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IDE-GSMで用いるデータ

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Academic year: 2021

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第4章

IDE-GSM で用いるデータ

坪田 建明・熊谷 聡

IDE-GSM を用いてシミュレーションを実行するには、2種類のデータが必要となる。 一つは、地域別の人口、土地面積および産業別GDP といった経済地理データである。も う一つは、各地域間を結ぶルート・データである。本章では、この二種類のデータとその 作成方法・作成状況について解説する。 第1節 経済地理データ IDE-GSMでは、東アジア各国を中心に、2005 年時点の地域別人口・GDPなどの情報を 用いてシミュレーションを行っている。IDE-GSMは、現状では農業、製造業(5部門)、 サービス業の7部門に分かれているが、将来的な拡張および経済地理データ自体を利用し た研究がより容易になるように、より細かい産業分類でのデータ作成を行っている。ここ では、IDE-GSMでの利用を念頭に作成されたデータを、「アジア経済地理データセット」 と呼ぶ。なお、本データの一部情報は、アジア経済研究所のウェブ上1で公開されている。 アジア経済地理データセットは、東アジア地域(ASEAN10+日本、中国、韓国、台湾、 インド、バングラデシュ)の地方レベルでの産業別GDP および人口・面積の 2005 年につ いてのデータである。本データセットでは、各地方のGDP が農林漁業、鉱業、製造業(最 大16 部門)、サービス業(最大7部門)の最大 25 部門別に掲載されている。GDP は名目 額で、International Financial Statistics(IFS)の 2005 年期中平均レートを用いて名目米 ドルに統一されている。 本データの地理区分は基本的に各国の行政区分を踏襲している。香港、マカオ、シンガ ポール、ブルネイを除いて、各国の地理区分は国より一つ下の行政区分を採用しているが、 中国、インド、インドネシア、バングラデシュ、ミャンマーについては、国より2つ下の 行政区分でデータを作成している。 本データセットは、IDE-GSM での使用を前提にしながらも、より汎用性を持たせたデ ータセットで、東アジア各国について地方レベルでの部門別GDP や人口を含む統一的な データセットを作成する先駆的な試みとして作成された。本データセットの作成において

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は、精度の確保に努めながらも、出来るだけ多くの国・地域・産業部門についてデータを 作成することを優先した。アジア各国のデータ作成の詳細についてはHP を参照されたい。 1.1 行政区分 本データの地理区分は基本的に各国の2005 年時点の行政区分を踏襲していが、データ の入手状況や分析単位としての妥当性を考慮して、若干の変更がある。香港、マカオ、シ ンガポール、ブルネイを除いて、各国の地理区分は国より一つ下の行政区分を採用してい るが、中国、インド、インドネシア、バングラデシュ、ミャンマーについては、国より2 つ下の行政区分でデータを作成している。各国の経済地理データの詳細については表4- 1の通りである。 表4−1 アジア経済地理データセット(2005)で採用された行政区分 国・地域 行政区画のレベル 行政区画名 行政区画数 Bangladesh 第2級 地区 64 Brunei Darussalam - 国 1 Cambodia 第1級 州 24 China 第2級 自治州・県・自治県・ 市 344 Hong Kong - 全域 1 India 第2級 県 583 Indonesia 第2級 県・市 435 Japan 第1級 県 47 Korea 第1級 特別市・広域市・道・ 特別自治道 16 Laos 第1級 県・首都 17 Macao - 全域 1 Malaysia 第1級 州・連邦直轄領 15 Myanmar 第2級 県 67 Philippines 第1級 地方 17 Singapore - 国 1 Taiwan 第1級 直轄市・省轄市・県 25 Thailand 第1級 県 76 Vietnam 第1級 省・中央直轄地 61

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1.2 産業分類 東アジア経済地理データセットで用いられる産業分類(IDE-GSM 共通産業分類)は、 製造業については国際標準産業分類(ISIC Rev.3)の中分類、その他の部門については同 大分類を集計したものである。農林漁業、鉱業、製造業(最大16 部門)、サービス業(最 大7部門)の最大 25 部門となっている。各部門番号については、アジア経済研究所が作 成しているアジア国際産業連関表 24 部門表における部門番号と対応する形で付与してい る。 1.3 IDE-GSM における産業分類 IDE-GSM では独自の産業分類を採用している。そのため、前節の経済地理データセッ トのデータを、表4-2における GSMIC(Geographical Simulation Model Industrial Classification)に従って集計することで地域ごとの7部門データを作成している。7部門 は、農業・5部門の製造業・サービス業から構成されている。5部門の製造業は、自動車 製造(M1)・電子電気機械器具製造業(M2)・繊維産業(M3)・食品製造業(M4)・その他製造 業(M5)としている。

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1.4 その他の国々 IDE-GSM では、東アジア地域以外の国々については、一カ国を首都で代表される1地 域として約80 カ国のデータを組み込んでいる。これにより、IDE-GSM によってカバーさ れている地域の人口は51.8 億人、GDP は 42.5 兆 USD に達し、これは、世界全体の人口 の80%、GDP の 93.9%をカバーしている。次節で説明するように空路・海路・陸路で各 都市はつながれることとなる。東アジア地域以外の国々については、各国ごとに乗降客数 の最も多い空港と荷揚げ総トン数の最も大きい港を加えており、これらを介して全世界の 交通ネットワークに接続している。 第2節 ルート・データ IDE-GSM では、地域間の物流ルートを現実に即した形で分析に組み込むため、地域間 の交通ネットワークを①道路・②海路・③空路・④鉄道の4種類の輸送モードに分けて作 成している。相互のネットワークは連結されており、始点から終点までの間で複数の輸送 モードを組み合わせることが可能な構造となっている。 2.1 道路

道路網は、UNESCAPが提供しているAsian Highway Mapを再現できるように作成し た (図4-1を参照) 2Asian Highwayとして登録されている道路は主要な国道であるた め、これに該当しないルートについては、各国の地図またはGoogle Mapから特定して収録 している。道路は、都市と都市を繋ぐルートとして定義されている。表4-3はアジア各 国の国内ルート数と国境を跨ぐルートの数を示したものである。必然的に国土面積が大き な国はルート数が大きくなっている。 表4-3 国別道路網 ルート数 国内 国際 Bangladesh 109 10 Brunei Darussalam 1 4 Cambodia 39 9 China 1169 18 Hong Kong 0 1 2国土交通省によるAsian Highway の解説は次の HP を参照。

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India 1546 21 Indonesia 784 4 Korea 47 2 Laos 40 17 Macao 0 1 Malaysia 65 14 Myanmar 107 9 Singapore 3 2 Thailand 253 15 Vietnam 97 14 2.2 海路 各国の主要港を収録しており、アジア各国については船舶の運航データを集計したもの を用いて港間ルートを作成した。表2-4は各国別の港数を示している。国土面積が大き い場合と、島嶼国では港の数が必然的に多くなっている。アジア域内の海路については海 運データを独自集計したデータを用いて海路を設定している。 表4-4 国別港数 国名 港数 Bangladesh 2 Brunei Darussalam 1 Cambodia 1 China 32 Hong Kong 1 India 16 Indonesia 34 Korea 9 Malaysia 9 Myanmar 6 Philippines 31 Singapore 2 Taiwan 5 Thailand 6 Vietnam 9

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2.3 空路 各国の主要空港を収録しており、世界各国の空港会社の航路情報を集計した上で各国の 空港間ルートを作成した。各空港は陸路で道路ネットワークに接続している。 表4-5 国別空港数 国名 ルート数 Bangladesh 1 Brunei Darussalam 1 Cambodia 2 China 10 Hong Kong 1 India 7 Indonesia 3 Korea 2 Malaysia 5 Myanmar 2 Philippines 8 Singapore 1 Taiwan 1 Thailand 7 Vietnam 3 2.4 鉄道 中国から東南アジアに至る鉄道網が収録されている。データは各国地図または Google Map を利用して主要駅の所在地を確認し、鉄道地図から鉄道網データを構築している。鉄 道ネットワークは各駅から陸路につながっている。 表4-6 国別駅数 国名 ルート数 Cambodia 8 China 239 Hong Kong 1 Malaysia 20 Myanmar 18

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Singapore 3 Thailand 43 Vietnam 29 2.5 ルート・データの詳細 IDE-GSM では、地域間を結ぶ詳細なルート・データから、任意の二地域間の輸送費用 を産業別に計算している。1つのルート・データは以下のような項目から成っている。 Start:ルートの始点となる都市名 End:ルートの終点となる都市名 Name:ルートの名称 Distance:始点・終点間の距離 Speed:ルート上の移動速度 Border:ルートが国境をまたぐ場合は1,それ以外は0の値をとる Overhead:通関や駅、空港等での待ち時間 Loading:主に通関コスト Mode:道路..0、海路..1、空路..2、鉄道..3 Quality:ルートの質。ルート速度を規定する Oneway:ルートを一方向にしか通行できない場合は1,それ以外は0の値をとる Freight:人・貨物の両方を輸送可能..0、貨物のみ輸送可能..1,人のみ輸送可能..2 現在のところ、ルート数は陸路が約6550、海路が約 950、空路が約 2050、鉄道が約 450 となっている。図4−2は東アジア地域の道路を示している。 3. まとめ 2010 年データについては、各国統計資料をもとに 2005 年と同様に収集を行っている。 この2 年間の研究プロジェクトでは、本プロジェクトが始まった当初よりも詳細なデータ を収集することを目標としているため、いくつかの困難が想定されているが、各国統計局 や研究者との連携を強めていくことで状況の打開がなされていくことだろう。 また、時々刻々と変化しているのはインフラに関しても同様である。UNESCAP や各国 政府の公表しているインフラ改善の進捗状況を更新することで、より精度の高いルート・ データを構築していくことになるだろう。 参考文献

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図4−1 Asian Highway Route Map

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参照

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