日本経済はグローバル化で
成長する
戸堂康之
経済産業研究所
ファカルティフェロー
東京大学
新領域創成科学研究科
国際協力学専攻
教授
2013年3月8日
RIETIハイライトセミナー
企業の新たなグローバル展開と日本経済
ハイライトセミナーで配布・使用した
TPP推計の値に誤りが
ありました。訂正し、お詫びいたします。
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日本
1人当たり実質GDP(購買力調整済み,アメリカ=100)
日本経済は
20年間の長期にわたって停滞中
シンガポール
アメリカ
出所:
World Development Indicators, Penn World Tables
OECD34ヵ国中
17位(GDP/人)
19位(幸福度)
長期的な経済成長の源泉は?
3
設備投資?
公共投資?
短期的には効くが、
長期的には
収益率低下
「技術」進歩
=知恵の創造
「
3人寄れば
文殊の知恵」で
知恵を創造
グローバル化
海外との
つながり
産業集積
地域内の
つながり
4
「世界は狭い」的
ネットワーク
(友達の友達
…は米大統領)
新しい知識の伝播
(Watts & Strogatz, 1998)
密度の濃いネットワーク
(友達は皆友達同士)
ネットワーク内での
知識の共有
(Centola, 2010)
両方を持った研究者・
組織が最も生産的
(Rost 2011; Tiwana 2008)
2つのタイプのネットワークが
技術革新のために必要
5
被災地域外との
サプライチェーン・
ネットワーク
早期の操業再開
被災地域内の
サプライチェーン・
ネットワーク
震災後の売上の復旧
東日本大震災後の被災地企業の復旧にも
両方のタイプのつながりが役立った
RIETIが収集した
被災地企業データ
による分析
(戸堂他,
2013)
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震災後の操業停止日数
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被災地域外仕入先企業数(2005年)
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取引先が多いと、
操業再開が早い
輸出によって生産性は上昇する
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労働生産性(
百万円/人)
2000年に輸出を開始した企業の平均
1995年から2007年まで一切輸出していない企業の平均
グローバル化で本当に成長できるのか?
若杉他(
2008)
グローバル化
生産性上昇
8
日本
企業
外国
輸出:
2%上昇
(Kimura & Kiyota, 2006)
海外直接投資:
2%上昇
(Hijzen, Inui, & Todo, 2007)
海外生産委託:
0.6%上昇
(Hijzen, Inui, & Todo, 2010)
海外での研究開発:
3%上昇
(Todo & Shimizutani, 2008)
対日研究開発投資:
4%上昇
(Todo, 2006)
技術伝播を
越えた
「
3人寄れば
文殊の知恵」
規模の経済
知識集約的
工程への特化
日本の企業データを使った分析による平均的効果
海外進出で国内雇用は減らない
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2006
2009
平均従業員数
海外直接投資・海外生産委託を
行っている中小零細企業
行っていない中小零細企業
出典:中小企業庁・三菱
UFJリサーチ&コンサルティングによる
『国際化と企業活動に関するアンケート調査』を基にした
Todo (2012)
国内に技術があれば
グローバル化しても利益は国内に残る
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iPadの利益配分
Kraemer et al. (2011)
Appleの利益
30%
運送・小売
15%
Apple以外の
アメリカ
2%
台湾
2%
日本
1%
韓国
7%
不明
5%
中間財
31%
中国の労働者
2%
中国以外の
労働者
5%
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しかし、残念ながら
日本経済のグローバル化は遅れている
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出典:
World Development Indicators
輸出/
GDP(10%)
対内直接投資/
GDP(%)
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企業数
0 1000 2000 3000 4000 一人当たり付加価値(万円) 非グローバル企業 0 50 10 0 15 0 20 0 25 0企業数
0 1000 2000 3000 4000 一人当たり付加価値(万円) グローバル企業中小企業庁『国際化と企業活動に関するアンケート調査』
(
2009年12月実施,製造・非製造業中小企業3513社)による分析
12
非グローバル企業
グローバル企業
従業員一人当たり付加価値額(万円)
臥龍企業
しかし、日本では生産性が高いのに
グローバル化していない企業が多数ある
どうして臥龍企業は海外に出ないのか?
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海外になじみがない
規模が小さい
海外情報を入手
できない
海外進出にリスク
リスクをとらなくても
国内で存続できる
これからは違う!
人口減少
国内需要の縮小
東日本大震災・タイ洪水
部品の共通化
経営者に海外経験
国際化率は
12%上昇
(Todo and Sato, 2011)
情報・ネットワーク支援を
政策的に行うことが必要
ナノコーティング・
フィルム
(スマホ・
有機
EL用等)
1931年創業
カーテンの
染色加工等の
繊維企業
部品の共通化の進展
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技術力のある日本の中小企業にとって、
むしろ世界的サプライヤーとなるチャンス
鈴寅
(現積水ナノコートテクノロジー)
サムスングループ
フィルム事業買収
出所:中部産業連盟『プログレス』
2011年5・11月号
写真:積水ナノコートテクノロジー
http://sekisuinct.co.jp/
世界シェア
10%
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1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
下位
20%
下位
20-40% 上位40-60% 上位20-40%
上位
20%
1996年企業数
2006年
96年海外進出企業数
2
0
0
6
年
1996年の売上高による企業規模による分類
(平均売上は左から
12億円、23億、41億、84億、1534億)
生き残るために国際化・規模拡大
TPPを始めとするEPA(経済連携協定)の効果
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貿易・投資の増大
「
3人寄れば文殊の知恵」
国内にイノベーション
GDP成長率が上昇
輸出・投資の増大
GDPが増加
GDP
時間
Lee et al. (2004)
貿易額
/GDP1%上昇
1人当りGDP成長率
0.027%上昇
成長率の上昇
貿易拡大による:
6.8×0.027=0.18%
対日投資の拡大による:
3.1×1.03×0.78=2.5%
TPPの効果推計
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Petri et al. (2012)
貿易・投資の増加
GDP$955億(約9兆円)増
貿易額
/GDP6.8%pt増
対内投資
/GDP3.1%pt増
(
2020年)
対内直接投資
Alfaro et al. (2004)
1%上昇
民間融資
/GDP
×
0.78%上昇
過去
20年間0.8%で
あった成長率を
3%超
にまで引上る可能性
注意
このスライドはセミナーで使用・配布
したもので、数字に誤りがあります。
次ページのものが正しい推計です。
Lee et al. (2004)
貿易額
/GDP1%上昇
1人当りGDP成長率
0.027%上昇
成長率の上昇
貿易拡大による:
6.8×0.027=0.18%pt
対日投資の拡大による:
3.1×log1.72
×
0.78=1.3%pt
TPPの効果推計
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Petri et al. (2012)
貿易・投資の増加
GDP$955億(約9兆円)増
貿易額
/GDP6.8%pt増
対内投資
/GDP3.1%pt増
(
2020年)
対内直接投資
Alfaro et al. (2004)
1%上昇
log
(民間融資
/GDP)
×
0.78%上昇
過去
20年間0.8%で
あった成長率を
2
%超
にまで引上る可能性
赤字
は、発表の後に
修正した箇所です
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地域の
つながり
グローバル化
新しい
高度成長へ
参考文献
• Alfaro, Laura, Areendam Chanda, Sebnem Kalemli-Ozcan, and Selin Sayek (2004), "Fdi and Economic Growth: The Role of
Local Financial Markets." Journal of International Economics 64, no. 1, 89-112.
• Arita, S. and K. Tanaka (2012), “Heterogeneous Multinational Firms and Productivity Gains from Falling FDI Barriers,”
mimeo, Institute of Developing Economies.
• Centola , D., 2010. “The Spread of Behavior in an Online Social Network Experiment,” Science, 329, 1194-97.
• Hijzen, Alexander, Tomohiko Inui, and Yasuyuki Todo (2010), “Does Offshoring Pay? Firm-Level Evidence from Japan,”
Economic Inquiry, 48(4), 880-895.
• Kimura, Fukunari and Kozo Kiyota (2006), "Exports, FDI, and Productivity: Dynamic Evidence from Japanese Firms,"
Review of World Economics, 142(4).
• Kraemer, Linden, Dedrick (2011), “Capturing Value in Global Networks: Apple’s iPad and iPhone,”
http://pcic.merage.uci.edu/papers/2011/Value_iPad_Iphone.pdf.
• Lee, Y. L., L. A. Ricci, and R. Rigobon (2004), "Once Again, Is Openness Good for Growth?" Journal of Development
Economics, 75(2), 451-72.
• Petri, Peter and Michael G. Plummer (2012), “The Trans-Pacific Partnership and Asia-Pacific Integration: Policy
Implications,” Peterson Institute for International Economics Policy Brief. (結果の詳細はhttp://asiapacifictrade.org/)
• Rost, Jatja (2011), “The Strength of Strong Ties in the Creation of Innovation,” Research Policy, 40, 588-604.
• Tiwana, Amrit (2008), “Do Bridging Ties Complement Strong Ties? An Empirical Examination of Alliance Ambidexterity,”
Strategic Management Journal, 29, 251-272.
• Todo, Yasuyuki (2011), “Quantitative Evaluation of the Determinants of Export and FDI: Firm-level Evidence from Japan,”
The World Economy.
• Todo, Yasuyuki (2012), “Offshoring of Japanese Small and Medium Enterprises,” in Burdhan, Ashok, Dwight Jaffee, and
Cynthia Kroll eds., The Oxford Handbook of Offshoring and Global Employment, Oxford University Press, forthcoming.
• Todo, Yasuyuki and Hitoshi Sato (2011), "Effects of CEO's Characteristics on Internationalization of Small and Medium
Enterprises in Japan," RIETI Discussion Paper, No. 11-E-026.
• Todo, Yasuyuki and Satoshi Shimizutani (2008), “Overseas R&D Activities and Home Productivity Growth: Evidence from
Japanese Firm-Level Data,” Journal of Industrial Economics, 56(4), pp. 752-777.
• Watts D.J., Strogatz S.H., 1998. “Collective Dynamics of ‘Small-World' Networks,” Nature, 393, 440-42.
• 戸堂康之,中島賢太郎,Petr Matous(2013),「絆が災害に対して強靭な企業をつくる-東日本大震災からの教訓」,経
済産業研究所ディスカッションペーパーとして出版予定.
• 若杉隆平,戸堂康之,佐藤仁志,西岡修一郎,松浦寿幸,伊藤萬理,田中鮎夢(2008),「国際化する日本企業の実像