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全国循環器撮影研究会誌 Vol 分析やカンファレンスが効いたのか 陽性的中率 (PPV : positive predictive value) が倍増し 陰性 的中率 (NPV : negative predictive value) 表 4 は元々高値であったが 更に少し上昇 S

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Academic year: 2021

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教 育 講 座

冠動脈CTに循環器医師が求めているもの

(提供画像)とその利用方法

三井記念病院 循環器内科科長 田邉 健吾 【環境改善・レベルアップのために】 医療というのは、医者や看護師や技師だと言っている時代ではなく、それぞれが得意な領域をカバ ーし合いながらよいものを見出していくという時代と思っている。そのために、当施設では院外の先 生に来てもらい、循環器内科医、放射線科医、技師、放射線科の看護師を含めて月1回心臓CT カン ファレンスを行っている。基本的には読影と異なる症例について、色々な意見を様々な立場から述べ てもらっている。循環器内科医が心臓カテーテル検査をし、心臓CT レポートと異なった症例を、放 射線科医や技師に還元する。看護師は検査の流れに詳しく、放射線科医や技師は被曝や撮影方法につ いて長けており、最良の撮影方法を提案してくれている。 例えば、最近ようやく使えるようになったコアベータの情報を早めに仕入れ、「いついつから承認さ れるので、こういう作戦で行こうか」と早めに対応したり、あるいは「次のバージョンアップがあれ ば、こうやって行くぞ」と、皆で情報を共有してバージョンアップに備えている。撮像方法や造影剤 投与方法の検討や患者フローの確認においては、造影CT 時は絶食で来院するので、血液検査や血液 生化学的検査用採血をCT 用の点滴確保時に行うなど最良の患者導線を考慮し看護師に協力して頂い ている。また、技師、看護師、医者を含め、いろいろなデータを取っているので、そのような分析(解 析結果)を報告し合う機会の場としても活用している。 【当施設のCT の変遷(detector の進化)】 2004 年に 16 列の MDCT を導入し 5 ヶ月間に 200 人、その後 64 列にバージョンアップし 4 年間 で2400 人、2009 年から 320 列を導入し 3 年と 3 カ月で 2900 人くらいスキャンしてきた。これまで のいろいろなデータをフィードバックして復習しながら考えている。 表1 及び表 2 に 16 列から 64 列にバージョンアップした際の分析結果を示す。 16 列から 64 列にバージョンアップし有意差をもって改善されたのは、Motion Artifact が減ったこ とと、造影剤量が75ml から 60ml に減り、息止め時間も 22 秒から 13 秒まで減ったことである。 16S (390 sgts) 64S (442 sgts) p value Motion Artifact 32 7 <0.001 Severe calcification 8 5 0.43 low opacification 5 0 0.05 表 2 Causes of exclusion as “not evaluable”

16S 64S p value

Contrast (ml) 75.7 59.7 <0.001

Breathhold

time (sec) 21.7 13.1 <0.001 表 3 The amount of cotrast agent

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分析やカンファレンスが効いたのか、陽性的中率(PPV : positive predictive value)が倍増し、陰性 的中率(NPV : negative predictive value)

は元々高値であったが、更に少し上昇 した。(表3)ただし、64 列の弱点は 図1 に示すように Banding Artifact (Stair-Step Artifact)が存在する。息止 め時間が13 秒になったとは言え、まだ 克服すべき問題がある。現在使用している320 列は息止め時間が 1~2 秒と短く、造影剤も 40ml と 更なる改善が可能となった(図2)。 【β遮断薬の進化】 β遮断薬の進化もあり、新薬についてはカンファを通じ、承認前からどのようなフローで導入して いったらよいのか相談してきた。従来のβ遮断薬は商品名でインデラルなどがあるが、ランジオロー ル塩酸塩のコアベータが開発された。この新薬の特徴は、半減期が4 分と短いことである。すなわち、 投与してからCT 撮影後の帰宅までの副作用を心配しなくてよいことである。血圧を過度に低下させ ることなく、目的である心拍数をしっかり下げてくれる(表4)。 当施設も治験に参加していたが、プラセボとコアベータの実薬群で比較すると、もちろんコアベー タのほうが4分くらいから心拍数が下がり、8~10 分くらいまでの作用時間であった。血圧に関する 影響は少なくてよいことと、心拍数の低下率が20%くらいあるのが特徴であった。320 列 CT では、 心拍数を65 以下にすることが1つのキーワードだが(これが低いか高いかというのはまだ議論があ る)、達成率は67%であった。描出能に関しては、やはり実薬群のほうがしっかり評価しやすい結果 であった。従来の飲み薬のテノーミンなどは作用時間が長く、CT 検査後から帰宅してからも副作用 の心配があったが、コアベータを使うことで、副作用を心配する必要はないこと、一方でしっかり効 TP TN FP FN Sens Spec PPV NPV 16S 56 243 36 9 80.9 81.3 40.4 96.4 64S 50 379 5 4 92.6 98.7 90.9 99.0

表 4 Segment-based Analysis (in visuable segments)

一般名 血中 半減期 (ヒト) β1選択性 (イヌ)* 作用の 効果 作用の 発現 ランジオロール 4分 277 HR >BP HR 先行 プロプラノロール 2時間 0.6 HR >BP HR 先行 エスモロール 9分 20 HR ≦BP BP 先行 HR:心拍数 BP:血圧 *:β1とβ2の作用比β遮断薬のすべて 第3版 先端医学社 p349 表 5 静脈内投与可能なβ遮断薬の臨床的特徴 図 1 64 列 MDCT の弱点

造影良好だがBanding (Stair-Step) Artifact あり。RCA #1-Mid に 75%以上の狭窄が疑わ れるが、Artifac が影響か? CAG にて確認したところ、問題なしの結果。

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いてくれるので心拍数を低下させることにより安定した画質を保つことができるというメリットがあ る。また、ひいては被曝の低減にもつながる。 ただ、現状の問題点は、コアベータだけでは目標にしたい心拍数65 の達成率は 67%くらいしかな い。このようなデータをカンファレンスで振り返り、現在は外来で心拍数が70 以上であれば、経口 剤の中で比較的半減期が短いロプレソール(セロケン)を使い、適宜追加でコアベータを使うという プロトコールにしている。医師、技師、看護師と分析し合い、最善のプロトコールを考案することが 大事である。 【レポートシステム】 レポートは非常に重要であり、紹介医や外来のドクター に役立つ情報を提供する必要がある。CT 画像を全て送付 すればよいが、レポートにはピックアップして最適な画像 を選ぶ必要があるため、技師には有用な画像作成をお願い したい。 図3 に当施設のレポートを示す。 当施設では、まず放射線科の先生がざっとしたところ を当日中にレポート作成してくれる。ここで注意すべき は、専門医の資格があり、かつ2 日以内にレポート率が ある程度高くないと、加算が取れないという事である。 後で、われわれ循環器医がもう少し踏み込んだ情報で、 「カテやるにはこうしたほうがよい」、「プラークはこう だ」というのを追加している。 CT レポートがあり、様々なデータベースがあり、し かも電子カルテがあり、非常に煩雑となる。そこで、デ ータベースを一元化し無駄な入力を二度しなくてよいシ ステムを構築した。データベースと電子カルテ、CT レ ポートがリンクされ、入力ミスや時間の節約に効果を 発揮している。 【プラークに関する知識】 CT の目的の1つは、狭窄の有無が第一の情報である。狭窄の有無の判定には運動負荷心電図、シ ンチ、ドブタミン負荷エコーなどいろいろあり、表5 に診断精度を示す。例えば普通の運動負荷心電 図では感度は55~80%で、一般的な検査ではあるが診断精度は低い。負荷シンチでは感度は少し上が り80~95%となるが高額である。一般的な計算方法だが、全ての狭心症の人を救い上げられるわけで はない。これを考えると冠動脈CT のほうが感度等も高いことが、過去の論文の報告にある。 CT ではさらにもう1つ大切な情報を得ることが出来る。それがプラークである。プラークの情報 は、カテーテルやPCI に重要で、薬物療法を考える上でも大切である。また、プラークは動脈硬化の 初めの現象として患者管理には非常に重要な情報である。しかし、プラーク評価の限界も知っておか なければならない。例えば使う造影剤がどんどん濃くなれば、プラークのCT 値も上昇する。スキャ 図 3 心臓 CT レポート

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ンタイミングが造影剤ピークであればプラークのCT 値は 83 という値なのに対し、少し遅れてスキ ャンすると35 に下がるといった、CT 値は撮影方法や、使用造影剤の濃度によりばらつくことがある。

【PCI の slow flow】

slow flow とは、PCI にて血管狭窄部拡張後に血液の flow が遅くなって しまう事である。急性冠閉塞あるいは再狭窄の要因ともいわれている。 slow flow を PCI 前に把握出来ないか調べて行くうちに、1つおもしろい 現象があることに気づいた。 図4 は右冠動脈造影像であるが、#3 に軽度狭窄所見を認める。図 5 は 心臓CT による右冠動脈 CPR 像である。造影所見同様の所見を認める。 狭窄部をみると、造影剤のCT 内腔が石灰化を伴ったプラークにより狭窄 している様子が描出されている。この病変部を拡大したAxial 像を図 6 に 示す。図6-a 及び図 6-d は狭窄部前後の正常部で造影剤の血管内腔が真ん 中にある。図6-b は中央の血管内腔と右外側に high-density な石灰化、下 部のlow-density なプラークの存在が認められる。図 6-c は中央に造影剤 による血管内腔が存在し、その周囲をlow-density なプラークが取り囲ん でいる。更にその外側にもエンハンスがある様な所見である。我々はシグ ネットリングライクサインと言っているが、リングライクサイン、あるい はリングライクエンハンスメント、あるいはナプキンリングサインと呼ば れる事もある。この所見は、まだ用語が統一されていないことが難点だが、 全部同じ意味で用いられる。このような所見が見られた時にslow flow が 多い事に気づき報告を行ったが、当時の反響は今一つと言った感じであっ た。しかし、その後沢山の報告が出され、IVUS で確認すると、プラーク ラクチャーの後だったという報告もある。よって、このようなリングライ クエンハンスメントというのは、プラークラクチャーのあとを見ている重要な所見の可能性がる。 負荷法 感度 特異度 運動負荷心電図 55~80% 70~80% 負荷心筋シンチグラフィー 80~95% 70~95% 負荷心エコー    運動負荷 70~95% 75~95%    ドブタミン負荷 75~90% 75~95%    ジピリダモール負荷 45~80% 80~95% 表 6 様々な検査と冠動脈疾患に関する診断精度

Peteiro,J et al:Peak treadmill exercise echocardiography:not feasible? Eur Heart J 30:740- 741,2009

図 5 心臓 CT RCA-MPR 図 4 右冠動脈造影

図 6 Signet-ring Like Appearance Case

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CT で観察されるリングライクエンハンスメントは、造影剤(血管内腔)が真ん中にあり、より CT 値が低い領域があり、その周り(外側)がエンハンスされる。この部位のOCT 像は、thin-cap fibroatheroma という、いわゆる危なそうなプラークで、壁が薄く、将来フラクチャーしそうな所見 で一致した。現在、CT の熱いトピックの1つになっている。

シグネットサインにしろ、リングライクサインにしろ、まとめると、PCI をそのまま無防備にする とslow flow を起こす可能性がある。よって、そのような所見を CT で技師が見つけたら、PCI のオ ペレーターに伝える必要があると考える。この所見はプラークフラクチャーの後を見ている可能性も あり、逆に1回起こしたあとを見ている可能性もある。しかし、将来心筋梗塞を起こしてしまうかも しれない重要な所見でることは間違いない。 【プラーク分類】 ガイドラインではプラークの分類の呼びかたが変わっている。 1. カルシファイドプラーク:石灰化のプラークで、プラーク全体が石灰で覆われている。要するにプラ ーク全体が石灰で覆われてしまったものをカルシファイドプラークという。 2. パーシャリーカルシファイドプラーク:プラークが一部分は石灰化で、石灰ではない部分もあるもの。 3. ノンカルシファイド:全く石灰化がないも。 以上の3 つに大きく分類され統一された。 CT で急性冠症候群を起こした人には、ポジティブリモデリング、プラークの存在、あるいは微小 石灰化、あるいはリング様所見が見られるという論文が出始めた。 プラークに関して提供してほしい情報は、新分類のカル シファイドプラークなのか、パーシャリーカルシファイド プラークなのか、ノンカルシファイドプラークなのか、こ の3つの分類と、ポジティブリモデリングの有無である。 ポジティブリモデリングとは、血管内腔の大きさに変化は ないものの、プラークの生成・進展に伴い血管径(外側) がポジティブ(陽性)に拡大する現象である(図7)。 【CT の弱点】 CT の必要性・重要性は十分理解されてきたが、苦手な部分もそれなりに存在する。弱点を押さえ た上で最大限の努力でカバーして頂きたい。 弱点の1つはバイパスの吻合部の問題である。表6 に我々が報告した 64 列での静脈グラフトバイ パスの評価を示すが、84%と抹消の血流評価は可能でも、表 7 に示すように陽性的中率はわずか 40% 程度である。吻合部は「細い」とレポートに書きがちなのですが、カテしてみると大丈夫だったとい うことはかなり多く経験する。 吻合部は弱点なので、吻合部を意識しながら撮影条件や撮像方法を考えたほうが良いと思われる。 現在320 列になりバンディングアーチファクトがなく、かなり吻合部は見えるようになったという印 象を持っている。これに関して、いまはカテと対比しながら前向き試験のデータを取っている。 弱点のもう1つはステント部の評価である。これはステント側の要因でもある。ステントの金属が 厚いかどうかというのは、100μm で分ける傾向がある。最近のステントは 100μm よりも薄いので すが、分厚いステントを入れる先生がいたらCT での評価が出来ないことも討論すべきと考えます。 また、ステント径が3mm 未満(2.75mm, 2.5mm)も、見えにくいことが報告されている。 それぞれの施設でのスキャナー、撮像法のテクニックで、ステント長2.5mm 以下やステントスト ラット厚が100μm 以上は見えにくいとなれば、オーダー医にそれを還元すべきで、逆に見えるとこ ろであればカテをやらないでCT で評価可能である事を助言すべきである。施設における CT 評価の カットオフ値を決めることが大切である。 1st Sep. 図 7 ポジティブリモデリング

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CT の最大の弱点は慢性完全閉塞性病変(CTO)の評価である。CTO に対する PCI 成功率に関す る要因で良く知られているのは、病変長です。病変長が15mm 以上か以下であるかで成功率が変わっ てくる。また、石灰化の有無や閉塞部の血管形態が関与してくる。石灰化の影響や、閉塞部の血管形 態がプチッと完全に切れてしまう(Blunt Stump)タイプはワイヤーが通しにくく、成功率が低くな る。こういった成功、失敗に関わる情報を提供して頂きたい。 レトログレードアプローチを施行している病院では、側副血行路をしっかり描出することが大事で ある。Virtual VR と言い、造影剤は入っていないけれども、プラークがあるため、血管の走行を色づ けして3D 構築画像を提供する。PCI をする先生にとって、これは非常に有用な情報である。 【最後に:将来展望を含めて】 新たなステントデバイスがどんどん開発されている。いちばんホットな話題は生体吸収性ステント (BVS)というデバイスである。サイファーというステントは分厚くて見にくい代表だったが、この BVS は溶けてなくなるポリマーを使用している。このステントは溶ける前でも CT を邪魔しない材質 であり、時期が来ればステントは溶けてなくなるというシステムで、全世界で100 施設、1000 例で レジストリを組んで治験が入っている。 BVS で何が大事かというと、血管内超音波では新しい生体吸収のステントは全くシャドーを引いて 観察できない点である。二重線の様になり、圧着の程度が不明瞭となっている。今後はIVUS 時代で はなくなるかもしれない。 ところがOCT では、BVS の構造が、四角のブロック状になり、よく観察できる。圧着の程度が明 瞭に評価可能である。OCT は、いまはまだカテ室での位置づけが微妙だが、将来きっと役立つと思わ れる。さらに、OCT メーカーや CT メーカーも意識しており、CT と OCT をコンバインして、両方 一緒に動かそうというプロジェクトも存在する。 OCT の進化系は、危険なプラークのマクロファージをカウントできるという顕微鏡的なデバイスを 作ろうとしている。そのようなOCT を用いてマクロファージをカウントし、危ないプラークをシー リングする目的にBVS を植え込むという時代になると、危険なプラークの情報が必要になる。ポジ ティブリモデリング、リングサイン、プラークCT 値といった情報の提供がますます大事になってく ると思われ、よりCT の役割が高くなるだろうと考えられる。 Evaluability Graft Body and

anastomoses 94%

Distal Run-off Artery 83.7%

Non-grafted Artery 97.4%

表 7 Evaluability of graft body and distal anastomoses

表  2    Causes of exclusion as “not evaluable”
図  2  64 列と 320 列の違い
図  6    Signet-ring Like Appearance Case
表  7    Evaluability of graft body and distal anastomoses

参照

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