「健康研究成果の実用化加速のための研究・開発シス
テム関連の隘路解消を支援するプログラム」
多能性幹細胞由来移植細胞の安全性評価研究
(公財)先端医療振興財団
川真田伸
2015年 1月 23日
スーパー特区 (7) H20-24
「ICRの 推進による再生医療の実現化」
PI 西川伸一(先端医療振興財団 研究所長) 再生医療の普及医療へ の転換(CRPの実現) 田中紘一 再生医療の実現化を 阻む基礎課題解決 西川伸一 橋渡し研究拠点を活用し、医師 主導治験を実施 神戸拠点⇒多拠点NW形成 Neo biomarker, epigenetic study理研CDB, MIC,CLST, 関西tissue initiative (阪大、産総研尼崎)、京大再生研、京大病院 心筋シートによ る心筋再生 阪大 iPS細胞由来 RPE網膜再生 理研CDB 軟骨再生 神戸大・財団 角膜再生 京府医・財団 CPC教育 京大 スーパー特区採択枠で 科研費 採択 文科省橋渡し拠点 形成Pで支援
先端医療振興財団 川真田G 理研CDB高橋G IPS細胞由来RPEに よるAMD治療計画 国立衛生研究所 佐藤G スーパー特区(7) 神戸 「再生医療実現化」 安全性試験に関するサイト の管理運営・情報発信の実施
JST 隘路解消
研究解題
隘路:前臨床安全性試験 隘路解消のため安全性試験実施健康研究成果の実用化加速のための研究・開発
システム関連の隘路解消を支援するプログラム
臨床試験の実施 2014年9月
ヒト幹細胞臨床指針への申請 2013年
審議/許可
iPS細胞由来分化細胞の臨床試験開始に
向けた臨床開発の流れ
Whole genome sequence Methylome analysis
CiRA
理研CDB
前臨床試験
造腫瘍性試験
細胞製造
細胞規格
臨床プロトコール決定
先端医療振興財団
理研CDB
隘路
読売新聞 2014年 9月13日
自家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞による
加齢黄斑変性症の治療実施
① ヒト幹細胞指針申請用安全性(造腫瘍性)データ ・造腫瘍性試験(in vivo) ・in vitroにおける移植細胞評価方法の開発・確立 ⇒ H25年度 ヒト幹臨床研究申請, H26年度 臨床実施 ② iPS由来移植細胞の安全性に関する情報収集・発信、ガイダンス提言 ⇒ 国衛研のHPとして運営、関連リンクも充実しており science community で大いに活用されている
当該プログラムでの成果
論文1. Kuroda et al PLoS ONE 2012 : detection of iPSC in RPE by qRT-PCR
2. Kanemura et al Science Report 2013 : induction apoptosis of iPSC by PEDF 3. Kanemura et al PLoS ONE 2014: summary of tumorigenicity test of RPE 4. Kawamata et al JCM 2015 : Design of tumorigenicity tests of Pluripotent
Stem cell derived cell products
受賞
2014 日本再生医療学会 Johnson and Johnson Innovation Award 国衛研 佐藤陽治 「ヒト多能性幹細胞加工製品に残存する未分化多能性幹細胞の高感度検出法の開発」
細胞治療に使われる細胞の造腫瘍性試験のガイドライン
存在していない
WHO Technical Report Series No.878, Annex 1. 1998
Requirements for the Use of Animal Cells as in Vitro Substrates for the
Production of Biologicals.
FDA commentary report
Science Translational Medicine. 2012, 4, 147fs28
Bailey A.M; Balancing tissue and tumor formation in regenerative
medicine
.
Geron: GRNOPC1, ACT: RPE case by case
網膜色素上皮細胞(RPE)の造腫瘍性試験実施
iPS作製方法 製造 施設 最終的なRPE製造・品質 管理工程との差異 1次安全性試験 RV,SV mouse feeder ラボ 大きい (原材料、製造方法、製造施設に顕著な差異) 2次安全性試験 Plasmid A set mouse feeder CPC 小さい (原材料、製造方法に顕著ではない差異) 3・4次安全性試験 Plasmid B set auto feeder CPC 最終的な製造・品質管理工程とほぼ同一 ・被験細胞のキャラクタライゼーション 遺伝子発現(qRT-PCR)、抗体染色、FACS 1次安全性試験 2次安全性試験 2011.02 3次安全性試験 2011.09 2012.04 2012.12 4次安全性試験 2013.10 皮下 n=80 皮下 n=71 皮下 n=47 皮下n=12 網膜下n=15 網膜下 n=11 NOG mouse Nude rat NOG mouse NOD-SCID Nude mouse , SCID NOD-SCID 2012.06 2013.11 2014.11 2010.11 2012.03各種免疫不全マウスにおける腫瘍形成能比較試験
皮下移植後の週齢 e Matrigel あり Matrigel なしHeLa細胞皮下移植
造腫瘍性試験 Log 10TPD50細胞種 細胞形状 腫瘍形成 最少量 (最初と最終) 腫瘍形成週 マウス数 使用 TPD50 iPSC 201B7 iMatrigel包埋 単細胞懸濁 1 x 101 個 5 週と 40 週 30匹 132個 Hela iMatrigel包埋 単細胞懸濁 1 x 101 個 5 週と 18 週 75匹 12.6個
NOGマウス皮下移植での造腫瘍性試験
(iPS細胞、HeLa 陽性control試験)
4 3 2 1 0 Matrigelに包埋 5 10 15 20 25 30-55 (weeks) 皮下移植週 造腫瘍性試験 (Log10TPD50) iPSC Log10TPD50 = 2.12 Hela Log10TPD50 = 1.1 Log10 Mesoderm Endoderm Ectderm 50 mm 50 mm 50 mm Kawamata et al 2015 JCM 改Kuroda et al PLoS ONE 2012
qRT-PCRを用いたRPE中のiPS細胞混入の検出
Lin28をprimer にすれば
0.002%のiPS細胞混入を
RPE株名 細胞形態 移植細胞数 観察期間 マウス数(匹) 腫瘍形成 59-G3 Matrigel 包埋 RPE細胞懸濁 1x10 6 個 60週 9 なし K21-G18 8 なし 101-G25 10 なし 59-G3 Matrigel包埋 RPEシート 1x10 6 個 60 週 5 なし K21-G18 5 なし 101-G25 5 なし primary RPE Matrigel包埋
RPE細胞懸濁 1x10
6 個 52 週 3 なし
primary RPE Matrigel包埋(-) RPE細胞懸濁 1x106 個 52 週 2 なし
59-G3 Matrigel包埋 RPEシート 1x10 6 個 32 週 3 なし RNT10 RPE 28 週 3 なし RNT9 RPE 20 週 3 なし 101-EV3 Matrigel包埋 RPE細胞懸濁 1x10 6 個 39 週 5 なし K11-EV9 39 週 3 なし K21-EV15 Matrigel包埋(-) RPE細胞懸濁 1x10 6 個 39 週 4 なし K11-EV9 39 週 2 なし
NOG 皮下移植でのiPS細胞由来RPEの造腫瘍性試験
50 mm Ki-67 20 mm
Hoechst
20 mm 20 mm Lamin A 20 mm
BEST1 20 mm Hoechst 20 mm
VIS 20 mm BEST1 + Hoechst 20 mm
VIS VIS 20 mm
Kanemura et al PLoS ONE 2014
細胞種 細胞形態 最少細胞数 腫瘍形成 腫瘍形成観察 (最初と最後) ラット数 TPD50 iPSC 201B7 単細胞懸濁 1 x 104 個 7週と33週 20匹 5.0X104 個 Hela 単細胞懸濁 1 x 101 個 5週と33週 13匹 21個 NC iPSC Endoderm Mesoderm Ectoderm 50 mm 50 mm teratoma 2 mm NC iPSC 7 6 5 4 3 2 1 0 10 20 30 40 50 60 網膜下移植 週 Log10 造腫瘍性試験(Log10TPD50) (週) iPSC Log10TPD50 = 4.73 Hela Log10TPD50 = 1.32 iPSC Hela 50 mm
Nude rat網膜下移植でのiPS細胞由来RPE造腫瘍性試験
Kawamata et al 2015 JCM 改iPS細胞培地 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 Day4 Day6 Day2 Day4 iPS細胞 単独培養 RPEと 共培養 iPSC clone :253G1 iPS細胞253G1 由来RPE
移植部位(網膜下部位)の微細環境評価
iPS細胞とRPEの共培養 による iPS細胞 への影響
iPS細胞253G1 細胞数 Day 2 4 6 8移植部位微細環境の評価
RPE分泌因子(PEDF) によるES/iPS細胞の細胞死誘導
Kanemura et al Science Reports 2013 (50mg/ml)
RPE株 細胞形態 移植細胞数 観察期間 ラット数(匹) 腫瘍形成 59-G3 RPE細胞シート 0.8-1.5x104 個 60 週 4 なし K21-G18 5 なし 101-G25 3 なし 59-G3 RPE細胞シート 0.8-1.5x104 個 32 週 8 なし RNT10 RPE 28 週 8 なし RNT9 RPE 20 週 8 なし
Nude rat網膜下移植でのiPS細胞由来RPE造腫瘍性試験
NT RPE
Vitreous body
20 mm
500 mm
Hoechst
Ki-67 Hoechst + VIS 20 mm
20 mm
BEST1 Hoechst + BEST1
20 mm
Lamin Hoechst + lamin A
J Hoechst Hoechst 20 mm 20 mm 20 mm 20 mm 20 mm 20 mm 20 mm 20 mm
Kanemura et al PLoS ONE 2014
NT transplanted
Lamin
Lamin DAPI + Lamin
Vitreous body Vitreous body
In vitro腫瘍能評価試験 1.QRT-PCRでの移植前の品質検査実施 >0.002%のiPS細胞混入を検知。 臨床用RPEのQRT-PCR試験が(-) 陰性なら、 ⇒ 移植用RPE内の未分化iPS細胞残留は、2個以下と想定。 品質規格試験 2.皮下移植試験では130個のiPS細胞残留で半分のマウスで腫瘍ができる。 皮下移植試験で1x106個のRPE皮下移植でも腫瘍形成(-)。 n=96, 19M ⇒移植用RPE内の未分化iPS細胞残留は、10個以下と想定 ⇒移植用RPE内に腫瘍形成能のある細胞の残留はない。 3.網膜下移植試験では5x104個のiPS細胞を移植しないと腫瘍ができない。 網膜下に0.8-1.5x104個の移植用RPEを移植したが、腫瘍形成(-)。n=36,18M 臨床では、4-8x104個の網膜色素上皮細胞(RPE)を移植
現在の製造工程で製造されたRPEを網膜下に移植する限り、
腫瘍形成する可能性は、ほぼない(無視できる)と判断した。
造腫瘍性試験の結果と結論
⇒網膜下移植では、臨床用RPE内にiPS細胞残の可能性ほぼない。 ⇒網膜下移植では、RPE内に腫瘍形成能のある分化細胞の残留はない。 ⇐RPEは、iPS/ES細胞に細胞死を誘導するPEDFを分泌。 In vivo造腫瘍性試験毒性試験
生体内動態検査
造腫瘍性試験
製造、検査手順書 品質規格 特性解析 臨床試験申請 臨床試験実施 有効性POC試験 細胞製剤の 製造工程 と品質試験 前臨床安全性試験臨床試験実施の流れ
動物を使った前臨床安全性試験
造腫瘍性試験
が多能性幹細胞由来細胞では特に重要
動物を使った前臨床安全性試験
②未分化状態では、無限の増殖能があるため、分化誘導時分化細胞中に分化抵 抗性未分化細胞が残留し、そこから奇形種発生の可能性あり (ES/iPS細胞) ①未分化状態では、無限の増殖能があるため、培養継代が進むと、染色体構造 の変異の蓄積が進み、それによる癌化の可能性が増大する (ES/iPS細胞) ③不完全な初期化や初期化時に導入された初期化因子の残存による分化抵抗 性の獲得や癌化の可能性がある (iPS細胞) ④自己iPS細胞由来分化細胞の移植では、免疫障壁がないので、上記の要因に よる癌発生の危険性がさらに増大する (自家iPS細胞)造腫瘍性試験
が多能性幹細胞由来細胞では特に重要
Nat Rev Gen 2012:13, 732-744
500-5000bp CNV 14.5% of ESCs and iPSCs
Chr 8 amplification
20.2% of iPSCs, <10% ESCs 552 samples of 219 iPSCs & 1,163 samples of 40 hESCs
Chr 12, 12 pc amplification <20% of ESCs and iPSCs
多能性幹細胞(ES/iPS細胞)の遺伝子の不安定性
abnormality
12.9% of ESCs 12.5% of iPSCs
Difference by medium or by on feeder or feeder-less was trivial .
(normal )250-300 sites variation.
動物を使った前臨床安全性試験
②未分化状態では、無限の増殖能があるため、分化誘導時分化細胞中に分化抵 抗性未分化細胞が残留し、そこから奇形種発生の可能性あり (ES/iPS細胞) 何故か? ①未分化状態では、無限の増殖能があるため、培養継代が進むと、染色体構造 の変異の蓄積が進み、それによる癌化の可能性が増大する (ES/iPS細胞) ③不完全な初期化や初期化時に導入された初期化因子の残存による分化抵抗 性の獲得や癌化の可能性がある (iPS細胞) ④自己iPS細胞由来分化細胞の移植では、免疫障壁がないので、上記の要因に よる癌発生の危険性がさらに増大する (自家iPS細胞)造腫瘍性試験
が多能性幹細胞由来細胞では特に重要
分化誘導 分化誘導 EB形成 EB接着後分化 EB形成不可 分化不可 未分化維持 増殖 未分化維持 増殖
培養条件による多能性幹細胞の分化抵抗性の獲得
分化抵抗性獲得多能性幹細胞
多能性幹細胞(機能正常)
培養条件A 培養条件B動物を使った前臨床安全性試験
造腫瘍性試験
が多能性幹細胞由来細胞では特に重要
②未分化状態では、無限の増殖能があるため、分化誘導時分化細胞中に分化抵 抗性未分化細胞が残留し、そこから奇形種発生の可能性あり (ES/iPS細胞) 何故か? ①未分化状態では、無限の増殖能があるため、培養継代が進むと、染色体構造 の変異の蓄積が進み、それによる癌化の可能性が増大する (ES/iPS細胞) ③不完全な初期化や初期化時に導入された初期化因子の残存による分化抵抗 性の獲得や癌化の可能性がある (iPS細胞) ④自己iPS細胞由来分化細胞の移植では、免疫障壁がないので、上記の要因に よる癌発生の危険性がさらに増大する (自家iPS細胞)細胞の初期化が不全であれば分化抵抗性が出現
分化細胞 A 分化細胞 D 初期化法 A 分化 誘導 ES細胞 初期化法 B 分化 誘導 分化 誘導 iPS細胞 A iPS細胞 B 分化細胞 B 分化細胞 C 樹立株の選択 樹立株の選択動物を使った前臨床安全性試験
造腫瘍性試験
が多能性幹細胞由来細胞では特に重要
②未分化状態では、無限の増殖能があるため、分化誘導時分化細胞中に分化抵 抗性未分化細胞が残留し、そこから奇形種発生の可能性あり (ES/iPS細胞) 何故か? ①未分化状態では、無限の増殖能があるため、培養継代が進むと、染色体構造 の変異の蓄積が進み、それによる癌化の可能性が増大する (ES/iPS細胞) ③不完全な初期化や初期化時に導入された初期化因子の残存による分化抵抗 性の獲得や癌化の可能性がある (iPS細胞) ④自己iPS細胞由来分化細胞の移植では、免疫障壁がないので、上記の要因に よる癌発生の危険性がさらに増大する (自家iPS細胞)自家移植では免疫拒絶がないため
移植細胞は生着し腫瘍形成能は他家より高くなる。
自分の細胞を自 分の臓器に移植 HLA不適合 他家移植 生着し増殖 する 移植細胞を 免疫拒絶する 自家移植 他家移植動物を使った前臨床安全性試験
造腫瘍性試験
が多能性幹細胞由来細胞では特に重要
しかし造腫瘍性試験のガイドラインは存在していない。
FDA Science Translational Medicine. 2012, 4, 147fs28
Geron: GRNOPC1, ACT: RPE
case by case
ES/iPS細胞を段階的希釈で最終細胞産物に混入
(0:100,10:90,20:80…) して臨床移植予定部位に移植。
6カ月以上観察する。皮下試験無意味
RPEの網膜下移植では、この試験の実施自体 無意味。
そもそも動物での造腫瘍性試験がどの程度ヒトに有効か
(ヒトに外挿できるか、ヒトでの結果を予測出来るか)?
試験結論が有効であることを示す評価系をまず構築し、その評価系の
下で動物試験を実施すれば、試験結果の有効性が証明(validate)
される。そこで初めて、ヒトでの試験結果が予測可能となる。
では外挿できる試験とはどんなもの?
では試験結果の有効性が担保できる評価系を構築するには?
単に試験をするだけでは無理。
予備試験を実施し、
risk assessment
の観点から有害事象を見逃す
リスクのある事象をまず同定する。そのうえで試験結果が無意味にな
らない試験デザインを統計学的手法で構築し、その試験デザインに
基づいて本試験を実施する。
?
腫瘍が出来ませんでした。
ヒトに外挿できる造腫瘍性試験にするには
ヒトの細胞の投与
試験物 遺伝子検査 In vivo 予備 試験
?
In vitro 評価試験 腫瘍が出来ませんでした。ヒトに外挿できる造腫瘍性試験にするには
ヒトの細胞の投与 ヒトの細胞の投与 腫瘍が出来ませんでした。そもそも動物での造腫瘍性試験がどの程度ヒトに有効か
(ヒトに外挿できるか、ヒトでの結果を予測出来るか)?
試験結論が有効であることを示す評価系をまず構築し、その評価系の
下で動物試験を実施すれば、試験結果の有効性が証明(validate)
される。そこで初めて、ヒトでの試験結果が予測可能となる。
では外挿できる試験とはどんなもの?
では試験結果の有効性が担保できる評価系を構築するには?
単に試験をするだけでは無理。
予備試験を実施し、
risk assessment
の観点から有害事象を見逃す
リスクのある事象をまず同定する。そのうえで試験結果が無意味にな
らない試験デザインを統計学的手法で構築し、その試験デザインに
基づいて本試験を実施する。
⑤試験細胞の性状や遺伝子情報も知らずに、造腫瘍性試験を行った。 →試験細胞の細胞規格が造腫瘍性試験結果に影響するため、これはリスクというより無謀。
Risk Managementの観点から
有害事象を見逃すリスクのある造腫瘍性試験とは?
①免疫不全動物を十分に検討せず選択した。 偽陰性 →造腫瘍感度が悪く、試験細胞が造腫瘍能を持っているのに検出できない、見落とした。 ②試験protocolが不適切で腫瘍形成を十分検出できない。 偽陰性 →観察期間が不十分で(短すぎて)、腫瘍発生を検出できなかった。 →投与量が少なすぎて、腫瘍発生を検出できなかった。 →投与 方法が不適切であった。 移植部位の微細環境の評価をしていなかった。 ③移植自体が失敗して偽陰性に気付かなかった。 偽陰性 →移植操作が失敗していて、そもそも移植部位に細胞が移植できていなかった。 →移植後移植細胞が死滅していて、生細胞がいなかったので腫瘍が出来なかった。 ④移植細胞の移植後の動態を十分に検出できない。 偽陰性 →遠隔転移を評価出来ず、見落としていた。有害事象を見逃すリスクのある造腫瘍性試験とは?
①免疫不全動物を十分に検討せず選択した。 偽陰性 →造腫瘍感度が悪く、試験細胞が造腫瘍能を持っているのに検出できない、見落とした。 ②試験protocolが不適切で腫瘍形成を十分検出できない。 偽陰性 →観察期間が不十分で(短すぎて)、腫瘍発生を検出できなかった。 →投与量が少なすぎて、腫瘍発生を検出できなかった。 →投与 方法が不適切であった。 移植部位の微細環境の評価をしていなかった。 ③移植自体が失敗して偽陰性に気付かなかった。 偽陰性 →移植操作が失敗していて、そもそも移植部位に細胞が移植できていなかった。 →移植後移植細胞が死滅していて、生細胞がいなかったので腫瘍が出来なかった。 ④移植細胞の移植後の動態を十分に検出できない。 偽陰性 →遠隔転移を評価出来ず、見落としていた。ヒトに外挿できる、造腫瘍性試験を実施するには
①免疫不全動物の選定 :感度テスト、 陽性対照でTPD50算定 予備試験を 各免疫不全動物に対して実施し、最適動物種を選定する。 ②動物試験の条件の設定:観察期間、投与量、投与 route、投与法、 移植部位の微細環境の評価など、陽性対照でTPD50算定 検出限界を査定 する予備試験を実施。③移植細胞の同定:核染色、ヒト特異抗体(STEM121, Lamin A+C, HNA 3E1.3), ヒト分化抗体、 Ki67陽性率選定、染色予備試験を陽性対照で実施。
④移植細胞の体内追跡試験:label法/検出系の予備試験を実施。
⑤試験細胞の性状や遺伝子情報も知らずに、造腫瘍性試験を行った。
→試験細胞の細胞規格が造腫瘍性試験結果に影響するため、これはリスクというより無謀。
⑤試験細胞の細胞規格: QC/製造記録, exon seq.,mBAND, FISH CGH array 等で染色体 の評価実施のうえで移植試験を開始。
組織染色試験 試験物 遺伝子検査 予備 試験 移植部位 微小環境評価
ヒトに外挿できる造腫瘍性試験にするには
ヒトの細胞の投与 腫瘍が出来ませんでした。qRT-PCR 未分化細胞検出 mBAND, exon seq.
mFISH, G-Band In vitro 微小環境評価試験 造腫瘍性試験 臨床ルート 陽性対照移植でのPilot study dose, period 造腫瘍性試験 皮下移植 陽性対照移植でのPilot study 種選択、dose, period 動物組織での ヒト試験細胞同定
ICH pilot study
造腫瘍性試験 臨床ルート
で移植試験を実施
造腫瘍性試験
皮下移植試験
有効な造腫瘍性試験実施に向けて
実際に臨床で用いる細胞数や投与経路および一連のpilot studyの
結果を勘案し、
試験の合理性とその結果の妥当性を担保できる
一連の試験デザインを組み試験を実施する。
謝辞
(敬称略)
理研 CDB
高橋 正代
万代 道子
鎌尾 浩行
森永 千桂子
坂井 徳子
秋丸 裕司
先端医療振興財団
郷 正博
金村 星余
山本 貴子
鹿村 真之
西下 直希
国立衛生研究所
佐藤 陽治
安田 智
黒田 拓也
草川 森士
中嶋 啓行
実験動物中央研究所
伊藤 守
近畿大学
早川 堯夫
医薬基盤研究所
松山 晃文
ご清聴ありがとうございました。
前臨床試験の科学的な立案と確実な実施が、 被験者の健康被害を未然に防ぎ、