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RIETI - 事業所レベルでのエネルギー効率性の推定とその変化要因の分析―産業集積のエネルギー効率化に与える影響可能性の分析―

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DP

RIETI Discussion Paper Series 16-J-003

事業所レベルでのエネルギー効率性の推定とその変化要因の分析

―産業集積のエネルギー効率化に与える影響可能性の分析―

田中 健太

武蔵大学

馬奈木 俊介

経済産業研究所

独立行政法人経済産業研究所 http://www.rieti.go.jp/jp/

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1

RIETI Discussion Paper Series 16-J-003

2016 年 2 月

事業所レベルでのエネルギー効率性の推定とその変化要因の分析

―産業集積のエネルギー効率化に与える影響可能性の分析―

1 田中健太(武蔵大学)、馬奈木俊介(九州大学大学院) 要 旨 エネルギー効率性の向上はエネルギー資源が乏しい日本において重要なエネルギー政策の ひとつである。とくに原発事故後のエネルギー需給がより厳しい状況下において、さらなる エネルギー効率化の向上可能性を模索する必要がある。これまでエネルギー効率性の推計は 多くの研究により行われてきたものの、工場や事業所の立地する地域性の影響を明らかにし た研究はない。エネルギー利用を地域レベルでより集約化することで産業部門においてもエ ネルギーの効率的利用をより促すことができる可能性は想定されうる。そこで本研究ではエ ネルギー集約産業のなかでも日本の紙パルプ産業及びセメント産業を対象に、事業所レベル におけるエネルギー効率性を推定し、推計されたエネルギー効率性と産業集積との関係性を システム GMM により明らかにする。分析の結果、紙パルプ産業の集積地域においては集積 地域の経営体のエネルギー効率性が向上している結果が示された。一方でセメント産業にお いては産業集積によるエネルギー効率向上効果は示されなかった。こうした結果は産業特性 に依存するものの、産業集積とエネルギー効率性との関係性を示す結果である。

キーワード:エネルギー効率性、生産性分析、産業集積、Data Envelopment Analysis JEL classification: C14, Q40, R11 RIETI ディスカッション・ペーパーは、専門論文の形式でまとめられた研究成果を公開し、活発 な議論を喚起することを目的としています。論文に述べられている見解は執筆者個人の責任で発表 するものであり、所属する組織及び(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 1本稿は、独立行政法人経済産業研究所におけるプロジェクト「原発事故後の経済状況及び産業構造変化がエネルギー 需給に与える影響」の成果の一部である。本稿の分析に当たって経済産業省「工業統計調査」及び「特定業種石油等 消費統計」の調査票情報の提供を受けたことにつき、経済産業省の関係者に感謝する。また、本稿の原案に対して、 経済産業研究所ディスカッション・ペーパー検討会の方々から多くの有益なコメントを頂いた。

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2

1 はじめに

東日本大震災以降、日本企業にとって、エネルギーをいかに効率的に用い、生産活動を行うかとい うことは重要な課題となっている。現在、原油価格の低下により、火力発電の発電コストが大幅に減 少しているものの、今後の再生可能エネルギーの発電シェア増加に伴い、日本全体の電力の発電コス トは増加する可能性が高い。また日本はエネルギー資源の多くを海外からの輸入に依存しているため、 オイルショックが代表されるようにエネルギー供給の不安定性の増加やエネルギー価格の大きな変 化に悩まされる事態が多く発生してきた。今後も日本の企業がエネルギー利用に関する制約に大きく 影響されることは避けることができない。 こうした背景から日本企業は高いエネルギー効率を実現できるように政策的にも企業の自主的な エネルギー効率化の努力も広く行われ、実際に高いエネルギー効率を実現してきた。しかし気候変動 問題に対する対応や東日本大震災以降のエネルギー需給状況を見ても、更なるエネルギー効率の改善 を図る必要がある。そこで本研究では日本の産業のなかでもエネルギーをとくに多量に使用する紙パ ルプ産業とセメント産業のエネルギー効率性を事業所レベルで推計し、どの程度エネルギー効率性の 変化を考察するとともに、とくに高いエネルギー効率を実現している事業所の要因を明らかにするこ とを目的とする。 これまでエネルギーの効率的利用の指標作成、指標を用いた分析は様々行われており、こうした先 行研究ではとくに技術の進歩や普及、及び産業別の違いを分析することに焦点を当てていた。しかし コンパクトシティ―の研究で示されているように、都市の集積(人口密度の上昇)が都市自体のエネ ルギー生産効率性や環境効率に影響する可能性は実証研究結果により示されている(Morikawa, 2012 ; Iwata and Managi, 2015 など)。このような研究から都市レベルでは地域の特性がエネルギー 効率性に影響を与える可能性が示されている。一方で産業集積に関しても産業集積が進むことで、集 積地域に立地する経営体のエネルギー効率が改善される可能性は示されているものの(例えば、 Chertow et al, 2008)、企業や事業所レベルでのエネルギー効率性と産業集積の関係性は明瞭に実証 されていない。本研究ではこれまでのエネルギー効率性もしくはエネルギー生産効率性の先行研究を 踏まえ、事業所レベルのエネルギー効率性を推計し、考察する。また推計されたエネルギー生産効率 性の変化要因を計量分析により地域の属性として産業集積の程度の影響に焦点を当て、その影響を明 らかにすることを試みる。

2 エネルギー生産効率性に関する先行研究及び産業集積の影響可能性

2.1 生産効率性の推計に関する先行研究 これまで企業や事業所の生産効率性に関する分析は産業組織分野をはじめとして多くの研究が行

われてきた。企業、事業所レベルでの生産効率性やTFP(Total factor productivity:全要素生産性)

の変化要因の分析は現実の政策面だけでなく長期的な経済成長の要因を明らかにし、理論的な貢献と しても多くの知見を与えてきた。

とりわけ、生産効率性の議論が盛んにおこなわれてきたのが規制産業に関する分析である。公的規

(4)

3

的にも示されており、国内外において公的な制約の多い企業の生産効率性の分析が広く行われてきた。 例えば日本の事例では電力産業を中心に、都市ガス産業、空港経営など様々な先行研究が存在し、そ うした研究により、規制緩和による生産効率性や生産性の改善効果が実証されている(Nakano and Managi, 2008; Tanaka et al. 2013 など)。

一般的に生産に必要とされる投入要素としては資本ストック(生産設備の量や質)及び労働(労働 者数、賃金など)が代表的である一方で、特定の産業にとってはより重要となる生産要素がある可能 性も否定できない。その代表的なものがエネルギーである。 これまで、エネルギーが重要な生産要素であると考え、生産活動の状況を含めたエネルギー効率性 の推計を行った研究は様々あり、事業所レベルでのデータを用いた先行研究もこれまで行われてきた。 エネルギー生産効率性やエネルギー効率性2の推計にはエネルギー源単位に基づく分析や、生産プロ セスをさかのぼり、エネルギー消費をより厳密に測る工学的な方法もとられる。しかし、生産活動や 技術の変化、既存技術の導入可能性まで考慮したエネルギー生産効率性及びエネルギー効率性の推定 には生産関数に基づいた生産効率性の推計が必要となる。とくに代表的な手法として、関数形を柔軟

に設定可能なDEA(Data Envelopment Analysis: データ包絡分析)を応用した生産効率性の推計方

法が用いられている。

例えばBoyd and Pang(2000)では Input oriented 型の距離関数を仮定した DEA を用い、エネルギ

ーを含めた投入要素全体の節約可能性に焦点を当てて、エネルギー生産効率性を推計している。また Mukherjee(2008)はアメリカの事業所別のデータを用いて同様に DEA を用いたエネルギー生産効率 性の推定を行っている。Mukherjee(2008)では Boyd and Pang(2000)とは異なり、Input oriented 型 の一定の生産投入、産出のもとでのエネルギーの利用のみの効率性に焦点をあてた距離関数の仮定の もと、エネルギー効率性を推計している。またBlomberg et al.(2012)ではスウェーデンのパルプ産業 を対象にDEA を用い、電力消費の削減可能性について分析を行っている。 これまでの先行研究ではエネルギー生産効率性やエネルギー効率性の推計を行い、エネルギー消費 の潜在的な削減可能性を主に焦点を当てており、エネルギー生産効率性及びエネルギー効率性がどの ような要因により変化するかは十分に分析されていない。実際にMartin et al.(2012)では企業の環境 対策を志向する組織的な構造を持つ企業のエネルギー効率(エネルギー原単位)に影響する可能性を 示している。様々な要因がエネルギー生産効率性に影響を与える一方で様々な要因がどの程度エネル ギー生産効率に影響を与えるかは未だに十分に明らかになっていない。 2.2 産業集積のエネルギー効率性に対する影響可能性 前述の通り、産業や企業、事業所におけるエネルギー生産効率やエネルギーの効率的な利用に関し ての分析では企業や事業所の立地する地域性の影響については十分な議論がなされてこなかった。し かしエネルギーの利用にはエネルギーに関するインフラネットワークやエネルギー資源を調達する 2 本稿では、「エネルギー生産効率性」をエネルギーと通常の生産に必要な財(生産資本及び労働)のすべ てを考慮して推計した指標を生産効率性とし、「エネルギー効率性」はエネルギー以外の投入要素の節約 可能性を考慮せずに、エネルギーのみの削減可能性に焦点を当てて、生産効率性を推計した指標を指す。

(5)

4 ための港湾などの輸送ネットワークの状況などの地理的影響によって立地が制約される。実際に紙板 紙生産金額に占める主要化石燃料費用の比率は他の産業に比べ高く、エネルギー費用が企業の意思決 定上に重要な役割を持つ可能性が高い。日本製紙連合会(2013)によると、1990 年代に入り、省エ ネルギーの取り組みなどを進めて紙板紙生産金額に占める主要化石燃料費用の比率は 7%から 10% 程度まで減少させることができたが、依然として他産業と比べ高い比率を示している。 産業集積の要因としてはこれまで多くの実証的、理論的研究がある。前述の通り、中間投入財とし て高い費用比率を持つエネルギーが存在すると考えた場合、ウェーバーの工業立地論(Weber, 1909) に基づくと、エネルギー費用やエネルギーの消費量がより少なくなるような地域に産業が集積する可 能性が指摘できる。実際に伝統的な生産活動では重視されてこなかったが、近年の企業活動には影響 を与えている環境問題への対応についても企業立地に影響を与えている可能性はすでに指摘されて いる(Core et al. 2013)。 しかし一方で産業集積が起こったのちの効果としても、エネルギーの効率的利用を促す効果が発生 する可能性は指摘できる。例えば産業集積による技術スピルオーバー効果である。技術スピルオーバ ーは産業の集積によって、付近の企業の持つ知識を享受できたり、同一産業に携わる他の技術を持つ 企業同士の連携などによって技術進歩が促されたり、経営の効率化が促されるなどの効果が発生する ことを指す。こうした効果により、産業集積地では他の地域よりも生産性の向上が促され、また技術 進歩が促進される可能性が示唆されている。これまでの様々な産業集積と生産性に関する研究におい て、技術スピルオーバー効果の発生が確認されている(Beaudry and Schuffauerova, 2009)。とくに 専門的な労働者の集積によって、産業集積地域における技術スピルオーバーが発生し、集積地域に立 地する企業の生産性が向上している結果は確認されている(Moretti, 2004; Anderson and Lööf, 2011)。 同様にエネルギーの利用効率に関しても同一産業に従事する経営体同士が集積している地域では よりエネルギー効率の高い経営の方法や技術に関する知識がスピルオーバーすることにより、エネル ギー効率が高まる可能性がある。そのほかに集積地域内における同一企業グループによるエネルギー 資源のシェアリング(エネルギー効率の高い資源の利用可能性の拡大)、地域におけるエネルギーイ ンフラネットワークの改良の容易さ(エネルギー需要が集中しているために、より望ましいエネルギ ーを調達するためのインフラ整備が優先的に行われやすい)など様々な利点が存在する。Duration and Puga (2003)では公的なインフラネットワークなどが集積地域ではより容易に利用となる可能性 を指摘しており、結果として経営体の生産性やパフォーマンス向上する可能性が示唆される。こうし た背景から産業集積によってエネルギーの効率的利用が促される可能性が指摘できる。しかし一方で エネルギー集約産業であっても、エネルギーより重要な原材料の調達やその他の立地上の制約が発生 している場合は必ずしも産業集積がエネルギー効率を向上させるとは限らない。例えばセメント産業 においては同様にエネルギー集約産業であるが、原料となる石灰の調達のために、エネルギーインフ ラにアクセスしやすい臨海部には立地がしにくい傾向がある。そのため、産業集積の一般的な生産効 率や技術開発に対する効果と同様に、産業によっても産業集積によるエネルギー効率向上の可能性が 異なる可能性も考えられる。

(6)

5

3 分析手法

3.1 DEA を用いた生産非効率性の測定 本研究では第1 に事業所別のエネルギー生産効率性及び通常の生産効率性を推計する。推計の手法 としては前述の通り、生産効率性の推計の多く用いられてきたDEA を用いる。DEA はインプット要 素(生産要素)とアウトプット要素がそれぞれ複数ある場合においても、生産技術の関数形を特定せ ずに推計を行うことができる手法である 。そのため環境効率性や資源生産性など、これまで単純な 経営活動の効率性の分析に考慮されなかった様々な要因を考慮したうえで経営体の経営活動を分析 することに適した手法である(馬奈木, 2013)。 本研究で用いる推計モデルは、次の通りである。 t 期の生産技術は、実現可能なインプットとアウ トプットの組み合わせとして以下で表される。

  

t

,

t

:

t t

T t

x y

x

can

produce

y

(1) ここで、インプットは M

R

x

、アウトプットは N

R

y

のベクトルである。距離関数 d は次式 で与えられる。

( ,

t t

)

max{ ; (

t

,

t

)

( )}

d x y

 

x y

T t

(2) δは t 期の技術的に実現可能な生産技術(生産フロンティア)である T(t)との距離を捉えるパラメ ーターであり、このδを求めることにより、各企業の相対的な生産非効率性を推定することができる。 つまり同様のアウトプットを生み出している経営体を比較した場合に、最も効率的な経営体を選び出 し、その経営体に比べてどの程度生産投入要素を減少させることが可能かどうかという観点から生産 効率性を推定する方法である。本研究では(3)式に基づいた最適化問題より生産非効率性を推定する。 ( )

( ,

)

max

,

. .

1

1

0,

(3)

T t t t i t t i t t

d

x y

s t

Y

y

X

x

N

 

 

 

DEA の生産効率性の推計には CRS(Constant Return to Scale: 規模に対して収穫一定)もしく

はVRS(Variable Return to Scale:規模に対して収穫不変)のどちらかを仮定して推計を行う。本

研究ではCRS 及び VRS をそれぞれ仮定した生産非効率性を推計し、その推計結果をもとに生産性指

標を算出する。それぞれの仮定に基づいた推計結果を用いることにより、規模による生産効率の変化 と純粋な効率性の変化を分離することが可能となる。詳細については次節にて説明を行う。エネルギ

(7)

6 ー生産効率性として、インプット変数に各事業所の有形固定資産額と従業員数に加え、エネルギー投 入量(総投入熱量)を用いることにより、エネルギー生産非効率性を測り、次節で示す生産性指標の 測定方法よりエネルギー生産効率性の変化(以下、TFPC-ENとする)を算出する。また同時に各事 業所の有形固定資産額と従業員数のみをインプット変数として用いた一般的な生産効率性の推定結 果を用いて、通常の生産効率性の変化(以下、TFPCとする)を算出する。 3.2 Malmquist 生産性指標の産出と各指標の分離

本研究では前述に述べた生産効率性の推定結果に基づいて TFPC(Total factor productivity

change: 全要素生産性変化)を計算する。Chambers et al. (1996) に基づき、TFPCは経営体自体の

生産効率性改善により生産効率性変化である生産効率性変化(EFCH)と、生産フロンティアの全体 が上昇することによる生産効率性の変化である技術変化(TECH)に分解することが可能である。 TFPC、EFCHとTECHはそれぞれ下記の(6)式より計算される。ここでエネルギー生産効率性の変 化である TFPC-EN を(6)式に分解し、エネルギー生産効率性変化における生産効率性変化を EFCH-EN とし、技術変化を TECH-ENとする。それぞれの生産性指標を分解し、分析に用いるこ とにより、より詳細にエネルギー生産効率の変化要因を分析する。また本研究では CRS 及び VRS、 それぞれの仮定で推計した生産効率性を用いることにより、EFCH を規模の変化による効率性変化 (SECH)と純粋な技術効率性の変化(PTCH)の2 つに分離が可能である。(6)式において、

d

T t( )前述の通り距離関数を示し、t は年を示す。つまり

d

T t( )

( ,

x y

t t

)

は t 期の生産フロンティアに対して、 ある経営体の t 期の投入産出状況に基づいた生産非効率性を示している。

TFPC

EFCH TECH

SECH

PTCH TECH

( 1) 1 1 ( )

(

,

)

.

( ,

)

T t t t T t t t

d

x

y

EFCH

d

x y

  

1/ 2 ( ) ( ) 1 1 ( 1) ( 1) 1 1

( ,

)

(

,

)

(6)

( ,

)

(

,

)

T t t t T t t t T t t t T t t t

d

x y

d

x

y

TECH

d

x y

d

x

y

     



 







しかしTFPC-ENには通常の経営体の生産性の変化も含んだものとなっており、純粋にエネルギー 効率を改善した効果を示すことができない。そこで通常の生産性指標とエネルギーを考慮したエネル ギー生産性指標それぞれの生産指標を用い、(7)式より、エネルギーの効率的な利用に焦点を当てた

(8)

7

-

-

--

-

-(7)

TFPC EN

EFCH EN

TECH EN

TEEI

TFPC

EFCH

TECH

SECH EN

PTCH EN

TECH EN

SECH

PTCH

TECH

TEEI (Total energy efficiency index)はエネルギー利用効率と生産効率を含んだTFPC-ENを生産

効率のみを考慮したTFPC で除することで求める。またEFCH-ENをEFCHで、TECH-ENをTECH

で同様に除することによって、エネルギー効率のみを考えた場合の生産効率改善効果(

EFCH EN

-EFCH

以下EFCH-EEIと表記する)と技術変化(

TECH EN

-TECH

、以下TECH-EEIと表記する)を計算すること

が可能である。同様にエネルギーを考慮したSECH-ENとPTCH-ENもそれぞれ、通常のSECHと

PTCHをそれぞれ除することで、エネルギー効率のみへの貢献を計算可能となる(

SECH EN

-SECH

を以 下ではSECH-EEI、

PTCH EN

-PTCH

を以下ではPTCH-EEIと表記する)。 3.3 システム GMM によるエネルギー効率性指標(EEI)の変化要因分析 前述述べてきた各エネルギー効率性指標と産業集積指標を用いて、産業集積によるエネルギー効率 の改善に対する影響を分析する。変化要因の分析は(8)式の推計式に従い、システム GMM を用いた 計量分析を行う。これまでの先行研究に示されているように、経営体の意思決定を考慮した場合、意 思決定前の時期の自己の生産性が変化しているかどうか観察した後で意思決定を行っていること可 能性がある。そこで1 期前の生産性指標の変化をモデルに用いる。しかし、こうした意思決定を反映

した指標を説明変数に用いた場合、内生問題が発生する可能性が高い。そこで Zhengfei and Oude

Lansink (2006)は DEA を用いた生産性指標の変化要因分析に 2 期前の生産性指標を操作変数とする

システム GMM を用いることを提案している。そのため本分析においても、システム GMM を用い

分析を行う。i は事業所、t は年を示す。

, , 1 , 2 ,

i t i t i t i t t i

EEI

EEI

EEI

AG

Oil

  

c

u

(8)

被説明変数(EEI)としては、推計されたエネルギー効率性指標を用いる(TEEI、EFCH-EEI、

TECH-EEI)の値を用いる。それぞれの指標を被説明変数としたモデルに基づいて同様の説明変数で

変化要因を分析することにより、エネルギー効率全体の変化だけでなく、そのエネルギー効率の変化 が経営体自体の効率改善なのか、産業全体で発生している改善効果なのか分けて理解することができ る。

(9)

8

説明変数として、第一に産業集積の指標(AG)を用いる。AG は Marshall の集積効果を捕える指 標として各事業所が立地する地域の同一産業に従事する従業員の全国シェアを用いる。雇用者数のデ ータに関しては工業統計調査に基づき計算を行う。またエネルギー価格の変化を考慮するために、

WTI 原油先物価格データ(IMF, 2015)を変数として加える(Oil)。c は定数項、u は事業所 i 固有の効

果を捉える変数である。

4 データ

本研究では日本の紙パルプ産業及びセメント産業における個々の企業のエネルギー生産効率性及 び通常の生産効率性を推定する。通常の生産効率性の推定には生産投入要素として不可欠となる労働 力と生産資本を捉える指標を用いる。労働力の指標として各事業所の「延べ常用労働者数」を用い、 さらに生産資本の代理変数として「有形固定資産年初残高」を用いる。さらにエネルギー生産効率性 の推定の際には、労働力、生産資本に加え、生産に必要な「最終消費エネルギー量(ギガジュール: GJ)」を投入要素として加える。「延べ常用労働者数」及び「有形固定資産年初残高」については、 経済産業省が行っている工業統計調査(経済産業省, 各年)の事業所別個票データから用いる。対象 となる紙パルプ産業は産業分類コードのなかで製造業の「パルプ・紙・紙加工品製造業」として産業 分類されている事業所を対象(産業分類コード 14)とし、セメント産業に関しては「窯業・土石製 品製造業 (10)」(産業分類コード 21)とする3 一方で最終消費エネルギー量においても経済産業省が行っている特定業種石油等消費統計(経済産 業省, 各年)の事業所別個票データを用いる。ただし、特定業種石油等消費統計では事業所別の各燃 料や資源別の消費量の記載が行われているが、各事業所において使用しているエネルギーが様々であ り、投入されている燃料や資源が各事業所で異なっている。そこで本分析では各事業所が経営活動に 使用している燃料及び資源を熱量ベースに変換し、熱量の投入量をエネルギー投入の量として、エネ ルギー生産効率性の推計に用いる。エネルギー消費量各エネルギー要素(石炭、石油、都市ガス、そ のほかの天然ガス、LPG など化石燃料使用量、蒸気、廃材など)4に関して、総合エネルギー統計(経 済産業省, 各年)のエネルギー原単位をもとに消費エネルギー量を計算する。エネルギーの消費動向 については工業統計調査においても、エネルギーに関する支出の項目が変数として捉えられるが、石 油等消費統計を用いることにより、より実際のエネルギー消費量を、各エネルギー消費項目を正確に とらえることができ、技術的なエネルギー効率改善について、より正確な分析が可能となると考えら れる。一方で生産のアウトプット変数は、事業所ごとの「出荷金額等合計5」を前述の工業統計調査 から用いる。各統計調査の個票データのうち、本研究では2000 年から 2010 年の調査データを用い 3特定業種石油等消費統計においては窯業・土石製品製造業に含まれるセメント産業とガラス産業とを分け た調査統計を行っており、本研究におけるセメント産業に区分される事業所は石油等消費統計の区分に基 づく対象事業所となっている。 4 石油、ガソリン、灯油など液体の燃料に関しては kℓを単位として用いる。また石炭や廃材などの個体燃 料及び蒸気に関してはt(トン)を単位として用いる。都市ガス、天然ガスなどの気体燃料に関して1,000 ㎥を単位とし、電力に関しては1,000kwh を単位として用いている。 5 各年で表記されている項目名がことなる場合があるが、本研究では製造品の出荷額だけでなく、修理等 で発生した売り上げに関しても含み、各年で同等に該当する項目を「出荷額等合計額」として利用した。

(10)

9 て分析を行う。 工業統計調査のデータは日本全国の製造業に関わる事業所について、その生産活動の状況を毎年調 査しており、従業者3 人以下の事業所を除くすべての事業所を対象として行っている。しかし、一方 で特定業種石油等消費統計に関しては一定規模以上の事業所の全数調査として行われており、紙パル プ産業においては従業者数50 名以上の規模の事業所のみが対象となる。 そのため、特定業種石油等消費統計で対象となる事業所をもとに、工業統計調査とのデータ接合作 業を行った6。最終的に今回の分析対象期間において、パネル化できる事業所を分析対象とし、結果 的に紙パルプ産業においては135 事業所のデータサンプル(全サンプル:1215 サンプル)をもとに 分析を行い、セメント産業においては66 事業所のデータサンプル(全サンプル:660 サンプル)を 用い分析を行った。

5 結果

5.1 Malmquist 生産性指標の推計結果 表1 及び表 2 は紙パルプ産業、及びセメント産業における各エネルギー効率性指標の変化の推移を 年平均で示したものである。また図1、図 2 は表 1、及び表 2 の年平均の推移を線グラフ化したもの である。Malmquist 生産性指標は 1 を基準に、1 を超えた場合には生産性の向上が示されていること を意味し、1 を下回った場合には生産性の減少が発生していることを示している。まず紙パルプ産業 においては2000 年から 2010 年の分析期間において、平均で 0.5%ほどエネルギー効率全体(TEEI) が向上していることが見受けられる。とくに2000 年代前半よりも、後半はよりエネルギー効率性の 改善傾向が見受けられる。2000 年代前半ではエネルギー効率改善の大きな要因は個々の事業所自身 の効率性改善(EFCH-EEI)に依る傾向があるが、とくにこの効率性改善の原因は規模の経済性に依 拠する部分が大きいことがSECH-EEIの推移から読み取れる。一方で2000 年代後半ではEFCH-EEI の効果は少なくなり、TECH-EEIが TEEIの効率性向上に貢献していることがわかる。この結果は 2000 年代後半にエネルギー効率性の高い事業所がより高くなる一方で、エネルギー効率性が低い事 業所のエネルギー効率化が比較的遅れている可能性がある。表3 は紙パルプ産業における各エネルギ ー効率性指標の標準偏差を各年で示した表である。2000 年代前半と比べて、TEEI の標準偏差は減 少しており、このことは事業所間のエネルギー効率のばらつきが少なっていることを示している。こ うした結果から、2000 年代後半においてエネルギー効率性の変化は産業全体ではエネルギー効率性 の高い事業所はより改善を進めているものの、エネルギー効率性が低かった事業所に関しては生産フ ロンティア上のエネルギー効率性の高い事業所に追いつくほどの効率化が進んでいない傾向が示さ れていると考えられる。2002 年から 2003 年にかけては大きく各指標の推移が変化しているが、この 原因は紙パルプ産業における事業再編が活発に行われた時期であると考えられ、その影響が大きく影 6 工業統計調査と特定業種石油等消費統計との間で共通する事業所番号は存在しないために、工業統計調 査の個票調査名簿と特定業種石油等消費統計に記載のある企業名、事業所名、住所、電話番号をもとに同 一事業所であると判別できる事業所を抽出した。

(11)

10 響していると考えられる。

一方でセメント産業においては、2000 年から 2010 年の間でのエネルギー効率化全体の改善は平均

で0.06%程度であった。しかし 2000 年代前半と比べると 2000 年代後半においてはエネルギー効率

性の向上は進んでおり、EFCH-EEIの向上によってTEEIの向上が見受けられる。とくにEFCH-EEI

が向上した効果として大きいのは SECH-EEI の向上であり、セメント産業においては2000 年代後 半に事業所の規模の効果によってエネルギー効率性が向上している結果を示している。表4 に示して いる各事業所間における各エネルギー効率性指標のばらつき(標準偏差)を見ると2000 年代前半で はすべてのエネルギー効率性指標においても標準偏差が低い。 一方で2000 年代後半になると標準偏差の値はすべてのエネルギー効率性指標において高くなる傾 向が示されている。このことは近年のセメント産業では規模の大きさに依存してエネルギー効率化が 進むため、規模の比較的小さい事業所のエネルギー効率化が進まない傾向を示している可能性がある。 このように紙パルプ、セメントともに、年を経るごとにエネルギー効率性に与える要因が変化してお り、地域間におけるエネルギー効率性の差も発生している可能性があると言える。表5 は紙パルプ産 業及びセメント産業における主要な地域の平均の各エネルギー効率性指標を示している。表に見られ るように、地域間の差異は各指標間で見受けられ、地域間での違いが発生していることが見受けられ る。 5.2 産業集積のエネルギー生産効率性の影響分析 前節に示した通り、エネルギー効率性の変化は産業間でも傾向が異なっており、事業所間のエネル ギー効率性のばらつきも発生している。こうしたエネルギー効率性の変化に地域性、とくに本研究で 着目する産業集積の程度が影響するか、システムGMM を用いて分析を行う。推計の結果は表 6(紙 パルプ産業)及び表7(セメント産業)に示す。 紙パルプ産業を対象とした推計の結果では、集積の指標となる AG はエネルギー効率全体を示す指 標(TEEI)と有意に正の関係性がある結果が示された。エネルギー効率性のなかでも、それぞれの 事業所自身のエネルギー効率性の変化を示すEFCH-EEIは産業集積と有意な関係性は示されなかっ た。一方で産業全体のエネルギー効率改善を促す効果の指標であるTECH-EEIとの関係性について は、産業集積と負に統計学的に有意な推計結果が示された。この結果、産業集積指標である AG は産 業全体のエネルギー効率改善を促す効果(TECH-EEI)とは負の関係性を示している。こうした結果 は紙パルプ産業において産業集積はエネルギー効率化を改善する効果が全体としてはあるものの、産 業集積においては生産フロンティアを押し上げるような新しい技術進歩の停滞している可能性があ る。 エネルギー価格の変化の指標として用いた Oil に関しても AG と同様にエネルギー効率性全体に正 の影響を与えるが、TECH-EEI に関しては負の関係性を示している。こうした結果はエネルギー利 用価格が上昇することによって個々の事業所のエネルギー効率改善のための努力が促されるが、産業 全体の生産フロンティアを押し下げる効果がある可能性を示している。エネルギー利用価格の上昇は エネルギー効率の改善を促すものの、抜本的な技術進歩や省エネルギーのための大きな投資や技術変

(12)

11 更自体は短期的な価格変動で十分に促されないため、このような結果を示していると考えられる。 一方で、セメント産業の結果では AG とエネルギー効率全体の関係性は負に有意な関係性が示され た。セメント産業においては産業集積指標とEFCH-EEIとの間では統計的に正の関係性が示された。 しかしTECH-EEIとの間で統計的に負の関係性が示され、結果としてTEEIとは負に有意な関係性 を示す結果が得られた。こうした結果はセメント産業において、産業集積地においてはエネルギー効 率性の低い事業所のエネルギー効率性の改善効果が期待されるが、生産フロンティアを向上させる効 果は乏しく、結果的に産業全体のエネルギー効率性を押し下げる効果が働くことを示している。この 結果はセメントの産業の技術的な制約に基づく原因と、産業の構造自体の問題が原因となっている可 能性がある。 紙パルプ産業において、熱利用(蒸気)が大きな比重を占め、現在ではエネルギー効率性の高いコ ージェネレーションが普及している地域がある。こうした地域においてはガスパイプラインとの接続 がより効率的なエネルギー利用には必要である。日本におけるガスパイプラインの敷設は民間企業が 主となり行っており、大きなエネルギー需要がある地域においてはガスパイプラインを敷設要請にも こたえられる可能性が高い。実際にChertow et al.(2008)ではプエルトリコの産業集積地域において、 地域的に同業集、または異業種間でコージェネレーションシステムを活用することによってエネルギ ー効率を高めている事例が示されている。日本においても紙パルプ産業の集積地域である富士市では 分散型エネルギーインフラプロジェクトとして、コージェネレーション設備を中心としたエネルギー 効率の高い地域づくりが目指されている。また紙パルプ産業が集積する地域は港湾施設とのアクセス が近い地域(例えば四国中央市など)が多く、エネルギー資源をより容易に調達することが可能な地 域であると言える。このように紙パルプ産業の集積地域においては、紙パルプ産業のエネルギー利用 に適した公共的な設備、インフラ利用がより容易となりエネルギー効率改善の要因になっている可能 性が示唆される。 一方でセメント産業においては原料となる石灰鉱山などが山間部等にあり、原材料利用のための立 地制約が大きい。そのためエネルギー効率の高いエネルギーインフラネットワークとの接続できる可 能性が低いと考えられる。また生産効率の面からみても、セメント産業における規模の経済性が高ま る可能性は指摘できる。セメント産業においては生コンクリート製造のように、技術的に製品を供給 するエリアが特定されてしまう事業所も多く存在する。そのため地域内で産業集積が進むことで、各 事業所の得られるマージンが減少せざる得なくなり、結果としてそうした地域の市場構造が売上等の エネルギー効率を推計する際に指標に影響を与える可能性がある。実際にアメリカにおけるセメント 産業の分析では、セメント産業のそうした特性から地域的な市場支配によって価格の差別化が発生し ていることが実証されている(Miller and Osborne, 2014)。そのため、規模によるエネルギー効率 改善の効果はそうした地域の産業構造自体が影響している可能性もある。

6 考察

本研究の結果、産業集積と事業所レベルのエネルギー効率性との間に関係性があることが示された。 これまで集積の経済性に関しては通常の生産効率性の改善可能性について言及されてきた。しかし、

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12 エネルギー自体が重要となる産業においてはエネルギーも重要な生産要素として認知され、企業や事 業所の生産活動の意思決定に反映される。そのため、産業集積の効果としてインプット自体の効率的 な利用を促進させる産業集積の様々な正の効果がエネルギー生産効率性も向上させる可能性がある と考えられる。 本研究の結果、紙パルプ産業において産業集積によるエネルギー効率化の効果が発生している可能 性が示された。ただし、地域のエネルギーインフラネットワーク(港湾やガスパイプラインなど)に 対するアクセス改善効果なども考えられるものの、紙パルプ産業においては本研究で推計されたエネ ルギー効率化指標と産業集積指標との間に有意に正の関係性が示され、エネルギー効率性全体を向上 させる効果が期待される可能性が示された。 一方で、セメント産業においては産業集積によるエネルギー効率改善効果が示されなかった。この 結果はセメント産業におけるより重要となる中間投入財である原材料調達のための立地制約の問題 などが影響している可能性が高い。こうした結果は産業集積のエネルギー効率改善効果が産業特性に 大きく影響を受ける結果も示している。 東日本大震災以降、より省エネルギーであり、持続可能な社会の構築が求められている。そのため、 今後もより企業のエネルギー利用効率を高める施策は重要となる。これまでのエネルギー効率の議論 はとくに技術進歩や普及に注目をしていた。しかしながら技術普及には産業集積をはじめとする地域 の特性が大きな影響を与える。そのため、産業集積など、地域の特性の影響を含め、エネルギー効率 化のための施策が必要であると考える。本研究の結果から産業集積が経営体のエネルギー効率を改善 する可能性が示されたが、一方で産業特性を十分に考慮する必要性も示された。そのため、今後の産 業部門の省エネルギー政策としては、地域の特性と産業の特性を考慮したうえで産業集積をはじめと した地域の産業政策を考えることで、より省エネルギーな地域経済の構築が可能となると考えられる。

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13 <引用文献>

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経済産業省(各年) 特定業種石油等消費統計 個票. 経済産業省個票(各年) 工業統計調査 個票.

(15)

14

日本製紙連合会 技術環境部(2013)紙・パルプ産業のエネルギー事情 2013 年度(2012 年度実績) 版

馬奈木俊介(2013) 環境と効率の経済分析―包括的生産性アプローチによる最適水準の推計, 日本経 済新聞社.

(16)

15

表1 紙パルプ産業におけるエネルギー効率性指標の年平均推移

EEI

TEEI EFCH-EEI TECH-EEI PECH-EEI SECH-EEI

2000-2001 0.999 1.660 0.762 1.094 1.506 2001-2002 0.990 1.182 0.865 1.154 1.035 2002-2003 1.000 0.646 1.773 0.843 0.791 2003-2004 1.016 1.039 0.980 1.012 1.028 2004-2005 1.005 1.006 1.008 1.011 0.994 2005-2006 1.012 1.031 0.987 1.009 1.020 2006-2007 1.014 1.037 0.980 1.026 1.009 2007-2008 1.006 0.983 1.025 1.001 0.985 2008-2009 1.024 0.993 1.033 1.002 0.996 2009-2010 0.987 0.950 1.046 0.982 0.968 2000 年代前半 1.002 1.107 1.078 1.023 1.071 2000 年代後半 1.008 0.999 1.014 1.004 0.995 平均 1.005 1.053 1.046 1.013 1.033 表2 セメント産業におけるエネルギー効率性指標の年平均推移 年 EEI

TEEI EFCH-EEI TECH-EEI PECH-EEI SECH-EEI

2000-2001 1.001 0.982 1.021 0.994 0.990 2001-2002 1.004 0.945 1.065 0.965 0.982 2002-2003 0.998 0.990 1.010 1.003 0.989 2003-2004 1.006 0.999 1.010 1.009 0.990 2004-2005 0.995 1.007 0.991 1.026 0.983 2005-2006 1.001 0.995 1.011 0.977 1.019 2006-2007 1.011 0.999 1.014 0.991 1.010 2007-2008 1.004 1.177 0.878 1.063 1.111 2008-2009 1.031 0.960 1.087 0.987 0.975 2009-2010 1.005 0.986 1.038 1.034 0.959 2000 年代前半 1.001 0.985 1.020 0.999 0.987 2000 年代後半 1.011 1.023 1.006 1.010 1.015 平均 1.006 1.004 1.013 1.005 1.001

(17)

16

表3 紙パルプ産業におけるエネルギー効率性指標の標準偏差年平均推移

EEI

TEEI EFCH-EEI TECH-EEI PECH-EEI SECH-EEI

2000-2001 0.073 1.296 0.261 0.245 1.043 2001-2002 0.064 0.232 0.161 0.191 0.180 2002-2003 0.059 0.175 1.039 0.145 0.228 2003-2004 0.232 0.260 0.042 0.160 0.144 2004-2005 0.167 0.196 0.091 0.150 0.105 2005-2006 0.162 0.178 0.065 0.115 0.125 2006-2007 0.201 0.197 0.063 0.150 0.107 2007-2008 0.052 0.063 0.043 0.080 0.065 2008-2009 0.056 0.074 0.053 0.084 0.088 2009-2010 0.068 0.102 0.087 0.073 0.070 2000 年代前半 0.119 0.277 0.190 0.139 0.215 2000 年代後半 0.108 0.123 0.062 0.100 0.091 平均 0.113 0.277 0.190 0.139 0.215 表4 セメント産業におけるエネルギー効率性指標の標準偏差年平均推移 年 EEI

TEEI EFCH-EEI TECH-EEI PECH-EEI SECH-EEI

2000-2001 0.032 0.053 0.041 0.054 0.066 2001-2002 0.029 0.051 0.053 0.059 0.053 2002-2003 0.016 0.044 0.045 0.058 0.042 2003-2004 0.045 0.090 0.049 0.062 0.044 2004-2005 0.027 0.062 0.048 0.075 0.042 2005-2006 0.019 0.061 0.075 0.052 0.051 2006-2007 0.080 0.042 0.095 0.053 0.047 2007-2008 0.073 0.249 0.134 0.146 0.211 2008-2009 0.084 0.116 0.141 0.076 0.116 2009-2010 0.123 0.199 0.136 0.237 0.090 2000 年代前半 0.030 0.060 0.047 0.061 0.049 2000 年代後半 0.076 0.133 0.116 0.113 0.103 平均 0.053 0.097 0.081 0.087 0.076

(18)

17

表5 紙パルプ産業及びセメント産業の主要地域における各効率性指標の平均値

表5.1 紙パルプ産業における各地域の効率性指標平均値

TEEI EFCH-EEI TECH-EEI PECH-EEI SECH-EEI

北海道 1.0043 1.0117 1.0138 1.0083 0.9995 岐阜県 1.0135 1.0516 1.0281 1.0106 1.0316 静岡県 1.0078 1.0306 1.0382 1.0127 1.0163 大阪府 1.0081 1.1667 1.1409 1.0270 1.0716 愛媛県 1.0125 1.1019 1.0987 1.0138 1.0820 表5.2 セメント産業における各地域の効率性指標平均値

TEEI EFCH-EEI TECH-EEI PECH-EEI SECH-EEI

北海道 1.0000 0.9997 1.0118 1.0052 0.9942 茨城県 1.0031 1.0140 1.0126 1.0158 0.9984 栃木県 1.0217 1.0335 1.0083 1.0287 1.0048 埼玉県 1.0034 0.9924 1.0183 0.9948 1.0003 山口県 1.0060 1.0057 1.0114 1.0117 0.9957 福岡県 1.0027 0.9978 1.0064 1.0027 0.9955

(19)

18

表6 紙パルプ産業におけるEEIの変化要因分析

被説明変数(EEI)

説明変数 TEEI EFCH-EEI TECH-EEI

Indext-1 -0.2813*** -0.3789*** -0.1148*** (-28.55) (-33.28) (-47.97) Indext-2 0.0847*** -0.1743*** -0.2416*** (9.34) (-26.95) (-108.18) AG 1.5116** 0.1156 -2.5218*** (3.82) (0.31) (-6.15) Oil 0.0001** 0.0018*** -0.0056*** (2.21) (18.75) (-98.04) c 1.1776*** 1.4211*** 1.8276*** (63.18) (71.52) (185.17) AR1 -4.00*** -4.16*** -3.95*** AR2 0.57 2.21** 2.55** Sargan 287.50*** 355.61*** 1289.67***

※( )内の数値は t 値を示している。AR1 及び AR2 は Arellano-Bond test の結果を示しており、Sargan

はSargan test の結果を示している。*は 10%水準、**は 5%水準、***は 1%水準で統計的であるこ

(20)

19

表7 セメント産業におけるEEIの変化要因分析

被説明変数(EEI)

説明変数 TEEI EFCH-EEI TECH-EEI

Indext-1 0.0192*** -0.1545*** -0.2130*** (11.05) (-66.67) (-59.86) Indext-2 0.0325*** -0.1181*** -0.2557*** (31.49) (-79.53) (-69.99) AG -11.2158** 19.2952*** -33.0314*** (-26.75) (15.86) (-14.60) Oil 0.0004*** 0.0052*** -0.0002*** (21.68) (25.57) (-98.04) c 0.9523*** 1.2227*** 1.5280*** (426.18) (412.00) (301.97) AR1 -1.84* -3.85*** -3.90*** AR2 1.06 0.68 1.80* Sargan 122.35** 338.10*** 346.16***

※( )内の数値は t 値を示している。AR1 及び AR2 は Arellano-Bond test の結果を示しており、Sargan

はSargan test の結果を示している。*は 10%水準、**は 5%水準、***は 1%水準で統計的であるこ

(21)

20 図1 各期間平均のエネルギー効率性指標の推移(紙パルプ産業) 図2 各期間平均のエネルギー効率性指標の推移(セメント産業)

0.400

0.600

0.800

1.000

1.200

1.400

1.600

1.800

Index

Year

TEEI

EFCH-EEI

TECH-EEI

PECH-EEI

SECH-EEI

0.800 0.850 0.900 0.950 1.000 1.050 1.100 1.150 1.200 1.250 1.300 生 産性指 標 年 TEEI EFCH-EEI TECH-EEI PECH-EEI SECH-EEI

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