学級の荒れ行動に対する生徒の意識と学級担任の関わり行動との関係
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(2) 目 次 第1章問題の背景..................................... .3. 1−1.はじめに...、...... .3. 1−2.「新しい荒れ」と「学級崩壊」.... .3. 1−3.中学校における「荒れ」......、....、............... ......4. 1−4.教師一生徒間における信頼関係の重要性.... .5. 1−5.教師の関わりと学級の雰囲気......、........ 1−6.先行研究を踏まえて.......................、...... ..........6 .......... 第2章研究の目的................、................ .7. .9. 2−1.目的........ .、...............,.....I..,..、IIII,.,....II..9. 2−2.仮説............、......1...... ............9. 第3章調査 I........... .10. 3−1.目的...........、...,,。.、......、、.,..I.、、、.II,,.、........、......... 3−2.方法........ ..、10. .10. 3−2−1.調査対象........... ..10. 3−2−2.調査内容、......................、............ 3−2−3.調査時期.... .10 ..10. 3−2−4.手続き............、.......................、......... 3−3.結果............、................... .10 ...11. 第4章調査血........... .12. 4−1.目的..、.................... .!2. 4−2.方法......................... .12. 4−2−1.調査対象...、.......... .12. 4−2−2.調査内容.................. ..12. 4−2−3.調査時期........................、............... .12. 4−2−4.手続き....、...... ............... ..12. 4−3.結果........ ..12. 第5章調査皿........................................ ......... 5−1.目的.、....... .13. 5−2.方法.................................. .13. 5−2−1.調査対象.............. .13. ............13. 5−2−2.調査内容......... .13. 5−2−3.調査時期、....、.............................、... ...14. 5−2−4.手続き,...... .14. 1.
(3) 5−3.結果..........................、.、.............. .14. 5−3−1.尺度構成........ .14. 5−3−2.各尺度の基本統計量と学年差・性差............... ,17. 5−3−4.「学級の荒れ」,「学級担任の生徒への関わり行動」との関係...... .20. 5−3−4.学年ごとに検討........................................... 第6章考察......................、.................、.................. ...21 ...27. 6−1.各尺度の基本統計量と学年差・性差にっし)て......、... .27. 6−2.「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識と「学級の荒れ」.. .28. 6−3.r許されない」意識とr学級担任の生徒への関わり行動」の関係...... .28. 6−4.1年生・2年生と3年生の違レ).......... ...29. 6−5.実践への示唆......................... ...30. 6−6.本研究の限界と今後の課題.......... 引用文献.....................、.................................、................、.....................、.... 謝辞............、.......、............ APPENDD【1........................」...、......1...........,...、.....、....、...........、.、.......、..I、、,...、.. APPENDIX2.............、.....、、...................1...1.........、................、..........................、. .32 ......34 ....、.......37. ............. .39. ..38.
(4) 第1章 問題の背景 1−1.はじめに. 「学級(学校)の荒れ」「学級崩壊」「授業崩壊」とい一う言葉を聞くようになって久しい。. 尾木(1999)によると,「学級崩壊」が「テレビや新聞を一斉に賑わせ始めたのは,1998年. から」である。また,全国の家庭や学校に衝撃波を放ったのは,NHKスペシャル番組「学 級崩壊」(6月19日放映)だった。あれから,10年の歳月が経ったが,今では「いじめ」「不 登校」とともに,「学級崩壊」はどの学級,どの学校にも起こりうる問題として理解される ようになっている。小学校の「学級崩壊」は,中学校では「授業崩壊」から「学級の荒れ」 さらには「学校の荒れ」へと展開していく。. 戦後日本のめざましい経済成長の背景には,「国民の高い教育水準とそれを支えている学. 校教育にある」と,日本の学校教育は海外からも高い評価を受けていた。そして,先進国 には珍しい「40人学級を維持できたのも,授業の規律・秩序が厳然と生きていたからだ」 と言われている(高橋,2001)。しかし,今その学校教育が揺らいでいる。. こうした情況を打開する道は,どこにあるのだろうか。その糸口を,教師と生徒との日 常の関わりから探ってみたいと思う。. 1−2.「新しい荒れ」と「学級崩壊」. 松浦・中川(1998)によると,r荒れ」は,もともと1980年代の中学・高校の校内暴力(対 教師暴力や器物破損)に代表される生徒の攻撃行為を指していた。その中心は「ツッパリ生 徒」や「不良生徒」たちであった。1990年代後半からは,「普通の子ども」たちによる「新. しい荒れ」が問題となった。噺しい荒れ」には,①「突発的な攻撃行為」で明確な理 由が見あたらない場合が多い,②「普通の子ども」の「問題行動」である,③小学校段. 階にまでr年齢下降している」,④授業の不成立やr学級崩壊」に発展する,という特 徴が見られる。近年は,rr学び』からの逃走」(佐藤,2000)と言われるように学習意 欲が乏しい生徒が増え,授業規律が乱れ「授業崩壊」といった問題も生じている。 松浦・中川(1998)は,「荒れ」について,「子どもたちの攻撃行動によってもたらされる. 学校,学級規範への逸脱ならびに日常の教師の教育活動の機能不全の状態」と定義づけて いる。この「荒れ」が,現在は噺しい荒れ」の4?の特徴を持って生じているといえる。 この「新しい荒れ」のもとで起こってきた「学級崩壊」について,河村(1999)は「教師. が学級集団を単位として授業や活動を展開することが不可能になった状態,集団の秩序を 喪失した状態」と定義している。これに対して,尾木(1999)は「小学校において,授業 中,立ち歩きや私請,自己中心的な行動をとる児童によって,学級全体の授業が成立しな い現象」と定義し,「学級崩壊」を小学校に限定している。「学級崩壊」を①小学校の問題,. ②授業の不成立,③クラス全体の問題として捉え,小学校の「一人担任制」から生じてく.
(5) る問題であるとする。「学級のもつ日常機能(生活・学習機能)の不全・解体状態」とする 見方では,「中・高・大学の現象まで『学級崩壊』でくくってしまう拡散した方向へ議論が 進んでしまう」と批判する。そして,中学校では,教科担任制を取っていることから,「授 業崩壊」として把握すべきであり,生活機能解体については,「学級活動崩壊」と特定すべ きであるとしている。このように,「学級崩壊」については,教育上の課題としてどのよう に位置づけるのかによって,そのとらえ方が異なっている。. 現在の「荒れ」と1980年代の「荒れ」との違いについて,小林(2001)は「学級」で「荒. れ」が生じていることに注目している。そして,中学・高校・大学も含めて「授業が成立. していない状況」をr新しい荒れ」と呼んでいる。また,こうしたr新しい荒れ」の背景 に子どもたちが集団生活を楽しめなくなっていることがあると指摘する。尾木(1999)は,. 引き金となる子の存在が「学級崩壊」の原因ではなく,その他大勢の引きずられやすい「フ. ラフラっ子」に注目すべきであると指摘する。現代の中学校での「荒れ」を考える場合に は,尾木(1999)や小林(200ユ)が言うように,特定の指導困難な生徒に注目する以上に,. それに同調するかも知れないその学級に所属する他の生徒たちにどのように関わっていく かを,考える必要があると思われる。. 小学校の「学級崩壊」を研究した河村(1999)によると,教師と生徒の交流には,①文 化の継承(学習指導),②社会性の育成(生徒指導),③自己の確立の援助の3つ側面がある。. 教師のリーダーシップには,指導(①と②)と援助(③)の2つの柱がある。小学校では 「指導も援助も乏しいタイプ」(指導できない放任教師),「指導に偏って発揮するタイプ」 (管理的な教師),「援助に偏って発揮するタイプ」(友達教師)の教師の学級が,「学級崩. 壊」に向かっていくことを明らかにしている。小学生とは発達段階の異なる中学生ではど うなのだろうか。小学校は学級担任制で,中学校は教科担任制である。「学級崩壊」の研究 を参考にして,中学校における学級担任と生徒との関係を検討することも必要と思われる。 1−3.中学校における「荒れ」. 深谷・深谷・三枝・土橋・亀澤(1999)は,東京都の教師569名と生徒381名を対象に, 「学級・授業の荒れ」についての実態調査を行っている。「授業の荒れ」を,第1段階「授 業の崩れ」(何となく授業がうまく行かない),第2段階「授業の乱れ」(子どもの気持ちが 先生から離れる),第3段階「授業の荒れ」(生徒が反発して授業が成り立たない).の3段. 階に分けて検討している。中学校教師を対象にした「自分のまわりの学校で授業が出来な い状態の教師がだいたい何割くらいいるか」の自由記述調査では,「授業の崩れ」が3.1割,. 「授業の乱れ」が2.5割,「授業の荒れ」が1.4割,見られるとしている。生徒への調査で は,「授業の崩れ」(生徒の気持ちが何となく授業へ向かない,つまらない)が15.3%,「授 業の乱れ」(生徒と先生の気持が通じ会えず授業もダラダラ,生徒もしらけている)が14.6%,. 「授業め荒れ」(私語や教室内を立ち歩く生徒,先生に反発したり勝手なことをしている生. 徒が多く授業ができない)が17.7%となっている。教師への調査(カッコ内は生徒への詞. 4.
(6) 査)から,中学校の授業では,7割(5割)も授業困難が生じている。授業中に見られる 生徒の学習態度については,第1段階の「崩れ」では「私語をする生徒」が多く,第2段 階の「乱れ」では「教師を無視」するなどの教師反抗が見られ,第3段階の「荒れ」では 教室を出て行ったり後ろの方に集まって寝ころんだりの状況になると指摘する。後に,深 谷(2000)は,「崩れ」「乱れ」「荒れ」の3段階を,「ざわつき」「荒れ」「崩壊」に修正し. ている。そして,第1段階の「ざわつき」の情況でも教師と子どもの信頼関係が崩れてお り,荒れの克服には信頼関係の回復が基本となると指摘している。また,学級の荒れの増 加について,その背景に「集団内での行動に慣れていない生徒たちの増加」と「生徒たち の変化に対応できない教師の姿勢」があると指摘している。 石丸・藤生(2001)の研究によると,中学校の「学級の荒れ全体」には,「学級のメンバ. ー」「教師が嫌い」「勉強がおもしろくない」の3つの要因が影響している。生徒と教師の 関係が,「荒れ」の要因の一つになっている。また,独自に作成した「荒れの実態」尺度全 得点合計が高い群で,「教室の荒れ」と「教師不信の要因」の相関が最も強くなっている。. このことからも,学級の「荒れ」に,教師と生徒との関係が大きく関わっていることが窺 える。. 1−4.教師一生徒間における信頼関係の重要性. 「教師学」を提唱したThomas Gord㎝(1985)によると,効果的な指導には,教師と生 徒の信頼関係が必要である。教師の指導は,「生徒理解」を抜きには考えられない。しかし,. 指導される生徒にとってその教師がどんな存在であるかによって,指導が受け入れられた り受け入れられなかったりする。すなわち,「生徒による教師理解」が,大きく影響するの. である。信頼関係を築くには,r教師による生徒理解」とr生徒による教師理解」がともに 重要である(土岐,2006)。現在の「荒れ」の打開を考えるためには,生徒の状態をどうと らえどう指導するかという視点だけでなく,「生徒による教師理解」の在り様,すなわち生 徒が教師をどう見ているかを把握する必要があると思われる。. 大野(1997)は,学校教育相談においても,教師の日常的な受容的人格的「かかわり」 が重要であることを指摘している。河野(1988)は,短時間の実験授業を通して,教師の親. 和的関わりが「子どもの学習成績ばかりでなく,学習課題や教師に対する好意度に影響を 及ぼす」ことを明らかにした。また,浜名・松本(1993)は,学級担任が児童に対して受 容的・共感的な指導行動を意図的に増やせば,教師や級友との関係や学習意欲などの学校 適応が肯定的な方向に変化することを明らかにした。小林・仲田(1997)は,子どもが学校. を楽しいと感じる学校享受感の醸成には教師と生徒との信頼感が重要であると指摘してい る。一これまでの教師一生徒関係の研究においても,信頼関係の重要性が指摘されている。. 山口・米田・原野(1993)は,一生徒は「生徒受容型」の指導態度が顕著だと認知した教 師との間で,心理的距離が親密・身近であることを明らかにした。山口・土屋・藤本(1996) は,中学生が学級担任に望む態度として,「優しい態度」「面白み」「教師の力量」「親しみ. 5.
(7) のある態度」の4因子があることを明らかにした。さらに,教師の自己開示や生徒参加型 の授業の工夫,生徒を呼び捨てにせず「君付け」や「さん付け」で呼ぶことなどが,教師 との心理的距離を親密にしていくことを明らかにした(山口,1994;山口・平田・高坂, 2003)。また,山口(2004)は,自分に肯定的な生徒や学校生活に適応的な生徒は,教師と. の心理的距離が親密であることを明らかにした。以上のように,山口他の一連の研究にお いても,教師の指導態度が教師と生徒の心理的距離すなわち信頼関係に影響を与えており, この心理的距離の親密さが学校適応にも関連していることが明らかとなっている。 中井・庄司(2006)は,「生徒の教師に対する信頼感尺度(STT尺度)」を作成し,その規定. 要因について検討している。下位尺度には「安心感」「不信」「正当性」の3つがあり,学 年によって得点に差があること,r不信」には,r基本的信頼感」r保護者の信頼感」が影響 しており,生徒の教師に対する信頼感には家庭要因が関連していること,また「安心感」「正. 当性」には,教師からの「ソーシャル・サポート」が影響を与えていること,などを明ら かにした。その後,中井・庄司12008)は,「中学生の教師に対する信頼感と学校適応感との. 関連」について調査・検討している。生徒の教師に対する信頼感は,生徒の「教師関係」 における適応だけではなく,「学習意欲」「進路意識」「規則への態度」「特別活動への態度」. といった,その他の学校適応感の側面にも影響を及ぼすこと,1年生では教師に対する「安 心感」が,2年生・3年生では「安心感」に加えて,「不信」や「役割遂行評価(正当性)」. が生徒の学校適応感に影響を及ぼしていること,とりわけ「安心感」が最も多くの学校適 応感に影響していることを明らかにした。さらに,過去の教師との関わり経験との関連を 調べ,ポジティブな経験を持った生徒は,教師への信頼感が強いことを明らかにした(中 井・庄司,2009)。ただ,中井・庄司(2008)は,「教師に対する信頼感」の調査にあたっ て,「特定の先生」か,思い浮かばなければ「学校の平均的な先生」を思い浮かべて答える ように教示している。この点が不十分だとする批判もあり(前田・佐久間・新見,2008), 中学生の学級担任に対する信頼感ξ学校適応感との関係は,未だ明らかにはなっていない。 1−5.教師の関わりと学級の雰囲気. 西本(1998)は,教師の資源と学級文化の関連性を検討し,学級文化の違いにかかわら ず,児童・生徒への影響をもつ教師の資源として,「思いやり」が最も重要であるとことを. 明らかにした。三島・宇野(2004)は,小学生を対象に児童の教師認知と学級雰囲気につ いて調査し,教師の受容的で親近感のある態度が「意欲」や「楽しさ」の雰囲気に影響を 及ぼし,自信のある客観的な態度が相手を尊重し「認め合う」「反抗のない」学級雰囲気を. 醸成していくことを明らかにした。大西・黒川・吉田(2009)は,日常的に教師が児童・ 生徒に親しみやすく受容的で自信のある客観的な接し方をしている学級では,いじめに否 定的な学級規範がより高く形成され,児童・生徒の加害傾向を抑制する効果があることを 明らかにした。. 加藤・大久保(2002)は,「問題行動が深刻化するのは,それが特定の生徒にとどまらず,. 6.
(8) クラス全体に波及するときである」,したがって,「特定の生徒に焦点を当てるのではなく,. 学校や学級を単位とした分析が必要である」との認識に立って,一連の研究を行っている。 加藤・大久保(2005)は,荒れてい肴学校と落ち着いている学校を比較し,「問題行動をし. ない生徒」において,荒れている学校の生徒のほうが,不良少年の活動をより肯定的に評 価し,学校生活にたいしてより否定的な感情をもっていることを明らかにした。大久保・ 加藤(2006)は,「問題行動を起こす生徒を受容する学級ほど,学級が荒れており,問題行. 動を起こす生徒の活動に対して支持的な雰囲気がある」ことを明らかにした。加藤・大久 保(2006)は,困難学級と通常学級の比較から,困難学級では「問題生徒だけでなく,一 般生徒も〈問題行動〉をする生徒を否定的に評価せず,関係を回避する傾向が低く,彼ら がやっている行動をより肯定的に評価する傾向にある」ことを明らかにした。また,「学級 や学校の荒れを防止・解決していくためには,….『〈問題行動〉をしない生徒』に対してど. のように関わるかが重要な課題である」と指摘している。今後の課題として,「困難学級の 『〈問題行動〉をしない生徒』がもつ評価がどのように形成されるかを明らかにすること」. 「教師の指導の在り方と学級の雰囲気の関係について明らかにしていく」ことを提起して いる。. 1−6.先行研究を踏まえて. 先行研究においては,小学校の学級担任と児童の関係について調査・研究したものは少な. くない。すでに見たように,r学級崩壊」と教師の指導タイプ,学習意欲などの児童の学校 適応感や学校享受感などについて,研究が行われてきた(河村,1999;河野,1988;小林・ 仲田,1997)。しかし,中学校の学級担任と生徒との関係を研究したものは少ない。中学校 の教師一生徒関係と学校適応感について研究したものはある(山口,2004;中井・庄司, 2008)が,生徒個人の学校適応感を扱っており,「学級の状態」との関係は分析されていな い。中学校の「学級の荒れ」の研究では,「問題行動を起こす生徒を受容する学級ほど,学. 級が荒れており,問題行動を起こす生徒の活動に対して支持的な雰囲気がある」ことが明 らかになっている(大久保・加藤,2006)。しかし,この研究では,r問題行動を起こす生 徒」とは,rタバコを吸う」r深夜に遊びまわる」rバイクに乗る」などの問題行動を起こす r不良・不良っぽい生徒」のことである。ここで言う問題行動とは,いわゆる非行であり,. 学級における問題行動ではない。学級における問題行動すなわち「学級の荒れ行動」に対 して受容的か非受容的かといった生徒の意識が,「学級の荒れ」の状態にどう関係している. かは,まだ明らかにされていない。このように,これまでの研究では,中学校の学級担任 の指導態度や生徒への関わりを生徒の側から評価し,「学級の状態」との関係を扱ったもの はない。. 中学校が「教科担任制」をとっており,生徒が多くの教師から指導を受けるとはいえ,学. 級担任が学級の生徒に対して与える影響はかなり大きい。学校教育には,教科の指導と生 活指導(教科外の指導)の2つの領域がある(折出,1982)。中学校では,教科の指導はそ. 7.
(9) れぞれの教科担任が受け持つが,学級における生活指導(教科外の指導)は主として学級 担任が受け持つ。中学校においても,小学校と同様に「学級規範の確立」「生徒の自立」を 目指して,学級担任の下に「学級づくり」が展開されるのである(武市,1996)。朝の短学. 活,終学活,清掃の時間における日常の生活指導,遠足や宿泊行事,運動会や文化祭など の行事に向けての取り組みの指導など,中学校においても学級担任の担う役割は大きい。 学級担任が,どのように学級の生徒たちに関わり,どのように日常の生活指導を行い,ど のように「学級づくり」を行うかによって,学級の雰囲気は大きく違ってくる。本研究で は,学級担任と学級の雰囲気との関係を「学級担任の生徒への関わり行動」と「学級の荒 れ行動」に対する「許されない」意識との関係から捉え,「学級の荒れ」について考えてみ たいと思う。. 本研究では,先行研究を踏まえて,中学校における「学級の荒れ」を「授業が成立しな い状態」と定義する(小林,2001)。深谷(2000)は,r授業の荒れ」をrざわつき」r荒れ」. 「崩壊」の3段階でとらえているが,本研究では,「授業の成立していない状態」を全体と してとらえ段階を設けずに測定する。「学級の荒れ」の状態を測る尺度としては,加藤・大 久保(2006)が深谷・三枝(2000)を参考にして作成した「学級の荒れ尺度」(1O項目)を 使用する。また,この「学級の荒れ尺度」(10項目)にある行動を「学級の荒れ行動」とし,. これに対する生徒の「許されない」意識を調査し,「学級の荒れ」の状態との関係を検討す る。「学級担任の生徒への関わり行動」については今回新たに作成し,「学級の荒れ行動」. に対する生徒のr許されない」意識の低い学級と高い学級でどのように違うかを検討する。.
(10) 第2章 研究の目的 2−1.目的. 一本研究の目的は,中学校において,「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低. い学級と高い学級で,r学級の荒れ」の状態に違いがあるかどうか,生徒が評価するr学級 担任の生徒への関わり行動」がどう違うかを検討することである。. r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識が低い学級をr荒れやすい学級」,r許 されない」意識が高い学級を「荒れにくい学級」と捉え,それぞれの学級と「学級担任の 生徒への関わり行動」に対する生徒の評価との関係を検討する。この研究によって,「荒れ. にくい学級」ではどのようなr学級担任の生徒への関わり行動」が機能しているのかを明 らかにしたい。. 2−2.仮説. 先行研究を踏まえ,本研究では次の2つの仮説を検討する。. 〈仮説1〉「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識が低い学級は,学級の状態が より「荒れた状態」になっている。. 〈仮説2〉「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識が低い学級と高い学級では, r学級担任の生徒への関わり行動」に違いが見られる。 これを整理すると,次の表(Fig.1)のようになる。. Fig.1仮説1,仮説2 「学級の荒れ行動」に対する. 「学級の荒れ行動」に対する. 「許されない」意識の. 「許されない」意識の. 高い学級. 低い学級. 学級の状態. より荒れた状態. より落ちついた状態. 学級担任の生徒への 関わり行動. 違いが見られる.
(11) 第3章 調 査 I 3−1.目的. 「学級担任の生徒への関わり行動」に対する生徒の評価を測る質問項目を新たに作成す ること。. 3−2.方法 3−2−1.調査対象. 大阪府内公立中学校1校 3年生3学級82名(男子49名,女子33名)。 3−2−2.調査内容. 今までに出会ったr信頼できる」先生とr信頼がうすい」先生は,それぞれ生徒に対し てどのように関わっていたか,また,rこれから担任になる先生」が気をつければよいこと について,自由記述方式で回答を求めた。. 次のような内容の質問で,自由記述方式で回答を求めた。. r◆ あなたがこれまでに出会った先生について,教えてください。 Q1.今までに出会った先生で,あなたが「信頼できる」先生は,学級の生徒に対して どのように関わっていましたか。r信頼できる」と思った理由でもかまいません。思い つくままに書いてください。. Q2.逆に,あなたにとって「信頼がうすい」先生は,学級の生徒に対してどのように 関わっていましたか。r信頼がうすい」と思った理由でもかまいません。思いつくまま に書いてください。. Q3.これから担任になる先生は,生徒との関わりについて,どんなことに気をつけれ ば良いでしょうか。今までの経験からアドバイスしてください。」. 3−2−3.調査時期. 2008年2月下旬。 3−2−4.手続き. 調査対象者の在籍する学級単位で,「進路」の授業時間の冒頭10分間をいただいて,調 査者が各教室で実施した。調査対象者の回答の匿名性を確保するために,質問紙調査は無. 記名方式で行い,回収にあたっては書かれた内容が見えないように2つ折りにして回収し た。. 10.
(12) 3−3.結果. 「信頼できる先生」に関して88項目,「信頼がうすい先生」に関して108項目,「これか. ら担任になる先生」に関して78項目,合計274項目の回答が得られた。得られた回答を KJ法で整理し,「学級担任の生徒への関わり行動」に対する生徒の評価を測る16個の質問. 項目を作成した。(APPENDIX1). 11.
(13) 第4章 調 査 I 4−1.目的. 「学級の荒れ行動」に対する生徒の意識の質問項目(1O項目)と,「学級担任の生徒への関. わり行動」に対する生徒の評価の質問項目(16項目)について信頼性分析を行うこと。. 4−2.方法 4−2−1.調査対象. 調査Iの中学校を卒業した高校生26人(1年生男子6名,女子12名,2年生女子5名, 高校3年生女子3名)。 4−2−2.調査内容. ①r学級の荒れ行動」に対する生徒の意識の質問項目(1b項目):加藤・大久保(2006) が深谷・三枝(2000)の尺度を参考にしてつくった「学級の荒れ」尺度にある行動を,「学. 級の荒れ行動」として,rしかたがない」rどちらともいえない」r許されない」の3件法で 調査した。. ②「学級担任の生徒への関わり行動」’に対する生徒の評価の質問項目116項目):調 査Iで作成した「学級担任の生徒への関わり行動」に対する生徒の評価の質問項目116項目) について,「学級担任の先生について,どの程度あてはまりますか」との問いで,「非常に あてはまる」「少しあてはまる」「どちらともいえない」「あまりあてはまらない」「まった. くあてはまらない」の5件法で調査した。 4−2−3.調査時期. 2008年4月9日∼4月24日 4−2−4.手続き. 進学・進級した高校生が,元担任やクラブ顧問に会いに中学校に来たときに,個別に協 力を依頼し実施した。. 4−3.結果. 信頼性分析を行った結果,Cronbachのα係数は,「学級の荒れ状態」に対する生徒の意 識についての1O項目がα=.822,「学級担任の生徒への関わり行動」に対する評価につい ての16項目がα:、794であった。. !2.
(14) 第5章 調 査 皿 5−1.目的 本研究では,. ①「学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級と高い学級で,r学級の 荒れの状態」に違いがあるのかどうかを検討する。. ②r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級と高い学級で,生徒が 評価する「学級担任の生徒への関わり行動」がどう違うかを検討する。. ③同一集団(学級)が時間の経過とともにどのように変化するかを検討すること。 5−2.方法 5−2−1.調査対象. 大阪府内公立中学校13校25学級(1年12学級,2年8学級,3年5学級)。 第1回調査では,847.名から回答があり,762名(男子371名,女子374名,不明17名) の有効回答(90.0%)が得られた。その内訳は,1年生362名(男子174名,女子178名,. 不明10名),2年生243名(男子117名,女子120名,不明6名),3年生157名(男子80 名,女子76名,不明1名)であった。. 第2回調査では,831名から回答があり,760名(男子367名,女子373名,不明20名) の有効回答(91.5%)が得られた。その内訳は,1年生366名(男子171名,女子182名,. 不明13名),2年生242名(男子117名,女子119名,不明6名),3年生152名(男子79 名,女子72名,不明1名)であった。. 第3回調査では,809名の回答があり,733名(男子351名,女子358名,不明24名) の有効回答(90.6%)が得られた。その内訳は,1・年生355名(男子168名,女子176名,. 不明11名),2年生236名(男子117名,女子111名,不明8名),3年生142名(男子66 名,女子16名,不明5名)であった。 5−2−2.調査内容. ①学級の荒れ尺度(10項目):加藤・大久保(2006)が深谷・三枝(2000)の尺度 を参考にしてつくった尺度を使用した。「ぜんぜんない」(1点)「あまりない」(2点)「わ りとある」(3点)「とてもよくある」(4点)の4件法で回答を求めた。. ②学級の荒れ行動に対する生徒の意識:「学級の荒れ尺度」(1O項目)にある行動 を「学級の荒れ行動」として,それに対して「あなたはどう思いますか」という教示のも とに,「しかたがない」(A)「どちらともいえない」(B)「許されない」(C)の3件法で 回答を求めた。. 13.
(15) ③学級担任の生徒への関わり行動尺度:調査Iで,自由記述から今回独自に作成 した項目(16項目)である。「あなたの学級担任の先生について」「どの程度あてはまりま すか」という教示のもとに,「まったくあてはまらない」(1点)「あまりあてはまらない」. (2点)rどちらともいえない」(3点)r少しあてはまる」(4点)r非常にあてはまる」(5. 点)の5件法で回答を求めた。(APPENDIX2) 5−2−3.調査時期. 2008年5月∼6月(1期),1O月∼11月(2期),2009年2月∼3月(3期)の3回調査 を行った。今回調査した学校の多くが,3学期制ではなく前後期の2期制を取っていたの. で,調査時期を1学期2学期3学期ではなく1期2期3期とした。 5−2−4.手続き. 調査対象者の在籍する学級単位で,短学活や授業時間などを用いて集団で実施した。学 級担任または教科担任が質問紙を一斉に配布し,学級担任または教科担任の指示のもとで 一斉に回答が求められた。質問紙調査は無記名方式で行い,調査対象者の回答の匿名性が 確保されることを質問紙に明記した。また,回収にあたっては,書かれた内容が教師や他 の生徒に見えないように,4つ折りにして回収した。 5−3.結果 5−3−1.尺度構成. r学級の荒れ」,r学級の荒れ行動に対する生徒の意識」に関して,信頼係数(Cronbach のα係数)を算出した。その結果,第1回調査では,r学級の荒れ」がα=.87,r学級の荒 れ行動に対する生徒の意識」がα=.87であった。第2回調査では,「学級の荒れ」がα=.88,. 「学級の荒れ行動に対する生徒の意識」がα=.88であった。第3回調査では,.「学級の荒 れ」がα:.88,r学級の荒れ行動に対する生徒の意識」がα=.88であった。. 「学級担任の生徒への関わり行動」に関しては,全16項目に対して因子分析を行った。. 3回の調査結果それぞれについて,主因子法,プロマックス回転で因子分析を行い,2因 子を抽出した。3回の因子分析において,共通して因子負荷が2因子のいずれかの因子の. みに.40以上あるものを選び,3項目を削除した(Tab1e1,TabIe2,Taも1e3)。第I因 子を構成する項目は,「自分の機嫌で生徒にあたる」「生徒によって態度が変わる」「理由も 聞かずに怒る」など教師の自己中心的な関わり行動であるこ.とから,r自己中心的」因子と. 名付けた。第I因子を構成する項目は,「積極的に話しかけてくれる」「よく相談にのって くれる」「生徒のことを自分のことのように考えてくれる」など生徒のことを大事にする関. わり行動であることから,「生徒本位」因子と名付けた。2つの因子の信頼係数(Cronbach のα係数)を求めたところ,第1回調査では,「自己中心的」因子α:、83,「生徒本位」因 子α=.81であった。第2回調査では,「自己中心的」因子α=.83,「生徒本位」因子α=.81. 14.
(16) であった。第3回調査では,「自己中心的」因子泣:.85,ギ生徒本位」因子α=.80であっ た。. 「学級の荒れ」尺度および「学級担任の生徒への関わり行動」尺度については,間隔尺 度として項目平均を用いて計算した。「学級の荒れ行動に対する生徒の意識」については, 「許されない」と答えた数を個人の「許されない」意識得点として算出した。. Tab1e1. 学級担任の関わり行動の因子分析結果(1期) I. 第1因子自己中心的な関わり行動 (α=.83) 1O.自分の機嫌で生徒にあたる 12.生徒によって態度が変わる 03.理由も聞かずに怒る 06.生徒の意見を聞かない 16、生徒にグチやイヤミを言う 第2因子 生徒本位の関わり行動 (α=.81) 07.積極的に話しかけてくれる 05、よく相談にのってくれる 02.生徒のこ.とを自分のことのように考えてくれる 13.自分自身の話をしてくれる 15.アドバイスばかりする 01.ユーモアがある 14.いじめや不登校を放っておかない ll.しかるべき時はしっかりしかる 因子間相関 I −. I. 15. I. .81. 一.12. .75. 一、03. .73. 一、05. .70. ,01. .66. 一.08. .02. .69. 11. .66. .21. .66. 一.17. .60. 一.20. .54. 一.05. .50. .21. .45. .40. .20. I. I .63.
(17) Tab1e2. 学級担任の関わり行動の因子分析結果(2期) I. 第1因子 自己中心的な関わり行動 (α=.83) 03.理由も聞かずに怒る 1O.自分の機嫌で生徒にあたる 12.生徒によって態度が変わる 16.生徒にグチやイヤミを言う 06.生徒の意見を聞かない 第2因子 生徒本位の関わり行動 (α=.81) 07.積極的に話しかけてくれる 02.生徒のことを自分のことのように考えてくれる 05. よく相談にのってくれる 13. 自分自身の話をしてくれる 14. いじめや不登校を放っておかない 15. アドバイスばかりする O1. ユーモアがある 11. しかるべき時はしっかりしかる 因子間相関. I. I. .77. 一.08. .75. 一.07. .72. −102. .71. 一.11. .62. 13. 一.08. .76. 14. .70. .09. .67. 一.13. .57. 18. .52. 一.24. .49. .OO. .48. 14. .46. I. I. .53. −. I正. Table3. 学級担任の関わり行動の因子分析結果(3期) I. 第1因子 自己中心的な関わり行動 10.自分の機嫌で生徒にあたる 03.理由も聞かずに怒る 16、生徒にグチやイヤミを言う 06、生徒の意見を聞かない 12.生徒によって態度が変わる 第2因子 生徒本位の関わり行動 07.積極的に話しかけてくれる 13.. 02. 01. 05. 14. 15. 11.. I. (α=.85) .82. 一.11. .82. 一.10. .77. 一.18. .72. .05. .69. .01. 一.01. .73. 一,21. .62. .27. .61. .00. .52. .31. .49. (α=.80). 自分自身の話をしてくれる 生徒のことを自分のことのように考えてくれる ユーモアがある よく相談にのってくれる いじめや不登校を放っておかない アドバイスばかりする しかるべき時はしっかりしかる 因子相関行列 I −. I. 16. I. .20. .48. 一.34. .45. .26. .43. I .60.
(18) 5−3−2.各尺度の基本統計量と学年差・性差. 各学年の基本統計量を算出し,学年差・性差を検討するため,各尺度得点を従属変数,. 学年(1年生・2年生・3年生)と性別(男子・女子)を要因とする2要因分散分析を行 った。Tab1e4,Tab}e5,Tab1e6は,基本統計量と2要因の分散分析の結果を示している。. r学級の荒れ」については,1期にr性別」による主効果が,1%水準で有意であった。 女子が男子よりも有意に高い得点を示していた。(列1,739)=7.85,ρ=.005<.O1)また,. 交互作用が5%水準で有意であった(列2,739)=3.22,ρ:.041<.05)。単純主効果の検. 定を行った結果は,3年生における性差の単純主効果が有意であり,女子が男子より有意 に高い得点を示していた。1期2期3湖ともに,学年による主効果がO,1%水準で有意であ った(F(2,739)=12.69,ρ=.OOO<.OO工,列2,734)=13.14,ρ=.000<.OO1,列2,703). =11.65,ρ=.OOO<.001)。Tukey法による多重比較の結果,いずれも1年生,3年生が2. 年生よりも有意に高い得点を示していた。これらのことから,r学級の荒れ」については,. 1期では,男子よりも女子の方が厳しく評価していることが分かった。また,1年生3年 生は,2年生に比べてより荒れているという結果であった。. 「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識については,2期に,交互作用が5% 水準で有意であった(ハ2,734)=3.48,ρ=.031<.05)。単純主効果の検定を行った結果,. 1年生における性差の単純主効果が有意であり,女子が男子より有意に高い得点を示して いた。. 学級担任のr生徒本位」の関わり行動では,1期に,r学年」による主効果が5%水準で 有意であった(列2,739〕二3.44,ρ=.033<.05)。Tukey法による多重比較の結果,3年. 生が1年生よりも有意に高い得点を示していた。また,交互作用が5%水準で有意であっ た(列2,739〕=3.28,ρ=.038<.05)。交互作用が有意であったことから,単純主効果の. 検定を行った。その結果,2年生における性差の単純主効果が有意であり,男子の方が女 子より有意に高い得点を示していた。さらに,女子における学年の単純主効果が有意であ. り,1年生2年生よりも3年生が有意に高い得点を示していた。3期には,「性別」による 主効果が,1%水準で有意だった(列1,703)=7.59,ρ=.006<.01)。Tukey法による多. 重比較の結果,男子の方が女子よりも有意に高い得点を示していた。また,「学年」による 主効果が,1%水準で有意であった(列2,703)=5.2皐ρ=.005<.O1)。Tukey法による. 多重比較の結果,3年生が1年生よりも有意に高い得点を示していた。.まとめると,学級. 担任のr生徒本位」の関わり行動については,1期では,3年生が1年生よりも有意に高 い得点を示していた。女子において,とりわけ3年生が高い得点を示していた。2年生に おいては,男子の方が女子に比べて高い得点を示していた。3期では,男子が女子よりも,. 3年生が1年生よりも,有意に高い得点を示していた。 学級担任の「自己中心的」な関わり行動では,1期に,「学年」による主効果が5%水準 で有意であった(列2,739);3.13,ρ=.044<.05)。Tukey法による多重比較の結果,2. 年生が1年生3年生に比べて高い得点を示していた。2期には,交互作用が5%水準で有意で. 17.
(19) あった(列2,734):3.66,ρ:.026<.05)。交互作用が有意であったことから,単純主効. 果の検定を行った。その結果,2年生における性差の単純主効果が有意であり,女子の方 が男子よりも有意に高い得点を示していた。まとめると,学級担任の「自己中心的」なの. 関わり行動については,2期の2年生で,女子の方が男子よりも有意に高い得点を示して いた。. 18.
(20) 各尺度の基本統計量および学年差・性差の分散分析結果(!期). 学級の荒れ. 2.77. 2,49. 「許されない」意識. 2,54. 2,77. 2.82. 2.58. 10.57) lO.58) lO.53) lO.65〕. (O.53). 4,16 3,88. 4.40. 4,39 4.工2. 3.80. 13.09) 13.15) 13.05) 13.23). (3.30〕. 10.57〕. 1,74. 0,03. 0.O1. 13.20). 学級担任の関わり行動. 生徒本位 自己中心的 ( )内は標準偏差,. 3.42. 3.61. 3.54. 3.39. 3.34. 3.65. 10.84〕. 10.69). 10.76). 10.76). ω.74〕. 10.63). 2.16. 2.24. 2.15. 2.05. 2.33. 2.03. 11.OO〕. 11.07〕. (o.96). 10.86). 10.97). 10.90). ‡ρ<.05. Table5. 0.86. 各尺度の基本統計量および学年差・性差の分散分析結果(2期). 女子. 主効果. 1年 2年 3年 1年 2年 η=171月=117 月=79 刀=182η=119. 「許されない」意識. 3.13‡ O.39. ㌦<.O1州ρくOOl. 男子. 学級の荒れ. 3.44‡ L13 3.28‡. 3年. 学年差. 性差. 刀=72. Fイ直. Fイ直. 2.73. 2.46. 2.75. 2.73. 2.58. 2.82. 10.57). (O.56〕. 10.58). 10.55). (0162〕. (O.55). 3.98. 4.42. 4.28. 4.71. 3.85. 3.85. 13,34〕. 13.I7). 13.31). (2.93). 13.33). 13.30). 交互作用 Fイ直. 工3.14榊 2.2王. O.54. 0,13. O.74. 3.48‡. 学級担任の関わり行動. 生徒本位 自己中心的 ( )内は標準偏差,. 3.42. 3.60. 3.51. 3.41. 3.38. 10.72). 10.72). 10.70〕. (O.85〕. 10.70). 2.32. 2.l1. 2.19. 2.16. 2.38. (O.98). (O.93〕. 10.93). (O.91). (o.94). ‡ρ<.05. Table6. ‡‡. 2,27. 2,20 0.15. 0,33. 3.66ヰ. (O.92). マ<.O1淋ρくOOl. 男子. 女子. 2年 3年. 1年. 主効果. 2年. 3年. η=168η=l17 月:66 刀=176η=l11. 「許されない」意識. O.76. 各尺度の基本統計量および学年差・性差の分散分析結果(3期). 1年 学級の荒れ. 3,59 1.93 10.65). 刀=71. 2.75. 2.48. 2.72. 2.73. 2,58. 2.85. ω.57). ω、59〕. ω.56). 10.55〕. 10.64). ω.56). 4.lO. 3.80. 4.工1. 3.95. 4.14. 3.77. 13.35). 13.18〕. 13.32). 13.15〕. 13.43). (3.28). 学年差 F値. 性差 Fイ直. 交互作用 Fイ直. l1,65榊 2,27 O.04. 0,04. 1.33. 0.55. 学級担任の関わり行動. 生徒本位 自己中心的 ( )内は標準偏差,. 3.39. 3.57. 3.63. 3.30. 3.30. 3.52. 10.70). (O.60). 10.69). 10.81〕. 10.62). (O.76). 2.42. 2129. 2,29. 2.36. 2.57. 2.38. 10.98〕. (O.97). 0.08). 11.o1). 10.82). ω.97). ‡ρ<.05. ‡‡. マ<.O1‡榊ρ〈.OO1. 19. 5,25‡‡ 7.59‡‡ 1.24. O.4王. 1.9−. 2.13.
(21) 5−3−3.「許されない」意識の低い学級群と高い学級群. 次に,調査した25学級について,「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低 い学級と高い学級に群分けを行った。「学級の荒れ行動」に対する意識の質問項目(10項目). に対して,「許されない」と答えた数を個人の「許されない」意識得点とし,その学級平均. 値を算出した。さらに,25学級全体の平均値を算出した結果,1期の平均値(カッコ内は 標準偏差)は4.16(3.17),2期は4.24(3.23),3期は3,96(3.27)であった。25学級. 全体の平均値を基準に,3回の調査いずれにおいても,平均値を下回った学級を「許され ない」意識の低い学級,平均値を超えた学級を「許されない」意識の高い学級とした。そ. の結果,「許されない」意識の低い学級が1O学級(1年生4学級,2年生4学級,3年生 2学級),r許されない」意識の高い学級が1O学級(1年生5学級,2年生4学級,3年生 1学級)となった。. 5−3−4.「学級の荒れ」,「学級担任の生徒への関わり行動」との関係. 「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低い学級と高い学級との間で,「学級. の荒れ」や「学級担任の生徒への関わり行動」に違いがあるかを検討した。学級を独立変 数とし,「学級の荒れ」尺度および「学級担任の生徒への関わり行動」尺度の1項目当たり の平均得点を従属変数として,C検定を行った(Tab1e7,TabIe8,Tab1e9)。 その結果,「学級の荒れ」尺度得点については,1期ではC(615)=6,619,ρ=.OOO<.O01, 2期ではC(615)=7,307,ρ=.000<.OO1,3期ではC(597):4,819,ρ=.O00<.001で,. 3回の調査のいずれにおいても有意な差が見られた。このことから,ギ学級の荒れ行動」に. 対するr許されない」意識の低い学級は,r許されない」意識の高い学級に比べてより荒れ た状態であると生徒から認識されている。言いかえると,r学級の荒れ行動」に対するr許 されない」意識の高い学級は,「許されない」意識の低い学級に比べてより落ち着いた状態 であることが示された。. 「学級担任の生徒への関わり行動」尺度得点については,1期では「生徒本位」得点が C(615)=5,699,ρ=.000<、OO1,「自己中心的」得点がC1596,574)=5,965,ρ=.O00. <.OO1,2期ではr生徒本位」得点がC(615)=3,240,ρ=.001<.O1,r自己中心的」得点 がC1615)=3,896,ρ=.OOO<.OO1,3期では「生徒本位」得点がC(597)=5,167,ρ=、OOO. <.OO1,r自己中心的」得点がC(597):5,187,ρ:.O00<.OO1で,3回の調査のいずれに. おいても「生徒本位」得点と「自己中心的」得点に関して有意な差が見られた。このこと から,「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低い学級は,「許されない」意識. の高い学級に比べて,学級担任の「生徒本位」の関わり行動が少なく「自己中心的」な関 わり行動が多いこと,「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の高い学級は,「許. されない」意識の低い学級に比べて,学級担任の「生徒本位」の関わり行動が多く「自己 中心的」な関わり行動が少ないことが示された。. 20.
(22) 5−3−4.学年ごとに検討. 次に,学年ごとにr学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級と高い学 級との間で,「学級の荒れ」や「学級担任の生徒への関わり行動」に違いがあるかを検討し た。. 1年生では,一「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低い学級が4学級,高い. 学級が5学級であった。学級を独立変数とし,「学級の荒れ」尺度および「学級担任の生徒. への関わり行動」尺度の1項目当たりの平均得点を従属変数として,C検定を行った (TabIe1O,Tab1e11,Tab1e12)。その結果,1期では,「学級の荒れ」尺度得点がC(273) =5,510,ρ=.000<.OOlで,「生徒本位」得点がH273)=5,281,ρ=.O00<.001,「自己中. 心的」得点がハ273〕=3,982,ρ=.OOO<、001であった。r学級の荒れ行動」に対する「許. されない」意識の低い学級と高い学級の間に,r学級の荒れ」,学級担任のr生徒本位」の. 関わり行動,学級担任のr自己中心的」な関わり行動のいずれにおいても有意な差が見ら れた。2期では,「学級の荒れ」尺度得点がC(280):5,672,ρ=.000<.001で,「生徒本位」. 得点が〔280):3,285,ρ=.001<.O1,r自己中心的」得点がC(280)=2,048,ρ=、041. <.05であった。r学級の荒れ」,学級担任のr生徒本位」の関わり行動,学級担任のr自己 中心的」な関わり行動のいずれにおいても有意な差が見られた。3期では,r学級の荒れ」 尺度得点がC1275〕=4,728,ρ=、000<.001で,「生徒本位」得点がC(275):5,883,ρ =、OOO<.001,r自己中心的」得点がC(275)=3,267,ρ=.001<.O1であった。「学級の荒. れ」,学級担任の「生徒本位」の関わり行動,学級担任の「自己中心的」な関わり行動のい. ずれにおいても有意な差が見られた。1年生においては,1期2期3期のいずれの時期に も,「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低い学級と高い学級の間に,「学級 の荒れ」,学級担任の「生徒本位」の関わり行動,学級担任の「自己中心的」な関わり行動 に有意な差が見られた。. 2年生では,「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低い学級が4学級,高い 学級が4学級であった。同様に,C検定を行った(Tab1e13,Tab1e14,Tab1e15)。その結果, 1期では,「学級の荒れ」尺度得点がC(241)=6,356,ρ=.000<.OOlで,「生徒本位」得点 がC(223,472〕=6,793,ρ=.000<.OOl,r自己中心的」得点がC(241)=8,438,ρ=.000. <.OOlであった。「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低い学級と高い学級の 間に,「学級の荒れ」,学級担任の「生徒本位」の関わり行動,学級担任の「自己中心的」. な関わり行動のいずれにおいても有意な差が見られた。2期では,「学級の荒れ」尺度得点 がC(240)=5,710,ρ=.000<.OO1で,「生徒本位」得点がC(240ト3,233,ρ=.001<.O1,. 「自己中心的」得点がC1240)=5,123,ρ=.000<、OO1であった。「学級の荒れ」,学級担任. の「生徒本位」の関わり行動,学級担任の唱己中心的」な関わり行動のいずれにおいて も有意な差が見られた。3期では,「学級の荒れ」尺度得点がC(234ト3,700,ρ;.000 <.001で,r生徒本位」得点がC(234)=2,734,ρ=.007<.O1,r自己中心的」得点がC(234). =4,747,ρ=.001<.O1であった。「学級の荒れ」,学級担任の「生徒本位」の関わり行動,. 21.
(23) 学級担任のr自己中心的」な関わり行動のいずれにおいても有意な差が見られた。2年生 においては,1期2期3期のいずれの時期にも,「学級の荒れ行動」一に対する「許されない」 意識の低い学級と高い学級の間に,「学級の荒れ」,学級担任の「生徒本位」の関わり行動,. 学級担任のr自己中心的」な関わり行動に有意な差が見られた。 3年生では,「学級の荒れ行動」に対する「許されない」意識の低い学級が2学級,高い 学級が1学級であった。同様に,C検定を行った(Tab1e16,Tbb1e17,Tab1e18)。その結果, 1期では,「学級の荒れ」には有意な差はなかった。「生徒本位」得点がC197)=4,419,ρ =.OOO<.001,「自己中心的」得点がH97〕:4,521,ρ=.000<.001で有意な差が見られた. が,r生徒本位」得点,唱己中心的」得点のどちらの平均値も,1年生2年生の結果とは 逆であった。r生徒本位」得点の平均値では,r学級の荒れ行動」に対するr許されない」 意識の低い学級の方がr許されない」意識の高い学級よりも高くなっていた。r自己中心的」. 得点の平均値では,r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級の方がr許 されない」意識の高い学級よりも低くなっていた。2期では,「生徒本位」得点だけに有意 な差(C(88,532)=3,210,ρ=.002くO1)が見られたが,1期と同様に,r生徒本位」得. 点の平均値は,r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級の方がr許され ない」意識の高い学級よりも高くなっていた。3期は,r学級の荒れ」についてだけ有意な 差(ハ84ト2,184,ρ=、032<、05)が見られたが,これも1年生2年生の結果とは逆に, r許されない」意識の高い学級ほどr学級の荒れ」の得点が高くなっていた。. 22.
(24) Tab1e 7 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (全学年;1期). 意識の低い学級. 意識の高い学級. 1O学級 η=300 10学級. 刀=317. c値. 2.82(0,57). 2.54 (0.55). 6.17榊. 生徒本位. 3.32(O.77). 3.67(O.72). 5.70***. 自己中心的. 2.42(1.O且). 1.96(0.89). 5.97淋*. 学級の荒れ 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. *ρ<.05**ρ<.01***ρ<.OO1. Tab1e 8 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (全学年;2期). 意識の低い学級. 意識の高い学級. 10学級 η=299 10学級. η=318. c値. 2.79(O.55). 2.47 (O.54). 7.31州. 生徒本位. 3.40 (O.71). 3.59(0.75). 3.24**. 自己中心的. 2.39 (O.94). 2.11(O.89). 3.90州. 学級の荒れ. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. *ρ<.05**ρ<.01***ρ<.001. Tab1e 9 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (全学年;3期). 意識の低い学級. 意識の高い学級. 10学級 刀=301 10学級. 刀=298. c値. 2.75(O.57). 2.53(O.57). 4.82***. 生徒本位. 3.29(O.73). 3.58(0.66). 5.17榊. 自己中心的. 2.63(O.98). 2.23(O.90). 一5.19***. 学級の荒れ 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. *ρ<.05**ρ<.O1***ρ<.OO1. 23.
(25) Tab1e1O. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (1年;1期) 意識の低い学級. 意識の高い学級. 4学級 刀=119 5学級 刀=156 学級の荒れ. c値. 2.97 (O.43). 2.67(O.53). 5.15***. 生徒本位. 3.21(0.75). 3.70(O.77). 5.28***. 自己中心的. 2.41 (O.97). 1.96(0.89). 3.98榊*. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. Tab1e11. *ρ<.05**ρ<.O1***ρ<.001. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (1年;2期) 意識の低い学級. 意識の高い学級. 4学級 刀=121 5学級 刀=161 学級の荒れ. c値. 2.90(0.48). 2.55(O.52). 5.67***. 生徒本位. 3.31(0.72). 3.62(O.81). 3.28**. 自己中心的. 2.40(O.96). 2.18(0.89). 2.05*. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. Tab1e12. *ρ<.05**ρ<、O1***ρ<.001. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (1年;3期) 意識の低い学級. 意識の高い学級. 4学級 刀=123 5学級 刀=154 学級の荒れ. c値. 2.84(O.52). 2.54 (O.52). 4.73***. 生徒本位. 3.09(O.81). 3.60(O.65). 5.88***. 自己中心的. 2.66(1.05). 2.27(O.93). 3.27**. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. *ρ<.05**ρ<.O1***刀<.001. 24.
(26) Tab1e13. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (2年;1期) 意識の低い学級. 意識の高い学級. 4学級 η=119 4学級 刀=124 学級の荒れ. c値. 2.78(O.61). 2.32(O.52). 6.36***. 生徒本位. 3.16(O.75). 3.75(0.59). 6,79***. 自己中心的. 2.81(O.97). 1.82 (0.84). 8.44州. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. Tab1e14. *ρ<.05**ρ<.O1***ρ<.OO1. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (2年;2期) 意識の低い学級. 意識の高い学級. 4学級 η=122 4学級 η=120 学級の荒れ. c値 5.7ユ***. 2.72(0.60). .2.31(O,52). 生徒本位. 3.35(O.68). 3.64 (0.72). 3.23**. 自己中心的. 2.55(O.92). 1.95(0,89). 5.12***. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. Tab工e15. *ρくO1**ρくO1**㌧<.OO1. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (2年;3期) 意識の低い学級. 意識の高い学級. 4学級 刀=122 4学級 刀=114 学級の荒れ. c値. 2.7010.63). 2.40(O.60). 3.70***. 生徒本位. 3.34(0.60). 3.56(O.64). 2.73榊. 自己中心的. 2.71(O.88). 2.16(O.89). 4.75林*. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. *ρ<.05**ρ<.01***ρ<.OO1. 25.
(27) Tab1e16. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (3年;1期) 意識の低い学級. 意識の高い学級. 2学級 η=62 1学級 学級の荒れ. 刀=37. c値. 2.59(O.66). 2.73(O.50). 1.11. 生徒本位. 3.86(0.62). 3.24 (0.75). 4.42林*. 自己中心的. 1.72(O.75). 2.46(O.87). 4.52*榊. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. TabIe17. *ρ<.05**ρ<.01***ρ<.001. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (3年;2期). 学級の荒れ. 意識の低い学級. 意識の高い学級. 2学級 刀=56. 1学級. 刀=37. c値. 2.74(O.53). 2.69(O.56). O.46. 生徒本位. 3.68(0.67). 3.28(O.52). 3.21村. 自己中心的. 2.04(O.88). 2.31(O.77). 1.54. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. Tab1e18. *ρ<.05**ρ<.O1***ρ<、001. 許されない意識の高い学級と低い学級における 尺度の平均値とC検定の結果 (3年;3期). 学級の荒れ. 意識の低い学級. 意識の高い学級. 2学級 η=56. 1学級. 刀==30. c値. 2.68(O.51). 2.93(0.52). 2.18*. 生徒本位. 3.64(0.64). 3.59(O.77). O.33. 自己中心的. 2.36(1.O1). 2.23(O.78). 0.63. 学級担任の関わり行動. カッコ内は標準偏差. *ρ<.05**ρ<.01***ρ<.OO1. 26.
(28) 第6章 考 祭 6−1.各尺度の基本統計量と学年差・性差について 本研究では,「学級の荒れ」を「授業が成立しない状態」と定義した。「学級の荒れ」を 測る尺度として,加藤・大久保(2006)の「学級の荒れ尺度」(1O項目)を使用した。また,. この「学級の荒れ尺度」にある行動を「学級の荒れ行動」として,これに対する生徒の「許 されない」意識と今回作成した「学級担任の生徒への関わり行動」との関係を調査した。. 本研究の目的は,r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級と高い学級 において,r学級の荒れ」の状態に違いがあるのかどうか,生徒が評価するr学級担任の生 徒への関わり行動」がどう違うかを検討することであった。 まず初めに,各尺度の基本統計量と学年差と性差について検討したところ,「学級の荒れ」. については,1期では,男子よりも女子の方が厳しい評価をしていることが分かった(Tab1e. 4)。また,’1年生3年生の学級は,2年生の学級に比べてより荒れた状態であるという結. 果であった(TabIe4,TabIe5,Tab1e6)。言いかえると,2年生の学級は,1年生3年 生の学級に比べてより落ち着いていた。今回の調査対象となった2年生の学級が,比較的 落ち着いていたのか,あるいは,2年生という時期が「学級の荒れ」に対して評価が甘く なるのか,今回の調査だけで判断するのは難しい。. r学級の荒れ行動」に対する生徒のr許されない」意識については,1年生の2期に, 女子が男子より有意に高い得点を示していた(Tab1e5)。1期の1年生男女の得点にほと んど差はないが,2期になると男子の得点が下がり逆に女子の得点が上がって,有意な差 が生じている。さらに3期になると,女子の得点は男子を下回ってしまう。2期に男子が 「学級の荒れ行動」に対して許容的になるのに対して,女子はより批判的になっている。. 2期は運動会や文化祭などの行事があり学級が大きく変化する時期であるが,そのことに 対する男女の意識の差から生じている可能性が考えられる。しかし,今回の調査だけで, それを断定的に語ることはできない。. 学級担任の「生徒本位」の関わり行動では,1期と3期に3年生が1年生より有意に高 い得点を示していた(Tab1e4,Tab1e6)。3年生の時期は,修学旅行や運動会・文化祭な どの思い出に残る行事や進路の相談など,学級担任とのより密接な関係を持つ時期である. ことなどの影響が考えられる。また,3期と1期の2年生において,男子が女子よりも有. 意に高い得点を示していた(Tab1e4,TabIe6)。2年生では,1期2期3湖ともに,男子 の得点が女子の得点よりも高くなっている(Tab1e4,Tab1e5,Tab1e6)。学級担任の「自. 己中心的」な関わり行動については,1期に,2年生が1年生3年生に比べて高い得点を 示していた(Tab1e4)。2年生という時期が,教師に対して最も厳しい目を向けている時 期であることが窺える。さらに,2年生の2期に,女子が男子よりも有意に高い得点を示. していた(Tab1e5)。2年生では,1期2期3湖ともに,女子の得点が男子の得点よりも. 27.
(29) 高くなっている。(Tab1e4,Tab1e5,Tab1e6)「学級担任の生徒への関わり行動」では, 「生徒本位」において男子が女子よりも得点が高く,「自己中心的」において逆に女子が男. 子よりも得点が高くなっている。2年生の女子は男子に比べて,「学級担任の生徒への関わ り行動」をより厳しい目で評価していることが窺える。以上のように,中学生の「学級担 任の生徒への関わり行動」に対する評価については,学年や男女の発達の違いによって異 なっている可能性が示唆された。. 6−2.r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識とr学級の荒れ」 次に,r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級と高い学級の間で,r学 級の荒れ」や「学級担任の生徒への関わり行動」に違いがあるかを検討した。. r学級の荒れ行動」に対するr許されない」意識の低い学級と高い学級とでは,r学級の 荒れ」の状態に有意な差が見られた。言いかえると,「学級の荒れ行動」に対する「許され. ない」意識の低い学級ほど学級がより荒れており,r許されない」意識の高い学級ほど学級 がより落ち着いているということである。したがって,〈仮説1〉(「学級の荒れ行動」に対 する「許されない」意識が低い学級は,「許されない」意識が高い学級に比べて,学級の状 態がより荒れた状態になっているであろう。)は支持された。この結果は,「問題行動を起. こす生徒が受容されている学級ほど荒れており,問題行動を起こす生徒の活動に対して肯 定的な評価を下す雰囲気がある」という,大久保・加藤(2006)の指摘を補強するものと なった。大久保・加藤(2006)の研究では,r問題行動」は非行を指していたが,本研究で は,学級の授業における問題行動においても同様であることが分かった。. 6−3.r許されない」意識とr学級担任の生徒への関わり行動」の関係 「学級担任の生徒への関わり行動」についても,「学級の荒れ行動」に対する「許されな い」意識の低い学級の学級担任ほど,「生徒本位」の関わり行動が少なく,「自己中心的」. な関わり行動が多いこと,逆に,「許されない」意識の高い学級の学級担任ほど,「生徒本. 位」の関わり行動が多く,r自己中心的」な関わり行動が少ないことが分かった。このこと は,「学級の荒れ行動」に対する学級の意識=雰囲気が,学級担任の日常的な生徒への関わ りの在り方によって,大きく影響することを示している。小学校と違って「教科担任制」 をとっている中学校とはいえ,やはり学級担任の学級への影響は大きいことが確認された。. では,どのような「学級担任の生徒への関わり行動」が,学級の雰囲気によい影響を与え ているのであろうか。「生徒本位」の関わり行動とは,「積極的に話しかけてくれる」「よく. 相談にのってくれる」「生徒のことを自分のことのように考えてくれる」「しかるべき時は しっかりしかる」など生徒のことを大事にする関わり行動であった。これは,「生徒の教師 に対する信頼感尺度」(中井,庄司,2006)のポジティブな側面である「安心感」「役割遂 行評価」に類似している。「生徒本位」の関わり行動は,教師一生徒間の信頼形成につなが る関わり行動であるといえる。「自己中心的」な関わり行動とは,「自分の機嫌で生徒にあ. 28.
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