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A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

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親族間取引の税務【Q&A】

福田和仁

相談部 東京相談室 夫婦間、親子間などの親族間では、不動産の譲渡や生命保険金を利用した金銭の移転、 居住用財産を取得するための金銭等の贈与など、さまざまな取引がよく行われます。 一方、取引後において、思わぬ税金が課税されることがないように、親族間取引に関 する税務を理解しておく必要があります。 今回は、身近によくある親族間取引のケースに基づいて、その税務の取り扱いを解説 します。

1. 「夫婦間の連帯債務の引き受け(肩代わり)する」ケース

Q. 私ども夫婦は、10 年前に夫婦の共有名義で、現在の一戸建ての自宅(土地建物)を自 己資金とローンにより購入しました。当時は、夫婦共稼ぎで双方に収入があり、ローン は夫婦連帯債務の住宅ローンとしましたが、妻が退職したため、今後はローン残高のう ち、妻の負担部分も私が負担したいと考えています。税務上、課税が生じる場合がある と聞きましたが、どのようなことなのでしょうか。 なお、自宅取得時の資金負担状況などは以下のとおりです(注)。 注:土地建物を譲渡した場合に、譲渡所得の金額の計算上、取得費とされる金額(建物は減価の額を反映し た金額)を「簿価」とし、建物の時価は簿価と同額としています。 [単位:万円] 夫 妻 合計 負担額 (持分) 3,000 (30/50) 2,000 (20/50) 5,000 自己資金 500 500 1,000 ローン負担部分 2,500 1,500 4,000 ローン現在残高 2,300 1,380 3,680 土地 建物 合計 当初取得価額 3,200 1,800 5,000 現在の簿価 3,200 1,600 4,800 現在の時価 3,000 1,600 4,600 2017.10.16

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A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に、財産を贈与することを「負担付贈与」とい います。本ケースでは、夫は①妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに、②妻の自宅の所有 権持分を取得する(持分の贈与を受ける・以下持分と記載)――ことになります。したがって、 夫は①と②を合わせ、妻から負担付贈与を受けることになります。 また、不動産などの譲渡所得の基因となる資産の負担付贈与をした場合は、その負担が他の 者に移転することが贈与者に経済的利益をもたらすきは、贈与者がその資産を有償で譲渡した こととされています。このケースでは、贈与者である妻にローン債務(負担)がなくなる経済 的利益がもたらされますので、妻が自己の持分を夫に有償で譲渡したことになります。 負担付贈与における贈与課税と譲渡所得課税については、移転する資産の時価のうち、その 負担額を超える部分が贈与税、移転する負担額に対応する部分が譲渡所得課税――と各々され ます。負担付贈与により贈与された財産が土地建物等である場合は、贈与税の課税は、負担が ない場合の評価額(土地であれば路線価による評価額など)ではなく、その贈与の時における 通常の取引価額(時価)に相当する金額から負担額を控除した価額によることとなっています。 以上により、妻の自宅持分の全部の移転を受けるとした場合の贈与税の課税は、次のように なります。 これに対し、次のように持分の一部(15/50)の移転にとどめれば、贈与は生じないことにな ります。 また、移転する持分をこれよりさらに少なくすると、移転する持分の時価より負担額のほう が大きくなり、逆に、夫から妻への贈与が生じることとなります。ただし、いずれの場合も、 贈与したとされる金額が贈与税の基礎控除の範囲内であれば贈与税は課税されません。 譲渡所得の金額の計算については、負担額が譲渡対価の額とされ、移転する持分の簿価が取 得費とされます。上記の贈与が生じない持分の一部(15/50)を移転する場合は、次のようにな ります。 持分の時価[4,600 万円×20/50=1,840 万円]- 負担額[1,380 万円] =贈与税の課税価格[460 万円] 贈与税の基礎控除額を超える金額[460 万円-110 万円=350 万円]に贈与税が課税されます。 持分の時価[4,600 万円×15/50=1,380 万円]-負担額[1,380 万円] =贈与税の課税価格[0 万円]

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このように、連帯債務の引き受けに際しては、贈与課税、さらには譲渡所得課税も考慮した うえで、どれだけの持分を移転するかを検討する必要があります。前述のケースでは、妻の持 分の一部の移転にとどめることにより贈与税は課税されず、また、その場合には譲渡所得課税 もされないことを示しましたが、これらの課税は、移転する財産の時価、負担額および譲渡所 得の取得費となる金額のそれぞれによって決まるものであり、個々のケースごとに確認、検討 すべきものと考えられます

2. 「親の家を子が増改築する」ケース

Q. 現在、親と同居しています。親所有の建物(築 35 年の木造建築)の老朽化が進み、内 外装の増改築を行うことになりました。増改築資金は、子である私が全額負担する予定 です。この場合、増改築後の建物全体が私ではなく親名義となってしまい(民法上の「附 合」)、課税が生じると聞きました。課税が生じないようにするには、どうしたらよいで しょうか。建物の時価は 100 万円、増改築費用は 500 万円です。 A. 本ケースの「附合」とは、不動産に追加的に付着した物は、元の所有者が所有権を取得した ものとされることをいいます。したがって、親名義の建物について、子が資金を負担して行っ た増改築部分は親が取得したものとされ、税務上、その増改築資金に相当する金額(500 万円) が子から親に贈与されたことになります。 このように「附合」による贈与税の課税を回避するための一般的な方法としては、増改築資 金の負担者が、当該資金の額に相当する増改築後の不動産持分を不動産の所有者から移転を受 ける方法があり、負担額と移転資産の時価が等価となっている限り、贈与の問題は生じません。 この負担額と移転資産の時価を等価とするための持分の移転割合は、次のとおり計算します。 増改築後の建物について、500 万円 /(100 万円+500 万円)=5/6 の持分を親から子に移転 すれば、贈与は生じないことになります(これと異なる移転割合とすることにより、贈与が生 じたとしても基礎控除の範囲内であれば贈与税は課税されません)。 また、本ケースについても、不動産持分の譲渡であるので、前項「『夫婦間の連帯債務の引き 受け(肩代わり)する』ケース」で検討したように、贈与税だけでなく、譲渡所得の検討が必 負担額[1,380 万円]- 取得費[4,800 万円×15/50=1,440 万円] =譲渡所得金額[▲60 万円] 譲渡損となるので、譲渡所得課税は行われません。 増改築費用の額/不動産の増改築後の時価(=不動産の増改築前の時価+増改築費用の額)

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要となります。この場合の譲渡所得の金額は、負担する増改築費用の額が譲渡対価の額であり、 取得費は次の算式で計算されます(ここでは、減価償却資産の減価の額を考慮した金額を「簿 価」とし、前述の贈与を生じさせない移転割合によるものとしています)。 建物の増改築で、増改築前の簿価と増改築前の時価が同額である場合は、上記算式により、 取得費=増改築費用の額となり、譲渡所得の金額(譲渡対価の額-取得費)はゼロとなります。 なお、子が増改築に係る住宅借入金等を借り受け、住宅ローン控除の適用を受けようとする 場合は、増改築をする時点ですでに建物の持分を有していることが要件となるため、増改築前 に、親の建物の一定の持分を子に移転しておく必要があります。そのためには、持分の贈与、 あるいは有償での持分譲渡の方法が考えられますが、それらに関係する贈与税や譲渡所得の課 税関係にも留意が必要となります

3. 「生命保険契約の契約者を変更する」ケース

Q. このたび、私は実母の姉(伯母)から、平準払い個人年金保険契約の契約者変更の要 請を受け、私が引き続き毎月支払う保険料を負担することを承諾しました(被保険者は 実母)。この場合、死亡保険金の受け取りなどにおける税務上の取り扱いは、どのように なりますか(死亡保険金の金額、年金受取総額ともに払込保険料総額を超えるものとし ます)。 A. 本ケースの当初保険契約は、契約者(伯母・保険料負担者)以外の者(実母)を被保険者と し、死亡保険金・年金の受取人は契約者自身とするものです。今回の変更が行われないとすれ ば、死亡保険金・年金の受け取りに際し、契約者である伯母に所得税と住民税が課税されるこ とになります。 この保険契約は、保険料を毎月支払う平準払いの契約であり、契約者変更後は「私」が毎月 支払う保険料を負担することになります。また、死亡保険金・年金の受取人も「私」に変更と なりますので、変更後に「私」が支払った支払保険料に対応する部分の死亡保険金・年金は、 変更後の契約者である「私」に対し所得税・住民税が課税されることになります。一方、伯母 が負担した支払保険料に対応する部分は、契約者変更によって「私」に引き継がれることで、 伯母より引き継いだ平準払い個人年金保険の契約者としての地位として、一定の定めによる生 命保険金の権利として評価され、伯母から贈与により取得した財産とされます。 ここで問題となるのは、いつ贈与税が課税されるのかということです。保険契約者の変更時 には贈与税の課税はされず、「私」が期間満了により、個人年金の支払いを受けた場合や、実際 に被保険者(実母)が死亡して死亡保険金を受け取った時に課税が行われることになります。 したがって、契約者変更後に被保険者である実母が死亡した場合の死亡保険金または個人年 金の支払いを受ける場合の課税関係を整理すると、保険料の負担割合に応じ以下のとおりとな 取得費=不動産の増改築後の簿価(=不動産の増改築前の簿価+増改築費用の額)×移転割合※ ※増改築費用の額/不動産の増改築後の時価(=不動産の増改築前の時価+増改築費用の額)

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ります。 ・贈与税:死亡保険金の金額又は年金受給権の評価額のうち、伯母が負担した保険料金額の、 保険料総額(伯母及び私が負担した保険料金額の合計額)に対する割合に応ずる部 分の金額 ・所得税:死亡保険金の金額又は年金受給権の評価額のうち、私が負担した保険料金額の、保 険料総額(伯母および私が負担した保険料金額の合計額)に対する割合に応ずる部 分の金額 なお、このような保険契約者の変更について、税務当局に課税に必要な情報を適切に提供す る趣旨で、平成 27 年度税制改正では、保険会社が作成する支払調書の見直しが行われました(平 成 30 年1月1日以後に支払が確定する生命保険金等で、同日以後に契約者の変更が行われたも のについて適用)。 みずほ総合研究所 相談部東京相談室 03-3591-7077 / 大阪相談室 06-6226-1701 http://www.mizuho-ri.co.jp/service/membership/advice/ 本情報は、法律、会計、税務などの一般的な説明です。個別具体的な法律上、会計上、税務上等の判断や対策などについては専門家 (弁護士、公認会計士、税理士など)にご相談ください。また、本情報の全部または一部を無断で複写・複製(コピー)することは著作権法 上での例外を除き、禁じられています。 内容は2017年3月27日時点の情報に基づいて作成されたものです。

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