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異なる光条件下におけるナトリウムの西洋フダンソウに対する影響

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 7 日

異なる光条件下におけるナトリウムの西洋フダンソウに対する影響

共生基盤学専攻 生物共生科学講座 植物栄養生態学 合田 健登

1.はじめに

高濃度のナトリウム(Na)は多くの植物にとって水吸収阻害や酸化ストレスを与えるなど有害で ある。一方,Na により生育が促進される好塩性植物が存在し,これらの植物では Na によって逆に 酸化ストレスが軽減され,光合成能も向上する事例が報告されているが,生育促進の詳細な機構に ついては解明されていない。光は植物の光合成に必要なエネルギーである一方、強い光は酸化スト レスを誘導し,植物の生育は減少することが知られている。ここで,好塩性植物では Na が抗酸化 ストレス活性を強く誘導し,それが光など他の要因による酸化ストレスも軽減することで生育が改 善されるという仮説を立てた。本研究ではこの仮説の検証のため,異なる光強度条件下で好塩性植 物である西洋フダンソウを栽培し,生育,酸化ストレス,および光合成に及ぼす Na の影響につい て調べた。

2.実験方法

西洋フダンソウ(Beta vulgaris ssp. vulgaris convar. cicla)を供試植物とし,2018 年 7 月 より北大農学部網室において,50%遮光処理区と無遮光処理区を設定し,両処理区で Na 処理(0.5 mM/50 mM)を施した水耕栽培を 1 か月間行った。光合成機能を調べるため,処理開始後 15 日目の 葉におけるクロロフィル蛍光を Junior PAM を用いて測定した。処理開始後 1 か月目に,葉と葉柄 と根に分けて収穫し,各部位における植物が受けた酸化ストレスの指標としてマロンジアルデヒド

(MDA)濃度を測定した。各試料は凍結乾燥させた後,乾燥重の測定に用いた。また,収穫時の写 真を用いた画像解析(Image J)から最長根長を測定した。凍結乾燥試料を粉砕後,湿式分解し,

Na 濃度とカリウム(K)濃度を ICP-MS によって測定した。

3.結果と考察

地上部では Na による生育促進傾向はあるものの有意ではなく,異なる光強度下における Na の影 響の違いも無かった。一方,無遮光処理下での根の乾燥重は 50 mM Na 処理により有意に増加した。

酸化ストレスの指標である MDA 濃度は各部位において 0.5 mM Na 処理区で無遮光処理により増加し た。50 mM Na 処理区では,0.5 mM Na 処理区と比べて MDA 濃度が低下する傾向が認められ,とりわ け根では半減した。これらのことから,西洋フダンソウでは,光強度が強い条件で誘導された酸化 ストレスが Na により軽減され,特に軽減効果の大きい根で生育が大きく改善されたと考えられた。

また,クロロフィル蛍光により求めた各種光合成パラメータには光強度処理,Na 処理の影響は見ら れず,酸化ストレスや生育応答の変化への光合成の関与は認められなかった。以上より,Na 以外の 要因によって誘導される酸化ストレスが Na によって軽減され,生育が改善されるという仮説は、

西洋フダンソウでは根で支持された。

根における酸化ストレス発生要因は多数存在するが,光の届かない根において光強度変化によっ て発生した酸化ストレスは,培養液の水温上昇等に起因すると推察される。仮説のさらなる検証の ため,今後は温度を除いた酸化ストレスを発生しうるストレス環境下における Na の影響について,

根を中心にさらに検討する必要がある。

参照

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