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高靭性刈刃用鋼NK7CR

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Academic year: 2021

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高靭性刈刃用鋼NK7CR. 藤原 勝・田頭 聡・平松 昭史. 日新製鋼株式会社 日 新 製 鋼 技 報 No. 84 別 冊 . 平成15年12月 . 高靭性刈刃用鋼NK7CR46. 日新製鋼技報 No.84(2003). 1.緒 言. 刈払機用の刈刃(ソリッドソー,チップソー)には主. としてJIS規格のSK85(旧SK5),SKS5等が用いられて. いる。近年,製造物責任法(PL法)の制定に伴い,鉄. 鋼メーカーに対して基板の安全性を向上させる高靭性鋼. の開発が求められている。そこで当社は,従来のSK85. やSKS5に比べて,同一硬さにおいて延性・靭性に優れ,. 安全性と耐久性を兼ね備えた高靭性刈刃用鋼NK7CRを. 開発したので,以下に紹介する。. 2.刈刃として必要とされる諸材料特性. 刈刃のような丸鋸用鋼材としては,炭素工具鋼SK85. が多く使用されているが,より高い靭性を必要とする場. 合には合金工具鋼に分類されるSKS5が選択されている。. 開発したNK7CRは,さらに高い靭性を必要とされる場. 合に適用できる新たな工具鋼として設計したものであ. る。その設計思想は,破壊の起点となる粒界炭化物を抑. 制するために炭素量をSKS5よりも低減する一方,強度. 低下分を適切な合金元素添加で補うことで,強度と靭性. と耐摩耗性を高レベルで兼備させたものである。. 刈刃用鋼として必要とされる製品特性とそれに対応す. る材料特性を以下のように考えた。. 2.1 曲げ特性. 刈刃に関するJIS規格とISO規格では,突き曲げ試験. において所定のポンチ先端半径で割れが発生しないこと. を規定している。刈刃が実際の使用環境で曲げられるこ. とはないが,突き曲げ性は局部的な塑性変形能に強く依. 存する評価指標なので,JISやISOでは刈刃の靭性や切. 欠感受性を評価するための指標として突き曲げ試験を重. 視しているものと考えられる。本開発鋼においても,突. き曲げ試験を重要な評価指標として使用した。. 2.2 衝撃強度. 刈刃では毎分数千回転で高速回転する際に,石などの. 異物に接触して折損する場合がある。このため,折損防. 止に対しては衝撃強度,すなわち衝撃吸収エネルギーの. 大きいことが安全性の指標となる。. 2.3 耐摩耗性. 鋸・刃物として常に必要とされる「永切れ性(すなわ. ち切れ味の持続性)」の指標として耐摩耗性がある。. 3.NK7CR鋼の諸特性. 本開発鋼の各種材料特性について以下に紹介する。比. 較材には,この用途に広く使用されているSK85とSKS5. およびSAE1075の板厚1.35mmを用いた。それぞれ焼入・. 焼戻しにより調質硬さを42,46,50HRCの3水準とした。. 3.1 曲げ特性. 表1に曲げ試験方法および曲げ特性の評価規準を,. 図1に曲げ試験方法の模式図を示す。試験方法は,刈払. 機用回転刈刃の規格であるJISB9212およびISO7113に記. 載の曲げ試験方法に準じて実施した。いずれも90°Vブ. ロックによる突き曲げ試験で,JISB9212ではポンチ先端. 半径7.5t,ISO7113ではポンチ先端半径6tで曲げを行っ. た際に割れが発生しないことが規定されている。ここで. は,試験片の曲げ稜線が圧延方向に対して90°方向にな. *技術研究所 鋼材研究部 鋼材第二研究チーム **技術研究所 鋼材研究部 鋼材第二研究チーム 主任研究員 ***技術研究所 鋼材研究部 鋼材第二研究チーム チームリーダー. 高靭性刈刃用鋼NK7CR. 藤 原 勝* 田 頭 聡** 平 松 昭 史***. High-Toughness Tool Steel “NK7CR” for Bush Cutter Saw Blade. Masaru Fujihara, Satoshi Tagashira. Akifumi Hiramatsu. 新製品紹介. るようにして,先端半径3.5~9.0mmのポンチを用いて曲. げ試験を実施し,n=3枚で割れの発生しない最小の半. 径を限界曲げ半径とした。. 図2にその結果を示す。50HRCに調質した場合,. SK85およびSKS5はISO7113に規定の6t曲げで破断す. る。一方,NK7CRは調質硬さ42~50HRCの範囲で. ISO7113の規定を満足し,比較材に比べて最小曲げ半径. が小さく,良好な曲げ特性を示す。. 3.2 衝撃強度. 図3に衝撃試験結果を示す。試験片は2mmVノッチ. シャルピー衝撃試験片を圧延方向に対して90°方向に採. 取して,室温で衝撃試験を行った。NK7CRは調質硬さ. 42~50HRCの範囲で比較材よりも約1.5~2倍衝撃値が. 高靭性刈刃用鋼NK7CR 47. 日新製鋼技報 No.84(2003). 図2 曲げ試験結果 Fig.2 Results of bend test.. ●:NK7CR. □:SK85. △:SKS5. ◇:SAE1075. 硬さ(HRC). 40 42 44 46 48 50 52. 10. 9. 8. 7. 6. 5. 4. 3. 限 界 曲 げ 半 径 ( m m ). 劣 ↑ ↓ 優. 表1 曲げ試験方法および曲げ特性の評価規準 Table1 Method of bend test and evaluation of bend property.. F. 90°. t 図3 衝撃試験結果 Fig.3 Results of sharpy impact test.. ●:NK7CR □:SK85. △:SKS5. ◇:SAE1075. 硬さ(HRC). 40 42 44 46 48 50 52. 35. 30. 25. 20. 15. 10. 5. 0. 衝 撃 値 ( J/ cm 2 ). 優 . ↑ . ↓ . 劣. 図1 曲げ試験方法の模式図 Fig.1 Schematic illustration of bend test.. 高い。また,NK7CRはSK85の42HRCと同等以上の衝撃. 値を50HRCでも確保できるので,安全性を保ちながら. より硬く調質することが可能である。. 3.3 耐摩耗性. 表2に摩耗試験条件,図4に摩耗試験方法の模式図を示. す。試験方法はプロペラ状に回転する軸に試験片を取付け. て,ショットグリット(鋼球:65HRC,粒径≦φ3mm). の中で100時間回転させた後の摩耗減量を重量比で評価. 試験機 30Ton油圧式万能試験機. 試験片 1.35t×30W×110lmm(C方向). 先端曲げ半径 3.5mm~9.0mm. 限界曲げ半径 の判定. n=3で割れが発生しない 最小の先端曲げ半径. 表2 摩耗試験条件 Table2 Conditions for wear resistance test.. 試験機 土砂摩耗試験機. 試験片 1.35t×50w×70lmm. 取付位置 回転軸から140mm. 取付角度 水平方向に対して30°傾斜. 摩耗材 ショットグリット(鋼球65HRC,粒径≦φ3mm). 雰囲気 乾式. 回転数 100rpm(周速90m/min). 試験時間 100h. 図4 摩耗試験方法の模式図 Fig.4 Schematic illustration of wear resistance test.. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 試験片. 摩耗材. 高靭性刈刃用鋼NK7CR48. 日新製鋼技報 No.84(2003). した。. 図5に摩耗試験結果を示す。NK7CRは調質硬さ42~. 50HRCの範囲で比較材とほぼ同等の特性を示す。. 図5 摩耗試験結果 Fig.5 Results of wear resistance test.. ●:NK7CR. □:SK85. △:SKS5. ◇:SAE1075. 硬さ(HRC). 40 42 44 46 48 50 52. 20. 15. 10. 5. 0. 摩 耗 減 量 ( % ). 劣 . ↑ . . ↓ . 優. 摩耗減量(%). = 1-────── ×100 試験後重量 試験前重量. チップソー. ヘッジトリマー. ソリッドソー. 図6 NK7CRの用途例 Fig.6 Examples of NK7CR’s application. 4.結 言. 刈刃用鋼として開発したNK7CRの諸特性について紹. 介した。本開発鋼は,JISB9212の材料に関する規定に. 記載されている『SK5又は,使用上これと同等以上の品. 質を持つもの』に相当するJIS規格材として,既に幾つ. かのJIS認定工場で認定を受けている。. NK7CRは,従来鋼のSK85やSKS5に比べて同一硬さでの. 衝撃強度に優れているので,一般的な刈刃の硬さである40. ~50HRCに調質した場合の折損防止による安全性の向上. が期待される。また,SK85やSKS5と同等以上の衝撃強度. を保持しながら,より高硬度に調質可能であるため,安全. 性を損なうことなく刈刃の耐摩耗性(永切れ性)を高める. ことができる。さらに,より高強度に調質する事で刈刃胴. 部の剛性が高められ,鋼材の薄肉化による刈刃の軽量化が. 可能となる。加えて,切欠感受性が低いことから,胴部へ. の穴開け等の設計の自由度が高くなり,これも軽量化に寄. 与することから,軽くて作業性の良い刈刃が容易に製造可. 能になる。このNK7CRの用途としては,草刈刃以外にも. 園芸用刃物や各種丸鋸への適用も期待される(図6)。. 8 新製品紹介 高靭性刈刃用鋼NK7CR

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