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概論 : 人工の爆発と自然地震の違い ~ 波形の違いを調べる前に ~ 人為起源の爆発が起こり得ない場所がある 震源決定の結果から 人為起源の爆発ではない事象が ある程度ふるい分けられる 1 深い場所 ( 深さ約 2km 以上での爆発は困難 ) 2 海底下 ( 海底下での爆発は技術的に困難 ) 海中や

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地震波からみた自然地震と爆発の

識別について

平成22年9月9日

(2)

概論:人工の爆発と自然地震の違い

∼波形の違いを調べる前に∼ 人為起源の爆発が起こり得ない場所がある →震源決定の結果から、人為起源の爆発ではない事象が、 ある程度ふるい分けられる ①深い場所(深さ約2km以上での爆発は困難) ②海底下 (海底下での爆発は技術的に困難) ※海中や海底上での爆発は、地震波とともに水中音波として 捉えられる。→水中音波観測点と一部の地震観測点 震源決定の結果は、爆発と自然地震を区別する最 も重要な判断材料にもなる。 特に震源の深さは重要なファクター。

(3)

概論:人工の爆発と自然地震の違い

 爆発は、同じ規模の自然地震と比較して、破壊 の開始から終了までの時間が短い。 →爆発の方が周波数の高い地震波がより多く観測される 傾向にある。  自然地震は断層面を境にした“ずれ”であるの に対して、爆発は中心から均等に外へ向かう (膨張する)方向のみの運動。 →P波初動に違いが出る(後述) これらの違いが波形の違いとして捉えられる

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概論:人工の爆発と自然地震の違い

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既存の事象識別手法の有効性検討

既存手法の多くは、比較的規模が大きい核実験が実施さ れていた時代に研究された ①地震波形の形状の違い ---見た目の違い ②mb:Ms ③Regional P/S Ratio ④P波初動極性P波複雑度

⑥Spectral Ratio、Third Moment of Frequency

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①地震波形の形状の違い

JNU(大分) 距離 約900km

北朝鮮核実験1回目

北朝鮮核実験2回目

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①地震波形の形状の違い

NVAR(ネバダ) 距離 約9000km 北朝鮮核実験1回目 北朝鮮核実験2回目 自然地震 ある程度波形を見慣れていれば、爆発と 自然地震の識別がある程度は可能 深い地震も同様な波形になるので要注意

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②mb:Ms

mb:実体波マグニチュード。P波の初動から5秒以内の最大振 幅をもとに算出したマグニチュード。 Ms:表面波マグニチュード。周期の長い表面波と呼ばれる波 をもとに算出したマグニチュード。 爆発事象のMsが、自然地震に比べて小さくなる性 質を利用(識別手法としては最もポピュラー)

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②mb:Ms

2.5 3 3.5 4 4.5 3 3.5 4 4.5 5 mb M s 2nd Nuclear Test Natural Event Threshold(IDC) Explosion Earthquake mb vs Msによる核実験と朝鮮半島周辺の自然地震との比較 1回目の核実験は表面波が検知されなかったためMsが算出されていない。 1.25mb-Ms=2.20 IDCにおけるEvent Screeningの目安 爆発と自然地震の境界付近にあるものの、mb:Msでは2回 目の核実験は識別できなかった。 爆発の規模が小さい場合、この手法による識別は困難。 自然地震 爆発

(10)

③Regional P/S Ratio

爆発事象ではS波が発生しにくく、その振幅がP波に比 べて小さくなる性質を利用 Regional Distance(震源からの距離1800km以内)の観測点の波形をもとに計算 Regional P/S Ratio = (P波の振幅)/(S波の振幅) →爆発事象はP/S Ratioが大きくなる KSRS(韓国) 北朝鮮核実験2回目 自然地震 P P S S

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③Regional P/S Ratio

-2 -1 0 1 2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 Distance(deg) L O G (P n / L g) Nuclear Test Natural Event 爆発事象と自然地震とのRegional P/S Ratioの比較 地点ごとの計算値を震源からの距離に応じてプロット 規模の小さいイベントに対しても良好な結果が得られた。 ただし、震源の近く(距離1800km以内)に観測点が必要 値が大きいほど 爆発らしい

(12)

③Regional P/S Ratio(発展型)

爆発事象と自然地震との周波数別P/S ratioの比較 mbが3.5以上、震央距離3∼6°の観測点のデータを使用 右図はShin et al.(2009)による解析 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Frequency[Hz] L o g( P n / L g) -x- 2nd Nuclear Test -o- Natural Event

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P波初動極性

爆発では、 “押し” のP波初動しか観測されず、“引 き”が観測されないことを利用

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P波初動極性

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P波初動極性

2回目の核実験を対象に初動極性を調べたところ、初動が “引き”のように見えるシグナルが多数存在し、容易には 識別できない。 初動が“引き”と判定されてしまう例 距離が離れると初動がノイズに埋もれて正しく読み取れない。 今回の規模の事象で正しく極性を読み取れるのは、震央距離が およそ10°以下の地点に限られる。→利用可能な地点数少ない

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P波複雑度

爆発はP波の継続時間が短く、波形が単純な形状 となる傾向にある、という性質を利用 シグナルの大半が初動付近にあって、P波の継続 時間が短い →複雑度の値は小さくなる 複雑度=5∼30秒の振幅の積分 0∼5秒の振幅の積分 北朝鮮核実験2回目 MKAR(カザフスタン) 複雑度:0.65 P波の到達時刻を基準として

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P波複雑度

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 3 3.5 4 4.5 5 mb C o m p l e x i t y 2nd Nuclear Test 1st Nuclear Test Natural Event Chemical Expl. ・爆発は複雑度が小さい傾向だが、自然地震でも複雑度が小さ いものがある。 ・マグニチュードが小さいと爆発と自然地震の区別は困難 自然地震と爆発事象との複雑度の比較 イベントごとの複雑度平均値をmbに応じてプロット 値が小さいほど 爆発らしい 1以下が目安

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P波複雑度

爆発事象のような特徴を持つ自然地震の波形の例 mb=4.6、複雑度はイベント平均で1.64

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⑥Spectral Ratio・Third Moment of Frequency

爆発では、自然地震に比べて周波数が高い(波長が短 い)成分の波が卓越する性質を利用 ここで、A(f):スペクトル密度 l1=0.35Hzl2=0.85Hzh1=1.45Hzh2=1.95Hz ここでf0=5.0Hz(IDCに準拠)

ò

ò

= 2 1 2 1 ) ( ) ( l l h h df f A df f A SR Spectral Ratio 3 1 0 0 0 0 3 ) ( ) ( ú ú ú û ù ê ê ê ë é =

ò

ò

f f df f A df f A f TMF Third Moment of Frequency 高周波数成分/低周波数成分 平均周波数のようなもの いずれも爆発では大 きい値をとる(はず)

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⑥Spectral Ratio・Third Moment of Frequency

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 3 3.5 4 4.5 5 mb S p e c t r a l R a t i o 2nd Nuclear Test 1st Nuclear Test Natural Event Chemical Expl. 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 3 3.5 4 4.5 5 mb T h i r d M o m e n t o f F r e q u e n c y 2nd Nuclear Test 1st Nuclear Test Natural Event Chemical Expl. 爆発事象と自然地震とのSR(左)・TMF(右)の比較 イベントごとの平均値をmbに応じてプロット いずれも爆発と自然地震の区別は困難 →震源周辺の地点以外では、高周波数成分が減衰して自然地 震との差がなくなってしまうのが原因と思われる。 値が大きいほど 爆発らしい

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⑥Spectral Ratio・Third Moment of Frequency

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 3 3.5 4 4.5 5 mb T h i r d M o m e n t o f F r e q u e n c y 2nd Nuclear Test 1st Nuclear Test Natural Event Chemical Expl. 震源に近い地点のみ使用すると、2回目の核実験におけるTMF の値が改善された。 →識別に利用できる可能性 ただし、mbの小さい他の爆発事象では自然地震との区別は困難 爆発事象と自然地震とのTMF(震源周辺の地点のみ)の比較 TMFの算出には震源からの距離20°以内の地点のみ使用

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まとめ

現段階では爆発事象かどうかを識別するための手 段として最も信頼性が高いのは、解析者による波形 の観察であり、既存の識別手法により算出される指 標値のみで機械的に識別するのは困難。 自然現象の持つ“ゆらぎ”のために、自然地震でも 爆発事象のような特徴を示す事象も存在する。 規模の小さい爆発事象については、検知される観測 点が少なくなることと、自然地震も爆発に似た特徴を 現し始めるため、自然地震との区別がつきにくい。

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まとめ

一方で、解析者の熟度や主観に依らずより客観的 に爆発事象を識別でき、かつ信頼性の高い指標が 必要である。 Regional P/S Ratioが有力であったほか、その他の 手法でも震源に近い地点のデータを用いれば、有効 と思われるものがいくつかあった。 今後、実運用に耐えると思われる識別手法の選択と 精度向上に向けた解析方法の改善、新手法の研究 が必要である。

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END

参照

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