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学位論文題名Studies on Biologically Active Constituents from Gi7zkgo bilo施

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) / ヾ ル ビ ン ベ ガ ウ ム

     学位論文題名

Studies on Biologically Active Constituents     from Gi7zkgo bilo 施

(イチョウに含まれる生物活性を有する化学成分に関する研究)

学 位論文 内容の要旨

  本 研究 は、 イチ ョ ウ(Ginkgo biloba,Ginkgoaceae)偽 果 からAphanom yces cochlioides二次遊走 子 を用いた検定により生理活 性化合物を検索したものであ る。イチョウは古くから数々の病気治療に用い ら れており、多様な生物活性 を示す化合物群がこの植物か ら単離されている。しかしながら、イチョウに 含 ま れ る 成 分 の 卵 菌 類 ニ 冫 欠 遊 走 子 に 対 す る 生 物 活 性 に つ い て は 全 く 報 告 が な か っ た 。   本 研 究 論 文 は 、1)anacardic acid類 、cardolおよ びcardanolの単 離 と、anacardic acidのメ チ ル 化 、加 水分 解、 還 元等 を中 心に した 各 種化学誘導、2)活性 化合物のA.coch lio以esに 対する生理活 性 (遊走子遊泳停止活性、遊 走子細胞溶解誘導活性、菌糸 伸長阻害活性およぴ遊走子生成抑制活性)の定 量 的 評価 、3)各 種anacardic acid誘 導体 の抗 細 菌活 性検 定、4)anacardic acid処理で 誘導される細 胞 傷害過程の走査型電子顕微 鏡による観察、および5)上 記の生理活性に関する構造活 性相関の検証、の 5項目の研究から成り立ってい る。

1)anacardic acid類 、cardo| お よ ぴcardanolの 単 離 と 、anacardic acidの メ チ ル 化 、 加 水分解、還元等を中心にした各種化学誘導

  イチョ ウ未熟果実の酢酸エチル可溶 部から、A.  cochめid es遊 走子に対する遊泳停止活性 およぴ細胞 溶解誘導 活性を指標に、5種類の化合 物を単離し、各種分光分析に よってそれらを同定した。 すなわち、

これら単離化合物はそれそれ22:l(D7‑ anacardic acid(1),24:1(09‑ anacardic acid(2),22:0‑ anacardic acid(3),21:10J7‑ cardolく4),および21:1m7‑ card an 01く5)であった。anacardic acid混合物(1m)は、

メチルエステル誘導体、2−〇‐メチルエーテル誘導体、ベンジルアルコールへの還元体、およぴ2‐〇‐アセ チル化物に変換した。また、22:10J7‑2‐〇‑ methylanacardic acid (1‑c)を純粋な化合物1から誘導した。

2) 活 性 化 合 物 のA.cochlioidesに 対 す る 生 理 活 性 ( 遊 泳 停 止 活 性 、 細 胞 溶 解 誘 導 活 性 、 菌 糸 伸 長阻害活性およぴ遊走子生成 抑制活性)の定量的評価

  二次遊走子に対する遊泳停止 活性および細胞溶解誘導活 性は、その定量的評価法が確 立されておらず、

ま たそれらの活性そのものが化 合物投与量に相関を示すも のかどうかも分かっていなか った。本研究にお い ては、まずこれらの定量的活 性評価法の条件検討をおこ ない、遊走子密度、化合物投 与量、経時変化量 に ついてそれそれ予備的な検討 を実施した。被検化合物に 対する応答が経時的に進行し 続けるため、デジ タ ルカメラを用いた記録映像を コンピュー夕―のモニタ― 画面上で計測し、複数の化合 物の活性を同時に 比 較した。この際、ボルテック ス処理によって物理的に被 のう胞子化させたものを計測 し、本アシセイ系 に おけるバックグランドとした 。溶解を示した遊走子は光 学顕微鏡下での観察が困難な ため、系内に残留 し た被のう胞子の数を数え、それをパックグランドの値から差し弓|いて、溶解頻度を%で表示した。化合物 の 投 与量 によ って 認められる 生理的変化(dose response)の相関を求め、1の場合は10・6でほぼ直線的 な 相 関線 を示 すこ とが分かっ た。また、―定濃度の1にお ける反応処理後の経過時間 と遊走子遊泳停止活 性 お よぴ 遊走 子細 胞溶 解 誘導 活性 との 関 係は、前者が20・40分、後者が1時間から3時間の間で、明らか

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な直線性を示した。これら の条件を組み合わせて、遊 泳停止活性およぴ細胞溶解誘 導活性を定量的に評価 する方法を確立した。

  化合物1,2,3,4およぴ1‐cはそれそれ、A.    coch lioidesニ冫欠遊走子に対する遊泳停止活性およぴ 細胞溶解誘導 活性を示した。モル濃度当 たり最も高い活性を示したの は化合物1‑cであった。両活 性は、

1・c冫1>4>2>3の順 に低 下し た。 ま た、 比率 を変 えた こ れら 化合 物の 混 合物について、細胞溶 解誘導 活性 の相 対的 強 度を 調ぺ た。 興味 あ るこ とに 、化 合物1あ るい は4単独 に 比べ、4と1の混合物で は明ら かな活性の上昇が認められ 、それそれの作用機構が異 なることが示唆された。菌糸 伸長阻害活性およぴ遊 走子生成抑制 活性については、合成農薬 であるfluazinam(6)を指標 化合物として、化合物1の定 量的活 性評価を実施した。

3)各種anacardic acid誘導体の抗細菌 活性検定

  ブイ ヨン 寒天 平 板上 での ぺ― パ ーデ ィス ク法 で検 定 した ところ、化合物1および1・cはそれそれ3.12 ptg/discお よび1.56 yg/ discでロacillus subtilisに対する抗細菌活性を示した。化合物4はやや弱いなが ら も活 性を 示し た が、5を 含め 、そ の他 の誘 導 体は200 yg/discで全 く活 性 を示 さな かった。これに対 し 、 化 合 物1およ び1・cを含 めた 全て の 被検 化合 物が 、 グラ ム陰 性細 菌で あ るEscherich血coli,植物 病 原 性 糸 状 菌 で あ るPythium vexans¥腐 生性 不 完全 菌で あるCladosporium herbarumに対 し、 何 ら生 育阻害活性 を示さなかった。  .

4) anacardic acid処 理 で 誘 導 さ れ る 細 胞 傷 害 過 程 の 走 査 型 電 子 顕 徹 鏡 に よ る 観 察   走査型電 子顕徹鏡により、遊走子の溶 解までの過程を追跡した結果、以下のことが分かった。anacardic acid類に曝 露された遊走子は、初期反応 として鞭毛の崩壊がまず弓1き起こされ、被のう胞子への形態変化 を経ずに、 細胞表層の特定部位の崩壊が 認められる。その後、細胞 内容物が放出されて細胞の完全な溶解 に至る。こ れらの観察から、anacardic acid類の作用部位は鞭毛お よび細胞膜にあり、細胞表層の崩壊は 鞭毛基部付 近から開始する可能性が示唆 された。

5)上記の生 理活性に関する構造活性相 関の検証

  以上 の結 果か ら 、anacardic acid類 のA.cochめides二次 遊走子に対する遊泳停止 活性と弓1き続いて 認められる 細胞溶解誘導活性は、特異的 であり、かつ、B. subtilisに対する抗細菌活性との強い相関があ ることが明 らかになった。遊泳停止活性 および細胞溶解誘導活性を 発現するためには、遊離のカルボキシ ル 基(‑ COOH)およぴ適当な 長さをもち少なくとも1箇所 の炭素炭素間二重結合が存 在するアルキル側鎖 が必要であ ると考えられた。芳香環上に ある分子内水素結合性のフ ェノール水酸基は、これらの活性には 必 ずし も重 要で は なく 、む しろ メ チル 化に よっ て完 全 にキ ャップされた化合物1‑cの方が活性が増大し た 。カ ルポ キシ ル 基を 持た ず芳 香 環上の2カ所にフェノ ール水酸基を保持しているcardol (4)は、1には やや劣るも のの有意な活性を示したが、 化合物1の脱炭酸生成物に相 当するcardanol(5)は全く活性を示 さ なか った 。先 に 示し たよ うに 、 化合 物1あ る いは4単 独に 比ベ 、4と1の 混 合物 では 明らかな活性の上 昇 が 認 め られ るこ と から 、化 合物4の4. 位の 水酸 基の 持 つ役 割を 調べ るこ と で、1と1‐cの作 用機 構 間の差違が 明らかになるかも知れない。 構造と活性の相関について は、まだ例証による検討が不十分であ る。例えば 、二重結合の位置や個数の違 い、あるいはそれらの幾何 異性体間で活性発現に大きな違いがあ るかどうか など、分からないことが山積 している。しかしながら本 研究は、卵菌遊走子の感染に起因する 多 く の 土 壌 伝 播 性 の 病 気 の 生 物 合理 的防 除に 新 たな 方向 性を 示 す結 果を 包含 して い るも ので ある 。

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R

H

H

 1 :  R=H, 22:1‑co'‑anacardic acid      3: 22:O‑anacardic acid 1‑c: R=CH3, 22:1‑cn: 2‑O‑methylanacardic acid

2: 24:1‑ai'anacardic acid

H

‑ 151 ‑

5: R=H, 21:1‑oit‑cardanol

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学位 論文審査の要旨

主 査   教 授   田 原 哲 士 副 査   教 授   吉 原 照 彦 副 査   助 教 授   橋 床 泰 之 副 査   講 師   福 士 幸 治

     学位論文題名

Studies on Biologically Active Constituents     from Ginkgo bilo 施

(イチョウに含まれる生物活性を有する化学成分に関する研究)

  本 論 文 は 、 英 文122頁 、 図32、表35、6章 か らな り、 ほか に図37から なる 付録 と参 考 論文1 編が付されている。

  本 研 究は 、イ チョ ウ(Ginたgo biloba,Ginkgoaceae)偽果 からAphロnomツces cochめid es二 次遊走子を用いた検 定により生理活性化合物を検索したものであり、1)anacardic acid類、cardol およぴcard an oIの単離と、anacardic acidのメチル化、加水 分解、還元等を中心にした 各種化 学誘 導 、2) 活性 化 合物 のA.cochめ 耐ピ ぷに 対 する生理活性 (遊走子遊泳停止活性、遊 走子細 胞溶解誘導活性、菌 糸伸長阻害活性およぴ遊走 子生成抑制活性)の定量的評価、3)各種anacardic acid誘 導体 の抗 細菌 活性 検定、4)anacardic acid処理で誘導 される細胞傷害過程の走査 型電子 顕微 鏡 によ る観 察、 およ ぴ5)上 記の生理活性に関する構造活 性相関の検証を実施し、以 下の結 果を得ている。

R

H

H

 1 :  R=H, 22:1‑co'‑anacardic acid       3: 22:O‑anacardic acid 1‑c:  R=CH3, 22:1‑ 017‑2‑ O‑methylanacardic acid

2:  24:1‑ o07‑anacardic acid

‑ 152 H

5: R=H,  21:1‑o)7‑cardanol

(5)

1) 先 ず 、 イ チ ョ ウ 未 熟 果 実 の 酢 酸 エ チ ル 可 溶 部 か ら 、A.cochides遊 走 子 に 対 す る 遊 泳 停 止 活 性 お よ び 細 胞 溶 解 誘 導 活 性 を 指 標 に 、5種 類 の 化合 物 を 単 離 し 、各 種 分 光 分 析に よ っ て そ れ らをそれそれ22:1c07̲ anacardic acid(1),24:1c09‑ anacardic acid(2),22:0‑ anacardic acid(3),

21:1(07‑ cardol(4),お よび21:l(07‑ cardanol(5)と 同定し た。anacardic acid混 合物(1m)は 、 メ チル エ ス テ ル 誘導 体 、2 ̄ 〇‐ メ チ ル エ ー テル 誘 導 体、ベ ンジル アル コール への還 元体に 変換し 、 ま た 、22:10i'‑2‐ 〇‑ methylanacardic acid (1‑c) を 純 粋 な 化 合 物1か ら 誘 導 し た 。

2Acoch lioidesに 対 す る 生 理 活 性 ( 遊 泳 停 止 活 性 、 細 胞 溶 解 誘 導 活 性 お よ ぴ 菌 糸 伸 長 阻 害 活 性 ) の 定 量 的 活 性 評 価 法 の 条 件 検 討 を お こ な い 、 デジ タ ル カ ヌ ラ を用 い た 記 録 映像 を バ ソ コ ン の モ ニ タ ー 画 面 上 で 計 測 し 、 ま た 、 ボ ル テ ッ ク ス 処 理に よ っ て 物 理 的に 被 の う 胞 子化 さ せ た も の を 本 ア ッ セ イ 系 に お け る バ ッ ク グ ラ ン ド と す る 方 法 を 確 立 し た 。 こ の 方 法 を 用 い 、一 定 濃 度 の1 に お け る 反 応 処 理 後 の 経 過 時 間 と 遊 走 子 遊 泳 停 止 活 性お よ ぴ 遊 走 子 細胞 溶 解 誘 導 活性 と の 関 係 を 調 ベ 、1x 10‑6M濃 度 で 前 者 が20‑ 40分 、 後 者 が1時 間 か ら3時 間 の 間 で 明 ら か な 直 線 性 を 示 す 結 果 を 得 た 。

  化 合 物1234お よ ぴ1cAcochめ 泌es二 次 遊 走 子 に 対 す る 遊 泳 停 止 活 性 お よ ぴ 細 胞 溶 解 誘 導 活 性 を 比 較 し 、 両 活 性 と も1‑c142>3の 順 に 低 下 す る こ と を 明 ら か に し た 。 遊 泳 停 止 活 性 お よ び 細 胞 溶 解誘 導 活 性 を 発現 す る た め に は、 遊 離 の カ ルポ キ シ ル 基 (‐ COOH) お よ ぴ 適 当 な 長 さ を も ち 少 な く と も1箇 所 の 炭 素 炭 素 間 二 重 結 合 が 存 在 す る ア ル キ ル側 鎖 が 必 要 で あ り 、 芳 香 環 上 に あ る 分 子 内 水 素 結 合 性 の フ ウ ノ ー ル水 酸 基 は こ れ らの 活 性 に は 寄与 せ ず 、 む し ろ メ チ ル 化 に よ っ て 完 全 に キ ャ ヅ プ さ れ た 化 合 物1‑cの 方 が 活 性 の 増 大 を 認 め た 。 ま た 、 化 合 41の 混 合 物 で 、1あ る い は4単 独 に 比 ペ 、 相 乗 的 な 活 性 上 昇 を 認 め た 。 こ れ に よ り 、 そ れ そ れ の 作 用 機 構 が 異 な る と の 推 測 を 与 え た 。

3) 各 種anacardic acid誘 導 体 の 抗 細 菌 活 性 を 寒 天 平 板 上 、 ベ ー パ ー デ ィス ク 法 で 検 定し た と こ ろ 、 化 合 物1お よ ぴ1‑cは そ れ そ れ3.12 yg/ discお よ ぴ1.56 yg/'discBacillus subtilis 対 す る 抗 細 菌 活 性 を 示 し た 。 そ の 他 の 誘 導体 は200 yg/ discでも ほ と ん ど 活 性を 示 さ な か った こ と か ら 、 殺 遊 走 子 活 性 と 抗 グ ラ ム 陽 性 細 菌 活 性 と の 間 の 正 相 関 を 見 い だ し た 。

4anacardic acid処 理 し た 遊 走 子 で 誘 導 さ れ る細 胞 傷 害 過 程の 走 査 型 電 子顕 微 鏡 に よ る 観察 を 行 っ た 。 こ れ に よ り 、anacardic acid類 に 曝 露 され た 遊 走 子 は、 初 期 反 応 とし て 鞭 毛 の 崩 壊が ま ず弓fき 起 こ され 、 被 の う 胞子 へ の 形 態 変化 を 経 ず に 、細 胞 表 層 の 特 定部 位 の 崩 壊 が認 め ら れ た。

そ の 後 、 細 胞 内 容 物 が 放 出 さ れて 細 胞 の 完 全な 溶 解 に 至 った 。 こ の 観 察か ら 、anacardic acid の 作 用 部 位 は 鞭 毛 お よ び 細 胞 膜に あ り 、 細 胞表 層 の 崩 壊 は鞭 毛 基 部 付 近か ら 開 始 す る 可能 性 を 指 摘し た 。

  以 上 の よ う に 、anacardic acid類 のAcochめ 耐es二 次 遊 走 子 に対 す る 遊 泳 停止 活 性 と 弓 |き 続 い て 認 め ら れ る 細 胞 溶 解 誘 導 活性 は 、 単 純 な界 面 活 性 作 用 に起 因 す る の では な く 、 遊 走子 に 特 異 的 な 作 用 に よ る こ と を 明 ら か にし た 。 本 研 究は 、 卵 菌 遊 走 子の 感 染 に 起 因す る 、 多 く の土 壌 伝

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(6)

播 性 植 物 感 染 症 の 生 物 合 理 的 防 除に 、 新 た な方 向 性 を示 す 結 果を 包 含 して い る 。   よって審査員一同は、バルピンベガウムが博士(農学)の学位を受けるに十分な資格を有する ものと認めた。

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