低接触力Au電気接点における粘着力に関する研究
著者 小林 篤人
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 20
ページ 118‑120
発行年 1999‑03‑31
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1557
氏名 0(本 籍 ) 小 林 篤 人 (長 野県
)学位 の種類 博 士 (工 学
)学 位 記番号 工博乙第 79 号
学位授与の日付 平成 9年 9月 26日
学位授与の要件 学位規貝 1第 4条 第 2項 該当
学位論文題目 低接触力 Au電 気接点における粘着力に関する研究
論 文 審 査 委 員 (委 員長
)教 授 石 井 仁 教 授 東 郷 敬一郎 教 授 中 村 保 助教授 松 本 隆 宇 教 授 窪 野 隆 能
論 文 内 容 の 要 旨
電子部品は高密度実装に伴い小形化 と低消費電力化に向かっておるため、プリント配線板上で小形 電子部品と混在 して使用 される電磁継電器に対 しても固様 に小形化 と低消費電力化 と低価格であるこ
とが要求 されている。
これらの要求を満足するためには、電気接点
(以後接点 と称す
)を取 り付けた片持 ち梁形式の接点ば ねを駆動する電磁石の外形を小 さくし、かつ、消費電力を少な くしなければならない。その結果、電 磁石の駆動力は小 さくなるので、接点ばねのばね負荷を下げる必要がある。そのため、接点ばね先端 に取 り付けられた接点に掛かる接触力や開離力が必然的に低下する。接触力の低下による接触抵抗の 増加 を防止するためや多数回開閉動作中の接触抵抗の変動 を防止するために、接点表面 にAuま たは Au合 金が使われることが多い。
Auは 凝着 をおこしやすい金属であるので、小形化 と低消費電力化のために開離力が低下 している 電磁継電器の Au接 点において、粘着による開離不能故障が発生 しやすい。この故障を低減するため、
接点がなぜ粘着するのかを解明する必要がある。接点の粘着現象は団体金属片の凝着現象であるが、
金属の凝着現象について も、いまだに十分に解明 されていない。
第 1章 では、接点を搭載 した機構部品が持つ問題点について述べ、本研究の目的を明確 にする。
第2章 では、本論文で用いる基礎的な理論お よび凝着力の測定方法 について述べている。
金属の凝着力の測定 に関する従来の研究においては、金属片 を接触 させて接触力 を印加 した状態 で、金属片間に回転 しゆう動 を与えた後に、金属片を分離するに必要な力 を測定 している。 しか し、
電磁継電器に搭載 された接点は片持ち梁形式のばね先端に取 り付けられているので、接点の接触面に
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は直線往復 しゆう動が加わる。
そこで、本章では従来の凝着力の測定装置 についてその構造、お よび しゅう動の印加方法 を概説 し、それ らを参考 に電磁継電器に搭載 された接点の粘着力測定装置 に必要な特性 を検討 している。
第 3章 では、自作 した粘着力測定装置の特徴、お よび濃 1定 値の精度 について述べている。
測定装置製作時に考慮 したことは、 (1)接
̀点に接触力を印加 した状態で直線住復 しゆう動 を加える ことができること、(2)Au接 点あるいは Au合 金接点を使用する小形電磁継電器の接点に掛かる接触力 程度の垂直荷垂 (数 十 mNか ら数百 mN)、 お よび接触力 と同程度の粘着力 を測定できること、 (3)粘 着 力 と接合面積 との関係を検討するため、接合面積を推定する手段 として接触抵抗 を測定できることの 3点 である。
前記 3点 を実現 した自作測定装置において、 20mNか ら 1.4Nの 範囲の接触力
(重直荷重 )を 1%以 内の 誤差で、また 10mNか ら 1.個 の範囲の粘着力 を 1%以 内の誤差で測定できることを検証 している。
第4章 では、 自作 した装置 を用いて粘着力 を測定 した結果について述べている。
その主たる測定結果は以下のとお りである。 (1)接 触力が増加すると粘着力 も増加する。 (2)接 触力 が一定の ときには、 しゆう動回数の増加 とともに粘着力が増加するが、ある しゅう動回数以上では じゅう動回数が増加 しても粘着力が増加 しない傾向がみられる。 (3)接 触力が一定のときには、 しゆ う動距離が長いほどしゆう動回数の増加にともなう粘着力の増加の割合が大 きい。 しか し、 しゆう動 回数が十分 に多い としゆう動距離 によらず粘着力は一定になる。
第5章 では、第4章 で得 られた測定結果について接触力あるいはせん断力 と接触抵抗か ら換算 した接 合面積の比 をとった見かけの垂直応力 と見かけのせん断応力の関係 を考慮 して検討 している。
見かけの垂直応力 と見かけのせん断応力の関係 を表わす特性図面上 に、それぞれの見かけの応力値 を記人すると、 しゅう動回数の増加 とともに、この値が原点に向かって移動する。 しゅう動回数が十 分 に多 くなるとこれ らの見かけの応力値が ミーゼスの降伏条件 を表す境界線 に近づ き、その近傍で移 動が止 まることを発見 している。すなわち、 しゆう動の回数が増加 したときに、 しゆう動の回数 とと もに接触面積が増加するが、 しゅう動の回数がある回数以上では、接触面積がそれ以上増大 しないこ とを明 らかにしている。その結果から、 しゅう動回数の増加 とともに粘着力が増加するが、 しゆう動 回数がある回数以上では粘着力が一定 となる測定結果 を説明で きることを明確 に した。 さらに、最大 粘着力の推定方法 を提案 している。
第 6章 では、本研究の成果 についてまとめ、また、今後の課題 について述べている。
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