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博士(工学)劉 海濱 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)劉   海濱 学位論文題名

Theoretical Study of Artificial Neural Networks         With lVIagnetic Field Information

(磁場情報付き人工神経回路網の理論的研究)

学位論文内容の要旨

  多 数の 情報 処 理単 体機 構( 以下 ユ ニッ トと 呼ぶ ) によ り並 列分散的に情報処理を 行うメカニ ズム とし て, これまでニつの モデルが提示されていた. すなわち人工神経回路網に代 表されるユ ニッ ト間 の結 線結合構造を採 るモデル(ネットワークモ デル)と,ユニット間に結線 結合を持た ずに 波動 など を媒体とした場 における情報処理を目的と するモデル(場モデル)であ る,ネット ワー クモ デル には以下の三つ の利点が考えられる.すな わち構造の可塑性,または記 憶能カを持 って いる こと ;情報伝達時に おけるその情報の純度を保 証できること;およびユニッ ト同士の間 の距 離は 情報 伝播と関係がな いこと;である.しかし欠 点は結線の多さに起因する機 能の妨げが 起こ るこ とで ある.一方,場 モデルの利点はユニット同 士の間での情報交換の自由度 が高い,情 報処 理の 柔軟 性が高くなると いうことである.しかしこ のようなモデルは構造の可塑 性,または 記憶 能カ を持 っ てい ない メモ リレ ス(memoryless)モ デル と考 えられる.自由度が高 くなると共 に,不要な情報による妨 害問題も出てくる.また,情 報の伝播はユニツ゛ト間の物理的距離と関係 する .上 述の ようにこれら二 種類のモデルにはそれぞれ 長短の特徴があるが,人間社 会を含め自 然界における情報処理の 構造はこれらのニつの混合型構造(Hybrid‑‑Architecture)を示すことが多 い. この よう な認識の下に, 本研究は磁場情報を導入し たことによって,これらの混 合型構造の 取り 得る ーつ の「人工神経電 磁場モデル」と呼ばれるモ デルを理論的に構築しその情 報処理機構 としての妥当性を検証す ることを目的とする.

  ま ず, 本研 究では「人工神 経電磁場モデル」と呼ばれ るモデルの内で基本的構成要 素である単 一ユ ニッ ト( 単ーニューロン )の場合について考える. 磁場という情報媒体を従来の 人工神経回 路網 にお ける ニ ュー ロン モデ ルに 導 入し た, 単一 ニ ュー ロン モデル(以下簡便さの ためこれを U‑Hynuronモ デル と呼 ぶ )を 構築 した .U‑Hynuronモ デル の定 性的動作特性は以下の ような特徴 を持 っも のと 仮 定す る. (1). 入力 信号 に は電 気信 号と 磁気 信 号の2種 類を 考え る, (2),

U‑Hynuronが 活性 化し , 電位 と磁 位と も急 に 変化 する こと を興 奮(発火)とする, (3).膜電 位が ある しき い 値以 上に 高く なれ ばU‑Hynuronは出力電 気バルスを発生し,それ以外 の場合は発 生 し な い も の と す る, (4). 出力 信号 に は出 力電 気信 号 と出 力磁 気信 号の2種 類を 考 える ,   (5) .U‑Hynuronは興奮し 続けることにより興奮しに くくなり疲労する.このよう な特性を実 現す るU‑Hynuron数理 モ デル を構 築し た. そ の構 築方 法は 以下 のように展開される .McCulloch

‑‑Pittsらの連続時間ニュ ーロンモデルに磁場情報を 導入し,Maxwellの方程式とFaradりの法則に 従っ て,U・Hynuronが持つ特 性による内在関係を数理モ デルとして表現する.この数 理モデルは 一種 の非 線形 情報処理モデル であり,このモデルには, 学習と記憶の関係を含んでい る.っまり

,本 モデ ルに 関する期待機能 としての一般の人工神経回 路網の場合と同様に,学習機 能発現があ

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る .上 述の数 理モデル から学 習と記 憶との 数学関 係式を 導出す ること ができる .この 関係式 を学 習 ルー ルと呼 ぶ。この 学習ル ールは 学習機 能のメ カニズ ムを数 学的に 表わす. その学 習メカ ニズ ム によ っ て ,U‑Hynuronは 磁 場情報 を通じ て,結 合荷重 を変化 させ, 学習す ることに なる. 上述 の 学習 メカニ ズムは従 来の学 習メカ ニズム とは異 なり, ¨人間 の評価 基準¨に よるも のでは なく

, 物理 的相互 作用(電 気情報 と磁気 情報と の相互 作用) の中で 自然法 則から必 然的に 誘導さ れた も ので あ る .U‑Hynuronは こ のよう な学習 メカニ ズムを 用いて ,自ら 学習目 標に達す ること がで き る. こ の た めに ,U‑Hynuronモデ ルは学 習能カ と自律 能カを 持って いると 考えられ る.学 習ル ー ルか ら も 明 らか な よ う に制 御 情 報 とし て の 磁 場情 報 は内部 磁場情 報(U‑Hynuron自 ら生じ た磁 場 情報 ) と 外 部磁 場 情 報 (ほ かのU‑Hynuronから の磁場 情報) に分か れる. それらの 制御作 用に 基づき,二種類の学習方式を考案した.すなわち,リフレックス(reflex)学習とユニオン(union) 学 習で ある. リフレッ クス学 習では ,制御 情報と しての 磁場情 報には 内部磁場 情報の みを含 む.

ユ ニオ ン学習 では,制 御情報 として の磁場 情報に は内部 磁場情 報と外 部磁場情 報の両 者を含 む,

導 出し た学習 ルールに 基づぃ て,リ フレッ クス学 習定理 とュニ オン学 習定理を それぞ れ導き ,そ の 正当 性を証 明した. さらに ,この ニつの 学習定 理から りフレ ックス 学習公式 とユニ オン学 習公 式 がそ れぞれ を導出さ れる. その正 当性を 議論す ること によっ て,学 習メカニ ズムに おける 磁場 情 報の 作 用 が 明ら か に し た. また ,計算 機実験 によっ て,外 部磁場情 報がU‑Hynuronに与え る影 響も明示した.

  次 に , 以 上展 開 し たU‑Hynuronモ デルの機 能を検 証する ことを 目的と して紙 幣の識 別問題 を取 り 上げ る . 従 来の 識 別 手 法( バッ クプロ パゲー ション 方法) より,多 数のU‑Hynuronを用い る本 提 案手 法 は か なり 良 い 結 果を もた らした ,この 応用問 題を通 して,U‑Hynuronの有効 性と有 用性 を 示し た . ま た, 応 用 問 題特 性と 関係す るU‑Hynuronの 汎化能 カに関 する若 干の考察 を行っ た.

そ の結 果によ って,本 研究で 提案し た汎化 能カを 増加す る手法 は,Reedに よるニ ューラ ルネッ ト ワ ー ク に お け る そ れ よ り も っ と 簡 単 , し か も 効 果 が 顕 著 で あ る こ と を 示 し た .   最 後に ,ネッ トワー クモデ ルと場モ デルか らのニ つの混 合型構 造(Hybnd Architecture)の取り 得 るー つのモ デル,す なわち 人工 神経電 磁場モ デル¨ を理論 的に構 築しその 情報処 理とし ての 妥当性を検証した.

  上 述 し たU‑Hynuronモ デ ル は非線 形モデル であり ,学習 能カと 自律能 カを持 ってい るが, 一個 のU‑Hynuronと し て ,情 報 処 理 能カ に 局 限 性が あ る .っ まり, 一個のU‑Hynuronにお ける記 憶容 量nが有 限で, 学習目 標の数も ーっし か設定 できな いので ,一個 のU‑Hynuronの みでは 協調能 力,

自己組織化能力及び創発(Emer.gence)能カに限界がある.この限界を克服するために,複数U‐Hynu‐ ronを構 成する 人工神 経電磁 場モデル の開発 を行っ た.一 般に,U‐Hynuronの数,U‐Hynuronの間 の 結線 結合の 有無,U‐Hynuronらの 発火順 序及びU‐Hynuron間 の相対 位置な どの時 空間にお ける 物 理構 造によ って,モ デルの 構成方 法は無 数に存 在する が,モ デルの 持つ基本 的性質 を明ら かに す るた めには ,情報処 理のメ カニズ ムの本 質を損 なわな い限り で,な るべく簡 単なモ デルを 作る 方 がよ い と 考 えら れ る . 以上 を勘 案して 本研究 は,ケ ースス タデイと して3個 のU.HynuronNl、 N2とN3が ,NlとN2が 結 線 さ れ,N3はそ れ ら と 結線 さ れず に場に 存在す る場合 を取り 上げた ,こ のよ うな3個 のU‐Hynuronを 構成す るモデ ルをM−Hynuron(Multi‐Hynuron)モデルと呼ぶことに する .そして ,物理 学の電 磁場理 論に基 づぃて ,4次元 時空間 の中で ,M.Hynuronモデルの数理的 構築 を試みた .M‐Hynuronモデル におけ る情報 処理は ,上述 のよう な3個の 結線があるU.Hynuron 同 士と 結線が ないU−Hynuron同士と の間で ,電気 情報と 磁場情 報の相 互作用 を通じて 行われ る.

その 情報処理 能カの 解析に よって ,M‐Hynuronモデルの中で,三つの情報処理過程が実行されるこ とが 明かにし た.す なわち ,自己 想起過 程,記 銘過程と連想創造過程という三つの情報処理過程で ある .これは ,M‐Hynuronモデル が自律 ,並列 ,分散,創発とぃう情報処理能カを持っていること を暗 示する. ところ で,M_Hynuronモデ ルに対 して,すべてのことを覚えさせる必要はないが,既 知知 識を持っ ているU‐Hynuron同 士の相 互作用 によって,自らが新しくて合目的な情報を創ること

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ができる.また,計算機シミュレーションの結果により,以下のようなことが明かになった.すな わち,M‑Hynuronモデルにおいて,NlとN2はネットワークとしてトレーニングされた状況に対応で きるが,もしモデルの外部状況が一時的に突然変化すると,しかも改めてトレーニングする必要が ない場合,N3を学習させれば,問題を解決できると考えられる.すなわちM‑Hynuronモデルのよう な複数U‑Hynuron間の組み合わせることによって,外部状況に柔軟に対応可能となる.従来の人工 神経回路網はいろいろ応用問題に対して大きな役割を果たしたが,これと共により高い柔軟性が求 められるようになってきた.この要求に対して本研究はあるーつ可能性を提供したと考える.最後 に,情報処理機構としてのM‑Hynuronモデルは従来の情報処理モデルより以下の三つの利点を持つ ことを示した.すなわち,情報処理における柔軟性の増加;WorkingMemoryにおける情報処理のメ カニズムによる推論機能の付与;自律能カを持っているU.Hynuronの間の相互作用による創発機能の 発現である.

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学 位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Theoretical Study of Artificial Neural Networks         With Magnetic Field Information

(磁場情報付き人工神経回路網の理論的研究)

  近年,人工神経回路網(ニューラル・ネットワーク)に関する研究が盛んに行われているが,

その多くはネットワークそのものにのみ注目して理論構築されている.一方,多数の情報処理 単体機構により並列分散的に情報処理を行うメカニズムとして,これまで二種類のモデル,す なわちネットワークモデルと場モデルが提示されてきた.これらのモデルにはそれぞれ長短の 特徴があるが,人間社会を含め自然界における情報処理の構造はこれらのニつの混合型構造(

Hybrid‑‑Architecture)を示すことが多い.今後,このような混合型構造を有する人工神経回路網 の発展が待たれている状況にある.

  本論文は,このような現況にある人工神経回路網について,新しいモデルの提案を試みたも のである.すなわち,磁場情報を用いて,ネットワークモデルと場モデルからのニつの混合型 構造の取り得るーつのモデル,すなわち「人工神経電磁場モデル」と呼ばれるモデルを理論的 に構築しその情報処理機構としての妥当性を検証することを目的としている.その主要な成果 は,次の4点に要約される.

  1.  McCulloch‑‑Pittsらの連続時間ニューロンモデルに磁場情報を導入し,人工神経電磁場モ デルの内で基本的構成要素である単一ニューロン(U‑Hynuron)モデルを構築している.このモ デ ル は 一 種 の 非 線 形 情 報 処 理 モ デ ル で あ り, 学 習 能カ と 自 律能 カ を 持っ て い る.

  2. U‑Hynuronモデルにおいて,物理的相互作用(電気情報と磁気情報との相互作用)の中 で物理法則による学習メカニズムを提案している,この学習メカニズムにより,U ‑Hynuronは磁 場 情 報 を 通 じ て , 結 合 荷 重 を 変 化 さ せ , 自 律 的 に 学 習 が 実 行 さ れ る .   3.パターン認識におけるーつの応用問題としての紙幣の識別問題へ適用することにより,

U‑Hynuronの有効性と有用性を示している.

  4.複数個のHynuronが存在する場合,すなわちM‑Hynuron (Multi‑Hynuron)問題へのアプロー チを行っている.3個のUーHynuron: Nl,N2とN3が,NlとN2が結線され,N3はそれらと結線さ れずに場に存在する場合によるM‑Hynuronをケーススタデイとしている.M‑Hynuronモデルに おける情報処理能カの解析及び計算機シミュレーションにより,新たな情報処理機構としての

M‑Hynuronモデルは従来の情報処理モデルより以下のように三つの利点を持つことを示してい

る.すなわち,情報処理における柔軟性の増加;Working Memoryにおける情報処理のメカニ ズムによる推論機能の付与;自律能カを持っているU‑Hynuronの間の相互作用による協調創発機

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昇 脩

東 惇

侑 公

数  

  内

嘉 島

大 伊

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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能の発現である.

  以上のように本論文は,人工神経回路網における,学習機能,自己組織機能,推論機能など を工学的に実現するための有益な新知見を得ており,情報工学,精密工学の発展に寄与すると ころ大である.

  よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認める.

参照

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