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密度の異なる気体間の対向置換流挙動の可視化と数値解析

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Academic year: 2021

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密度の異なる気体間の対向置換流挙動の可視化と数値解析

文沢

元雄

*1

,齋藤

嘉治

*2

Visualization and Numerical Analysis of Exchange Flow in Density Different Gases

Motoo FUMIZAWA*1 and Yoshiharu SAITO*2

*1, *2 Shonan Institute of Technology. Dept. of Mechanical Engineering

Tsujido-nishikaigan 1-1-25, Fujisawa-city, Kanagawa, 251-8511 Japan Abstract:

The exchange flow may occur following the opening of a window for ventilation, as well as when a pipe ruptures in a high temperature gas-cooled nuclear reactor, i.e., HTGR. The exchange flows in density different gases were investigated through inclined a narrow tube. The experiments were carried out in a test chamber filled with helium and the flow behavior was visualized using the smoke methods and recorded by the high-speed camera. The image of the flow was transferred to digital data, and then the slow flow velocity was measured by PIV software. Numerical analysis was carried out by the 3D code of moving particle with Lagrange method. As the result, it was clarified that the 3D vortex mechanism and the null velocity curved surface in the exchange flow.

KEY WORDS: Exchange flow, HTGR, Smoke method, PIV, Moving particle, Lagrange method, 3D vortex

1. 緒 言 2011 年 3 月 11 日の福島第一原子力発電所の事故を 受けて、軽水炉よりも安全性の高い原子炉として、 高温ガス炉が注目されている。高温ガス炉はその出 力密度が低いために、全電源を喪失した場合でも、 圧力容器内の自然対流によって崩壊熱を除去できる、 優れた安全性を有した原子炉といわれている。 しかし、高温ガス炉のスタンドパイプ破断事故時 や燃料球装荷口破断事故時にはFig.1 に示すように、 冷却材であるヘリウムと密度の異なる空気との間に 不安定密度成層による対向置換流が発生する。これ により原子炉圧力容器の配管破断口から空気が内部 に浸入し、黒鉛製の炉内構造物の燃焼(酸化)に伴 い、構造の健全性が損なわれる恐れがある。このた め高温ガス炉の設計に当たっては、例え配管破断事 故が生じても、破断口から流入する空気によって燃 料が酸化されて放射性物質を放出したり、炉心構造 物が著しく破損されたりすることがないように設計 する必要がある。また、黒鉛と酸素との反応熱によ って燃料温度が許容値を超えないように設計する必 要もある。そのためには配管破断事故が生じた時、 炉内に流入する空気流量、流入した空気の炉内にお ける流動挙動などを知る必要がある。このための研 究は、これまで幾つか行われている(1-9) 文沢らは、高温ガス炉スタンドパイプ破断事故時 に生じるヘリウムと空気との異種気体間の対向置換 流に関する研究を系統的に行っている(6)。その中で用 いられた対向置換流挙動の解明に適した計測手法を Fig.2 に示す。計測手法には質量変化法での置換流量 測定(全体一点近似計測)、レーザー流速計での垂直管 内流速測定(点計測)、スモークワイヤー法での傾斜管 内流速分布測定(線計測)、光学的干渉計での可視画像 処理による上鏡内部の二次元非定常密度分布表示(面 計測)がある。上述の計測手法によって、対向置換流 量評価を行っている。 また、姜らは仕切りのある開口部におけるヘリウ ム-空気対向置換流実験を行い仕切りの無い場合よ り、対向置換流量が多くなることを見出している(7)。 これは、2つの気体の流れ(密度の異なる気体)が 開口部すなわち流路内で相互に干渉し、置換流量を * 原稿受付 0000 年 00 月 00 日 *1 正員,湘南工科大学 工学部 機械工学科 *2 学生員,湘南工科大学大学院 工学研究科 機械工学専攻(〒251-8511 神奈川県藤沢市辻堂西海岸 1-1-25) E-mail: [email protected]

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減少させていることを示唆している。 以上より、流路内での干渉のメカニズムの解明が 望まれるが、これまでの対向置換流に関する研究は、 実験的に流量評価を行うに留まっており、干渉のメ カニズム解明には至っていない。そのための重要な アプローチである流れの可視化についても、面計測 では光学的干渉計での密度分布表示、流速測定につ いては、スモークワイヤー法での線計測が行われる に留まっている。 そこで本研究では、異種気体の干渉メカニズム解 明をテーマとし、PIV および数値計算を用いて、流路 内での挙動および流速分布を求めた。数値計算では 粒子法解析コードを用い、3次元場での計算を行っ た。近年の計算機の進歩により、100 万粒子レベルで の解析が可能となっている。また数値計算と比較評 価を行う為、従来手法での実験も併せて実施した。 2. 実 験 2・1 質量変化法による実験方法 質量変化法(7)による実験装置の概要をFig.3 に、実 験容器の寸法および座標系をFig.4 に示す。容器はア クリル製の円筒形であり、流路の形状は内径と長さ の比L/D が 5 である。流路傾斜角の影響を調べるた め、実験容器全体をFig.3 のように傾斜させ、0°を垂 直として 15°,30°,45°,60°,75°,90°の各傾斜角で実験を 行った。

Fig.1 Exchange flow at HTGR

Fig.2 Experimental apparatus of the studies

Fig.3 Experimental apparatus with mass increment method

Fig.4 Bird eye view of the test chamber and the dimensions

∙ ∆ 1

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ここで、 Q:対向置換流量 A:流路断面積 D:流路直径 g:重力加速度 ρ:平均密度(=(ρH+ρL)/2) ⊿ρL:密度差(=ρL-ρL0) ρL 、ρH:低密度気体、高密度気体の密度 (添え字) 0:初期値 ヘリウムを充填させた容器を電子天秤に置き容器 を解放することで対向置換流をさせ、電子天秤の計 測値を 1 秒周期でパソコンに転送する。パソコンに 転送された質量測定値の時間変化から、(1)式を用い て対向置換流量を求める。更に実験中の容器内密度 変化による流量変化を考慮し、(2)式に示す密度フル ード数 Fr を用いて普遍的評価を行う。密度フルード 数 Fr は、流量に関する慣性力と浮力の比を表す無次 元数である。 2・2 スモークワイヤー法による実験方法 質量変化法では、極めて正確な置換流量を計測で きるものの、対向流の挙動や、流路中の速度分布は 不明であった。これらを解明するため、スモークワ イヤー法による可視化実験を行った。この高速度カ メラを用いた撮影・解析システムの構成、及び可視 化の様子をFig.5 に示す。実験容器および傾斜角は質 量変化法と同様のものを用い、流れを可視化するた めのワイヤーを流路X 軸方向に設置した。ワイヤー 部はCRC を塗布したニクロム線(直径 0.1mm)で、 Z 方向の位置は流路の中央部である。 実験容器の空気をヘリウムで置換した後、流路の 先端に取り付けた盲蓋を取り外して大気開放し、空 気とヘリウムの置換流を生じさせる。ここでワイヤ ーにパルスを与え、発生した煙により流れを可視化 する。スモークの発生電圧は250Volt、通電時間は 30 msec である。 この様子を高速度カメラで撮影し、計算機のPTV 手法により流速値を求めた。撮影条件は、1 画像撮影 間隔=1/300 sec である。この流速値からは Fig.6 に示 す流路モデルによって置換流量が求められ、質量変 化法と同様に、密度フルード数Fr を用いて評価を行 う。 2・3 PIV による実験方法 スモークワイヤー法では、流路の中央部における 一直線状の流速分布を見ること、すなわち線計測を 行ってきた。しかし対向置換流では、流路を上昇す

Fig.5 Experimental apparatus with smoke wire method Test chamber High speed camera VCC-H1600C Control computer D-file Smoke pulse generator Helium gas Air θ Flow path Smoke wire L D

L:length of flow path D: diameter of flow path Test chamber High speed camera VCC-H1600C Control computer D-file Smoke pulse generator Helium gas Air θ Flow path Smoke wire L D

L:length of flow path D: diameter of flow path

Fig.6 Flow velocity distribution model

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るヘリウムと、下降する空気が互いに干渉し、その 挙動や流量に影響を与えていることが考えられ、そ の解明のためには、流路全体における流れの可視化 が必要である。 このため新たに、粒子画像追跡法(PIV)による可視 化実験と流速測定を行った。この概念をFig.7 に、使 用したレーザーの諸元をTable1 に示す。 実験方法は、スモークワイヤー法で用いた実験容 器内部に、ヘリウムに加えてトレーサーとなる煙を 充填し、レーザーによる垂直スリット光を用いて、 流路のXZ 断面上での流速分布を計測した。下降流と なる空気にはトレーサーを付加していないため、こ の方法では基本的に上昇流のみが可視化され、速度 が計測される。なお実験容器は、高速度カメラ撮影 の都合により、流路部分を円管(直径 20mm)から角管 (幅および高さ 20mm)に変更した。円管では光線の反 射等の影響により、撮影が困難なためである。 またPIV 処理は困難であるが、円管流路でも実験 を行い、流路のXY 断面にスリット光を当て、流れ と鉛直方向の挙動について可視化観察を行った。 2・4 実験結果と考察 2・1 節の質量変化法と 2・2 節のスモークワイヤー 法のそれぞれにより得られた、各流路傾斜角と密度 フルード数Fr の関係を Fig.8 に示す。密度フルード 数により、置換流量の普遍的評価を行うことができ る。流量決定の因子としては、浮力と安定成層の2 つが影響しているので、これを個別に説明する。 まず、対向置換流の駆動力は浮力であるため、傾 斜角が小さくなると、流量は増加する傾向にある。 次に、対向置換流はFig.5 で示したように、流路の上 側を密度の小さいヘリウムが、下側を密度の大きい 空気が流れる、すなわち流路中では安定成層が形成 される。しかし傾斜角が垂直に近づくと、ヘリウム と空気が十分に分離できなくなる、すなわち安定成 層が形成できなくなる。この場合、上昇流と下降流 が時間的に変化する不規則振動流となることが知ら れている。このとき置換流量は、安定成層の場合よ りも減少する。以上の2つの因子により、流路傾斜 角と置換流量の関係は、30~45°をピークとする山形 になると考えられる。 また、質量変化法により得た密度フルード数Fr と スモークワイヤー法のそれは値が一致すると予想し たが、両者を比較すると、スモークワイヤー法の方 が全体的に高い値となっている。この点については、 PIV 実験および数値解析の結果を踏まえて、3 章で考 察する。 2・3 節の実験により得られた、流路垂直断面の流 れの様子をFig.9 に示す。ここでヘリウムの上昇流は、 左から右に向かって、流路の上側を流れている。空 気の下降流には煙を付加していないため可視化され ないと予想したが、流路の下側で左に向かって流れ る煙が認められる。これは、上昇流の一部が、界面 から下降流側に巻き込まれていることを示唆する。 この画像をPIV 処理し得られた流速分布を Fig.10 に示す。ここで注目すべきは、上昇流の一部がどこ から、どのように下降流側に巻き込まれるかである。 ここでは、上昇流と下降流の界面が流路の上下方向 で中央部であると仮定し、これを通過する成分、す なわち流速のX 方向成分を抜き出し評価した。 また円管流路のXY 断面にスリット光を当てた可 視化観察では、Fig.11 の画像が得られた。上昇流と下 降流の間に、双子渦状の旋回が見られる。これはケ ルビン・ヘルムホルツ不安定性に起因する渦と考え られるが、詳しくは粒子法の解析結果を踏まえて、3 章で考察する。

Table 1 Laser specifications Laser oscillator LD excitation YVO4 laser Wavelength 532nm(green)

Laser power 1W

Oscillator form Continuous oscillation Polarization >100:1

Fig.8 Comparison between Smoke wire method (SW) and Mass increment method (MI)

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3. 数値解析 3・1 粒子法コードによる解析 対向流の気体の干渉についてより詳細に調べるた め、粒子法コードによる3次元解析を行った。対向 置換流は、ヘリウムと空気の2流体が、拡散や対流 といった複合的な干渉を生じることが考えられ、そ れらを総合的に評価するうえで粒子法が有用と思わ れる。 解析コードはプロメテック・ソフトウェア株式会 社のParticleworks3.01(10)を用い、計算機はNVIDIA 社 製のGPU プロセッサ TESLA C2070(11)を搭載したワ ークステーションを使用した。このGPU プロセッサ のメモリ量により、計算規模は約100 万粒子に制約 されるため、これを超えないよう解析条件を設定す る必要がある。 解析条件は、Table2,Fig.12 から Fig.14 に示すよう に、実験容器を模擬している。座標系も実験と同様 に定義する。流路の上側は本来大気解放であるが、 ここでは大気部分の流動を表現するため、ヘリウム 容器と同じ形状の境界を設定している。 また流動に影響の少ない領域の体積を削減するこ とで使用粒子数を節約でき、その分着目部分の粒子 をより細かくし解析精度の向上が期待できる。本解 析では、流路部分の精度を確保するため、容器本体 を相対的に小さく設定している。流路の直径方向で、 直径0.7mm の粒子が約 30 個存在することになり、こ れによって流速分布を表現する。 Fig.9 Flow Visualization of helium upflow and air

downflow

Fig.10 Velocity distribution measurement by PIV

Fig.11 Secondary flow of XY cross section

Table 2 Calculation conditions of moving particle method

Flow path length L 100mm Diameter flow path d 20mm Tube thickness b 0.5mm Container size H=D 80mm Particle diameter a 0.93mm Number of particle n 1,006,996

Inclination angle θ 45°

Fig.12 Dimensions of the numerical analysis

Fig.13 Numerical boundary conditions of moving particle method of bird’s eye view

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3・2 解析結果-流速分布 本解析は非定常性を持つため、まず流動の進展に ついて説明する。解析時間が0 秒のとき流体は静止 しており、解析時間が進むと、ヘリウムの浮力によ って流体は加速する。加速が時間的に飽和した後は、 容器内のヘリウムが空気に置換されてゆくに伴って、 流速および流量は緩やかに低下する。この状態を準 定常状態と呼ぶ。本解析ではt=3.0 秒以降で、流れは 準定常状態にある。 解析時間t=4.5 秒の場合の、疑似カラー化した XZ 断面の流速分布をFig.15 に示す。Y 方向には、流路 の中心部分の断面を表示している。流路中で上昇流 と下降流(共に高い流速値は赤色表示)の界面を見 ると、X 軸方向での中心高さよりも、下側に界面が あるように見える。ここでFig.15 の流路部に示す3 箇所でXY 断面をとり、流速分布および流量評価を 行った。3箇所のXY 断面とは Upper、Center、Lower の各断面であり、それぞれ上部断面、中部断面、下 部断面と呼ぶ。次いで、中部断面におけるXY 断面 上のZ 方向流速分布を鳥瞰図として Fig.16 に示す。 図より対向流界面(Z 方向流速ゼロの場所)は3次元 の曲面になることが明らかとなった。また各断面に おける流速分布をFig.17 に示す。断面の上側に赤い 点で見えるのはベクトルの矢頭であり、上昇流を表 している。断面の下側に見られる青く細い線はベク トルの矢尻であり、下降流を表している。このよう に対向流の主流はZ 軸方向に流れるが、両者の間に 黄色や緑色で、主流と直交する速度成分が認められ た。これは各断面における2次流れが顕著に認めら れていることを示している。中部断面における2次 流れに関して、Y 軸上の速度分布の X 成分を Fig.18 に示す。断面の左右では流体が上昇し、中央では下 降している。この流速はピーク値で0.18m/s と、主流 の0.36m/s に対して極めて早い。これに付随して、上 昇流と下降流の界面は平面ではなく、V字型になっ ている。Fig.17 で界面が下側に寄って見えたのはこの V 字の谷を見たためと考えられる。これらのことよ り、Fig.19 に示すように、対向置換流路では、主流方 向を軸とする渦が断面の左側では時計回りに、断面 の右側では反時計回りに旋回する双子渦が存在して いることがわかる。これらの結果は、2・3 節の実験 で見られた双子渦に相当するものと考えられる。

Fig.14 Numerical boundary conditions of moving particle method of cross sectional view

Fig.15 Flow velocity distribution on XZ cross section

Fig.16 Bird eye view of main flow velocity distribution on the center plain of XY co-ordinate

Fig.17 Secondary flow velocity distribution on XY section Y X Ve lo cit y VZ (m /s ) He upf lo w Ai r d ow nf low 0.40 0.0 -0.40

(7)

3・3 解析結果-気体混合量の評価 3・2 節で述べた極めて強い旋回流によって、流路 中では上昇するヘリウムと下降する空気が撹拌され、 流路を通過後には混合状態となっていることが考え られる。混合は対向置換流の実流量を減少させるの で、これを調べるため、流路3箇所でヘリウムと空 気の粒子数を評価した。 各箇所のXY 断面にはそれぞれ 769 個の粒子が存 在しており、これをTable3 のように、下降している か上昇しているか、またヘリウム粒子か空気粒子か で4つに分類した。各粒子数N および各流量 Q を、 Table3 ように定義する。Fig.20 に、各断面における粒 子数を示す。それぞれの粒子の存在比が、モル分率 に相当すると考えられる。粒子法の解析において、 個々の粒子は単位個数の分子の動きを代表している と考えられるので、本解析ではヘリウムと空気のモ ル分率はそれぞれの粒子数の比に相当すると仮定し た。Fig.20 の左側から2つ、NdhNdaは下降流であ る。まず大気側位置の上部断面で両者の存在比を見 ると、大半は空気粒子である。しかし流路中点の中 央断面においては、多数のヘリウム粒子が下降流に 混合していることが分かる。このヘリウム粒子は、 上昇流中のNuhから流入していると考えられる。容器 側位置の下部断面では、混合が更に顕著である。 Fig.19 の右側から2つ、NuhNuaは上昇流である。 まず容器側位置の下部断面で両者の存在比を見ると、 大半はヘリウム粒子である。以降上昇流を追ったと きの、中点中部断面と大気側上部断面での混合状態 は、下降流のそれと同様である。 このように上昇流から下降流に、または逆向きに 混入した粒子は、流路中で反転していると見なすこ とができる。すなわち、置換流量には相当しない。 置換流量は、Ndaの最小となる位置の値、またはNuh の最小となる位置での値のみで求められる。 3・4 解析結果-置換流量の評価 流量の計算では(3)(4)式に Qdhの例を示すように、 粒子個々の流速にそれぞれ微小断面積ΔA を与え、前 述した4種類に分類したうえで、それぞれの総和を 求めた。流路の各箇所における、状態別の流量を Fig.21 に示す。この流量は、Fig.20 の粒子数に、速度 の重みづけをしたものである。 下降流の見かけ上の体積流量は、QdhQdaの和、 上昇流はQuhQuaの和であるが、実質的な置換流量 はQdaまたはQuhのみの最小部の流量となる。本解析

Fig.18 Secondary flow velocity profile on Y axis

Fig.19 Vortex pair concept on XY section

Fig.20 Measurements of particle number

Table 3 Categorized particles

Number of

particle N

Flow rate Q

Gases He Air He Air

Upward Nuh Nua Quh Qua

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では下部断面位置の置換流量(Qda)は 1.46×10-5㎥/s となり、従来の実験結果(6,7)と類似の結果が得られた。 また、流量計測値(密度フルード数 Fr)に関し、2 章の実験結果と3章の数値解析結果を比較する。す なわち、実験の質量変化法(MI 法)と数値解析(粒 子法:MPS 法)の比較をFig.22 に示す。Fig.22 は密度 フルード数 Fr と首部の傾斜角の関係を示すが、両者 は比較的良く一致している。このことから、粒子法 の解析結果は、信頼性が高いと考えられる。 4. 結 言 異種気体の対向置換流における干渉のメカニズム を解明するため、PIV および数値計算を用いて、流路 内での挙動および流速分布を求めた。PIV では流路に おける流れの巻き込み、および主流方向を軸とする 横渦の存在が示された。数値解析では粒子法コード を用い、流路において主流方向を軸とする横渦の発 生を再現した。またこの横渦の流速が極め早いこと が分かった。この横渦による上昇流と下降流の混合 について、流路を通過する間に混合が進展してゆく 様子を示した。この混合が、対向置換流の置換流量 を減少させる因子であることがわかった。 謝 辞 本研究を遂行するにあたり文沢研究室の大学院生 で 2012 年度に機械工学専攻を修了した三和工機(株) の大川修平氏に多大な協力を得た。記して謝意を表 する。 文 献

(1) Leach,s.j. ,Thompson,H. :J.Br.Nucl. Energy Soc., 14[3],(1975), p.243

(2) Mercer, A. ,Thompson,H. :J.Br.Nucl. Energy Soc., 14[4],(1975), p.327

(3) Mercer, A. ,Thompson,H. :J.Br.Nucl. Energy Soc., 14[4],(1975), p.335

(4) Epstein, M.: J. Heat Transfer, 110, (1988), p.885 (5) Epstein, M. , Kenton, M. A. : J. Heat Transfer, 110,

(1989), p.980 (6) 文沢元雄,“レーザ流速計による浮力駆動置換流 の流量測定に関する研究”, 日本機械学会論文 集(B 編), 59[567], (1993), p3686 (7) 姜泰一, 岡本孝司, 斑目春樹, 文沢元雄, “仕切 りのある開口部におけるヘリウム-空気置換 流”, 日本機械学会論文集(B 編), 59[566], (1993), p3106 (8) 鶴大悟, 岡本孝司, 斑目春樹, 文沢元雄, “複数 のフローパターンを持つ隣接複開口部を介した 浮力駆動置換流”, 日本機械学会論文集(B 編), 63[615], (1997), p3572 (9) 文沢元雄 他,“高速度カメラ撮影による対向置 換流挙動の可視化”, 可視化情報, 26 [Suppl.2], (2006), p293. (10) プロメテックソフトウェア株式会社 WEB サイ ト http://www.prometech.co.jp/

(11) NVIDIA Corporation WEB サイト http://www.nvidia.co.jp/

Fig.21 Measurements of Flow rate

∆ 3

∆ 4

Fig.22 Densimetric Froude number vs. inclination angle

MI法 粒子法

MI MPS

Table 1 Laser specifications  Laser oscillator  LD excitation YVO4 laser  Wavelength 532nm(green)  Laser power  1W
Table 2 Calculation conditions of moving  particle method
Table 3 Categorized particles

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