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ファイナンスのための数学基礎 第1回 オリエンテーション、ベクトル

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Academic year: 2021

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(1)

時系列分析2

1 変量時系列モデルとその性質

担当: 長倉 大輔

(ながくらだいすけ)

(2)

一変量時系列モデルとその性質

 時系列モデル 時系列モデルとは時系列データを生み出すメカニズムと なるものである。 これは実際には未知である。私たちにできるのは観測さ れた時系列データからその背後にある時系列モデルを 推測、推定するだけである。 以下ではいくつかの代表的な時系列モデルを考察する。

(3)

一変量時系列モデルとその性質

 自己回帰モデル(Autoregressive Model) もっとも頻繁に使われる時系列モデルは自己回帰モデ ル(ARモデル)である。 p 次のARモデル(これをAR(p)モデルという)は以下のよ うに定義される。 ここで である。 t p t p t t t

c

y

y

y

y

1 1

2 2

)

(

W.N.

~

2

t

(4)

一変量時系列モデルとその性質

 AR(1)モデル まず p = 1 の場合を考えよう。 これはAR(1)モデルと呼ばれる。 このモデルは の時に定常となる。 以後は常に を仮定する。 このモデルの平均、自己共分散、自己相関はどのような t t t

c

y

y

1 1

1

|

|

1

1

|

|

1

(5)

一変量時系列モデルとその性質

 AR(1)モデルの期待値 定常性を仮定したので yt と yt–1 の期待値は同じ。 これを μ とおこう。 先ほどの両辺の期待をとって よってAR(1)モデルの期待値は となる。 1 1

1

c

c

1

1

c

(6)

一変量時系列モデルとその性質

 AR(1)モデルの分散 定常性を仮定したので yt と yt–1 の分散は同じ。 (分散は 0 次の共分散と等しいことに注意)。 これを γ0 とおこう。 先ほどの両辺の分散をとって( yt–k , k > 0 と εt の共分散 が 0 になることは後ほど示す) 2 1 2 0 2 0 2 1 0

1

(7)

一変量時系列モデルとその性質

 AR(1)モデルの自己共分散 yt と yt – k の共分散は となる。この漸化式を使えば より順に計算 できる。 1 1 1 1 , ) cov( ) , cov(         k k t t t k t t k y y y y      2 1 2 0

1

(8)

一変量時系列モデルとその性質

 AR(1)モデルの自己相関 yt と yt –k の自己相関は、先ほどの共分散の式の両辺を γ0で割って を得るので、この漸化式を使えば より順に計算 できる。 1 1 

k k

1

0

k k 1 3 1 3 2 1 2 1 1

,

,

,

,

(9)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 の時のAR(1)のコレログラム -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 の時のAR(1)のコレログラム 8 . 0 1   8 . 0 1   

(10)

一変量時系列モデルとその性質

 AR(1)モデルの自己相関の特徴 (1) 自己相関は 指数関数的に減少 (2) が負の時には振動しながら減少 (3) 自己相関のパターンが非常に単純 AR(1)モデルの自己相関の形状は制約的でより複雑な 自己相関を表すためにはより一般的なモデルが必要 ⇒ AR(p) モデル 1 

(11)

一変量時系列モデルとその性質

AR(p)モデルの期待値 定常性を仮定したので yt , yt–1, yt–2, …, yt–p の期待値は 同じ。これを μ とおこう。 AR(p) モデルの式の両辺の期待をとって よってAR(p)モデルの期待値は となる。 p p

c

c

2 1 2 1

1

p

c

1

1

(12)

一変量時系列モデルとその性質

AR(p)モデルの分散 AR(p) モデルの分散は で与えられる。 p p

2 2 1 1 2 0

1

(13)

宿題1 (提出する必要はありません)

AR(p) モデルの分散は で与えられる事を示しなさい。 p p

2 2 1 1 2 0

1

(14)

一変量時系列モデルとその性質

AR(p)モデルの自己共分散と自己相関 AR(p) モデルの自己共分散と自己相関は次の関係を満 たす。 下の式は特にユール・ウォーカー方程式と呼ばれる。 1 , 2 2 1 1      k k p kp k k        

1

,

2 2 1 1

k k p kp

k

k

(15)

一変量時系列モデルとその性質

AR(p)モデルの自己共分散の関係の確認 AR(p) モデル: は を用いると と書き直す事ができる。

,

2 2 1 1 t t p t p t t

c

y

y

y

y

p

c

2 1

1

,

)

(

)

(

1 1 t p t p t t

y

y

y

(16)

一変量時系列モデルとその性質

AR(p)モデルの自己共分散の関係の確認 この両辺に yt –k – μ をかけて期待をとると となる。自己相関の場合は自己共分散の関係を γ p k p k k k t t k t p t p k t t k t t k

y

E

y

y

E

y

y

E

y

y

E

        

2 2 1 1 1 1

)]

(

[

)]

)(

[(

)]

)(

[(

)]

)(

[(

(17)

一変量時系列モデルとその性質

例題 (AR (1) モデル) AR(1) モデル: において、 の時、yt が定常でない事を確認しなさい。 例題 (AR(2)モデル) AR(2) モデル: の 1 次と 2 次の自己相関、 と をユール・ウォーカー 方程式を使って求めなさい。 1  2 ) .( N . W ~ , 0 , 0 2 1 1     t t t t y y y  

)

.(

N

.

W

~

,

2 2 2 1 1

t t t t t

y

y

y

1

1

(18)

一変量時系列モデルとその性質

AR(p)モデルの定常性の条件 AR(1)モデルの定常性の条件は であった。 AR(p)モデルの定常性の条件は以下のようになる。 「多項式: のすべての 解の絶対値が 1 より大きい。」 AR(1) の場合は の解 の絶対値が 1 より大きい → 1 | |1  0 11z 2z2 pzp

0

1

1

z

z

1

/

1

1

|

|

(19)

1

2

1 1 2 –1 –2 –2

(20)

一変量時系列モデルとその性質

 移動平均モデル(Moving Average Model)

ARモデルと並んでよく使われる時系列モデルに 移動平均モデル(MAモデル)がある。 q 次のMAモデル(これをMA(q)モデルという)は以下の ように定義される。 ここで である。 q t q t t t t

c

y

1

1

2

2

)

(

W.N.

~

2

t

(21)

一変量時系列モデルとその性質

 MA(1)モデル まず q = 1 の場合を考えよう。 これはMA(1)モデルと呼ばれる。 このモデルの期待値、自己共分散、自己相関は以下の ようになる。 1 1 

t t t

y

(22)

一変量時系列モデルとその性質

 MA(1)モデルの期待値、 → MA(1)モデルは単純に切片が期待値である。



(

)

(

)

(

)

)

(

)

(

1 1 1 t t t t t

E

E

E

E

y

E

(23)

一変量時系列モデルとその性質

 MA(1)モデルの分散、自己共分散                                 1 for 0 1 for 0 for ) 1 ( ) , cov( ) , cov( ) , cov( ) , cov( ) , cov( ) , cov( 2 1 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 k k k y y k t t k t t k t t k t t k t k t t t k t t k                       

(24)

一変量時系列モデルとその性質

 MA(1)モデルの自己相関 自己共分散より → MA(1)モデルにおいて次数が 1 より大きい自己相関 は 0         1 for 0 1 for 1 12 1 k k k

(25)

-0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 の時のMA(1)のコレログラム 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 の時のMA(1)のコレログラム 8 . 0 1   8 . 0 1   

(26)

一変量時系列モデルとその性質

MA(q)モデルの期待値MA(q)モデルの自己共分散

      ( ) ) (yt E t 1 t 1 q t q E                     k q q k σ θ θ θ θ θ θ θ k σ θ θ θ γ k k k q k q q k for 0 1 for ) ( 0 for ) 1 ( 2 2 2 1 1 2 2 2 2 2 1  

(27)

一変量時系列モデルとその性質

MA(q)モデルの自己相関 → MA(q)モデルにおいて次数が q より大きい自己相関 は 0 MA(2)モデル: yt = εt + θ1εt–1 + θ2 εt–2 のコレログラムは 以下のようになる。                  q k q k q q k q k k k for 0 1 for 1 12 2 1 1          

(28)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 -0.7 -0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0.2 0.3 0.4 0.5 -0.1 0 0.1 0.2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 2 . 0 , 8 . 0 2 1     1  0.8, 2  0.2 2 . 0 , 8 . 0 2 1      1  0.8, 2  0.2

(29)

一変量時系列モデルとその性質

MA(q)モデルの問題点

q 次の自己相関をモデル化するために q +1個のパラメ ーターが必要となる。したがって、長期間の依存関係を 表すためには多くのパラメーターが必要となる。

(30)

一変量時系列モデルとその性質

 自己回帰移動平均(Autoregressive Moving Average)

モデル AR モデルの特徴とMAモデルの特徴の両方を持つモ デルである。ARMAモデルと呼ばれる。 ARMA(p, q)モデルは以下のように定義される ここで ε ~ W.N. (σ2) である。 q t q t t t p t p t t t c y y y y               

  2 2 1 1 2 2 1 1

(31)

一変量時系列モデルとその性質

 ARMAモデルの特徴 ARMA モデルは以下の特徴を持つ。 (1) (2) q + 1 次以降の自己共分散と自己相関は以下の方 程式(ユールウォーカー方程式)に従う。 (q 次までの自己共分散、自己相関は一般的に表現する p c           2 1 1 1 , 2 2 1 1       k k p kp k q k         1 , 2 2 1 1       k k p kp k q k        

(32)

一変量時系列モデルとその性質

 ARMAモデルの特徴 (3) ARMAモデルの定常性の条件はARモデルと同じで ある。すなわち 「p次の多項式: のすべて の解の絶対値が 1 より大きい。」 以下はARMA(1, 1) モデルのコレログラムである。 0 11z 2z2 pzp

(33)

5

.

0

,

2

.

0

1 1

1

0

.

5

,

1

0

.

8

5 . 0 , 9 . 0 1 1      -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 8 . 0 , 9 . 0 1 1     

(34)

演習問題

問題 1 AR(1) モデル: を MA(∞)モデル: で表した時の θi はどのようになるか? t t t y y

1 1

     1 i i t i t t y

(35)

演習問題

問題 2 次のモデルの中で定常なモデルを全て選べ (a) (b) (c) (d) (e) ) ( W.N. ~ , 2 tt  2 t y   ) ( W.N. ~ , 2 1

t t t t y   ) ( W.N. ~ , 3 . 0

1

2

t t t t y   ) ( W.N. ~ , 5 . 0 t 1

t

t

2 t y y  ) ( W.N. ~ , 4 . 0 3 . 1 t 1 t 2

t

t

2 t y y y

(36)

宿題2 (提出する必要はありません)

ある時系列データの 1次の自己相関は 0.9、2次以上の 自己相関は 0 であった。この時系列データをMA(1)モデ ルで表すことは可能か?もし可能であるならばその時の θ1 の値はいくつか? また別の時系列データの 1次の自己相関は 0.4、2次以 上の自己相関は 0 であった。この時系列データをMA(1) モデルで表すことは可能か?もし可能であるならばその 時の θ1 の値はいくつか?

(37)

宿題3 (提出する必要はありません)

MA(2) モデル: について (1) E(yt) を求めよ。 (2) γ0 , γ1, γ2を求めよ。 (3) k > 2 に対して γk = 0 となる事を確認せよ。 2 2 1 1      t t t t y     

(38)

宿題4 (提出する必要はありません)

ARMA(1, 1)過程 について以下の問いに答えよ。 (1) 定常性の条件を求めよ。 (2) yt の期待値 μ を求めよ。 (3) γ0を求めよ(ヒント:cov(yt–1, εt) = 0, cov(yt–1, εt–1) = σ2)。 (4) γ1を求めよ。 (5) ρ1を求めよ。 (6) ユールウォーカー方程式を用いて k >1 において ρ を求めよ。 ) .( . ~ , 2 1 1 1 1       y W N c yt   ttt t

(39)

一変量時系列モデルとその性質

 ラグ・オペレーターを用いた表現と応用

これまで示してきた AR, MA, ARMAモデルはラグ・オペ

レーターと呼ばれるものを使うと簡単に表現できる。 ラグ・オペレーター(これを L と書く)とは次のように時点 を 1 つ前の時点に戻す操作を行う。 L yt = yt –1 これを k 回行う、すなわち L を k 回 “掛ける” と Lk yt = yt–k のように 時点が k 個前にもどる。また L0 = 1 とする。

(40)

一変量時系列モデルとその性質

AR(p)モデルのラグ・オペレーターを用いた表現 AR(p)モデル: はラグ・オペレータを用いると ) .( N . W ~ , 2 1 1

t p t p t t t c y y y    t t p p t t p p t t t t p p t t c y L c y L L c y L Ly y y L Ly c y                                ) ( ) 1 ( 1 1 1   

(41)

一変量時系列モデルとその性質

MA(q)モデルのラグ・オペレーターを用いた表現 同様に、MA(q)モデル: はラグ・オペレータを用いると と表す事ができる。ここで θq(L) = 1 + θ1L + … + θq Lq という L の q 次の多項式を表す。 ) .( N . W ~ , 2 1 1        t t q t q t t y     t q t t q q t t q q t t t L y L L y L L y              ) ( ) 1 ( 1 1                

(42)

一変量時系列モデルとその性質

ARMA(p, q)モデルのラグ・オペレーターを用いた表現 同様に、ARMA(p, q)モデル: はラグ・オペレータを用いると と表す事ができる。ここで , および θ である。 ) .( N . W ~ , 2 1 1 1 1          t q t q t t p t p t t c y y y              t q t p L y cL   ( )   ( ) p p p LLL  ( ) 1 1 

参照

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