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音楽科授業案

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音楽科授業案

著者 小林 真人

雑誌名 教育研究協議会要項 : 共に創りあげる授業 : 資質

・能力を育みながら,「教科ならではの文化」を味 わう子どもたち

巻 令和元年度

ページ 61‑76

発行年 2019‑10‑17

出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校

注記 題材名 : ガムランの鑑賞を起点とした創作 ーボウ ルで奏でるオリジナルガムランー

著者版フラグ publisher

URL http://hdl.handle.net/10297/00026830

(2)

音 楽 科 授 業 案

授業者 小 林 真 人

1 日 時 2 学 級

令和元年10月17日(木) 第2時 11 :

2 5

-12 : 15

3年A組 (音楽室・社会科教室)

3

題 材名 ガ ム ラ ンの鑑賞を起点、と した創作 ーボウルで奏でるオリジナルガムランー

4

題材の目標

音楽は背景となる文化や歴史などと関わり合う中で生み出され,育まれてきたと認識している子どもたちが. rガ ムランに登場する役割の異なる様々な音色Jr拍節周期やガムランならではの旋律などの様々な音型の多様な関わ り合いによる音の重なり方」やそれらの関連を知覚し, その働きが生み出す特質や雰囲気を感受しながら, ガムラ ンの鑑賞・を深めたり, ボウルでガムランのような音楽を創作したりすることを通して, ガムランならではの音楽表 現のよさや美しさを味わう。 また, 音楽の多様性や固有性の尊さに気づき, 音楽文化に対する価値観を広げる。

5 題 材観

(1 ) 音楽の多機性や固有性の尊さ

音楽は, 人類共通のものであり, あらゆる文化にお いて存在します。 また, 音楽が人々の暮らしゃ営みに 必要とされてきたことは,今も昔も変わりません。人々 によって生み出されてきた音楽は, 暮らしや営みに根 付いていく中で様々な発展を遂げ, 多様性と固有性に 富むものとなっていきました。

①音楽に宿る それぞれの土地の価値観や精神

人類が音楽(と呼ぶことができるようなもの)を奏 で始めるに至ったきっかけは, 無意識的・偶発的・遊 戯的であったと思われますが,音楽の起源については,

「言語起源説Jr労働起源説Jr模倣起源説Jr呪術起源説」

などがあります。 また, 音楽様式については, 抑揚を つけて言葉を唱えることから始まったとされる「言語 起源的な様式」と, 形にとらわれずにあふれ出る感情 を表出させることから始まったとされる「感情起源的 な様式」が最も原初的なものとして挙げられ, この二 つが混ざり合って「旋律起源的な様式」へと発展した と考察されています。 いずれにしても, 人々は文明が 興るはるか昔から音楽を奏でており, 目的をもって音 楽を奏でることを通して, 音楽を様々に発展させてい きました。

太古の音楽は, 生活の課題を解決するために考案さ れたと考えられます。 太古の人々にとっては, 猛獣や 害虫・天災などから身を守ることが毎日の生活の大き な課題であったことでしょう。 原初の錨と思われてい るものは, 何個も同時に打ち鳴らすことで猛獣を退散 させたと伝えられています。 このように, 生活の安全 を守ってくれる音楽は, 後に, 祈りや祝祭, あるいは 狩猟や儀式などに用途を代え, 様々に発展していきま

した。

しかし, 地域や社会によって, 人々を取り巻く境遇 は異なります。 そのため, 各地域の環境や気候, 生活 様式, 信仰などと結びつくことを通して, 音楽はそれ ぞれの土地の価値観や精神を宿らせながら, 世界各地 で独自の発展を遂げ,伝承されていきました。 そして,

現代まで受け継 がれてきている それらの音楽の 多くは「民族音 楽」と呼ばれる ようになりまし fこ。

②固有の特徴から 価値観や精神を感 じ取る

「民族音楽Jとは英語の “ethnic music" の訳語で,

民族(共通の言語・文化を持つ人の集団)が固有に伝 承してきた音楽のことを指します。これを踏まえると,

日本の伝統芸能である歌舞伎の長唄も, イタリア発祥 のオペラも. r民族音楽」と呼ぶことができるはずで す。 ただし, 現在でも西洋クラシック音楽に対して,

ヨーロッパでも田舎の音楽や非ヨーロッパ地域の音楽 に対する適切な言葉がないため「民族音楽」と呼んで 1(1 ,...-一『いるのであり, その裏に

は, 西洋クラシック音楽 が「民族音楽Jよりも優 れているという偏見も存 在しているのでしょう。

しかし, そのような偏 見を取り除き, それぞれ

の音楽と向き合ってみる

句Eムハb

(3)

と, 新たな気づきや感動を得ることができます。「民 族音楽」の中には, もちろん西洋クラシック音楽と音 楽の特徴に共通性が見られるものもありますし, 西洋 クラシック音楽ではあまり価値があるとされてこな かった音楽の特徴に価値を見いだしてきたものも存在 します。 また, そういった音楽の特徴の共通性や相違 性は, I民族音楽」とくくられているもの同士でも見 られます。

音楽の特徴の追いは, 地域によって異なる環境や気 候, 生活様式, 信仰などに起因します。 そのため, そ れぞれの音楽だからこその特徴を固有の価値あるもの として受け止めてL、く嬰勢は, 音楽に宿る価値観や精 神と音楽の特徴の結びつきを実感したり, 世界に数多 く存在する音楽の多様性や固有性に尊さを見いだした りすることにつながるでしょう。

(2) ガ ム ラ ンって, そもそも何?

本題材で扱うガムランも, 一般的に「民族音楽」と 呼ばれている音楽のうちの一つに当たります。 ガムラ ンとは, 単体の楽器ではなく, インドネシアとその周 辺を中心に発展した, 伝統的な打楽器合奏音楽のこと

ど ら けんぽん

で町す。 ゴングなどの銅螺類や背銅琴などの鍵板楽器類 による旋律打楽器の大合奏で, 東南アジアの器楽合奏 の中で:lfX:も大がかりなもので‘す。 なお, ガムランとい う言葉は,カウイ語(古代ジャワ語)のガムル(握る,

たた叩くなどの意)から来ています。

①ガム ラ ンのルーツ インドネシアの芸術 は, ドンソン文化(紀 元前4世紀ごろベトナ

ム北部に発生した背銅 器文化)によって紀元 前後までにもたらされ た稲作良耕文化に基づ

いています。 そして, 組先崇拝や精神信仰といった慣 習の伝統を保ちながら, インドやイスラムといった外

来文化の受け入れを通じて展開されてきました。

ガムランは, 中部ジャワ, 西部ジャワ, パリをはじ め, 村々の小規模なものまで, 地域によって様々な特 色が見られます。「上演芸能」の一端として, I王宮の 儀式」を担う要素のーっとして,あるいは「一般の人々 の日常生活」や「宗教儀礼」とのかかわりの中で, ガ ムランはそれぞれの地域ごとに発達してきました。 し かし, 使用される楽器や音楽構造については, いずれ の様式においても共通している部分を多く見ることが

公開

.

できます。

②ガム ラ ンで奏で ら れ る 楽器

ガムランには, 主に青銅製打楽器が用いられます。

そして, ガムランに用いられる旋律打楽器の発音部分 (叩L、て音を出すときに振動する部分)の素材のほと んどは, インドネシアの人々の暮らしと密接に結びつ いた素材である背銅か竹でできています。

青銅は, 段耕儀礼にかかわる「法器J, つまり宗教 上の道具として用いられてきました。 そのため, ガム ランの楽器はそれ自体が神聖なものであると考えられ ています。

竹は, インドネシアでは家の建築材料や日用品の素 材としてもきわめて一般的なもので・す。 一般の人でも 手軽に加工できるため, 庶民的でプライベートな素材

であると言えます。

青銅製打 楽 器 は, 楽器の形や音 楽の中での役割lの 区別によって, 次 の表のように分か れます。 また, 青 銅製打 楽 器 の他 に, 太鼓も重要な 役 割 を担っ て お り,シンパルや笛,

胡弓も合奏の編成 に組 み入れられま す。

ゴンアグン

I Iτ万L

類器

】 類 楽

器鑓板

楽 銅

鍵打製アイ銅fi--膏 属

属 属 ル 属 グ ン デ ン ン ナ ン

ゴ ボ グ サ

マJ,4・3f,4・ fJEt-E屯Et

ア 銅鍵類

鋼鑓類の楽器は,ゴング属とボナン属に分かれます。

どちらも表面にコプのある銅舗ですが, 曲を演奏する ときの役割の違いで区別されます。

(4)

(7) ゴ ン グ属

ゴング属の楽器は, ガムランで特に重要視されてい る楽器で, ガムランの音楽をガムランたらしめている 重要な要素である拍節周期(後述) を示すために, 一 定間隔で鳴らされる銅緩類です。

ゴング属で最も重要な楽器が巨大なゴング(ジャワ ではゴンアグンと呼ばれる)で, 霊的に強い力をもっ 楽器として畏れられています。巨大な銅蝉が悼に吊る

ほんしaう

されたもので,日本の党鐙にも似た深い響きがします。

ゴンアグンは曲の最初と最後, そして重要な節目とな る拍で打たれます。

ゴンアグンの拍と拍の間で定期的に叩かれるのが,

小型のゴング属です。 クンプルやクモン(クノンと発 音されることもある) といった柿に吊るされたものと,

クトッやカジャーjレなどといっ た木の箱に張ったヒモの上に鍋 型の銅鐸が載せてある平置きの ものがあります。なお,カジャー ルについてはt 'l;�に拍を刻み,

一定のビートをキープする役目 を果たします。

(イ) ボナ ン 属

ゴング・チャイムとも呼ばれるボナン凶は, 複数の ゴングを一定の音階に調律して, セットで用いられま す。 ゴング属よりもやや小型の銅蝉が12- 14個一組 で音階順に木枠に並べて平置きされており, 基本旋律 に装飾を加えて旋律を演奏したり, リズム的なアクセ ントを受け持ったりします。 また, 前奏を担当するこ とも多いです。

ボナン属の楽器 は, 奏者によって 2本の細長いパチ を持って打奏され ますが, 代表的な ものにレヨンがあ

ります。 レ ヨンは4人の奏者が息を合わせて演奏し,

コブを叩いたり, 軽く押さえて響きを止めたりしなが ら, コテカン(後述) によって華やかに旋律を飾った り, 数個を同時に鳴らして和音を奏したりします。

イ 鍵板楽器類

銭II板楽器類は, 基本旋律を奏でたり, ボナン属と同 様に基本旋律に装飾lîを加えて旋律を演奏したりしま す。 鍵板楽器類は, グンデル属とサロン属に分けられ ます。

(7)グンデル属

グンデル属は, 鋭!板を ひもで吊って木枠の上に 固定し, 各鍵板の真下に 竹筒を並べて共鳴筒にし た柿造の楽器で, ヴィプ ラフォンの先祖と言える でしょう。 グンデル属の

楽23には, 10の鍵板と2オクターヴの音域をもつも のや, 5つの鍵板と1オクターヴの音域をもつものな どがあります。 ウガル, ガンサ・ プマデ, ガンサ・カ ンテイランなどは前者に, ジュプラグ, ジェゴガンな どは後者に該当します。

(イ)サ ロ ン 属

サロン属とは, 鍵仮をひもで吊らずにじかに木枠の 上にi泣いたものをいいます。13銅の鍵板が空洞のある 木の台の上に並べられ, 本鎚や水牛の角によるパチで 叩きます。 金属的な力強い響きがするので, 鉾町iや影

』←ー

・絵芝居ワヤンの伴奏

音楽では効果的に使 われます。

ウ 太鼓

ガムランでは, クンダンと呼ばれる水牛の皮による 二面の締太鼓も用いられます。 ゴングと同じく, 楽器 の背から楽器名が生まれたと言われていますが, 大小 様々なサイズがあり, 1111の形式や演奏形態の迫いに よって使い分けます。 奏法の追いで曲の梢造を示した り, 指揮者のように速度や

強弱, アンセル(後述) な どの合図を送ったりする役 割を果たし, 装飾も加えま

す。

エ そ の他

ガムランでは, 他 にも多様な楽器が使われます。 小 型のシンパルで-あるチェン・チェンは, リズムを刻み,

務やかさやアクセントを演出します。 他 に, 骨絡旋律 (後述) に装飾を加えていく竹笛スリンや胡弓ルパブ

が登場することもあります。

nAV ρ0

(5)

③ガム ラ ンの音楽構造

ガ ム ラ ン で は, 背銅製打楽器の分類から も わか る よ う に, 使用 さ れ る 楽器 そ れ ぞれに音楽構造上の役割分 担があ り ま す。 楽器の役割分担は, ガ ム ラ ン の音楽構 造の特徴そ の も の を反映 し て い る の です。

ア 拍節周期

ガ ム ラ ン音楽は拍の流れを伴う 音楽ですが, 一定の 拍数を一周期(4の倍数, 最低8拍, 最長 2 5 6拍) と し て , そ の 中 を細かいリズムで区切 り , それが繰 り 返 さ れて い ま す。 これを拍節周期 と 呼 び, ガム ラ ン に お いて最 も重要な要素 と な り ま す。 拍子の よ う な 役割 も 担い, そ れぞ れに異な っ た一定間隔で奏でられ る ゴ ン グ属に よ っ て生み出 さ れ ま す。

拍節周期の区切 り に当 た る 一周期の最後の拍で鳴ら さ れ る の が, 最 も大 き な ゴ ング(ジャワ ではゴ ンアグ ン, パ リ で はゴ ング ・ ワ ド ン ) です。 ゴ ンアグ ン から 次のゴ ンアグ ン ま で の 拍 の間隔はゴ ン ガ ン と 呼 ばれ,

拍節周 期 に は, 1 ゴ ン ガ ン の 拍数や区切 り 方に よ っ て,

複数の種類があ り ま す。 例 え ば, ジャワ の ガム ラ ン で 最 も よ く 用いられ る も の の一つで 1 6拍 周 期 に な っ て い る ラ ンチャ ラ ン 形式は, 次の よ う なリズム構造 と な っ て い ま す。

a) 16拍自にゴンアグンが鳴らされる

b)

4, 8, 12, 16拍目にクノンが鳴らされる

c)

6拍, 10拍, 14拍目にクンプルが鳴らされる d)奇数拍でクトッが鳴らされる

Lancaran Colotomv

15 16

T

4

⑤白吻Ag吋

P

Kcmpur 囚Kcno勾

T

Kctuk

ランチャラン形式を 円で表した図

円で表 し た 図からは, 1 ゴ ン ガ ン ご と に, 最後の拍 で そ れ ま で の動 き が終着点に達す る かの よ う にゴ ン ア グ ン が鳴ら さ れ る も の の, そこで逮 し た終着点は た だ ちに ま た そこを起点 と す る 次の新たなゴ ン ガ ン の 出 発 点 と な る こ と が, 見て取れ ま す。 循環す る 形式原理に 基づ く 拍節周期を伴 う ガ ム ラ ン の 演奏では, 終局に 向 かつて直進的に進行す る 西洋ク ラ シック音楽の時間の 観念 と は異な り , いつ終わ る と も なく繰 り 返 さ れ る ゴ ン ガ ン に よ っ て, 無限を暗示す る l時間の観念を表 し て い る と言え ま す。

な お , 拍節周期は, 低 く 長い 余韻 の あ る ゴ ング属の 楽器で構成 さ れ る ため, ド ロ ー ン(通奏持続音 ・ 持続 低音)の効果を生み ま す。 そ し て, ゴ ング属に よ る ド ロ ー ン の効果は繰 り 返 さ れ る ゴ ンガ ン に よ っ て持続さ せられ る た め, ガム ラ ン は そ の音楽自体に霊力 を 宿 し 続け ま す。

ま た, ガ ム ラ ンでは, 一周期の最後の拍で鳴ら さ れ る ゴ ンアグ ン が強拍に当た り ま す。 そ の た め, 4の倍 数の拍が特に強調 し て 感じられ る 拍 と な り , 逆 に奇数 拍 は弱拍に当た る 拍 と な る と い っ た具合 に, 後 ろ の 拍 が重 く な る 拍の 流れ と な っ て い ま す。

イ ガム ラ ンに用い ら れ る 音階

打楽器に旋律的能力を も たせて行わ れ る ガ ム ラ ン に は, 二種類の音階(ス レ ン ドロ音階 ・ ぺ ロ ッ 音階 ) が あ り ま す。 し か し , そ れらは西洋の音楽 に お け る 長音 階や短音階 と は全 く 異な り ま す。 慣れな い う ちは音律 が 「ずれて」 い る よ う に聞こえ ま すが, そ れ は西洋の 音楽で用い る 全音や半音 と は異な る 音程が使わ れて い

る からです。

1レン�Q膏1: .由自由自由一 .

ペロッ竃備 さ . . .

.

草津の量百陪

;

f

V i ァ, ν V

な お, これらの音階は西洋音楽の よ う な規格化 さ れ た も の で は な く, 同 じ名前の音階で あ っ て も , そ れ ぞ れ の ガ ム ラ ン のセ ッ トに よ っ て個 々 の音高や音程関係 は異な っ て い ま す。

ウ 基本旋律と基本旋律を装飾する旋律

ガム ラ ン の旋律を担当す る 楽器類には, 主に基本旋 律を演奏す る 楽 器 と , 基本旋律の隙聞を埋め る よ う に 様 々 な かたちで装飾す る 楽器 が あ り ま す。 基本旋律は 4拍単位で, ウ ガルの よ う な, グ ン デル属の 中 で も , 音域は低 く , 音色は柔らか く て,余韻の長い楽器 に よ っ て奏でられ る た め, 基本旋律は大編成 の 中 で も 隅 々 ま で よ く響 き 渡 り ま す。 一方, 基本旋律を装飾 し た旋律 を演奏す る の は , ボナ ン属や高音域のサロ ン属な どで,

細か いリズムに分割 し て 変奏 し た り , 基本旋律の骨格 の音のみ(骨格旋律) を 演奏 し た り し ま す。 な お, 基 本旋律は伸び縮みす る 拍 を 伴 う こ と があ り , 例 え ば,

次の表で記 さ れて い る よ う に, r 2 3 2 1 J と い う 4

拍の基本旋律(A ) が あ る と し た ら(ガム ラ ン の音は

数字で記 さ れ る ), この基本旋律 は 曲 が進 む と , 8拍

か け て 演奏 さ れ た り (B), 16拍 か け て 演奏 さ れ た り

(C) し ま す。

(6)

④パ リ 島で奏で ら れ る ガム ラ ン

本題材では, 中部ジャ ワ 様式 ・ 西部ジャワ様式 ・ パ リ様式の大 き く 三つに分け る こ と の で き る ガムラ ン の 中から, パリの も の を 中心に鑑賞を 深 め て い き ま す。

ア パ リ 島における芸能

パ リ 島で は, パ リ =ヒ ン ド ゥ(イ ン ド 伝来 の ヒ ン ドゥ教 と地元のアニ ミ ズムが合体 ・ 混交 し た 独 自 のヒ ン ドゥ教)が各種儀礼 の 中 で そ れぞれ に対応す る 芸能 を発達 さ せて き ま し た 。 そ れらは, 上演す る こ と 自 体 が既に儀式であ る と さ れ る き わ め て儀礼性の高い も の から, 儀礼に参加す る 信徒の娯楽 と し て 供 さ れ る 芸能 ま で, 様 々 な レ ベルの も の が存在 し ま す。 な お, パ リ

=ヒ ン ド ゥの根源的な考え方には, 次の よ う な も のが あ り ま す。

人聞は, 糾I 々 や精霊に よ っ て, 自 然 の恵みや平和 な暮ら し を与えられて い る 。 だから, 我 々 人間 も , そ の与えられた も の を, 供物 と し て 神 々 や精霊へ奉 納す る の だ。

パ リ の ガ ム ラ ン は, 芸能 も 供物 と 閉じで あ る と さ れ る 中で発展 し て き ま し た。 そ の た め, ガムラ ン の楽器 に糾1や魂が宿る と 信じられて い る パリでは, 新 し い楽 器 の セ ッ トが で き 上が る と 僧侶を招き, 1""新 し い楽器 の セ ッ ト に 魂 が 入 り , よ い音響が 奏 で ら れ る よ う に ..・」 と 入魂式が行われ ま す。 ま た, ガム ラ ン の 音楽

'1い付ん

の特徴から も , 敬度な る 精神の充実 さ を感じ取 る こ と が で き ま す。

イ 音楽の特徴やそこに宿る パ リ の価値観や精神 (7)オ ンパク

パリの ガム ラ ン で は, 同ーの鍵板楽J器類を二つずつ,

常に一対に し て 用 い ま すが, 一方は高めに, 一方は低 め に調律 し て, 昔日を わずか にずら し て あ り ま す。 そ の た め, 閉じ音日を同時に鳴ら し た と き に, 強力な う な り が生 ま れ ま す。 こ の音の波は オ ン パ ク と呼ばれま すが, オ ン パ ク を生み出す特殊な翻律の仕方はバ リ 独 特の も ので, 注 目 に値 し ま す。 な お, オ ンパ ク に宿る 価値観や精神 について,民族音楽学者の岡崎淑子氏は,

次の よ う に 考察 し て い ま す。

パリで は, なぜこの よ う な音轡が好 ま れ る の だ ろ う か。 パリ人は諸事象を二元的に捉え, 二極間の対 比 の 聞 に 生じ る 波長こそ, 調和 と 共存の源であ る と 考え る 。 し か も パ リ の ガムラ ンや踊 り は本来神々 へ の奉納芸能で あ り , 人間界 と 霊界 と い う 二つの世界 の 交感の場な の で あ る 。 そ れ は オ ン パ ク が作 り だす た だならぬ空間 に お い て可能 と な る の だ ろ う 。 ガム ラ ン に オ ンパ ク が な け れば も の た り な い ど こ ろ か,

意味をな さ な い と 考えられて い る の は そ の た め で は な い か。 (1999)

(イ) コテ カ ン

パ リ の ガムラ ン で は, コテカ ン と 呼 ば れ る 「番いリ ズム」の奏法が用いられ ま す。 こ れ は, あ る フ レ ーズ を一人で演奏せず, 二人で分担 し て かみ合わせて演奏 す る , 1""入れ子J に な っ た一対の音型です。

コテカ ン は, 装飾 さ れた旋律の リ ズムが細か く な っ た り , 曲の 速度が速 く な っ て き た り す る と , ガ ンサや レ ヨ ン に よ っ て奏 さ れ ま す。 ガムラ ン の旋律的な要素 を 担 う 楽器は, 右手でパチを持っ て鍵板を叩 く の と 同 時に, 左手で そ の 前 に 叩 い た鍵板の斡き を止 め な がら 演奏す る のですが, そ う い っ た奏法が一人では物理的 に非常に難 し く な る からです。 な お , コテカ ン を来譜 に起こす と 次の よ う に な り ま す。

リズムが う ま く 合わ さ る と辿続す る 音の動き と し て 聴こえて く る この独特の炎法 に は, オ ンパ ク を生み出 す制事Itから も う かが え る こ元的な世界観(天 と 地, 浄 と 不浄, 普宣言 と 悪誌な ど)や, 対立す る こ者がfilì�、合 う と い う 共存概念が潜在 し て い ま す。

(ウ) アンセル

拍卸j周期 に見られ る よ う に, 一定のパター ン を何度 も 反復す る の が, ガ ム ラ ン音楽な どイ ン ド ネ シア の 様 々 な伝統音楽に共通す る特徴です。 し か し, 背型を 反復す る 中で, 速度や強弱の変化をつけた り , 次の部 分に進ん だ り し て い き ま す。 ア ンセルと は, 反復さ れ て い る 音型を変形( プ レー ク ) す る こ と で, 切 り 替わ り の場面で用いられ ま す。 な お, ア ンセルの例を栄譜 lこ起こす と, 次 の よ う に な り ま す。

Jhl�n � , 1M., n � ,1bJ_'fll'f , } j j

r

'1U7己il'7U7山I '7U7己il " rr'"

(工)ワド ン と ラ ナ ン

パ リ の ガムラ ン で は, ゴ ン グや ク ン ダ ン を 2 台一組 で用い, 一方をワ ド ン(母), も う 一方を ラ ナ ン(父)

と 呼 び ま す。 ワ ド ン と ラ ナ ン で は 音 の 高 さ が異な り , ワ ド ン の方が低 く , ラ ナ ン の 方が高 く な っ て い ま す。

ま た, ゴ ング に つ い て は , ゴ ング ・ ワ ド ン は拍節周期 の区切 り の 拍 に , ゴ ング ・ ラ ナ ン は拍節周期のち ょ う

ど中間の拍に奏でられ る , ク ン ダ ン につ い て は , ワ ド ン の隙聞を ラ ナ ン が埋め る よ う に奏でられ る , と い っ た具合に, ワ ド ン と ラ ナ ン は番 い リ ズム と な っ て お り , こ こ に も 前述のパリの二元的な世界観や共存概念 が宿 っ て い ま す。

phu ρ0

(7)

ウ パリ様式の ガ ム ラ ンの演奏形態と 楽器編成

楽器編成 の種類 も 多く, 約30 種類の も の 演奏形態 が存在する と いわれているガム ラ ン ですが, そ の 中 で も, パ リ の ガ ム ラ ン の代表的な 楽器編成 に ガ ム ラ ン ・ ゴ ン グ ・ クピヤールがあ り ま す。 これは, 演奏形態と し て は現在パリμで最 も一般的な も の で, どこの村に 行って も 大抵このセ ッ トが使わ れ て い ま す。 な お,1ク ビヤール」 と は「稲妻」 と か「閃光」 と いった意味で,

ぜんζう

大音響の ダイナミックな 演奏 ス タイルからこの名前が つ い た と さ れ ま す。

ガ ム ラ ン ・ ゴ ング ・ クビヤールの楽器編成 と 楽器の 配置図例は次の 通 り です。( 一部の楽器は省略)

No, 楽器名称 種類 台数 鍵板数 信考

ウガル グンデル1 (2) 10 1自仰の唱古UL\

2 ガンサ・ブマデ グンデル 4 10 3 ガンザ・カンテイラン グンデル 4 10

4 ブーヤチヤ グンデル 2 7 世われないこtも多L\

5 ジュプラグ グンデル 2 5 6 ジェゴガン グンデル 2 5

7 レヨン ボナン 1 12(援護数) 聖書1:4人

8 ゴング・ワドン ゴンゲ 1 事者11うナンをまE 9 ゴング・ラナン ゴング 1 聖書11ワドンをまE

10 クンブル ゴング 1 鮪11HJt詰

11 クモン ゴング 1 聖書It?ンブルをまE

12 ブンデ ゴング 1

13 カジャール ゴング 1 14 クンダン・ワドン 太tt 15 クンダン・フナン 太妓 16 チェン・チエン シンバル

ガムラン ・ ゴング・クピヤールの配置図例(・は奏者)

- 三 . 泊目

-

・ _

'--J

昨 ・ 骨己 V' 9 - _ 乞三 サf z

. I�日t

><

も ど も

. 仁己仁己

. '. ・ l I

I I |巨コ仁司 仁王コ仁王コ @)I I 亡己亡工コ

柑図. 己主.コ 己主.コ

正厨

こちらの配置図例を見る と , ずら り と並んで いるグ ン デル属に目がい き ま す。 し か し, ま るで西洋ク ラ シッ ク音楽の オーケ スト ラ の よ う に, 指摘i者の よ う な 役割 を担 う ク ン ダ ン が最前列に構え, そ れに続い て旋律を 担 う グ ン デル属が並び, 最後列に は拍節周期を生み出 すゴング属が, わ き に はボナ ン属の レ ヨ ン や シ ン パル のチェ ン ・ チェ ン と いった装飾を加える楽絡が配置さ れ て いる と い う 見方 も で き ま す。 こ う いった楽器編成 の面から も , ガ ム ラ ン の音楽構造の充実 さ が伺え ま す。

(3)

ガムランの鑑賞を深めていくこと

パリの ガ ム ラ ン を 初 め て聴いた人は, どの よ う な感 想を も つで しょ う か。 痛快な響き のする数 々 の白銅製 打楽器が止むこ と な く 鳴ら さ れ て いるこ と で生 み 出 さ れて いる迫力に, 圧倒 さ れる人 も いるで しょ う 。繰 り 返さ れる閉じ よ う なリズムパター ン や, 細 や か な 動 き の装飾から, 愉快 な気分 に な る人 も いるで しょ う 。 西 洋の音階に含ま れる音程で は と らえるこ と の で き な い 旋律に, 新鮮 さ を覚える人 も いるで し ょ う 。 中 に は,

ガム ラ ン に魅力を感じるこ と がで き ず, そ の 演奏を秩 序のな い も の だ と 捉えて, わ けが わ からな い と 感じた り , に ぎや かで騒が し い だ け だ と 感じた り する人 も い るか も し れ ま せん。

そ の よ う な 感受は, ガ ム ラ ン な らではの音楽 の 特徴 に よ る も の です。 パリの ガ ム ラ ン の音の重な り の 中 に は, 痛快で乾い た轡き の音色 と は対照的な, 不気味に た たずむ深い響 き の音色が絶えず潜んで い ま す。 ま た,

細かなリズム の旋律だけ では な く , ゆった り と し たリ ズムの旋律 も あ り ま す。

不気味 に た たずむ深い轡 き の音色や, ゆった り と し たリズ ム の旋律は, 初 め て聴いた段階では知党しづら い よ う に 思い ま す。 し か し, 実 は そ れらがガム ラ ン の 音楽に箆力 を 宿 し 続 け る重要な要素 と な って い ま す。

ま た, 楽器の重な り の薄い静寂の場面から, 急に数多 く の楽器が重な り 合って に ぎ わ う 場面に変化すること も あ り ま す。 ここでは, 心を静めて神々 や精霊への 感 謝や敬意を表現する し ぐ さ から, 激 しく舞い町lること

で ト ラ ン ス状態に入 り , 狂 う ほどに神々 や柑露への洛 納に没頭するモー ド に 炎入するこ と が表現 さ れ て いる の か も し れ ま せん。

初めて聴いた時に は気づくこ と の な かった音楽的な 要紫を知覚 し た り , さ ら り と 聴 き 流 し て い た音楽的な 要素に, そ の音楽の本質に迫る よ う な価値を見 い だ し た り する と , 知的好奇心や音楽 に対する感性が呼び起 こ さ れ, 心からの感動を伴わせな がら音楽表現を 味 わって い く こ と がで き ま す。 ま た, 音楽表現に宿る価 値観や精神に 迫るこ と で, ガ ム ラ ン の鑑賞・を 深 め て い

く こ と も で き ま す。

(8)

(4) ボウルでガム ラ ン の よ う な音楽を つ く ること

本題材では, ガム ラ ンの鑑賞を, そ の音楽の特徴を 手がか り に, 音楽の創作へ と 発展 さ せま す。 そ の際 に は, 既存の楽器 は用いず, ステン レ ス製のキッチンボ ウルを楽器 に見立て る こ と と し ま す。

既存の楽器では な く , ボ ウ ルを用いて創作す る こ と の よ さ と し て , 次のこ と が挙げられ ま す。

. rガムラ ン に 登場す る 役割の 異 な る 様 々 な 音色」

「拍節周期やガム ラ ンな ら で は の旋律な ど の 様 々 な音型の多様な 関 わ り 合 い よ る 音の重な り 方」を ふ ま え た創作活動ができ る

・ 奏法が定ま っ て い な い ため, 音色の種類について 幅広 く 試行錯誤す る こ と がで き る

・ 西洋の音楽 に お け る音階 に と らわれずに, 音|瞥を 独 自 につ く る こ と が で き る

・生活 に な じ みの あ る , 身 の ま わ り の素材が発生 さ せ る 音から音楽を生み出す体験が で き る

- 自 分(たち)な り に生み出 し た音色に, 自分(た ち ) な り の価値づ け を す る こ と が で き る

ステン レ ス製のキ ッ チン ボ ウ ルーっ と っ て も, 様 々 な 1\自ら し方があ り ま す。 叩 く も の や叩 く 場所, 置 く 場 所, 持ち方が変わ る だ けで音色は変わ り ま す。 ガムラ ンの背銅製打楽器ほ どの強力な う な り を生み出す も の は な か な か見つからな いで し ょ う 。 し か し , そ れ で も 子 ど も たちは音の持続が長い も の や短い も の, 轡 き の 澄んだ も の や鈍い も の な ど と いった音色の追いを見つ け, 見つ けた音色にガムラ ンの音楽の特徴 を踏 ま え て 音楽的な価値づ け を し て い く で し ょ う 。 ま た, ボ ウ ル の個体に よ っ て 奏 で る こ と の で き る 音の 高 さ が異な る た め, 複数の ボ ウ ルを集めれば音階をっ く り 出すこと

も可能です。

も ち ろ ん, ボ ウ ルで音楽を奏で る こ と に は限界があ る た め , ガム ラ ンを そっ く り そ の ま ま :再現す る こ と は 不可能で し ょ う 。 し か し, ガム ラ ンを鑑賞す る こ と だ け に と ど ま らず, 実際に ボ ウ ルでガム ラ ンの よ う な音 楽をつ く り あげて い く からこそ 得 る こ と の で き る気づ き や. 1朱わ う こ と の で き る よ さ や美 し さ があ る はず で す 。

例 え ば. r ボ ウ ルで奏で る こ と の で き る 音色J す な わち「生活になじみの あ る , 身 の ま わ り の素材が発生 さ せ る 音色」に魅力を感じ, 試行錯誤 し な がら音楽を 生み出 し て い く こ と を通 し て, 音楽の起源 と 発展の追 体験を す る こ と がで き ま す。 そ れ は, 楽 器 と l呼ぶこ と の で き る よ う な も の でな く と も「音楽の素材 と し て の 音」を奏 で る こ と がで き る こ と に 気 づ き , そ の背に価 値を見いだ し て い く こ と で, 新 た な楽器や音楽が生み 出 さ れて い く と いった よ う な気づ き につな が る で し ょ っ。

ま た, ガムラ ンに登場す る よ う な 「 自分(たち)な り の音色」を探し, そこで生み出さ れ た音色に 「 自 分

( た ち ) な り の 価f直付 け 」 を し た り . rガム ラ ンならでは の音の霊 な り 方」を 自分たちの 演奏で生み出 し た り す る こ と を通 し て, ガム ラ ンに 宿 る 価値観や精 神 と 音楽表現の関 わ り

について理解を深めて い く こ と で し ょ う 。

さ ら に , 指揮者 も い な い, 楽譜 も な いガムラ ンだか らこそ, 互いの奏で る 音色が生み出す音の重な り に耳 を 澄 ま せ, 呼吸を合わせて演奏 し て い く こ と がで き , そこで生 ま れ る 音を媒体 と し たコミュニケーションか ら, 言葉を介す る 以上の一体感さ え も 味わ っ て い く か

もしれ ま せん。

(5) 本題材で味わ う 音楽科な ら で はの文化

本題材 に お い て 子 ど も たちに 味わって ほ し い音楽科 な ら で は の文化を.

rガムラ ンに宿るイン ドネシアの 人々の 暮 ら しゃ営みに根付く価値観や精神と音楽表現 の関わりを感 じ取り, ガム ラ ンな ら で は の 音楽表現に 価値 を見いだしなが ら , ガム ラ ン を 鑑賞 したり, ボウ ルでガム ラ ン の よ う な音楽を創作したりすること」と

し ま し た。 そ し て, 子 ど も たちがこの文化を味わ う た め に, 本題材では, 題材の軸と な る 特に注 目 し た い音 楽を形づ く っ て い る 袈紫 を「音色」と 「テクスチュア」

と し ま しfこ。

ガムラ ンに 宿 る イ ン ドネシア の 人 々 の暮ら し ゃ常み に桜付 く 価値観や精神 と 音楽表現の関わ り を感じ取 っ て い く う え で. rガム ラ ンに登場す る 役削の奨な る 様 々 な 音色J r拍節周期やガム ラ ンならでは の旋律な ど の 綴 々 な 音型 の 多 様 な |対わ り 合い に よ る 音の重な り 方」

やそ れらの関連を知覚 し , そ れら の 働 き が生み 出す特 質や雰囲気を感受 し て い く こ と は, 欠かせま せん。 ま た, ガムラ ンが人 々 の暮ら し や営みの 中 に存在 し て い る コ ミ ュニティでは, 音楽に対す る 感性を豊かに働か せな がら. r音色」や「テクスチュアJ な どを根拠 と し て. r音や音楽 と の対話J r内面(自 身の心の 動 き ) と の 対話J r他者 と の対話」 を繰 り 広げ,充実 し た 「音 を媒体と し た コ ミ ュニケーション」 を 図 る 営みが存在 し て き た(存在 し て い る ) はずです。

音楽を形づ く って い る 要素について の 視点を他者 と 共有 し, 音楽に対す る 感性を虫か に働かせな がら, イ ン ドネシアの 人 々 の諮ら しゃ営みをふ ま え て協働的に 鑑1'1・や創作表現を深 め て い く こ と は, そ の営みを追体 験す る こ と に あ た り ま す。 そ し て, 子 ど も たちはこの よ う な 追体験を 通 し て, 価値観や精神が音楽表現 と なって顕在化 さ れ て い るガムラ ンならではの音楽表現 の よ さ や美 し さ を味 わ い, 分かち合って い く の です。

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(9)

(6) 題材と 子どもたち

本校の第 3 学年の子 ど も たちは, これ ま での音奈の 便業で, 音楽に対す る 感性を豊かに働かせな がら,機々 な音楽の よ さ や美 し さ を味わって き ま し た。 そ れ と と もに, 楽曲でな く と も 音楽にな り う る と い う 概念にふ れて音楽の多機性を実感 し た り , 背景と な る 文化や歴 史 な ど と 関 わ り 合 う 中で音楽が生み出 さ れ, 育 ま れて き たこ と に つ い て 理解を深め た り す る こ と を通 し て,

音楽に対す る見方 ・ 考え方を広げて き ま し た。 本題材 では, そ の よ う な 子 ど も たちが, 中学校の音楽の便業 に お い て は初めて, 一般的に 「民族音楽」 と 呼ばれて

い る 音楽にじっ く り と ふれ る こ と と な り ま す。

駅前でl時折演奏 さ れ る フォル ク ロ ー レ やイベン ト 広 場で開催 さ れ る 典文化フェスティパル, テ レ ビ番組に お け る 世界の諸民族特集, 楽器博物館な どがあ る こ と を考え る と, 子 ど も たちの生活に お い て 「民族音栄J を耳にす る 機会が全く な い わ け で は な い で し ょ う 。 し か し, 耳に し た 「民族音楽」を, そ の音楽の固有性に 注 目 し た り , そ の音楽に宿 る 人 々 の暮ら し ゃ営みに根 付 く 価値観や柏村I と 音楽表現の 関 わ り を感じ取った り し な がら鑑賞す る こ と は, ほぼな い で しょ う 。 そ も そ も, 耳に し た 「民族音楽」 を どの地域の「民族音楽」

かについて認識す る こ と も な いの か も し れ ま せん。

参考文献:柘植元一, 塚田健一 編(999)

ま た, 子 ど も たちは音楽の授業のみならず, 日常生 活にお い て も , 西洋の長音階や短音階に親 し ん で い ま す。 そ の た め, ピアノの音階こそが世界で唯一正 し い も の だ と 思って い た り , 音程を正確に と らえ, リ ズ ム を ぴた り と そ ろ え る こ と こ そ す ばら し い と 感じ て い た

り す る 子 ど も も い る か も し れ ま せん。

子 ど も たちは, 本題材の中で, 音程やリズム を あ え てずらす と いった よ う な ガムラ ンならではの音楽表現 にふれた り , ボ ウ ルで音楽を創作 し た り す る こ と を過 し て , 自 身が構築 し て き た音楽に対す る 概念を離 し て いった り , 音楽文化に対す る価値観を広げた り し て い く こ と で しょ う 。 「 ド レ ミ に当て は ま らな い音程に も 可能性が広がっ て い る J I独 自 の 音楽表現に価値を見 い だ し て き た 人 々 が い る J I楽器で は な く て も 音楽に な る J I身の ま わ り にあ る も の で も 音楽はつく る こ と がで き て, そ れが発展 し て今の音楽が あ る J I 人 々 の暮 ら しゃ営み と音楽は切って も 切 り 離せなL、J な ど と いっ た子 ど も たちの気づき や感動を期待 し た い と思い ま す。

『諸民族の伝統音楽からポ ッ プス ま で はじめての世界音楽』 音楽之友社 野村誠( 2 01 0)

『授業が も っ と 楽 し く な る 音楽づ く り のヒン ト 作 曲 な ん てへっちゃらだ一 ! J音楽之友社 皆川厚一 編( 2 01 0)

『イン ド ネ シ ア芸能への招待 音楽 ・ 舞踏 ・ 演劇の世界』 東京堂出版 皆川厚ー(1 998)

「音楽指導ハン ド ブ ッ ク 2 0 ガム ラ ンを楽 し も う 音の宝島ノ〈リの音楽J 音楽之友社 桃井雅子, 酒井美恵子( 2 01 4)

『プ ロ の 演奏てeつ く る ! I日本 ・ アジアの伝統音楽」 授業プラン』 明治図告 若林忠広( 2 01 0)

『 ま る ご と ! 民族楽器徹底ガイ ド』 ヤマハ ミ ユ一ジツクメデイア 参考資料:音の森ガガ、ム ラ ン . ス夕ジオ

h批1沈tt旬p://otωO∞nomor討'i.四/

平成 2 4年度改訂版 教育芸術社教科暫準拠DVD

『中学生の音楽鑑賞 第1 2 巻 世界の諸民族の音楽 2 ・ 3 年下[ 3

JJ

教育芸術社

6 新学習指導要領との関連 A 表 現

(3) 創作の活動を通 し て , 次の事項を身に付-け る こ と が で き る よ う 指導す る 。

ア 創作表現に関わ る 知識や技能を得た り 生か し た り し な がら, ま と ま り の あ る創作表現を創立工夫すること。

イ 次の(7)及び(イ)につ いて表 し た いイ メ ージ と 関わらせて理解す る こ と 。 (イ)音紫材の特徴及び音の重な り 方や反復, 変化, 対J!i硬な どの構成上の特徴

ウ 創立工夫 を生か し た表現で・旋律や音楽をつ く る た めに必要な, 課題や条件に沿った音の選択や組合せな

どの技能を身に付け る こ と 。

(10)

B 鑑 賞

(3) 鑑賞・の活動を通して, 次の事項を身に付 け る こ と が で き る よ う 指導す る 。

ア 鑑賞に|刻わ る 知識 を得た り 生かした り しな がら, 次の(7) から(ウ) ま で について考え, 音楽の よ さ や 美し さ を味わって聴 く こ と。

(ウ) 音楽表現の共通性や固有性

イ 次の(7) から(ウ) ま でについて理解す る こ と。

(イ)音楽の特徴 と そ の背景 と な る 文化や歴史, 他の芸術 と の 関わ り

(ウ〉我が国や郷土の伝統音楽及び諸外国の機々 な音楽の特徴 と , そ の特徴から生 ま れ る 音楽の 多様性

〔共通事項〕で扱 う 「音楽を形づ く って い る 要素」に関する 本 題材における学習内容 音色

ガム ラ ンに登場す る 役割lの異 な る 様 々 な音色

テクスチュア | 拍節周期 や ガム ラ ンならではの旋律な どの様々 な音型の多様な関わ り 合い に よ る 音の重な り 方

7

題材構想 ( 全6時間)

( 1 ) ボ ウ ルで音遊びをしよ う ! ( 1

時間)

(2) ガムラ ンの音楽の特徴 に せ ま ろ う ! ( 1 時間)

(3) ボ ウ ルで ガム ラ ンの よ う な音色や音型を奏でて重ね よ う !( 1 時間)

(4)

オ リ ジナルガムラ ンを奏で よ う ! (3時間 本時は そ の 2 )

( 1

) ボウルで音遊びを しよ う ! ( 1時間)

叩く場所やパチと な る も の な どを変えて授業者がボ ウ ルを叩いてl山らした異な る 音色を.í何を使ってJíど の よ う に」 奏でられて い る かは見な い で聴 き 比べ る と こ ろから, 本題材に お け る 子 ど も たちの学びを始 め ま す。 授業者は子 ど も たちに, どの よ う な音色を, どの よ う に 感じ た か について, 後 ほ ど尋ね る こ と を伝え,

以下の3パターンの奏で方で音色を提示し ま す。

【パターンA】

・ 大き な サイズの ステン レス製 ボ ウ ルを使用 . ボ ウ ル の底を指の先で支え て 持つ

・ ボ ウ ルの内側を毛糸で巻かれたマ レ ッ 卜で叩 く

【パター ンB】

・ 中 ぐらい のサイズのステン レ ス製 ボ ウ ルを使用

・ 机の上にひっ く り 返して置く

・ ボ ウ ルの底をマレ ッ トの持ち手の部分で叩 く

【パタ ー ンC】

・ 中 ぐ ら い のサイズのステン レ ス 製 ボ ウ ルを使用 .ボ ウ ルの縁を手でしっか り つか んで持つ

・ ボ ウ ルの内側を毛糸の巻かれたマ レ ッ ト で叩 く 授業者は そ れぞれの背色の特徴 について, 気づ いた こ と や感じた こ と を述べ る よ う 促し ま す。 子 ど も たち は 耳 を 澄 ま せ て 音色 を聴 き 比 べ, 擬音や雰囲気, イ メージな どを交え な がら, 次の よ う な考えを伝え合う

でしょ う 。

l 【A】の音色につ いて

: ・ ボー ン ・ 轡き があ る ・ 余削 ・ 仏教っぽい

; ・ 落ち着く ・ 癒 さ れ る ・ しみじみ す る

; 【B】の音色につ いて

.カン ッ ・ 鋭い感じ ・ 甲高 い ・ 音が短い

-痛々 し い ・ き つい感じ ・ 突き 抜 け る 感 じ

: 【C】の音色について

- ドン ッ ・ ダン ッ ・ 音が伸びな い

: ・ 鈍い感じ ・ つま った感じ ・ こ も った感じ な ど : そ の後, 授業者は実|岐に「何を使ってJ í どの よ う に」 音を奏で て い たか, 子 ど も たちに見え る よ う にし て. 3パターンの音色を再現し ま す。 ボ ウ ルで様々 な 背色を奏で て い る こ と を目にして, 取 り 組ん で み た い と 名乗 り 出 る 子 ど も も い る でしょ う 。 そこで, 有志を 説 り , 3パターンの音色を閉じ よ う に奏でて も ら い ま す。 しかし, 聴いた音色 と 全 く 同じ音色を奏で る こ と は な か な かで、き な いため, 子 ど も たちは, 持ち方や叩 く 場所な どを変え る こ と で背色が変わ る こ と に気づい て いくでしょ う 。

そ れ ぞれの音の鳴らし方 と 感受し た そ れ ぞれの音色 の特質や雰囲気を共有した と こ ろ で, 授業者は子 ど も たちに様々 な 種類の ボ ウ ルを十分 に用意しであ る こ と を伝え ま す。 そして, ボ ウ ル を単発で鳴らすだ け で は なく, 様 々 なリズムで複数回鳴らした り , 複数個 の ボ ウ ルを用いて奏でた り して みせ, 工夫次第で様々 な音 型を生み出す こ と ができ る こ と も紹介し ま す。 ボ ウ ル で も様 々 な音色や音型を奏で る こ と が で き る こ と 知っ た 子 ど も たちは, そ の こ と に お も し ろ さ を党え, í取

り 組ん で み た L 、」 と 言 う でしょ う 。

そ の後, 子 ど も たちに 「紹介した い音楽があ る 」 と 伝え, パリ島の ガムラ ン演奏 『 ス カール・ジュプンHプ リアタン歌舞団に よ る 演奏, 演奏|時聞は約5分) を,

nHυ ρhv

(11)

ガムラ ン であ る こ とについて は伝えずに, ま た映像は 見せず に, 途中ま で聴 く 時聞を設 け ま す。 聴いた音楽 に は, ボ ウ ルで奏でられた音色と似た よ う な音色が登 場す る た め, 子 ど も たちは, どの よ う な音色が音の重 な り の 中 に あ る のか,耳 を 澄 ま せて鑑賞する で しょ う 。 音楽を聴 い た子 ど も たちに, r どの よ う な 音色や音型 が聞こ え て き た かJ r どの よ う な雰囲気を感じ取った か」について尋ね る と, 次の よ う な気づ き を述べ る で

し ょ う 。

- 音の短い響き の裏で, ゴー ン と鳴 り 響い て い た .不気味な感じの音色で旋律が さ ま よ っ て い た

・ コ ロ コ ロ し た感じの音色が動 き 回っ て い た . r ッ テケ ッ テケ ッ テケテケ ッ カ ン カ ン 」といった

よ う なリズ ミ カルな部分があった

な ど そ の後, 授業者は 「聴いた音楽の中に登場 し た 音色 や音型な どを奏でて み よ う 」 と子 ど も たち に なげかけ ま す。 子 ど も たちはボウルやマ レ ッ トな どを 自 由 に手 に 取 り , 音色や背型について, 試行錯誤 し て い く で しょ っ。

子 ど も たちが取 り 組んでみたアイデ ィ アを い く つか 紹介 し 合った後, 授業者は子 ど も たち に 「映像を見な がら, 先 ほ どの音楽を聴いて み よ う 」 と提案 し ま す。

子 ど も たちは, 映像で奏でられ て い る も のがボウルで は な く , 見たことの な い楽器で あ る こ とに き っと驚 く で しょ う 。 ま た, 奏者が患を合わせて 様 々 な 奏法で演 愛 し て い る 映像に, 釘付 け に な る で しょ う 。

視聴後, 授業者は子 ど も たちに, こ の音楽がガムラ ンと呼ばれ る イ ンドネシアの伝統的な音楽であ る こ と を伝え, r視聴 し た音楽を手が か り に, ボウ ルで似た よ う な音楽を作ってみ よ う 」と提案 し, 授業を終 え ま す。

第 1 1時を終え た 子 ど も たちの 「追求の 記録」 に は,

次の よ う な記述が見られ る で しょ う 。

.音色や余、胡, 昔の長 さ や 高 さ な どが呉な っ て い : て, ボウルが大き い も の ほ ど音の高さ は低かった。 :

「ファ」と 「ファ非」の 聞の よ う な高さ の音 も あ り , l すっき り し な い感じが し た

・ 閉じボ ウルで も , 叩 く 場所やパチとな る も のを変 え る と音色が変わった。 ま た, 手で広いとこ ろ を 離 う と, 音の高 さ は低 く な り , 響 き は 簡 も っ て し ま った

- 視聴 し た 演奏 の よ う な き れ い な 音色を奏 で な い と, 耳が痛 く なって し ま う 。 ボウルで も, 耳が痛 くならな い心地よ い音色を奏で た い

・ ガムラ ン はでたらめに叩い て い る よ う に も見え る が, 務者が息を合わせ, リズムを そ ろ え て 叩 L 、 て

い て , お も し ろ い しすごいと思った

・ 民族音楽 は あ ま り 聴 い た こ とが な い の で, 新鮮 だった。 どの よ う な目的で生み出 さ れ, 何 を目的 に奏でられて き た音楽なのか, 調べたい

な ど

(2) ガム ラ ン の音楽の特徴にせまろう!

( 1時間) ボ ウ ル で ガム ラ ン の よ う な音楽をつ く って い く ため に は, ガムラ ン の音楽の特徴を服組する必要が あ り ま す。 授業者は, 子 ど も たちに 「前11寺に視聴 し た ガム ラ ン の演奏では, どの よ う な楽器が登場 し て い た か」 と 尋 ね ま す。

' ・ 大き な銅鐸が吊 さ れて い る も の が あった : : ・ 釜の よ う な形 の も の をポ コポコ叩 L 、 て い た

・ ごつい感じの鉄琴がた く さ ん使われて い た ; な ど : 子 ど も たちの意見 を 拾 い な が ら, rスカール ・ ジュ プ ン』 で用いられて い る ガムラ ン の楽器の写真を提示 し, rゴ ング属J rボナ ン属J rグ ンデル凶J r そ の 他」

と分類 し て い き ま す。 ま た, 必要に応じて そ れぞれの 楽器の名前 も紹介 し て い き ま す。

そ の後, そ れぞれの楽器が「 どの よ う な 音色を奏で て い たかJ r どの よ う に 演奏 さ れ て い た かJ r どの よ う な雰聞気 を 生み 出 し て い た か」について, 何度か視聴 す る こ とを通 し て 確認 し て い き ま す。 そ し て, 鑑賞の 合 聞 に は, 気づい た こ とについて意見交換をす る 時間 を挟み, 全体で気づ き を 共有 し て い き ま す。 な お , そ の 際 に は, rスカール ・ ジ ュ プ ン 』 で は奏者や楽器が どの よ う に配置 さ れ て い る かについて確認 し た り , 部 分的に 切 り 取って鑑賞・ し た り し て, 子 ど も たちが音色 や音の重な り 方を知覚 し や すい よ う に し ま す。 ま た,

「知覚 し た音色や音型に似た よ う な も の」 を ボ ウ ル で 奏で る と し たら, どの よ う に奏でられそ う かについて

も話題に し て い き ま す。

【 ゴ ン グ属 】 (単体で楽器 と な る 銅鐸)

・ 吊る さ れて い る 大 き め の ゴ ングと小 さ め の ゴ ン グ があって, パチを使って演奏 し て い た

-音色は「ゴー ン (低L、)Jと 「 ガ ー ン (高L 、)J の 2 種類あって, 不気味な感じの音色だった

・ 一人 の奏者が 2 種類と も担い, 規則的な間隔で交 Eに繰 り 返 し奏で続けて いて, ずっとそこに潜ん で い る 感じが し た

j - 別の 人は平置き の単体ゴ ングを奏でて い て , 吊 さ i れ て い る ゴ ングとは異な る ボ ン ボ ン し た感じの音 :

色で拍 を刻み続 け て い た ;

! 【 ボ ナ ン属】 (複数個セットで楽器 と な る 銅鑓)

; ・ 複数の人が横に並んで, パチを使って複数の銅鑓l

(12)

を演奏 していた

・ コ ロ コ ロ と した乾いた感じの音色で, 強弱や音高 を変化 さ せ な がらわ り と 閉じパター ン を繰 り 返 し ていた

【 グ ンデル属】 (鍵板楽器)

・ 楽器が幾つ も あ る が, も の に よ っ て音高や鍵板数 が呉な っ ていた

・ ハ ンマーの よ う な も の で鍵板をたたいていた

・ 細 や か な リズ ム の 旋 律 を 奏 で て い る も の も あ れ ば, ゆ っ た り と したリズムの旋律を奏でてい る も の も あ っ た

- 細やかなリズム の旋律は に ぎやかでスカ ッ と す る 感じが し て, ゆ っ た り と したリズムの旋律は不思 議 な オ ー ラ を ま と っ てい る 感じが した

【 そ の他】

- 太鼓奏者は二人いて, í ダ ン ッ ダ ン ッ ダ ン ッ 」 と : わ り と 激 し く 奏 でてお り , 強弱の変化をつけてい :

fこ

- 小 さ なシ ンパルの よ う な楽器が腕快なリズ ム で頻 : 繁に登場 していた

- 最後の方に箇が加わ り , íヒュイ~ ラ リ ラ -J と : 少 し気の抜け る よ う な音色で登場 していた

な ど j

‘---.ーー・・・・・・ーー・・・・ーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ー---_..

音楽の特徴を共有で き た と こ ろ で, 授業者は 子 ど も たちに「様 々 な音色や音型 な どが重な っ て奏でら れ る ガム ラ ン に お いて, 最 も 重要 と さ れ る 音色や音型は,

ど の よ う な も の だ と 思 う か」 と 子 ど もたちに尋ね ま す。

子ど も たちからは次の よ う な 意見 が 聞 か れ る で し ょ つ。

- 細かいリズム の も の に気を取られがちだが, 背後;

でゆ っ た り と 炎でられて い る 旋律の方が重要な気 が す る

- 拍の 流れを感じ る から合奏 す る こ と がで き る 。 拍 の流れをおjみ続 けてい る 平 置 き の単体ゴ ングが大 事 な の で は な L 、 か

- 吊 さ れてい る ゴ ングが一定間隔でず っ と 不気味 に 鳴らさ れ続けてい る の に は, 何か�味が あ る の で

は な いか

・ 響き の短 い に き F や か な 音は爽快感があ り , 理部 き が 長 く 持続す る 者の方は聴いていて心地がよ L、。 ガ ム ラ ン は爽快感 と 心地 よ さ の両方に よ っ て生み出 さ れてい る と 思 う から, どれが最 も重要かは判断 で き な い

な ど 子 ど も たちの考察を聞いた と こ ろで, 授業者は, パ リ の ガム ラ ン が どの よ う な 目 的で奏でられてい る も の かについて, 次の よ う な 内容を紹介 し ま す。

- ガ ム ラ ン は , 神 々 や精霊に お 供え を す る 音楽であ り , 人間界 と 宣言 界 の 交感(互 い に 感じ合 う こ と ) を可能 と す る こ と

・ パリ島に は, í人聞は, fill 々 や精霊に よ っ て, 自 然の恵みや平和な暮ら し を与えられてい る 。 だか ら, 我 々 人間 も, そ の与えられた も のを, 供物 と して神 々 や精孟へ奉納す る の だ」 と い う 考え が あ る こ と

・ パリの ガ ム ラ ンや踊 り は本来, 村1 々 や精霊への供 物 で あ り , 音楽や舞踊す る こ と 自体が供物であ る こ と

- う な る よ う な 響 き の 持続 す る 音響空間の 中 で こ そ , 干111 々 や精霊と通じ合う こ と が で き , 押 き の 長 L、古? こ そ が ガム ラ ン を ガ ム ラ ンたら し め てい る こ

ガ ム ラ ン の演奏目的や, う な る よ う な 轡 き の持続す る 音色 に 宿 る価値観や精神を確認 し た子 ど も たちは,

も う 一度 『スカール ・ ジュプ ン』 を鑑賞 した く な る で し ょ う 。再度, 映像を通 して視聴 し, 第 2 1時を終 え ま す。

�1 2 時を終えた子 ど も たちの「追求の記録」 に は,

次の よ う な記述が見られ る で しょ う 。

' ・ 何回 も 視聴 してい る と , だんだん ガ ム ラ ンの雰囲

・ 激 し い背が 目 立つため, そ れ ばか り に 耳 を傾けて いたが, 実は 「ゴー ン」 や 「ガー ン」 が繰 り 返さ れていた り , íターリー ラ ーリー……J と い っ た 響 き の持続す る 音色に よ る 旋律が奏でられた り し て い る こ と がわ か っ た。 ボ ウ ルで も ガム ラ ン に近 づけ る こ と がで き る と 思 う から, 創 作を 楽 し みた 気がわ か っ て き た。 ま た, 様 々 な 音色の迎い や,

特定のリズムパター ン が繰 り 返 さ れてい る こ と に 気づ く こ と がで き て, お も し ろ か っ た

- ガム ラ ン が神様や特認 と 通じ合い, お 供 え を す る ための音楽で あ る こ と を知 り , 響き の持続す る 音 色は と て も重要だ と 思 っ た。 ま た, ガ ム ラ ン は 明 ,

る いだ け で は な く , あ や しげな と こ ろ も あ っ て驚 いた。 神様や精霊と交信 していたから あ や しげな 感じな の だ と 思 っ た

な ど

(3) ボウルでガム ラ ン の よ う な音色や音型を奏でて重

ねよ う ! ( 1時間)

授業者は,子 ど も たちに 「視聴 し た 『スカール・ ジュ プ ン J で印象に残 っ た音色や音型を, ボ ウ ルで�似 し て奏でてみよ う 」 と提案 し ま す。 そ して, 楽器の分類 を ま と めた資料を確認 した後, rスカール ・ ジ ュプ ン』

を視聴 し ま す。 そ の際 に は , 子 ど も たちが音の重な り

噌EA円t

(13)

方の変化に注目 し な が ら鑑賞で き る よ う に, rスカー ル ・ ジュプ ン」をいくつかの場面に区切って, そ れぞ れの場面に登場する音色や音型を授業者が普 き 起 こ し た資料(ガムラ ン には楽譜がな い こ と も 補足 し て伝え ま す)を子 ど も たちに配付・ し ま す。 な お , 場面は次の よ う に区切 り ま す。

Scene 1 (0:00 �)ボ ナ ン 属 と グ ンデル属, 冒頭 Scene 2 (0:12�)ボナ ン属, 閉じ音型の反複 Scene 3 (0:42 �)ゴ ング属 と グ ン デル属, 静寂 Scene 4 (0:57 �)グ ンデル属 に よ る浮遊感 Scene 5 (1:11 �) ボナ ン 属が印象的

Scene

6

(1 :28 �)拍節周期をカウ ント し やすい Scene 7 (1 :52 �)ゆった り と し たリズムの旋律 Scene 8 (2:31 �)チェ ン ・ チェ ン , ア ンセル Scene 9 (2:53 �)軽快な グ ン デル属か ら 静寂へ Scene10 (3:14�)細かなリズムのグ ンデル属 Scene 11 (3:28 �)突 き 抜 けるグ ンデル属 Scene12 (3:39�)音の重な り がゴージャス Scene13 (4:23�)速度が速くな り 入 り 乱れる Scene14 (4:53�)駆け抜けるよ う な し めくく り

そ の後,子 ど も たちは5人一組 と なって,印象に残っ た音色や音型 を ボウ ル で 奏 で て い き ま す。 授業者は,

聴いた も の を そ っく り そ の ま ま 再現する必要はない こ と や, 真似 し ていく う ちに新 しいアイディアを発見 し ていって も よ い こ と を伝え ま す。 子 ど も たちは, I こ ん な 音色で こ ん なリズムを繰 り 返 し て い た J I こ ん な 感じの飾 り があった」な ど, 仲間 と 音色や音型, 奏法 を紹介 し 合い な が ら , 思い思い に ボウ ル を 奏でていく で しょ う 。

活動 し ていく中で, 拍節周期の よ う な も の を生み出 し た り , 音階をつくって旋律を奏で始めた り する子 も 出てくるで しょ う 。 し ば ら く し た ら , 授業者は そ の よ う な子 ど も の表れを全体に紹介 し て い き ま す。そ の際,

子 ど も たちには円に な る よ う 声を か け ま す。 そ し て , 紹介 さ れ た も のを他の子 ど も たちに真似 し て 奏 で て み る よ う 促 しつつ, 拍節周期や音階な ど, 次の様な ガム ラ ン を語る う え で欠かせない要素について, そ こ に宿 る価値観や精神 を ふ ま え て確認 し てい き ま す。

【 ガム ラ ン を 語 る う えで欠かせない要素】

拍節周期

・ ゴ ング属に よって奏で ら れる

・ 最 も 大 き な ゴ ングに よって周期が区切 ら れる

・ 周期 を区切る音か ら 次の 周 期を区切る音 ま での間 隔 をゴ ン ガ ン と 呼ぶ

・ ゴ ン ガ ン は, 他のゴ ン グ属 に よ っ て 拍 が刻 ま れ,

4拍単位で次に 大 き いゴ ングが, 他 の 拍 で さ ら に 小 さ いサイズのゴ ン グ属が鳴る

• rスカー ル ・ ジュプ ン 」の拍節周期は8拍

・ ゴ ン ガ ン の繰 り 返 し に よ って持続する う な る音響 は, ガムラ ン の音楽自体に霊力を宿 し続ける

ドレミに当て はめるこ と の で き ない玉音音階

・ 全音 と も 半音 と も と ら える こ と の で き ない微妙な 音程に よ って で き ている

・ 音|替を構成する音は, 数字でH乎ばれている

・ 微妙な音程のズ レ の 聞 に生 じる波長 こ そ, 調和 と 共存の源である

基本旋律と 装飾旋律

・ 基本旋律は4拍単位で, 音色は柔 ら かくて, 余韻 の長い楽器 に よ って 奏 で ら れる

・ 装飾旋律は基本旋律の隙聞を埋めていく

コテカン

-二人で分担 し て かみ合わせて演奏する, I入れ子」

に なった一対の音型

・ 装飾 さ れ た旋律のリズムが細かくなった り , 曲 の 速度が速くなって き た り する と 奏 さ れる

-二元的な世界観(天 と地, 浄 と 不 浄, 普霊 と 悪霊 な ど) や, 対立する二者が補い合 う とい う 共存概 念が潜在 し て いる

ア ン セル

・ 反復 さ れている音型を変形するこ と .切 り 替わ り の場面で用い ら れる

な お , コテカ ン やア ン セ ル については, 子 ど も たち が再現するのは難 しい と 考え ら れるため, 授業者か ら 提示 し, リズムパター ン を体感するよ う に し ま す。

音楽室内で円になっているの で, 授業者は「試 し に 全員で, ガムラ ン の よ う な音楽を即興で奏で てみ よ う 」 と な げか け ま す。 授業者は, 子 ど も たちを4つのグ ループに分け, ゴ ング属, ボナン属, グ ンデル属, そ の 他 と 割 り 振 り ま す。 子 ど も たちは, 担当する役割を ふ ま え て, 次の様に ボウルでの奏で方を検討 し ていく で しょ う 。

: 【 ゴ ン グ属】

・ 8拍 目 と 4拍目に大 き めのサイズの ボウルを奏で;

て, 拍節周期 をつくろ う

-カジャールのボ ンボ ン し た感じの音色は,

を手で押 さ え た状態でマレットで叩 こ う

【ボナ ン属】

ボウル j

-ひっく り 返 し た ボウル を14個用意 し て, 視聴 し たDVDの よ う に, 4人で複数の ボウルを行った

り 来 た り し な が ら 奏 で よ う

・ コテカ ン やア ン セルを取 り 入れてみたい

【 グ ンデル属】

・ ド レミに と ら わ れずに, 5つの異なる高 さ の音か

ら な る音階を 自 由につくろう

参照

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