• 検索結果がありません。

佛教大学仏教学会紀要 07号(19990325) L001本庄良文「シャマタデーヴァの伝える阿含資料補遺 : 界品 (水谷幸正教授 井上正教授古稀記念号)」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "佛教大学仏教学会紀要 07号(19990325) L001本庄良文「シャマタデーヴァの伝える阿含資料補遺 : 界品 (水谷幸正教授 井上正教授古稀記念号)」"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

シ ャマ タ デー ヴ ァの伝 え る阿含 資 料 補 遺

一 界品一

チ ベ ッ ト訳 の み で 伝 え られ る、 シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ倶 舎 論 註(大 谷 目録5595, 東 北 目録4094)の 研 究 は、 櫻 部 建 に よ っ て そ の 端 緒 が 開 か れ た 。 私 は そ れ を継 承 す る か た ち で 、1978年 頃 か ら凡 そ次 の よ うな 過 程 で 研 究 を進 め て きた 。 (i)第 二 章 根 品 、 第 五 章 随 眠 品、 第 七 章 智 品 、 第 八 章 定 品 、 第 九章 破 我 品 の 資 料 比 定 お よび 抄 訳 。 (ii)『 倶 舎 論 所 依 阿 含 全 表1』 の 出 版(北 京 ・ナ ル タ ン ・デ ル ゲ ・チ ョ ネ 版 の資 料 対 比 、 シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 引 く資 料 の 比 定 、 法 幢 、 佐 伯 旭 雅 、 西 義 雄 、 ド ・ラ ・ヴ ァ レ ・プ サ ンの 比 定 箇 所 、 称 友疏 の箇 所 の 対 比)。 (iii)長 ・中 ・相 応 ・増 一 阿含 、律 、 論 な ど、 資 料 別 の分 析 。 (iv)第 一 章 界 品 、 第 六 章 賢 聖 品 、 第 四 章 業 品 、 第 三 章 世 品 の ほ ぼ全 訳 。 こ の作 業 は、 『教 育 諸 学 研 究 論 文 集 』(神 戸 女 子 大 学 教 育 学 科 研 究 会vo1.10, 1996)の 稿 を もっ て一 応 の 終 結 を見 た 。 この こ とに よ って 全 巻 を、 資 料 比 定 あ る い は部 分 訳 に よ って 紹 介 し お えた こ とに な る。 そ こで 、 あ らた め て抄 訳 に終 った 諸 品 の全 訳 を 目指 し、 次 の よ う な拙 稿 を発 表 した 。 (1)「 シ ャマ タ デ ー ヴ ァの 伝 え る阿 含 資 料 補 遺 一 智 品(上)一 」 『神 戸 女 子 大 学 文 学 部 紀 要 』 第30卷1997,pp.91-103. (2)「 シ ャ マ タ デ ー ヴ ァの 伝 え る阿 含 資 料 補 遺 一 智 品(下)一 」 『教 育 諸 学 研 究 論 文 集 』 第11卷1997,pp.21-29. (3)「 シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の伝 え る阿 含 資 料 補 遺 一 破 我 品(上)一 」 『神 戸 女 子 大 学 文 学 部 紀 要 』 第31卷1998,pp.91-104. (4)「 シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の伝 え る阿 含 資 料 補 遺 一破 我 品(下)一 」 『教 育 諸 一1一

(2)

学 研 究 論 文 集 』 第12卷1998,pp.75-84. 界 品 を 紹 介 し た 以 下 の 三 つ の 論 文 で は 、 紙 数 等 の 関 係 で 若 干 の 資 料 の 和 訳 が で き て い な か っ た の で 、 今 回 補 足 さ せ て 頂 く こ と に し た 。 (1)「 阿 含 と 倶 舍 論 一 界 品(1)一 」 『密 教 学 』20/21,1985,pp.(27)一 (40). (II)「 阿 含 と 倶 舍 論 一 界 品(2)一 」 『南 都 佛 教 』54,1985,pp.(1)一 (17). (III)「 阿 含 と倶 舍 論 一 界 品(3)一 」 『佛 教 研 究 』20,1991,pp.107-123. 未 訳 の 部 分 を 拙 著(iv)の 番 号 と主 題 を 以 て 示 せ ば 、[21](略 説),[25](八 萬 法 蘊),[27](十 遍 処),[28](八 勝 処),[29](四 無 色 処),[30](五 解 脱 処), [32](多 界 経)と な る 。 そ の う ち 、[32]『 多 界 経 』 は 、 称 友 疏 所 引 梵 本(部 分)、 中 部 ・中 阿 含 、 別 行 の カ ン ギ ュ ル 所 収 チ ベ ッ ト訳 、 『法 蘊 論 』 「多 界 品 」 な ど に 対 応 資 料 が あ り、 『倶 舎 論 』 は 勿 論 、 種 々 の 論 書 に 引 用 ・言 及 さ れ る こ と も 多 く、 本 来 な ら ば よ り多 角 的 で 厳 密 な 取 り扱 い が 要 請 さ れ る の で あ る が 、 ひ と ま ず ウ パ ー イ カ ー 所 伝 の も の を 紹 介 す る に 留 め た 。 各 項 目 ご と に 、4桁 の 資 料 番 号(最 初 の 「1」 は 第 一 章 、 界 品 の 意)、 プ ラ ダ ン 本(AKBh)頁 行 、 北 京 ・デ ル ゲ 版 テ ン ギ ュ ル 該 当 箇 所(Tu,Ju)、 櫻 部 建 『倶 舎 論 の 研 究 』(法 蔵 館)対 応 頁、 訳 、 註 、 対 応 資 料 を 示 す 。 ま た シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 言 葉 に は 下 線 を 引 き、 倶 舍 本 論 引 用 部 は ゴ シ ッ ク 体 と し た 。 [1021]AKBh14,12;Tu23b1;Ju21a3;櫻 部p.176 【和 訳 】 「〔教 え を 受 け る有 庸 の 〕 願 望 も三 種 で あ る 」 と い う 〔本 文 〕 に つ き 、 簡 略 な 〔教 え 〕 に 対 す る 願 望 の 実 例 は: 舍 衛 國 に ゆ か りが あ る 。 さ て 、 あ る 比 丘 が 密 か な る 禅 思(pratisamlayana)よ り覚 め て 、 世 尊 の 下 に 近 づ い た 。 近 づ い て 、 世 尊 の 両 足 に 頂 礼 し 、 一 隅 に 坐 し た 。 一 隅 に 坐 し て 、 そ の 比 丘 は 、 世 尊 に 次 の よ う に 申 し 上 げ た 。 一 世 尊 は 私 に 、 見 事 に 、 簡 略 化 さ れ た 〔法 〕、 そ の よ う な 法 を お 説 き 下 さ い ま す よ う に 。 そ う す れ ば 私 は 、 世 尊 の 下 で 簡 略 な 法 を 聞 き 、 独 り(ek稾in) -2一

(3)

シ ャマ タ デー ヴ ァの伝 え る阿 含資 料補 遺

 ユ   

遠 離 し(vivikta)、 努 力 し(apramatta)、 熱 心 に(穰穡in)、 精 神 を 傾 注 し て (prahit穰man)時 を 過 す で あ り ま し ょ う 。 独 り 遠 離 し て 、 努 力 し 、 熱 心 に 、 精 神 を 傾 注 し て 時 を 過 し 、 そ の た め に 〔こ そ 〕 善 男 子(kula-putra)が 髪 と髭 と を 剃 り落 し 、 身 に 袈 裟 を着 け 、 信 を 以 て 、 正 し く家 よ り 家 な き 状 態 に 出 立 す る 〔と こ ろ の 、 そ の 、〕 無 上 の 梵 行 を行 じ 、 現 法(現 世)に(drstaevadharme)自 ら通 慧 を 直 証 し 、 智 慧(明)を 具 足 し て 、 「我 が 生 は 尽 き た 。 梵 行 は 行 ぜ ら れ た 。 な す べ き は な し終 え た 。 こ の 生 存 よ り 他 〔の 生 存 〕 を 知 る こ と は な い 」 と 〔覚 る で あ る よ う な 、 そ の よ う な 教 え を 〕 世 尊 は 私 に お 説 き 下 さ い ま す よ う に 。 そ の 比 丘 が こ の よ う に 申 し上 げ る と 、 〔世 尊 は 〕 述 べ られ た 。 比 丘 よ 、 み ご と、 み ご と 。 比 丘 よ 、 〔汝 が 〕 そ の よ う に 言 う の は み ご と、 み ご と。 〔汝 は 〕 「世 尊 は 私 に 、 見 事 に 、 簡 略 化 さ れ た 〔法 〕、 そ の よ う な 法 を お 説 き 下 さ い ま す よ う に 。(24a)そ う す れ ば 私 は 、 世 尊 の 下 で 簡 略 な 法 を 聞 き 、 ミまユ 独 り遠 離 し、 努 力 し、 熱 心 に、 精 神 を傾 注 し て時 を過 す で あ りま し ょ う。 独 り 遠 離 して 、 努 力 し、熱 心 に、精 神 を傾 注 して 時 を過 し、 そ の た め に 〔こ そ〕 善 男 子 が 髪 と髭 とを剃 り落 し、 身 に袈 裟 を着 け、 信 を以 て 、 正 し く家 よ り家 な き 状 態 に 出 立 す る 〔と こ ろ の、 そ の 、〕 無 上 の 梵 行 を行 じ、 現 法 に 自 ら通 慧 を直 証 し、 智 慧(明)を 具 足 して 、 「我 が 生 は尽 きた 。 梵 行 は行 ぜ られ た 。 な す べ き は な し終 えた 。 この 生 存 よ り他 〔の生 存 〕 を 知 る こ と は な い 」 〔と覚 る で あ ろ う よ う な 、 そ の よ う な 教 え を世 尊 は私 に お説 き下 さ い ま す よ う に〕」 と言 う の か 。 大 徳 よ、 その 通 りで あ り ます 。 一 比 丘 よ、 そ れ で は よ く聴 き、 心 を 向 け よ。 説 く と し よ う。 比 丘 よ、 汝 な ら ざ る 法 、 そ れ を汝 は捨 て 去 る べ きで あ る。 そ の対 象 を捨 て去 っ た な ら、 長 期 に亘 る利 、 益 、 楽 の 基 とな ろ う(arth窕ahit窕asukh窕a)。 〔比 丘 は〕 答 え た 。 一 世 尊 よ、 解 り ま した。 善 逝 よ、 解 りま した 。 〔世 尊 は〕 説 か れ た 。 一 比 丘 よ、 汝 は、 私 が簡 略 に、 〔詳 し く〕 分 析 す る こ とな し に説 い た こ と を どの よ う に理 解 した の か 。 -3一

(4)

〔比 丘 は〕 答 えた 。 一 大 徳 よ 、 「色 〔蘊 〕 は我 で は な い 。 そ の法 を捨 て 去 った な ら、 長 期 に亘 る利 、 益 、 楽 の基 とな ろ う。 受 、 想 、行 、 識 〔蘊 〕 は我 で は な い。 この 法 を捨 て 去 っ た な ら、 長 期 に 亘 る利 、 益 、 楽 の 基 とな ろ う」 と、 大 徳 よ、 私 は、 世 尊 が 、 簡 略 に 、 〔詳 し く〕 分 析 す る こ とな し に お 説 き に な っ た こ との 意 味 内 容 を 、 この よ う に敷 衍 して理 解 い た し ま した 。 比 丘 よ、 み ご と、 み ご と。 私 が簡 略 に、 〔詳 し く〕 分 析 す る こ とな し に 説 い た こ と の意 味 内 容 を(24b)〔 汝 が 〕 理 解 した の は み ご とで あ る。 そ れ は な ぜ か 。比 丘 よ、 色 〔蘊 〕 は 自我 で は な く、 そ の 法 を汝 は捨 て 去 るべ き で あ り、 そ の 法 を 汝 が 捨 て 去 っ た な ら、長 期 に亘 る利 、益 、 楽 の 基 とな ろ う 〔か らだ 〕。 受 、 想 、 行 、識 〔蘊 〕 は 自我 で は な く、 そ の 法 を汝 は捨 て去 るべ きで あ り、 そ の法 を汝 が 捨 て 去 った な ら、 長 期 に亘 る利 、 益 、 楽 の 基 とな ろ う 〔か らだ 〕。 そ こで そ の比 丘 は、 世 尊 の説 を喜 び 、有 り難 く思 って 、 世 尊 の 両 足 に頂 礼 し、 世 尊 の 下 よ り退 去 した 。 次 い で 、 そ の 比 丘 に つ い て 世 尊 は、 「簡 略 な こ の 教 誡 に よ っ て 教 誠 され た 〔あ の比 丘 〕 は、 独 り遠 離 して 、 努 力 し、 熱 心 に、 精 神 を傾 注 す る で あ ろ う」   ヨ と予 言 され た 。 〔い っ ぼ う そ の比 丘 は、〕独 り遠 離 して 、 努 力 し、 熱 心 に 、精 神 を傾 注 し て 時 を過 し、 そ の た め に こそ 善 男 子 が 髮 と髭 と を剃 り落 し、袈 裟 を着 け、 信 を以 て 、 正 し く家 よ り家 な き状 態 に出 立 す る 〔と こ ろ の〕、 〔そ の 〕 無 上 の 梵 行 を行 じ、 現 法 に 自 ら通 慧 を直 証 し、 〔三 〕 明 を 具 足 して、 「わ が 生 は尽 き た 。 梵 行 は 行 ぜ られ た 。 な す べ き は な し終 えた 。 この生 存 よ り他 〔の 生 存 〕 を     知 る こ とは な い 」 とい う智 を有 し、 心 解 脱 した 阿 羅 漢 とな っ た。     こ れ と 同 じ 意 味 の こ と が 〔五 〕 蘊 品 の 〔第 〕 三 摂 頌 の あ れ こ れ の 経 〔に お い て 〕 以 上 の よ う に 説 か れ る 。 〔そ の 摂 頌 に は 、〕 (1)隨 順(rjes-su-mthun)と 、(2)数 と 、 (3)流 れ に 結 び つ く こ と(rgyun-tu-sbyor)と 、(4)老 と 、 (5)遍 く結 び つ く こ と と、(6)カ ル パ と、(7)温 か さ と 、     (8)心 解 脱 と、(9)(10)二 経 に お い て 勝 者 の 息 子 で あ る と あ る 。(25a) -4一

(5)

シャマタデーヴァの伝 える阿含資料補遺 以 下 に は、 簡 略 な説 へ の願 望 の、 さ ら に別 の実 例 が あ る。   ア     世 尊 は 、 ヴ リ ジ村 に お い て(?)、 侍 者 な る 同 志 、 村 長 の ヴ リ ジ プ ト ラ (Vrjiputra)と 共 に滞 在 して お ら れ た 。 さ て 、 同 志 ヴ リ ジ プ トラ は 、世 尊 の 下 に近 づ い た 。 近 づ い て世 尊 の 両 足 に頂 礼 し、 一 隅 に坐 した 。 一 隅 に坐 して 、 同 志 ヴ リ ジ プ トラ は世 尊 に次 の よ う に 言 った 。 一 大 徳 よ、 〔二 〕 百 五 十 の 学 処 が 、 半 月 ご と に 誦 さ れ る 別 解 脱 経 (pr穰imoksa-s皦ra)に お い て 説 か れ て い ます 。 善 男 子 た る私 は 、 充 分 意 欲 的       ユむ に、 学 に お い て 努 め て 学 さね ぼ な り ませ ん 。 それ に つ い て 、 私 は この 学 にお い て 学 す る意 欲 が 湧 き ませ ん 。 〔世 尊 は〕 説 か れ た 。   ユユ ー 同 志 ヴ リ ジ プ トラ よ、 汝 は随 時 に三 学 を学 す るが よい 。 〔ヴ リ ジ プ トラ は〕 申 し上 げた 。 世 尊 よ、 それ 〔な ら〕 私 に も意 欲 が 湧 い て ま い り ます 。 善 逝 よ、 〔私 に も〕 意 欲 が 湧 い て まい ります 。 一 同 志 ヴ リジ プ トラ よ、 そ れ な ら汝 は随 時 に増 上 戒 学 を 学 べ 。増 上 心 学 、 増 上 慧 学 を学 べ 。 ヴ リ ジ プ トラ よ、 汝 が 随 時 に増 上 戒 学 を学 び、 増 上 心 〔学 〕、 増 上 慧 学 を学 ぶ な らば 、 遠 くな い将 来 に、 漏 を尽 し、漏 な く して 心 解 脱 し、 慧 解 脱 し、 現 法 に 自 ら通 慧 を直 証 し、 〔三 〕 明 を完 成 し、 厂我 が 生 は尽 きた 。 なす べ き は な し終 えた 。 義 務 は果 した 。 この 生 存 よ り別 〔の 生 存 〕 を知 る こ とは な い」 と 〔覚 る〕 で あ ろ う。 か く し て 同 志 ヴ リ ジ プ トラ は、 世 尊 の 説 を 喜 び 、(25b)有 難 く思 っ て、 世 尊 の両 足 に頂 礼 し、 世 尊 の 下 よ り退 去 した 。 同 志 ヴ リジ プ トラ のた め に世 尊 は こ の教 誠 に よ って 教 誡 され て 、 「〔か れ は 〕 独 り遠 離 して 、努 力 し、 熱 心 に、 精 神 を傾 注 す るで あ ろ う」 と予 言 され た。 〔予 言 の 通 り、〕 独 り遠 離 し、 不 放 逸 に努 力 を重 ね 、精 神 を傾 注 し、 な い し、 先 の 如 く、 智 を有 し、 同 志 ヴ リ ジ プ トラ は 心 解 脱 した 。 【訳 註 】(1)tshad-med-pa!=*apramita?(2)gdung-ba-med-pa! (3)予 言 の 部 分 は漢 訳 に 欠 け る。(4)窕usmatの 語 が 挿 入 され て い るが 削 除 し て読 む 。(5)こ の 摂 偈 は 雑 阿 含 経 卷 第 二 の 第15-24経 を 含 む摂 頌 「使 増 諸 數 、 -5一

(6)

非 我 非 彼 、 結 繋 動 揺 、 劫 波 所 問 、 亦 羅 喉 羅 、 所 問 二 經 」(大2,5b)に 当 る と 見 ら れ る 。 漢 訳 で は 最 初 の8経 に お い て 「略 説 」 が 主 題 と さ れ て い る 。(6)第 一 の 経 題rjes-su-mthunは 、 パ ー リ対 応 経(SN22,35)にanusetiと あ り、 雑 阿 含 に 「使 」 の 語 が あ る と こ ろ か ら し てanuSayaの 類 語 を 写 し た も の か と 思 わ れ る 。 第 二 の 経 題 は パ ー リ対 応 経 にsamkhamgacchatiと あ る の に 関 係 が あ ろ う。 第 五 の 経 題 は 雑 阿 含 の 「結 所 繋 」 と 対 応 し よ う。 第 六 のrtog(*kalpa,ka1-pan は 漢 訳 「劫 波 」 に 当 る で あ ろ う 。 第 八 の 経 題 「心 解 脱 」 は 漢 訳 第21,22 あ た り の 経 文 中 に も見 え る 。 最 後 の 二 経 のrgyal-ba-nyid-las-skyes-paはji-n穰majaと 還 元 で き 、R禀ulaに 比 定 で き る 。 『佛 教 研 究 』 第15号,1985所 収 拙 稿 「シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 伝 え る 中 ・相 応 阿 含 」p.72f参 照 。(7)Vrji;P稷i: Vajji;漢 訳 「跋 耆 」。(8)Prgya1-ba-'phel-ba-gang.(9)Plegs-su-'dod-par.(10)?de-la.(11)佛 が 弟 子 に 「同 志(窕usmat)」 と 呼 び 掛 け る の は 異 例 で あ る 。 あ る い は テ キ ス トに 混 乱 が あ る か 。 【対 応 資 料 】(1)雑 阿 含1,17(大2,3b-c)。(2)雑 阿 含29,829(大2,212c). 山 口 益 『世 親 の 成 業 論 』 法 蔵 館p.231参 照 。 [1025]AKBh17,19/Tu27a5/Ju24b3/櫻 部p.186. 【和 訳 】 八 萬 法 蘊 は ど の よ う に 〔経 に 〕 説 か れ て い る の で あ ろ う か 。 〔中 阿   エ     含 〕 ウ ダ ー ナ 品 の 第 一 摂 偈 の 第 三 経 に説 く通 りで あ る。 同 志 ア ー ナ ン ダが 言 う 〔とせ よ〕。 「同 志 た ち よ、 私 は八 萬 有 余 の法 蘊 を世 尊   ヨ の 下 で 聞 き、 二 〔法 蘊 〕 を比 丘 た ち よ り 〔聞 い た 〕。 私 は 〔経 の 〕 片 句 〔の     み 〕 を 受 持 した 記 憶 は な い。 逆 に、一 挙 に 〔す べ て を〕 聞 くの で あ る。 世 尊 に 問 い 〔返 し〕 て 受 持 した記 憶 もな い 。 逆 に、 一 度 で聞 き取 る の で あ る。 〈 その 時 もそ うで あ った 〉 〔と〕 こ の よ うに 心 に よ っ て法 は捉 え られ る べ きで あ る。 い か な る法 を受 持 し、 〔い か な る法 の〕 理 解 を得 る に して も、<〔 こ れ は〕 他 人 が 捉 え る こ とが で き る よ う に す る た め だ 〉 と考 えた こ とは な い 。 逆 に 、 〔あ くま で 〕 自 ら を律 す るた め、 〔自 ら の〕 寂 静 の た め 、 自 らの 涅 槃 の た め を思 っ て の こ とで あ る。 〔私 は〕 心 が 高 揚 し た り 〔逆 に〕 怯 ん だ りす る根 拠 を も知 ら な い。 〔自分 の〕 梵 行 の 方 が 他 者 〔の そ れ 〕 よ り勝 っ て い る こ との 根 拠 が あ る、 -6一

(7)

シャマ タデ ー ヴ ァの伝 え る阿含 資 料補 遺 と す る 心 を 〔自 〕 覚 し た こ と は な い し 、 〔そ の よ う な 心 を 〕 生 じ た こ と も な い 」 〔と 〕。 も し 同 志 ア ー ナ ン ダ が こ の よ う に 言 う と す れ ば 、 〔そ れ は 〕 同 志 ア ー ナ ン ダ に と っ て の 驚 嘆 す べ き こ と(未 曾 有 法)で あ る 【訳 註 】(1)中 阿 含 の 組 織 に つ い て は 拙 稿 「シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 伝 え る 中 ・ 相 応 阿 含 」 『佛 教 研 究 』15,1985,pp.63-80参 照 。(2)経 文 は 全 体 に 理 解 し づ ら い 箇 所 が 多 い 。(3)野 沢 静 證 「清 弁 の 声 聞 批 判 イ ン ド に お け る 大 乗 仏 説 論 」 『函 館 大 谷 女 子 短 期 大 学 紀 要 』5,1973,p.205;拙 稿 「『釋 軌 論 』 第 四 章 世 親 の 大 乗 仏 説 論(上)」 『神 戸 女 子 大 学 文 学 部 紀 要 』23,1,1990, p.61;拙 稿 「阿 毘 達 磨 佛 説 論 と 大 乗 佛 説 論 」 『印 度 學 佛 教 學 研 究 』38-1,1989, pp.(59)一(64)参 照 。(4)gzhan-du-na=anyatra.F.Edgerton,BHSD参 照 。 【対 応 資 料 】 中 阿 含8,33(大1,473a25-b8). [1027]AKBh18,2/Tu27b4/Ju25a2/櫻 部p.187. 【和 訳 】 「十 遍 処 の う ち 」 と は 。 舍 衛 國 に ゆ か り が あ る 。 比 丘 た ち よ 、 遍 処 に は 十 が あ る 。 十 と は 何 何 か 。(1)あ る 者 た ち は 「こ と ご と くが 地 だ 」 と上 に 、 下 に 、 横 に 、 不 二 に し て 無 量 な る を 想 う 。(2)あ る 者 た ち は 「こ と ご と く が 水 、(3)火 、(4)風 、(5)青 、(6)黄 、(7)赤 、(8)白 、 (9)空 無 辺 処 、(10)識 無 辺 処 だ 」 と、 上 に 、 下 に 、 横 に 、 不 二 に し て 無 量 な る を 想 う 。 【対 応 資 料 】 『集 異 門 足 論 』19(大26,447a-b);ValentinaStache-Rosen ed.Sangitis皦ra,p.203.Cf.[8039]adAKBh457,14. [1028]AKBh18,3/Tu27b7/Ju25a4/櫻 部p.188.     【和 訳 】 「〔八 〕 勝 処 も また 同 様 で あ る」 とは。 舍 衞 國 に ゆか りが あ る。 比 丘 た ち よ、 勝 処 に は八 つ が あ る。 どの よ うな八 つ か 。 (1)内 に色 の 想 い を有 す る者 が 、 外 に 少 量 の 、 美 ・醜 な る色 を見 る。 それ ら の 色 に打 ち 克 っ て知 り、 そ れ らの 色 に打 ち 克 っ て見 、 そ の よ う な想 い も あ る。 7

(8)

これ が(28a)第 一 の 勝 処 で あ る。 (2)内 に色 の想 い を有 す る者 が 、 外 に多 量 の 、 美 ・醜 な る色 を見 る。 そ れ ら の 色 に打 ち 克 って 知 り、 そ れ らの 色 に打 ち克 って 見 、 そ の よ うな 想 い もあ る。 これ が 第 二 の勝 処 で あ る。 (3)内 に無 色 の 想 い を有 す る者 が 、 外 に少 量 の 、 美 ・醜 な る色 を見 る。 そ れ らの色 に打 ち 克 っ て知 り、 〔それ らの 色 に〕 打 ち克 っ て 見 、 そ の よ う な想 い も あ る。 これ が 第 三 の勝 処 で あ る。 (4)内 に無 色 の想 い を有 す る者 が 、外 に多 量 の 、 美 ・醜 な る色 を見 る。 それ らの色 に打 ち 克 っ て 知 り、 〔それ らの 色 に 〕 打 ち克 っ て見 、 そ の よ う な想 い も あ る。 これ が 第 四 の勝 処 で あ る。 (5)内 に無 色 の想 い を有 す る者 が 、外 に、 青 く、 青 い 色 を有 し、 青 く見 え、 青 く輝 く色 を見 る。 た とえ ば ウ マ カ ー の 花 、 あ る い は、 ベ ナ レス産 の 染 め抜 か れ た衣 が 、 青 く、 青 い 色 を有 し、 青 く見 え、 青 く輝 くの を 〔見 る〕 よ う に、 内 に無 色 の 想 い を有 す る者 が 、 外 に、 青 く、 青 い色 を 有 し、 青 く見 え、 青 く輝 く 色 を見 る。 これ が第 五 の 勝 処 で あ る。 (6)内 に無 色 の想 い を有 す る者 が 、 外 に、 黄 色 く、 黄 の色 を有 し、 黄 色 く見 え 、 黄 色 く輝 く色 を見 る。 た と え ば カル ニ カ ー ラ の 花 、 あ るい は、 ベ ナ レ ス産 の 染 め 抜 か れ た 衣 が 、 黄 色 く、 黄 の 色 を有 し、 黄 色 く見 え、 黄 色 く輝 くの を 〔見 る〕 よ うに 、 内 に無 色 の想 い を有 す る者 が 、 外 に、 黄 色 く、 黄 の色 を有 し、 黄 色 く見 え 、黄 色 く輝 く色 を見 る。 。 これ が第 六 の 勝 処 で あ る。 (7)内 に無 色 の 想 い を有 す る者 が 、 外 に、 赤 く、 赤 い色 を有 し、 赤 く見 え、 赤 く輝 く色 を見 る。 た とえ ば バ ン ド ゥジ ー ヴ ァカ の 花 、 あ る い は、 ベ ナ レス 産 の 染 め抜 か れ た衣 が 、 赤 く、 赤 い色 を有 し、 赤 く見 え、 赤 く輝 くの を 〔見 る〕 よ う に、 内 に無 色 の 想 い を有 す る者 が 、外 に、 赤 く、 赤 い色 を有 し、 赤 く見 え、 赤 く輝 く色 を見 る。 これ が第 七 の勝 処 で あ る。 (8)内 に 無色 の 想 い を有 す る者 が 、外 に 、 白 く、 白 い色 を有 し、 白 く見 え、 白 く輝 く色 を見 る。 た と え ば明 け の 明星 、 あ る い は、 ベ ナ レ ス産 の染 め 抜 か れ た 衣 が 、 白 く、 白 い色 を有 し、 白 く見 え、 白 く輝 くの を 〔見 る〕 よ う に、 内 に 無 色 の想 い を有 す る者 が 、 外 に、 白 く、 白い 色 を有 し、 白 く見 え、 白 く輝 く色 一g一

(9)

シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 伝 え る 阿 含 資 料 補 遺 を 見 る 。 こ れ が 第 八 の 勝 処 で あ る 。 【訳 註 】(1)定 品 第35頌;櫻 部 建 『倶 舎 論 』 大 蔵 出 版p.369以 下 参 照 。 【対 応 資 料 】ANviii,65(vol.iv,pp.305-306);ValentinaStache-Rosen ed.Sangitis皦ra,viii,10,pp.197-198;『 阿 毘 達 磨 集 異 門 足 論 』19(大26,4 45bc);YaSomitra,p.690,1.22-p.691,1.11;Mah穽yutpatti,1520-1527. [1029]AKBh18,4/Tu28b6/Ju26a2/櫻 部p.188.   ユ 【和 訳 】 「空 無 辺 処 等 の 他 の 四 〔無 色 処 〕 は 」 と は 。 舍 衛 國 に ゆ か り が あ る 。 比 丘 た ち よ 、 処 に は 四 つ が あ る 。 〔四 つ と は 何 何 か 。〕(1)空 無 辺 処 、(2)識 無 辺 処 、(3)無 所 有 処 、(4)非 想 非 非 想 処 で あ る 。 こ れ ら の 処 〔に つ い て 〕 は 、 す ぐ あ と 、 二 番 目 の 経 の 一 部 分 の 解 説 に お い て 見 る べ き で あ る 。 【訳 註 】(1)「 他 の 」 は 本 文 に な い 。 【対 応 資 料 】 未 比 定 。 [1030]AKBh18,5/Tu28b8/Ju26a4/櫻 部p.188. 【和 訳 】 「五 解 脱 処 」 と は。 舍 衛 國 に ゆ か り が あ る 。  エ 比 丘 よ 、 解 脱 処 に は 五 つ が あ る 。 い か な る 五 つ か 。(29a)   エ (1)比 丘 よ、 この世 で 師 、 あ る い は 、 い ず れ か の 智 者 で 、 師 に相 応 し い、 梵 行 〔を 同 じ くす る〕 者 が 法 を説 く 〔とせ よ〕。 そ 〔の行 者 〕 に、 師 、 あ る い は 、 い ず れ か の 智 者 で 、 師 に相応 し い、 梵 行 〔を 同 じ くす る〕 者 が 法 を説 くに従 っ て 、 〔そ の行 者 は〕 そ の も ろ も ろ の 法 に対 して 、 意 味 を知 り、 法 を知 る者 とな       ヨ る 。 そ の 、 意 味 を 知 り、 法 を 知 る 者 に は 喜 悦(pr穃odya)が 生 ず る 。 喜 悦 し た か れ に は 喜(prlti)が 生 ず る 。 意 に 喜 が 生 じ た 〔そ の 行 者 〕 に と っ て は 、 身 体 が 軽 快 と な る 。 身 体 が 軽 快 とな っ た 者 は 楽(sukha)を 感 受 す る 。 楽 を 感 受 す る 者 に と っ て は 、 〔心 が 〕 統 一 す る。 〔心 が 〕 統 一 し た 者 は 、 あ る が ま ま(如 実)に 知 り、1あ る が ま ま に 見 る 。 あ る が ま ま に 知 り、 あ る が ま ま に 見 る者 は 、 厭 離 す る 。 -9一

(10)

厭 離 した 者 は離 貪 す る。 離 貪 した 者 は解 脱 す る。 これ が 第 一 の解 脱 処 で あ る 。 そ こ に 〔立 つ〕 比 丘 、 あ る い は比 丘 尼 に とっ て 、 不 安 定 だ った 注 意 力(念)は 安 定 し、 統 一 して い な か っ た 心 は 統 一 し、尽 き て い な か っ た漏 は尽 き る。 〔そ し て か れ は 、 それ まで に〕 到 達 した こ との な か っ た 、 無 上 の安 楽(yoga-k§ema) た る、 涅 槃 に 到達 す る。 (2)さ らに また比 丘 よ、 師 、 あ る い は、 い ず れ か の智 者 で 、 師 に相 応 しい 、 梵 行 〔を 同 じ くす る〕 者 が 法 を 説 か な く と も、 〔行 者 が 〕 聞 い た 通 り、 示 され     た 通 り、 得 た 〔通 り の 〕 も ろ も ろ の 法 を 、 大 音 声 を も っ て 唱 え る 〔と せ よ 〕。     〔そ の 行 者 が 〕 そ の 、 聞 い た 通 り、 示 さ れ た 通 り、得 た 通 り 〔の も ろ も ろ の 法 〕 を、 大 音 声 を以 て唱 え る に従 っ て 、 〔そ の行 者 は、〕 そ の 、 もろ も ろの 法 に     対 し て 、意 味 を知 り、 そ して 法 を知 る もの とな る。 そ の 、 意 味 を知 り、 そ し て 法 を知 る者 に とって は、 喜 悦 が 生 ず る。 喜 悦 した か れ に は喜 び が 生 ず る。 乃 至 、 離 貪 し、解 脱 す る。 これ が 第 二 の解 脱 処 で あ る。 そ こ に 〔立 つ 〕 そ の 比 丘 、 あ る い は比 丘 尼 に とっ て、 不 安 定 だ っ た 念 は安 定 し、 統 一 して い な か った 心 は統 一 し 、 尽 きて い なか っ た 漏 は尽 き る。 〔そ して か れ は、〕 そ れ まで に到 達 した こ との な か っ た 、 無 上 の安 楽 た る、 涅 槃 に到 達 す る。 (3)さ ら に ま た比 丘 よ、 師 あ るい は、 い ず れ か の 智者 で 、 師 に相 応 し い、 梵 行 〔を 同 じ くす る〕 者 が 、 法 を説 か ず 、 また 〔当 の 行 者 が、〕 聞 い た 通 り、 示 され た 通 り、 得 た通 りの もろ も ろの 法 を、 大 音 声 を以 て 唱 え も しな い が 、 聞 い た 通 り、 示 され た通 り、 得 た通 りの もろ もろ の法 を、 他 の ひ とび とのた め に詳 し く説 き明 す 〔とせ よ〕。 〔か れ が 、〕 聞 い た 通 り、 示 さ れ た 通 り、 得 た 通 りの もろ も ろの 法 を 、他 の ひ とび との た め に詳 し く説 き明 す に 従 って 、 か れ は そ の もろ も ろの 法 に対 して 、 意 味 を知 り、 法 を知 る者 とな る。 そ の 、 意 味 を知 り、 法 を知 る者 に は 、喜 悦 が 生 じ、 乃 至 、 離 貪 し、 解 脱 す る。 これ が 第 三 の解 脱 処 で あ る。 そ こ に立 つ比 丘 、 あ るい は比 丘 尼 に と って 、 不 安 定 だ った 念 は安 定 し、 統 一 して い な か っ た 心 は 統 一 し、 尽 き て い な か った 漏 は尽 き る。 〔そ し て か れ は、 そ れ まで に 〕 到 達 し た こ との なか っ た 、 無 上 の安 楽 た る、 涅 槃 に到 達 す る。 (4)さ らに また比 丘 よ 、 師 あ る い は、 い ず れ か の 智 者 で 、 師 に相 応 しい 、 梵 行 〔を同 じ くす る〕 者 が 、 法 を説 か ず 、 また 〔当 の行 者 が 、〕 聞 い た 通 り、 示 一10一

(11)

シャマタデーヴァの伝 える阿含資料補遺 され た 通 り、 得 た 通 りの も ろ も ろの 法 を 、 大 音 声 を以 て 唱 えず 、 聞 い た通 り、 示 され た 通 り、 得 た 通 りの も ろ も ろ の法 を 、 他 の ひ とび との た め に詳 し く説 き 明 す こ と もな い が 、 聞 い た 通 り、 示 さ れ た 通 り、 得 た通 りの も ろ もろ の 法 を、     独 り遠 離 して考 察 し、 吟 味 し、 精 察 す る 〔とせ よ〕。 〔か れ が 、〕 聞 い た 通 り、 示 され た 通 り、 得 た 通 りの も ろ も ろ の法 を、 独 り遠 離 して 考 察 し、 吟 味 し、 精     察 す る に 従 っ て 、 か れ は そ の も ろ もろ の法 に対 し て、 意 味 を知 り、 法 を知 る者 とな る。 そ の 、 意 味 を知 り、 法 を知 る者 に は喜 悦 が 生 じ、 乃 至 、 離 貪 し、 解 脱 す る。 これ が 第 四 の解 脱 処 で あ る。 そ こに 立 つ 比 丘 、 あ るい は比 丘 尼 に とっ て、 不 安 定 だ っ た 念 は安 定 し、 乃 至 、 〔そ れ まで に〕 到 達 し た こ との な か っ た 、 無 上 の安 楽 た る、 涅 槃 に 到 達 す る。 (5)さ ら に また 比 丘 よ、 師 あ る い は、 い ず れ か の智 者 で 、 師 に相 応 し い、 梵 行 〔を同 じ くす る〕 者 が 、 法 を説 か ず 、 また 〔当 の 行 者 が 、〕 聞 い た 通 り、 示 され た通 り、 得 た 通 りの も ろ も ろ の法 を、 大 音 声 を以 て 唱 えず 、 聞 い た 通 り、 示 さ れ た 通 り、 得 た 通 りの も ろ も ろ の法 を、 〔他 の ひ とび との た め に詳 し く説 き明 す こ と も な く、 聞 い た 通 り、 示 さ れ た 通 り、 得 た 通 りの も ろ も ろ の 法 を、〕 独 り遠 離 して 考 察 し、 吟 味 し、 精 察 す る こ と も な い が 、 〔そ の行 者 が 、〕 い ず れ か の 、 三 昧 の善 因 を、 充 分 に、 〔正 し く、〕 よ く把 握 し、 よ く心 を 向 け、   ユむ よ く修 し、 よ く分 別 す る 〔とせ よ〕。 か れ が 、 い ず れ か の、 三 昧 の 善 因 を、 充 分 に、 〔正 し く、〕 よ く把 握 し、 よ く心 を 向 け、 よ く修 し、 よ く分 別 す る に従 っ て 、 か れ は その も ろ も ろの 法 に対 して 、 意 味 を知 り、 法 を知 る者 とな る。 そ の、 意 味 を知 り、 法 を知 る者 に は喜 悦 が 生 じ、 乃 至 、 離 貪 し、 解 脱 す る。 これ が 第 五 の 解 脱 処 で あ る。 そ こ に立 つ 比 丘 、 あ るい は比 丘 尼 に とって 、 不 安 定 だ っ た   ユユ 念 は 安 定 し 、 乃 至 、 無 上 の 安 楽 た る 涅 槃 に 到 達 す る 。 【訳 註 】(1)対 応 資 料 に よ り原 文 厂比 丘 た ち よ 」 を 改 め る 。(2)直 訳 「意 味 を 知 る か れ に は 法 を 知 る 喜 び が 生 ず る(!)」 。 対 応 資 料 に よ っ て 改 め る 。(3) 原 文 で は 初 め にpriti(喜)、 次 にpr穃odya(玄 奘 訳 「欣 」)と な っ て い る が 、 諸 資 料 で は 順 序 が 逆 な の で 改 め る 。(4)原 文:ji-1tar-mthong-ba=*yath 一 padrsta?本 来(称 友 疏 に あ る よ う に)yath padistaと 「訳 」 す べ きyath paditt-haを サ ン ス ク リ ッ ト化 し た 人 が 誤 っ て 一padrstaと し た も の か 。(5)rtogs-pa

(12)

(理 解 さ れ た).こ れ を 含 む 三 語 は ひ と ま ず 称 友 梵 文yatha-6ruta,yath padist-a,yath竏麪aryav穡taに 合 致 し た 訳 語 を も っ て 和 訳 す る こ と とす る 。(6)yang- dag-par-rig-pa-dang!(7)ji-ltar-thos-pa-dang-ji-ltar-rtogs-pa-dang-khon-du-chud-pa'i!註(5)参 照 。(8)「 独 り遠 離 し て 」 は 称 友 疏 に 欠 く。(9) 原 文 で は 「法 を知 り、 意 味 を 知 る 」 と逆 転 し て い る 。(10)称 友 疏 で はsujustam が 付 加 さ れ る 。(11)原 文 で は 「無 上 の 安 楽 」 「涅 槃 」 の 位 置 が 逆 転 し て い る 。 【対 応 資 料 】ValentinaStache-Rosened.Sangitis ra,v,19,pp.149-15 1;『 阿 毘 達 磨 集 異 門 足 論 』14(大26,424c);安 慧 倶 舍 論 実 義 疏To99a2-101al. 本 庄 「シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 伝 え る 阿 含 資 料 補 遺 一 根 品(1)[2001]一[2048] 一 」 『神 戸 女 子 大 学 文 学 部 紀 要 』 第32卷 ,1998,[2004]註(1)参 照 。 [1032]AKBhl8,7/Tu31bl/Ju28b2/櫻 部p.188 【和 訳 】 「同 様 に 、 『多 界 経 』 に お い て 〔も 〕」 と は 。 舍 衛 國 に ゆ か りが あ る 。 さ て 、 同 志 ア ー ナ ン ダ が 、 ひ と り密 か に 禅 思(pratisamlayana)し て い る と、 〔そ の 〕 心 中 に 次 の よ う な 疑 念(cetah-parivitarka)が 生 じ た 。 「凡 そ 、 生 じ よ う と す る 恐 れ とい う も の は 、 す べ て 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず る の で あ っ て 、 賢 者 に で は な い 〔の で は な い か 〕。 凡 そ 、 生 ず る 害 、 損 害 、 被 害 と い う も の は 、 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず る の で あ っ て 、 賢 者 に で は な い 〔の で は な い か 〕」 と。 そ こ で 同 志 ア ー ナ ン ダ は 密 か な る禅 思 か ら覚 め て 、 世 尊 の も と に 近 づ い た 。 近 づ い て 、 世 尊 の 両 足 に 頂 礼 し 、 一 隅 に 坐 し た 。 一 隅 に 坐 し て 、 同 志 ア ー ナ ン ダ は 世 尊 に 次 の よ う に 言 っ た 。 一 大 徳 よ、 こ の あ た り で 私 が ひ と り 密 か に 禅 思 し て お り ま す と 、 心 中 に こ の よ う な 疑 念 が 生 じ て ま い り ま し た 。 「凡 そ 、 生 じ よ う と す る 恐 れ と い う も の は 、 す べ て 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず る の で あ っ て 、 賢 者 に で は な い 〔の で は な い か 〕。 凡 そ 、 生 ず る 害 、 損 害 、 被 害 と い う も の は 、 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず る の で あ っ て 、 賢 者 に で は な い 〔の で は な い か 〕」 と 。 一 ア ー ナ ン ダ よ、 そ れ は そ の 通 り。 そ れ は そ の 通 り で あ る 。 凡 そ 、 生 じ よ う と す る 恐 れ とい う も の は 、 す べ て 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず る の で あ っ て 、 賢 者 一12一

(13)

シ ャマ タ デ ー ヴ ァの伝 え る阿含 資 料 補遺 に で は な い 。 凡 そ 、 生 ず る 害 、 損 害 、 被 害 と い う も の は 、 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず る の で あ っ て 、 賢 者 に で は な い 。(32a)ア ー ナ ン ダ よ 、 た と え ば 乾 い た 葦 、 あ   ユ る い は草 で で きた 多 くの 家 屋 を火 で焼 け ば、 見 る間 に火 に焼 け て し ま うが 、 そ れ ほ ど 〔当 然 に も〕、 凡 そ 、生 じ よ う とす る恐 れ とい う もの は、 す べ て 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず る の で あ って 、 賢 者 に で はな い。 凡 そ 、 生 ず る害 、 損 害 、 被 害 と い う もの は 、 愚 者 に 〔の み〕 生 ず る の で あ っ て 、 賢 者 にで は な い 。 過 去 時 に お い て 〔も〕、 凡 そ 、 生 じ よ う とす る恐 れ とい う もの は、 す べ て 愚 者 に 〔の み 〕 生 じた の で あ っ て、 賢者 にで は な い 。 凡 そ、 生 じ よ う とす る害 、 損 害 、 被 害 とい う も の は、 愚者 に 〔の み 〕 生 じた の で あ っ て 、 賢 者 に で は な い 。 未 来 時 に お い て も、 凡 そ 、生 じ よ う とす る恐 れ とい う もの は、 す べ て 愚者 に 〔の み〕 生 ず るの で あ っ て 、 賢者 にで は な い 。 凡 そ、 生 じ よ う とす る害 、 損 害 、 被 害 とい う もの は、 愚 者 に 〔の み 〕 生 ず るの で あ っ て 、 賢者 にで は な い 。 ア ー ナ ン ダ よ、 過 去 、 未 来 、現 在 時 に お い て愚 者 は恐 れ を抱 き、 賢 者 は そ うで は な い 。 愚 者 は害 され 、 賢者 は そ うで は な い。 愚 者 は損 害 を受 け、 賢 者 は そ うで は な い。 愚 者 は被 害 を被 り、 賢 者 は そ うで は な い。 ア ー ナ ンダ よ、 愚 者 は この よ う な害 、 損 害 、 被 害 を被 る もの で あ る と認 め られ 、 賢 者 は そ うで は な い 。 ア ー ナ ンダ よ、 だ か ら愚 者 の 特 質(法)と 賢 者 の 特 質 とを知 るが よい 。 愚 者 と賢 者 と の特 質 を知 り、 愚 者 の 特 質 を捨 て よ。(32b)賢 者 の特 質 に入 り、 学 習 せ よ。 一 大 徳 よ、 〔ひ と は〕 どの よ う に し て 「愚 者 」 「愚 者 」 と呼 ば れ る こ と と な る(samkhy穃gacchati)の で す か 。 一 ア ー ナ ン ダ よ、 蘊 に通 じ て お ら ず 、 界 、処 、 縁 起 、 処(sth穗a,可 性)・ 非 処(asth穗a)に 通 じて い な い と い う これ だ け の こ と に よ っ て 〔ひ と は〕 「愚 者 」 「愚 者 」 と呼 ば れ る こ と とな る。 一 大 徳 よ、 そ れ だ けの こ とで 「愚 者 」 「愚 者 」 と呼 ばれ る こ と と な る 、 と し ます と、大 徳 よ、 どれ だ けの こ と に よ っ て 「賢 者 」 「賢 者 」 と呼 ば れ る こ と とな るの で す か 。 一 ア ー ナ ン ダ よ、 〔愚者 とは逆 に、〕蘊 に通 じ、界、処 、縁起 、処 ・非 処 に通 じた そ の ひ とが 「賢 者 」 とい う名 を得 るの で あ る。 一 大 徳 よ、 どれだ けの こ とに よって、界 に通 じたひ ととな るのです か。 -13一

(14)

一 ア ー ナ ン ダ よ、(1)十 八 界 に 通 じ 、 〔そ れ を 〕 知 り 、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 あ る が ま ま の 眼 界 、 色 界 、 眼 識 界 、 耳 界 、 声 界 、 耳 識 界 、 鼻 界 、 香 界 、 鼻 識 界 、 舌 界 、 味 界 、 舌 識 界 、 身 界 、 所 触 界 、 身 識 界 、 意 界 、 法 界 、 意 識 界 で あ る 。 こ れ ら 十 八 界 を 、 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (2)さ ら に 、 六 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 地 界 、 水 界 、 火 界 、 風 界 、 空 界 、 識 界 〔と い う 〕 こ れ ら の 界 を 、 正 し く、(33a)如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (3)さ ら に 、 六 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る。 〔す な わ ち 〕 欲 界 、   ヨ 害(vihims 界 、 瞋 恚(vy穡稘a)界 、 離 脱 界 、 害 界(!)、 無 害 界 を 知 り、 見 る の で あ る 。 こ れ ら の 六 を 〔正 し く、〕 如 実 に知 り、 見 る の で あ る 。 (4)さ ら に 、 六 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る。 〔す な わ ち 〕 楽 界 、 苦 界 、 喜 界 、 憂 界 、 捨 界 、 無 明 界 で あ る 。 こ れ ら 六 を 、 正 し く、 如 実 に 知 り 、 見 る の で あ る 。 (5)さ ら に 、 四 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 受 界 、 想 界 、 行 界 、 識 界 で あ る 。 こ れ ら 四 を 〔正 し く 、〕 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (6)さ ら に 、 三 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る。 〔す な わ ち 〕 欲 界 、 色 界 、 無 色 界 で あ る 。 こ れ ら三 を 、 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (7)さ ら に 、 三 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 色 界 、 無 色 界 、 滅 界 で あ る 。 こ れ ら三 を正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (8)さ ら に 、 三 界 を 正 し く 、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 過 去 界 、 未 来 界 、 現 在 界 で あ る 。 こ れ ら三 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (9)さ ら に 、 三 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 劣 界 、 中 界 、 妙 界 で あ る 。 こ れ ら三 を(33b)、 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (10)さ ら に 、 三 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り 、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 善 界 、 不 善 界 、 無 記 界 で あ る 。 こ れ ら三 を正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (11)さ ら に 、 三 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り 、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 学 界 、 無 学 界 、 非 学 非 無 学 界 で あ る 。 こ れ ら三 を正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る 。 (12)さ ら に 、 二 界 を 正 し く、 如 実 に 知 り 、 見 る の で あ る 。 〔す な わ ち 〕 有 漏 界 、 無 漏 界 で あ る 。 こ れ ら 二 を 正 し く、 如 実 に 知 り、 見 る の で あ る。 -14一

(15)

シャマタデーヴ ァの伝 える阿含資料補遺 (13)さ らに 、 二 界 を正 し く、如 実 に知 り、 見 るの で あ る。 〔す な わ ち〕 有 為 界 、 無 為 界 を知 り、 見 る の で あ る。 以 上 に よ っ て界 に通 じ た ひ と とな るの で あ る。 一 大 徳 よ 、 そ れ だ けの こ と に よ っ て 界 に 通 じた ひ と とな る 、 と し ま す と、 大 徳 よ、 どれ だ けの こ とに よっ て 処 に通 じた もの とな る の で す か 。 一 ア ー ナ ン ダ よ、十 二 処 を正 し く、 如 実 に 知 見 す る こ と 〔に よ っ て 〕 で   べ あ る。 眼 処 、 色 処 、 耳 処 、 声処 、 鼻 処 、 香 処 、 舌 処 、 味 処 、 身 処 、 所 触 処 、 意 処 、 法 処 〔を〕 で あ る。 これ ら十 二 処 を正 し く、 如 実 に 知 見 す る、 これ だ けの こ と に よ っ て処 に通 じ た もの とな るの で あ る。 一 大 徳 よ、 そ れ だ け の こ と に よ っ て 処 に通 じた も の と な る、 と し ま す と、 大 徳 よ、 どれ だ けの こ とに よっ て 縁(34a)起 に通 じ た もの とな るの で す か 。 一 ア ー ナ ン ダ よ、 十 二 支 縁 起 を、 順 ・逆 に 、 如 実 に知 り、 見 る 〔場 合 〕 で あ る 。 〔順 に 、 とは 〕 い わ く、 これ が あ れ ば か れ が 生 じ る、 これ が 生 ず る こ と に よ っ て か れ が 生 ず る、 す な わ ち、 無 明 の 縁 に よっ て 行 が 、 行 の縁 に よ っ て 識 が 、 識 の 縁 に よ っ て名 色 が 、 名 色 の縁 に よ っ て六 処 が 、 六 処 の 縁 に よ って 触 が 、 触 の 縁 に よ っ て受 が 、 受 の 縁 に よ っ て 愛 が 、 愛 の縁 に よ って 取 が 、 取 の縁 に よ っ て 有 が 、 有 の縁 に よっ て 生 が 、 生 の 縁 に よ っ て 老 、 病 、 死 、 悲 し み、 悲 嘆 、 苦 、 憂 、 絶 望 が 生 ず る。 〔こ う し て〕 この 大 い な る 苦 の 集 ま りの み が 生 ず る 〔、 とで あ る〕。 〔逆 に 、 と は〕 いわ く、 これ が な け れ ばか れ は生 じな い 、 こ れ が滅 す る こ と に よ っ て か れ が 滅 す る。 〔す な わ ち 、〕無 明 の 滅 に よっ て 行 が 滅 す る 。 行 の滅 に よ っ て識 が 、 識 の 滅 に よ って 名 色 が 、 名 色 の滅 に よっ て 六 処 が 、 六 処 の 滅 に よ っ て触 が 、触 の 滅 に よ っ て 受 が 、 受 の滅 に よ っ て愛 が 、 愛 の滅 に よ っ て 取 が 、 取 の滅 に よ って 有 が 、 有 の滅 に よ っ て 生 が 、 生 の滅 に よ っ て老 、 病 、死 、 悲 しみ 、 悲 嘆 、 苦 、 憂 、 絶 望 が滅 す る。 こ う し て、 この大 い な る苦 の 集 ま りの み が 滅 す る 〔、 とで あ る〕。 ア ー ナ ン ダ よ、 こ れ だ け の こ とに よ っ て 縁 起 に通 じた も の とな る。 一 大 徳 よ、 そ の こ とで 縁 起 に通 じた もの とな る、 と し ます と、 大 徳 よ、(3 4b)ど れ だ けの こ とに よ って 処 ・非 処 に通 じた もの とな る の で す か 。 一 ア ー ナ ンダ よ 、 非 処 を 非 処 と、 処 を処 と如 実 に知 る 〔場 合 〕 で あ る。 -15一

(16)

 ら (1)ア ー ナ ンダ よ、 あ り得 ず 、起 り得 な い 。 身 悪 行 、 意 、 語 悪 行 の異 熟 が 、 好 ま し く、 望 ま し く、 愛 す べ く、 心 に叶 う もの と して 成 就 す る こ とは、 これ は あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 〔そ の 逆 は 当然 で あ り、 道 理 で あ る。〕 (2)身 善 行 、 意 、 語 善 行 の異 熟 が 、好 ま し くな く、 望 ま し くな く、 愛 す べ き で な く、 心 に叶 わ ぬ もの と して成 就 す る こ と、 これ は あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 身 善 行 、 語 、 意 善 行 の 異 熟 が 、好 ま し く、 望 ま し く、 愛 す べ く、 心 に叶 う もの と して 成 就 す る こ と、 これ は 当 然 で あ り、 道 理 で あ る。 (3)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 身 悪 行 、 語 、 意 悪 行 を行 ず る もの が 、 そ の 因 、 そ の 縁 に よ っ て 、 身体 が 滅 び 、 死 した 後 、 天 界 や 人 間 界 に 生 れ る こ と、 これ は あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 当然 で あ り、 道 理 で あ る。 身 悪 行 を行 じ、 語 、 意 悪 行 を行 ず る もの が、 そ の 因 、 そ の 縁 に よ っ て、 身 体 が 滅 び 、死 した 後 、 〔悪 所 、〕 悪 趣 、 悪 処 、 地 獄 に生 れ る こ と、 これ は 当然 で あ り、 道 理 で あ る。 (4)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 身 悪 行 を行 じ、 語 、 意 悪 行 を行 ず る もの が 、 そ の 因 、 そ の 縁 に よっ て 、 身 体 が 滅 び、 死 した後 、 〔悪 所 、〕 悪趣 、 悪 処 、 地 獄 に 生 れ る こ と、 これ はあ り得 ず 、 起 り得 な い。 当然 で あ り、 道 理 で あ る。 身善 行 を行 じ、 語 、 意 悪 行 を行 ず る もの が 、 そ の 因 、 そ の縁 に よ って 、 身 体 が滅 び 、 死 した 後 、 天 界 や人 間 界 に生 れ る こ と。 これ は当 然 で あ り、 道 理 で あ る。 (5)あ り得 ず 、起 り得 な い 。 前 後 にず れ る こ と な く、 同 一 の 世 界 に二 人 の 転 輪 聖 王 が 出 現 す る こ と、 これ はあ り得 な い。 一 人 〔の転 輪 聖 王 〕 が 出現 す る こ と、 これ は あ り得 る。 (6)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 前 後 にず れ る こ と な く、 同 一 の 世 界 に、 二 人 の 如 来 、 阿 羅 漢 、 正 等 覚 者 が 出 現 す る こ と、 これ は あ り得 な い 。 一 人 が 出現 す る こ とは あ り得 る。 (7)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 女 が 転 輪 聖 王 とな る こ と、 これ は あ り得 な い 。 男 が な る こ と、 これ は あ り得 る。         (8)あ り得 ず 、 起 り得 な い。 女 が 四 天 王 、(9)帝 釈 天 、(10)梵 天 と な り、 (11)独 覚 の 覚 りを な し、(12)無 上 正 等 覚 者 を な す こ と、 これ は あ り得 な い 。 男 が な す こ と、 これ は あ り得 る。 (13)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 〔聖 〕 見 を具 えた 〔聖 者 〕 が 故 意 に 母 を殺 す ご 一16一

(17)

シャマタデーヴァの伝 える阿含資料補遺 と、 これ は あ り得 な い。 凡 夫 な ら あ り得 る。 (14)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 〔聖 〕 見 を具 えた 〔聖 者 〕 が 故 意 に父 を殺 す こ と、 これ は あ り得 な い。 凡 夫 な ら あ り得 る。 (15)阿 羅 漢 を殺 す こ と、(16)教 団(僧 伽)を 分 裂 させ る こ と、(17)如 来 の 御 身 よ り悪 心 を もっ て 出 血 させ る こ と、 これ は あ り得 な い。 凡 夫 な らあ り得 る。 (18)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 〔聖 〕 見 を具 えた 〔聖 者 〕 が 、 故 意 に 畜 生 の 衆     生 を殺 し、(19)故 意 に学 処 を犯 し、(20)学 処 か ら退 失 し、(21)こ 〔の教 え〕 よ り外 道 の 福 田 に追 随 し、(22)こ 〔の教 え〕 よ り外 道 の 福 田 を信 じ、(23)「 これ ら沙 門 、 婆 羅 門 は知 る べ き を知 り、 見 る べ き を 見 た」 と、 〔外 道 の 〕 沙 門 、 婆     羅 門 に対 面 して これ を 〔仰 ぎ〕見 、 対 面 し て省 察 し、(24)吉 祥 、 吉 兆 に た い し て信 を抱 き、(25)第 八 の 生 存 を成 就 す る こ と、 これ は あ り得 な い 。 凡 夫 な ら ば あ り得 る 。 (26)あ り得 ず 、起 り得 な い。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 浬 槃 獲 得 の 障 害 とな ぬ   る五 蓋 を 捨 て る こ とな く四念 住 に心 を安 住 さ せ 、 行 ず る こ と、 これ は あ り得 な い 。 心 を 汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 涅 槃 獲 得 の 障害 と な る五 蓋 を 捨 て て 、 四 念 住 に 心 を安 住 させ つ つ 時 を過 ごす こ と、 これ は道 理 で あ る。 (27)あ り得 ず 、起 り得 な い。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 涅 槃獲 得 の 障 害 とな る五 蓋 を 捨 て る こ とな く四 念住 に心 を安 住 さ せ っ つ 時 を過 し、七 覚 支 を修 す る こ と、 これ は あ り得 な い。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 涅 槃 獲 得 の 障 害 とな る五 蓋(36a)を 捨 て 、 四 念 住 に 心 を安 住 させ つ つ 時 を 過 し、 七 覚 支 を 修 す る こ と、 これ は道 理 で あ る。 (28)あ り得 ず 、起 り得 な い。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 涅 槃 獲 得 の 障 害 とな る五 蓋 を 捨 て ず 、 四 念 住 に 心 を安 住 させ ず 、 行 ぜ ず 、 七 覚 支 を修 す る こ とな く 苦 を終 らせ る こ と、 これ は あ り得 な い 。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 涅 槃 獲 得 の 障 害 とな る五 蓋 を 捨 て 、 四念 住 に心 を安 住 さ せ 、 行 じ、 七 覚 支 を 修 し て苦 を終 らせ る こ と、 これ は道 理 で あ る。 (29)あ り得 ず 、 起 り得 な い。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 涅 槃 獲 得 の 障 害 とな る五 蓋 を捨 てず 、 四 念 住 に 心 を安 住 させ ず 、 行 ぜ ず 、 七 覚 支 を修 す る こ とな く 独 覚 の さ と りを直 証 す る こ と、 これ は あ り得 な い 。 当然 で あ 〔り、 道 理 で あ 〕 -17一

(18)

る。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 させ 、 涅 槃 獲 得 の 障 害 とな る五 蓋 を捨 て 、 四念 住 に心 を安 住 させ 、行 じ、七 覚 支 を修 し て独 覚 の さ と りを直 証 す る こ と、 これ は道 理 で あ る。 (30)あ り得 ず 、 起 り得 な い 。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 さ せ 、 涅 槃 獲 得 の 障 害 とな る五 蓋 を捨 て ず 、 四 念 住 に心 を安 住 させ ず 、 行 ぜ ず 、 七 覚 支 を修 す る こ とな く 無 上 正 等 菩 提 を覚 る こ と、 これ は あ り得 な い 。 これ は当 然 で あ り、 道 理 で あ る。 心 を汚 し、 慧 を衰 退 さ せ 、 涅 槃 獲 得 の 障 害 とな る五 蓋 を捨 て、 四念 住 に 心 を安 住 させ 、 行 じ、 七 覚 支 を修 し て無 上 正 等 菩 提 を覚 る こ と、 これ は道 理 で あ る。 〔この よ う に 如 実 に知 る場 合 で あ る。〕 ア ー ナ ンダ よ、 これ だ け の こ とに よ っ て 処 ・非 処 に通 じ た もの とな る。 一 大 徳 よ、 そ れ だ けの こ と に よ っ て 処 ・非 処 に 通 じた もの と な る 、 と し ま す と、 この 法 門 の名 は何 で す か 。 どの よ うに受 持 す べ き で す か 。 一 ア ー ナ ン ダ よ、 で は この 法 門 の名 は 「四転(*catuh-parivarta)と も受   ユユ 持 せ よ。 「法 の 鏡 」 と 〔も〕 受 持 せ よ 。 「甘 露 の 太 鼓 」 と 〔も〕 受 持 せ よ 。 「多 界 経 」 と 〔も〕 受 持 せ よ 。 ゆ え に 、 多 界 経 に こ の よ う に 説 か れ る の で あ る 。 中 間 の 摂 偈 に 〔い う〕。 界 は 十 八 、 四 、 地 、 欲 、 受 、 楽 、 欲 、 色 、 過 去 、 妙 、 善 界 、 学 、 無 学 、 有 漏 、 無 漏 、 なね 有 為 、 無 為 と な し て 、 纏 め て 示 さ れ る 。 【訳 注 】(1)?mthong-bar.(2)他 の 資 料 の 読 み はkiyat ど れ だ け 〔の 条 件 〕 に よ っ て)を 前 提 と し て い る 。(3)漢 訳 『法 蘊 論 』、 蔵 訳 別 行 本 、 称 友 所 引 梵 本 で は 「欲 界 、 瞋 恚(vy穡稘a)界 、 害(vihims 界 、 超 脱(nai§kramya)界 、 無 瞋 恚 界 の 順 で あ る 。 た だ し 『法 蘊 論 』 で は 厂超 脱 」 が 「無 欲 」 と な っ て い る 。 nekkhammaの よ う な 語 形 か ら はnai§kramyaと と も にnaisk穃ya(〈ni§ 十 k穃a)へ の 「還 梵 」 が 可 能 だ か ら で あ ろ う 。 ま た 『山 口 益 博 士 還 暦 記 念 印 度 学 佛 教 学 論 叢 』1956所 収,櫻 部 建 「シ ャ マ タ デ ー プ の 依 用 す る 中 阿 含 に つ い て 」 に 示 さ れ る 『多 界 経 』 類 の 表 参 照 。(4)直 訳:「 知 見 す る こ と に 通 じ る の で あ る 」。(5)順 序 が 異 例 で あ る。(6)蔵 訳 別 行 本 、 『法 蘊 論 』 に 「四 天 王 」 を

(19)

シャ マ タデ ー ヴ ァの伝 え る阿含 資 料 補遺 欠 く 。(7)蔵 訳 別 行 本 、 『法 蘊 論 』、 パ ー リ に は 「魔 」 を 加 え る 。(8)蔵 訳 別 行 本 、 『法 蘊 論 』 で は 「有 情 の 命 を 断 ず る 」。(9)?rtog-pa.(10)dpyod-pa!蔵 訳 別 行 本 で はgnas-pa(時 を 過 す)。(11)rtsi-lngaをrtsi-rngaと 訂 正 す る 。(12) 最 後 にbstan(Pek.brtan)-yod-'dir-ni-gzugs-gcig-puと あ る が 、 理 解 し に く い 。 【対 応 資 料 】 中 阿 含47,181「 多 界 經 」(大1,723a-724c);「 四 品 法 門 經 」 (大17,712b-714a);『 法 蘊 論 』10「 多 界 品 」(大26,501b-502c);khams-mang-po'i-mdoOtanino.963;Tohokuno.297;Yasomitra,55,17-56,1 1;MN115Bahudh穰ukasuttam(vol.iii,61-67). 付 記 平 成10年 度 、 佛 教 大 学 に お い て 研 修 員 と し て お 世 話 に な っ た 記 念 に 拙 稿 を 発 表 さ せ て 頂 く こ と が で き ま し た 。 関 係 各 位 に 厚 く お 礼 申 し上 げ ま す 。 一19一

(20)

参照

関連したドキュメント

会員 工博 金沢大学教授 工学部土木建 設工学科 会員Ph .D金 沢大学教授 工学部土木建 設工学科 会員 工修 三井造船株式会社 会員

2)医用画像診断及び臨床事例担当 松井 修 大学院医学系研究科教授 利波 紀久 大学院医学系研究科教授 分校 久志 医学部附属病院助教授 小島 一彦 医学部教授.

学校に行けない子どもたちの学習をどう保障す

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

 大正期の詩壇の一つの特色は,民衆詩派の活 躍にあった。福田正夫・白鳥省吾らの民衆詩派

[r]

会 員 工修 福井 高専助教授 環境都市工学 科 会員 工博 金沢大学教授 工学部土木建設工学科 会員Ph .D.金 沢大学教授 工学部土木建設 工学科 会員

鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学