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図表 1 消費税率引上げに伴う住宅着工の影響 ( 平成 9 年 ) 1995( 平成 7) 年度 1996( 平成 8) 年度 1997( 平成 9) 年度 (4 月 1 日に消費税 (5%) 導入 ) 1998( 平成 10) 年度 住宅着工戸数 前年からの増減 1,485 万戸 - 1,630

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今月の話題

消費増税を前にした

住宅ローン減税「国交省案」Q&A

国交省は先日、2014 年 4 月からの消費増税による住宅購入の駆け込み・落ち込みを抑える税 制改正要望案を政府税制調査会に提出しました。13 年末で期限が切れる住宅ローン減税を 5 年 間延長、最高減税額を 10 年間で 500 万円へ引上げ、実現すれば、過去最大規模の水準となりま す。また、ローン規模、所得が低い人向けに増税分で増えた負担分を現金で返金する案も盛り込 まれています。来年度の税制改正案は、年末にかけて詳細がつめられることになりますが、今月 号はその叩き台となる国交省案のポイントをQ&Aで解説しました。 一般社団法人 金融検定協会試験部 藤井耕一

前回の消費税率引上げ時(H9)と同様、駆込み需要とその反動で大幅な住宅着工の落 込みが発生するおそれがあります。今回の消費税率引き上げを踏まえた住宅取得対策は、 これら消費増税による住宅の需要減を押さえるのが狙いです。 * * * 2014 年 4 月と 15 年 10 月に消費税がそれぞれ 8%、10%に増税される予定ですが、住宅 購入は「一生最大の買い物」とされ購入額の規模が大きく、消費税の負担は重くなります。 このため、前回 1997 年 4 月に消費税が 3%から 5%に引上げられたときは、増税直前の 96 年度の住宅の着工戸数は駆け込み需要で押し上げられて 163 万戸に達しました。それが、 98 年度は 2 年前のより 45 万戸も少ない 118 万戸に急減し、住宅市場の悪化が景気冷え込み の大きな要因になったとの指摘は少なくありません(図表1参照)。 そのため、この8月に成立した消費増税法の中でも、住宅の駆け込み需要と反動減を抑 える対策を実施することが明記されています。

今回の住宅ローン減税案の狙いは何ですか。

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◆図表1 消費税率引上げに伴う住宅着工の影響(平成 9 年) 住宅着工戸数 前年からの増減 1995(平成 7)年度 1,485 万戸 - 1996(平成 8)年度 1,630 万戸 +10%(+15 万戸) 1997(平成 9)年度 (4 月 1 日に消費税(5%)導入) 1,341 万戸 △17.7%(△29 万戸) 1998(平成 10)年度 1,180 万戸 △12.0%(△16 万戸) (資料)住宅着工統計(国土交通省)

そもそも住宅購入にかかる消費税は、土地にはかからず新築物件なら建物部分のみで す。仮に図表2の【モデル】のように、建物が 2,500 万円の住宅を購入した場合、消費税 が 8%になる段階での税負担の増加は、125 万円から 200 万円へと単純計算では 75 万円、 消費税が 10%となると、200 万円から 250 万円へとさらに 50 万円のアップとなります。 ◆図表 2 住宅取得時の税負担 【モデル】 ・建物価格:2,500 万円 ・土地価格:2,000 万円 ・ローン借入額:2,500 万円(うち建物分:1,500 万円) 消費税率 5%の時 8%の時 10%の時 消費税 125 万円 200 万円 250 万円 取得時税負担合計※ 152 万円 227 万円 277 万円 ※保有税(固定資産税等)、他の流通税(不動産取得税、印紙税、登録免許税)を加えた負担額 (出所)「平成 25 年度国土交通省税制改正要望について」(国土交通省;平成 24 年 10 月 23 日)より

消費税増税で住宅取得時の税負担は、どのくらい増加しますか。

国交省案の所得税と住民税の減税案(住宅ローン減税)の内容は。また、そもそも現 在の住宅ローン控除制度はどのようになっていますか。

(3)

今回の住宅取得支援策の柱の一つは、住宅ローン減税です。住宅ローン減税は、2013 年末までの入居が減税の対象でしたが、国交省案では 18 年末まで 5 年間延長します。また、 現行の制度では、13 年に入居する人で、住宅ローン残高が 2,000 万円以上の人は、年間 20 万円ずつ(10 年間で最大 200 万円)減税される仕組みですが、これを拡大し、ローン残高 が 5,000 万円以上の人は、年間 50 万円ずつ(10 年間で最大 500 万円)減税されるようにす る、としています。 ◆図表 3 住宅ローン減税の拡充 現行制度の概要(H25 入居の場合) 拡充後の制度イメージ 借入限度額 最大控除額 (年間) 最 大 控 除 額 (通算) 借入限度額 最大控除額 (年間) 最大控除額 (通算) 2,000 万円 20 万円 200 万円 5,000 万円 50 万円 500 万円 (出所)「平成 25 年度国土交通省税制改正要望について」(国土交通省;平成 24 年 10 月 23 日)より 当初、財務省と国交省との調整では、減税期間を 10 年から 15 年に延長、控除額もいま の 1%から 2%に引上げる案が浮上し、これにより、15 年間を合計した減税額は最大で 1,000 万円規模になるとの想定もありました。しかし、ローン減税の拡充は「金持ち優遇」との 批判もあるため、国交省案では今回、現行の住宅ローン控除の枠組みを維持した上で、減 税額を 09 年、10 年と同水準にしました(図表 4 参照)。 <住宅ローン控除の概要> 個人が居住用住宅を取得もしくは一定の増改築を行い、取得等の日から6カ月以内に居 住の用に供した場合は、その住宅の取得および増改築のための借入金等を有するときは、 入居の年以降一定期間に亘り、住宅ローン控除の適用が受けられます。 住宅ローン控除を受けるためには、新築住宅の場合、以下の要件をすべて満たす必要が あります。 ①住宅取得後 6 カ月以内に入居し、引き続きすんでいること。 ②家屋の床面積が 50 ㎡以上。 ③床面積の 2 分の 1 以上が、専ら自己の居住の用に供されるものであること。 ④控除を受ける年の合計所得金額 3,000 万円以下。 ⑤民間の金融機関や住宅金融支援機構などの住宅ローンを利用していること。 ⑥住宅ローンの返済期間が 10 年以上で、分割して返済すること。 <住宅ローン控除制度の変遷> 住宅ローン控除制度は 2008 年 12 月 31 日に廃止される予定でしたが、景気対策のため、 控除額を拡充された上で延長されることになり、2009 年と 2010 年に入居する人に対しては、 年末残高の上限が 5,000 万円に増額されました。但し、入居が遅くなるほど対象額は段階

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的に減っていき、2014 年以降の入居では、制度自体が廃止される予定になっています(図 表 4 参照)。 ◆図表 4 現行の住宅ローン控除制度(一般の住宅の場合:認定長期優良住宅・認定省エネ住 宅を除く) 居住年 借入金の年末 残高の限度額 控除期間 控除率 最高 合計最高控除 額 2009 年 5,000 万円 50 万円 500 万円 2010 年 5,000 万円 50 万円 500 万円 2011 年 4,000 万円 10 年 1.0% 40 万円 400 万円 2012 年 3,000 万円 30 万円 300 万円 2013 年 2,000 万円 20 万円 200 万円 2014 年~ (廃止) (国交省案) 2014 年~2018 年 5,000 万円 10 年 1.0% 50 万円 500 万円

購入時にかかる登録免許税、印紙税、不動産取得税を非課税にすることも求めていま す。住宅を購入するときには、消費税のほかにも、印紙税、登録免許税、不動産取得税な どの税金がかかります。国交省案では、これら住宅の取得にかかる取引課税の非課税化も 要望しています。 ◆図表 5 不動産を取得した時の税金 税の種類 税がかかるケース 印紙税 売買契約書、工事請負契約書、住宅ローン契約書などを作成したとき 登録免許税 住宅の所有権保存(移転)登記、借入金の抵当権設定登記をするとき 不動産取得税 住宅やその敷地を取得するとき 消費税 建物を購入(建設)したとき

その他の税制措置には、どのようなものがありますか。

中低所得者対策として、現金給付などが挙げられていますが、どのような内容です か。

(5)

国交省案では、①住宅ローン現在の対象になる住民税の上限を、いまの年 9 万 7,500 円から引上げる、②また、こうした減税とは別に、住宅供給者に十分な現金給付をする措 置も検討する、としています。 ① 「住民税からの控除拡大」についての要望ですが、現在の住宅ローン減税は、所得 税から控除しきれない分を住民税からも控除できる制度となっているものの、住民税控除 については、「前年分課税所得×5%」か「9.75 万円」のいずれか低い額としています。その ため、住民税を 9.75 万円以上支払っていてもその分が控除されず、最大控除額まで届かな いケースが特に中堅所得者層に多く見られることから、9.75 万円の上限要件の緩和を要望 しています(図表 6 参照)。 ② また、減税では負担軽減に限界があるため、住宅取得に係る負担を増やさないため の「十分な給付措置(予算)が不可欠」という表現で購入補助をすることも盛り込んでい ます。 ◆ 図表6 年収に応じた税額/制度拡充後の住宅ローン減税の適用イメージ (ケース設定:借入額=3,000 万円、年間控除額=30 万円) (控除率は 1.0%と仮定) 年収 所得税額 住民税額 所 得 税 か ら の控除額 住 民 税 か ら の控除額 控除総額 控 除 し き れ ない額 400 万円 7.5 万円 16.6 万円※1 7.5 万円 7.5 万円※1 15.0 万円 15.0 万エ 500 万円 12.3 万円 24.2 万円 12.3 万円 9.75 万円 22.05 万円 7.95 万円 600 万円 19.3 万円 31.4 万円 19.3 万円 9.75 万円 29.05 万円 0.95 万円 700 万円 30.1 万円 39.4 万円 30.0 万円 0 30.0 万円 0 800 万円 46.1 万円 47.7 万円 30.0 万円 0 30.0 万円 0 900 万円 62.1 万円 56.3 万円 30.0 万円 0 30.0 万円 0 1,000 万円 79.3 万円 63.1 万円 30.0 万円 0 30.0 万円 0 モデル:夫婦+子 2 人(16 歳未満)の給与所得者 ※1:控除額上限要件により、住民税からの控除には限界。 ※2:中堅所得者は、ローン減税を拡充しても負担軽減効果が不十分(控除可能額を使い切れない) (出所)「平成 25 年度国土交通省税制改正要望について」(国土交通省;平成 24 年 10 月 23 日)より加工

国交省案は、市場の混乱を避けるため、こうした具体的な負担軽減策を早急にまとめ、 2012 年末までに消費者に明示するべきだと強調しています。 ※2

対策を決める時期や今後の税制改正法案の見通しはどうでしょうか。

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いずれにしても、これらの要望が法案として成立するには、年明けの通常国会で可決さ れる必要がありますが、その前提となる、年末の税制改正大綱に盛り込まれるかどうか、 政府・与党は国交省案をたたき台に、年末にかけて支援策の詳細を詰める構えです。12 月 16 日に総選挙の投開票が行われるなど今後の政治情勢は不透明ですが、今後の成り行きに 注目しておきたいものです。

(参考資料)「平成25年度国土交通省税制改正要望について」(国土交通省:平成24年10月23日)

Land, Infrastructure, Transport and Tourism

参照

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