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ものであるから 法定相続における遺産分割とパラレルに考えるべき事案であって 相続による不動産の取得 として 法 7 3 条の 7 第 1 号を適用して非課税とされるべきものである 処分庁は 私的取引社会における事実の流れを勝手に分断し その一部だけに税法を適用しており 裁量権の逸脱であって許されない

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Academic year: 2021

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答 申

審 査 請 求 人 ( 以 下 「 請 求 人 」 と い う 。 ) が 提 起 し た 地 方 税 法 ( 以 下 「 法 」 と い う 。 ) 及 び 東 京 都 都 税 条 例 ( 昭 和 2 5 年 東 京 都 条 例 第 5 6 号 。 以 下 「 条 例 」 と い う 。 ) の 規 定 に 基 づ く 各 不 動 産 取 得 税 賦 課 処 分 に 係 る 各 審 査 請 求 に つ い て 、 審 査 庁 か ら 諮 問 が あ っ た の で 、 次 の と お り 答 申 す る 。 第 1 審 査 会 の 結 論 本 件 各 審 査 請 求 は 、 い ず れ も 棄 却 す べ き で あ る 。 第 2 審 査 請 求 の 趣 旨 本 件 各 審 査 請 求 の 趣 旨 は 、 東 京 都 ○ ○ 都 税 事 務 所 長 ( 以 下 「 処 分 庁 」 と い う 。 ) が 、 請 求 人 に 対 し 、 平 成 3 0 年 2 月 7 日 付 け の 各 納 税 通 知 書 ( 3 通 ) に よ り 行 っ た 別 紙 1 物 件 目 録 1 な い し 3 記 載 の 各 土 地 ( 以 下 、 同 目 録 記 載 の 順 に 、 そ れ ぞ れ の 土 地 を 、 「 本 件 土 地 1 」 、 「 本 件 土 地 2 」 及 び 「 本 件 土 地 3 」 と い い 、 こ れ ら 3 筆 の 土 地 を 併 せ て 「 本 件 各 土 地 」 と い う 。 ) の 各 取 得 に 係 る 各 不 動 産 取 得 税 賦 課 処 分 ( 内 容 は 、 別 紙 2 賦 課 処 分 目 録 1 な い し 3 記 載 の と お り 。 以 下 「 本 件 各 処 分 」 と い う 。 ) に つ い て 、 い ず れ も そ の 取 消 し を 求 め る と い う も の で あ る 。 第 3 請 求 人 の 主 張 の 要 旨 請 求 人 は 、 お お む ね 、 以 下 の 理 由 か ら 、 本 件 処 分 は 違 法 又 は 不 当 で あ る 旨 主 張 し て い る も の と 解 さ れ る 。 本 件 各 土 地 の 取 得 は 、 故 人 の 相 続 財 産 に つ い て 、 遺 留 分 減 殺 請 求 権 を 行 使 し た う え 、 共 同 相 続 人 間 に お い て 分 割 を 行 っ た こ と に よ る

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も の で あ る か ら 、 法 定 相 続 に お け る 遺 産 分 割 と パ ラ レ ル に 考 え る べ き 事 案 で あ っ て 、 「 相 続 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 と し て 、 法 7 3 条 の 7 第 1 号 を 適 用 し て 非 課 税 と さ れ る べ き も の で あ る 。 処 分 庁 は 、 私 的 取 引 社 会 に お け る 事 実 の 流 れ を 勝 手 に 分 断 し 、 そ の 一 部 だ け に 税 法 を 適 用 し て お り 、 裁 量 権 の 逸 脱 で あ っ て 許 さ れ な い 。 な お 、 法 7 3 条 の 7 の 非 課 税 規 定 の 立 法 趣 旨 に あ る 「 担 税 能 力 の 欠 如 」 と い う 点 を 併 せ 考 え る べ き で あ る 。 ま た 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 が 「 共 有 物 の 分 割 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 で あ る と し て 、 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 を 適 用 す る と し て も 、 本 件 で は 、 相 続 財 産 に 属 す る 複 数 の 不 動 産 を 一 括 し て 、 共 同 相 続 人 相 互 の 持 分 割 合 に 応 じ て 分 割 し た の で あ る か ら 、 同 号 か っ こ 書 に い う 「 持 分 の 割 合 を 超 え る 部 分 」 の 取 得 は な い も の で あ っ て 、 非 課 税 と さ れ る べ き で あ る 。 し た が っ て 、 本 件 各 処 分 は 、 法 の 非 課 税 規 定 に 反 し て 課 税 を 行 っ た 違 法 ・ 不 当 な 処 分 で あ り 、 取 消 さ れ る べ き で あ る 。 第 4 審 理 員 意 見 書 の 結 論 本 件 審 査 請 求 は 理 由 が な い か ら 、 行 政 不 服 審 査 法 4 5 条 2 項 に よ り 、 棄 却 す べ き で あ る 。 第 5 調 査 審 議 の 経 過 審 査 会 は 、 本 件 諮 問 に つ い て 、 以 下 の よ う に 審 議 し た 。 年 月 日 審 議 経 過 平 成 3 0 年 8 月 2 7 日 諮 問 平 成 3 0 年 9 月 3 日 閲 覧 等 請 求 書 収 受 請 求 人 か ら 口 頭 意 見 陳 述 申 立 書 収 受 平 成 3 0 年 9 月 1 1 日 閲 覧 等 請 求 書 収 受 平 成 3 0 年 1 0 月 5 日 審 議 ( 第 2 6 回 第 2 部 会 )

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平 成 3 0 年 1 0 月 9 日 請 求 人 へ 口 頭 意 見 陳 述 を 実 施 し な い こ と の 通 知 を 発 出 平 成 3 0 年 1 0 月 1 2 日 請 求 人 か ら 口 頭 意 見 陳 述 申 立 書 収 受 審 査 庁 に 閲 覧 等 請 求 に 係 る 意 見 照 会 平 成 3 0 年 1 1 月 7 日 審 議 ( 第 2 7 回 第 2 部 会 ) 平 成 3 0 年 1 1 月 8 日 請 求 人 へ 口 頭 意 見 陳 述 を 実 施 し な い こ と の 通 知 を 発 出 平 成 3 0 年 1 1 月 1 3 日 閲 覧 等 請 求 に 係 る 一 部 開 示 決 定 及 び 非 開 示 決 定 平 成 3 0 年 1 1 月 1 4 日 閲 覧 等 請 求 書 収 受 平 成 3 0 年 1 1 月 1 9 日 閲 覧 等 請 求 に 係 る 一 部 開 示 決 定 及 び 非 開 示 決 定 平 成 3 0 年 1 1 月 2 0 日 閲 覧 等 の 実 施 平 成 3 0 年 1 2 月 1 7 日 請 求 人 か ら 主 張 書 面 を 収 受 平 成 3 0 年 1 2 月 2 6 日 審 議 ( 第 2 8 回 第 2 部 会 ) 第 6 審 査 会 の 判 断 の 理 由 1 法 令 等 の 定 め 及 び 判 例 等 ⑴ 不 動 産 取 得 税 に お け る 「 不 動 産 の 取 得 」 に 関 す る 定 め 及 び 判 例 法 7 3 条 の 2 第 1 項 の 規 定 に よ れ ば 、 不 動 産 取 得 税 は 、 不 動 産 の 取 得 に 対 し 、 当 該 不 動 産 の 取 得 者 に 課 す る こ と と さ れ て い る 。 ま た 、 判 例 に よ れ ば 、 法 7 3 条 の 2 第 1 項 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 他 に 特 段 の 規 定 が な い 以 上 、 不 動 産 所 有 権 の 取 得 を 意 味 す る も の と 解 す る の が 相 当 で あ り 、 そ の 取 得 が 認 め ら れ る 以 上 、 取 得 原 因 の い か ん を 問 わ な い も の と 解 す べ き で あ る と さ れ て い る ( 最 高 裁 判 所 昭 和 4 5 年 1 0 月 2 3 日 判 決 ・ 最 高 裁 判 所 裁 判 集 民 事 1 0 1 号 1 6 3 頁 ) 。 さ ら に 、 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 不

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動 産 の 取 得 者 が 実 質 的 に 完 全 な 内 容 の 所 有 権 を 取 得 す る か 否 か に は 関 係 な く 、 所 有 権 移 転 の 形 式 に よ る 不 動 産 の 取 得 の す べ て の 場 合 を 含 む も の と 解 す る の が 相 当 で あ る と さ れ て い る ( 最 高 裁 判 所 昭 和 4 8 年 1 1 月 1 6 日 判 決 ・ 最 高 裁 判 所 民 事 判 例 集 2 7 巻 1 0 号 1 3 3 3 頁 ) 。 ま た 、 「 同 条 ( 法 7 3 条 ) の 2 第 1 項 の 規 定 は 、 同 条 の 3 な い し 7 に お い て 列 挙 す る 場 合 に 該 当 し な い 限 り 、 売 買 、 贈 与 、 交 換 、 建 築 そ の 他 不 動 産 所 有 権 の 取 得 原 因 を 問 わ ず 当 該 不 動 産 所 有 権 の 取 得 に 対 し 、 そ の 取 得 者 に 課 税 す べ き こ と を 定 め た も の と 解 す る の が 相 当 で あ る 。 」 と 解 さ れ て い る ( 東 京 地 方 裁 判 所 昭 和 3 8 年 1 2 月 2 8 日 判 決 ・ 行 政 事 件 裁 判 例 集 1 4 巻 1 2 号 2 1 8 4 頁 ) 。 な お 、 共 有 不 動 産 の 分 割 に よ り 他 の 共 有 者 の 有 し て い た 持 分 を 取 得 す る こ と は 、 法 7 3 条 の 2 第 1 項 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 に 当 た る と さ れ て い る ( 最 高 裁 判 所 昭 和 5 3 年 4 月 1 1 日 判 決 ・ 最 高 裁 判 所 民 事 判 例 集 3 2 巻 3 号 5 8 3 頁 ) 。 ⑵ 「 形 式 的 な 所 有 権 の 移 転 等 に 対 す る 不 動 産 取 得 税 の 非 課 税 」 に 関 す る 定 め 法 7 3 条 の 7 の 規 定 は 、 次 に 掲 げ る 不 動 産 の 取 得 に 対 し て は 、 不 動 産 取 得 税 を 課 す る こ と が で き な い と し 、 非 課 税 と す べ き 取 得 事 由 を 列 挙 す る 。 ア 同 条 1 号 と し て 、 「 相 続 ( 包 括 遺 贈 及 び 被 相 続 人 か ら 相 続 人 に 対 し て な さ れ た 遺 贈 を 含 む 。 ) に よ る 不 動 産 の 取 得 」 を 非 課 税 と す る も の と し て い る 。 イ 同 条 2 号 の 3 と し て 、 「 共 有 物 の 分 割 に よ る 不 動 産 の 取 得 ( 当 該 不 動 産 の 取 得 者 の 分 割 前 の 当 該 共 有 物 に 係 る 持 分 の 割 合 を 超 え る 部 分 の 取 得 を 除 く 。 ) 」 を 非 課 税 と す る も の と し て い る ( 平 成 1 3 年 法 律 第 8 号 よ る 改 正 に よ り 本 号 追 加 ) 。 ⑶ 「 取 扱 通 知 」 に つ い て

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地 方 自 治 法 2 4 5 条 の 4 の 規 定 に 基 づ く 技 術 的 な 助 言 で あ る 「 地 方 税 法 の 施 行 に 関 す る 取 扱 い に つ い て ( 道 府 県 税 関 係 ) 」 ( 平 成 2 2 年 4 月 1 日 付 総 税 都 第 1 6 号 総 務 大 臣 通 知 。 以 下 「 取 扱 通 知 」 と い う 。 ) の 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑵ に よ れ ば 、 不 動 産 取 得 税 を 課 す る 対 象 と な り う る 共 有 物 の 分 割 に よ る 不 動 産 の 取 得 に 関 し 、 「 複 数 の 共 有 地 で 互 い に 隣 接 し 、 そ の 共 有 者 が 同 一 で 、 か つ 、 持 分 割 合 が 同 じ で あ る 場 合 に お い て 、 合 筆 す る こ と な く 当 該 隣 接 す る 複 数 の 共 有 地 を 一 体 と し て と ら え て 当 該 持 分 に 応 じ た 分 割 を し た と 認 め ら れ る と き は 、 一 の 共 有 物 を 分 割 し た 場 合 に 準 じ て 非 課 税 と し て 取 り 扱 っ て 差 し 支 え な い こ と 。 」 と し て 、 法 7 3 条 の 2 第 2 号 の 3 の 規 定 に つ い て の 解 釈 ・ 適 用 の 指 針 が 示 さ れ て い る 。 ⑷ 遺 留 分 に 関 す る 民 法 の 定 め 及 び 判 例 民 法 9 6 4 条 の 規 定 に よ れ ば 、 遺 言 者 は 、 包 括 又 は 特 定 の 名 義 で 、 そ の 財 産 の 全 部 又 は 一 部 を 処 分 す る こ と が で き る 、 た だ し 、 遺 留 分 に 関 す る 規 定 に 違 反 す る こ と が で き な い と さ れ る 。 ま た 、 民 法 1 0 2 8 条 に よ れ ば 、 兄 弟 姉 妹 以 外 の 相 続 人 は 、 遺 留 分 と し て 、 直 系 尊 属 の み が 相 続 人 で あ る 場 合 を 除 き 、 そ れ ぞ れ 被 相 続 人 の 財 産 の 2 分 の 1 の 割 合 に 相 当 す る 額 を 受 け る と さ れ る 。 そ し て 、 同 順 位 の 相 続 人 が 数 人 あ る と き の 遺 留 分 に つ い て は 、 同 法 1 0 4 4 条 に よ り 、 同 法 9 0 0 条 の 法 定 相 続 分 の 規 定 が 準 用 さ れ る 。 し た が っ て 、 相 続 人 と し て 子 が 数 人 あ る と き は 、 各 自 の 遺 留 分 は 相 等 し い も の ( 全 血 兄 弟 姉 妹 の 場 合 ) と さ れ る ( 同 条 4 号 準 用 ) 。 民 法 1 0 3 1 条 は 、 遺 留 分 権 利 者 は 、 遺 留 分 を 保 全 す る の に 必 要 な 限 度 で 、 遺 贈 及 び 1 0 3 0 条 に 規 定 す る 贈 与 の 減 殺 を 請 求 す る こ と が で き る と す る 。 判 例 に よ れ ば 、 こ の 減 殺 請 求 権 に つ い て は 、 形 成 権 で あ っ て 、 そ の 権 利 の 行 使 は 受 贈 者 又 は 受 遺 者 に 対 す る 意 思 表 示 に よ っ て な

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せ ば 足 り 、 必 ず し も 裁 判 上 の 請 求 に よ る 必 要 は な く 、 ま た 一 た ん 、 そ の 意 思 表 示 が な さ れ た 以 上 、 法 律 上 当 然 に 減 殺 の 効 力 を 生 ず る も の で あ る ( 最 高 裁 判 所 昭 和 4 1 年 7 月 1 4 日 判 決 ・ 最 高 裁 判 所 民 事 判 例 集 2 0 巻 6 号 1 1 8 3 頁 ) と さ れ て お り 、 減 殺 請 求 権 が 行 使 さ れ る と 、 そ の 遺 贈 又 は 贈 与 契 約 は 失 効 す る も の と 解 さ れ る ( た だ し 、 例 外 と し て 、 民 法 1 0 4 1 条 の 規 定 に よ る 価 額 弁 償 が な さ れ た 結 果 、 受 遺 者 又 は 受 贈 者 が 減 殺 請 求 権 者 に 対 す る 現 物 返 還 の 義 務 を 免 れ た 場 合 は 、 減 殺 の 対 象 た る 財 産 が 、 当 初 か ら 受 遺 者 又 は 受 贈 者 に 帰 属 し て い た 事 実 に つ い て 、 変 動 は 結 局 生 じ な い こ と に な る 。 ) 。 ⑸ 減 殺 請 求 権 行 使 後 の 遺 留 分 権 利 者 に 帰 属 す る 権 利 の 性 質 に つ い て 判 示 し た 平 成 8 年 最 高 裁 判 決 に つ い て 最 高 裁 判 所 ( 平 成 3 年 ( オ ) 1 7 7 2 号 ) 平 成 8 年 1 月 2 6 日 判 決 ( 以 下 「 平 成 8 年 最 高 裁 判 決 」 と い う 。 最 高 裁 判 所 民 事 判 例 集 5 0 巻 1 号 1 3 2 頁 ) は 、 遺 言 者 の 財 産 全 部 に つ い て の 包 括 遺 贈 に 対 し て 遺 留 分 権 利 者 が 減 殺 請 求 権 を 行 使 し た 場 合 、 遺 留 分 権 利 者 に 帰 属 す る 権 利 は 遺 産 分 割 の 対 象 と な る 相 続 財 産 と し て の 性 質 を 有 し な い と す る 。 そ し て 、 そ の よ う に 解 す る の が 相 当 で あ る 理 由 と し て 、 「 特 定 遺 贈 が 効 力 を 生 ず る と 、 特 定 遺 贈 の 目 的 と さ れ た 特 定 の 財 産 は 何 ら の 行 為 を 要 せ ず し て 直 ち に 受 遺 者 に 帰 属 し 、 遺 産 分 割 の 対 象 と な る こ と は な く 、 ま た 、 民 法 は 、 遺 留 分 減 殺 請 求 を 減 殺 請 求 を し た 者 の 遺 留 分 を 保 全 す る に 必 要 な 限 度 で 認 め ( 1 0 3 1 条 ) 、 遺 留 分 減 殺 請 求 権 を 行 使 す る か 否 か 、 こ れ を 放 棄 す る か 否 か を 遺 留 分 権 利 者 の 意 思 に ゆ だ ね ( 1 0 3 1 条 、 1 0 4 3 条 参 照 ) 、 減 殺 の 結 果 生 ず る 法 律 関 係 を 、 相 続 財 産 と の 関 係 と し て で は な く 、 請 求 者 と 受 贈 者 、 受 遺 者 等 と の 個 別 的 な 関 係 と し て 規 定 す る ( 1 0 3 6 条 、 1 0 3 7 条 、 1 0 3 9 条 、 1 0 4 0 条 、 1 0 4 1 条 参 照 ) な ど 、 遺 留 分 減 殺 請 求 権 行 使 の 効 果 が 減 殺 請 求 を し た 遺 留 分

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権 利 者 と 受 贈 者 、 受 遺 者 等 と の 関 係 で 個 別 的 に 生 ず る も の と し て い る こ と が う か が え る か ら 、 特 定 遺 贈 に 対 し て 遺 留 分 権 利 者 が 減 殺 請 求 権 を 行 使 し た 場 合 に 遺 留 分 権 利 者 に 帰 属 す る 権 利 は 、 遺 産 分 割 の 対 象 と な る 相 続 財 産 と し て の 性 質 を 有 し な い と 解 さ れ る 。 そ し て 、 遺 言 者 の 財 産 全 部 に つ い て の 包 括 遺 贈 は 、 遺 贈 の 対 象 と な る 財 産 を 個 々 的 に 掲 記 す る 代 わ り に こ れ を 包 括 的 に 表 示 す る 実 質 を 有 す る も の で 、 そ の 限 り で 特 定 遺 贈 と そ の 性 質 を 異 に す る も の で は な い か ら で あ る 。 」 と す る 。 ⑹ 共 有 物 の 分 割 に 関 す る 民 法 の 定 め 民 法 2 5 6 条 に よ れ ば 、 各 共 有 者 は 、 い つ で も 共 有 物 の 分 割 を 請 求 す る こ と が で き 、 同 法 2 5 8 条 に よ れ ば 、 共 有 物 の 分 割 に つ い て 共 有 者 間 に 協 議 が 調 わ な い と き は 、 そ の 分 割 を 裁 判 所 に 請 求 す る こ と が で き る と さ れ る 。 共 有 物 分 割 の 効 力 は 、 遺 産 分 割 の 場 合 の よ う な 特 別 の 定 め ( 民 法 9 0 9 条 「 遺 産 の 分 割 は 、 相 続 開 始 の 時 に さ か の ぼ っ て そ の 効 力 を 生 ず る 。 た だ し 、 第 三 者 の 権 利 を 害 す る こ と は で き な い 。 」 ) が な い た め 、 遡 及 し な い も の と 解 さ れ る 。 共 有 者 間 に 協 議 が 調 わ ず 判 決 に よ り 分 割 さ れ た 場 合 は 、 判 決 の 形 成 効 に よ る も の で あ る か ら 、 判 決 確 定 日 に お い て 共 有 物 分 割 に よ る 物 権 変 動 の 効 力 が 生 じ る こ と と な る ( 新 版 注 釈 民 法 ( 7 ) 物 権 ( 2 ) 4 7 0 頁 〔 川 井 健 〕 参 照 ) 。 ⑺ 不 動 産 取 得 税 の 賦 課 方 式 に 関 す る 定 め 法 7 3 条 の 1 7 の 規 定 に よ れ ば 、 不 動 産 取 得 税 の 徴 収 に つ い て は 、 普 通 徴 収 ( 納 税 通 知 書 を 当 該 納 税 者 に 交 付 す る こ と に よ っ て 地 方 税 を 徴 収 す る こ と 。 法 1 条 1 項 7 号 。 ) の 方 法 に よ る こ と と さ れ て い る 。 ⑻ 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 に 関 す る 定 め 法 7 3 条 の 1 3 第 1 項 に よ れ ば 、 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 は 、 不 動 産 を 取 得 し た 時 に お け る 不 動 産 の 価 格 と す る も の と さ れ て お

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り 、 条 例 4 1 条 に お い て は 、 不 動 産 取 得 税 は 、 不 動 産 の 取 得 に 対 し 、 不 動 産 を 取 得 し た 時 に お け る 不 動 産 の 価 格 を 課 税 標 準 と し て 、 当 該 不 動 産 の 取 得 者 に 課 す る と し て い る 。 ま た 、 法 7 3 条 の 2 1 第 1 項 本 文 に よ れ ば 、 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 固 定 資 産 の 価 格 が 登 録 さ れ て い る 不 動 産 に つ い て は 、 当 該 登 録 価 格 に よ り 当 該 不 動 産 に 係 る 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 と な る べ き 価 格 を 決 定 す る も の と さ れ て い る 。 こ の 課 税 標 準 に つ き 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 時 点 に お い て 効 力 を 有 す る 特 例 規 定 で あ る 法 附 則 1 1 条 の 5 第 1 項 に よ れ ば 、 宅 地 評 価 土 地 を 取 得 し た 場 合 に お け る 当 該 取 得 に 対 し て 課 す る 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 は 、 法 7 3 条 の 1 3 第 1 項 の 規 定 に か か わ ら ず 、 当 該 土 地 の 価 格 の 2 分 の 1 の 額 と す る と さ れ て お り 、 条 例 4 1 条 か っ こ 書 及 び 附 則 6 条 1 項 及 び 2 項 に も 同 趣 旨 の 特 例 規 定 が 置 か れ て い る 。 ⑼ 不 動 産 取 得 税 の 税 率 に 関 す る 定 め 不 動 産 取 得 税 の 標 準 税 率 は 、 法 7 3 条 の 1 5 の 規 定 に よ り 1 0 0 分 の 4 、 東 京 都 に お い て 課 す る 不 動 産 取 得 税 の 税 率 は 、 条 例 4 2 条 の 規 定 に よ り 1 0 0 分 の 4 と さ れ て い る と こ ろ 、 こ れ ら の 各 規 定 に 対 す る 本 件 分 割 に よ る 取 得 時 点 に お い て 効 力 を 有 す る 特 例 と し て 、 法 附 則 1 1 条 の 2 の 規 定 に よ り 、 標 準 税 率 は 1 0 0 分 の 3 と さ れ 、 条 例 附 則 5 条 の 3 第 1 項 の 規 定 に よ り 、 東 京 都 に お い て 課 す る 税 率 は 、 1 0 0 分 の 3 と さ れ て い る 。 2 以 上 を 前 提 に 、 ま ず 本 件 に つ い て 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 が 、 不 動 産 取 得 税 を 非 課 税 と す る 取 得 事 由 に 該 当 す る か 否 か に つ い て 、 そ の 前 段 の 本 件 遺 留 分 減 殺 に よ る 取 得 に も 触 れ つ つ 、 以 下 検 討 す る 。 ⑴ 本 件 遺 留 分 減 殺 に よ る 取 得 に つ い て 請 求 人 は 、 故 人 の 遺 言 に よ っ て 包 括 受 遺 者 と さ れ た 長 女 に 対 し て 、 遺 留 分 減 殺 請 求 を 行 っ た 結 果 、 遺 留 分 に 相 当 す る 持 分 1 0 分 の 1 の 限 度 で 、 本 件 相 続 不 動 産 に 係 る 権 利 を 取 得 し た も の で あ る

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と 認 め ら れ る 。 民 法 の 規 定 に よ る と 、 遺 言 者 の 財 産 処 分 は 遺 留 分 に 関 す る 規 定 に 違 反 す る こ と が で き な い と さ れ ( 9 6 4 条 ) 、 遺 留 分 権 利 者 は 、 兄 弟 姉 妹 を 除 く 相 続 人 に 限 ら れ て お り ( 1 0 2 8 条 ) 、 同 法 1 0 3 0 条 に よ り 設 け ら れ た 遺 留 分 を 侵 害 す る 贈 与 又 は 遺 贈 の 減 殺 を 請 求 す る 権 利 は 、 形 成 権 で あ っ て 、 遺 留 分 権 利 者 の 一 方 的 意 思 表 示 の み で 当 該 贈 与 又 は 遺 贈 の 効 力 を 失 わ せ る 効 果 を 生 じ る と 解 さ れ て い る ( 1 ・ ⑷ ) 。 不 動 産 取 得 税 に お け る 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 不 動 産 の 取 得 者 が 実 質 的 に 完 全 な 内 容 の 所 有 権 を 取 得 す る か 否 か に は 関 係 な く 、 所 有 権 移 転 の 形 式 に よ る 不 動 産 の 取 得 の す べ て の 場 合 を 含 む も の と 解 す る の が 相 当 で あ る と さ れ て い る と こ ろ ( 1 ・ ⑴ ) 、 遺 留 分 減 殺 請 求 の 結 果 、 遺 留 分 を 侵 害 す る 限 度 で 贈 与 又 は 遺 言 を 失 効 さ せ て 遺 留 分 権 利 者 が 被 相 続 人 が 処 分 し た 財 産 の 一 部 に 係 る 権 利 を 確 保 し た 場 合 、 当 該 財 産 が 不 動 産 で あ れ ば 、 当 該 遺 留 分 権 利 者 に お い て 、 不 動 産 取 得 税 に お け る 「 不 動 産 の 取 得 」 が あ っ た も の と 解 せ ら れ る 。 そ の 場 合 の 取 得 に お け る 相 手 方 に つ い て 検 討 す る に 、 遺 留 分 の 制 度 は 、 被 相 続 人 の 財 産 処 分 の 自 由 の 原 則 に 対 し 、 相 続 財 産 の 一 定 割 合 を 一 定 の 範 囲 の 相 続 人 に 留 保 す る と い う 目 的 か ら 設 け ら れ て い る も の で 、 そ の 目 的 を 達 成 す る 手 段 と し て 相 続 法 が 創 設 し た 遺 留 分 減 殺 請 求 権 に つ い て は 、 贈 与 又 は 遺 贈 の 効 力 を 遡 及 し て 一 方 的 に 失 わ せ る 形 成 効 を 有 す る も の と 解 さ れ て い る も の で あ る こ と に 鑑 み る と 、 減 殺 の 結 果 確 保 し た 当 該 不 動 産 に 係 る 権 利 は 、 減 殺 請 求 を 行 っ た 権 利 者 自 身 が 被 相 続 人 の 死 亡 に よ り 被 相 続 人 か ら 直 接 に 取 得 し た も の と 評 価 す る の が 妥 当 で あ る と 考 え ら れ る ( 経 過 的 事 実 と し て 、 受 贈 者 又 は 受 遺 者 が 一 旦 取 得 し 、 こ れ ら の 者 を 経 由 し て 遺 留 分 権 利 者 が 取 得 し た も の と 評 価 す る の は 必 ず し も 相 当 で な い 。 登 記 実 務 は 、 一 般 に 受 遺 者 か ら 減 殺 請 求 権 者 へ の 移 転

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登 記 を 認 め て い る が 、 登 記 の 経 緯 を そ の ま ま 不 動 産 の 取 得 に 係 る 経 過 的 事 実 と し 、 こ れ に 則 し て 不 動 産 取 得 税 を 賦 課 す る べ き も の で は な い と 解 す る 。 ) 。 そ う と す る と 、 そ の 取 得 は 、 「 相 続 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 ( 法 7 3 条 の 7 第 1 号 ) に 該 当 す る も の と し て 、 不 動 産 取 得 税 に つ い て は 非 課 税 と す べ き こ と と な る 。 し た が っ て 、 処 分 庁 が 、 請 求 人 の 遺 留 分 減 殺 請 求 権 行 使 に よ る 本 件 相 続 不 動 産 に つ い て の 持 分 の 取 得 ( 本 件 遺 留 分 減 殺 に よ る 取 得 ) に 、 不 動 産 取 得 税 を 課 さ な か っ た こ と は 正 当 で あ る 。 ⑵ 本 件 分 割 に よ る 取 得 に つ い て 前 述 の と お り 、 平 成 8 年 最 高 裁 判 決 は 、 遺 言 者 の 財 産 全 部 に つ い て の 包 括 遺 贈 に 対 し て 遺 留 分 権 利 者 が 減 殺 請 求 権 を 行 使 し た 場 合 、 遺 留 分 権 利 者 に 帰 属 す る 権 利 は 遺 産 分 割 の 対 象 と な る 相 続 財 産 と し て の 性 質 を 有 し な い と す る ( 1 ・ ⑸ ) 。 本 件 は 、 包 括 受 遺 者 で あ る 長 女 に 対 し て 請 求 人 が 遺 留 分 減 殺 を 請 求 し た 場 合 で あ る か ら 、 上 記 最 高 裁 判 決 を 前 提 と す る と 、 本 件 遺 留 分 減 殺 に よ る 取 得 の 結 果 と し て 請 求 人 に 帰 属 し た 本 件 相 続 不 動 産 に つ い て の 権 利 は 、 相 続 財 産 で は な い も の で あ る 。 す な わ ち 、 当 該 権 利 は 請 求 人 の 固 有 財 産 で あ る こ と か ら 、 当 該 財 産 に か か る 分 割 手 続 は 、 物 権 法 上 の 共 有 物 分 割 手 続 で あ り 、 共 有 者 間 に 協 議 が 調 わ な い 場 合 は 、 普 通 裁 判 所 に お け る 訴 訟 手 続 ( 形 成 訴 訟 ) に よ る べ き で あ っ て 、 遺 産 分 割 事 件 と し て 家 庭 裁 判 所 の 管 轄 ( 審 判 手 続 ) と な る も の で は な い こ と と な る ( 新 版 注 釈 民 法 ( 2 8 ) 相 続 ( 3 ) 補 訂 版 4 8 4 頁 〔 高 木 多 喜 男 〕 、 内 田 貴 「 民 法 Ⅳ 」 補 訂 版 親 族 ・ 相 続 5 2 1 頁 等 参 照 。 ) 。 本 件 分 割 に よ る 取 得 は 、 本 件 判 決 が 、 東 京 地 方 裁 判 所 に よ り 平 成 ○ 年 ○ 月 ○ 日 に 言 渡 さ れ 、 同 年 ○ 月 ○ 日 に 確 定 し た こ と よ り 、 共 有 物 分 割 を 原 因 と し て 、 請 求 人 が 本 件 各 土 地 を 取 得 し た も の で あ っ て 、 実 際 上 も 物 権 法 上 の 共 有 物 分 割 手 続 が 行 わ れ た 結 果 で あ り 、 分 割 前 の 請 求 人 の 権 利 は 、 そ の 性 質 上 、 請 求 人 の 固 有 財 産 で

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あ る も の と し て 手 続 が 追 行 さ れ て い る こ と は 明 ら か で あ る 。 そ う と す る と 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 を 「 相 続 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 と す る こ と は 、 上 記 手 続 と も 矛 盾 し て お り 、 理 論 上 も 成 り 立 た な い こ と と な る 。 ま た 、 本 件 判 決 に 基 づ く 共 有 物 分 割 の 効 果 は 本 件 判 決 の 確 定 日 に 発 生 す る の で あ る か ら ( 1 ・ ⑹ ) 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 に よ り 請 求 人 に 帰 属 す る こ と と な っ た 権 利 に つ い て 、 相 続 開 始 時 点 に 遡 っ て 直 接 故 人 か ら 承 継 取 得 し た 財 産 で あ る と み な す こ と も 不 可 能 で あ る 。 し た が っ て 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 に 係 る 不 動 産 取 得 税 の 賦 課 に 関 し て 、 処 分 庁 が 、 法 7 3 条 の 7 第 1 号 の 「 相 続 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 に は 該 当 し な い も の と 認 め 、 同 条 2 号 の 3 の 「 共 有 物 の 分 割 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 に 該 当 す る も の で あ る こ と か ら 、 同 号 か っ こ 書 に 則 っ て 、 請 求 人 の 分 割 前 の 本 件 各 土 地 に 係 る 持 分 の 割 合 を 超 え る 部 分 の 限 度 で 、 そ の 取 得 に つ い て 同 税 を 賦 課 す る こ と と し た こ と は 、 適 法 ・ 妥 当 な 判 断 で あ る と い う こ と が で き る 。 3 次 に 、 本 件 各 処 分 に お け る 税 額 に つ い て 、 そ の 算 定 が 、 そ れ ぞ れ 適 正 か 否 か を 検 証 す る 。 ⑴ ま ず 、 税 額 算 定 の 前 提 と し て 、 2 ・ ⑵ に 述 べ た と お り 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 に つ い て は 、 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 の か っ こ 書 に よ り 、 請 求 人 の 分 割 前 の 本 件 各 土 地 に 係 る 持 分 の 割 合 を 超 え る 部 分 の 限 度 で 、 そ の 各 取 得 に つ い て 不 動 産 取 得 税 が 賦 課 さ れ る べ き も の で あ る が 、 取 扱 通 知 の 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑵ に よ れ ば 、 不 動 産 取 得 税 を 課 す る 対 象 と な り う る 共 有 物 の 分 割 に よ る 不 動 産 の 取 得 に 関 し 、 分 割 前 に お い て 有 し て い た 持 分 の 割 合 を 超 え る 取 得 か 否 か の 判 断 を す る 際 の 取 扱 い に 当 た っ て は 、 「 複 数 の 共 有 地 で 互 い に 隣 接 し 、 そ の 共 有 者 が 同 一 で 、 か つ 、 持 分 割 合 が 同 じ で あ る 場 合 に お い て 、 合 筆 す る こ と な く 当 該 隣 接 す る 複 数 の 共 有 地 を 一 体 と し て と ら え て 当 該 持 分 に 応 じ た 分 割 を し た と 認 め ら れ る と き は 、 一 の 共 有 物 を 分 割 し た 場 合 に 準 じ て 非 課 税 と し て 取 り 扱

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っ て 差 し 支 え な い こ と 。 」 と さ れ て い る ( 1 ・ ⑶ ) 。 さ ら に 、 こ れ に 加 え て 、 取 扱 通 知 の 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑴ に よ れ ば 、 「 持 分 の 割 合 と は 、 原 則 と し て 、 不 動 産 の 価 格 の 割 合 と 解 す べ き も の で あ る が 、 意 図 的 に 租 税 回 避 を 図 ろ う と す る 意 思 が 認 め ら れ な い 場 合 に つ い て は 、 不 動 産 の 面 積 の 割 合 に よ っ て も 差 し 支 え な い こ と 。 」 と さ れ て い る 。 本 件 土 地 1 及 び 本 件 土 地 2 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ 、 本 件 相 続 不 動 産 を 構 成 し て い た 他 の 数 筆 ( 本 件 土 地 1 に つ い て は 2 筆 ( 後 記 ⑵ ・ ア ) 、 本 件 土 地 2 に つ い て は 6 筆 ( 後 記 ⑶ ・ ア ) ) の 土 地 と 互 い に 隣 接 し て い る 状 況 に あ る ( こ の 意 味 で 本 件 土 地 1 又 は 本 件 土 地 2 と 隣 接 し て い る 状 況 に あ る 土 地 を 、 以 下 「 隣 接 地 」 と い う 。 な お 、 本 件 土 地 1 と 本 件 土 地 2 と の 相 互 間 に は 隣 接 関 係 は な い 。 ) 。 こ れ ら の 土 地 は い ず れ も 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 の 時 点 前 は 、 共 同 相 続 人 5 名 間 の 共 有 と な っ て お り 、 持 分 割 合 は 、 長 女 が 1 0 分 の 6 、 請 求 人 ら 妹 4 名 が 各 1 0 分 の 1 と 共 通 で あ っ た 。 し た が っ て 、 本 件 土 地 1 及 び 本 件 土 地 2 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ 、 取 扱 通 知 の 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑵ に 該 当 す る 事 実 が あ る た め 、 本 件 土 地 1 及 び 本 件 土 地 2 に つ い て は 、 上 記 の 意 味 で 一 体 と し て と ら え る べ き 複 数 の 共 有 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 ( 1 0 分 の 1 ) を 超 え て 請 求 人 が 取 得 し た 部 分 の 割 合 を 特 定 し 、 そ の 課 税 標 準 を 求 め る こ と が 税 額 算 定 の 前 提 と し て 必 要 で あ る 。 さ ら に そ の 際 、 一 体 と し て と ら え る 土 地 の 分 割 前 の 持 分 の 割 合 を 評 価 す る 方 法 ( 分 割 に よ り 取 得 し た 土 地 が 分 割 前 の 持 分 の 割 合 を 超 え て い る か 否 か の 判 断 、 及 び 超 え て い る 場 合 の 超 過 部 分 の 価 格 を 算 定 す る た め に 必 要 で あ る 。 ) に つ い て は 、 取 扱 通 知 の 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑴ に よ れ ば 、 二 通 り の 方 法 が 考 え ら れ る こ と と な る 。 す な わ ち 、 ① 一 体 と し て と ら え る 各 土 地 に つ い て の 不 動 産 の 価 格 を 基 準 と し て 算 定 し た 割 合 に よ る か 、 ② 一 体 と し て と ら え る 各 土 地 に つ い て の 不 動 産 の 面 積 を 基 準 と し て 算 定 し た 割 合 に

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よ る か に よ り 、 結 果 的 に 、 課 税 す べ き 部 分 に つ い て の 課 税 標 準 の 額 が 異 な る こ と に な る か ら 、 こ の 点 も 考 慮 に 入 れ た う え 、 以 下 検 討 を 行 う こ と と す る 。 ⑵ 本 件 土 地 1 の 取 得 に 係 る 不 動 産 取 得 税 の 税 額 算 定 に つ い て ア 本 件 土 地 1 ( 6 2 6 . 4 0 ㎡ ) の 隣 接 地 は 、 ○ ○ 区 ○ ○ ○ 丁 目 ○ 番 ○ 所 在 の 宅 地 5 1 7 . 8 0 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 1 の 1 」 と い う 。 ) 及 び ○ ○ 区 ○ ○ ○ 丁 目 ○ 番 ○ 所 在 の 宅 地 4 8 0 . 0 0 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 1 の 2 」 と い う 。 ) の 2 筆 で あ り 、 取 扱 通 知 に よ り 不 動 産 取 得 税 の 課 税 実 務 に お い て は 、 本 件 土 地 1 、 隣 接 地 1 の 1 及 び 隣 接 地 1 の 2 を 併 せ て 一 体 の 土 地 と し て 、 一 体 の 土 地 に 係 る 持 分 の 割 合 を 基 に し て 共 有 物 分 割 が な さ れ た も の と 取 扱 う こ と と な る 。 イ ま た 、 こ れ ら の 土 地 の 価 格 ( 1 ・ ⑻ に 述 べ た と こ ろ に よ り 、 以 下 土 地 の 価 格 と は 、 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 と な る 固 定 資 産 税 課 税 台 帳 に 登 録 さ れ た 価 格 の 2 分 の 1 の 額 を い う も の と す る 。 下 記 ⑶ 及 び ⑷ の 項 に お い て も 同 様 と す る 。 ) は 、 そ れ ぞ れ 、 本 件 土 地 1 が 、 6 4 , 1 2 7 , 7 0 0 円 、 隣 接 地 1 の 1 が 、 5 1 , 7 1 7 , 8 6 0 円 、 隣 接 地 1 の 2 が 、 6 2 , 4 0 7 , 2 0 0 円 で あ る 。 ウ ( 不 動 産 の 価 格 の 割 合 を 基 準 と し た 場 合 ) 本 件 土 地 1 、 隣 接 地 1 の 1 及 び 隣 接 地 1 の 2 の 上 記 イ の 価 格 を 合 算 す る と そ の 額 は 、 1 7 8 , 2 5 2 , 7 6 0 円 で あ り 、 こ れ ら 相 隣 接 す る 共 有 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 が 1 0 分 の 1 で あ る か ら 、 こ の 価 格 に 1 0 分 の 1 を 乗 ず る と 、 分 割 前 の 上 記 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 は 、 価 格 の 割 合 に お い て 、 1 7 , 8 2 5 , 2 7 6 円 に 相 当 す る こ と な る 。 一 方 、 請 求 人 が 分 割 に よ り 取 得 し た 本 件 土 地 1 の 価 格 は 、 6 4 , 1 2 7 , 7 0 0 円 で あ る 。 こ の 両 者 を 比 較 す る と 、 不 動 産 の 価 格 を 基 準 と し た 場 合 、 分 割 前 の 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 を 超 え て

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請 求 人 が 取 得 し た 部 分 の 価 格 は 、 6 4 , 1 2 7 , 7 0 0 円 - 1 7 , 8 2 5 , 2 7 6 円 = 4 6 , 3 0 2 , 4 2 4 円 と な る 。 エ ( 不 動 産 の 面 積 を 基 準 と し た 場 合 ) 本 件 土 地 1 、 隣 接 地 1 の 1 及 び 隣 接 地 1 の 2 の 面 積 ( 上 記 ア 参 照 ) の 合 計 は 、 1 , 6 2 4 . 2 0 ㎡ で あ り 、 こ れ ら 相 隣 接 す る 共 有 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 が 1 0 分 の 1 で あ る か ら 、 こ の 合 計 面 積 に 1 0 分 の 1 を 乗 ず る と 、 分 割 前 の 上 記 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 は 、 面 積 の 割 合 に お い て 、 1 6 2 . 4 2 ㎡ に 相 当 す る こ と と な る 。 一 方 、 請 求 人 が 分 割 に よ り 取 得 し た 本 件 土 地 1 の 面 積 は 、 6 2 6 . 4 0 ㎡ で あ る 。 こ の 両 者 を 比 較 す る と 、 不 動 産 の 面 積 を 基 準 と し た 場 合 、 分 割 前 の 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 を 超 え て 請 求 人 が 取 得 し た 部 分 は 、 6 2 6 . 4 0 ㎡ - 1 6 2 . 4 2 ㎡ = 4 6 3 . 9 8 ㎡ と な る 。 こ の 面 積 に 本 件 土 地 1 の 1 ㎡ あ た り の 価 格 を 乗 じ て 当 該 部 分 の 価 格 を 算 出 す る と 、 4 6 3 . 9 8 ㎡ × ( 6 4 , 1 2 7 , 7 0 0 ÷ 6 2 6 . 4 0 ) 円 / ㎡ = 4 7 , 4 9 9 , 9 5 2 円 ( 1 円 未 満 の 端 数 切 捨 て ) と な る 。 オ 本 件 土 地 1 の 取 得 に お い て 、 不 動 産 取 得 税 を 賦 課 す べ き 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 か っ こ 書 に 該 当 す る 部 分 に 係 る 課 税 標 準 に つ い て は 、 上 記 ウ ( 4 6 , 3 0 2 , 4 2 4 円 ) 又 は エ ( 4 7 , 4 9 9 , 9 5 2 円 ) の い ず れ か の 結 論 に 基 づ い て 決 定 す べ き で あ る が 、 取 扱 通 知 の 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑴ に よ る と 、 価 格 の 割 合 及 び 面 積 の 割 合 い ず れ の 基 準 に よ っ て も 差 し 支 え な い こ と と さ れ て い る 。 そ こ で 、 請 求 人 に 有 利 な ウ の 額 を 選 択 し 、 4 6 , 3 0 2 , 0 0 0 円 ( 法 2 0 条 の 4 の 2 第 1 項 の 規 定 に よ り 、 課 税 標 準 額 の 計 算 に お い て は 千 円 未 満 の 端 数 金 額 は 切 捨 て る 。 ) を 、 課 税 標 準 額 と し て 採 用 す る こ と が 相 当 で あ る と 考 え ら れ る 。 カ そ し て 、 上 記 に よ り 決 し た 課 税 標 準 額 4 6 , 3 0 2 , 0 0 0

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円 に 、 東 京 都 に お い て 課 す る 不 動 産 取 得 税 の 税 率 1 0 0 分 の 3 ( 1 ・ ⑼ ) を 乗 じ た 額 1 , 3 8 9 , 0 0 0 円 ( 法 2 0 条 の 4 の 2 第 3 項 の 規 定 に よ り 、 地 方 税 の 確 定 金 額 の 百 円 未 満 の 端 数 金 額 は 切 捨 て る 。 ) が 、 請 求 人 の 本 件 土 地 1 の 取 得 に 賦 課 す べ き 不 動 産 取 得 税 の 税 額 と な る も の で あ る 。 ⑶ 本 件 土 地 2 の 取 得 に 係 る 不 動 産 取 得 税 の 税 額 算 定 に つ い て ア 本 件 土 地 2 ( 2 8 2 ㎡ ) の 隣 接 地 は 、 ○ ○ 区 ○ ○ ○ 丁 目 ○ 番 ○ 所 在 の 畑 8 1 1 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 2 の 1 」 と い う 。 ) 、 ○ ○ 区 ○ ○ ○ 丁 目 ○ 番 ○ 所 在 の 宅 地 8 8 7 . 1 2 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 2 の 2 」 と い う 。 ) 、 ○ ○ 区 ○ ○ 丁 ○ 目 ○ 番 ○ 所 在 の 宅 地 5 4 3 . 1 9 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 2 の 3 」 と い う 。 ) 、 ○ ○ 区 ○ ○ ○ 丁 目 ○ 番 ○ 所 在 の 宅 地 5 1 . 2 9 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 2 の 4 」 と い う 。 ) 、 ○ ○ 区 ○ ○ ○ 丁 目 ○ ○ 番 ○ 所 在 の 宅 地 9 9 . 0 0 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 2 の 5 」 と い う 。 ) 、 及 び ○ ○ 区 ○ ○ ○ 丁 目 ○ 番 ○ 所 在 の 宅 地 3 5 . 3 1 ㎡ ( 以 下 「 隣 接 地 2 の 6 」 と い う 。 ) の 6 筆 で あ り 、 取 扱 通 知 に よ り 不 動 産 取 得 税 の 課 税 実 務 に お い て は 、 本 件 土 地 2 及 び 隣 接 地 2 の 1 な い し 隣 接 地 2 の 6 を 併 せ て 一 体 の 土 地 と し て 、 一 体 の 土 地 に 係 る 持 分 の 割 合 を 基 に し て 共 有 物 分 割 が な さ れ た も の と 取 扱 う こ と と な る 。 イ ま た 、 こ れ ら の 土 地 ( な お 、 共 有 物 分 割 時 に お い て 、 本 件 土 地 2 及 び 隣 接 地 2 の 1 は 、 い ず れ も 登 記 上 の 地 目 が 畑 と さ れ て い る が 、 固 定 資 産 税 課 税 台 帳 に 価 格 が 登 録 さ れ て い る 宅 地 評 価 土 地 で あ る 。 ) の 価 格 は 、 そ れ ぞ れ 、 本 件 土 地 2 が 、 3 0 , 3 0 7 , 9 5 0 円 、 隣 接 地 2 の 1 が 、 8 7 , 1 6 2 , 2 2 5 円 、 隣 接 地 2 の 2 が 、 8 7 , 3 1 9 , 2 2 0 円 、 隣 接 地 2 の 3 が 、 5 7 , 2 4 1 , 3 6 0 円 、 隣 接 地 2 の 4 が 、 4 , 0 0 0 , 6 2 0 円 、 隣 接 地 2 の 5 が 、 9 , 1 6 9 , 8 7 5 円 、 隣 接 地 2 の 6 が 、 2 , 9 3 1 , 6 1 0 円 で あ る 。 ウ ( 不 動 産 の 価 格 の 割 合 を 基 準 と し た 場 合 )

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本 件 土 地 2 及 び 隣 接 地 2 の 1 な い し 隣 接 地 2 の 6 の 上 記 イ の 価 格 を 合 算 す る と そ の 額 は 、 2 7 8 , 1 3 2 , 8 6 0 円 で あ り 、 こ れ ら 相 隣 接 す る 共 有 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 が 1 0 分 の 1 で あ る か ら 、 こ の 価 格 に 1 0 分 の 1 を 乗 ず る と 、 分 割 前 の 上 記 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 は 、 価 格 の 割 合 に お い て 、 2 7 , 8 1 3 , 2 8 6 円 に 相 当 す る こ と な る 。 一 方 、 請 求 人 が 分 割 に よ り 取 得 し た 本 件 土 地 2 の 価 格 は 、 3 0 , 3 0 7 , 9 5 0 円 で あ る 。 こ の 両 者 を 比 較 す る と 、 不 動 産 の 価 格 を 基 準 と し た 場 合 、 分 割 前 の 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 を 超 え て 請 求 人 が 取 得 し た 部 分 の 価 格 は 、 3 0 , 3 0 7 , 9 5 0 円 - 2 7 , 8 1 3 , 2 8 6 円 = 2 ,4 9 4 ,6 6 4 円 と な る 。 エ ( 不 動 産 の 面 積 を 基 準 と し た 場 合 ) 本 件 土 地 2 及 び 隣 接 地 2 の 1 な い し 隣 接 地 2 の 6 の 面 積 ( 上 記 ア 参 照 ) の 合 計 は 、 2 , 7 0 8 . 9 1 ㎡ で あ り 、 こ れ ら 相 隣 接 す る 共 有 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 が 1 0 分 の 1 で あ る か ら 、 こ の 合 計 面 積 に 1 0 分 の 1 を 乗 ず る と 、 分 割 前 の 上 記 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 は 、 面 積 の 割 合 に お い て 、 2 7 0 . 8 9 1 ㎡ に 相 当 す る こ と と な る 。 一 方 、 請 求 人 が 分 割 に よ り 取 得 し た 本 件 土 地 2 の 面 積 は 、 2 8 2 ㎡ で あ る 。 こ の 両 者 を 比 較 す る と 、 不 動 産 の 面 積 を 基 準 と し た 場 合 、 分 割 前 の 一 体 の 土 地 に 係 る 請 求 人 の 持 分 の 割 合 を 超 え て 請 求 人 が 取 得 し た 部 分 は 、 2 8 2 ㎡ - 2 7 0 . 8 9 1 ㎡ = 1 1 . 1 0 9 ㎡ と な る 。 こ の 面 積 に 本 件 土 地 2 の 1 ㎡ あ た り の 価 格 を 乗 じ て 当 該 部 分 の 価 格 を 算 出 す る と 、 1 1 . 1 0 9 ㎡ × ( 3 0 , 3 0 7 , 9 5 0 ÷ 2 8 2 ) 円 / ㎡ = 1 , 1 9 3 , 9 3 9 円 ( 1 円 未 満 の 端 数 切 捨 て ) と な る 。 オ 本 件 土 地 2 に お い て 、 不 動 産 取 得 税 を 賦 課 す べ き 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 か っ こ 書 に 該 当 す る 部 分 に 係 る 課 税 標 準 に つ い て は 、 上 記 ウ ( 2 ,4 9 4 , 6 6 4 円 ) 又 は エ ( 1 , 1 9 3 , 9 3

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9 円 ) の い ず れ か の 結 論 に 基 づ い て 決 定 す べ き で あ る が 、 取 扱 通 知 の 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑴ に よ る と 、 価 格 の 割 合 及 び 面 積 の 割 合 い ず れ の 基 準 に よ っ て も 差 し 支 え な い こ と と さ れ て い る 。 そ こ で 、 請 求 人 に 有 利 な エ の 額 を 選 択 し 、 1 , 1 9 3 , 0 0 0 円 ( 法 2 0 条 の 4 の 2 第 1 項 の 規 定 に よ り 、 課 税 標 準 額 の 計 算 に お い て は 千 円 未 満 の 端 数 金 額 は 切 捨 て る 。 ) を 、 課 税 標 準 額 と し て 採 用 す る こ と が 相 当 で あ る と 考 え ら れ る 。 カ そ し て 、 上 記 に よ り 決 し た 課 税 標 準 額 1 , 1 9 3 , 0 0 0 円 に 、 東 京 都 に お い て 課 す る 不 動 産 取 得 税 の 税 率 1 0 0 分 の 3 ( 1 ・ ⑼ ) を 乗 じ た 額 3 5 , 7 0 0 円 ( 法 2 0 条 の 4 の 2 第 3 項 の 規 定 に よ り 、 地 方 税 の 確 定 金 額 の 百 円 未 満 の 端 数 金 額 は 切 捨 て る 。 ) が 、 請 求 人 の 本 件 土 地 2 の 取 得 に 賦 課 す べ き 不 動 産 取 得 税 の 税 額 と な る も の で あ る 。 ⑷ 本 件 土 地 3 の 取 得 に 係 る 不 動 産 取 得 税 の 税 額 算 定 に つ い て ア 本 件 土 地 3 の 価 格 は 、 1 9 , 7 1 2 , 3 4 0 円 で あ る 。 イ 本 件 土 地 3 の 取 得 に つ い て は 、 分 割 前 の 請 求 人 の 持 分 1 0 分 の 1 の 割 合 を 超 え る 部 分 ( 分 割 前 に 長 女 に 帰 属 し て い た 1 0 分 の 6 及 び 同 じ く 他 の 共 同 相 続 人 3 名 に 帰 属 し て い た 各 1 0 分 の 1 、 合 計 1 0 分 の 9 の 割 合 の 部 分 ) の 取 得 が 、 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 か っ こ 書 に 該 当 す る か ら 、 そ の 限 度 で 不 動 産 取 得 税 の 課 税 対 象 と な る 。 ウ 上 記 ア の 価 格 に 1 0 分 の 9 を 乗 じ た 金 額 を 算 定 す る と 、 1 7 , 7 4 1 , 1 0 6 円 と な る と こ ろ 、 法 2 0 条 の 4 の 2 第 1 項 の 規 定 に よ り 、 千 円 未 満 の 端 数 金 額 を 切 捨 て た 1 7 , 7 4 1 , 0 0 0 円 が 、 本 件 土 地 3 の 取 得 に つ い て の 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 額 と な る 。 エ 上 記 課 税 標 準 額 1 7 , 7 4 1 , 0 0 0 円 に 、 東 京 都 に お い て 課 す る 不 動 産 取 得 税 の 税 率 1 0 0 分 の 3 ( 1 ・ ⑼ ) を 乗 じ た 額 5 3 2 , 2 0 0 円 ( 法 2 0 条 の 4 の 2 第 3 項 の 規 定 に よ り 、 地

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方 税 の 確 定 金 額 の 百 円 未 満 の 端 数 金 額 は 切 捨 て る 。 ) が 、 請 求 人 の 本 件 土 地 3 の 取 得 に 賦 課 す べ き 不 動 産 取 得 税 の 税 額 と な る も の で あ る 。 ⑸ 以 上 、 ⑵ ・ カ 、 ⑶ ・ カ 及 び ⑷ ・ エ に 述 べ た と お り 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 に お い て 、 請 求 人 に 課 す べ き 不 動 産 取 得 税 の 税 額 は 、 本 件 土 地 1 の 取 得 に 係 る も の が 、 1 , 3 8 9 , 0 0 0 円 、 本 件 土 地 2 の 取 得 に 係 る も の が 、 3 5 , 7 0 0 円 、 本 件 土 地 3 の 取 得 に 係 る も の が 、 5 3 2 , 2 0 0 円 と な る 。 本 件 各 処 分 に お け る 税 額 ( 別 紙 2 賦 課 処 分 目 録 参 照 ) は 、 こ れ ら の 額 に い ず れ も 一 致 し て お り 、 違 算 等 の 事 実 は 認 め ら れ な い こ と は 明 ら か で あ る 。 4 請 求 人 の 主 張 に つ い て ⑴ 請 求 人 は 、 本 件 各 土 地 の 取 得 に つ い て 、 法 定 相 続 に お け る 遺 産 分 割 と 並 行 的 に 考 え て 非 課 税 と す る べ き な の に 、 一 連 の 流 れ を 本 件 遺 留 分 減 殺 に よ る 取 得 と 本 件 分 割 に よ る 取 得 と に 分 断 し て 、 そ の 一 部 で あ る 後 者 に 賦 課 処 分 を 行 っ た 処 分 庁 の 裁 量 判 断 は 恣 意 的 で あ る 旨 主 張 す る 。 し か し な が ら 、 共 有 物 分 割 に 先 立 っ て 遺 留 分 減 殺 請 求 が 行 わ れ た 本 件 の 場 合 を 、 通 常 の 遺 産 分 割 の 場 合 と 同 視 す る こ と は で き な い 。 遺 言 者 の 財 産 全 部 に つ い て の 包 括 遺 贈 に 対 し て 遺 留 分 権 利 者 が 減 殺 請 求 権 を 行 使 し た 場 合 、 遺 留 分 権 利 者 に 帰 属 す る 権 利 は 遺 産 分 割 の 対 象 と な る 相 続 財 産 と し て の 性 質 を 有 し な い と す る べ き こ と は 、 平 成 8 年 最 高 裁 判 決 が 明 示 し て い る と こ ろ で あ る 。 そ う と す る と 、 本 件 判 決 前 の 長 女 と 請 求 人 ら 妹 4 名 と に よ る 本 件 相 続 不 動 産 の 共 有 は 、 遺 産 の 共 有 で は な く 、 共 有 者 各 人 が 固 有 財 産 と し て そ れ ぞ れ 共 有 持 分 を 有 し て い る 状 態 で あ る 。 し た が っ て 、 本 件 遺 留 分 減 殺 に よ る 取 得 と 本 件 分 割 に よ る 取 得 は 、 相 続 法 と 物 権 法 と そ れ ぞ れ 別 々 の 理 念 に 基 づ く 法 規 制 に 服 す る も の で あ っ て 、 ま た そ れ ぞ れ の 法 律 要 件 が 具 備 さ れ た 際 の そ の 法 的 効 力 の 発 生 時

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点 も 異 な る も の で あ る か ら 、 処 分 庁 が こ れ ら に つ い て 、 そ れ ぞ れ 個 別 に 不 動 産 取 得 税 賦 課 処 分 の 可 否 を 検 討 し た こ と に は 、 何 ら 誤 っ て い る 点 は な い と い う べ き で あ る 。 平 成 8 年 最 高 裁 判 決 は 、 そ れ 以 前 に 下 級 審 等 で 見 解 が あ る 程 度 分 か れ て い た 論 点 に 対 し 、 一 定 の 法 律 的 判 断 を 示 し た も の で あ っ て 、 法 の 規 定 に 則 っ て 遂 行 さ れ る べ き 課 税 実 務 に お い て 、 最 高 裁 判 所 の 判 断 を 尊 重 す る こ と は 当 然 の こ と で あ る か ら 、 請 求 人 の 主 張 は 失 当 と す る ほ か は な い 。 ⑵ ま た 、 請 求 人 は 、 非 課 税 規 定 に つ い て 、 「 担 税 能 力 の 欠 如 」 と い う 立 法 趣 旨 を 強 調 し て 主 張 し て い る 。 こ れ は 、 か か る 立 法 趣 旨 に 合 う よ う な 事 実 関 係 が 認 め ら れ る 場 合 に は 、 課 税 庁 の 裁 量 に よ り 非 課 税 と す る べ き で あ る と の 主 張 の よ う に も 考 え ら れ る 。 し か し 、 平 成 8 年 最 高 裁 判 決 を 前 提 と す る 以 上 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 を 、 「 相 続 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 と す る こ と が 理 論 上 で き な い こ と は 、 既 に 述 べ た と お り で あ っ て 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 に つ い て は 非 課 税 規 定 ( 法 7 3 条 の 7 第 1 号 ) の 適 用 要 件 を 欠 い て い る こ と が 文 理 上 明 ら か な の で あ る 。 租 税 法 の 非 課 税 要 件 を 定 め る 規 定 に つ い て は 、 租 税 負 担 公 平 の 原 則 か ら 、 不 公 平 の 拡 大 を 防 止 す る た め 、 解 釈 の 狭 義 性 、 厳 格 性 が 強 く 要 請 さ れ て お り ( 最 高 裁 判 所 平 成 元 年 1 1 月 3 0 日 判 決 ・ 税 務 訴 訟 資 料 1 7 4 号 8 2 3 頁 、 そ の 原 審 大 阪 高 等 裁 判 所 昭 和 6 3 年 1 0 月 2 6 日 判 決 ・ 税 務 訴 訟 資 料 1 6 6 号 3 5 8 頁 。 な お 、 前 記 1 ・ ⑴ に お い て 引 用 し た 最 高 裁 判 所 昭 和 4 8 年 1 1 月 1 6 日 判 決 も 、 「 租 税 法 の 規 定 は み だ り に 拡 張 適 用 す べ き も の で は な い 」 と し て い る 。 ) 、 本 件 の 場 合 に 、 遺 留 分 減 殺 請 求 か ら 共 有 物 分 割 を 経 た 請 求 人 に お け る 本 件 各 土 地 の 取 得 に つ い て 、 実 質 的 に 故 人 の 相 続 財 産 の 共 同 相 続 人 間 の 処 理 で あ る と し て 、 規 定 を 拡 張 し て 解 釈 し 、 あ る い は 、 規 定 を 類 推 適 用 し て 、 非 課 税 と し て 取 り 扱 う こ と は 許 さ れ な い も の で あ る と い う ほ か は な い 。

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⑶ さ ら に 、 請 求 人 は 、 本 件 分 割 に よ る 取 得 が 、 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 の 「 共 有 物 の 分 割 に よ る 不 動 産 の 取 得 」 に 該 当 す る と し て も 、 本 件 判 決 が 、 多 数 の 土 地 ・ 家 屋 か ら 構 成 さ れ る 本 件 相 続 不 動 産 を 一 括 し て 分 割 し 、 長 女 及 び 請 求 人 ら 妹 4 名 そ れ ぞ れ の 単 独 所 有 と な る よ う に 取 得 者 を 決 定 し て い る こ と か ら 、 分 割 前 の 複 数 の 土 地 及 び 家 屋 を 一 括 し た 共 有 物 全 体 を 「 分 割 前 の 当 該 共 有 物 」 と 捉 え る べ き で あ っ て 、 こ れ に 対 す る 「 持 分 の 割 合 を 超 え る 取 得 」 は 、 請 求 人 に お い て は 存 在 せ ず 、 課 税 は 有 り 得 な い と 主 張 す る 。 し か し 、 本 件 判 決 が 、 一 括 分 割 と い う 語 を 使 用 し て い る と し て も 、 そ れ は 分 割 前 の 多 数 の 共 有 物 を 物 権 法 上 一 個 の 物 と し て 取 扱 っ た も の で は な い の で あ っ て 、 多 数 の 共 有 不 動 産 の 分 割 を 、 そ れ ら が た と え 複 数 か 所 に 分 か れ て 存 在 す る と き で も 、 同 時 に 行 う こ と に よ っ て ( 個 々 の 共 有 不 動 産 を 別 々 の 機 会 に 分 割 す る 場 合 に 、 代 償 分 割 の 方 法 に よ っ て 、 対 象 と な る 共 有 不 動 産 を 共 有 者 の う ち の 一 人 の 単 独 所 有 に す る と 、 そ の 都 度 、 取 得 者 か ら 他 の 共 有 者 へ の 全 面 的 な 価 格 賠 償 が 発 生 す る こ と と な る 。 ) 、 最 終 的 な 代 償 金 の 額 が で き る だ け 少 額 と な る こ と を 考 慮 に 入 れ て 、 個 々 の 不 動 産 に つ い て 、 そ れ ぞ れ 共 有 者 各 人 の 単 独 所 有 と な る 結 論 を と れ る よ う に 調 整 を 図 っ た も の に 過 ぎ な い の で あ っ て 、 複 数 の 共 有 物 を 共 有 者 間 の 合 意 に よ っ て 分 割 す る 場 合 に 選 択 し 得 る 一 つ の 方 法 を 、 裁 判 所 が 分 割 を 行 う に 際 し て も 採 用 す る こ と が 許 さ れ る と す る も の で あ り 、 実 体 と し て は 、 個 々 の 共 有 物 の 分 割 の 集 合 ( 個 々 の 共 有 不 動 産 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ 代 償 分 割 で あ る と 解 せ ら れ る が 、 同 時 に 多 数 の 共 有 不 動 産 の 分 割 が な さ れ る た め 、 共 有 者 相 互 間 の 価 額 賠 償 債 務 に つ い て 対 当 額 で 相 殺 さ れ る 結 果 、 債 務 を 負 う 共 有 者 が 限 定 さ れ 、 債 務 を 負 う 者 の 債 務 額 も 圧 縮 さ れ 、 支 払 能 力 の 問 題 も 軽 減 さ れ る こ と と な る 。 ) で あ る こ と は 明 ら か で あ る 。 一 方 、 「 共 有 物 の 分 割 に よ る 取 得 ( 当 該 不 動 産 の 取 得 者 の 分 割 前 の 当 該 共 有 物 に 係 る 持 分 の 割 合 を 超 え る 部 分 の 取 得 を 除

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く 。 ) 」 ( 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 ) と い う 条 文 の 、 「 当 該 不 動 産 」 及 び 「 当 該 共 有 物 」 と い う 語 は 、 そ れ ぞ れ 、 原 則 ど お り 一 個 の 物 権 の 対 象 と な る 一 個 の 不 動 産 を 単 位 に 解 釈 す る べ き で あ り 、 土 地 の 場 合 で あ れ ば 、 土 地 の 単 位 で あ る 1 筆 ご と の 土 地 に つ い て 、 同 条 項 は 適 用 さ れ る べ き で も の で あ る 。 こ の 解 釈 を と る こ と と 、 本 件 判 決 が 一 括 分 割 の 方 法 を 採 用 し た こ と と は 何 ら 矛 盾 す る も の で は な い の で あ る 。 と こ ろ で 、 法 7 3 条 の 2 第 2 号 の 3 の 解 釈 適 用 に 関 し て の 技 術 的 助 言 に 当 た る 取 扱 通 知 の 3 第 5 章 ・ 第 1 ・ 5 の 2 ・ ⑵ に よ れ ば 、 「 複 数 の 共 有 地 で 互 い に 隣 接 し 、 そ の 共 有 者 が 同 一 で 、 か つ 、 持 分 割 合 が 同 じ で あ る 場 合 に お い て 、 合 筆 す る こ と な く 当 該 隣 接 す る 複 数 の 共 有 地 を 一 体 と し て と ら え て 当 該 持 分 に 応 じ た 分 割 を し た と 認 め ら れ る と き は 、 一 の 共 有 物 を 分 割 し た 場 合 に 準 じ て 非 課 税 と し て 取 り 扱 っ て 差 し 支 え な い こ と 。 」 と さ れ て い る が 、 こ れ は 、 複 数 の 共 有 地 の 分 割 で あ っ て も 、 法 の 適 用 に 当 た っ て は 、 原 則 ど お り 1 筆 ご と の 共 有 地 に つ い て 考 え る べ き で あ る こ と を 当 然 の 前 提 と し て い る も の で あ っ て 、 そ の 上 で 、 特 に 「 複 数 の 共 有 地 で 互 い に 隣 接 し 、 そ の 共 有 者 が 同 一 で 、 か つ 、 持 分 割 合 が 同 じ で あ る 場 合 」 に つ い て は 、 理 論 上 は 何 ら の 物 権 変 動 を 伴 な う こ と な く 、 直 ち に こ れ ら を 合 筆 し て 一 個 の 共 有 地 と す る こ と が 可 能 な も の で あ り 、 合 筆 後 1 筆 と な っ た 場 合 に は 、 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 の 非 課 税 規 定 が 何 ら 留 保 な く 適 用 で き る こ と と な る こ と と の 均 衡 上 、 敢 え て 、 共 有 物 分 割 前 に 合 筆 を 行 う と い う 段 階 を 踏 む こ と が な く と も 、 法 の 規 定 の 適 用 に 当 た っ て は 、 一 個 の 共 有 地 の 分 割 に 準 じ た 取 扱 い を す る こ と に つ い て 、 こ れ を 妨 げ な い と す る こ と を 示 し て い る も の で あ る と 考 え ら れ る 。 こ れ ら の こ と を 前 提 と し て 請 求 人 の 主 張 を 見 る と 、 そ の 主 張 は 、 「 複 数 の 共 有 地 で 互 い に 隣 接 し 」 と い う 要 件 を 欠 い て い る た め に 合 筆 し て 一 個 の 土 地 と す る こ と が 不 可 能 な 場 合 に ま で 、 そ れ

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ら を 分 割 前 の 一 体 の 土 地 と と ら え る べ き と す る も の で あ る と 解 せ ら れ 、 上 記 述 べ た 原 則 に は お よ そ 適 合 す る 余 地 が な い も の で あ る か ら 、 採 用 す る こ と は で き な い も の で あ る 。 仮 に 「 複 数 の 共 有 地 で 互 い に 隣 接 し 」 と い う 要 件 を 不 要 と し 、 数 か 所 に 分 か れ て 存 在 す る 多 数 の 共 有 地 に つ い て 、 こ れ を 一 括 し て 法 7 3 条 の 7 第 2 号 の 3 か っ こ 書 の 「 分 割 前 の 当 該 共 有 物 」 と 解 す る こ と が 許 さ れ る と す れ ば 、 例 え ば 、 東 京 都 内 と 他 県 内 と に 分 か れ て 所 在 す る 多 数 の 共 有 地 を 一 括 し て 分 割 し 、 そ の 結 果 、 東 京 都 内 と 他 県 内 の 複 数 の 土 地 を 取 得 し た 者 に 対 し て 不 動 産 取 得 税 の 賦 課 処 分 を 検 討 す る 場 合 、 課 税 対 象 と な る べ き 「 分 割 前 の 当 該 共 有 物 に 係 る 持 分 の 割 合 を 超 え る 部 分 の 取 得 」 を 、 ど の よ う に 捉 え た ら よ い の か 、 課 税 権 を 有 す る 地 方 団 体 間 の 調 整 と い う 点 も 併 せ て 、 著 し い 困 難 が 発 生 す る こ と と な る の で あ る 。 こ の よ う な 錯 綜 し た 結 果 を 招 く 法 の 解 釈 は 回 避 す べ き で あ り 、 少 な く と も 、 「 複 数 の 共 有 地 で 互 い に 隣 接 し 」 て い る こ と は 、 上 記 非 課 税 規 定 適 用 の 許 容 範 囲 を 限 定 す る た め の 要 件 と し て 、 必 須 の も の と 解 さ ざ る を 得 な い の で あ る 。 ⑷ 以 上 の と お り で あ る か ら 、 請 求 人 の 主 張 に は 、 い ず れ も 理 由 が あ る と す る こ と は で き な い 。 5 請 求 人 の 主 張 以 外 の 違 法 性 又 は 不 当 性 に つ い て の 検 討 ま た 、 本 件 各 処 分 に お い て 、 そ の ほ か 上 記 2 な い し 4 に 述 べ た と こ ろ に よ り 検 討 し た 以 外 の 点 に お い て も 、 違 法 又 は 不 当 が あ る と は 認 め ら れ る も の で は な い 。 以 上 の と お り 、 審 査 会 と し て 、 審 理 員 が 行 っ た 審 理 手 続 の 適 正 性 や 法 令 解 釈 の 妥 当 性 を 審 議 し た 結 果 、 審 理 手 続 、 法 令 解 釈 の い ず れ も 適 正 に 行 わ れ て い る も の と 判 断 す る 。 よ っ て 、 「 第 1 審 査 会 の 結 論 」 の と お り 判 断 す る 。

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( 答 申 を 行 っ た 委 員 の 氏 名 )

近 藤 ル ミ 子 、 山 口 卓 男 、 山 本 未 来

参照

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