NII-Electronic Library Service 『
正
法
眼
蔵
聞
書
抄
』口
語
訳
の
試
み
発
菩
提
心
伊
藤
秀
憲
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
正
法
眼
蔵
第
六十
三発
菩
提
心 第 一 段 ノ ク フ ( 1 ) 二 西 国高
祖 日 、 雪 山 喩 二 大 涅槃
叩 し る べ し 、 た と ふ べ き を た と ふ 。 喩 雪 山 な り 。 大涅
槃 を 拈 来 す る、 高 祖 ト 者 仏 文、 雪 山 者 所 名 文 、 雪 山 二 大 涅 槃 ヲ 喩 ト 云 ヘ ハ 、 タ ト ヘ ハ 雪 ノ 清 浄 ニ シ テ ケ カ サ レ ス 、 清 惰 浄 離 塵 ノ 体 二 喩 タ ル ヤ ウ ニ 聞 タ リ、 但 ( 一 四 五 a ) 御 釈 二 分 明 文 、 非 二 今 儀 一 ヘ シ 、 所 詮 雪 山 ハ 雪 山一 一 喩 へ 、 涅 槃 ハ 涅 槃 二 喩 フ ル ナ リ、 此 理 ヲ 親 曾 ト モ 端 的 ト モ 云 丈、 此 ユ ヘ ニ 雪 山 ヲ 拈 来 ス ル ハ 、 喩 二 雪 山 一 ま、 大 涅 槃 ヲ 拈 来 ス ル 、 大 浬 槃 二 喩 ナ リ ト ハ 云 丈、 ヤ カ テ 此 雪 山 ノ 姿 ヲ 大 涅 槃 ト 談 丈、 大 涅 槃 ヲ 雪 山 ト ス ル ナ リ、 祖 門 所 談 ノ 譬 喩 ノ 姿 如 レ 此 駒 澤 大 學 佛 教 學 部 論 集 第 二 十 四 號 た と ふ ぺ き と い ふ は 、 親 曾 な る な り 、端
的 な る な り 。 大 涅 槃 に た と ふ る な り 。 い は ゆ る 雪 山 を 拈 来 す る は 、 「 高 祖 」 と は仏
で あ る 。 「 雪 山 」 と は 所 の 名 前 で あ る 。 「 雪 山 」 に よ っ て 「大
涅 槃 」 を 「 喩 」 え る と 言 え ば、例
え ぽ 、 「 雪 」 が 清浄
で あ っ て 汚 さ れ ず 、 清浄
で 塵 を 離 れ て い る姿
に よ っ て 〔 「 大 涅槃
」 を 〕 喩 え て い る よ う に 受 け 取 れ た 。 し か し な が ら 御 注 釈 に は 明 ら か で あ る 。今
の 意 味 で は な い はず
で あ る 。結
局
、 雪 山 は 雪 山 に よ っ て 喩 え 、 涅 槃 は 涅 槃 に よ っ て 踰 え る の で あ る 。 こ の 道 理 を 「 親 曾 」 ( 昔 か ら 親 し い ) と も 「 端 的 」 ( そ の も の ず ば り ) と も 言 う の で あ る 。 そ う であ
る か ら 「 雪 山 を 拈 来 す る は 、 喩 雪 山 ( 雪 山 に 喩 ふ る ) な り 、 大 涅 槃 を 拈 来 す る 、 大 涅 槃 に た と ふ る な り 」 と い う の で あ る 。 ま さ に こ の 「 雪 山 」 の 姿 を 「 大涅
槃 」 と 説 く の 平 成 五 年 十 月 二 二 九『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) ナ ル ヘ シ 、 白 物 ヲ 雪 ニ タ ト へ 、 黒 キ 物 ヲ 漆 二 喩 ナ ム ト ス ル ハ 、 イ カ ニ モ 能 所 ニ ナ ク テ ハ や ン 不 レ 被 レ 談 文、 是 旧 見 ナ ル ヘ シ 、 ノ
「 既 。 仏 ・ 拈 来 ス ル
琴
リ、 ヲ謙
バ カ 三廻
西 国 高 僧 ト ハ 指 レ 仏 歟 、 廿 八 祖 間 歟 、 追 可 二 勘 決 一 尢 ム カ へ ( 一 四 五 b ) 一 四 〇 で あ る 。 「 大 涅 槃 」 を 「 雪 山 」 と す る の で あ る 。 祖門
で 説 く と こ ろ の 譬 喩 の 様 は こ の よ う で あ る 。 白 い も の を雪
に よ っ て喩
え、 黒 い も の を 漆 に よ っ て 喩 え よ う と す る の は 、 ど う し て も 喩 え る も の と 喩 え ら れ る も の と の 二 つ が な く て は 説 く こ と が でき
な い の で あ る 。 こ れ は 旧 見 ( 以 前 か ら 持 っ て い る 固 定 し た 考 え ) で あ ろ う 。 〈 「 西 国 の 高 祖 」 と は、 仏 を 指 す の か 。 ( 既 に 仏 を 拈 来 す る と あ る 。 仏 か 。 ) 〔 そ れ と も 、 西 天 〕 二 十 八 祖 の 間 〔 の 祖 師 〕 か 。 追 っ て 考 え 決 定 す べ き で あ る 。 〉 第 二 段 ク ( 1 ) 震 旦 初 祖 日 、 心 心 如 木 石 、 い は ゆ る 心 は 心 如 な り 、 尽 大 地 の 心 な り 。 こ の ゆ ゑ に 、 自 他 の 心 な り 。 天 龍 等 の 心 心 は 、 こ れ 木 石 な り 。 こ の ほ か さ ら に 心 あ ら ざ る な り 。 尽 大 地 人 、 お よ び 尽 十 方 界 の仏
祖、 お よ び 此 初 祖 ノ 御 詞、 又 ア シ ク 心 得 ヌ ヘ シ 、 其 故 ハ 心 ト 云 ヘ ハ 慮 知 ノ 心 ト 思 テ 、 此 心 ヨ リ 諸 ノ 妄 念 等 モ 生 起 ス 、 ユ ヘ ニ 只 如 木 石 ナ ル ヘ シ ト 云 ト 思 ヘ リ 、 然 者 非 二 仏 祖 法 肉 又 如 木 石 ト 云 ヘ ハ 、 如 ノ 詞 ハ 喩 ノ 詞 ト キ コ ユ 、 心 ハ 心 如 文 ト 云 ヘ ハ 、 此 如 ハ 心 ノ 上 ノ 如 ナ ル ヘ シ 、 所 詮 今 ハ 尽 大 地 心 ナ ラ ヌ 一 法 ア ル ヘ カ ラ ス 、 自 他 ト 談 ス ル モ 、 今 ノ 心 力 上 ノ 自 他 ナ ル ヘ シ 、 如 レ 此 一 云 ヘ ハ 、 ( 一 而 四 亠 ハ a ) 心 ハ 心 ニ タ ト ブ ヘ キ “ \、 心 ノ 外 二 物 ナ キ ユ ヘ ニ 、 雪 山 ハ 雪 山 二 、 喩 大 涅 槃 ハ 大 涅 槃 二 喩 フ ル 道 理 二 同 カ ル ヘ シ 、 又 尽 大 地 人、 及 尽 十 方 界 ノ 仏 祖. 及 天 龍 等 ノ 心 こ の 初 祖 の お こ と ば を、 ま た ぎ っ と悪
く 理 解 す る に 違 い な い 。 そ の わ け は 、 「 心 」 と 言 う と 、 慮 知 の 心 と 思 っ て 、 こ の 心 か ら 諸 の 妄念
等 も 生 起 す る 。 だ か ら 、 た だ 「 如木
石 」 ( 木 石 の 如 く 〔 何 も 考 え な い 〕 ) で あ る ぺき
であ
る と 思 っ て い る 。 そ う で あ る な ら ば、 仏 祖 の 法 で は な い 。 ま た 「 如 木 石 」 と 言 う と 、 「 如 」 の こ と ば は 喩 え の こ と ぽ と 受 け 取 ら れ る 。 「 心 は 心 如 な り 」 と 言 う か ら、 こ の 「 如 」 は 心 の 上 の 如 であ
ろ う 。結
局 、 こ こ で は 「 尽 大 地 」 が 「 心 」 で な い 一 法 〔 な ど 〕 あ る はず
が な い 。 「 自 他 」 と 説 く の も 、今
の 心 の 上 で の 自 他 で あ ろ う 。 こ の よ う に 言 う の で 、 心 は 心 に 喩 え る べ き であ
る 。 〔 何 故 な ら ば 〕 心 の ほ か に 物 が な い か ら 。 〔 第 一 段 の 〕 雪 山 は 雪 山 に よ っ て喩
え、 大 涅 槃 は 大 涅槃
に よ っ て 喩 え る 道 理 に 同 じ はず
で あ る 。 ま た 、 「 尽 大 地 人 、 お よ び 尽 十方
界
の仏
祖 、 お よ び 天 龍 等 の 心 心 は、NII-Electronic Library Service 心 ハ 、 コ レ 木 石 丈 ト ハ 、 今 ノ 尽 大 地 人 及 尽 十 方 界 ノ 仏 祖 天 龍 等 ヲ 皆 心 卜 談 文、 尽 大 地 人 己 下 彼 等 ハ 皆 面 Σ 各 呉 ニ テ 、 彼 等 各 工 心 ヲ 具 足 ス ル ヲ 呼 出 テ 、 心 心 ハ コ レ 木 石 文 ト 云 ニ ハ ア ラ ス 、 彼 等 ヲ 悉 心 ト 談 所 ヲ 如 レ 此 云 文 、 心 与 二 木 石 一 全 非 二 別 体 一 ナ リ、 ユ ヘ ニ 此 外 サ ラ ニ 心 ア ラ サ ル 丈 ト ハ 云 丈、 心 外 無 別 法 ナ ル ユ ヘ ニ 、 ( 一 四 六
b
) こ れ 木 石 な り 」 と い う の は 、 今 の 「 尽 大 地 人 、 お よ び 尽 十 方 界 の 仏 祖 」 「 天 龍 等 」 を皆
「 心 」 と 説く
の で あ る 。 「 尽 大 地 人 」 以 下 の 彼 ら は 、 皆 一 人 ひ と り 各 々 に お い て 、 彼 ら 各 々 が 心 を 皆 具 え て い る の を 呼 び 出 し て 、 〔彼
ら 各 々 の 〕 「 心 心 は 、 こ れ 木 石 な り 」 と い う の で は な い 。彼
ら を 悉 く 心 と 説 く と こ ろ を こ の よ う に 言 う の で あ る 。 「 心 」 と 「 木 石 」 と は 決 し て 別 体 で は な い の で あ る 。 だ か ら 「 こ の ほ か さ ら に 心 あ ら ざ る な り 」 と い う の で あ る 。 心 外 無 別 法 で あ る か ら 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
第 三 段 こ の 木 石 、 お の れ つ か ら 有 ・ 無 ・ 空 ・ 色 等 の
境
界 に籠
蘿 せ ら れ ず 。 な る が ゆ ゑ な り 。 こ の木
石 心 を も て発
心 修 証 す る な り 、 心 木 心 石 此 心 有 無 空 色 等 ノ 境 界 二 籠 蘿 セ ラ レ サ ル 条 勿 論 ナ リ 、 発 心 修 証 ト 云 ヘ ハ 、 人 カ ア リ テ 縁 二 被 レ 引 テ 発 心 ス ル ト 不 レ 可 二 心 得 肖 コ ノ 木 石 心 ヲ 発 心 修 証 ト 云 \、 然 者 発 心 修 証 セ サ ル 人 ナ ク 発 心 修 証 セ サ ル 時 刻 鏨 時 モ ア ル ヘ カ ラ サ ル ナ リ 、 日 来 ノ 存 知 ハ 、 発 心 修 証 バ カ タ ク タ マ す カ ノ 邂 逅 ノ 事 丶 ト コ ソ 思 ツ レ 、 是 ハ 今 ノ 仏 法 ( 一 カ イ コ ウ 四 七 a ) ノ 道 理 ヲ 不 二 見 聞 一 咎 ニ ヨ リ テ 此 理 ヲ シ ラ サ リ ツ 、 今 ハ ア ク マ テ 仏 祖 正 伝 ノ 発 心 修 証 ノ 理 ヲ 参 学 ス 、 可 二 随 喜 一 可 二 歓 喜 一 丶 、 全 発 心 修 証 別 二 不 レ 可 レ 置 文、 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) こ の 心 ( 木 石 ) は 「 有 ・ 無 ・ 空 ・ 色 等 の 境 界 に 籠 蘿 せ ら れ ( 閉 じ 込 め ら れ ) 」 な い こ と は 勿 論 であ
る 。 「 発 心 修 証 」 と い う と ぎ は い つ も、 人 が い て、 縁 に引
か れ て 発 心 す る と 理 解す
べき
で は な い 。 「 こ の 木 石 心 」 を 「 発 心 修 証 」 と い う の であ
る 。 そ う で あ る な ら ば 、 「 発 心 修 証 」 し な い 人 は な く 、 「 発 心 修 証 」 し な い 時刻
も 少 し も あ る は ず が な い の で あ る 。 平 生 の 心 得 で は 、 「発
心 修 証 」 は 難 し く 、 〔 そ れ 故 〕 稀 な こ と で あ る と 思 っ て し ま う 。 こ れ は 、 今 の 仏 法 の 道 理 を 見 聞 し な い咎
に よ っ て、 こ の 理 を 知 ら な か っ た 〔 か ら であ
る 〕 。 こ こ で は 、 あ く ま で、 仏 祖 正 伝 の 「 発 心 修 証 」 の 理 を 参学
す る 〔 の で あ る 〕 。 随 喜す
べ き で あ り 、 歓喜
す べ き で あ る 。 全 く 「 発 心 修 証 」 を 別 〔 の と こ ろ 〕 に お く べ き で は な い の で あ る 。 一 四 一『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 第 四 段 こ の 心 木 心 石 の ち か ら を も て 、 而 今 の 思 量 箇 不 思 量 底 は 現 成 せ り 。 の 流 類 を 超 越 す る な り 。 そ れ よ り さ き は 仏 道 に あ. ら ざ る な り 。 御 釈 ユ 分 明 二 聞 タ リ 、 不 レ 可 レ 有 二 不 審 → 思 量 箇 不 思 量 ノ 詞、 坐 禅 箴 ノ ト キ 事 旧 了 、 坐 禅 ノ 上 二 今 ノ ( 一 四 七 b ) 思 量 箇 不 思 量 ヲ 談 セ シ ャ ウ ニ 、 今 ハ 心 ノ 上 ニ テ 思 量 箇 不 思 量 底 ヲ 可 レ 談 所 ヲ 如 レ 此 云 文 、 今 ノ 心 木 心 石 ノ 理 ヲ 見 聞 ス ル ト キ 、 ハ シ メ テ 外 道 ノ 見 解 ヲ ハ ハ ナ ル ・ ナ リ 、 此 道 理 ヲ 参 学 セ サ ラ ム ハ 、 不レ 可 レ 離 二 外 道 流 類 ハ 此 理 ヲ 不 二 見 聞 一 サ キ ハ 非 二 仏 道 丈 ト 云 フ 、 是 則 被 レ 指 二 凡 見 一 歟、 冂 惜 事 丈 、 一 四 二 心 木 心 石 の 風 声 を 見 聞 す る よ り 、 は じ め て 外
道
御 注 釈 に よ っ て は っ き り と わ か っ た 。 疑 問 が あ る 筈 が な い 。 「 思 量 箇 不 思 量 」 の こ と ば は、 坐 禅 箴 〔 の 巻 〕 の とぎ
言 い ふ る さ れ た 。 坐 禅 の 上 で こ の 「 思 量 箇 不 思 量 」 を 説 く よ う に、 こ こ で は 、 心 の 上 で 「 思 量 箇 不 思 量 底 」 を 説 く べ き と こ ろ を 、 こ の よ う に 言 う の であ
る 。 こ こ で の 「 心 木 心 石 」 の 理 を 「 見 聞 す る 」 と き 、 「 は じ め て外
道 」 の 見解
を 離 れ る の で あ る 。 こ の 道 理 を参
学 し な い も の は 、 「 外 道 の 流 類 」 を 離 れ る こ と が で き な い 。 こ の 理 を 見 聞 し な い 「 さ き は 仏 道 に あ ら ざ る な り 」 と あ る 。 こ れ は す な わ ち 凡 夫 の 考 え を 指 さ れ る の か 。 残 念 な こ と で あ る 。 第 五 段 ク レ ( 3 ) 大 証 国 師 日 、 牆 壁 瓦 礫 、 是 古 仏 心 。 い ま の 牆 壁 瓦 礫、 い つ れ の と こ ろ に か あ る と 参 詳 看 あ る べ し 。 是 什 麼 物 恁 麼 現 成 と 問取
す べ し 。 今 大 証 国 師 ノ 古 仏 心 ト 被 レ 仰 牆 壁 瓦 礫 ハ 、 只 カ キ カ へ ( 一 四 八 a ) 徒 ラ ナ ル 我 等 ヵ 所 レ 思 ノ 矯 ソ 壁 ソ 瓦 礫 ニ テ ア ル ヘ カ ラ ス 、 古 仏 心 ト イ ハ ル ・ 牆 壁 瓦 礫 、 定 有 二 子 細 一 歟 、 イ ツ レ ノ 所 ニ カ ア ル ノ ヤ ウ カ ノ ト 参 詳 看 ア ル ヘ シ ト 云 ハ 、 何 ノ 所 モ 皆 牆 壁 瓦 礫 ニ ア ラ サ ル 所 ナ キ 道 理 ヲ、 例 如 レ 此 イ ハ ル ・ ナ リ 、 以 二 此 理 一 是 什 麼 物 恁 麼 現 成 ト 問 取 こ こ で 大 証 国 師 が 「 古 仏 心 」 と お っ し め 、 ら れ た 「 牆 壁 瓦礫
」 は 、 全 く役
に 立 た な い 〔 と 〕 、 我 々 が 思 っ て い る と こ ろ の 牆 ・ 壁 ・ 瓦 礫 であ
る はず
が な い 。 「 古 仏 心 」 と 言 わ れ る 「 牆 壁 瓦 礫 」 は 、 必 ず 〔 そ の よ う に い わ れ る 〕 訳 が あ る の か 。 「 い つ れ の と こ ろ に か あ る と 参 詳 看 あ る べ し 」 と い う の は 、 「 い ず れ の と こ ろ 」 も 皆 「 牆 壁 瓦. 礫 」 で な い と こ ろ が な い 道 理 を 、 例 え ば こ の よ う に 言 わ れ る の で あ る 。 こ の 理 を も っ て 「 是 什 麼 物 恁 腰 現 成 と 問 取 す べ し 」 と い う の で あ る 。 こ の 「 什 麼 物 恁NII-Electronic Library Service ス ヘ シ ト ハ 云 ナ リ 、 コ ノ 是 什 腰 物 恁 麼 来 ノ 詞 モ 、 不 審 シ タ ル 非 レ 問、 只 法 ノ 理 力 是 什 麼 物 恁 麼 来 ノ 道 理 ナ ル ナ リ、 今 ノ 何 ノ 所 ニ カ ア ル ト 云 詞 、 只 同 シ キ ユ ヘ 一 一 如 匡 此 問 取 ス ヘ シ ト ハ 云 文、 ( 一 四 八 b ) 第 六 段
古
仏 心 と い ふ は 、 空 王 那 畔 にあ
ら ず、 る を 、発
心 と 称す
。 ( 4 ) 麼 来 」 の こ と ば も よ く 分 か ら な く て 問 う て い る の で は な い 。 た だ 法 の 理 が 「 是什
麼物
恁 麼 来 」 の 道 理 で あ る の で あ る 。 こ こ の 「 い つ れ の と こ ろ に か あ る 」 と い う こ と ば は 、 全 く 〔 「 是 什 麼物
恁 麼 来 」 と 〕 同 じ 〔道
理 〕 で あ る か ら、 こ の よ う に 「 問 取 す べ し 」 と い う の で あ る 。 粥 足 飯 足 な り、 草 足 水 足 な り 。 か く の ご と く な る を 拈 来 し て 、 坐 仏 し作
仏 すN工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
如 一 御 釈 ハ 古 仏 心 ト 云 ヘ ハ 、 ト 云 テ 久 キ 事 ヲ 云 卜 思 ヘ リ、 足 飯 足 草 足 水 足 等 ヲ 云 ナ リ、 過 去 空 王 仏 ナ ム 非 レ 爾、 今 ノ 粥 ( 一 四 九 a > 御 注 釈 の 通 り で あ る 。 「 古 仏 心 」 と い う と 、
過
去 空 王 仏 な ど と 言 っ て 、 久 し い こ と を 言 う と 思 っ て い る 。 そ う で は な い 。 こ の 「 粥 足 飯 足 」 「 草 足 水 足 」 等 を 言 う り で あ る 。 〔 粥 飯 ・ 草 水 が古
仏 心 であ
る 。 〕 第 七 段 お ほ よ そ 発 菩 提 心 の 因 縁 、 ほ か よ り 拈 来 せ ず 、 菩 提 心 を 拈 来 し て発
心 す る な り 。 菩 提 心 を 拈 来 す る と い ふ は 、 一 茎 草 を 拈 じ て 造 仏 し 、 無 根 樹 を 拈 じ て 造 経 す る な り 。 い さ ご を も て 供 仏 し 、 漿 を も て 供 仏 す る な り 。 一 摶 の食
を 衆 生 に ほ ど こ し 、 五 茎 の 華 を 如 来 に た て ま つ る な り 。 発 菩 提 心 ト 云 事 如 二 前 云 「 縁 二 依 テ 発 心 ス ト ノ ミ 心 得 、 此 縁一 一 ヨ ル ト 云 ハ ル ・ 縁 モ 是 菩 提 心 文 、 ユ へ 二 外 ヨ リ 拈 来 セ ス 、 菩 提 心 ヲ 拈 来 シ テ 発 心 ス ト 云 道 理 ナ ル ヘ キ 文、 又 一 茎 草 ヲ 拈 シ テ 造 仏 シ、 無 根 樹 ヲ 拈 シ テ 造 経 シ 、 乃 至 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 「 発 菩 提 心 」 と い う こ と は、 前 に 〔 第 三 段 〕 で 言 っ た よ う に 、 〔 普 通 一 般 に は 〕 縁 に よ っ て 発 心 す る と だ け 理 解 す る 。 こ の 縁 に よ る と 言 わ れ る 縁 も 、 菩 提 心 で あ る 。 だ か ら 、 「 ほ か よ り 拈 来 せ ず、菩
提 心 を 拈 来 し て発
心 す 」 と い う 道 理 で あ る は ず で あ る 。 ま た 「 一 茎 草 を 拈 じ て 造 仏 し、無
根 樹 を 拈 じ て 造 経 」 し、 或 い は 一 四 三『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) コ ム ソ イ サ コ ヲ 以 テ 供 仏 シ 、 漿 ヲ 以 テ 供 仏 ス ル ナ タ ム リ 、 【 搏 ノ 食 ヲ 衆 生 ニ ホ ト コ シ 、 五 茎 ノ 花 ヲ 如 来 ニ タ テ マ ツ ル 文 ト ア リ 、 此 各 ぐ ノ 所 レ 挙 力 皆 発 心 菩 提 心 ナ ル ユ ヘ ニ 、 菩 提 心 ヲ 拈 来 シ テ 発 心 ス ル 文 ト ハ 被 レ 釈 文、 ( 一 四 九
b
) 一 四 四 「 い さ ご を も て 供 仏 し 、漿
を も て 供 仏 す る な り 。 一 摶 の 食 を 衆 生 に ほ ど こ し 、 五 茎 の 華 を 如 来 に た て ま つ る な り 」 と あ る 。 こ の そ れ ぞ れ の 挙げ
る と こ ろ が 、 皆 発 心 菩 提 心 で あ る か ら 、 「 菩 提 心 を 拈 来 し て 発 心 す る な り 」 と 釈 か れ る の で あ る 。 第 八 段他
の す す め に よ り て片
善 を 修 し 、 魔 に 娩 せ ら れ て 礼仏
す る 、 ま た 発 菩 提 心 な り 。 祖 門 ニ ハ 魔 ト 云 事 ヲ キ ラ ハ ス 、 此 魔 則 発 菩 提 心 ナ ル ヘ シ 、 他 ノ ス ・ メ ト 云 モ 発 菩 提 心 ノ 外 ノ 他 ニ ア ラ ス 、 彼 是 共 二 発 菩 提 心 ナ ル ヘ シ 、 祖 門 で は 、 「 魔 」 と い う こ と を 斥 け な い 。 こ の 「 魔 」 が 即 ち 「 発 菩 提 心 」 であ
ろ う 。 「 他 の す す め 」 と い う の も 、 「発
菩 提 心 」 の ほ か の 「他
」 で は な い 。 あ れも
こ れ も 共 に 「発
菩 提 心 」 で あ ろ う 。 第 九 段 し か の み に あ ら ず 、 知家
非家
、捨
家 出 家 、 入 山 修 道 、 信 行 法 行 す る な り 。 造 仏 造 塔 す る な り 、読
経 念 仏 す る な り 。 為 衆 説 法 す る な り 、 尋 師 訪道
す
る な り 、 蹴 趺 坐 す る な り 。一 礼 三 宝 す る な り 、
一 称 南 無 仏 す る な り 。 か く の ご と
く
、 八 万法
蘊 の 因縁
、 か な らず
発 心 な り 。 所 二 右 挙一 ノ 一 ≒ 詞、 ( 一 五 〇 a ) 皆 発 菩 提 心 ナ ル ヘ シ 、 右 に挙
げ た と こ ろ の 一 つ 一 つ の こ と ば は 、皆
発
菩 提 心 で あ ろ う 。 第 + 段あ
る い は 夢 中 に 発 心す
る も の 得 道 せ る あ り 、 あ る い は酔
中
に 発 心 す る も の得
道 せ る あ り 。 あ る い は 飛華
落葉
の な か よ り 発 心 得 道 す る あ り 、 あ る い は 桃 華 翠 竹 の な か よ り 発 心 得 道 す る あ り 。 あ る い は 天 上 に し て 発 心得
道 す る あ り 、NII-Electronic Library Service あ る い は 海 中 に し て 発 心 得 道 す る あ り 。 こ れ み な 発 菩 提 心 中 に し て さ ら に 発 菩 提 心 す る な り 、 身 心 の な か に し て 発 菩 提 心 す る な り 。 諸 仏 の 身 心 中 に し て 発 菩
提
心 す る な り 、 仏 祖 の皮
肉 骨 髄 の な か に し て 発菩
提 心 す る な り 。 如 二 前 云 → 一 ≧ 詞 悉 発 菩 提 心 ナ ル ユ ヘ ニ 、 発 菩 提 心 中 ニ シ テ サ ラ ニ 発 菩 提 心 ス ル ナ リ ト ハ 云 ナ リ、 夢 中 ナ ラ テ ハ 不 成 仏 国 モ ア リ、 則 経 説 ナ リ、 其 国 ノ 衆 生 ハ 皆 夢 中 二 成 仏 ス ル ナ リ、 仏 モ 臥 給 フ、 衆 生 モ ネ フ ル、 其 内 ニ テ 成 仏 ス ト 云 辷、 但 今 所 談 ノ 夢 中 ハ 、 不 レ 可 ・ 為 二 今 義 一、 夢 中 説 夢 ノ 夢 ナ ル ヘ シ. 此 夢 ノ 姿 ヲ、 成 仏 ト モ 一 心 ト モ 可 レ ( 5 ) 談 ナ リ、 前 に 〔 第 九 段 で 〕 言 っ た よ う に 、 一 つ 一 つ の こ と ぽ は 悉 く 発 菩 提 心 で あ る か ら 、 「 発菩
提 心 中 に し て さ ら に 発 菩 提 心す
る な り 」 と 言 う の で あ る 。 〈 夢 の 中 で な く て は 成 仏 し な い 国 も あ る 。 す な わ ち 経 の 説 で あ る 。 そ の 国 の 衆 生 は 皆 夢 中 に 成 仏 す る の で あ る 。 仏 も 横 に な ら れ る 。 衆 生 も 眠 る 。 そ の 内 で 成 仏 す る と、 云 々 。 た だ し、 こ こ で 説 く 夢 中 は そ の 意 味 に と っ て は い け な い 。 「 夢 中 説 夢 」 の 〔 巻 で 説 い た 〕 「 夢 」 で あ ろ う 。 こ の 夢 の 様 を 一 心 と も 説 く べ き で あ る 。 〉N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
第 十 一 段 し か あ れ ぽ 、 而 今 の 造 塔 造 仏 等 は 、 ま さ し く こ れ 発 菩
提
心 な り 、直
至 成 仏 の 発 心 な り 、 さ ら に 中 間 に 破廃
す べ か ら ず 。 こ れ を 無 為 の 功 徳 と す 、 こ れ を 無 作 の功
徳 と す 。 こ れ 真 如 観 な り 、 こ れ 法 性 観 な り 。 是 諸 仏 集 三 昧 な り、 こ れ得
諸 仏 陀 羅 尼 な り 、 こ れ 阿 耨 多 羅 三 藐 三 菩提
心 な り 。 こ れ 阿 羅 漢 果 な り 、 こ れ仏
現 成 な り 。 こ の ほ か さ ら に 無 為 無 作等
の 法 なき
な り 。 是 等 ノ 姿 皆 発 菩 提 心 ノ ユ ヘ ニ 、 挙 丈、 ( 一 五 〇b
) 如 F 此 一 々 被 レ こ れ ら の あ り様
は 皆 発 菩 提 心 で あ る か ら 、 で あ る 。 こ の よ う に 一 つ 一 つ を 挙げ
ら れ る の 第 十 二 段 し か あ る に 、 小 乗 愚 人 い は く 、 造 像 起塔
は 有 為 の 功 業 な り 、 さ し お き て い と な む べ か ら ず 。 息 慮 凝 心 こ れ 無 為 な り 、 無 生 無 作 こ れ 真 実 な り 、 法 性 実 相 の 観行
こ れ 無 為 な り 。 か く の ご と く い ふ を 、 西 天東
地 の 古今
の 習 俗 と せ り 。 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 一 四 五『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 一 四 六 こ れ に よ り て 重 罪 ・ 逆 罪 を つ く る と い へ ど も 、 造 像 起
塔
せ ず 。 塵 労 稠 林 に 染 汗 す と い へ ど も、 念 仏読
経 せ ず 。 こ れ た だ 人 天 の 種 子 を 損 壊 す る の み に あ らず
、 如 来 の 仏 性 を 撥 無 す る と も が ら な り 。 ま こ と に か な し む べ し 、 仏 法僧
の 時 節 に あ ひ な が ら 、 仏 法 僧 の 怨 敵 と な り ぬ 。 三 宝 の 山 に の ぼ り な が ら 空 手 に し て か へ り 、 三 宝 の 海 に 入 な が ら空
手 に し て か へ ら ん こ と は 、 た と ひ 千 仏 万 祖 の 出 世 に あ ふ と も、 得 度 の 期 な く 、発
心 の 方 を 失 す る な り 。 こ れ 経 巻 に し た が は ず 、 知 識 に し た が は ざ る に よ り て か く の ご と し 。 お ほ く 外 道 邪 師 に し た が ふ に よ り て か く の ご と し 。 造 塔 等 は 発 菩 提 心 に あ ら ず と い ふ 見 解 、 は や く な げ す つ べ し 。 こ こ ろ を あ ら ひ 、身
を あ ら ひ 、 み み を あ ら ひ、 め をあ
ら う て 見 聞 す べ か ら ざ る な り 。 ま さ に 仏 経 に し た が ひ 知 識 に し た が ひ て、 正 法 に 帰 し 、 仏 法 を 修 学 す べ し 。 如 二 御 釈 一 分 明 丈 、 尋 常 二 所 レ 思 ノ 邪 見 等 被 レ 出 丈 、 能 ・ 閑 可 二 了 見 一 事 文 、御
注 釈 の 通 り 明 ら か で あ る 。 平 生 思 う と こ ろ の 邪 見 等 を 出 さ れ る の で あ る 。 十 分 静 か に 考 え る べ き こ と で あ る 。 第 十 三 段 仏 法 の 大 道 は 、 一 塵 の な か に 大 千 の 経 巻 あ り 、 一 塵 の な か に 無 量 の 諸 仏 ま し ま す 。 不 生 な れ ぽ 一 心 も 不 生 な り、 諸 法 実 相 な れ ぽ 一 塵 実 相 な り 。 一草
一 木 と も に 身 心 な り 。 万 法 是 ハ 一 塵 ハ チ イ サ ク 、 無 量 ハ 多 シ ト ノ ミ 心 得 ト コ ロ ノ ( 一 五 一 a ) 旧 見 ヲ 不 レ 失 ト キ 、 如 レ ム 此 ノ 見 ハ ア ル ナ リ、 此 一 塵 則 経 巻 文、 此 無 量 則 諸 仏 文 ト 談 ス レ ハ 、 聊 モ 今 ノ 詞 ト 理 ト 無 二 椙 違一 文、 一 多 ノ 理 ヲ ト ク ト キ、 仏 法 ニ ハ 如 レ 此 云 文 、 又 一 草 一 木 ハ 別 ノ 物 、 其 外 二 身 心 ト 云 事 ヲ 談レ 之 文 、 ユ ヘ ニ 仏 法 ノ 理 力 親 切 ナ ラ サ ル 文 、 一 草 一 木 ヲ ヤ カ テ 身 心 ト タ ニ 談 ス レ こ れ は 「 一 塵 」 は 小 さ く 、 「 無 量 」 は 多 い と だ け 理 解 す る と こ ろ の 旧見
を 失 わ な い と き 、 こ の よ う な 考 え は あ る の で あ る 。 こ の 「 一 塵 」 が 即 ち 「 経巻
」 で あ る 。 こ の 「 無 量 」 が 即 ち 「 諸仏
」 で あ る と 説 と 、少
し も こ の こ と ぽ と 理 と の 相 違 が な い の で あ る 。 一 多 の 理 を 説 く と き 、 仏 法 で は こ の よ う に 言 う の で あ る 。 ま た 、 〔 旧 見 に よ っ て 〕コ
草 一 木 L は 別 の も の 、 そ の ほ か に 「 身 心 」 と い う こ と を 説 く の で あ る 。 だ か ら 仏法
の 理 が ぴ っ た り とあ
て は ま ら な い の で あ る 。 「 一草
一 木 」NII-Electronic Library Service ハ 、 ス コ シ モ 無 レ 煩 、 無 二 不 審 一 文、 一 心 ハ 身 二 具 足 ス ル 物 、 万 法 ハ 其 外 ニ ア リ ナ ム ト 心 得 ル 時 コ ソ 各 別 ナ レ 、 万 法 ノ 体 全 不 二 各 別 → 万 法 ヲ 一 心 ト 談 ス レ ハ 、 万 法 不 生 ナ ル 時 一 心 モ 不 生 ト イ ハ ル ・ ナ リ、 ( 一 五 一 b ) 諸 法 実 相 ナ レ ハ 、 一 塵 実 相 丈 ト 云 儀 モ 同 レ 前 儀 文、 更 彼 是 不 レ 可 レ 違、 を す ぐ さ ま 「 身 心 」 と だ け で も 説 く と す る と 、 少 し も 面 倒 な こ と が な く 、 疑 わ し い こ と も な い の で あ る 。 「 一 心 」 は 身 に 具 わ っ て い る も の 、 万 法 は そ の ほ か に あ る な ど と 理 解 す る と
き
〔 心 と 万 法 と は 〕 そ れ ぞ れ 別 で あ る 。 万 法 の 体 は 決 し て 各 別 で は な い 。 「 万 法 」 をコ
心 L と 説 く か ら 「 万 法 不 生 」 で あ る とき
、 「 一 心 も 不 生 」 と 言 わ れ る の であ
る 。 「 諸 法 実 相 な れ ば 一 塵 実 相 な り 」 と い う こ と も 、 前 に 同 じ こ と で あ る 。 決 し て あ れ と こ れ と が 違 う ず が な い 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
第 十 四 段 し か あ れ ば 、 一 心 は 諸 法 な り 、 諸 法 は 一 心 な り 、 全 身 な り 。 造 塔 等 も 有
為
な ら ん と き は 、 た 有 為 な る べ し 。 真 如 仏 性 こ れ 有 為 に あ ら ざ る ゆ ゑ に 、 造 像 起 塔 す な は ち 有 為 に あ らず
。 為 無 漏 の 功 徳 な り 。 た だ ま さ に 造 像 起 塔 等 は 、 発菩
提 心 な り と 決 定 信解
す べ き な り 。仏
果 菩 提 ・ 真 如 仏 性 も ま 無為
の 発 菩 提 心 な り 、 無 御 釈 二 委 聞 タ リ 、 一 心 ヲ 諸 法 ト 談 ス ル 上 ハ 、 諸 法 一 心 ナ ル ヘ キ 条 勿 論 事 文、 此 理 力 全 身 丈 ト モ イ ハ ル ・ 丈 、 造 塔 等 モ シ 有 為 ナ ラ ム ト キ ハ 、 仏 果 菩 提 モ 、 真 如 仏 性 モ 、 又 有 為 ナ ル ヘ シ ト ハ 如 二 前 云 → 造 像 起 塔 ハ ( 一 五 二 a ) 有 為 ノ 所 作 丈 ト 小 乗 ハ 談 レ 之 、 シ カ ル ヲ 今 ハ 造 像 起 塔 ノ 姿 ヲ 以 テ 発 苙 ロ 提 心 ト 談 ス ル 時 二 、 発 菩 提 心 ナ ル 造 像 起 塔 ヲ 有 為 ト 談 セ ハ 、 仏 果 菩 提 真 如 仏 性 モ 有 為 ナ ル ヘ シ ト 彼 詞 二 仰 テ 云 支、 ユ ヘ ニ 造 像 起 塔 則 有 為 ニ ア ラ ス 、 無 為 ノ 発 菩 提 心 丈 、 無 為 無 漏 ノ 功 徳 丈 ト ハ 云 文、 実 甚 深 ノ 義 ナ ル ヘ シ、 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 御 注 釈 に 委 し く 説 か れ て い る 。 「 一 心 」 を 「 諸法
」 と 説 く か ら に は 、 「 諸法
」 が 「 一 心 」 で あ る こ と は 勿 論 の こ と で あ る 。 こ の 理 が 「 全 身 な り 」 と も 言 わ れ る の で あ る 。 「 造 塔 等 も し 有 為 な ら ん と き は 、 仏 果 菩 提 」 も 「 真 如 仏 性 も ま た有
為
な る べ し 」 と は 、前
に 〔 第 十 二 段 で 〕 言 っ た よ う に、 造像
起 塔 は 有為
の 所 作 で あ る と 小 乗 は説
く 。 そ う で あ る の を、 こ こ で は 、 造 像 起 塔 の様
を 発 菩提
心 と 説 く と ぎ に 、発
菩提
心 で あ る 造 像 起 塔 を 〔 小 乗 の 如 く 〕 有 為 と 説 く な ら ぽ、 「 仏 果菩
提
・真
如 仏 性 」 も 「有
為 な る べ し 」 と 、 彼 の 〔 小 乗 の 〕 こ と ば に 負 わ せて
、 膏 う の で あ る 。 〔 「 仏 果 菩 提 ・真
如 仏 性 」 は有
為
で は な い 。 〕 だ か ら 「 造 像 起 塔 す な は ち有
為
に あ ら ず 、 無為
の 発 菩 提 心 な り 、無
為 無 漏 の 功 徳 な り 」 と 言 う の で あ る 。実
に甚
だ深
い 意 味 で あ る 。 一 四 七『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 第 十 五 段 億 劫 の 行 願 こ れ よ り 生 長 す べ し 、 億 億 万 劫 く つ べ か ら ざ る 発 心 な り 。 ワ ジ 億 劫 ノ 行 願 ト ハ 、 只 発 菩 提 心 ナ ラ ヌ 道 理 ナ キ ( 一 五 二 b ) 心 地 ヲ 云 ヘ キ カ、 此 理 ナ ラ ヌ 一 法 モ ナ キ 所 力 、 是 ヨ リ 生 長 ス ヘ シ ト ハ 云 ハ ル ・ 丈、 此 発 心 ノ 姿 、 マ コ ト ニ 世 ≧ 生 く 億 X ハ ど イ 万 劫 破 癈 ス ヘ カ ラ サ ル 発 心 ナ ル ヘ シ、 此 理 ヲ 以 テ
51
仏 聞 法 ト モ 云 ヘ キ 文 ト 云 ナ リ、 打 午 タ ル 発 心 ハ 、 中 間 ニ サ メ ヌ レ ハ 、 又 ヤ 7 ル ・ 時 モ ア ル ヘ シ、 今 祖 門 所 談 ノ 発 菩 提 心、 更 中 間 二 破 癈 ス ト 云 義 ア ル へ 〔 6 ) カ ラ サ 〃 丶 一 四 八 こ れ を 見 仏 聞 法 と い ふ な り 。 「 億 劫 の 行 願 」 と は 、 全 く発
菩 提 心 で な い 道 理 が な い 意 味あ
い を 言 う べき
で あ る の か 。 こ の 理 で な い 一法
も な い と こ ろ が、 「 こ れ よ り 生 長 す べ し 」 と 言 わ れ る の で あ る 。 こ の 発 心 の 様 が 、 実 に 世 世 生 生 「 億 億 万劫
」 破 廃 す る こ と が でき
な い 「発
心 」 で あ ろ う 。 こ の 理 を も っ て 「 見 仏 聞 法 」 と も 言 う べ き で あ る と い う の で あ る 。 〈 普 通 一 般 の 発 心 は 、 中 間 に 気 持 が 薄 れ た な ら ば 、 ま た 破 れ る と ぎ も あ る は ず で あ る 。 〈 第 十一 段 V こ こ の 祖 門 で 説 く 発 菩 提 心 は 、 決 し て 「 中 間 に 破 廃 す 」 る と い う こ と が あ る は ず が な い の で あ る 。 〉 第 + 六 段 し る べ し 、 木 石 を あ つ め 泥 土 を か さ ね 、 金 銀 七 宝 を あ つ め て 造 仏 起 塔 す る、 す な は ち 一 心 を あ つ め て 造 塔 造 像 す る な り 。 空 空 を あ つ め て作
仏 す る な り 、 心 心 を 拈 じ て 造 仏 す る な り 。 塔 塔 を か さ ね て 造 塔 す る な り 、仏
仏
を 現 成 せ し め て 造 仏 す る な り 。 右 二 所 出 ノ 木 石 金 銀 七 宝 等 ノ 姿 皆 是 一 心 ナ リ 、 発 菩 提 心 丈 、 非 二 別 体 → ユ ヘ ニ 此 理 力 } 心 ヲ ( 一 五 三 a ) ア ッ メ テ 造 塔 造 像 ス ル ナ ル ヘ シ 、 空 ぐ ヲ ア ツ メ テ 作 仏 ス ト 云 モ 、 此 空 又 一 心 ナ リ 、 ユ ヘ ニ 空 X ヲ ア ッ メ テ 作 仏 ス ト ハ 云 文、 乃 至 心 ぐ ヲ 拈 シ テ 造 仏 シ 、 塔 エ ヲ カ サ ネ テ 造 塔 シ 、 仏 x ヲ 現. 成 セ シ メ テ 造 仏 ス ル 道 理 ナ ル ヘ シ 、 右 に 出 し た 「木
石 」 「 金 銀 七 宝 」等
の 姿 は 皆 「 一 心 」 で あ る 。 発 菩提
心 で あ る 。 別 の 体 で は な い 。 だ か ら 、 こ の 理 が 、 「 一 心 を あ つ め て 造 塔 造像
す る 」 の で あ ろ う 。 「 空 空 を あ つ め て 作 仏 す る 」 と 言 う の も 、 こ の 「 空 」 は、 ま た 「 一 心 」 で あ る 。 だ か ら 「 空 空 を め つ め て 作 仏 す る 」 と 言 う の で あ る 。 或 い は 「 心 心 を 拈 じ て 造 仏 」 し 、 「 塔 塔 を か さ ね て 造 塔 」 し 、 「 仏 仏 現 成 せ し め て 造仏
す る 」 道 理 で あ ろ う 。NII-Electronic Library Service 第 十 七 段 ( 7 ) か る が ゆ ゑ に 、 経 に い は く 、 作 是 思 惟 時 、 十 方 仏
皆
現
。 し る ぺ し 、 一 思 惟 の作
仏 な る と き は 、 十 方 思 惟 仏 皆 現 な り 。 此 経 文 、 大 乗 ノ 機 根 ニ ア ラ サ ラ ム 輩 ハ 聾 盲 ノ ( 8 ) 如 ク ナ リ、 仍 小 乗 ヲ コ シ ラ ヘ ム カ 為 二 仏 鹿 野 薗 二 ( 一 五 三b
) 趣 テ 法 ヲ 説 ム ト 思 惟 シ 給 シ ヲ、 十 方 仏 皆 現 シ テ イ リく
ト ア ル 仏 達 ノ 釈 尊 ヲ 讃 嘆 申 テ 現 シ 給 カ ト 経 文 ニ テ ハ 見 タ リ、 今 ハ 此 思 惟 ノ 当 体 ヲ 十 方 仏 皆 現 ト ハ 談 丈、 仏 二 思 惟 ヲ モ タ セ タ テ マ ツ レ ハ 、 思 惟 与 レ 仏 各 別 ニ キ コ ユ ル ナ リ、 其 ヲ 思 惟 ヲ ヤ カ テ 仏 ト 談 ス レ ハ 、 一 思 惟 ノ 作 仏 ナ ル ト キ ト 被 レ 談 文 、 又 一 思 惟 十 方 思 惟 ト 云 ヘ ハ 、 一 思 惟 ハ ワ ツ カ ニ 、 十 方 思 惟 ト 云 ヘ ハ ヒ ロ キ 様 二 聞 ユ 、 非 レ 爾、 広 狭 ニ カ ・ ハ ル ヘ キ 非 コ 思 惟 哨 一 思 惟 モ 十 方 思 惟 モ 只 同 事 丈 、 十 方 仏 皆 現 ト イ ハ ル ・ ( 一 五 四 2 ) 十 方 ノ 詞 二 付 テ 、 思 惟 ヲ 仏 卜 談 ス レ ハ 、 十 方 思 惟 仏 皆 現 ト 云 理 出 ク ル ナ リ 、 一 法 諸 法 又 如 二 前 云 嚇 非 二 浅 深 多 少 儀 → 一 法 作 仏 ノ 時 ハ 諸 法 モ 作 仏 ナ ル ヘ キ 道 理 必 然 ナ ル ヘ キ 文、 一 法 の 作 仏 な る と き は 、 諸 法 作 仏 な り 。 こ の 経 文 〔 の 説 く と こ ろ 〕 は 、 〔 次 の よ う で あ る 。 〕 大 乗 の 機 根 で は な い輩
は 、 聾 盲 の よ う で あ る 。 従 っ て 小乗
を 教化
す る た め に 、 仏 は 鹿 野 園 に 行 っ て 法 を 説 こ う と 「 思 惟 」 さ れ た の を 、 「 十 方 仏皆
現 」 ( 十 方 の 仏 、 皆 現 ず ) し て 、 次 々 に 仏 達 が ( 7V 釈 尊 を讃
嘆 申 し 上 げ て 現 れ な さ る の か と 、 経 文 で は 読 め た 。 こ こ で は こ の 「 思 惟 」 の 当 体 を 「 十 方仏
皆
現 」 と 説 く の であ
る 。 仏 に 思 惟 を お 持 た せ に な れ ば 、 思 惟 と 仏 と が そ れ ぞ れ 別 に 受 け取
ら れ る 。 そ れ を 、 思 惟 を ま さ に 仏 と 説 く の で 、 「 一思
惟 の作
仏 と な る とき
」 と 説 か れ る の であ
る 。 ま た 「 一 思 惟 」 「 十 方 思 惟 」 と い う と 、 「 一 思 惟 」 は僅
か で 、 「 十 方 思 惟 」 と い う と 広 い 状 態 に受
け 取 ら れ る が 、 そ う で は な い 。 広 狭 に か か わ る べ き 思 惟 で は な い 。 「 一 思 淮 」 も 「 十 方 思 惟 」 も た だ 同 じ こ と で あ る 。 「 十 方 仏 皆 現 」 と 言 わ れ る 「 十 方 」 の こ と ば に 関 し て、 「 思 惟 」 を 「 仏 」 と 説 け ぽ 、 「 十 方 思 惟 仏 皆 現 」 と い う 理 が 出 て く る の であ
る 。 「 一 法 」 「諸
法 」 も ま た前
に 言 う 通 り 、 浅 深 多少
の こ と で は な い 。 「 一法
」 が 「 作 仏 」 の と ぎ は 、 「 諸 法 」 も 「 作 仏 」 で あ る 道 理も
必 然 で あ ろ う 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
第 十 八 段 〔 9 ) ノ タ マ ハ ク ノ ト ト ニ ス 釈 迦 牟 尼 仏 言 、
明 星 出 現 時 、 我 与 二 大 地 有 情 納
同
時 成 道 。 し かあ
れ ば、 発 心 ・ 修 行 ・菩
提
・ 涅槃
は 、 同 時 の 発 心 ・ 修 行 ・ 菩 提 ・ 浬槃
な る べ し 。 仏 道 の 身 心 は 草 木 瓦 礫 な り 、 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 一 四 九『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 風 雨 水 火 な り 。 こ れ を め ぐ ら し て 仏 道 な ら し む る 、 す な は ち 発 心 な り 。 是 ハ 発 心 修 行 菩 提 涅 槃 ヲ 各 々 二 心 得 テ、 発 心 ハ 始 ニ テ 其 後 修 行 シ 、 修 行 已 後 菩 提 涅 槃 ハ ア ラ ( 一 五 四 b ) ハ ル ヘ シ ト ノ ミ 心 得 タ リ 、 其 ヲ 今 ハ 発 心 修 行 菩 提 涅 槃 ヲ 各 別 二 不 レ 立 、 発 心 ノ 所 二 修 行 菩 提 涅 槃 モ 満 足 シ 、 修 行 ノ 所 二 菩 提 涅 槃 モ 円 満 ス ル ナ リ、 カ ル カ ユ ヘ ニ 発 心 修 行 菩 提 涅 槃 ハ 、 同 時 ノ 修 行 菩 提 涅 槃 ナ ル ヘ シ ト 云 文 、 又 仏 道 ノ 身 心 ハ 草 木 瓦 礫 文、 風 雨 水 火 ナ リ 、 是 ヲ メ ク ラ シ テ 仏 道 ナ ラ シ ム ル 則 発 心 丈 ト ハ 、 此 草 木 瓦 礫 風 雨 水 火 等 ヲ 身 心 卜 談 ド 之 ユ ヘ ニ 、 仏 道 ナ ラ シ ム ル 則 発 心 丈 ト ハ 云 ナ リ、 是 力 是 ナ ル 所 ノ 理 力 今 ハ 菩 提 心 ト ハ 云 ヘ キ ナ リ 、 ( 一 五 五 a ) 噺 五 〇 こ れ は、 〔
普
通 一 般 に は 〕発
心 ・ 修 行 ・ 菩 提 ・涅
槃 を そ れ ぞ れ に 理 解 し て 、 発 心 は 始 め で 、 そ の 後 修 行 し、 修行
の 後 に 菩 提 ・ 涅 槃 は 現 れ る は ず であ
る と の み 理 解 し て い る 。 そ れ を こ こ で は 、発
心 ・ 修 行 ・ 菩 提 ・ 涅 槃 を そ れ ぞ れ 別 に 立 て な い 。 発 心 の と こ ろ に 修 行 ・ 菩 提 ・ 捏槃
も 満 足 し 、 修 行 の と こ ろ に 菩提
・ 涅 槃 も 円 満 す る の であ
る 。 そ れ 故 に 、 「 発 心 ・ 修 行 ・ 菩 提 ・ 涅 槃 は 、 同 時 の 〔 発 心 ・ 〕 修 行 ・ 菩 提 . 浬 槃 な る べ し 」 と い う の で あ る 。 ま た 「 仏 道 の 身 心 は 草 木 瓦 礫 な り 、 風 雨 水 火 な り 。 こ れ を め ぐ ら し て 仏 道 な ら し む る 、 す な は ち 発 心 な り 」 と い う の は、 こ の 「草
木 瓦 礫 」 「 風 雨 水 火 」 等 を 「 身 心 」 と 説 く の で あ る か ら、 「 仏 道 な ら し む る 、 す な は ち 発 心 な り 」 と い う の で あ る 。 こ れ が こ れ で あ る と こ ろ の 理 が 、 こ こ で は 菩 提 心 と い う べき
で あ る 。 第 十 九 段 虚 空 を 撮 得 し て 造 塔 造 仏 す べ し 、 渓 水 を 掬 雷 し て 造 仏 造 塔 す べ し 。 こ れ 発 阿 耨 多 羅 三 藐 三 菩提
な り 。 ( 10 ) 今 虚 空 ヲ 撮 得 シ 、 谿 水 ヲ 掬 噛 シ テ 造 塔 造 仏 ス ト 云 ヘ ハ 、 イ カ ナ ル ヘ キ ソ ト 覚 エ タ リ 、 只 所 詮 虚 空 ノ 姿 則 造 塔 文、 造 仏 文、 谿 水 ノ 姿 則 造 塔 丈 、 造 仏 文 ト 云 文、 此 道 理 ヲ 以 テ 発 阿 耨 多 羅 三 藐 三 菩 提 ト ハ 云 ヘ キ 文 、 ( 一 五 五 b ) 今 「 虚 空 を 撮 得 ( つ ま む ) 」 し 、 「 渓 水 を 掬 酋 ( 汲 み 上 げ る ) し て 造塔
造 仏 す 」 と い う か ら、 ど の よ う で あ ろ う か と 思 わ れ た 。 た だ 結局
、 「 虚 空 」 の 姿 が す な わ ち 「 造 塔 」 で あ り 「 造 仏 」 で あ り 、 「 渓 水 」 の 姿 が す な わ ち 「 造 塔 」 で あ り 「 造 仏 」 で あ る と い う の で あ る 。 こ の 道 理 を も っ て 「 発 阿 耨 多 羅 三 藐 三 提 」 と 言 う べ き であ
る 。NII-Electronic Library Service 第 二 十 段 一
発
菩 提 心 を 百 千 万 発 す る な り 。 修 証 も ま た か く の ご と し 。 し かあ
る に 、 発 心 は 一 発 に し て さ ら に 発 心 ぜず
、 修 行 は 無 量 な り 、 証 果 は 一 証 な り と の み き く は 、仏
法 を き く に あ らず
、 仏 法 を し れ る に あ ら ず 、 仏 法 に あ ふ にあ
ら ず 。 千億
発 の 発 心 は 、 さ だ め て 一 発 心 の発
な り 。 千 億 人 の発
心 は 、 一発
心 の 発 な り 。 一 発 心 は 千 億 の発
心 な り 。 修 証 ・ 転 法 も ま た か く の ご と し 。 是 ハ 一 発 ト 云 ヘ ハ 狭 少一 一 覚 ユ ル 所 ヲ、 百 千 万 発 モ 一 発 モ 多 少 ニ カ ・ ハ ル ヘ カ ラ サ ル 儀 ナ リ、 一 発 ノ 所 カ ヤ カ テ 百 千 万 発 ナ ル キ 丈 卜 云 文、 修 証 ノ 道 理 モ 又 如 レ 此 ト 云 フ、 又 発 心 ハ 一 発 ニ シ テ 発 心 セ ハ ト ハ 、 発 心 ハ = = ア 発 心 ス ル 物 モ ア リ 、 不 二 発 心 一 物 モ ア リ、 発 心 ノ 姿 一 ニ テ 、 修 行 ノ 姿 コ ソ 鉦… 且 里 ナ レ 、 証 果 又 一 証 文 ト ノ ミ 打 任 ハ 人 ノ 思 見 解 ヲ 如 レ 此 被 レ 出 ナ リ 、 是 ヲ 被 レ 嫌 文、 発 心 ノ 所 二 修 ( 】 五 六 a ) 行 証 果 カ ケ タ ル 所 ア ル ヘ カ ラ ス 、 一 発 力 修 行 ト モ 証 果 ト モ イ ハ ル ヘ キ 丈 、 又 千 億 発 ノ 発 心 ハ 、 サ タ メ テ 一 発 心 ノ 発 ナ リ 、 千 億 人 ノ 発 心 ハ 、 一 発 心 ノ 発 ナ リ、 一 発 心 ハ 千 億 ノ 発 心 ナ リ 、 修 証 転 法 モ 又 如 レ 此 卜 云 ハ 、 如 ; 前 云 「 此 発 ノ 道 理 力 千 億 発 ト 云 ヘ ハ 多 、 一 発 ト 云 ヘ ハ 狭 少 二 聞 ユ ル 所 ヲ 、 発 ノ 理 ノ 方 ヨ リ 談 ス レ ハ 、 万 億 ノ 発 モ 、 一 発 ノ 発 モ 、 千 億 人 ノ 発 モ 、 } 発 心 ノ 発 モ 、 聊 モ 差 別 ナ キ 道 理 ヲ 被 二 釈 顕 一 ナ リ、 修 証 転 法 ノ 理 モ 此 レ 如 ナ ル ヘ キ ナ リ 、 ( 】 五 六 b ) 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) こ れ はコ
発 」 と 言 え ぽ 狭 少 に 思 わ れ る と こ ろ を 、 「 百 千 万 発 」 もコ
発 L も 多 少 に 関 わ る はず
で は な い こ と で あ り 、 「 一 発 」 の と こ ろ が 、 そ の ま ま 「 百 千 万 発 」 で あ る は ず だ と い う の で あ る 。 「 修 証 」 の 道 理 も 「 ま た か く の ご と し 」 と あ る 。 ま た 「発
心 は 一発
に し て 」発
心す
る な ら ば と い う の は 、 発 心 は 一 つ で発
心 す る も の も あ り 、 発 心 し な い も の も あ る 。 「 発 心 」 の 姿 が 「 一 」 つ で 「 修 証 」 の 姿 は 「無
量 」 で あ る 。 「 証 果 」 も ま た 「 一 証 な り と の み 」普
通 一 般 に 人 が 思 う 考 え を 、 こ の よ う に 出 さ れ た の で あ る 。 こ れ を 斥 け ら れ る の で あ る 。 発 心 の と こ ろ に 修 行 ・ 証 果 の 欠 け た と こ ろ が あ る は ず が な い 。コ
発 」 が 「 修 行 」 と も 「証
果 」 と も 言 わ れ る は ず で あ る 。 ま た 「千
億 発 の 発 心 は 、 さ だ め て 一 発 心 の 発 な り 。 千億
人 の 発 心 は 、 一 発 心 の 発 な り 。 一 発 心 は 千 億 の 発 心 な り 。 修 証 ・ 転 法 も ま た か く の ご と し 」 と い う の は 、 前 に 言 っ た よ う に 、 こ の 発 の 道 理 が 、 「 千 億 発 」 と 言 う と 多 く 、 「 一 発 」 と 言 う と 狭 少 に 受 け 取 ら れ る と こ ろ を 、 発 の 理 の 方 か ら 説 け ば 、 万 億 の 発 も 、 一 発 の 発 も 、 「 千 億 人 の 発 」 も 、 「 一発
心 の 発 」 も 、 少 し も 違 い が な い 道 理 を 釈 き 明 か さ れ た の であ
る 。 「 修 証 ・ 転 法 」 の 理 も こ の よ う で あ る は ず で あ る 。 一 五 一 N工 工一Eleotronlo Llbrary『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 第 二 十 一 段
草
木 等 に あ ら ず ば 、 い か で か 身 心 あ ら ん 。 身 心 にあ
ら ず ば 、 が ゆ ゑ に か く の ご と し 。 草 木 力 身 心 ナ ル 道 理 ナ ル ユ ヘ ニ 、 草 木 等 ア ラ ス ハ 、 争 身 心 ア ラ ム ト ハ 云 文、 此 道 理 力 又 打 力 ヘ シ テ 、 身 心 ニ ア ラ ス ハ 、 争 草 木 ア ラ ム ト 云 ハ ル ・ 丈、 又 草 木 ニ ア ラ ス ハ 、 草 木 ア ラ サ ル カ ユ ヘ ニ 又 如レ 此 ト ハ 、 草 木 ト 心 ト カ 至 テ 一 ナ ル ト キ、 又 草 木 ニ ア ラ ス ハ 、 草 木 ア ラ サ ル カ ユ ヘ ニ ト ハ 云 ナ リ 、 迷 ヲ 大 悟 ス ル ハ 諸 仏 丈 、 サ ト リ ニ 大 迷 ナ ル ハ 衆 生 文、 サ ラ ニ 悟 上 得 悟 ノ 漢 、 ( 一 五 七 a ) 迷 中 又 迷 ノ 漢 ト 結 セ シ 程 ノ 同 詞 文、 一 五 二 い か で か草
木 あ ら ん 。 草木
にあ
ら ず ば、 草 木 あ ら ざ る 「草
木 」 が 「 身 心 」 で あ る 道 理 で あ る か ら 、 「草
木等
〔 に 〕 あ ら ず ば 、 い か で か 身 心 あ ら ん 」 と い う の で あ る 。 こ の 道 理 が 、 ま た 引 っ 繰 り 返 し て 「 身 心 に あ ら ず ぽ 、 い か で か草
木
あ ら ん 」 と い わ れ る の で あ る 。 ま た 、 「草
木
に あ らず
ば 、 草木
あ ら ざ る が ゆ ゑ に 」 ま た 「 か く の ご と し 」 と い う の は 、 草 木 と 心 と がき
わ め て 一 つ で あ る と き 、 ま た 「草
木 に あ ら ず ば 、 草 木 あ ら ざ る が ゆ ゑ に 」 と い う の で あ る 。 〔 現 成 公 案 の 巻 で 〕 「 迷 を 大 悟 す る は 諸 仏 な り、 さ と り に 大 迷 な る は衆
生 な り 、 さ ( 11 ) ら に 悟 上 得 悟 の 漢 、述
中
又 迷 の 漢 」 と 結 ん だ の と 同 じ く ら い の こ と ば で あ る 。 第 二 + 二 段 坐禅
辧 道 こ れ発
菩 提 心 な り 。 か く の ご と く 参 究 す べ し 。 発 心 は 一 異 に あ ら ず 、 坐 禅 は 一 異 に あ らず
。 再 三 に あ ら ず 、 処 分 にあ
らず
。 頭 頭 み な 坐 禅 辮 道 コ レ 発 菩 提 心 文 ト 云 、 尤 其 謂 ア リ 、 実 争 発 菩 提 心 ナ ラ サ ル ヘ キ 、 一 異 ニ ア ラ ス ト ハ 、 今 ノ 発 心 与一坐
禅 二 物 丈 、 発 心 ト 坐 禅 ト ノ 姿 一 異 ニ ア ラ ス ト 云 道 理 モ ア ル ヘ シ、 又 発 心 ハ 発 心 ト 】 異 二 非 ス 、 坐 禅 ハ 坐 禅 ト 一 異 ニ ア ラ ス ト 云 道 理 二 可 二 落 居 一 文、 ( 一 五 七b
) 「 坐禅
辧 道 こ れ発
菩 提 心 な り 」 と あ る 。 当 然 そ の 理 由 は あ る 。 実 に ど う し て 〔 坐禅
辧 道 が 〕 発 菩 提 心 で な い で あ ろ う 。 「 一 異 に あ ら ず 」 と い う の は、 こ こ で の 「 発 心 」 と 「 坐禅
」 と が 一 つ の も の 〔 と い う こ と 〕 で あ る 。 「 発 心 」 と 「 坐 禅 」 と の 姿 が 「 一 異 に あ ら ず 」 と い う道
理 も あ る は ず であ
る 。 ま た 、発
心 は 発 心 と 「 一 異 に あ ら ず 」 、 坐禅
は 坐 禅 と 「 一 異 に あ ら ず 」 と い う 道 理 に 落 ち 着 く はず
で あ る 。NII-Electronic Library Service 第 二 十 三 段 草
木
七 宝 を あ つ め て 造 塔 造仏
す る 始終
、 そ れ 有為
に し て 成 道 す べ か ら ず ぽ 、 三 十 七 品 菩 提分
法 も 有 為 な る べ し 。界
・ 人 天 の 身 心 を 拈 じ て 修 行 せ ん 、 と も に 有 為 な る べ し 。究
竟 地 あ る ぺ か ら ず 。 実 一 心 ナ ル 草 木 七 宝 ヲ ア ッ メ テ 造 塔 造 仏 ス ル ヲ 有 為 ト 云 ヘ ク ハ 、 三 十 七 品 菩 提 分 法 ハ 一 向 小 乗 ナ ル ヘ シ 、 是 又 尤 有 為 ナ ル ヘ シ 、 三 界 人 天 ノ 身 心 ヲ 拈 シ テ 修 行 セ ム 、 是 又 可 『 為 二 有 為 「 如 レ 此 イ ハ ・ 、 究 竟 地 ハ ア ル ヘ カ ラ ス ト 云 丈 、 実 に 一 心 で あ る 「 草 木 七 宝 を あ つ め て 造塔
造 仏 す る 」 こ と を 「 有 為 」 と 言 え る な ら ば 、 「 三 十 七 品 菩 提 分 法 」 は 悉 く 小 乗 で あ ろ う 。 こ れ も ま た な る ほ ど 「有
為
」 で あ ろ う 。 「 三 界 ・ 人 天 の 身 心 を 拈 じ て 修 行 せ ん 」、 こ れ も ま た 「 有為
」 と す べ き で あ る 。 こ の よ う に 言 う な ら ば 、 「 究竟
地 」 は 「 あ る べ か ら ず 」 と い う の であ
る 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
第 二 十 四 段
草
木 瓦 礫 と 四 大 五 蘊 と 、 な り 。 お な じ く こ れ唯
心 な り 、 お な じ く こ れ 実 相 な り 。 尽 十 方 界 ・ 真 如仏
性 、 お な じ く 法 住 法位
草 木 瓦 礫 ハ 非 情 ノ 物、 四 大 五 蘊 ハ 衆 生 ノ 所 具 ト ( 一 五 八 a ) 心 得 タ ル 見 解 ヲ 嫌 テ 、 草 木 瓦 礫 モ 四 大 五 蘊 モ 皆 唯 心 ナ リ 、 実 相 文 、 真 如 仏 性 、 同 ク 法 住 法 位 文 ト 有 文 、 「 草 木 瓦 礫 」 は 非 情 の 物 、 「 四 大 五 纒 」 は 衆 生 が 具 え て い る と こ ろ の も の と 理 解 し て い る見
解 を 斥 け て 、 「 草 木 瓦礫
」 も 「 四 大 五 蘊 」 も皆
「 唯 心 な り 」 、 「実
相
な り 」 、 「 真如
仏 性 、 お な じ く 法住
法 位 な り 」 と あ る の で あ る 。 第 二 + 五 段真
如仏
性 の な か に 、 い か で か 草 木 等 あ ら ん 。 草木
等
、 い か で か真
如仏
性 な ら ざ ら ん 。 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 ロ 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 一 五 三『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 真 如 仏 性 ト 談 セ ム ト キ ハ 、 実 皆 真 如 仏 性 ナ ル ヘ シ 、 草 木 ト イ ハ ル ヘ カ ラ ス、 又 此 草 木 真 如 仏 性 ナ リ 、 然 者 又 争 真 如 仏 性 ナ ラ サ ラ ム ト ハ 云 ハ ル ・ 丶 、 第 二 十 六 段 諸 法 は
有
為 に あ ら ず 、 一 五 四 「真
如 仏 性 」 と 説 く と き は 、 実 に 皆 「真
如 仏 性 」 で あ ろ う 。 「 草 木 」 と 言 わ れ る は ず が な い 。 ま た、 こ の 「 草 木 」 が 「真
如 仏 性 」 で あ る 。 そ う で あ る か ら 、 ま た 、 「 い か で真
如 仏 性 な ら ざ ら ん 」 と 言 わ れ る の で あ る 。 無 為 に あ ら ず、 実 相 な り 。 実 相 は 如 是 実 相 な り 、 如 是 は 而 今 の 身 心 な り 。 諸 法 ノ 上 ニ ハ 有 為 ト モ 無 為 ト モ 談 セ ム 、 更 不 レ 可 レ 違 ( 一 五 八 b ) 義 理 ナ リ 、 然 而 鏨 コ ・ ニ ハ 実 相 丈 ト イ フ ナ リ 、 法 華 二 十 如 是 ヲ 立 ル ニ 、 如 是 相 ト テ 其 外 二 性 体 力 等 ヲ 立 ツ 、 是 モ 皆 此 十 如 是 実 相 ナ レ ト モ 、 如 是 実 相 ト 云 テ 又 他 ノ 詞 ナ シ、 只 同 理 ナ レ ト モ 、 今 一 重 実 相 ノ 外 二 余 ノ 物 モ ナ キ 道 理 、 猶 タ ク ミ ニ 解 脱 ノ 姿 サ ハー
ト 聞 ユ 、 但 始 終 勝 劣 モ 軽 重 モ ア リ ト ハ 不 レ 可 レ 云 文 、 如 是 ハ 而 今 ノ 身 心 文 ト ア リ、 以 二 今 如 是 一 可 レ 談 二 身 心 一 謂 顕 然 ナ リ 、 ( 一 五 九 a ) 「 諸 法 」 の 上 で は 「 有 為 」 と も 「 無 為 」 と も 説 こ う 。 決 し て 違 う はず
が な い 道 理 で あ る 。 そ う で あ る か ら 、 仮 に こ こ で は 〔 諸 法 は 〕 「 実 相 な り 」 と い う の で あ る 。 ( 12 ) 『 法華
経 』 で 十 如是
を 立 て る と き に 。 如 是 相 と い っ て そ の 外 に 性 体 力 等 を た て る 。 こ れ も 皆 こ の十
如 是 は 実 相 で あ る け ど も 、 「 如 是実
相 」 と 言 っ て 、 ま た 他 の こ と ぽ が な い 。 全 く 同 じ 理 で あ る け れ ど も、 こ こ で は 一 重 に実
相 の 外 に 余 の 物 も な い 道 理 〔 で あ り 〕 、 〔 こ の こ と ば に よ っ て 〕 一 層 た く み に解
脱 の 姿 が は っき
り と わ か る 。 た だ し、 始 終 勝 劣 も 軽 重 も あ る と は い う べき
で は な い 。 「 如 是 は 而 今 の 身 心 な り 」 と あ る 。 今 の 「 如 是 」 で 「 身 心 」 を 説 く わ け は は っ き り し て い る 。 第 二 十 七 段 こ の 身 心 を も て 発 心 す べ し 、 水 を ふ み 石 を ふ む を き ら ふ こ と な か れ 。 微 塵 を 拈 じ て 古 仏 の 塔廟
を 建 立 す る 、 こ れ 発 菩 提 心 な る べ し 。 た だ 一 茎 草 を 拈 じ て 丈 六 の 金 身 を 造 作 し、NII-Electronic Library Service ヲ 以 二 此 身 心 「 可 二 発 心 「 ト 云 ヘ ハ 、 日 来 ノ 旧 見 二 迷 ツ ヘ シ、 今 ハ 此 身 心 ト サ ス 身 心 ヲ ヤ ヵ テ 発 心 ト 談 ス ル 文、 全 心 ノ 上 道 心 ヲ 発 ナ ム ト 不 レ 可 二 心 得 嚇 水 ヲ フ ミ 石 ヲ フ ム ト ア レ ハ 、 何 事 ソ ト フ ト 指 出 タ ル ヤ ウ ニ 聞 ユ レ ト モ 、 古 キ 詞 歟 、 只 所 詮 石 ヲ フ ミ 水 ヲ フ ム 姿 皆 発 心 文 卜 云 心 地 文 、 一 茎 草 ヲ 拈 シ テ 丈 六 ノ 金 身 ヲ ア ラ ハ ス ト 云 事、 古 キ 祖 師 ノ 詞 ナ リ 、 此 } 茎 草 カ ヤ カ テ 丈 六 ノ 金 身 ナ ル ヘ キ 文 、 ユ ヘ ニ ( 一 五 九
b
) 発 心 丈 、 一 微 塵 ノ 当 体 則 古 仏 ノ 塔 廟 文、 是 ヲ 発 菩 提 心 ト 云 ヘ シ、 一 微 塵 則 発 心 ナ ル ユ ヘ ニ 、 「 こ の 身 心 を も て 発 心 す べ し 」 と 言 う と す る と 、 日 頃 の 旧 見 に 迷 う に 違 い な い 。 こ こ で は 、 「 こ の 身 心 」 と 指 す 「 身 心 」 を す ぐ さ ま 「発
心 」 と 説 く の であ
る 。 決 し て 心 の う え の 道 心 を 発 な ど と 理 解 す べ き で は な い 。 「 水 を ふ み 石 を ふ 」 む と あ る の で 、 何 事 か が 不 意 に す っ と 出 て き た よ う に 受 け 取 ら れ る け れ ど も 、古
い こ と ば か 。 た だ 結 局、 石 を ふ み 水 を ふ む 姿 が 皆 発 菩 提 心 で あ る と い う 意 味あ
い で あ る 。 「 一 茎 草 を拈
じ て丈
六 の 金身
」 を あ ら わ す と い う こ と は 、 古 い 祖 師 ( 圜 悟 克 勤 ) の ( 13 ) こ と ば で あ る 。 こ の 「 一 茎 草 」 が す な わ ち 「 丈 六 の 金 身 」 であ
る はず
で あ る 。 だ か ら 「発
心 」 で あ る 。 「 一 微 塵 」 の 当体
が す な わ ち 「 古 仏 の 塔 廟 」 で あ る 。 こ れ を 「 発 菩 提 心 」 と 言 う べ き で あ る 。 「 一 微 塵 」 が す な わ ち 「 発 心 」 で あ る か ら 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
第 二 十 八 段 見 仏 な り 、 聞 仏 な り 。 見 法 な り 、 聞 法 な り 。 作 仏 な り 、 行 仏 な り 。 此 一 ≧ 所 レ 挙 ノ 道 理 ノ 行 所 ヲ 、 或 見 仏 ト モ 、 聞 仏 ト モ 、 見 法 聞 法 作 仏 行 仏 ト モ 云 ハ ル ・ メ ツ ラ ノ 丈、 聞 仏 ト 云 詞 ソ 珍 キ ャ ゥ ナ レ ト モ 、 今 ノ 理 ノ 上 ニ ハ 、 聞 仏 ト 云 詞 ナ カ ル ヘ キ ニ ア ラ ス、 詞 ニ カ ・ ハ ラ ス ト ハ 、 是 等 ヲ 云 ヘ キ ヲ、 捨 二 言 語一 卜 云 事、 甚 不 レ 被 二 心 得 一 文 、 ( = ハ
Qa
) こ の 一 つ 一 つ 挙げ
ら れ る道
理 の 及 ぶ と こ ろ を 、 或 い は 「 見 仏 」 と も 、「 聞
仏
」 と も、 「 見 法 ・ 聞 法 ・ 作 仏 ・ 行 仏 」 と も 言 わ れ る の であ
る 。 「 聞 仏 」 と い う こ と ば は 珍 し い よ う で あ る け れ ど も 、 今 の 理 の 上 で は、 「 聞 仏 」 と い う こ と ば は な い は ず は な い 。 こ と ば に 関 わ ら な い と い う の は 、 こ れ ら を 言 う べ き で あ る の に 、 言 語 を捨
て る と い う こ と は、 全 く 理 解 で き な い の で あ る 。 第 二 十 九 段 ノ タ マ ハ ク 釈 迦 牟 尼 仏 言 、優
婆 塞 優婆
夷
・ 善男
子 善 女 人 、 『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) テノ ヲ
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ス ( 翌 以 二 妻 子 肉 一 供 二 養 三 宝 「 以 二 自 身 肉 一
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二 養 三 宝 而 一 五 五『 正 法 眼 蔵 聞 書 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 以 二 妻 子 肉 一 供 二 養 三 宝 噛 以 二 自 身 肉 一 供 二 養 三 宝 } ナ ム ト 云 ヘ ハ 、 衆 生 所 具 ノ 肉 等 ヲ 以 テ 供 養 三 宝 ス ヘ シ ト 文 ノ 面 ハ 見 タ リ 、 但 尽 十 方 界 ノ 人 ノ 上 ノ 自 身 并 肉 等 ナ ル ヘ シ、 乃 至 優 婆 塞 ヲ 優 婆 夷 善 男 子 善 女 人 等 モ 、 以 二 尽 十 方 界 一 善 男 子 ト モ 善 女 人 ト モ 云 ヘ キ ナ リ 、 然 者 又 以 二 此 姿 一 可 レ ( 一 六 〇