共同研究「成年後見法制の実務的・理論的検証―制 度導入から10年を節目として」2011年度活動報告
著者 黒田 美亜紀
雑誌名 明治学院大学法律科学研究所年報 = Annual Report of Institute for Legal Research
巻 28
ページ 157‑159
発行年 2012‑07‑31
URL http://hdl.handle.net/10723/2101
157 共同研究「成年後見法制の実務的・理論的検証―制度導入から10年を節目として」2011年度活動報告
共同研究「成年後見法制の実務的・理論的検証
―制度導入から10年を節目として」2011年度活動報告
研究代表者 黒 田 美亜紀
1 活動概要
本共同研究は、「成年後見法制の実務的・理論的検証―制度導入から10年を節目として」との 正式名称が示すように、導入から10年を経た成年後見制度を、理論的および実務的見地から検証 すること、とりわけ、補助や任意後見制度の利用が振るわない根本原因を探り、その改善・立法 論なども視野に入れた提言をなすとともに、制度全体のより一層の普及を目指した活動を行うこ とを目的としている。
共同研究第1年目となる2011年度は、検証の前提として、参加者の各専門分野における視点か ら多様な問題を取り上げ、計10回の研究会を実施した(研究会合宿を含む。東日本大震災の影響 で当初の予定より回数が少なくなったが、その分1回に2報告を行う機会を設けた)。各回の報 告は、報告担当者がレジュメをもとに60分程度の報告を行い、その後、質疑応答を行うという形 式で行われた(各回の報告者並びに報告テーマについては下記を参照)。
本研究会では、下記の共同研究者の他に、加賀山茂先生(本学法科大学院教授)、益井公司先 生(日本大学法学部教授)、上杉めぐみ先生(愛知大学法学部助教)、明石真昭さん(法政大学大 学院法学研究科博士後期課程)、山里盛文さん(本学大学院法学研究科博士後期課程)、武多和ゆ みえさん(法政大学大学院法学研究科博士後期課程)他多数の方々にご出席頂き、有益なご意見 を頂いた。この場をお借りして心よりお礼申し上げたい(なお、参加者・報告者等の肩書きは 2011年度当時のものである。以下同様。)
2 共同研究者(敬称略) 計12名
今尾真(本学法学部・民法)、伊室亜希子(本学法学部・民法)、大野武(本学法学部・民法)、
来住野究(本学法学部・商法)、黒田美亜紀(本学法学部・民法)、近藤隆司(本学法学部・民事 訴訟法)、清水忠之(本学法学部・商法)、畑宏樹(本学法学部・民事訴訟法)、黄瑞宜(興国管 理学院〔台湾〕・民商法)、高山奈美枝(本学非常勤講師・民法)、竹田智志(本学非常勤講師・
民法)、山本研(早稲田大学法学部・民事訴訟法)
3 報告テーマ一覧
第1回 5月25日
報告者:竹田智志(本学法学部非常勤講師)
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共同研究:成年後見法制の実務的・理論的検証 テーマ:「区分所有法70条と憲法29条」
第2回 6月29日
報告者:伊室 亜希子(本学法学部教授)
テーマ:「民法(債権法)の改正に関する中間的な論点整理における下請負の項目の考察」
第3回 7月20日
報告者:黒田 美亜紀(本学法学部准教授)
テーマ: 「アルツハイマー病と脳梗塞の合併した混合型痴呆症によりやや重い痴呆状態にあっ た者の自筆証書遺言につき、遺言者は遺言当時やや重い痴呆状態にあったものと認め られ、遺言能力に欠けていたとして、無効とされた事案(東京高判平21・8・6判タ 1320号228頁)」
第4回 9月28日
報告者:来住野 究(本学法学部教授)
テーマ: 「吸収分割された分割会社の債務に係る保証債務の帰趨(大阪地堺支判平22・9・13金 法1921号117頁)」
第5回 10月19日
報告者:畑 宏樹(本学法学部教授)
テーマ:「債権差押命令と配当を受けることができる遅延損害金の範囲」
第6回 11月16日
報告者:黄 瑞宜(興国管理学院(台湾)、本学法学部非常勤講師)
テーマ: 「会社は公司法第185条1項2号の規定にしたがい、営業又は財産の全部若しくは主要 部分の譲渡につき、もし、発行済み株式総数の3分の2未満の株主が出席した株主総 会である場合、当該規定に違反し、その株主総会で行われた決議が決議方法の違法で あるとされる事例」
第7回 12月21日
報告者:加賀山 茂(本学法科大学院教授)
テーマ:「不法行為における定量分析」
第8回 1月18日
報告者:山本 研(早稲田大学法学部教授)
テーマ: 「動産引渡請求権に対する執行−貸金庫の内容物に対する強制執行(最判平11・11・29 民集53巻8号1926号、判時1694号3頁、判タ1017号293頁)」
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第9回 2月15日(2報告)
報告者:高山 奈美枝(本学法学部非常勤講師)
テーマ:「フランス法における民事医療責任法の性質の変化」
報告者:今尾 真(本学法学部教授)
テーマ: 「貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合におけ る、借主と上記債権を譲渡した業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位の 移転の有無」
第10回 3月4日(2報告〔合宿〕)
報告者:近藤 隆司(本学法学部教授)
テーマ:「外国租税債権の徴収共助に伴う倒産法制の整備について」
報告者:大野 武(本学法学部准教授)
テーマ: 「個品割賦購入あっせんにおいて、購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に 反し無効とされた場合でも、購入者とあっせん業者との間の立替払契約は無効となら ないとされた事例」