金沢大 学 十全 医 学会 雑 誌 第1 02巻 第6 号 69 7 (
1
99 3)肝臓 の
病
理は おも し ろいL i
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金沢 大 学 医学 部 第
二
病理中 沼 安
6 97
い
ろんなきっ かけや動機で研 究テ ー マ がみつ
か る. 私の場合
,
大 学 院の時にもらっ たテ ー マ である肝 臓の病理の研究を
,
幸い
に も2 0年 もの間 続 けてい
る・ 各々
の研 究テ ー マに共通し て言える ことであろ う が
,
私が 一 生のテ ー マとし て
い
る肝 臓の病理ほとに かく おもしろい
. 肝臓は,
図体は大 きい
が,
肉眼構 造が 比較 的 単純で,
病理解 剖 も 大 ざっば な記 述で十分に通 用 する∴臓器の中
で は
,
一 番 扱
い
易い
. しか し,
最 近,
画像 診 断学が著し く進 歩し てい
る の で,
時々 , 放 射 線 科の先 生に病 変の解
剖学 的 局在や性 状を厳しく追 求さ れるが,
そ れでもなん
とかか わせ る程 度の簡 単な構 造であり,
多くの場 合,
そ
れ程,
深刻に考え なくても済む.
肝臓ほ
,
成人で大 体1300 g と大 きく,
ま た種々
の中間 代謝や免 疫 系に深く係わっ てい
る の で,
剖検 例,
生検 例で必ず
,
なにが しか の病 気l
病変 あるい
ほ所 見がみつ
か る. だ か ら,
どんな症 例でも,
楽し みを持って標 本をみ れる. 生 活 様 式や時 代の変 遷と伴に, いろんな病 気が盛
衰するが,
殆どの場 合,
肝 臓ほ不幸にも病 気に巻 き込ま
れる の で,
勉 強,
研 究 する の に事 欠かない
. 逆に ,
本 当
の意 味で正常 肝はな
い
の で,
研 究上,
対 照の設 定に困る こと があるがこれは仕 方が ない
.肝 臓に は慢 性 疾 患が多
い
. 2 0年 も 研 究し てい
ると,
そ の患者が どの様な経 過を辿り,
病 変が どの様に進展する かを知る こと が出 来,
学 問 的 興 味を十分に満 足させ てく れる. その時,
その時で診 断名さ え変わる症 例 もある. 病理学 的な経過 観 察だ けでも,
貢 献 度の高い
論 文を書くこと が出 来る. 時
々 , 慢 性の肝 疾 患の患 者を食い
物に し
て生 きて
い
る の で はない
かと錯 覚する位である. 肝 臓ほ,
ミ クロ で ほ役者が豊 富で,
病 気 毎にい
ろんな 劇を演じてく れる. 顕 微 鏡を見てい
ても飽 きない
し,
さ らに,
学 問の進 展や時 代の変 遷と伴に,
肝 臓 病を構 成 する主役がしばし ば 入 れ替わる. 例えば
,
最 近まで,
肝小 葉で は肝 細胞が 主役だった が,
現 在,
分子生物 学の著しい
進 歩と共に,
わき 役に過 ぎなか っ た肝 頼洞 壁を構 成する細 胞 達の株があが り
,
今で ほ肝 疾患の主役にな ろ う と し てい
る。
ま た,
肝 疾患そのものも変 化 する. C型 肝 炎ウイ
ル ス
の発 見で,
今まで上位につ
けてい
たア ル
コ ール
性 肝 疾 患が,
かな り下 落した . 逆に C 型肝 炎の類 縁 疾 患 と して自己免疫 性 肝 炎の復 活が著しい
.最 近
,
肝 炎ウ イル ス
(A,
B,
C,
D,
E) の相次ぐ発 見と 血 清 診 断の開発と 一般 化に伴い
ウイル ス
肝 炎の診 断が容 易になっ たこと と,
肝細 胞 癌の境 界 病 変の病理診 断に際 し病理医 相互間で の不 一 致が廣呈したことで,
肝 臓 病学で の病理医の立場は少し
,
低く なっ てきた. し か し,
そ れでも,
肝疾 患の診 断の殆どほ病理学 的にな さ れる の で,
学会でもそ れ な りの顔が出 来る. ま た,
肝疾 患の検 査 成 績や画像の読み ほ,
実 際ほそ れ程 難し く ない の で,
臨床の学 会でも 臨床の演 者の言 って
い
る こと が十 分理 解 出 来る し,
臨 床 医と十 分にディス
カ ッシ
ョン
を楽し める.
幸