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学位論文題名 JrFood value,nutritional and biochemical assessmentof wild yam (Dioscorea species) tubers of Nepalj

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) メ グ ラ ジ バ ン ダ リ

     学位論文題名     J

rFood value ,nutritional and biochemical assessment of wild yam (Dioscorea species) tubers of Nepalj

(ネパール産野生ヤム(Dioscorea 種)塊茎の 食品価値、栄養価および生化学的評価)

学 位論文 内容の要旨

  ヤ ム は ヤ マ ノ イ モ 科Dioscorea属 植 物 で 、 約600種 が 世 界 中 で 食 料 と さ れ て い る 。 そ の 塊 茎 は デ ン プ ン 質 に 富 み 、 特 に 熱 帯 亜 熱 帯 地 域 で は 重 要 な 食 資 源 で あ る 。 ネ バ ー ル に お い て も 特 に 地 方 住 民 に は 野 生 ヤ ム 塊 茎 が 重 要 な 食 料 と さ れ て い る 。 し か し 、 こ れ ら の 野 生 ヤ ム 塊 茎 の 栄 養 学 的 、 生 化 学 的 性 質 の 詳 細 な 研 究 は こ れ ま で な い 。 一 方 、 こ れ ら の 野 生 ヤ ム 塊 茎 に は 有 毒 成 分 が 含 ま れ て お り 、 特 に 不 適 切 な 調 理 法 に よ っ て 摂 食 す る と 種 々 の 毒 作 用 が 発 現 す る こ と も 知 ら れ て い る 。 そ こ で 本 研 究 は ネ バ ー ル の 中 高 地 に み ら れ る これ ら野 生 ヤム 塊茎4種(Dbz,め め朋 、D. レピ 心 を0´D′ 、 D. ぬ露D砒ロ 、Dfrり り ぬ) につ い て、(1)栄養成分、 (2)反栄 養成分、(3)調理方法によ る反栄養成分 変 化 、 (4) 苦 味 ・ 有 毒 成 分 、 (5) 有 機 酸 ・ ポ リ フ ウ ノ ー ル 含 量 お よ び抗 酸化 活 性を 調ベ 、 栄養 価、 生 化 学的 評 価お よび 総 合的 な食 品 とし ての 価 値に つい て 検討 をお こ なっ た。 ・

1.栄 養成分

  供 試 ヤ ム 塊 茎4種 の 乾 物 重 は 生 重 の19.8‑30.5% で あ っ た 。 ま た 、 粗 夕 ン パ ク 質 、 灰 分 、 粗 脂 肪 、 粗織 維 含量 はそ れ ぞれ 生重 あ たり1.6‑3.1% 、0.5‑1.2% 、0.2‑0.3% 、06‑1.5%で あっ た 。ミ ネラ ル(mg/

生重100g)は、K:250‑560、Na:4.2‑17.8、P:33.1‑61.6、Ca:14.3‑46.9、Mg:18.3‑27.3、Cu:0.1‑0.2、Fe:0.4‑2.9 Mn:0.1‑0.42n:0.2‑0.5で あ り 、 豊 富 な カ リ ウ ム と 十 分 量 の 微 量 要 素 を 含 ん で い た 。 夕 ン バ ク 質 の アミノ酸組成( ヴタンパク質100g)は、Leu:5.1‑8.7、Lys:3.4‑4.9、Metニ1.0‑1.6、Cys:0.1‑0.5、Phe:3.1‑5.6 Thr:2.8‑4.6、Tyr:2.0‑4.0、Val:3.4‑5.7、lle:2.8‑4.3、His:1.4‑2.1、Ala:3.5‑5.1、Gly:3.1‑5.1、Pro:1.9‑4.4 Ser:3.5‑6.1Asp:6.6‑11.7Glu:8.1‑13.5Arg:3.6‑7.4で あ り 、FAO/WHOの 標 準 夕 ンパ ク質 と 比較 し て 必 須 ア ミ ノ 酸 を パ ラ ン ス よ く 含 ん で い る こ と が わ か っ た 。 し か し 、 含 硫 ア ミ ノ 酸 と り シ ン が す べ て の 種 で 制 限 ア ミ ノ 酸 と な っ て い た 。 こ の よ う に 、 野 生 ヤ ム 塊 茎 の ミ ネ ラ ル お よ び ア ミ ノ 酸 組 成は他の塊茎作 物の値に匹敵する かそれよりも優れ ていることがわかっ た。

2.反 栄養成分

  反 栄 養 成 分 と し て は 、 シ ュ ウ 酸 含 量(Ox)67‑197 mg/生 重100 gFW、 フ ィ チ ン 酸 (Phy) は184363 mg100g乾 物 重 、 シア ン配 糖 体は3.260mgHCN/生 重kg、 トリ プ シン イン ヒ ビタ ー活 性 は4120.9 mg卜 リ プ シ ン 阻 害 / 乾 物g、 ア ミ ラ ー ゼ イ ン ヒ ピ タ ー 活 性 は78147恥 / 乾 物gで あ っ た 。 シ ュ ウ 酸 とフ ィチン酸にっいてミ ネラル含量との比 をみると、Ox:Ca比、PhyZn比、Ca:Phy比、「Ca][Phy]/[Zn 比 はそ れ ぞれlIl‐22、10432.3、5.O‐141、O.27‐1.9と なり、供試塊茎で はカルシウムと亜鉛 の生

162

(2)

体利用性が低い可能性が示唆された。また、高いシュウ酸含量が刺激性呈味の主因であり、摂食 によって引き起こされる炎症の原因であると考えられた。

3.

調理方法による反栄養成分変化

  

一般に用 いられている3種の家庭内調理法、ゆでる、圧カで蒸す、焼く、の操作がシュウ酸、

フィチン酸、トリプシンインヒビター、アミラーゼインヒビターの含量におよぼす影響を調べた。

調理法の違いによって生の塊茎に比べてかなり反栄養成分の含量が変化した。調理による減少割 合はシュウ酸で10‑45%、フィチン酸で5‑20%、トリプシンインヒピター活性で90‑95%、アミラ ーゼインヒビター活性で10‑30%とかなりばらっきがあり、トルプシンインヒビ夕一活性の減少が 顕著でシュウ酸もかなり減少したのに対し、フィチン酸やアミラーゼインヒビター活性の減少割 合は低かった。また、シュウ酸とフィチン 酸はゆでることによって減少率が高く、アミラーゼイ ンヒビターは圧力、焼くことによる減少率が高い傾向にあった。このように生の塊茎に高濃度で 含まれる反栄養成分は適切に調理すれば人が摂取するに当たって問題とはならないことがわかっ た。

4.

苦味・有毒成分

  

苦味成分本体はすでに他のヤム種から報告されているフランノルジテルベンであるdiosbulbin

A

および

B

と同定された。 含量はそれぞれ

2‑5

、1545 mg/生重100gであり、diosbulbinBが主要 な苦味化合物であることがわかった。また、供試塊茎は他のヤムにみられる有毒成分であるアル カロイドdioscorineやhistamineを含まないことがわかっ・た。一方、これらのヤムはかなりのレベ ルのサポニン(5‑50 mg/生重100g)を含みこれが一部苦味に寄与している可能性があった。以上 の結果からネパール産ヤム塊茎にみられる苦味はフランノルジテルペンとサポニンの共力効果に よるものであり、炎症や一過性の毒性はおそらく青酸配糖体の存在や高レベルのシュウ酸塩によ るものであろうと考えられた。

5

.有機酸・ポルフェノール含量および抗酸化活性

  

有機酸ではコハク酸含量がもっとも高く平均1316 (mg/生重100g)であり、次いでクエン酸274、 リンゴ酸147、シュウ酸

110

の順であった。総ポリフェノール含量はフウノール換算で13‑166 mg/

生 重

100g

であった。また野生ヤム塊茎は

DPPH

ラジカル消去活性、二価鉄イオンキレート能、

還元力、全抗酸化カの試験において用量依存的に強い抗酸化活性を示した。しかし供試塊茎4種 の間で抗酸化活性と全フェノール含量には明確な相関はみられなかった。ヤム塊茎は植物性抗酸 化物質のよい給源であり、ガンや心臓病、老化のようなフリーラジカルが関与する疾病の防御効 果を期待できることがわかった。

  

以上の分析結果より、供試した4種のネバール産野生ヤム塊茎は必要量の栄養素と有用化学成 分を含み、日常的な食料、栄養素給源として十分な特性を備えていることが明らかとなった。ま た、これらの塊茎には強い有毒成分は含まれず、苦味あるいは炎症作用を引き起こす有害物質も、

ゆでるなどの適切な調理操作によって除去することが可能であることがわかった。さらに、ポル フ ェ ノ ー ル 成 分に 由来 する 抗酸 化活 性 によ る健 康増 進効 果も 期待 でき ると 考え られ た。

  

このように、今回はじめて詳細な栄養価および生化学的評価を行なった結果より、これまで野 生状態のものを採取して利用するだけであるネバールヤムを今後大量に栽培して消費に供するこ とによって、慢性的な食糧欠乏国での飢餓や貧困を緩和するのに役立っことが十分に期待される。

―163―

(3)

学 位論文審 査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授

教 授

教 授

助 教 授

川端

  

潤  ー 原  博 葛西 隆則

(藤 女子大学大学院人間生活学研究科)

園山

  

     学位論文題名

rFood value ,nutritional and biochemical assessment of wild yam (Dioscorea species) tubers of Nepalj

(ネパール産野生ヤム(Dioscorea 種)塊茎の 食 品価 値、栄養価 および生化学的 評価)

  

ヤ ム は ヤマ ノ イ モ 科Dioscorea属 植 物で 、 約

600

種が 世 界 中 で食 料 と さ れてい る。そ の塊 茎は デ ン プ ン質 に 富 み 、特 に 熱 帯 亜熱 帯 地 域 では 重 要 な 食資 源 で あ る。 ネ パール におぃ て も特 に 地 方 住民 に は 野 生ヤ ム 塊 茎 が重 要 な 食 料と さ れ て いる 。 し か し、 こ れらの 野生ヤ ム 塊茎 の 栄 養 学的 、 生 化 学的 性 質 の 詳細 な 研 究 はこ れ ま で ない 。 一 方 、こ れ らの野 生ヤム 塊 茎に は 有 毒 成分 が 含 ま れて お り 、 特に 不 適 切 な調 理 法 に よっ て 摂 食 する と 種々の 毒作用 が 発現 す る こ とも 知 ら れ てい る 。 そ こで 本 研 究 はネ パ ー ル の中 高 地 に みら れ るこれ ら野生 ヤ ム塊茎4種(D. bulbifera、D.versicolor、D.deltoidea、D.triphylla)について、栄養成分、反 栄養 成 分 、 調理 方 法 に よる 反 栄 養 成分 変 化 、 苦味 ・ 有 毒 成分 、 有 機 酸・ ポ リフェ ノール 含 量お よ び 抗 酸化 活 性 を 調べ 、 栄 養 価、 生 化 学 的評 価 お よ び総 合 的 な 食品 と しての 価値に つ いて検討をおこなった。

  

栄 養 成 分に つ い て の分 析 の 結 果、 粗 夕 ン パク 質 、 灰 分、 粗 脂 肪 、粗 繊 維 含量は それぞ れ 生重あたり1.6―3.1%、0.5‑1.20/0、0.2‑0.3%、0.6―1.5 010であった。ミネラルは、豊富なカリウム と 十 分 量 の 微 量要 素 を 含 んで い た 。 夕ン パ ク 質 のア ミ ノ 酸 組成 は 、

FAO/WHO

の 標準 タ ン パ ク質 と 比 較 して 必 須 ア ミノ 酸 を バ ラン ス よ く 含ん で い る こと が わ か った 。 しかし 、含硫 ア ミノ 酸 と り シン が す べ ての 種 で 制 限ア ミ ノ 酸 とな っ て い た。 こ の よ うに 、 野生ヤ ム塊茎 の ミネ ラ ル お よび ア ミ ノ 酸組 成 は 他 の塊 茎 作 物 の値 に 匹 敵 する か そ れ より も 優れて いるこ と がわかった。

  

反 栄 養 成分 と し て は、 シ ュウ酸 、フィチ ン酸、 シアン 配糖体 、トリ プシン インヒ ビター 、 アミ ラ ー ゼ イン ヒ ピ タ ーが み ら れ た。 シ ュ ウ 酸と フ イ チ ン酸 に つ い てミ ネ ラル含 量との 比 をみる と、Ox:Ca比 、Phy:Zn比、Ca:Phy比、「Ca][Phy]/[Zn]比はそれぞれ1.1‑2.2、10.4‑32.3、

5.0‑14.1

、0.27‑1.9となり 、供試 塊茎で はカルシ ウムと 亜鉛の 生体利 用性が低い可能性が示唆 され た 。 ま た、 高 い シ ュウ 酸 含 量 が刺 激 性 呈 味の 主 因 で あり 、 摂 食 によ っ て引き 起こさ れ

164

(4)

る炎症の原因であると考えられた。

  

次に、一般に用いられている調理法が反栄養成分の含量におよぽす影響を調ぺた。調理 による減少割合は、トリプシンインヒビター活性の減少が顕著でシュウ酸もかなり減少し たのに対し、フィチン酸やアミラーゼインヒピター活性の減少割合は低かった。このよう に生の塊茎に高濃度で含まれる反栄養成分は適切に調理すれぱ人が摂取するに当たって問 題とはならないことがわかった。

  

苦 味成分本 体はす でに他の ヤム種 から報告 されてい るフラ ンノルジ テルペ ンである

diosbulbinB

であることがわかった。また、供試塊茎は他のヤムにみられる有毒アルカロイ ドを含まないことがわかった。一方、これらのヤムはかなりのレベルのサポニンを含みこ れが一部苦味に寄与している可能性があった。以上の結果からネパール産ヤム塊茎にみら れる苦味はフランノルジテルベンとサポニンの共力効果によるものであり、炎症や一過性 の毒性はおそらく青酸配糖体の存在や高レベルのシュウ酸塩によるものであろうと考えら れた。

  

有機酸ではコハク酸含量がもっとも高く、次いでクエン酸、リンゴ酸、シュウ酸の順で あった。総ポリフェノール含量はフェノール換算で13‑166 mg/生重100gであった。・また野 生 ヤム塊茎 はDPPHラジ カル消去活性、二価鉄イオンキレート能、還元力、全抗酸化カの 試験において用量依存的に強い抗酸化活性を示した。ヤム塊茎は植物性抗酸化物質のよい 給源であり、ガンや心臓病、老化のようなフリーラジカルが関与する疾病の防御効果を期 待できることがわかった。

  

以上 の分析結 果より、供試した

4

種のネパール産野生ヤム塊茎は必要量の栄養素と有用 化学成分を含み、日常的な食料、栄養素給源として十分な特性を備えていることが初めて 明らかとなった。また、これらの塊茎には強い有毒成分は含まれず、苦味あるいは炎症作 用を引き起こす有害物質も、ゆでるなどの適切な調理操作によって除去することが可能で あることも明らかとなった。さらに、ポリフェノール成分に由来する抗酸化活性による健 康増進効果も期待できると考えられた。これらの結果より、これまで野生状態のものを採 取して利用するだけであるネパールヤムを今後大量に栽培して消費に供することによって、

慢性的な食糧欠乏国での飢餓や貧困を緩和するのに役立っことが十分に期待され、本論文 の 成 果 は そ の た め の 科 学 的 根 拠 を な す 重 要 な も の で あ る と 認 め ら れ た 。

  

よ って審 査員一同は、Megh RaBhan(

lad

が博士(農学)ワ学位を受けるに十分な資格 を 有するも のと認 めた。

ー165―

参照

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