博 士 ( 工 学 ) 李 基 夏
学 位 論 文 題 名
パイロット孔壁変形法による 三次元岩盤応力測定に関する研究
学位論文内容の要旨
地下構造物の計画・施工・管理において岩盤応カの評価は重要である。本研究では、応力解放法 に基づぃた、軟岩や水没孔をどの悪条件下でも迅速に実施でき、信頼できる三次元岩盤応力測定法 の開発を目的としている。
応力解放法ではオーバーコアリング時の変位やひずみを計測し、岩盤応カを評価する。現在まで に応力解放法に基づく多くの手法が提案されている。変位を測定する手法は、ひずみを測定する手 法に比べて、穿孔をどによる繰粉がある水中でも、ひずみゲージの貼付にかかる時間や接着剤の硬 化不足誼どによるトラブルを考えずに測定できる利点がある。一方、一回の応力解放で三次元応カ を求めるために、孔軸に直交する面に対する面外せん断応カによる変形成分を測定する必要がある が、これは実技的に難しい。たとえば、グラウトにより斜距離の変位センサーを埋設して三次元岩 盤応カを評価する方法では、グラウトと岩盤の弾性定数が異をるためインクルージョン問題とをっ てしまう。グラウト不要のプロープ(Ghimire etd.,2004)ではオーバーコアリング径が大きく、ま た、 プ ロ ー ブ設 置 の とき に孔壁に 変位セ ンサ― をひき ずって しまう といっ た欠点 を有する 。 本研究では、Ghimire et al.(2004)のプローブを改良し、ボアホール孔底から穿孔したパイロット ホール の3方向 の直径変化とポアホール孔底からの4つの測線に沿う軸変位を変位計で測定する。
これ に よ ル オ― バ ― コ アリ ン グ(146 mmか ら86 mm)とプ ロープ(40 mmから30 mm)を小径 化し た。また、変位センサーにも改良を加え、主に軟岩を対象とした迅速を測定ができるようにした。
測定さ れた変 位は三 次元FEMで 計算し た観測方程式に代入して三次元岩盤応カを逆算する。等 方均質抵アクリルや二種類の岩盤ブロックを用いた室内試験では十分を測定精度が得られた。軟岩 で構成された岩盤における原位置試験では、水没孔の中にプローブを設置し、実技的なトラブルを く迅速 に岩盤 応カを 測定す ることが できた 。測定結果は過去の孔壁変形法やDRA法による計測結 果と調和的であった。
すをわち、軟岩や水没孔とぃった悪条件下でも迅速に実施でき、信頼できる三次元岩盤応力測定 法の開発に成功したものと考える。
論文の構成と内容を以下に示す。
第1章では、従来の岩盤応力測定方法について、原位置でポアホールやパイロットホールを用い る 方 法 を 中 心 に レ ビ ュ ー す る と と も に 、 研 究 の 目 的 ・ 背 景 に つ い て 明 ら か に し た 。 第2章では、軟岩や水没孔でも三次元応力状態を迅速に把握することを目的として開発したパイ ロット孔壁変形法の理論を示す。一回のオーバーコアリングにおける変位から三次元岩盤応カを評 価する ための 観測方程式を示した。パイロットホール長を100 mmに固定し、パイロットホールの
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壁面やボアホ―ルの 底面に配置される測点の最適配置を、観測方程式のマトリクスの性質に基づぃ て決 定し た 。応 力解 放に必要をオーバーコアリ ング深さを数値解析により200 mmと決定した。
第3章では、プロー プの構造について説明し、軟岩にも適用できるように改良を行った変位セン サーの仕様について 詳述し、キャリプレーションした感度係数を示すとともにプローブの設置方法 をどについて述べた 。
第4章で、均質・等 方をアクリル供試体の変位 を測定し、数値解析結果と比 較したところセン サー自体の変位の測 定誤差は最大3%であった。次 に、支笏溶結凝灰岩、来待砂岩プロックのニ軸 圧縮試験により、岩 盤に作用する応カの測定精度を検討したところ、主応力値の計測誤差は前者で 最大10%、後者で最大6%であった。
第5章では、札幌市 常盤の溶結凝灰岩採石場において、水没した下向きの測定孔と側面に水平を 測定孔で原位置岩盤 応力測定を実施し、パイロット孔壁変形法の実用性について検討した。測定深 度は 最大2mであ り、 応力解放時のトラブルはを かった。水平孔における結 果では、最小主応カ は―3 MPa〜1 MPaで 側壁にほば垂直であった。 中間主応カはほば鉛直で4MPa程度、最大主応カ は7 MPa〜9MPaで 側 壁に ほば 平行 、か つ 、ほば 水平であった。後二者は、 採掘に伴う応力集中 によるものであり、 当該採石場の側壁における過去の数度の山はねの原因であると考察した。下向 き測 定で は 、い ずれ もほば水平を、最大主応力1〜3 MPa、最小主応力1MPa程度を得た。これら は、過去の孔壁変形 法やDRA法による計測結果と 、方向は異をっていたものの 、大きさは類似し ていた。
第6章は本研究の結 論であり、研究で得られた主を結果について総括し、今後の展望や課題につ いて述べた。
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学位論 文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教 授 教 授 教 授 准 教授
藤井 三田 地 三浦 児玉
学 位 論 文 題 名
義明 利之 清一 淳一
パイ ロット孔壁変形法による 三 次元岩盤 応力測 定に関する研究
地下構造物の計画・施工・管理において岩盤応カの評価は重要である。本論文では、応力解放法 に基づぃた、軟岩や水没孔をどの悪条件下でも迅速に実施でき、信頼できる三次元岩盤応力測定法 の開発を目的としたものである。
応力解放法ではオーバーコアリング時の変位やひずみを計測し、岩盤応カを評価する。現在まで に応力解放法に基づく多くの手法が提案されている。変位を測定する手法は、ひずみを測定する手 法に比べて、穿孔をどによる繰粉がある水中でも、ひずみゲージの貼付にかかる時間や接着剤の硬 化不足をどによるトラブルを考えずに測定できる利点がある。一方、一回の応力解放で三次元応カ を求めるために、孔軸に直交する面に対する面外せん断応カによる変形成分を測定する必要がある が、これは実技的に難しい。たとえば、グラウトにより斜距離の変位センサーを埋設して三次元岩 盤応カを評価する方法では、グラウトと岩盤の弾性定数が異をるためインクルージョン問題とをっ てしまう。グラウト不要のプロープ(Ghimire etm.,2004)ではオーバーコアリング径が大きく、ま た 、 プロ ー ブ 設 置の と き に孔壁 に変位 センサ ーをひ きずっ てしま うといっ た欠点 を有す る。
本研究では、Ghimire et al.(2004)のプローブを改良し、ポアホール孔底から穿孔したパイロット ホー ルの3方 向の直 径変化とポアホール孔底からの4つの測線に沿う軸変位を変位計で測定する。
こ れ によ ル オ ー バー コ ア リ ング(146 mmか ら86 mm)とプ ロープ(40 mmから30 mm)を小 径化し た。また、変位センサーにも改良を加え、主に軟岩を対象とした迅速を測定ができるようにした。
一回のオーバーコアリングにおける変位から三次元岩盤応カを評価するための観測方程式は三次元 有限 要素法 によっ て求めた。パイロットホール長を100 mmに固定し、パイ口ットホールの壁面や ボアホ―ルの底面に配置される測点の最適配置を、観測方程式のマトリクスの性質に基づぃて決定 し た 。 応 力 解 放 に 必 要 を オ ー バ ー コ ア リ ン グ深 さ を 数 値解 析 に よ り200 mmと 決 定し た 。 均質・等方をアクリル供試体の変位を測定し、数値解析結果と比較したところセンサー自体の変 位の 測定誤 差は最 大3%であった。次に、支笏溶結凝灰岩、来待砂岩ブロックの二軸圧縮試験によ り、岩盤に作用する応カの測定精度を検討したところ、主応力値の計測誤差は前者で最大10%、後 者 で 最 大6%で あ っ た 。 っ ま り 、 岩 盤 応 カ の 測 定 に 十 分 を 測 定 精 度 が 得 ら れ た 。
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札幌市常 盤の溶結凝灰岩採石場におい て、水没した下向きの測定孔と側面に水平を測定孔で原 位置岩盤応 力測定を実施し、パイロット 孔壁変形法の実用性について検討した。測定深度は最大2 mであり、応 力解放時のトラブルはをか った。水平孔における結果では、最小主応カは‐3 MPa〜1 MPaで 側 壁 に ほ ぼ 垂 直 であ った 。 中間 主応 カは ほば 鉛 直で4MPa程度 、 最大 主応 カは7MPa〜9 MPaで側壁に ほば平行、かつ、ほば水平 であった。後二者は、採掘に伴う応力集中によるものであ り、当該採 石場の側壁における過去の数度の山はねの原因であると考察した。下向き測定では、い ず れも ほば 水平 を、最大主応力1〜3 MPa、最小主応力1MPa程度を 得た。これらは、過去の孔 壁 変 形 法 やDRA法 に よ る 計 測 結 果 と 、 方 向 は 異 を っ てい たも の の、 大き さは 類似 し てい た。
すなわち 、軟岩や水没孔といった悪条件下でも迅速に実施でき、信頼できる三次元岩盤応力測定 法の開発に 成功したものと考える。
これを要 するに、著者は、応力解放法に基づく岩盤応力測定において、新しい測定方法を開発し たものであ り、岩盤力学に対して貢献するところ大をるものがある。よって著者は、北海道大学博 士(工学) の学位を授与される資格ある ものと認める。
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