卒業論文要旨
放線菌Streptomyces sp. 54-4 の赤色色素の抽出精製と抗がん作用 1150273 毛利光 Extraction, purification and anti-cancer effects of red pigments Mohri Hikaru from Streptomyces sp. 54-4
タイのマングローブ林で分離された放線菌 Streptomyces sp. 54-4 株は赤色色素を産生し、その粗 抽出物は抗腫瘍作用を示すことがわかっている。この抗腫瘍作用が色素の作用であるのかを確かめる ため、赤色色素を抽出精製し、抗腫瘍細胞作用を検証した。
赤色色素を得るための抽出方法を種々の有機溶媒を用いて検討した。10 日間培養した 54-4 株を遠心 分離により回収し、菌体に有機溶媒を加え、超音波処理で菌体を破壊しつつ菌体内にある色素を有機 溶媒に溶解させた。その結果、抽出溶媒としてエタノールがもっとも適当であることがわかった。溶 解した色素をエバポレーターで減圧乾固し、赤色色素と茶色のタール状物質を分別した。エタノール に再溶解した色素は 495nm に吸収極大をもつ特徴的なスペクトルを示した。ジメチルスルホキシドに 溶解した赤色色素をヒト白血病細胞 HL60、U937 に加え、24 時間後もしくは 48 時間後トリパンブルー 法で生存細胞を計数することにより細胞毒性評価を行った。24 時間後の HL60 及び U937 細胞の生存率 は、それぞれ約 20%、と約 70%であった。色素による処理時間を 48 時間まで延長すると HL60 細胞の 生存率は約 5%まで低下した。これらの結果から赤色色素が細胞毒性を示すことが明らかになった。