• 検索結果がありません。

薬局ヒヤリ ハット事例収集 分析事業平成 24 年年報 薬局ヒヤリ ハット事例の分析 重要である これに関連し 本事業に報告される事例には お薬手帳 の情報に基づいて薬剤師が疑義照会をして調剤の誤りに気付いた事例や 薬剤情報提供書の内容を見て調剤の誤りに気付いた事例 レセプトコンピューターへの入力を

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "薬局ヒヤリ ハット事例収集 分析事業平成 24 年年報 薬局ヒヤリ ハット事例の分析 重要である これに関連し 本事業に報告される事例には お薬手帳 の情報に基づいて薬剤師が疑義照会をして調剤の誤りに気付いた事例や 薬剤情報提供書の内容を見て調剤の誤りに気付いた事例 レセプトコンピューターへの入力を"

Copied!
48
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット

はじめに

誤った医薬品を投薬し、患者や家族もそのことに気付かないまま内服する事例が本事業や医療事故 情報収集等事業において報告されている。また、正しい医薬品を投薬し、患者が内服していても、異 なる医療機関を受診した際に同効薬の重複処方や併用禁忌薬の処方などがなされた事例も報告されて いる。このような事象が医療事故につながることを防止するために、医療機関が処方し、薬局で調剤 した薬を確認して正確に記録に残すことや、患者が在宅で療養する際や他の医療機関を受診する際に、 患者・家族や療養を支える周囲の人々が、医薬品の名称や外観、薬効などの情報を理解していること や、そのための環境を整備することが、医療安全を推進するために重要である。 平成8年4月の診療報酬改訂において、患者に対する薬剤に関する情報提供が薬剤情報提供加算と して評価されることとなった。さらに同年6月には、薬剤師法が改正され、第25条の2に「薬剤師は、 販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、調剤した薬 剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない。」と規定され、平成9年4月に施行 された。これを契機として「薬剤情報提供書」の提供が推進されることとなった。また、平成12年4 月の診療報酬改訂において、薬局にて薬剤の名称や副作用等の情報をいわゆる「お薬手帳」に記載す ることによる情報提供が「薬剤情報提供料」として調剤報酬において評価されることとなった。先述 した「薬剤情報提供書」の提供に続きこの評価を重要な契機として、情報の内容を「お薬手帳」に記 載して活用することが推進されており、それらは現在では、患者、薬局、医療機関の三者の間で情報 連携するための重要な役割を担っている。お薬手帳は「調剤指針(日本薬剤師会編)」1)においても、 調剤に必要な患者の情報や医薬品の情報を一元管理して、安全な投薬などの医薬品の適性使用を図る 手段として説明されている。そのひとつの例として、特に平成23年3月に発生した東日本大震災にお いて、津波により医療機関や薬局そのものや診療録や薬歴が喪失していたり、医薬品の支援がなされ たが種類や規格が頻繁に変わる状況があったり、避難所移動が頻繁に行われたりする状況の中で、お 薬手帳を保有していた患者については、記載内容を確認することや、名称の異なる同効薬の投薬情報 を追加して記載することにより、円滑な処方内容の確認や継続処方、適切な新規処方が可能であった ことが報告されている2)。なお、「薬剤情報提供料」は平成24年の調剤報酬改訂において廃止される とともに、「薬剤服用歴管理指導料」の中でお薬手帳を通じた情報提供などを算定要件として包括的 に評価されている。 「薬剤情報提供書」には、薬剤の名称、形状(色、剤形等)、用法、用量、効能、効果・ 副作用及 び相互作用・服用及び保管取扱い上の注意事項、薬局の名称、情報提供を行った薬剤師の氏名、薬局 又は薬剤師の連絡先などが記載されている。また、「お薬手帳」には、氏名、性別、生年月日、血液 型、住所、電話番号、緊急連絡先、アレルギーの有無、副作用歴の有無、過去の病歴、かかりつけ医・ 薬局などの基本情報のほか、調剤日、薬剤の名称、医薬品情報、処方量、服用回数・方法、服用にあ たっての注意事項などの薬剤情報などが印刷されたラベルを手帳に貼付することにより、経時的に情 報が記載されている。これらの情報を活用して、先述した安全な処方や調剤、服用を実現することが

【7】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット

(2)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 重要である。これに関連し、本事業に報告される事例には、「お薬手帳」の情報に基づいて薬剤師が 疑義照会をして調剤の誤りに気付いた事例や、薬剤情報提供書の内容を見て調剤の誤りに気付いた事 例、レセプトコンピューターへの入力を間違えたためにお薬手帳や薬剤情報提供書、薬袋の内容に誤 りが生じた事例、お薬手帳に記載されたアレルギー情報を見逃した事例などが報告されている。 そこで総合評価部会では、「お薬手帳」や「薬剤情報提供書」が正確に作成されることや、それら の情報が一層適切に活用されるための情報を提供するため、医療安全の確保の観点から「お薬手帳」 や「薬剤情報提供書」に関するヒヤリ・ハット事例を分析テーマとして取り上げることが承認された。 そこで、「お薬手帳」や「薬剤情報提供書」に関するヒヤリ・ハット事例について、報告された事例 の概要の割合、調剤や疑義照会の事例における医薬品の販売名や薬効と報告件数などの分析を行った。

1)報告件数

報告された事例の中からお薬手帳及び薬剤情報提供書に関する事例を抽出するため、平成24年1月 1日から同年12月31日に報告されたヒヤリ・ハット事例のうち事例収集項目の「事例の内容」「背景・ 要因」に「お薬手帳」「薬剤情報提供書」「薬情」のいずれかの語を含む事例を抽出し、その中から 「お薬手帳や薬剤情報提供書の確認不足に起因した調剤のヒヤリ・ハット事例」や「お薬手帳や薬剤 情報提供書を活用して疑義照会が行われた事例」を抽出した。また、調剤の事例のうち、事例の内容 が「その他(説明文書の作成間違い)」である事例も、お薬手帳や薬剤情報提供書に関する事例とし て抽出した。以上を合わせると、221件であった。これをお薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤ リ・ハットに関する事例とした。 図表7―1 報告件数

2)お薬手帳及び薬剤情報提供書に関する事例の概要

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関する事例221件を「事例の概要」「事例の内容又は変更内容」別に 集計した。 「事例の概要」は、「調剤」が90件(40.7%)、「疑義照会」が130件(58.8%)選択されていた。ま た、「医薬品の販売」が1件あり、「特定保険医療材料」が選択された事例はなかった。 報告件数 ヒヤリ・ハット事例 7,166(100.0%) お薬手帳及び薬剤情報提供書に関する事例 221(3.1%)

(3)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 図表7―2 お薬手帳及び薬剤情報提供書に関する事例の報告内訳 (単位:件) 「調剤」の事例の内訳としての「事例の内容」は、「その他(調剤)」が51件と特に多かった。次い で「薬袋の記載間違い」が12件、「患者間違い」が9件、「処方せん監査間違い」が6件、「数量間違 い」が5件などであった。ヒヤリ・ハット事例との比較では、「数量間違い」「薬剤取違え」「規格・ 事例の概要 事例の内容又は変更内容 件数 (参考)ヒヤリ・ハット事例 調 剤 調剤忘れ 0 273 処方せん監査間違い 6 235 秤量間違い 0 51 数量間違い 5 1,827 分包間違い 1 192 規格・剤形間違い 1 948 薬剤取違え 2 1,005 説明文書の取違え 2 9 分包紙の情報間違い 0 38 薬袋の記載間違い 12 265 その他(調剤) 51 1,414 充填間違い 0 23 異物混入 0 2 期限切れ 0 12 その他(管理) 0 3 患者間違い 9 34 説明間違い 1 17 交付忘れ 0 62 その他(交付) 0 14 疑義照会 薬剤変更 20 259 用法変更 2 67 用量変更 3 33 分量変更 5 102 薬剤削除 98 236 その他 2 33 医薬品の販売 商品間違い 0 0 説明間違い 0 0 期限切れ 0 1 その他 1 2 特定保険医療材料 0 9 合 計 221 7,166

(4)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 剤形間違い」といったヒヤリ・ハット全体に占める割合の多い事例の内容は少なく、「その他(調剤)」 「薬袋の記載間違い」「患者間違い」の割合が多かった。 「疑義照会」の事例の変更内容の内訳では、「薬剤削除」が98件と最も多く、次いで「薬剤変更」 が20件で、これらで大半を占めた。ヒヤリ・ハット事例との比較では、「薬剤削除」の割合が多く、 その他の変更内容の割合は少なかった。

3)お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤に関する事例の分析

(1)お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤に関する事例の発生場面と医薬品の交付の有無 お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤に関する事例について、「発生場面」、医薬品の交付の有無を 示す「実施の有無」について集計を行った。 図表7―3 発生場面と実施の有無 (単位:件) (参考)調剤に関するヒヤリ・ハット事例の発生場面と実施の有無 (単位:件) 発生場面 実施あり 実施なし 合計 内服薬調剤 30 11 41 外用薬調剤 6 17 23 注射薬調剤 0 0 0 その他の調剤に関する場面 11 5 16 内服薬管理 0 0 0 外用薬管理 0 0 0 注射薬管理 0 0 0 その他の管理に関する場面 0 0 0 交付 7 3 10 合 計 54 36 90 発生場面 実施あり 実施なし 合計 内服薬調剤 1,548 1,734 3,282 外用薬調剤 254 379 633 注射薬調剤 24 19 43 その他の調剤に関する場面 173 2,126 2,299 内服薬管理 12 19 31 外用薬管理 5 2 7 注射薬管理 2 0 2 その他の管理に関する場面 0 0 0 交付 118 9 127 合 計 2,136 4,288 6,424

(5)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 「内服薬調剤」が41件(45.6%)で最も多かった。次いで「外用薬調剤」が23件(25.6%)、「そ の他の調剤に関する場面」が16件(17.8%)、「交付」が10件(11.1%)であった。また、「注射薬 調剤」「内服薬管理」「外用薬管理」「注射薬管理」「その他の管理に関する場面」は報告がなかった。 実施の有無を見ると、患者に医薬品を交付したことを示す「実施あり」が54件(60.0%)であり、 「実施なし」が36件(40.0%)であった。「調剤」のヒヤリ・ハット事例と比較して、交付したこと を示す「実施あり」が多かった。 また、「内服薬調剤」をみると、「実施あり」が30件(73.2%)、「実施なし」が11件(26.8%)で あり、「調剤」のヒヤリ・ハット事例と比較して、交付したことを示す「実施あり」が多かった。「外 用薬調剤」をみると、「実施あり」が6件(26.1%)、「実施なし」が17件(73.9%)であり、「調剤」 のヒヤリ・ハット事例と比較して、交付したことを示す「実施あり」が少なかった。 (2)お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例の内訳と実施の有無 お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例の「事例の内容」別の内訳を「実施の有無」とともに 示す。 図表7―4 事例の内容と実施の有無 (単位:件) 事例の内容 実施あり 実施なし 合計 調剤忘れ 0 0 0 処方せん監査間違い 6 0 6 秤量間違い 0 0 0 数量間違い 5 0 5 分包間違い 1 0 1 規格・剤形間違い 0 1 1 薬剤取違え 1 1 2 説明文書の取違え 1 1 2 分包紙の情報間違い 0 0 0 薬袋の記載間違い 12 0 12 その他(調剤) 21 30 51 充填間違い 0 0 0 異物混入 0 0 0 期限切れ 0 0 0 その他(管理) 0 0 0 患者間違い 6 3 9 説明間違い 1 0 1 交付忘れ 0 0 0 その他(交付) 0 0 0 合 計 54 36 90

(6)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット (参考)調剤に関するヒヤリ・ハット事例の内容と実施の有無 (単位:件) お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例90件の「事例の内容」は、「その他(調剤)」が特に多 く、次いで「薬袋の記載間違い」「患者間違い」などが多かったことを先述した。 次に、医薬品の交付の有無を示す「実施の有無」について特に「その他(調剤)」についてみる と、「実施あり」が選択されていた事例は21件(41.2%)、「実施なし」が選択されていた事例は30 件(58.8%)であった。「調剤」のヒヤリ・ハット事例の「その他(調剤)」と比較すると「実施あ り」が多かった。 「薬袋の記載間違い」についてみると、12件のすべてが「実施あり」が選択されていた(100.0 %)。「調剤」のヒヤリ・ハット事例の「薬袋の記載間違い」と比較すると「実施あり」が多かった。 また、「患者間違い」についてみると「実施あり」が選択されていた事例は6件(66.7%)、「実 施なし」が選択されていた事例は3件(33.3%)であった。「調剤」のヒヤリ・ハット事例の「患 者間違い」と比較すると「実施あり」の割合が少なかった。 事例の内容 実施あり 実施なし 合計 調剤忘れ 70 203 273 処方せん監査間違い 194 41 235 秤量間違い 29 22 51 数量間違い 506 1,321 1,827 分包間違い 93 99 192 規格・剤形間違い 415 533 948 薬剤取違え 420 585 1,005 説明文書の取違え 3 6 9 分包紙の情報間違い 18 20 38 薬袋の記載間違い 149 116 265 その他(調剤) 102 1,312 1,414 充填間違い 5 18 23 異物混入 1 1 2 期限切れ 11 1 12 その他(管理) 2 1 3 患者間違い 28 6 34 説明間違い 17 0 17 交付忘れ 60 2 62 その他(交付) 13 1 14 合 計 2,136 4,288 6,424

(7)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット (3)お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例(その他(調剤))において報告された医薬 品及び具体事例 ① お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例(その他(調剤))において報告された医薬品 お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例の「事例の内容」としては、「その他(調剤)」が特 に多かったことを先述した。これに該当する事例は、具体的には、薬剤情報提供書やお薬手帳に 貼付する処方内容を印刷したシールといった説明文書の作成を間違えた事例である。 そこでまず、説明文書の作成を間違えた事例で報告された医薬品を主たる薬効とともに示す。 説明文書の作成を間違えた事例で報告された医薬品は、入力項目の中の「関連医薬品」の項目に 入力される。51件の「その他(調剤)」の中で、「関連医薬品」が入力されていた事例は、31件で あった。そのうち、複数の医薬品が入力される事例があるため、医薬品の報告回数は46回であっ た。 図表7―5 説明文書の作成を間違えた事例で報告された医薬品と主たる薬効など 販 売 名 主たる薬効 報告回数 ハイリスク薬 アーチスト錠10mg 血圧降下剤 1 アテレック錠10 血圧降下剤 1 アトルバスタチン錠 高脂血症用剤 1 アトルバスタチン錠5mg「EE」 高脂血症用剤 1 アマリール1mg錠 糖尿病用剤 1 ○ アマリール3mg錠 糖尿病用剤 1 ○ アムロジン錠2.5mg 血管拡張剤 1 アルデシンAQネーザル50μg 耳鼻科用剤 1 アローゼン顆粒 下剤、浣腸剤 1 アンテベート軟膏 鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤 1 エディロールカプセル0.75μg ビタミンA及びD剤 1 エパデールS900 血液凝固阻止剤 1 オノンドライシロップ10% その他のアレルギー用薬 1 キプレス細粒4mg その他のアレルギー用薬 1 クラリスドライシロップ10%小児用 主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの 1 クラリスロマイシンDS小児用10%「タカタ」 主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの 1 シムビコートタービュヘイラー60吸入 その他の呼吸器官用薬 1 ジャヌビア錠100mg 糖尿病用剤 1 ○ ジャヌビア錠50mg 糖尿病用剤 2 ○ ステーブラOD錠0.1mg その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬 1 ステーブラ錠0.1mg その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬

(8)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例の説明文書の作成を間違えた医薬品は42品目あった。 それらの殆どは報告回数が1回であり、2回報告があったのは「ジャヌビア錠50mg」「ツムラ五 積散エキス顆粒(医療用)」「パルミコート200μgタービュヘイラー56吸入」「メバロチン錠10」 のみであった。このように様々な医薬品について、説明文書の作成を間違えており、特に間違い が多かった医薬品はなかった。 また、ハイリスク薬に着目すると、「糖尿病用剤」が6回、「気管支拡張剤(キサンチン製剤)」 が2回、「血液凝固阻止剤」「不整脈用剤」「代謝拮抗剤」が各1回ずつであった。このように 「糖尿病用剤」が多かった。「糖尿病用剤」は複数の製剤を併用することや、一つの医薬品につい て複数の規格を使い分けることがある。また、一包化調剤として処方される場合もある。そのよ うな処方に変更が加わると、変更に対応することは複雑な作業になり、そのためと考えられるコ ンピューターへの入力間違いが生じ、薬剤情報提供書の作成間違いを生じていた。 販 売 名 主たる薬効 報告回数 ハイリスク薬 セニラン錠2mg 催眠鎮静剤、抗不安剤 1 セニラン錠5mg 催眠鎮静剤、抗不安剤 1 セルシン2mg錠 催眠鎮静剤、抗不安剤 1 ツムラ五積散エキス顆粒(医療用) 漢方製剤 2 ツムラ人参湯エキス顆粒(医療用) 漢方製剤 1 テオフィリン錠100mg「アメル」注1) 気管支拡張剤 テオフィリン錠200mg注1) 気管支拡張剤 ノルバスク錠2.5mg 血管拡張剤 1 パルミコート200μgタービュヘイラー56吸入 その他の呼吸器官用薬 2 ヒルドイドローション0.3% 血液凝固阻止剤 1 ○ ホクナリンテープ2mg 気管支拡張剤 1 メイアクトMS小児用細粒10% 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの 1 メインテート錠5 不整脈用剤 1 ○ メサデルム軟膏0.1% 鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤 1 メトグルコ錠250mg 糖尿病用剤 1 ○ メバロチン錠10 高脂血症用剤 2 モルヒネ塩酸塩錠10mg「DSP」注2) あへんアルカロイド系麻薬 ユーエフティE配合顆粒T100 代謝拮抗剤 1 ○ ロキソニンゲル1% 鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤 1 ワンアルファ錠0.5μg ビタミンA及びD剤 1 小児用フルナーゼ点鼻液25μg56噴霧用 耳鼻科用剤 1 注1:気管支拡張剤の中では、キサンチン製剤をハイリスク薬としている。 注2:本報告書のハイリスク薬にが該当しないが、麻薬である「モルヒネ塩酸塩錠10mg「DSP」」も取り扱いに特に注 意が必要な医薬品である。

(9)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット ② お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例(その他(調剤))の紹介 お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例のうち、「その他(調剤)」に関する事例を、特にハ イリスク薬の事例中心に次に紹介する。 販売名 治療の程度 事例の内容等 【事例1】 ○関連医薬品 ジャヌビア錠50mg アマリール3mg錠 治療なし (事例の内容) 前回の処方(他剤あり、一包化指示あり) オイグルコン錠2.5mg 3T 2×朝夕食後(2,1) ジャヌビア錠50mg 1T 1×朝食後 今回の処方(他剤あり、一包化指示あり) アマリール錠3mg 2T 2×朝夕食後 ジャヌビア錠50mg 2T 2×朝夕食後 レセコン入力を誤って入力した。(2剤、共に1×朝食後) 調剤と薬袋は処方どおりだが、薬情と手帳は間違ったまま投薬 した。 薬袋のまま服用したため、健康被害はなかった。 (背景・要因) 記載なし (改善策) 鑑査を徹底する 【事例2】 ○関連医薬品 ジャヌビア錠100mg ジャヌビア錠50mg 治療なし (事例の内容) 確認不足のため、薬剤情報提供文書のジャヌビア錠100mgの ところ、ジャヌビア錠50mgの内容で患者に渡した。 (背景・要因) 薬剤情報提供文書の内容の確認を怠った。 (改善策) 薬剤情報提供文書及び各項目において注意を払うことが必要で ある。 【事例3】 ○関連医薬品 アマリール1mg錠 メトグルコ錠250mg セルシン錠2mg 実施なし (事例の内容) レセコン入力を間違えたため薬情、お薬手帳シール、領収書、 明細書、薬歴、調剤録がすべて違ってしまった。 (背景・要因) 今回からアマリールの0.5mgから1mgの規格変更、メトグル コの追加があり、さらに一包化の指示があった。 投薬時にセルシンの錠数が84錠のところ64錠しかなく間違いに 気付いたが、入力後の監査までは目が行き届かなかった。 たまたま同じ時間に患者さんが集中してしまい確認が甘くなっ てしまった。 (改善策) 入力監査を徹底する。 処方せん通りに入力する。 窓口で患者さんに渡す前に再度確認する。

(10)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット (4)お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例(薬袋の記載間違い)において報告された 医薬品及び事例紹介 ① お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例(薬袋の記載間違い)において報告された医薬品 お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例の「事例の内容」として、「その他(調剤)」に次い で「薬袋の記載間違い」が12件あった。レセプトコンピューターに入力される処方の情報は、薬 袋やお薬手帳に貼付するシール、薬剤情報提供書の印刷内容と連動していることが多いことから、 「薬袋の記載間違い」は「その他(調剤)」と関連した事例と考えられる。 「薬袋の記載間違い」の事例で報告された医薬品を主たる薬効とともに示す。薬袋の記載を間 違えた医薬品は、入力項目の中の「関連医薬品」の項目に入力される。12件の「薬袋の記載間違 販売名 治療の程度 事例の内容等 【事例4】 ○関連医薬品 ユーエフティE配合顆 粒T100 不明 (事例の内容) 薬情への用量記載が(朝2包-昼1包-夕1包)と記載されな いといけなかったが、朝1包のままで2包へ訂正せずに渡してし まった。 コンピューター上では訂正できず、毎回手書きで訂正していた。 (背景・要因) 記載なし (改善策) 訂正事項がある旨、薬歴記載した。 【事例5】 ○関連医薬品 テオフィリン錠100mg 「アメル」 テオフィリン錠200mg 治療なし (事例の内容) テオフィリンが今回から200mg錠から100mg錠に変更になっ ていることに気づかず、前回と同じ200mg錠の記載で薬情やお 薬手帳を渡した。次回来局時に間違いに気づき、患者本人に謝罪。 調剤内容は100mgで服用と確認をとった。 (背景・要因) 同日に、降圧剤が変更になっていたためそちらに気を取られて いた。また、公害の処方内容は変更がないと思い込んでいた。 (改善策) 先入観を捨てた確認が必要。 【事例6】 ○関連医薬品 モルヒネ塩酸塩錠10mg 「DSP」 実施なし (事例の内容) モルヒネ塩酸塩錠10mg「DSP」6錠、1日6回、4時間毎 服用の指示を間違えて1日6回、分3毎食前と入力していた。間 違えたのは前回の処方からで、今回もそのまま間違えてしまった。 (背景・要因) 処方される薬が多いので見落としてしまっていた。調剤録との 点検も不十分だった。 (改善策) 先入観を捨てた確認が必要。

(11)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット い」の中で、「関連医薬品」が入力されていた事例は11件であった。そのうち、複数の医薬品が 入力される事例があるため、医薬品の報告回数は16回であった。 図表7―6 薬袋の記載を間違えた事例で報告された医薬品と主たる薬効など お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例の中で、薬袋の記載を間違えた医薬品は16品目あっ た。それらはすべて報告回数が1回であった。このように様々な医薬品について、薬袋の記載間 違いが生じており、特に間違いが多い医薬品はなかった。 また、ハイリスク薬の報告は「不整脈用剤」(テノーミン錠50)が1回、「抗てんかん剤」(リ ボトリール錠0.5mg)が1回で、合わせて2回のみであった。具体的には、「テノーミン錠50」 は処方された規格に変更があったが前回処方の規格で入力した事例であった。「リボトリール錠 0.5mg」は3T 3×から2T 2×に減量となっていたが、普段入力作業を行っている事務スタッ フが不在であったために薬剤師が入力したがその際入力を誤った事例であった。 これらの事例はすべて「実施あり」が選択された、つまり医薬品が交付された事例であったが、 患者への影響は、1件が「不明」、それ以外は「治療なし」であった。 販 売 名 主たる薬効 報告回数 ハイリスク薬 エピナジオン その他のアレルギー用薬 1 エルピナン錠20 その他のアレルギー用薬 1 キサラタン点眼液0.005% 眼科用剤 1 クラリシッド錠200mg 主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの 1 シムビコートタービュヘイラー60吸入 その他の呼吸器官用薬 1 ダイアート錠30mg 利尿剤 1 ダントリウムカプセル25mg 骨格筋弛緩剤 1 ツロブテンテープ0.5mg 気管支拡張剤 1 ツロブテンテープ2mg 気管支拡張剤 1 テノーミン錠50 不整脈用剤 1 ○ パセトシンカプセル250 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの 1 メジコン錠15mg 鎮咳剤 1 リオレサール錠5mg 鎮けい剤 1 リボトリール錠0.5mg 抗てんかん剤 1 ○ ロキソニン錠60mg 解熱鎮痛消炎剤 1 ロキソプロフェン錠60mg「EMEC」 解熱鎮痛消炎剤 1

(12)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット ② お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例(薬袋の記載間違い)の紹介 お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例のうち、「薬袋の記載間違い」に関する事例を、特 にハイリスク薬の事例中心に次に紹介する。 販売名 治療の程度 事例の内容等 【事例1】 ○関連医薬品 テノーミン錠50 不明 (事例の内容) テノーミン錠50のところをテノーミン錠25で入力した。その日 の午後に処方せんチェックしている際に発覚した。前回まではテ ノーミン錠25の処方だったが、今回よりテノーミン錠50に変更と なっていた。渡した薬はテノーミン錠50で合っているが、薬剤情 報提供文書、薬袋、お薬手帳とともに記載がテノーミン錠25で間 違っている状態だった。 (背景・要因) 記載なし (改善策) 記載なし 【事例2】 ○関連医薬品 リオレサール錠5mg リボトリール錠0.5mg 治療なし (事例の内容) 両医薬品とも以前から処方されているが、 今回からともに 3T3×→2T2×へ減量となっていた。 薬は処方通りに出したが、レセコン入力をDOにしたため、薬 袋・薬情・お薬手帳が3T3×になっていた。 事務員が誤りに気づき、 直ちに患者宅へ連絡して謝罪し、 2T2×で飲むように説明した。 (背景・要因) 通常は事務員がレセコンを入力するが、その時はたまたま薬剤 師1人であったため、入力・調剤・鑑査を1人で行った。 来局の集中が有り焦りから間違いを起こしたと思われる。 (改善策) 必ず複数人在局するようにし、万一1人になった場合は、鑑査 を複数回時間をあけて行うようにする。

(13)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 販売名 治療の程度 事例の内容等 【事例3】 ○関連医薬品 クラリシッド錠200mg 治療なし (事例の内容) クラリシッド錠200mgを今までは1回1錠、分2朝夕食後で 内服されていた患者さまが久しぶりに来局された。 今回処方よりクラリシッド錠200mgの用法用量が減量になり、 1回1錠 分1朝食後に用法用量も変更になっていたが、 パソ コンの入力が以前のままの分2処方のままで入力されていた。 監査時、PCの入力間違いに気づかずに分2処方の薬袋に薬剤 を入れ交付してしまった。 患者本人にお渡しした薬剤は処方せん指示通りだったが、薬袋、 薬情、お薬手帳は間違った入力のままであった。 処方せんをチェックしていた管理薬剤師が間違いに気づき、イ ンシデントが発覚。 監査した薬剤師が本人に連絡し、分1朝食後で内服していただ くようにお伝えし、納得いただいた。 (背景・要因) 一人の薬剤師が調剤、監査、投薬をすべて行った。 薬剤の数 は正しくピッキングされていたが、PCの入力監査時、前回分と 今回の内容が同じ分1朝食後であると勘違いし、間違った入力の まま監査してしまった。 また、来局され多少気持ちが焦っており薬袋に薬剤を入れる際 もきちんと用法用量の確認をせず、そのままお渡ししてしまった。 (改善策) 今回の処方内容と前回の処方内容が同じであるとの思い込みか ら間違いにつながっている。 まず、PCの入力が処方せん通りに入力されていることの確認 をきちんと行う。 PC入力監査時、薬袋に薬剤を入れる際、交付の際必ず処方せ んの内容を確認、必要であれば声を出して確認するなどの工夫を する。

(14)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット ③ お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例に関する「共有すべき事例」 本事業で提供している「共有すべき事例」3)にお薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例が公 表されているので、改めて次に紹介する。 共有すべき事例(事例番号:000000028970)「一般名記載の処方せんに関する調剤時の入力間違い」 事例の概要等 (事例の内容) 一般名記載の処方せんでテオフィリン徐放錠200mgの記載だったため、薬剤師はテオドール錠200mg を調剤し、事務員はユニフィルLA錠200mgを入力した。そのため、薬剤情報提供書はユニフィルLA 錠200mgのまま、患者の手元に行ってしまい、患者より連絡があり、過誤が発覚した。 (背景・要因) 一般名処方せんの場合、つい成分に問題がないかを確認し、それで大丈夫だと安心してしまうことがあ る。今回も、処方せんの一般名と調剤されたものに矛盾がなかったため、見落としてしまった例である。 (改善策) 一般名で初めての処方の場合は、必ず何を調剤するのか、事務に伝え、かつ、薬剤情報提供書との照ら し合わせを行う。 事例のポイント ●一般名処方において当該成分の医薬品が複数製品として存在する場合、入力時と調剤時に十分注意が必 要である。 ●処方せんに記載する一般名処方の標準的な記載の「一般名処方マスタ」では、【般】テオフィリン徐放 錠200mgには(12~24時間持続)と(24時間持続)の2種類があり、徐放製剤では、その持続時間の 確認も重要である。 ●当該医薬品を調剤する際は、あらかじめ選択のルールや複数人で確認するルールを作っておくことは有 効である。 ●最終鑑査時及び服薬指導時に薬剤情報提供書・お薬手帳の内容を確認することが必要である。 共有すべき事例(事例番号:000000023153)「麻薬の処方内容の入力間違い」 事例の概要等 (事例の内容) オキシコンチン錠5mg3錠/分3毎食後(すなわち1回1錠)で処方されたが、食後、食前の指示が なく、時間で服用する際は、通常の用法とは違う入力方法を行い、後で薬袋の修正をかけて行う方法をとっ ていた。事務員の入力ミス、薬剤師の確認不足で、薬袋の表記方法が1回3錠(1日量の表記)になって しまい、患者がその通り服用してしまうこととなった。 (背景・要因) レセコン上、薬袋と薬剤情報提供文書の表記が違うようになることがあった。事務員は入力する時に、 マニュアル通りの入力をせず、薬袋表記のミスにつながった。薬剤師も薬剤情報提供文書と薬袋の表記が 違うことになることがあることを把握しておらず、さらに薬袋表記の確認を十分に出来ておらずミスにつ ながった。説明時も薬剤情報提供文書を中心に行ったため再度確認出来なかった。 (改善策) レセコンの用法入力方法について薬袋と薬剤情報提供文書が必ず一致するように入力する。事務員、薬 剤師共に再度薬袋、薬剤情報提供文書の表記についてチェックを行う。 事例のポイント ●おそらく処方せんの記載は1日3回の決められた時間による処方だったが、対応するコードが無いため、 既存の用法を入力し、後で手直しをする方法などをしていたと思われる。 ●マニュアルがあってもそれに従わない時は、このような大きな問題につながるケースがある。

(15)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 共有すべき事例(事例番号:000000019440)「薬歴の確認による入力間違いの発見」 事例の概要等 (事例の内容) 処方は「1日2錠、1日2回朝夕食後」であったが、「1日1回朝食後」とレセコンに誤登録したため、 誤った薬袋、薬剤情報提供文書が発行され、「1日1回朝食後、1回2錠」と誤って印刷されたものを交 付した。患者が帰宅後、薬歴を確認した際に誤りが判明した。電話連絡し、患者宅に正しいものと交換に 行った。 (背景・要因) 記載なし (改善策) レセコン入力後の再確認、投薬時の処方せんと薬剤、薬袋、薬剤情報提供文書の再確認を怠らないようにする。 事例のポイント ●レセコンと呼ばれるレセプト(診療報酬明細書)作成コンピュータは、レセプト作成の機能に留まらず、 現在では入力した情報を用いて、薬袋、お薬手帳、薬剤情報提供文書、調剤録などの調剤支援機器とし ても使用されており、多くの場合、レセコンへの情報の入力は医療事務員によって行われている。 ●患者名、生年月日、販売名、投与量、用法、用量、服薬のタイミング、投与日数、後発医薬品への変更 などのレセコンへの入力ミスは、調剤や薬剤情報提供文書等の誤りを引き起こす可能性があり、今まで も、処方せんの誤読やマスターからの選択ミス、前回情報の誤引用などによるレセコンの誤入力が、ヒ ヤリ・ハット事例として報告されている。 ●レセコン入力は一人の作業者によって行われ、原本のデータと入力したデータとの確認は必須である。 ●さらに、レセコン入力を担当する人の見直しや、原本と入力したデータの照合方法、入力したデータで はなく、処方せん原本に基づく調剤など、医薬品安全管理責任者を中心として各施設の実情に合った見 直しと対策が必要である。 共有すべき事例(事例番号:000000019440)「医療機関によるお薬手帳の記載誤りの発見」 事例の概要等 (事例の内容) 当日より入院される当該患者のお薬手帳の確認の際、約1ヶ月前に処方されたテグレトール細粒50%が 一日量0.12gであるはずのところ、1.2gと記載されていることを担当医が発見し、当該薬局に問い合わせ があった。処方せん及び、その他の記録を確認したところ、レセプト用コンピューターへの入力ミスによ る、お薬手帳への記載間違いが発覚した。また、当該薬品を秤量した記録により、テグレトール細粒50% は一日量0.12gで調剤し、お渡ししていることを確認した。 (背景・要因) 記載なし (改善策) お薬手帳においては、「製剤量」と合わせて「含量」を書き加えることとした。 事例のポイント ●複数の記録がある場合に、出来るだけ入力作業そのものの件数を少なくし、その情報を利用することに より、入力エラーを軽減出来る可能性がある。しかし一方で完全なコピー&ペーストだけであるとチェッ ク機構が働きづらくなるという危険性も高まり、両者のバランスが難しいところである。 ●お薬手帳への記載間違いは、そのことが直接、患者へ悪影響を及ぼすことは少ないと考えられるが、そ の情報を基にヒヤリ・ハットや事故を引き起こす可能性があるため、「薬局から発信する情報」として、 他人でも記載された内容が分かるように配慮する必要がある。 ●現在、内服薬処方せん記載方法の標準化に向けた取り組みが行われており、分量の記載方法については 「1回量」と「1日量」の両方の記載が混在することがあるため、その際のお薬手帳の記載方法につい ても、留意する必要がある。 (参考:厚生労働省「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書」 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/dl/s0129-4a.pdf)

(16)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット ④ 投薬しなかった理由 ヒヤリ・ハット事例では、件数は少ないが、何らかの仕組みや個人の知識、注意が機能して、 誤った医薬品を交付せずに済んだ理由が記載されている事例がある。図7-3に示したように、 お薬手帳及び薬剤情報提供書の調剤の事例のうち、「実施なし」の事例は36件あったが、そのう ち、実施せずに済んだ理由が記載されていた事例は6件のみあった。 その理由としては、 ・投薬時に、医薬品の錠数を確認した際に間違いに気づいた。 ・投薬時に、処方せんと医薬品を照合した際に間違いに気づいた。 ・錠剤の数量と医薬品を確認した際に、薬剤情報提供書の内容と異なることに気づいた。 ・お薬手帳を確認した際に、他の医療機関から同効薬が処方され重複していることに気づき、そ の結果、他院の処方のシールを剥がし忘れていたことに気づいた。 ・ピッキングの際に、2次元バーコードを読み取った内容が処方せんの内容と異なることに気づ いた。 ・患者が気づいた。 であった。誤った入力内容にしたがって調剤作業が進んでも、その後、鑑査や投薬時に再度処方 せんを用いて投薬内容を確認する際にエラーが発見されている。 ⑤ 薬局から報告された主な改善策 薬局から報告された主な改善策を次に整理して示す。 ア)お薬手帳に関すること ○お薬手帳のシールの取り扱い ・印刷されたお薬手帳のシールはすぐに患者の薬歴にセットするか、お薬手帳に貼ってセッ トする。 ○お薬手帳の工夫 ・お薬手帳を色々なデザインのものを導入し、患者に渡す時に患者が自分のものかどうか区 別がつくようにする。 ○お薬手帳の確認方法 ・お薬手帳の表紙の名前と記録する内容を十分に確認する。 ・お薬手帳の表紙は名前が記入されていないものが多くあるため、今後は記入されていない ものすべて記入していくことにする。 ・お薬手帳文書には患者名も記載されている。必ず患者氏名を確認する。 イ)入力に関すること ○入力に必要な知識 ・2次元バーコードでも規格・日数などは異なることを認識し、一つずつ確認を行う。すべ ての医薬品に異なる規格がある可能性を頭に入れ、入力時にしっかりと確認をする。 ・2次元バーコードに頼り過ぎないように、目視での再確認を徹底する。 ・ジェネリック医薬品に変更する際、採用医薬品が数種あることを理解しておく。

(17)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット ○入力方法 ・処方せん通りに入力する。 ○入力時の確認方法 ・一語ずつ区切って入力する。 ・内容を再度確認する。 ・入力監査を徹底する。 ・入力後の最終確認を徹底する。 ○採用医薬品の整理 ・ジェネリック医薬品の採用を極力1種類にする。 ウ)鑑査の方法 ・鑑査時に規格の声出し確認をする。 ・規格がいろいろあるものは鉛筆で〇を付けるなどチェックする。 ・入力者以外が鑑査することが出来る場合は、別の者が鑑査することにした。 ・一品目ごとの確認、声だし確認をする。 ・処方監査は処方せん、薬歴、お薬手帳の情報を合わせて行うこと。 エ)交付時の確認 ・窓口で患者さんに渡す前に再度確認する。 オ)その他 ・イレギュラーがあっても慌てずに調剤に関わる一連の作業を全てキャンセルする。 ・投薬までいってから疑義や変更が生じた場合は、一連の調剤プロセスを最初からチェック するべき。

(18)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット

4)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の分析

(1)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の内容等 (ⅰ)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の内容と疑義があると判断した理由 お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例について、「変更内容」と「疑義がある と判断した理由」を集計した。 図表7-7 お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の変更内容と疑義があると 判断した理由 (単位:件) (参考)疑義照会に関するヒヤリ・ハット事例の変更内容と疑義があると判断した理由(単位:件) お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の変更内容としては、「薬剤削除」が98 件で特に多く、次いで「薬剤変更」が20件などであった。疑義があると判断した理由としては、 「当該処方せんと薬局で管理している情報で判断」が最も多く72件(55.4%)であり、次いで 「上記以外で判断」が57件(43.8%)であった。また、お薬手帳や薬剤情報提供書を活用するこ 変更内容/疑義がある と判断した理由 当該処方せんのみで判断 当該処方せんと薬局 で管理している 情報で判断 上記以外で判断 合計 薬剤変更 0 14 6 20 用法変更 0 1 1 2 用量変更 0 1 2 3 分量変更 0 2 3 5 薬剤削除 1 52 45 98 その他 0 2 0 2 合 計 1 72 57 130 ※「当該処方せんと薬局で管理している情報で判断」の「薬局で管理している情報」とは、薬局が保有する当該患者の情 報(薬剤服用歴等)を意味する。「上記以外で判断」とは、患者またはその家族などから得られた情報等(お薬手帳を 含む)で判断したことを意味する。(事例報告入力ガイドより引用) 変更内容/疑義がある と判断した理由 当該処方せんのみで判断 当該処方せんと薬局 で管理している 情報で判断 上記以外で判断 合計 薬剤変更 63 148 48 259 用法変更 43 15 9 67 用量変更 16 7 10 33 分量変更 39 52 11 102 薬剤削除 28 142 66 236 その他 9 17 7 33 合 計 198 381 151 730 ※「当該処方せんと薬局で管理している情報で判断」の「薬局で管理している情報」とは、薬局が保有する当該患者の情 報(薬剤服用歴等)を意味する。「上記以外で判断」とは、患者またはその家族などから得られた情報等(お薬手帳を 含む)で判断したことを意味する。(事例報告入力ガイドより引用)

(19)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット とで疑義が生じた事例がほとんどであることから、「当該処方せんのみで判断」は1件のみと大 変少なかった。 疑義照会に関するヒヤリ・ハット事例の「当該処方せんと薬局で管理している情報で判断」は 52.2%、「上記以外で判断」は20.7%であったことと比較すると、お薬手帳及び薬剤情報提供書 の疑義照会に関する事例では「当該処方せんと薬局で管理している情報で判断」は同程度、「上 記以外で判断」の割合は多かった。 (ⅱ)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の変更内容と患者に生じえた健康被害の 可能性との関係 お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の「変更内容」と「仮に変更前の処方通 りに服用した場合の影響」を整理して次に示す。 図表7-8 お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の変更内容と患者に生じえた 健康被害の可能性との関係 (単位:件) (参考)疑義照会に関するヒヤリ・ハット事例の変更内容と患者に生じえた健康被害の可能性との 関係 (単位:件) 仮に変更前の処方通りに服用した場合の患者の健康への影響度は、「患者に健康被害があった と推測される」が86件(66.2%)、「患者に健康被害が生じなかったが、医師の意図した薬効が得 変更内容/仮に変更前の処方 通りに服用した場合の影響 患者に健康被害があったと推測される 患者に健康被害が生じなかっ たが、医師の意図した薬効が 得られなかったと推測される 合計 薬剤変更 15 5 20 用法変更 0 2 2 用量変更 2 1 3 分量変更 4 1 5 薬剤削除 63 35 98 その他 2 0 2 合 計 86 44 130 変更内容/仮に変更前の処方 通りに服用した場合の影響 患者に健康被害があったと推測される 患者に健康被害が生じなかっ たが、医師の意図した薬効が 得られなかったと推測される 合計 薬剤変更 164 95 259 用法変更 32 35 67 用量変更 11 22 33 分量変更 66 36 102 薬剤削除 169 67 236 その他 15 18 33 合 計 457 273 730

(20)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット られなかったと推測される」が44件(33.8%)であった。疑義照会に関するヒヤリ・ハット事例 では、それぞれ62.6%、37.4%であったことから、お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関 する事例における患者の健康への影響度の内訳は、ヒヤリ・ハット事例のそれと比較してやや影 響度が高かった。 (2)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例で報告された医薬品の組み合わせ 処方された医薬品と疑義照会により変更になった医薬品の組み合わせを変更内容別に示す。 図表7―9 疑義照会に関する事例の処方された医薬品、及び変更になった医薬品の組み合わせ 及び主たる薬効 変更内容 処方された医薬品 主たる薬効 変更になった医薬品 主たる薬効 報告回数 薬剤変更 アスベリン錠10 鎮咳去たん剤 フスタゾール糖衣錠 10mg 鎮咳剤 1 アリセプト錠3mg その他の中枢神経系 用薬 アリセプト錠10mg その他の中枢神経系用薬 1 エクセグラン錠100 mg 抗てんかん剤 エクセラーゼ配合カプセル 健胃消化剤 1 ガスポートD錠20mg 消化性潰瘍用剤 ネキシウムカプセル 20mg 消化性潰瘍用剤 1 ガスロンN・OD錠 2mg 消化性潰瘍用剤 ガスロンN・OD錠4mg 消化性潰瘍用剤 1 ガモファーD錠20mg 消化性潰瘍用剤 ガスロンN・OD錠 4mg 消化性潰瘍用剤 1 クラリスロマイシン 錠200mg「日医工」 主としてグラム陽性菌、マイコプラズマ に作用するもの バナン錠100mg 主としてグラム陽性・ 陰性菌に作用するも の 1 ザイロリック錠100 痛風治療剤 ザイロリック錠50 痛風治療剤 1 テオドール錠200mg 気管支拡張剤 テオドール錠100mg 気管支拡張剤 1 ドグマチール錠50mg 消化性潰瘍用剤 ナウゼリン錠10 その他の消化器官用 薬 1 ニフラン点眼液0.1 % 眼科用剤 ノスラン点眼液2% 眼科用剤 1 ヒダントールF配合 錠 抗てんかん剤 ヒダントールD配合錠 抗てんかん剤 1 フロモックス小児用 細粒100mg 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するも の セフゾン細粒小児用 10% 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するも の 1 ホクナリンテープ2 mg 気管支拡張剤 ホクナリンテープ1mg 気管支拡張剤 1 ミノペン錠100 主としてグラム陽性・ 陰性菌、リケッチア、 クラミジアに作用す るもの セフゾンカプセル100 mg 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するも の 1

(21)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 変更内容 処方された医薬品 主たる薬効 変更になった医薬品 主たる薬効 報告回数 ムコソルバン錠15mg 去たん剤 ビソルボン錠4mg 去たん剤 1 メイアクトMS小児 用細粒10% 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するも の ワイドシリン細粒200 主としてグラム陽性・ 陰性菌に作用するも の 1 メイアクトMS錠100 mg 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するも の クラリス錠200 主としてグラム陽性 菌、マイコプラズマ に作用するもの 1 メジコン錠15mg 鎮咳剤 フスタゾール糖衣錠 10mg 鎮咳剤 1 レベニンS散 止しゃ剤、整腸剤 レベニン散 止しゃ剤、整腸剤 1 ロキソニン錠 解熱鎮痛消炎剤 ボルタレン錠25mg 解熱鎮痛消炎剤 1 C-チステン錠250 mg 去たん剤 ムコソルバン錠 去たん剤 1 用法変更 セルベックスカプセ ル50mg 消化性潰瘍用剤 1 デパス錠0.5mg 精神神経用剤 1 分量変更 アマリール1mg錠 糖尿病用剤 1 テノーミン錠25 不整脈用剤 1 ビオフェルミン錠剤 止しゃ剤、整腸剤 1 マイスリー錠10mg 催眠鎮静剤、抗不安 剤 1 ワイドシリン細粒200 主としてグラム陽性・ 陰性菌に作用するも の 1 薬剤削除 アシノン錠150mg 消化性潰瘍用剤 1 アレロック錠5 その他のアレルギー 用薬 1 アレロック顆粒0.5 % その他のアレルギー用薬 1 オノンドライシロッ プ10% その他のアレルギー用薬 2 オパプロスモン錠5 μg その他の血液・体液用薬 1 オフロキサシンゲル 化点眼液0.3% 「わ かもと」 眼科用剤 1 ガスターD錠10mg 消化性潰瘍用剤 3 ガスターD錠20mg 消化性潰瘍用剤 2 ガスター散2% 消化性潰瘍用剤 1 ガスター錠10mg 消化性潰瘍用剤 1 ガスポートD錠10mg 消化性潰瘍用剤 1 ガスポートD錠20mg 消化性潰瘍用剤 1

(22)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 変更内容 処方された医薬品 主たる薬効 変更になった医薬品 主たる薬効 報告回数 ガスモチン散1% その他の消化器官用 薬 1 ガスロンN・OD錠 2mg 消化性潰瘍用剤 1 カ リ ー ユ ニ 点 眼 液 0.005% 眼科用剤 1 カルボシステイン錠 500mg「タイヨー」 去たん剤 1 グラケーカプセル15 mg ビタミンK剤 1 クラリシッド錠200 mg 主としてグラム陽性菌、マイコプラズマ に作用するもの 1 クラリチンレディタ ブ錠10mg その他のアレルギー用薬 1 クリマーゲンOD錠 20mg 消化性潰瘍用剤 1 ケンタン錠60mg 解熱鎮痛消炎剤 1 ザイザル錠5mg その他のアレルギー 用薬 6 ザイロリック錠50 痛風治療剤 1 ザンタック錠150 消化性潰瘍用剤 1 ジルテック錠10 その他のアレルギー 用薬 1 シングレア錠10mg その他のアレルギー 用薬 1 セチリジン塩酸塩錠 10mg「PH」 その他のアレルギー用薬 1 セループカプセル50 mg 消化性潰瘍用剤 2 セルベックスカプセ ル50mg 消化性潰瘍用剤 2 セレコックス錠100 mg 解熱鎮痛消炎剤 1 セレスタミン配合錠 副腎ホルモン剤 1 タケプロンOD錠15 消化性潰瘍用剤 3 タムスロシン塩酸塩 OD錠0.2mg「サワ イ」 その他の泌尿生殖器 官及び肛門用薬 1 タリオンOD錠 その他のアレルギー 用薬 1 トラムセット配合錠 解熱鎮痛消炎剤 1 ニフラン錠 解熱鎮痛消炎剤 2

(23)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 変更内容 処方された医薬品 主たる薬効 変更になった医薬品 主たる薬効 報告回数 ノルバスク錠5mg 血管拡張剤 1 バクトラミン配合錠 その他の化学療法剤 1 パタノール点眼液0.1 % 眼科用剤 1 ハルナールD錠0.1 mg その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬 1 ビオフェルミン錠剤 止しゃ剤、整腸剤 1 ファロム錠200mg 主としてグラム陽性・ 陰性菌に作用するも の 1 プラデスミン配合錠 副腎ホルモン剤 1 プロテカジン錠10 消化性潰瘍用剤 1 プロマックD錠75 消化性潰瘍用剤 1 ホスミシンドライシ ロップ400 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するも の 1 ポララミン錠2mg 抗ヒスタミン剤 1 ボルタレン錠25mg 解熱鎮痛消炎剤 1 マイスリー錠10mg 催眠鎮静剤、抗不安 剤 1 ミカルディス錠20mg 血圧降下剤 1 ムコスタ錠100mg 消化性潰瘍用剤 5 ムコソルバン錠 去たん剤 1 ムコダインDS50% 去たん剤 2 ムコダイン錠500mg 去たん剤 5 ムコトロンシロップ 5% 去たん剤 1 メコバラミン錠500 「トーワ」 ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く) 1 メジコン錠15mg 鎮咳剤 1 メチコバール錠250 μg ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く) 1 メチコバール錠500 μg ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く) 4 ヨーデルS糖衣錠- 80 下剤、浣腸剤 1 ランソプラゾールO D錠15mg「DK」 消化性潰瘍用剤 1 レバミピド錠100mg 「EMEC」 消化性潰瘍用剤 3

(24)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 疑義照会の変更内容では、「薬剤削除」の事例が98件と最も多く、そのうち「薬剤削除」された 事例で報告された「処方された医薬品」は70品目あり、複数回報告された医薬品を考慮すると医薬 品の報告回数は合計105回であった。 次いで「薬剤変更」の事例が20件あり、「処方された医薬品」と「変更された医薬品」の組み合 わせが22通りで、すべて1回ずつ報告されたため、合計22回の「薬剤変更」の医薬品の組み合わせ が報告された。 さらに、「分量変更」の事例が5件あり、「分量変更」の事例で報告された「処方された医薬品」 は5品目であり、すべて1回ずつ報告されたため医薬品の報告回数は合計5回であった。 「用量変更」の事例は3件あり、「用量変更」の事例で報告された「処方された医薬品」は5品 目であり、すべて1回ずつ報告されたため医薬品の報告回数は合計5回であった。 「用法変更」の事例は2件あり、「用法変更」の事例で報告された「処方された医薬品」は2品 目であり、すべて1回ずつ報告されたため医薬品の報告回数は合計2回であった。 変更内容 処方された医薬品 主たる薬効 変更になった医薬品 主たる薬効 報告回数 レバミピド錠100mg 「NP」 消化性潰瘍用剤 1 レバミピド錠100mg 「日医工」 消化性潰瘍用剤 1 レフトーゼ錠(50mg) 酵素製剤 1 レボフロキサシン錠 100mg「TYK」 合成抗菌剤 1 ロキソニン錠60mg 解熱鎮痛消炎剤 6 ロゼレム錠8mg その他の中枢神経系 用薬 1 ロブ錠60mg 解熱鎮痛消炎剤 3 【般】カルボシステ イン錠500mg 去たん剤 1 用量変更 アムロジピン錠5mg 「サワイ」 血管拡張剤 1 アムロジピン錠5mg 「明治」 血管拡張剤 1 ストミンA配合錠 耳鼻科用剤 1 ラシックス錠20mg 利尿剤 1 ワーファリン錠1mg 血液凝固阻止剤 1 その他注) タケプロンOD錠30 消化性潰瘍用剤 タケプロンOD錠30 消化性潰瘍用剤 メコバラミン錠500 「トーワ」 ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く) 「トーワ」メコバラミン錠500 ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く) 1 プレドニゾロン錠5 mg「トーワ」 副腎ホルモン剤 プレドニゾロン錠5mg「トーワ」 副腎ホルモン剤 1 注:「その他」の事例は全て、薬効重複医薬品が他科から処方されているため、疑義照会を行ったところ、他科の医薬品が 中止となった事例である。

(25)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 「その他」の事例は2件あり、「その他」の事例で報告された「処方された医薬品」は3品目で あり、すべて2回ずつ報告されたため医薬品の報告回数は合計6回であった。 このうち、「薬剤削除」の事例では、ザイザル錠5mg(その他のアレルギー用薬)、ロキソニン 錠60mg(解熱鎮痛消炎剤)が6回、ムコスタ錠100mg(消化性潰瘍用剤)、ムコダイン錠500mg (去たん剤)が5回、などが多かった。事例の多くは、お薬手帳や患者に対するインタビューなど で収集した情報より、他科または他院から同効薬を処方され、投薬されて治療中であることがわかっ たため、処方した薬が削除された事例であった。 「薬剤変更」は、報告件数は薬剤削除に次いで多かったが、「処方された医薬品」と「変更になっ た医薬品」の組み合わせはすべて1回ずつ報告されていたため、特に多い組み合わせはなかった。 (3)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例のハイリスク薬 表7―9に示す医薬品のうち、ハイリスク薬を抽出した結果を次に示す。 図表7-10 お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例のハイリスク薬 ハイリスク薬であるエクセグランの処方に対して疑義照会がなされ、ハイリスク薬ではないエク セラーゼに薬剤変更となった事例では、前回処方やお薬手帳の内容の確認などにより疑義が生じ、 薬剤変更となった。背景・要因は記載がなかったが、名称の類似性により処方間違いを生じた可能 性がある。 (4)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会(薬剤削除)に関する事例の医薬品のブランド名 疑義照会の薬剤削除に関する事例で報告された「処方された医薬品」のブランド名を集計すると、 「ガスター」と「ムコダイン」が7回、「メチコバール」が5回、「ガスポート」と「アレロック」 が2回であり、そのほかのブランド名は1回ずつであった。集計した結果を以下に示す。 変更内容 処方された医薬品 主たる薬効 変更になった医薬品 主たる薬効 薬剤変更 エクセグラン錠100mg 抗てんかん剤 (エクセラーゼ配合カ プセル)注1) (健胃消化剤) テオドール錠200mg 気管支拡張剤 テオドール錠100mg 気管支拡張剤 ヒダントールF配合錠 抗てんかん剤 ヒダントールD配合錠 抗てんかん剤 用法変更 デパス錠0.5mg 精神神経用剤 分量変更 アマリール1mg錠 糖尿病用剤 テノーミン錠25 不整脈用剤 薬剤削除 セレスタミン配合錠 副腎ホルモン剤 プラデスミン配合錠 副腎ホルモン剤 用量変更 ワーファリン錠1mg 血液凝固阻止剤 その他注2) プレドニゾロン錠5mg 「トーワ」 副腎ホルモン剤 「トーワ」プレドニゾロン錠5mg 副腎ホルモン剤 注1)「エクセラーゼ配合カプセル」はハイリスク薬には該当しないが参考のために掲載。 注2)「その他」の事例は、薬効重複医薬品が他科から処方されているため疑義照会を行ったところ、他科の医薬品が中 止になった事例である。

(26)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 図表7-11 お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会(薬剤削除)に関する事例で処方された 医薬品のブランド名(複数報告されたもの) (5)お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の紹介 お薬手帳及び薬剤情報提供書の疑義照会に関する事例の内容等を、変更内容、処方された医薬品、 変更になった医薬品と併せて紹介する。 医薬品名(ブランド名) 報告回数 ガスター 7 ムコダイン 7 メチコバール 5 アレロック 2 ガスポート 2 販売名 事例の内容 等 【事例1】薬剤削除 ○処方された(削除され た)医薬品 バクトラミン配合錠 (事例の内容) 前回の薬歴に、「バクトラミンで薬疹の可能性」と記載があり、医師の服薬 中止指示もお薬手帳にて確認していた。しかし今回、バクトラミン配合錠が処 方されていたため疑義照会したところ、薬剤削除となった。 (背景・要因) 電子薬歴を使用しているが、コメント欄に目立つように「バクトラミンで薬 疹」と記載してあったので気付けた。 (改善策) 今後も大事な情報はコメント欄に入力をするよう、スタッフで徹底する。 【事例2】薬剤削除 ○処方された(削除され た)医薬品 アレロック顆粒0.5% (事例の内容) 患者が耳鼻咽喉科を受診した際、アレロック顆粒0.5%が処方された。当該 患者は別の医療機関の皮膚科から、ケトテンDS0.1%が処方されている事を お薬手帳で確認したため、疑義照会したところ、アレロック顆粒0.5%が処方 削除となった。 (背景・要因) 患者は医院ではお薬手帳を提出していなかった事により、医師は重複に気付 かなかった。又、その他の方法でも併用薬を伝えていなかったのではないかと 考えられる。 (改善策) 患者に、お薬手帳は医院でも提出して頂き、有効活用していくために、声か けを行っていく。

(27)

【1】

【2】

【3】

【4】

【5】

【6】

【7】

【8】

お薬手帳及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ハット 販売名 事例の内容 等 【事例3】薬剤削除 ○処方された(削除され た)医薬品 ガスターD錠10mg (事例の内容) 外科を受診した際にガスターD錠10mgが処方された。服薬指導の際に、 「胃酸を抑える薬ならすでに飲んでいる。」との申し出があった。お薬手帳を確 認したところ、パリエット錠10mgを服用中であることが判明した。疑義照会 を行ったところガスターD錠10mgが削除となった。 (背景・要因) 外科に受診した際に併用薬を伝えていなかった。 (改善策) お薬手帳を持参している場合は、重複などしていないか注意する。 【事例4】薬剤削除 ○処方された(削除され た)医薬品 ムコダイン錠500mg (事例の内容) 患者が耳鼻咽喉科を受診した際、ムコダイン錠500mgが処方された。当該 患者は別の医療機関の内科から、同薬が処方されている事をお薬手帳で確認し たため、疑義照会したところ、ムコダイン錠500mgが処方削除となった。 (背景・要因) 患者は医院ではお薬手帳を提出していなかった事により、医師は重複に気付 かなかった。又、その他の方法でも併用薬を伝えていなかったのではないかと 考えられる。 (改善策) 患者に、お薬手帳は医院でも提出して頂き、有効活用していくために、声か けを行っていく。 【事例5】薬剤変更 ○処方された医薬品 ニフラン点眼液0.1% ○変更になった医薬品 ノスラン点眼液2% (事例の内容) 他院でもらっていた目薬を出してもらったと患者の家族が言うので、お薬手 帳を見たらインタール点眼のGEが出ていた。処方せんは二フランになってい るので、念のため患者に目の炎症があるかと尋ねたが、特にそんな症状は無い と言われる。 薬効が全然違うので病院に患者家族のお話を伝え、インタール と同じ成分のものの方がいいのではと伝えたところ当薬局にあるノスランに変 更となった。 (背景・要因) 患者の家族が「先生がお薬手帳を見て、本で調べていた」と話していたので、 もしかしたら二フランとノスランを勘違いして処方した可能性もあり。 (改善策) 処方医にノスランと二フランの違いをフィードバックする。

参照

関連したドキュメント

 スルファミン剤や種々の抗生物質の治療界へ の出現は化学療法の分野に著しい発達を促して

テキストマイニング は,大量の構 造化されていないテキスト情報を様々な観点から

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

医師と薬剤師で進めるプロトコールに基づく薬物治療管理( PBPM

⑴ 次のうち十分な管理が困難だと感じるものは ありますか。 (複数回答可) 特になし 87件、その他 2件(詳細は後述) 、

の総体と言える。事例の客観的な情報とは、事例に関わる人の感性によって多様な色付けが行われ

「系統情報の公開」に関する留意事項

2012年11月、再審査期間(新有効成分では 8 年)を 終了した薬剤については、日本医学会加盟の学会の