思われますか。

③教員になってからの家庭科の研修について,考えをお聞かせ下さい。

.結果 と考察

面接 内容 をコー ド化す るための対象 を決定 し,その分析 を行 った。 コー ド内 容 は次の とお りである。

1。 「小学校家庭科の授業内容」 について 問題であると思 うことや気 になること

①教員としての資質 ②家庭科を指導するための知識 ③家庭科を指導する

ための技能 ④家庭科を指導するための経験値 ⑤授業者のおよその教職歴 や年齢・性別

良いなと思う家庭科授業の具体的事例

①題材や状況の内容 ②良いと思う理由 ③授業者のおよその教職歴や年 齢・性別

2。 「家庭科の担当者 としての資質および知識・技能」について 授業者が家庭科について「知 らない」,「できない」

①実習を伴 う授業において ②実習を伴わない授業において

(5)

小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方 97

3。 「研修 ・教員養成への要望」に関 して

①家庭科 を担当する教員 としてどのような資質・能力をもっていてほしい

②そのためにどのようなことを大学で学べばよいと思われますか。また,ど のような方法が適 していると思われますか。

③教員になってからの家庭科の研修

コー ド化 した内容を客観的に捉えるためにテキス トマイエングによる分析 を 行った。その結果は次のとお りである。

1は対 象 者5名が 問題 点 と考 え る 内 容 を ネ ッ ト ワー ク化 した ものであ る。

出現 パ ター ンが似 た もの を線 で 結 ん だ もの で あ る。

また,出現 数 が 多 い語 ほ ど 大 き くな 円 で表 され,共

の程 度 が 強 い ほ ど太 い線 で 描画 されてい る。

ここでは,できるとい う表現 と共起す る単語 として生活,理,基,基, 原理,課,経,技,方,指,問,準,不足 な どがあ り,できる

と家庭科が同一線上 に結 ばれている。

また,弱,乏しい,厳しい,難しいな どの形容詞が 目立つのが特徴 である。

文章 の 中で大 きな意味 を もつ単語 をス コアの高 い単語 と して,その値 に応 じ た大 きさで図示 した ものが 図2であ る。共起 ネ ッ トヮー クで も見 られた単語が ワー ドクラウ ドに も出現 してい る こ とが分 か った。

特 にこの図では技術 として ミシンとい う単語が具体的に重要 な単語 となって いることが分かる。

3は全体 の文章 で出現傾 向の似 た単語 ほ ど近 く,似てい ない単語 ほ ど遠

麟攀もな

全体 の共起 ネ ッ トワー ク

:機

大議しヽ

(6)

くに配 置 されてい る。 また,

距 離 が 近 い単 語 は 同色 に色 分 け して配 置 した もの で あ

る。

これ か ら考 え られ る こ と ,家庭 科 に必 要 と思 わ れ る単 語 と して 基 礎,基, 経験,生,ミ シ ン,理,

学 ぶ,不,児,授業 な どが あげ られ る。

2次元マ ップの単語 をワー ドクラウ ドの単語 と比較す ると整合性が とれてい ることか ら,面接者が問題点 として捉 えている点 と言 える。

全 体 の2次元 マ ップ

個 人差 を確認す るために,示した ものが図4から図8のワー ドクラウ ドであ る。 これは,面接者の年齢,教育職員歴,家庭科の指導歴 な どによる差 は見 ら れる。 しか し,共通点が大変多い とい うの も特徴であった。

全体 │

T}寧 しヽ  鼻 る 壺 :F繰  :1:11:儡   っ ケj機

飽 儀   賞 警

の ワー ドクラウ ド

多議L

最 務課 撃 み尋  等`

藩輔鸞 霧巌轟 壌表暮 /1亀  不灘 響ぶ:黒ι

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(7)

小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方

面接 者Kのワー ドク ラウ ド

良しヽ  学ぷ  嵩較 腱鰤ブ ゛ 墨̲…,参 画 豊富

Lげ,鰍ρしつける

ぶ 家庭科鶉涎

彎 密 纂 灘懇聟 与 し 取 攀 鑢 む :轟[基 仕 方 轟 轡方

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麓議 具体 璽青 壼 慧 篭 チ ベ ー シ ョ ≫     7…

説明

教育力の低下 経験値 の低 下

資質

・資質

。積極的に授業 に取 り組 む姿勢がある

・苦労 して も学ぼうとする姿勢

。積極的に学び取ろうとする姿勢

・見極める力がある

・創意工夫する力 とセンス

知識

・ ミシ ンの原理が分か っている

。科学的根拠 に基づいた技術 0技 能 を備 ぇてい る

Kさ ん の ワー ドク ラ ウ ド 分析 か ら考 え られ る こ とは 男 女 参 画 の正 しい理 解 不 足 が 問題 で あ る こ とを指摘 し てい る。

問題 点 を図式 化 す る と以

下のようである。

中学 0高校 生 時代 の家庭科 教 育 のあ り方 に も問題

技 能

。事象や原理 を具体的に説明で きる

。生活 に活かす ことので きる知識

。家庭科の内容の基礎基本を理解する力

経験値

・生活経験が豊かで,様々な場面 に対応 で きる

。生活経験 に裏打 ちされた説明がで きる

・生活経験値が高 く,総合 的な力があ る

・高い経験値 によ り,的確 な指示 と授業 の見極

気になる点として 4つ の項 目をあげ,家庭科 を指導する場合以下のような力 を育成する必要があることを指摘 している。

男女参画の正 しい理解不足

教 師の協働への理解不足 児童 に男女協働意識がない

家庭科を教えるという

n■otivationが氏い

(8)

面接者Fさ んの ワー ドク ラウ ドを図5に示す。

この 図か ら家庭科 の専 門性 不足 を問題 と し,教師の問題 点 を指摘 してお り,次の よ う に図式化で きる。

家庭科 の意義の本質理解が不十分 基礎 ・実技 ・技法の力が不十分

授業,実習準備,調理の指導や設定の問題

児童の学 びに役立つ教材 ・教具作 りに問題

家庭科の指導にあたって,4つの項 目については次のような力を育成する必 要があることを指摘 している。

資質        技 能

・コ ミュニケーシ ョン能力がある      。実技 に対す る基礎 0基本の理解

・家庭科 の本質 。意義の理解        ・ ミシ ンを扱 う技術

・学 びの姿勢       ・基礎 的なことを指導する力

知識

。小学校全教科 における専 門性の認識

。家庭科 の内容の知識 。理解

・児童 に伝 える技法 ・方法の理解

経験値

・伝統的な器具操作 の理解 と技術

。古来の方法の意義 と意味 を理解

・技術力 を高める

面接者Fのワー ドクラウ ド

薄錢 ̲     幕露    足争碁 ̀:競:儡 諄耗 鐸難 i饉l長驚轟 賞磯 甕 鐘

学び

姿勢

覇閻F甕

驚畿  鑢甕 披壌 露 必要本質

騒 轟   l難 や り方

難轟輔纏∞

4こく与`藩儡魃

曇姦 群轟 苛着懸

ぉ 纂    懲轟家庭科 F』学綾

家庭科 の専 門性不足

伝 える力,深める力,高める力不足

(9)

小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方

面接 者Iさ んの ワー ドク ラ ウ ドを図6に示す。

問題点の特徴 は時数が問題 で あることが指摘 され,そこか ら

波及す る問題点が伺 える。

家庭科の指導にあたって,次のような力を育成する必要があることを指摘 し

て い る。

資質       知識

0人 間力 と授業力 を備 えている       ・児童の意欲 を育てる授業がで きる知識

・学 びなが ら成長す る謙虚 さがある     。アクテイブ・ラーニ ングの授業展 開が

・興味・関心 をもって取 り組む姿勢がある   で きる

。指導力,把握力が あ る          ・原理,基礎 が理解 で きる 0教 材研究,教具 の研 究 を行 う力 経験値        ・衣食住 の基本 的知識がある

生活経験 が豊かであ る

生活経験 が授業 に生 きるだけの経験値

̲、.、 .ヾ7    算機 授業 取 り入れる 進める

碕畑凩,ぉi遷Gじ

1:し撫驚P原理 警∬

野雲理碧 簡便作成過程蔭

棋ん。   っ け る       思 え る

基石

教 材 研 究 肝

使 争 霧:メリ` まま 1貫襲 各 方法 不 足 鶯 機 体験 広ギ:・1・む つ て み よ う 分 身

時数の問題 (時間にゆ とりが ない)

技術,技,原理の理解不足

授業内容が浅 く,深みに乏 しく表面的な授業

簡便で短時間でで きる内容 を扱い,原理 0基 礎理解 に至 らない内容 となる

101

面接 者Iのワー ドクラウ ド

授業準備不足

教材研究不足

(10)

面接者Yさ んの ワー ドク ラ ウ ドを図7に示す。

この結果か らYさんが問題 と 指摘す るのは力量である。

そ こには養成 の段 階での問題 が浮 き彫 りになっている。

その問題点 を図式化す る と次 の ようになると考 える。

教 師 間の力量格 差

/\ 実態 に則 さない授業内容

問題 意識,課題 意識 が 育 た ない

基礎 ・基本 の理解,技術 の向上 に対 す る差 が児童 の 学 び (できる,感じる,つけ る)に影響 を与 える

家庭科の指導にあたって,次のような力を育成する必要があることを指摘 し

て い る。

資質       技 能

。家庭科 は人間力が求め られる       。基礎 0基本が身についている

。技術 (切り方,縫い方,ミ シンの使い方)

知識

・問題意識 をもった授業がで きる

。児童 を引 きつける授業展開,授業構 成 がで きる

経験値

0的 確 な指導ので きる生活経験がある

。経験 を指導 に活かせ る

・最低,一人暮 らしがで きる力があ る

研   ︻ 一 ﹄ 中

¨ ソ 一 一 軸 ﹄

.認

¨

峙¨

内容 に対す る理解差がある

(11)

基本 的 児童警鰤

指 導 的 確 準備 肥ご

提示蘇 退

見える化 ゴダ私鮮

冒鯉亀楊夕慇Vi後

題材ずちヽ

り事 ―  儀鰺綺

よ年ヽ 擁す

場 鰊

面接 者Hのワー ドク ラウ ド

見 える化で きる指導力

児童の学 びを見分 ける洞察力

小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方 103

面接 者Hさんの ワー ドク ラ ウ ドを図8に示す。

Hさ ん はIT時代 に入 り,情

報の活用 を提案 している。

見 える化 で きる指導力が必要 であると述べ る。

理解 を深 め るための具体 的 教 示 と準備

的確 な題材選択 と児童の基本 。基礎 の 定着力の把握力

子供 目線 での情報提供

l

家庭科の指導にあたって,4つの項 目については次のような力を育成する必 要があることを指摘 している。

資質       技 能

・児童 目線での洞察力       ・情報 を的確 に選択す る能力 0児 童 に とっての課題 を見 出す力      ・情報 を見 える化 し、提供で きる

。児童の様子 を把握す る力         ・児童の発達段 階の理解

。児童の理解力 を見分 ける力        ・実態 にあ うワークシー ト作成

・安全面の大切 さが理解で き、指導する力

・児童の実態 にあった課題 を把握 し、授   経験値

業準備がで きる       。インター ンシ ップ、 フイール ドワーク の経験 を重 ねることに よるこども理解 知識

・ミシン、調理などの基本的な技術がある

(12)

単語 ごとに表示 されるスコアの大 きさ (名詞の場合)

K F Y H

表 現 スコア 表 現 スコア 表 現 スコア 表 現 スコア 表 現 スコア

基 礎 063 基 礎 063 姿 勢 132

原 理 175 ミシン 097

家 庭 科 397

05

29

0︲

22

06

0︲

家庭科 397

児 童 053

意 義 053

15

08

02

29

具 体 021 十 分 021 児 童 053

教 科 058

である 003

謙 虚 073

簡 単 積 極 的 07

姿 Π

材料費 07

姿

12

0︲

19

09

04

︲3

06

見 える化 07

力 量 07

反 映 012

家 庭 科 058 一 人 07

原 理 022 人 間力 008

参 画 058 問題 意 識 07

意 識 002

協 働 07 教 科 058

センス 005

裏 打 ち 058

授 業 059

問 題 008 大 切 053

(13)

小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方 105

9は単語 ごとに表示 されるス コアの大 きさを示 した ものである。ス コアの 大 きさが0.5以上の名詞 に赤でマーク した結果,面接者が問題点 として捉 えて いるワー ドクラウ ドとの整合性が確認で きた。 また,面接者各 々が取 り上 げて いる共通す る単語 を見 ると基礎,基,技,実,原,体,経験 な どが あげ られることか ら,これ らに多 くの問題点があると認識 していることがわか る。同様 に動詞 に関す る単語では,できる,取り組む,学ぶがあげ られる。図 9と 関連 して考 えた場合,基礎 ・基本,技術 は体験,経験 を重 ねることによっ て獲得で きるようにな り,この経験値 をあげることこそ重要であることを示唆

していると百 える。

Ⅳ日まとめ

1)小学校学習指導要領の改訂の方針

改訂の経緯 として今後世界 は急激 に変化 し,予測困難時代 となってい くとと もに,日本 においてはさらに急激 な少子高齢化が進む中にあって,一人一人が 持続可能な社会の担い手 として,その多様性 を原動力 とし,質的な豊か さを伴 っ た個人 と社会の成長 につながる新たな価 を生み出 してい くことを期待 し改訂 を した ことが述べ られている③つ ま り,学校教育 において子 どもたちが積極 的に 様 々な変化 に向 き合 える力,他者 と協働 して課題解決 をす る力,情報 を見極 め る力 とその情報 を再構築 して新 たな価値 を生み出す力 を育成す ることを重視 し ている。

家庭科における目標は生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,衣食住など に実践的・体験的な活動を通 して,生活をよりよくしようと工夫する資質・能 力を育成することである。その方法 としては家庭科の5領域に関する基礎知識 と技能を身に付 けること,課題 を設定 し課題解決がで きること,さ らに学び を通 して生活をよりよくしようと工夫できる実践的態度を養 うこととなってい る。つまり,これらの資質,知,技能等 を教員が備えていなければならない ことを意味するのである。

(14)

2)学校現場の教員の状況

日本学術会議の健康 0生 活科学委員会,家政学分科会の生 きる力の更 なる充 実 を目指 した家庭科教育への提案 一教員養成の立場か ら一の提案④よると,小 中・高等学校時代 に男女共修で「家庭科」教育 を受けて きた大学生 を対象 とし たアンケー ト結果か ら「暮 らしに関す る情報や技 は主 として小 ・中・高等学校 における家庭科教育か ら習得 した ものであ り,彼らはそれを実際の生活 に生か している」 とし,男女共修の家庭科教育が子 どもたちの生活す る力 を育てる重 要 な役割 を担 っていると言 えるとしている。 また,家庭科の重要性 を再認識す る結果であったが,従来は個 々の家庭が持 っていた「家庭 の機能」が著 しく低 下 していることも明 らか となった と報告 している。一方で家庭科担当教員 を対 象 とした「家庭科」の柱 となってい る各分野の授業内容 に対す る「得手」「不 得手」 についての調査 によれば,大多数の教員が「得手」「不得手」があ り, 教員間の授業内容 に偏 りが生 じることが懸念 されると警鐘 を鳴 らしている。そ の原因 としてそれぞれの「得手」「不得手」 は教員が学 んで きた専 門領域 によ る ところが大である。「不得手」 な分野の少 ない,力のある教員 を養成す る必 要があるとしている。つ ま り,家庭科 を担 当す る教員 には人の暮 らしに関わる 全ての分野 について専 門的な知識 を持 ちつつ,その全ての分野 を総合的に捉 え

る能力が要求 されるとい うことになる。

社会が成熟,多様化 し,子どもや若い人たちの生活力の低下がみ られる昨今, 小・中・高等学校 における家庭科教育の必要性 は高 まっている。そのためには, 家庭科 は内容が広範囲にわたるが,現職の抱 えている問題点の解決 と今後の養 成課程 における検討 を行 う必要があることを明 らかに している。

今 回の面接対象者 の年齢,出身大学 の学部 に よる問題点項 目には大差 はな かったが,自他 ともに共通す る問題であるのか,自分以外 の問題 なのかは年齢 によって異 なることが分かる。 また,家政科系 の学部で学 んだか どうかで家庭 科 に対す る知識,認識度 に差があることも指摘 される点であった。

小学校教員の多 くは教員養成系学部で学 び,家庭科選修 ・専 門は僅 かであ り 多 くは非家庭科教科選修 ・専 門である。 これか ら考 え られることは,広範囲に

(15)

小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方 107

わたる家庭科の専 門内容の知見 を得 るのは非常 に難 しい ことであるため,当 なが ら「得手」「不得手」が生 じるだけではな く,技術 さえ も獲得 していない 状況があるであろうことは想像 に難 くない。今 回のインタビュー結果 において も基礎,基,経,生,ミ シ ン,理,学,不,児,授,原, 課題,経,技,方,指,問,準,不足 な どの単語が上げ られる結 果 となった。表出 した単語か ら考 えられることは現場教員 に不足 している もの が経験不足,基礎基本の習得不足,技術 ・方法の習得不足,学びの不足か ら原 理の理解,問題 ・課題 を見極 める力不足,授業準備の不備であることが見 えて きた。そのため児童 に何 を考 えさせ,何を提供 し,児童の何故 に答 えられてい ないため,生活の営みに係 る見方 ・考 え方 を働かせ,衣食住 な どに実践的・体 験的な活動 を通 して,生活 をよりよくしようと工夫す る資質・能力 を育成す る 目標 に到達 していない と考 えられる。特 に年齢が若 くなればなるほ ど経験値が 低下 し,問題 はさらに深刻であると言 える。

3)今後の教員養成のあ り方 を検討す る

新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学 び」が求め られているように ティーチ ングか らラーニ ングヘ,つま リアクテ イブラーニ ングを取 り入れた学 習が中心 となっている今,家庭科 を指導す る者 に求め られる資質の一つは,と

もに学ぶ姿勢であ り児童の意見,考,子どもを取 り巻 く環境 を受け入れ,発

展 してい く力である と考 える。家庭科 の5領域 に常 に関心 を持 ち,教員 自らが やってみ ようとい う意欲,教員が常 に何故 とい う疑間 をもって もの ごとや社会 の動 きを見つめる眼差 し,科学的に捉 える思考 を育成す る必要があると考 える。

面接者が問題視す る基礎 0基 本の多 くは実技の内容 に関わる ものが多 く指摘 さ れていることを考 える時,日 々の生活の中で より多 くの経験 を重ねることが重 要 な鍵 となる。そ こで,限られた時間数の講義の中で調理,裁縫 に関す る実技 は必ず取 り入れる必要があろう。 また,その実技 をとお して科学的に考 え,捉

える思考 を養成 しなければな らない。

また,指導方法,授業構成 な どの手法が 自分の ものになっていないため,教

(16)

材研究 をいかにすべ きか,どの ような教具 を準備すべ きかが理解で きていない とい う問題点 も指摘 された。 これは根本的な問題が含 まれると思われる。それ は教員側が家庭科 の独 自性や家庭科 を学ぶ意義 を理解で きていないことを意味 す る。家庭科 を学ぶ意義や意味 を理解す ることによって,様々な情報の中か ら 発達段 階に応 じた情報 を選択 し,何を伝 えるべ きか,何を考 え,何を学ぶべ き か をおのず と見出す ことがで きる。好 きな教科 は家庭科 とい う小学生が多い と い う結果があるように,基本的に楽 しみに している児童 とともに教員 も楽 しみ なが ら授業構成 を立案,実施す るために家庭科 を学ぶ意義 を十分理解 し,積 的に知見 を広 げる力 を育成 したい。

児童が学習過程 を通 して,生活の中か ら問題 を見 出 し,課題 を設定 し,解 方法 を検討 し,計,実,評価 ・改善す るPODOSサ イクル を実施す るこ とによ り,さ らなる生活の向上のために創意工夫する力,生きる力 を養 うため の教員養成が求め られる。

問題の原因 としての教員の多忙化や授業時数の削減 については養成の段 階で は検討 しかねるが、その現状の中にあって も、授業の充実度 を高め、確保で き る力 と力量格差 を最小 限にす る能力 を養成す ることが養成校 としての任務であ ることを確認 した。

謝辞

本研究の調査 において、イ ンタビューにお応 えいただ きました薩摩川内市立 平佐西小学校並 びに薩摩川内市立育英小学校 の先生方の ご協力 に心 よ り感謝 申

し上 げます。

引用文献

 東京大学・慶應義塾大学教授 鈴木寛氏

Learn for Life2018(第 1回 東京国際教育)祭」における基調講演 平成30 3月 26、 27日

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小学校家庭科教育の実態 と大学における教員養成のあ り方 109

 小学校学習指導要領解説家庭編 2章 家庭科の 目標及び内容 (12頁)

平成29年7月

 小学校学習指導要領解説 家庭編 (1頁)平29年7月

 日本学術会議 健康・生活科学委員会 家政学分科会

生 きる力の更なる充実を目指 した家庭科教育への提案 ―教員養成の立場か ら一平成 29年9月

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論 文 要 旨

In elementary school homemaking education and university education

YA]ⅥAGUCHI akeini

Abstract

Aimed to examine and understand this research, as well as to clarify the challenges elementary school home economics teachers have sought Home Economics Faculty, at the University of Economics Faculty training and hopefully better.

As a result as the cause of the problem along with a reduction of teaching hours and the busy teachers, teachers, such as the purpose and aim of the home economics, learning, practice leadership qualities and skills shortage problem has become became clear.

Heading problem from the improvement of teaching skills and improve the value of life experience, living in as a specific education for home economics, based on semistructured data problem events, to establish, and then consider how to solve, plan, practice, I think by P D S cycle evaluation and improvement to ingenuity to improve the further life of force and live feed for teacher kaining is required.

図 9  単語 ごとに表示 されるスコアの大 きさ (名 詞の場合 ) K F Y H 表 現 スコア 表 現 スコア 表 現 スコア 表 現 スコア 表 現 スコア 基 礎 063 基 礎 063 姿 勢 132 題 報 備 切 導 鈍 供課情準大指﹁改提切 活大 生原 理175ミシン097家 庭 科397本礎生成階 容基基先養段内 05290︲22060︲家庭科397門 性本 足専 基 不1 0 1ま 識幸︵  立層明 女説 男児 童053意 義053足題 要 礎不課必基 15080229具 体021十

参照

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