「税 利 分 流 」 の試 行
川 井 伸 一
1利 潤 分 配 改 革 と 「税 利 分 流 」
1)利 潤 分 配 改 革 の推 移
経 済 改革 が始 ま る以 前 の 旧 シ ステ ムの下 で は中 国 国 有 企 業 の 利 潤 は その ほ とん どが国 家(財 政 当局)に 上納 され て い た。1970年 代 末 に改 革 が 始 ま って以 降,国 有 企 業 の利 潤 分 配 を め ぐ る改革 はい くっ か の段 階 を 経 て き た。
第 一 期(1979‑83年)で は,企 業 基 金 制,利 潤 留 保 制,利 潤 請 負 制 な ど の形 態 を とお して企 業 の利 潤 留 保 分 を拡 大 し,そ の 自主 的 な 使 用 権 限 を 与 え る改 革 が 進 め られ た(い わ ゆ る 「放 権 譲 利 」)。旧 シ ステ ムの 下 で 企 業 の利 潤 留 保 とそ の処 分 にっ い て の 自主 権 が なか った こ とか らす れ ば,こ の 放 権 譲 利 の改 革 は画 期 的 な変 化 で は あ った。 しか しな が ら,こ の改革 に よ っ て も,企 業 の利 潤 留 保 分 は依 然 と して きわ め て少 な く利 潤 額 全 体 の一 割 足
らず で あ り,利 潤 の圧 倒 的 大 部 分 を国家 に上納 す る方 式 自体 に変化 はなか っ た。
第 二 期(1984‑86年)で は,企 業 利 潤 を め ぐる 国 家 と企 業 の 財 務 関 係 を規 範 化 し,企 業 競 争 の た め の 平 等 な 負 担 条 件 を 形 成 す る た め 所 得 税 (「利 改 税 」 と呼 ば れ る)が 初 め て 導 入 され た。 従 来 の利 潤 上 納 制 度 に代 え て 所 得 税 制 度 が 実 施 され た の で あ る。 しか し,所 得 税 制 の性 急 な試 み は頓 挫 して しま う。 所 得 税 制 の 前提 条件 で あ るマ ク ロ経 済 面 の 改 革(特 に価 格
改 革)が 進 ま なか った こ と,各 企 業 の 個 別 的 状 況 に制 約 され て 税 制 の規 範 作 用 が 軟 化 せ ざ る を え な か った こ と(例 え ば,各 企 業 ご と に税 率 の異 な る 調 節 税 の実 施,固 定 資 産 投 資 貸 付 の所 得 税 税 引 き前 返 済 の 容 認,所 得 税 率 55%と 実 際 税 率 と の ギ ャ ップ な ど),企 業 の 自主 権 の一 層 の拡 大 と国 家 の マ ク ロ経 済 コ ン トロ ー ル の不 備 との 矛盾 な どの た め で あ る。
第 三 期(1987年 以 降)で は,経 営 請 負 制 の 普 遍 的 実 施 に と もな い 利 潤 の上 納 請 負 が 復 活 した。 そ れ は 各 企 業 が 基 準 年 の 利 潤 実 績 を基 に毎 年 一 定 の利 潤 を政 府 に上 納 す る こ とを 個 別 の 契 約 を 通 して 請 け負 う こ とで あ る。
請 負 う上 納 利 潤 の な か に は所 得 税 と調 節 税 を 含 ん で お り,し たが って請 負 制 の も とで は所 得 税 は 名 目的 な もの に留 ま り,本 来 の税 と して の規 範 的性 格 は否 定 さ れ て い る。 利潤 上納 請 負 い は この よ うに所 得 税 を実質 上 否定 し, 企 業 利 潤 の分 配 関係 を個 々 の 企 業 と政 府 と の対 面 的 交 渉 を通 して個 別 的 に 決 定 して い く とい う点 に 大 きな 特 徴 が あ る。 この請 負 制 は本 来 的 に非 規範 性 ・個 別 性 が 強 く,ま た 市 場 価 格 の 動 向 に矛 盾 す る性 格 を もっ故 に将 来 の 改革 の方 向 と して は 大 きな 問 題 を 抱 え て い る もの の,企 業 を と り ま く当 面 の経 済 環 境 に は比 較 的 に 適 応 性 が あ る と され,政 策 的 に も広 く受 け入 れ ら れ て い る(D。
国有 企 業 の 利 潤 分 配 改 革 と して の 「税 利 分 流 」 は,時 期 的 に は 上記 の 第 三 期 に お い て提 起 され た もの で あ る。 税 利 分 流 とは企 業 利 潤 を国 家 に 分 配 す る 際 に,所 得 税 と利 潤 上 納 とを 分 離 して,そ れ ぞ れ独 自 の方 式 と して規 範 化 しよ う とす る もの で あ る。 上 述 の よ うに,第 一 期 か ら第 三 期 に至 る利 潤 分 配 方 式 は形 態 こそ違 って い た もの の,所 得 税 と利 潤 上 納 とを概 念 上 分 離 す る とい う考 え に立 脚 して い なか っ た点 で共 通 して い た。 す な わ ち,第 一 期 で は,所 得 税 はまだ導入 されてお らず,伝 統 的な利潤上納方式 に依拠
して い た。 中 国 の学 者 の 表 現 を使 え ば,利 潤 上 納 を 以 て 税 に代 え て い た (「以 利 代 税」)の で あ る。 第 二 期 は,利 潤 上 納 方 式 か ら所 得 税 方 式 に 全 面 的 に 移 行 しよ う と した(「 以 税 代 利」)。これ に対 して第 三 期 は,所 得 税 を
請 負 対 象 に含 め る こ とに よ り所 得 税 を実質 的 に否定 し,利 潤上 納方 式 に戻 っ た(「 以 利 代 税 」)。いず れ に せ よ,所 得 税 と利 潤 上 納 と は 分 離 さ れ ず,混 同 され て い た と言 って よ い(2)。従 って,ま ず も って,税 利 分 流 の 提 起 は 旧 来 の 「税 利 不 分 」 状 況 を突 破 しよ う と した点 で 画 期 的 で あ った。 以 下,本 稿 で は 「税 利 分 流 」 改 革 の動 向 を実 証 的 に検 討 して み た い。
2)「 税 利 分 流 」 の ね ら い と背 景
税 利 分 流 改 革 の 目的 に っ い て,財 政 部 と国 家 経 済 体 制 改革 委 員 会 が 公 布 した税 利 分 流 の試 行 弁 法(1991年8月)は,(1)国 家 と国 営 企 業 の 分 配 関 係 を い っそ う整 備,規 範 化 す る こ と,(2)企 業 を 活 性 化 し,企 業 の経 営 メ カ ニ ズ ム と行 為 の合 理 化 を促 進 す る こ と,(3)財 政 収 入 が 国 民 収 入 に 占 め る比 率 を次 第 に高 め る こ とを あ げ て い る(3)。以 下,そ れ ぞ れ の 点 につ いて 補 足 説 明 して お こ う。
第 一 に,利 潤 分 配 関 係 の 規 範 化,合 理 化 につ いて は,ま ず 企 業 の所 有 権 と経 営 権 の 分 離 に対 応 して 政 府 職 能 の 分 離 が 主 張 され て い る。 す な わ ち, 政 府 は政 権 と して の 行 政 管 理 職 能 と資 産 所 有 者 と して の 資 産 管 理 職 能 に区 分 す べ きだ と され る。 こ う して,政 府 は行 政 管 理 職 能 と して税 金 を徴収 し, 国 有 資 産 の 管 理 職 能 と して 資 産 価 値 の 増 加 に応 じた 利 益 分 配 に参 加 す る の で あ る。 国 有 企 業 の 利 潤 分 配 に即 して いえ ば,政 府 は行 政 管 理 職 能 と して 所 得 税 を 徴 収 し,資 産 管 理 職 能 と して 利 潤 の 分 配(配 当)を 得 るの であ る。
この場 合,利 潤 の 収 入 は,一 般 的 に は一 定 の 利 潤 を 企 業 が 国 家 に上 納 す る こ とを 請 負 う形 が と られ る。 企 業 の 所 有 権 と経 営 権 の 分 離(「 両権 分 離 」), 企 業 と政 府 の 分 離(「 政 企 分 開 」),行 政 管 理 と資産 管 理 との 分 離(「 政 資 分 開 」)は,そ れ ぞ れ1980年 代 後 半 以 降 に 本格 化 す る企 業 改 革 の 基 本 方 針 と され る もの で あ る(の。
規 範 化 の も うひ とつ の 内 容 は,所 得 税 の 規 範 的 作 用 の 確 立 で あ る。 この 規 範 化 の 原 則 は一 律 平 等,公 平 な 税 負 担 にあ り,こ れ を 通 して 非 国 有 企 業
を 含 め て 国 内 の 各 種 企 業 に 「対 等 の競 争 条 件 」 を 与 え るこ とが め ざ され た。
1984‑86年 の利 改 税 の試 み の 失 敗 は,導 入 した 所 得 税 と調 節 税 が 実 際 に は多 か れ少 な か れ軟 化 した た めで あ り,そ の結 果,名 目 の税 率 と実 際 の 税 率 はか け 離 れ,し か も各 企 業 に と って の税負担 は極 めて不均 等 な もの にな っ た。 また1987年 か らの 経 営 請 負 制 は前 述 の よ うに 所 得 税 の 名 目 を 維 持 し つ つ も,実 際 に はそ の 規 範 的 作 用 を否 定 した もの で あ った。 こ う して,所 得 税 の 規 範 化 ・ハ ー ド化 を はか る こと が税 利 分 流 の大 きな ね らい と され た の で あ る。
第 二 に,企 業 経 営 の活 性 化 と経 営 メ カ ニ ズム の確 立 に つ い て は,主 に 企 業 の 拡 大 再 生 産 の た め の投 資 資金 の運 用 シ ステ ム の 合理 化 が 大 きな 課 題 と され た。 す な わ ち,従 来,企 業 の投 資 資 金 は 国 家 ・銀 行 の 資 金 に 依 存 して お り,運 用 上 で の予 算 制 約 が極 め て ソ フ トで(「 国 家 の大 釜 の飯 を食 べ る」
温 情 主 義),企 業 が投 資 資 金 ロ ー ンの返 済 に責 任 を負 う シ ス テ ム に は な っ て い なか った。1984年 利 改 税 を実 施 した 際 に 固 定 資 産 投 資 資 金 ロ ー ンの 所 得 税 納 税 前 返 済(「 税 前 還 貸 」)を 容 認 した こ と も この 傾 向 を 促 進 した。
こ の結 果,企 業 は 自 らの返 済 能 力 水 準 を は るか に越 え て 銀 行 か ら固 定 資 産 投 資 資 金 を次 々 に借 り受 け,そ の 債 務 残 高 は全 国 の 予 算 内 国 有 工 業 企 業 で 1981年 の約100億 元 か ら1988年 の1699億 元 に増 大 し た(年 平 均 増 加 率 50%)。 同 種 企 業 の ロ ー ン返 済 額 も1981年 の20.2億 元 か ら88年 の192.9 億 元 に増 大 した(年 平 均 増 加 率38%)(5)。 しか し,企 業 返 済 額 の 実 に70
%前 後 は実 際 に は企 業 自身 の負 担 で はな く,国 家 財 政 か らの 負 担 に依 って い た と い わ れ る(6)。こ う した温 情 主 義 的 な投 資 資金 の運 用 の た め,投 資 資 金 の効 率(投 入 産 出係 数)も 低 い水 準 に あ った 。
従 って,こ う した投 資 資 金 運 用 の あ り方 を 改 革 し,企 業 の 自己返 済 能 力 にみ あ っ て融 資 を受 け,そ の返 済 に 自 ら責 任 を 負 い,投 資 資 金 を 効 率 的 に 運 用 す る シス テ ム の構 築 が め ざ され た の で あ る。
第 三 に,財 政 収 入 の国 民 収 入(国 内 の物 的 生 産 部 門 の 純 生 産額)に 占 め
る比 率 を 次 第 に引 き上 げ る と い う主 張 の背 景 に は,そ の 比 率 が 年 々低 下 し て い る事 情 が あ るが,企 業 利 潤 分 配 との関 連 で財 政 収 入 の 当 面 の問 題 点 と して は,(1)所 得 税 の規 範 的 作 用 の 軟 化,(2)調 節 税,エ ネ ル ギ ー交 通 建 設 基 金,国 家 予 算 調 節 基 金 な ど の費 用 徴 収,(3)経 営 請 負 制 に お け る 上納 利 潤 請 負 「基 数 」 の 固 定 に よ る財 政 収 入 の伸 び悩 み が あ る。
(1)の 問 題 は,前 述 した よ うに,具 体 的 に は名 目税 率 と実 際 税 率 と の 大 きな ギ ャ ップが あ る こ と,さ らに は87年 以 降 所 得 税 を 上 納 利 潤 請 負 い の な か に組 み 込 み 所 得 税 を 企 業 と政 府 と の個 別 的交 渉 の対 象 と した こ と に み られ る。 名 目税 率(大 中 型 企 業 で55%)と 実 際 税 率 と の ギ ャ ッ プ が 生 ず る大 きな要 因 は,所 得 税 自体 が87年 か らの経 営 請 負 制 に よ り個 別 企 業 の請 負 対 象 に され た こ と,固 定 資 産 投 資 資 金 ロ ー ンの所 得 税 納 税 前 返 済 を 認 め て い る こと に あ る。 後 者 に っ い て は,固 定 資 産 投 資 資 金 ロー ンの返 済 額 が 課 税 所 得 額 に含 ま れ な い 関係 か ら返 済 額 が 大 き けれ ば大 きい ほ ど課 税 所 得 額 お よ び所 得 税 は小 さ くな る。 従 って,返 済 額 が ゼ ロ の場 合 の法 定 所 得 税 率 に比 べ て 実 際 の所 得 税 率 は多 少 と も下 が る こ と に な る。 こ う して例 え ば,全 国 の 黒 字 国 有 企 業 の実 際 の 所 得 税 率 は1989年 で33%,1990年 で38%に す ぎな か っ た(7)。国家 予 算 内 の 地 方 工 業 企 業 の1987‑89年 の 平 均 上納 利 潤 率 は28%で あ っ た と い う(8)。さ らに福 建 省 の 国 有 工 業 企 業 の
1989年 の実 際 の上 納 利 潤 率 は30%で あ り(9),山 西 省 の 予 算 内 の1220の 黒 字 工 業 企 業 の 上納 利 潤 率 は32.7%[う ち 大 型 企 業 は34.7%,小 型 企 業
は27.1%]で あ っ た と い う(1°)。
(2)の 点 は,(1)と 同様 の非 規 範 的性 格 を も って い る。調 節税 は個 々 の企 業 の利 潤 格 差 に対 す る一 種 の 差 額 地 代 で あ り,そ の税 率 は企 業 と政 府 と の請 負 交 渉 に よ って事 後 的 に決 ま り,本 来 的 に規 範 性 に欠 け て い る。 エ ネ ル ギ ー交 通 建 設 基 金(1982年 開 始)と 国 家 予 算 調 節 基 金(1989年 開 始) は納 税 後 の留 保 利 潤 か らそ れ ぞ れ15%,10%を 徴 収 す る付 加 税 で あ るが, 所 得 税 以 外 に こ う した様 々 な付 加 税 が そ の と き ど きの 政 府 の財 政 事 情 か ら
制 定 され る こ と 自体(11),税制 の規 範 性 を損 な う もので あ る と同 時 に,所 得 税 が 本 来 の規 範 的作 用 を軟 化 さ せ,そ の作 用 を十 分 果 た して い な い こ との 裏 返 しで もあ る。
(3)の 上 納 利 潤 の請 負 基 数 の固 定 と は請 負 契 約 の 前 年(1986年)ま た は前 三年 間 の所 得 税 と調 節 税 の納 入 実 績 を請 負 基 数 と して固 定 す る こ と を さす。 この請 負基 数 の固 定 の問 題 点 は,請 負 期 間(一 般 に3年)に お け る固 定 した 請 負 基数 と利 潤 変 動 との ギ ャ ップ を調 整 す る こ とが で きず,そ の た め に年 々の 企 業 利 潤 が増 大 して もそ れ に応 じて 財 政 収 入 は伸 び な い と い う点 に あ っ た。 事 実,上 納 利潤 請 負 の も とで,実 現 利 潤 に 占 め る財 政 上 納 分 の比 率 は低 下 傾 向 を示 した。 す な わ ち,経 営 請 負 制 を 始 め る前 の
1986年 で45%,請 負 制 を実 施 して か ら は1987年38%,1988年27%,
1989年32%で あ った。 逆 に実 現 利 潤 に 占 め る企 業 の留 保 利 潤 比 率 は1986 年36%,1987年40%,1988年48%,1989年46%で あ り,増 加 傾 向 を 示 した(12)。
3)「 税 利 分 流 」 の 基 本 内容
上 述 の よ うな 政 策 目的 に 応 じて,税 利 分 流 の 試 行 案(1989年)の 基 本 内 容 は以 下 の とお りで あ る(13)。す な わ ち,第 一 に所 得 税 の 規範 化 と税 率 の 引 き下 げで あ る。 も はや,所 得 税 を 請 負 の対 象 に せ ず,一 律 平 等 に徴 収 す る こと,そ して税 率 を 従 来 の55%か ら35%に 引 き下 げ る こ とで あ る。 そ の後1991年 の試 行 条 例 で は33%に 更 に引 き下 げ る こ とが 規 定 され た。 税 率 が この よ うな水 準 に引 き下 げ られ た主 な 理 由 は,国 有 企 業 の所 得 税 率 を 国有 以 外 の様 々 な所 有 制 企 業 の税 率 と同 等 に して 税 負 担 上 で 「平 等 な競 争 条件 」 を与 え る こと と さ れ た。 第 二 に本 来 規 範 性 の なか った調 節 税 を廃 止 す る こ とで あ る。 第 三 に固 定 資 本 投 資 資 金 ロ ー ンの所 得 税 納 税 前 利 潤 か ら の 返 済 を 納 税 後 利 潤 か らの返 済(「 税 後 還 貸 」)に 改 め る こ とで あ る。 投 資 資 金 ロ ー ンを 企 業 の 自己 留 保 資 金 か ら返 済 さ せ る こ とに よ り 自己 負 担能 力
を越 え た 投 資 資 金 借 り入 れ の膨 張 を抑 制 し,自 立 的 な 投 資 メ カ ニ ズ ム を促 進 す るた め の 規 定 で あ る。 第 四 に納 税 後 の 利 潤 上 納 を 請 け負 う ことで あ る。
この 規 定 は資 産 所 有 者 と して国 家 が利 潤 配 当 を 享 受 す る こ と を示 す もの と され る。
税 利 分 流 にお け る利 潤 分 配 方 法 を経 営 請 負 制 の 利 潤 分 配 方 法 と対 比 して 図 示 す れ ば 下 図 の と お りで あ る('%
図1.
a[経 営 請 負 制]
← 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 実 現 利 潤 一 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 〉
← 一 一 一 一 一 一 一 課 税 利 潤 一一 一 一 一 一 一 一 一 →
納 税 前 の ロ ー ン返 済
所 得 税(55%)
調 節 税
留 保 利 潤
* 実 際 留 保
← 一一一 一 上 納 請 負 利 潤 一 一一→
b[税 利 分 流]
← 一 上 納 利 税 額 一一一 →
所 得 税(33%)
上 納 利 潤
留 保 利 潤
納税後の返済 * 実 際 留 保
←一 一一 一一一 一一 一 実 現 利 潤=課 税 利 潤 一 一一一 一一一 一→
*は エ ネル ギ ー交 通 建 設 基 金 ・国 家 予 算 調 節 基 金 の 上 納 分 ほか
2「 税 利 分 流 」 の 試 行 と方法
1)試 行 の提 起 と拡 大
1987年,経 営 請 負 制 が開 始 され た年 に,国 務 院 経 済 研 究 セ ン タ ー,国 家 経 済 体 制 改革 委員 会,財 政 部,税 務 局 な ど の関 係 部 門 が共 同 で国 務 院 に 対 して 国 営 企 業 で 税利 分 流 を試 行 す るよ うに最 初 に提 案 した。 そ れ に は所 得 税 と上 納 利 潤 との 分離 所 得 税 税 率 を55%か ら35%に さげ る こ と,調 節 税 の廃 止,税 引 き後 利 潤 か らの投 資 資金 ロー ンの 返 済,税 引 き後 利 潤 の 上 納 請 負 な どで,前 述 した よ うな 税 利分 流 の基 本 的 内 容 を す で に含 ん で い た。 同年,財 政 部 は,そ れ まで の 分 配 改 革 の経 験 へ の 総 括 を 踏 ま え て,
「国 家 と企 業 の 分配 関係 を一 歩 進 め て改 革 す る こ とに 関 す る方 案 」 を提 起 し,そ れ に も前 述 と同 様 な内 容 が 規 定 され て い た。 財 政 部 は,こ れ を踏 ま え て 同年 末,税 利 分 流 の試 行 を まず 重 慶 市 の国 有 企 業 で開始 す る よ う指示, 重慶 市 は これ を承 諾 し,1988年 初 か ら同 市 の630の 市 属 予 算 内 国 有 企 業 で 試行 が 開始 され た。 同年3月,第 七 期 全 国 人 民 代 表 大 会第 一 回会 議 で李 鵬 首 相 は政府 活 動 報 告 の な か で 「財 政 体 制 改 革 は企 業 が 経 営 請 負 責 任 制 を 実 施 す る こ とを基 礎 に,次 第 に税 利 分 流 の方 向 に転 換 し,国 家 と企 業 の あ いだ の 分 配 関 係 を 整備 しな け れ ば な らな い」 と発 言 し,国 家 の政 策 と して 税 利 分 流 改 革 が 公 式 に 承 認 され た('5)。1988年 に は,重 慶 市 に続 い て,福 建 省 ア モ イ市 の 市 属 予 算 内 国有 工 業 企業(67企 業),湖 南 省 益 陽 市 の 市 属 予 算 内 国 有 工 業 企 業(25企 業),四 川 省 成 都 市 の市 属 国 有 工 業 企 業(機 械 化 学,医 薬 業 の 計5企 業)な どで 試 行 が始 ま った('6)。
1989年3月 に財 政 部 と国 家 経 済 体 制 改 革 委 員 会 は共 同 して 「国 営 企 業 が税 利 分 流 を実 施 す る こと に関 す る試 行 方 案 」 を 公 布 し,税 利 分 流 試 行 を 推 進 す るに あ た って 具 体 的 な試 行 方 法 を規 定 した。 そ の後,税 利 分 流 の試 行地 区 は増 大 し,1990年8月 に開 催 さ れ た 全 国 の 税 利 分 流 検 討 会 議 で の
報 告 に よれ ば,そ の 時 点 まで に財 政 部 と地 方 政 府 が批 准 した試 行 都 市 は上 記4都 市 を 含 め て11に 達 した(17)。1990年末 ま で に は,試 行 地 区 は 全 国 の 24省 ・市 に,試 行 企 業 数 は1700近 くに達 した。 そ の うち財 政 部 が 批 准 し た もの は9省 ・市,1200余 の 企 業 で あ り,残 り は 地 方 政 府 が 批 准 し た も の で あ るQA)。
さ らに1991年 末 まで に試 行 範 囲 は36省 ・市 ・部 門,試 行 企 業 は 計220 0余 に拡 大 した。 うち財 政 部 が批 准 した も の は20地 区 ・部 門 で,約1600 企 業 で あ っ た(19)。財 政 部 が それ まで 批 准 した地 区(計 画単列 都 市 を含 む)・
部 門 は,重 慶 市,成 都 市,四 川 省(自 貢 市 ・墓 枝 花 市),厘 門 市,湖 南 省 (益 陽 市 ・泪 羅 市),黒 龍 江 省(牡 丹 江 市),吉 林 省(大 安 市),遼 寧 省(本 渓 市),河 南 省(南 陽 市),湖 北 省(荊 門 市 ・老 河 口市),武 漢 市,北 京 市,
山西 省(原 平 県 ・沁 水 県 ・臨 綺 県),河 北 省,広 西 チ ワ ン族 自治 区,陳 西 省(漢 中市),中 国 人 民 銀 行 の 印 刷 公 司,物 資 部 直 属 の物 資 企 業,解 放 自 動 車 工 業 連 合 公 司 の第 一 自動 車 製 造 工 場,東 風 自動 車連 合 公 司 の 第 二 自動 車 製 造 工 場 で あ る。 ま た地 方 政 府 が批 准 した16の 省 ・市 と して は,上 海 市,大 連 市,沈 陽 市,深 刎 市,西 安 市,内 蒙 古 自治 区(区 直 属物 資 企 業), 漸 江 省,福 建 省(福 州 市 ・松 渓 県),江 西 省(横 峰 県),山 東 省(日 照 市 ・ 荏 平 県),海 南 省,貴 州 省,雲 南 省(曲 靖 市),甘 粛 省,青 海 省,寧 夏 回 族
自治 区 で あ る(2°)。
1992年3月 に開 催 され た全 国 第 二 回税 利 分 流 試 行 分 析 会 議 に お け る 財 政 部 の項 懐 誠 副 部 長 の報 告 に よ れ ば,1992年 度 の税 利 分 流 の計 画 と して, (1)大 中型 国有 企 業 で 試 行 を 拡 大 す る こ と,(2)55の す べ て の 集 団 企 業 で 試 行 す る こ と,(3)経 営 請 負 制 が 満 期 を迎 え た 一 部 の 国 有 企 業 で 試 行 を 開 始 す る こ と,(4)全 国 の 各 省 で 少 な くと も一 っ の 地 区 ・都 市 あ る い は一 っ の 業 種 を 選 ん で 試 行 す る こと,と さ れ た(21)。こ う して税 利 分 流 の 試 行 範 囲 は次 第 に拡 大 しつ っ あ る。 た だ し,党 中 央 と全 国 人 民 代 表 大 会 に よ り採 択 され た第8次 五 力年 計 画(1991‑95年)に お い て は,税 利 分 流
を 全 面 的 に 実 施 す る の で は な く, の 段 階 と 位 置 づ け られ た(22)。
あ くまで 条 件 の あ る地 区 と企 業 で の試 行
2)試 行 の具 体 的方 法
税 利 分 流 の基 本 的方 法 は上 述 の よ うに財 政 部 と国家 経 済 体 制 改 革 委 員 会 の 「試 行 方 案 」(1989年)に 規 定 され たが,各 試 行 地 区 が規 定 した 試 行 方 法 は幾 分 異 な って い る。1990年 夏 時 点 ま で の 八 っ の 試 行 都 市 に お け る 試 行 方 法 は 表1の とお りで あ る。
ま ず,所 得 税 制 は単 一比 例 税 制 だ けで はな く,五 級 超 過 累 進 税 も採 用 さ れ て い る。 単一 比 例 税 制 の 場 合,ほ とん どの 試 行 都 市 で は 当 初 税 率35%
で あ った が,屓 門 市 の 例 の よ う に15%と い う場 合 もみ られ る。 そ れ は 経 済 特 区 で の 外 資 系 企 業 の 所 得 税 率 が15%の 優 遇 税 率 で あ る こ と に あ わ せ た もの で あ る。35%税 率 は試 行 企 業 側 か ら の い っそ うの 税 率 引 き下 げ 要 請 を う けて1991年 か ら33%に 引 き下 げ られ た。 財 政 部 の説 明 に よ れ ば, 33%税 率 を 選 択 した理 由 は次 の とお り。 す な わ ち,(1)世 界91力 国 の 企 業 所 得 税 率 の 調 査 統 計 を 参 考 に した こと。 そ れ に よ れ ば,全 体 の平 均 税 率 は33.8%,先 進 国22力 国 の 平均 税 率 は33%,発 展 途 上 国69力 国 の 平 均 税 率37%で あ る と い う。(2)中 国 の 外 資 系 企 業(「 三 資 企 業 」)の 所 得 税 率33%と 同 じに した こ と。(3)中 国 の 国 有 企 業 の 実 際 の 所 得 税 負 担 率 を 参 考 に した こ と,で あ る(23)。ま た五 級 超 過 累 進 税 制 の場 合(重 慶 市,益 陽 市,南 陽 市 な ど),最 低 の一 級 は利 潤 額1万 元 未 満 で 税 率 が10%,最 高 の 五 級 は利 潤 額20万 元 以 上 で 税 率35%で あ っ た。 この超 過 累 進 税 の 平 均 税 率 は,35%や33%の 単 一 比 例 税 率 に比 べ て 明 らか に低 い。1989年 の 重 慶 市 試 行 企 業 の平 均 税 率 は26.2%で(別),同 年 の 益 陽 市 の 試 行 企 業 の 平 均 税 率 は26.4%で あ っ た㈱。 利 益 の 薄 い小 型 企 業 を 多 く抱 え て い る 試 行 地 区 で は五 級 超 過 累 進 税 が採 用 され た よ うで あ る㈱。 こ う して 各試 行 都 市 の 所 得 税 制 は さま ざ まで あ った とい え る。
表1.8試 行都 市における試行 方法 地 区
重 慶 市 ① 630
→687企 業 (66%)
益 陽 市 ② 25企 業 (68%)
厘門市 ③ 67企業
南 陽 市 ④ 46企 業
(84%) 牡丹 江市 ⑤ 124
→169企 業
大 安 市 ⑥ 60企 業
(49%) 本 渓 市 ⑦ 31企 業
(51%) 成 都 市 ⑧
5企 業
→45企 業 (14%)
所 得 税 ・率
ロ ー ン返 済 税後利潤請 負五 級 超 過 累 進 税 最 低10%一 最 高35%
五 級 超 過 累 進 税 最 低10%一 最 高35%
単一比例税制 税率15%
五 級 超 過 累 進 税 最 低10%一 最 高35%
単 一比 例 税制 税率35%
同上
同上
a35%の 比 例 税 b五 級 超 過 累 進 税
旧借款 は税前税後 か ら半 々ずっ返済 新借款 は税後利潤
か ら返済 新 旧の境 は86年末 旧借款 は税前6割 税後4割 で返済 新借款 は税後利潤 か ら返済 新 旧の境 は87年末 新 旧借款 に関係 な く
すべ て税後利潤 よ り 返済
重慶市 と同様 ただ し新 旧の境 は 88年 末
重慶市 と同様 ただ し新旧の境 は 89年 末
同上
同上
aす べ て税後返済 b旧 借款 は税前返済
新借款 は税後返済 新 旧の境87年末
多様 な方 法 逓増上納 請負 定額上納請 負 定比例分配 定額返 済な ど 多様 な方法
ほぼ同上
11段階の定額上納 (1‑35%)
欠損企業 への財 政 補填 は しない 逓増請負超収全留 基数請負超収分配 比例上納請負 比例上納請負 定額上納 ゼロ請負 財政か ら返済 基数請負超収分配
逓 増上納請負 定額上納請負
逓 増上 納請負 定額上 納 比 例分配 ゼ ロ請 負
(『税 利 分 流 』①131‑132頁,②183‑184頁,③198頁,④154‑155頁,
⑤144‑147頁,⑥167‑170頁,⑦174‑176頁,⑧204‑205,209頁)
*左 端 欄 の 数 字 は 試 行 企 業 数 と そ れ が 市 属 国 有 企 業 全 体 に 占 め る 比 率 を 示 す
次 に投 資 資金 ロー ンの返 済 方 法 に つ い て。 中 央 の 税 利 分 流 方 案 で は前 述 の とお り,納 税 後 利 潤 か らの返 済 が規 定 され た が,こ の 規 定 を 完 全 に実 行 して い る の は極 め て少 な い(屓 門 市 の試 行 企業)(27)。ほ と ん ど の 試 行 都 市 で は,企 業 の受 け入 れ 能 力 を越 え る過 大 な ロー ンを す べ て納 税 後 利 潤 か ら 返 済 す る の が困 難 な た め に,当 面 は分 離 方 式 を採 用 して い る。 す な わ ち, あ る時 点 を境 と して そ れ以 前 に借 り入 れ た 旧 ロー ン とそ れ以 降 に 借 り入 れ た新 ロー ン とに 区別 し,ロ ー ン全 体 の な か で 大部 分 を 占 め る旧 ロ ー ンにっ い て は従 来 ど お りの納 税 前 利 潤 か ら返 済 す る部 分 と納 税 後 利 潤 か らの 返 済 部 分 を一 定 比 率 で分 け る こ と,新 ロー ンに っ いて は,す べ て 税 引 き後 利 潤 か らの返 済 とす る こ と と され た。 新 旧 ロ ー ンを 区 別 す る時 点 は様 々 で あ る が,一 般 的 に は試 行 開 始 の 前 年 末 と され た よ うで あ る(た だ し,重 慶 市 は 前 々 年 の 末)。
旧 ロ ー ンの 納 税 前 返 済 と納 税 後 返 済 との 比 率 は各 地 の試 行 弁 法 で は一 般 に50:50で あ るが,多 くの 場 合,試 行 弁 法 は 旧 ロ ー ンの 負 担 が 過 重 で あ り,利 潤 の 少 な い場 合 の 緩 和 規 定 を設 け て お り,例 え ば重 慶 市 の弁 法 で は 税 後 利 潤 か ら50%を 返 済 不 可 能 の場 合,そ れ以 下 の 割 合 で もよ い こ と と され た。 そ の結 果,1989年 の試 行 企 業 に お け る納 税 前 返 済 の 比 率 は58.5
%[う ち工 業 企 業64.8%,非 工 業 企業40%,商 業 貿易 企業22.4%]で あ っ た㈱。 益 陽 市 で は最 初 か ら納 税 前 返 済 の 比 率 を60%と 規 定 して い た(29)。
要 す る に,旧 ロー ンの大 部 分 を納 税 前 利 潤 か ら返 済 す る こ とを認 め て い る の で あ る。 こ こに も中央 の一 般 的 な規 定 が実 際 の現 状 に応 じて軟 化(ソ フ
ト化)さ れ る現 象 が み て とれ る。
第 三 に,納 税 後 利 潤 の上 納 請 負 に っ い て。 まず上 納 利 潤 の 基 数 の 査 定 方 法 は基 準 年 の実 績 を基 に して い る。 す な わ ち,請 負 利 潤 基 数=基 準 年 の実 現 利 潤 一規定 所 得 税 額 一税前 ・税 後 の ロ ー ン返 済額 一合 理 的 留 保 利 潤,で
あ る。 合理 的留 保 利 潤 は基 準 年 の 留 保 利 潤 実 績 を 基 準 と した(3D)。この 請 負 利 潤 基 数 の 確 定 は経 営 請 負 制 の 場 合 と同 様 に各 企 業 別 に政 府 当局 との交 渉
を通 して お こな わ れ,一 旦 確 定 され れ ば原 則 と して請 負 期 間 中(通 常3年 か ら5年)は 固定 され る。 そ して 注 目 され る点 は,基 数 の査 定 の 際 に 上 述 の合 理 的留 保 利 潤 額 を 保 障 す る配 慮 が な さ れ て い る こ とで あ る。す な わ ち, 基 準 年 の実 現 利 潤 一規 定 所 得 税 額 一税 前 ・税 後 の ロ ー ン返 済 額 の残 額 が 合 理 的 留 保 利 潤 額 に 満 た な い場 合 は,そ の不 足 分 を政 府 財 政 か ら補 填 す るの で あ る(31)。言 い 替 え れ ば,上 記 の 数 式 で 請 負 基 数 が マ イ ナ ス に な る場 合, 政 府 に利 潤 を上 納 す るの で はな く(そ れ は不 可 能),逆 に財 政 当 局 が 企 業 に不 足 分 を補 助 す るわ けで あ る。
具 体 的 な利 潤 上 納 の請 負 形 態 は基 本 的 に経 営 請 負 制 の場 合 と同 じで あ り, 比 較 的 に言 え ば企 業 収 益 が安 定 増 大 して い る企 業 に は上 納 利 潤 逓 増 請 負, 収 益 は あ るが 不 安 定 な企 業 に は比 例 分 配 請 負 また は定 額 請 負,そ して利 潤 が 極 あ て 少 な く ロー ン返 済 後 に合 理 的留 保 利 潤 を保 障 で き な い よ うな企 業 に はゼ ロ請 負[請 負 上 納 額 が ゼ ロ]ま た は財 政 か らの 税 金払 い戻 し[退 庫]
の 形 式 が 採 用 され た(32)。
最 後 に,税 利 分 流 の 試 行 の条 件,っ ま りあ る企 業 で税 利 分 流 を 試 行 す る か ど うか の基 準 にっ いて 少 し見 て お きた い。 重 慶 市 の場 合 に は,試 行 の基 準 は 「所 得 税 の納 付,請 負 利 潤 の上 納 お よ び ロー ン返 済 基 数 を 保 障 す る条 件 を備 え た 黒 字 企 業 で あ る こ と」 と規 定 され,そ う した企 業 で あ れ ば 原 則 的 に試 行 範 囲 に入 れ る もの と され た(33)。他 の試 行 都 市 に お い て も同 様 な 基 準 が 考 慮 さ れ た よ うで あ る。 しか し,こ の 原 則 基 準 は必 ず し も厳 格 な もの で は な く,上 述 の よ うに ロー ン返 済 後 に合 理 的 留 保 利 潤 を保 障 で きな い企 業 や請 負 利 潤 上 納 を保 障 で きな い企 業 を もふ くめ て 税 利 分 流 の試 行 対 象 に 入 れ て い る。 この点 は後 に み るよ うに 税 利 分 流 の 規 範 化 の点 で大 きな 問題
を抱 え 込 む こと に な る。
以 上 各 試 行 都 市 の試 行 方 法 を み た が,牡 丹 江 市 の124試 行 企 業 全 体 の 税 利 分 流 の 査 定 見 積 の 具 体 例 を紹 介 して お こ う(図2)。 こ の 見 積 計 算 は 1989年 の実 績(実 現 利 潤13141万 元)に 基 づ く も の で あ る。 百 分 率 は 実
現 利 潤 に対 す る比 率 を示 す(鈎)。
図2.牡 丹江市試行企業の税利分流の見積例
(単位:万 元)
上 納
納 税前返 済 所 得 税 利 潤 税後返済 留保利潤
1421 (「両 項 基 金 」を 含 む)
2336(18%) 3782(29%) (11%) 2356(18%) 3246(25%)← 一 一 納 税 後 利 潤 一 一 一 一 一一 一→
← 一一 一 課 税 利 潤 一 一 一 一一 一 一 一一 一 一一 →
← 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一一 一 一 実 現 利 潤 一一 一 一 一 一 一一 一 一 一 一→
3「 税 利 分流 」 の実 態 動 向
こ こで は,税 利 分 流 の 試 行 企 業 にお け る実 態 動 向 を い くつ か の側 面 か ら 検 討 して み た い。 す なわ ち,第 一 に利 潤 分 配 の動 向,第 二 に投 資 資 金 ロー ン返 済 の動 向,第 三 に納 税 後 利 潤 請 負 の動 向,第 四 に留 保 利 潤,第 五 に企 業 の経 済 効 果 の動 向 で あ る。
1)利 潤 分 配 の動 向
試 行 企 業 の利 潤 が国 家 財 政(所 得 税 ・上 納 利 潤),ロ ー ン返 済,企 業 留 保 に どの よ うに分 配 され た の か を み て み よ う。 表1aは 重 慶 市 の258の 試 行 企 業(工 業 ・商業 他)の 利 潤 分 配 の動 向 を示 した もの で あ る。
表la.重 慶 市 の258試 行 企業 の利 潤分 配 (単 位:万 元)
1987年 1988年 1989年
実 現 利 潤 上納税利潤 ローン返済 留 保 利 潤
58382100%
1427824.5 1665128.5 2433941.7
91014100 2400626.3 2298625.2 4135045.4
81523100%
2507830.8
1928023.6
3728245.7
(『 税 利 分 流 』352頁)
これ らの企 業 は1987年 に は経 営 請 負 制 を 実 施 して お り,1988年 か ら税 利 分 流 を試 行 して い る。1987年 実 績 に比 べ て の88年,89年 の増 加 率 を み て み る と,実 現 利 潤 は55%,39%,上 納 税 ・利 潤 は68%,75%,ロ ー ン返 済 は38%,16%,留 保 利 潤(35)は69%,53%そ れ ぞ れ増 加 して い る。
っ ま り,上 納 税 ・利 潤 と留 保 利 潤 が 利 潤 の 伸 び をか な り上 回 った の に対 し て,ロ ー ン返 済 は 下 回 って い る。 この 結 果,利 潤 全 体 に 占 め る上納 税 ・利 潤 の比 率 は次 第 に増 加 して い る。 留 保 利 潤 比 率 も増 加 して い るが,税 利 分 流 下 で は安 定 して い る。 これ に対 して,ロ ー ン返 済 の比 率 は次 第 に 低 下 し
て い る。
しか し,工 業 の試 行 企 業 に 限 った統 計 に よ れ ば,状 況 は少 し異 な る。 表 1bは 重 慶 市 の242の 試 行 工 業 企 業 の利 潤 分 配 比 率 の動 向 を み た もので あ る。
表1b.重 慶市 の242試 行工業企業の利潤分配(単 位:%) 年 度
上 納 税 ・利 潤
留保利潤 ロ ー ン 返 済1985 45 34 21
1986 35 43 22
1987 25 45 29
...
27 40 33
1989 29 45 26
1990 36 31 33
(「中 国 企 業管 理年 鑑1991年 』307頁,『 税 利 分 流 』343頁)
この試 行 工 業 企 業 は1985‑86年 に利 改 税(所 得 税 制)を,1987年 に は 経 営 請 負 制 を,そ して1988年 以 降 税 利 分 流 を試 行 して い る。 従 っ て,こ の表 は 同 じ企 業 群 に お い て 前 後 して 実 施 され た三 っ の分 配 制 度 を 比 較 す る
うえ で役 立 っ。 表 に よ れ ば,上 納 税 ・利 潤 の 比 率 は税 利 分 流 試行 前 は次 第 に減 少 して い た が,試 行 後 は次 第 に増 加 して い る。 特 に1989,1990年 は 経 済 引 き締 めが 実 施 され,企 業 の経 営 が一 般 に悪 化(利 潤 の大 幅減 少,赤 字 企 業 の 増 大 な ど)し て い たが,そ う した 中 で 上納 税 ・利 潤 の比 重 が増 大
した こ と は注 目 さ れ る。 次 に,留 保 利 潤 の比 重 は税 利 分 流 試 行 前 は次 第 に 増 加 して い たが,88年 以 降 は87年 水 準 に比 較 して基 本 的 に は減 少 して い る と いえ る。 税 利 分 流 を試 行 した三 年 間(88‑90年)の 留 保 利 潤 の 平 均 比 重 は40%で あ っ た(36)。ロ ー ン返 済 は試 行 後 は そ れ 以 前 と 比 較 して や や
増 大 傾 向 に あ る。
以 下,そ の他 の都 市 の試 行 企 業 の事 例 を み て お こ う。 表1cは 益 陽 市 の 25の 試 行 工 業 企 業 の,表1dは 南 陽 市 の46の 試 行 企 業 の利 潤 分 配 状 況 で あ る。
表1c.益 陽市の25試 行工業企業の分配比率(単 位:%) 上納税利潤 留保利潤 ロ ー ン返 済
1987
...
1989
22.9
}*24.2
32.2
*32 .6
44,9
*43 .2 (『税利 分 流 』183‑185頁 よ り作 成)
*付 きの数 字 は88年 と89年 の 平 均 値
表1d.南 陽市 の46試 行 企 業 の 分 配 状況(単 位:万 元)
1988年 1989年
実 現 利 潤 上納 税利潤 ロー ン返済 留 保 利 潤
3126100%
99431.8 117238.1 94030.1
3076100%
105234.2 117238.1 84727.7 (『税 利 分 流』160頁)
益 陽市 の場 合,25試 行 工 業 企 業 の1988‑89年 の平 均 実 現 利 潤 は5030万 元 で87年 よ り13.4%増 大 して い る。 この状 況 の も とで,表 の よ う に,利 潤 に 占 め る上 納 税 ・利 潤 の 比 重 は増 大 して い る。 この 点 は重 慶 市 の 事 例 と 同 様 で あ る。 ロ ー ン返 済 比 率 はわ ず か に減 少,留 保 利 潤 比 率 は ほ とん ど変 化 が な い。 全 体 的 に分 配 比 率 の変 化 は少 な く,安 定 的 で あ る。
次 に,南 陽 市 の 試 行 企 業 の場 合,税 利 分 流 を 始 め た1989年 は前 年 に比 べ て 利 潤 全 体 が1.6%減 少,留 保 利 潤 が9.9%減 少 して い る な か で,上 納
税 ・利 潤 は5.8%増 加 した。 そ の結 果,表 の よ う に上 納 税 ・利 潤 の 比 率 は 増 加 した の に対 して留 保 利 潤 の比 率 は 減少 して い る。
財 政 部 に よ れ ば,全 国 の八 っ の 試 行 都 市 に お け る試 行 工 業 企 業(数 は 不 明)の 利 潤 分 配 状 況 も同様 な動 きを 示 して い る(表1e)。 こ の場 合,
1989年 に は試 行 企 業 の 大 多数 が経 営 請 負 制 を 実 施 して お り,1990年 にな っ て税 利 分 流 を実 施 して い る。1990年 は折 りか らの 経 済 不 況 の 深 刻 化 で 上 記 の試 行 企 業 は課 税 利 潤 が前 年 よ り も48%減 少 した 。 こ の も と で 実 現 利 潤 に 占 め る上 納 税 ・利潤 の比 率 は か な り増 大 し,他 方 留 保 利 潤 比 率 はか な り減 少 して い る。 ロー ン返 済 の比 率 は 増 加 した が,前 二 者 ほ ど の変 化 は な いo
表1e.全 国8都 市 の試行工業 企業の分配 比率(単 位:%) 上納税利潤 留 保 利 潤 ロ ー ン返 済
1989年 29.3 47.6 23.1
1990 37.3 35.0 27.7
(「中 国企 業管 理 年鑑1991』307頁)
以 上 の 検 討 か ら,税 利 分 流 を実 施 した場 合,実 施 前 に比 べ て 利 潤 に 占め る上 納 税 ・利 潤 の比 率 は増 大 し,企 業 の 留 保 利 潤 比 率 は減 少 す るの が 一 般 的 で あ った とい え よ う。 経 営 請 負 制 の も とで 企 業 か らの財 政 収 入 の 相 対 的 減 少 に苦 慮 して い た財 政 部 当局 か らす れ ば,税 利 分 流 が もた ら した こ う し た利 潤 分 配 状 況 は 「合 理 的安 定 的 な もの 」 と して評 価 され た(37)。しか し, 試 行 企 業 か らす れ ば留 保 利 潤 比 率 を引 き下 げ る もの と して 多 くの 場 合 不 満 の対 象 とな った。
2)投 資 資 金 ロー ン返 済 の 動 向
納 税 前 利 潤 返 済 か ら納 税 後 利 潤 返 済 へ の移 行 は,当 面 に お い て は 前述 の よ うに 旧 ロ ー ンは納 税 前 利 潤 と納 税 後 利 潤 か ら一 定 比 率 で分 け て返 済,新
ロー ンは す べ て納 税後 利 潤 か ら返 済 す る と い う形 で な さ れ た。
ロー ン返 済 額 に お け る税 後 利 潤 返 済 と納 税 前 利 潤 返 済 の比 率 を み る と, 前 者 の比 率 が増 大 し,後 者 の比 率 が減 少 した の は明 らか で あ る。 重 慶 市 の 258の 試 行 企 業 にお け る投 資 資 金 ロ ー ン返 済 の 構 成 変 化 を み た の が,表2 で あ る。
表 の よ うに納 税 前 利 潤 か らの返 済 が ロー ン返 済 全 体 に 占 め る比 率 は税 利 分 流 後 はか な り減 少 した とい え るが,そ れで もそ の比 率 は6‑7割 の 高 さ で あ る。 旧 ロー ンの納 税 前 返 済 の比 率 は各 地 で さ ま ざ ま で あ るが,成 都 市 で32%,大 安 市 と南 陽 市 で50%,重 慶 市59%,益 陽 市60%,最 高 で90
%で あ っ た(鋤。 こ の よ う に 旧 ロ ー ンに つ い て は 依 然 と して 納 税 前 返 済
表2.重 慶 市258試 行 企 業 の投 資資 金 ロー ン返 済 の変 化(単 位:%)
1987
...1989
納 税 前 返 済
100 67.0 72.3
納 税 後 返 済
0 33.0 27.7
(『 税 利 分 流 』,352頁)
の比 率 が 高 い。 逆 に い え ば,旧 ロー ンの納 税 後 返 済 は まだ少 な い。 例 えば, 重 慶 市 で は旧 ロー ンの半 分 を規 定 通 りに納 税 後 利 潤 か ら返 済 した 企 業 は試 行 企 業 の20%以 下 に す ぎな い(1989年)。 そ れ で も旧 ロ ー ンを 納 税 後 利 潤 か ら返 済 した企 業 が重 慶 市 の試 行 企 業 に 占 め る割 合 は,1988年 の35%
か ら1989年 の49%へ と増 え て い る(39)。
投 資 資金 ロー ンの納 税 後 返 済 へ の転 換 措 置 は,第 一 に ロ ー ン返 済 へ の 圧 力 を増 し返 済 の加 速 化 を促 して い る。 納 税 後 利 潤 か らの返 済 に よ り返 済 責 任 が強 化 され た こ とが大 きな要 因 で あ ろ う。 重 慶 市 で は,試 行 工 業 企 業 の 利 潤 額 に 占め る ロー ン返 済 額 の比 率 は試 行 前 に比 べ 増 大 した(表1b)。
1988年 の 試 行 工 業 企 業 の 専 項 ロ ー ンの 対 前 年比 増 加 率 は66%で,実 現 利 潤 の 増 加 率58%,上 納 税 利 潤 の 増 加 率51%よ り も上 回 って い る㈹)。ま た 試 行 工 業 企 業 の ロ ー ン借 入 額 に 占 め る返 済 額 の 比 率 は1987年 で53%,
1988年61%,1989年63%と 年 々増 大 して い る(A1)。屓 門 市 で は,試 行 を 始 め た1988年,1989年 の対 前 年 比 の固 定 資産 ロー ン返 済 の 増 加 率 は そ れ ぞ れ22.5%,36.6%で あ り,そ れ は財 政 に 上 納 す る税 ・利 潤 の 増 加 率 (そ れ ぞ れ5.3%,マ イナ ス20.4%)を 大 幅 に上 回 った(42)。他 に,益 陽 市, 成 都 市 な ど か ら も同 様 の状 況 が 報 告 さ れ て い る㈹。
第 二 に,税 引 き後 返 済 の措 置 は新 た な投 資 資 金 ロ ー ンの 借 り入 れ を制 約 した。 こ の点 は税 利 分 流 政 策 のね らい通 りで あ る。 例 え ば,益 陽 市 の試 行 企 業 で は専 項 ロ ー ンの新 規 借 り入 れ は,1987年 に 比 べ て1988年 で33%
減 少,1989年 で70%減 少 した㈲。 重 慶 市 の試 行 工 業 企 業 の1985‑87年 の 新 規 ロー ンの平 均 増 加 率 は26.9%で あ った が,試 行 後 の ・::・1年 の 平 均 増 加 率 は17.8%と か な り減 少 した(45)。ま た 南 陽 市 の 試 行 企 業 で は専 項 ロ ー ンの借 り入 れ を 申請 す る企 業 は 「ほ とん ど な くな った」 と い う(46)。当 然 の結 果 と して,専 項 ロー ンの借 り入 れ 残 高 の伸 び率 は減 少 した。 重 慶 市 の市 属 企 業 で は,税 利 分 流 試 行 以 前 の数 年 間,専 項 ロ ー ンの借 り入 れ は毎 年30%以 上 の伸 び で あ った が,試 行 工 業 企 業 の1988年 末 の専 項 ロー ン残 高 の対 前 年 比 伸 び率 は21.6%,1989年 末 の対 前 年 比 の伸 び 率 は15.7%と 減 少 した。 税 利 分 流 を実 施 して い な い工 業 企 業 の1989年 の 対 前 年 伸 び 率 23.4%に 比 べ て少 な くな って い る(47)。成 都 市 の1989年 の 全 市 の 工 業 企 業 の 各 種 ロ ー ン残 高 は1987年 の2.2倍,年 平 均47%の 伸 び率 で あ っ た が, 試 行 企 業 の ロ ー ン残 高 は87年 の1.5倍 足 らず,年 平 均22%の 伸 び率 に す
ぎな か った(48)。
この よ うに 新 規 の 投 資 資 金 ロ ー ンの 借 り入 れ が 減 少 した た め,試 行 企 業 の 固定 資産 投 資 や技 術 改 造投 資 は抑 制 され,企 業 経 営 者 側 の投 資意 欲 も減 退 した とい う。 この 状 況 は各 試 行 都 市 の 財 政 当局 か らほ ぼ一 様 に指 摘 され て い る。 も と も と試 行 企 業 の な か に は利 潤 の 薄 い,設 備 が 老 朽 で 内部 蓄 積 の乏 しい 中小 企 業 が 多数 含 まれ て いた。 そ う した企 業 は所 得 税 納 付 後 の利 潤 が わず か で あ り,こ の わず か の利 潤 の な か か ら投 資 資 金 ロ ー ンを返 済 し
利 潤 上 納 請 負 を す る こ と は困 難 で あ り,条 件 の 乏 しい企 業 の投 資 行 動 が消 極 化 した の も当然 で あ った と いえ る。 企 業 の 内 部 蓄 積 が 乏 しい条 件 の もと で は,投 資 資 金 ロー ンの税 後 返 済 の 規範 化 は い きお い企 業 の拡 大 発 展 の要 請 と の あ い だ に矛 盾 を表 面 化 せ ざ るを得 な か った の で あ る。
こ う した事 態 に対 して,財 政 部 当局 は い くっ か の緩 和 措 置 を採 用 し,企 業 側 の負 担 の軽 減 を図 った。 す な わ ち,第 一 に試 行 企 業 の納 税 後 利 潤 か ら
の ロー ン返 済 分 に対 して エ ネル ギ ー交 通 建 設 基 金 と国家 予 算 調 節 基 金(両 者 を あ わ せ て 「両 項 基 金 」 とい う,徴 収 率 は計25%)を 課 す こ と を 取 り
や め た こ と。 第 二 に,1991年 か ら新 た に 生 産 に投 入 さ れ た 固 定 資 産 の 減 価 償 却 に は 「両 項 基 金 」 を免 除 した こ と。 第 三 に新 ロ ー ンの 元 金 はす べ て 企 業 の留 保 資 金 か ら返 済 す るが,そ の利 息 は返 済 期 限 内 で す で に工 事 が 完 成 し生 産 に入 った建 設 項 目で あ れ ば生 産 コ ス トに計 上 す る こ とを 認 め た こ と,な ど で あ る㈹。 ま た 旧 ロー ンを 税 後 利 潤 か ら返 済 す るの が困難 な場 合, 個 別 状 況 に応 じて(例 え ば,旧 ロ ー ン残 高 が 大 き く設備 が 古 く設 備 更 新 が 差 し迫 って必 要 な企 業)納 税 前 利 潤 か らの返 済 比 率 を 高 め る こ と も引 き続 き認 め られ た。 こ う して 当初 の 税後 利潤 返 済 の 規 定 は い っそ う軟 化 され る に至 った。
3)税 後 利 潤 上 納 請 負 の動 向
税 利 分 流 に お け る税 後 利 潤 請 負 の方 法 は各試 行 企 業 の 財 務 状 況 に応 じて い ろ い ろ な形 態 が と られ た点 で は経 営 請 負 制 と同 じで あ る。 以 下,い くっ か の試 行 都 市 の実 施 状 況 を み て み た い。
まず,重 慶 市 の試 行 企 業 に 関 して はい くつ か の調 査統 計 が 利 用 で き る。
そ れ らを整 理 す れ ば表3aの とお りで あ る。
A,Bは 異 な る時点 にお け る重 慶市 の 試 行 企 業 全 体 の状 況 を示 して い る。
Aは1988年,Bは1990年5月 の 時 点 の もの で あ る。Cは 試 行 工 業 企 業 の 状況 で1990年5月 時 点 の もの で あ る。 表 の財 政 か らの払 い戻 し(「 退 庫 」)
表3a.重 慶市の試行企業 の税後利潤請負状況
税後利潤請 負の状態
A630企 業 B687企 業 C127企 業
利潤 を上納 して いる企業47776% 45266% 7055
上納利潤 がゼ ロの企業7812%
19528% 2016%(返済 と留 保利潤 は可能)
財 政 か らの 払 い戻 し 7512% 406% 3729
(留保 利潤 は保 障不可能)(A『 税利 分流 』74頁,B同245頁,C『 経 済 管 理 』1990年10期,32頁)
とは企 業 が納 め た所 得 税 の一 部 を返 還 して 留 保 利 潤 の不 足 を補 う もの で あ る。Aで は利 潤 上 納 の請 負 が不 可 能 な 企業 が 全 体 の24%で あ っ た が,B で は34%に 増 加 して い る。Cで は45%の 企業 が 利 潤 上 納 を して い な い。
こ の理 由 は少 な い利 潤 か ら所 得 税 と税 前 ・税 後 の ロ ー ン返 済 額 を差 し引 く と,査 定 した留 保 利 潤 額 以 下 に な って しま うか らで あ る。 と く に1989年 か ら利 潤 額 が 大 幅 に減 少 した ため に,請 負 利 潤 を上 納 で きた企 業 は減 少 し て い る。
次 に,牡 丹 江 市 の45の 試 行 企 業(工 業20,商 業20ほ か)の 利 潤 請 負 状 況 は表3bの とお りで あ る。
こ れ は1989年 末 ま で の 状 況 表3b・ 牡丹江市試行企業 の利潤請負状況 を示 した もの で,実 に試 行 企 業
の53%が 利 潤 上 納 請 負 を 実 施 す る こ とが で き て い な い。 こ の なか で ゼ ロ請 負(上 納 利 潤 が ゼ
(『税利分流』147頁) ロ の請 負)や 財 政 の払 い戻 しを
受 けて い る企 業 は いず れ も利 益 の薄 い 中小 企 業 で あ り,所 得 税 納 付 後 の利 潤 は極 め て 低 い もの で あ っ た と い う㈹)。ま た,同 市 の68の 試 行 工 業 企 業 の統 計 に よれ ば,留 保 利 潤 不 足 で 財 政 の 払 い戻 しが 必 要 な 企 業 は23で, 34%を 占 め た。 い ず れ も利 潤 の少 な い中 小 企 業 で あ った とい う(51)。
利 潤請 負状況 企業数%
比 例 上 納1636
定 額 上 納511
ゼ ロ 請 負49
財 政 払 い戻 し2044
ま た成 都 市 の45試 行 企 業 の 利 潤 請 負 状 況 は,利 潤 定 額 逓 増 請 負 が29企 業,64%,利 潤 比 例 逓 増 請 負 が3企 業,7%,ゼ ロ請 負 が13企 業,29%
で あ った(52)。益 陽 市 の 試 行 企 業 で も利 潤 上 納 で きな い企 業 が60%に のぼ っ た と い う(53)。こ う して 税利 分 流 の試 行 企 業 の うち の か な りの 部 分(30%‑
70%)㈱ が 実 際 に は利 潤 上納 請 負制 を 実 施 で きず に お り,こ の 意 味 で 利 潤 請 負 制 は事 実 上,規 範 化 され ず に形 式 的 な もの に終 わ って い る。
こ う した状 況 はそ の 後 も大 き く変 化 して い な い よ う で あ る。1992年3 月 に開 か れ た全 国 第2回 税 利 分 流 試 点 分 析 会 議 で 報 告 され た と こ ろ に よ れ ば,全 国 の試 行 企 業 にお いて さ ま ざ ま な請 負 形 式 が 採 用 さ れ て い る が主 要 に は次 の3種 類 で あ っ た と い う。 す なわ ち,小 数 の大 企 業 は税 後 利 潤 の比 例 分 配 請 負 を,財 政 収 入 の主 柱 で あ る一 部 の大 中 型 企 業 は税 後 定 額 上 納 請 負 を,そ して多 数 の中 小 企 業 は税 後 ゼ ロ請 負 を そ れ ぞ れ実 施 した(55)。お そ ら く,こ れ以 外 に財 政 か らの払 い戻 し補 助 を受 け て い る企 業 も少 な くな い と推 測 され る。
4)・留 保 利 潤
試 行 企 業 の留 保 利潤 は前 述 の よ うに 一般 に 試 行 前 年 の 留 保 利 潤 実 績 を基 数 と して 査 定 し,原 則 と して 査定 され た 合 理 的 留 保 利 潤 額 を 保 障 す る こ と と され た。 確 か に1988年 は高 イ ン フ レの 影 響 もあ り,重 慶 市,屓 門 市, 益 陽 市 の 試 行 企 業 の 留 保 利 潤 はお お む ね 前 年 よ り増 大 した。 しか し,1989 年 にな る と経 済 不 況 の た め 多 くの 試 行 企 業 で は実 現 利 潤 額 が か な り減 少 し
た ため,留 保 利 潤 額 も減 少 した。 重 慶 市 の9258試 行 企 業 で9.8%,南 陽 市 の46試 行 企 業 で は9.9%(表1a,1dを 参 照),牡 丹 江 市 の 試 行 企 業 で17.2%そ れ ぞ れ減 少 して い る(対 前 年 比)。 しか も留 保 利 潤 比 率 も南 陽 市,牡 丹 江 市,大 安 市 な ど の試 行 企 業 で は低 下 した(ss)。従 って,そ う した 企 業 で は当初 査 定 した合 理 的留 保 利 潤 を保 障 す る こ とが で きな か っ たの で あ る。 利潤 請 負形 態 の と こ ろで 見 た よ う に,財 政 か ら所 得 税 の 払 い戻 しを
受 け る試 行 企 業 が 少 な くな か った が,そ う した 企 業 は査 定 した留 保 利 潤 を 保 障 で き なか った こ とを意 味 して い るの で あ る。
さ らに,上 記 の留 保 利 潤 に は エ ネ ル ギ ー 交通 建 設 基 金 と国 家 予 算 調 節 基 金(計25%)が 一 律 に徴 収 され,ま た 法 令 に 基 づ か な い 臨 時 の 割 当 て(517
な ど が課 さ れ た か ら,実 質 的 に 企 業 に 残 る留 保 利 潤 は さ らに少 な くな る。
試 行 企 業 全 体 の実 質 的 な 留 保 利 潤 比 率 の 水 準 に つ い て は 不 明 で あ る が, 牡 丹 江 市 の試 行 企 業 の場 合 は,「 企 業 の実 際 留 保 利 潤 は実 現 利 潤 の10%前 後 で あ り,さ らに多 くの 企業 で は10%の レベ ル よ り か な り低 い 」 状 態 で
あ った と い う(58)。1989年の全 国 の国 有 工 業 企 業 全 体 の 実 際 留 保 利 潤 比 率 が35.6%で あ るの で ㈱),牡 丹 江 市 の ケ ー ス はか な り低 い水 準 と い え よ う。
いず れ にせ よ,実 際 の留 保 利 潤 が減 少 す る条 件 の も とで は,留 保 利 潤 か ら 引 き出 され る生 産 発 展 基 金 も減 少 せ ざ る を え な か っ た。 重 慶 市 の55試 行 企 業 の統 計 に よれ ば,1989年 の生 産 発 展 基 金 が 前 年 よ り増 大 した の は わ ず か に4企 業 の み で,あ との51企 業 はす べ て 減 少 した と い う(6°)。生 産 発 展 基 金 の減 少 は企 業 の 拡 大 発 展 を 制 約 す る条 件 と な った こ とは い う まで も な い。
5)企 業 の経 済 効 果 の動 向
最 後 に,税 利 分 流 が企 業 の経 済 効 果 を い か に向上 させ たか につ い て み て お き た い。 利 用 で きる統 計 は限 られ て い るが,表4aは1988年 の 国 有 企 業 の 経 済 実 績 に基 づ き税 利 分 流 企 業 と経 営 請 負 制 企 業 を 比 較 した もの で あ る。
これ に よれ ば,実 現 利 潤 ・税 金[こ の場 合 は流 通 税]を 除 き,す べ て の 指 標 にお いて 税 利 分 流 試 行 企 業 は経 営 請 負 制 企 業 よ り下 回 って い る。516 の 国 有 企 業 の 成 績 に比 べ て も実 現 利 潤 ・税 金 を除 きす べ て の 点 で 劣 っ て い
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る。 しか も実 現 利 潤 ・税 金 が 税 利 分 流 企 業 で 比 較 的 多 か った の は主 要 に は 製 品 の 値 上 げ に よ る もの で,税 利 分 流 の 結 果 で あ るか ど うか は不 明 で あ る