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原 著 人工関節感染症における術中検体を用いた細菌遺伝子 検査の有用性について 櫻井 慶造 1) 内山 勝文 2) 安本 龍馬 1) 狩野 有作 1) 3) 中﨑 信彦 1) 棟方 伸一 1) 1) 北里大学病院臨床検査部 神奈川県相模原市南区北里 ) 北里大学医学

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原 著

人工関節感染症における術中検体を用いた細菌遺伝子

検査の有用性について

櫻井 慶造

1)

安本 龍馬

1)

中﨑 信彦

1)

棟方 伸一

1)

内山 勝文

2)

狩野 有作

1)3) 1) 北里大学病院臨床検査部(〒 252-0375 神奈川県相模原市南区北里 1-15-1)  2) 北里大学医学部整形外科学  3) 北里大学医学部臨床検査診断学 要 旨 今回,関節液 98 例および人工関節周囲材料 140 検体を用いて PCR ラテラルフロー法(PCR-LF 法)によるブドウ球菌 系 3 菌種(methicillin-sensitive Staphylococcus aureus; MSSA, methicillin-resistant Staphylococcus aureus; MRSA, methicillin resistant-coagulase negative staphlyococci; MR-CNS),それ以外の細菌は 16S リボゾーム RNA(16S-rRNA 法)の解析を実施 し,人工関節感染症における術中検体を用いた細菌遺伝子検査の有用性を検討した。その結果,PCR-LF 法を用いた関節 液より細菌遺伝子 24 検体(MSSA: 5.1%, MRSA: 9.2%, MR-CNS: 10.2%)が検出された。PCR-LF 法が陰性であった 74 検 体は 16S-rRNA 法を用いたシーケンスによる菌の推定を行った。しかし,16S-rRNA 法は増幅酵素由来の Escherichia coli や試薬中に存在する他の細菌によるコンタミネーションが発生し検出感度に問題が生じた。よって,真核細胞をホスト細 胞として作製した Eukaryote-made Taq polymerase(E-Taq)を用いて bacterial DNA contamination free を確認した結果,術中

材料より直接的に 1 × 102(CFU/mL:50%検出)まで細菌の遺伝子検出が可能となった。E-Taq を用いた 16S-rRNA 法で は,74 検体中 19 検体から細菌遺伝子を検出しシーケンス解析により菌を推定した。遺伝子検査法は培養同定検査に比べ て検出率が 1.5 倍高値を示した。しかし,培養同定検査が陰性を示した 8 検体(MSSA:3 例,MR-CNS:3 例,MRSA: 2例)および同時に採取された組織材料 3 検体(MSSA:2 例,MR-CNS:1 例)の術中組織材料から細菌遺伝子が検出さ れ,採取時のコンタミネーションが生じる可能性が示唆された。以上より,PCR-LF 法および E-Taq を用いた 16S-rRNA 法は良好な感度および特異性を示し,人工関節感染症の感染診断として臨床応用が可能であると考えられた。 キーワード 人工関節感染症,細菌遺伝子検査,PCR ラテラルフロー法,16S-rRNA シーケンス解析 近年,人工関節はインプラントの飛躍的な機能向 上により生活の質の改善に極めて有効な治療法とさ れているが,人工関節感染症(prosthetic joint infection; PJI)が最も重篤な合併症となっている。米国感染症 学会によるガイドラインでは,PJI の診断根拠 (definitive evidence)として術中の二つ以上の組織検 体の培養,あるいは術前・術中の穿刺液の培養にお いて同一の微生物が検出された場合とされている。 感染が疑われた場合の Gold standard は,培養検査に よる起炎菌の同定が重要である。しかし,培養同定 検査は検査時間が長く検出感度が低いため十分な診 断法とは言えず,感染診断に苦慮する場合が少なく ない。よって,臨床検査の場で感染症遺伝子検査が 活用されている 1), 2) 今回,我々は術中検体を用いた迅速細菌遺伝子検 査法の確立を目的とし,polymarase chain reaction ラ テラルフロー法(PCR-LF 法)を原理とする遺伝子 検出試薬を用いて,関節液あるいは術中人工関節組 織 材 料 か ら メ シ チ リ ン 感 受 性 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 (MSSA),メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) およびメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (MR-CNS)の解析を実施した 3)。本法は約 3 時間で (平成 30 年 2 月 5 日受付・平成 30 年 6 月 4 日受理)

(2)

MRSAが検出可能であるが,これら 3 菌種以外は

16Sリボゾーム RNA を用いたシーケンス(16S 解析

法)により菌を推定した 4), 5)。市販の PCR 増幅試薬

では 16S 解析法にてサイクル数が増加した場合,

Escherichia coli(E. coli)による酵素由来のゲノムコ

ンタミネーション,細菌培養検査との乖離などの問 題が生じた。以上の問題点を考慮し,術中検体を用 いた細菌遺伝子検査の有用性について検討した。 I 方法および材料 1.対象 平成 27 年 4 月から平成 29 年 3 月までの期間に, 北里大学病院整形外科を受診した人工関節感染症の 患者から採取した関節液 98 検体,および術中の組織 材料 140 検体(滑膜 14 検体,頚骨 32 検体,大腿骨 周辺組織 34 検体,骨髄内組織 10 検体,ステム周辺 組織 20 検体,脛骨周辺組織 20 検体,セメントスペ サー周辺組織 10 検体)を対象とした。関節液はテル モシリンジ(TERUMO)で採取後,無菌的に採取管 (EDTA-2Na:テルモ)に分注した。関節組織材料は 滅菌処理した滅菌サンプルバック(アズワン)に無 菌的生理食塩液 1 mL を添加し保存した。 2.方法 1)培養同定検査 関節液は,HK 半流動培地で培養を行い 5%ヒツジ 血液加寒天培地,チョコレート寒天培地,BTB 乳糖 加寒天培地および BHK 寒天培地(極東)を用いて サブカルチャーを行った。培地上に発育した集落は, CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)に

準拠 6)した MicroScan WalkAway-96SI(SIEMENS)を 使用し,各菌種用専用パネルを用いて菌種同定・薬 剤感受性を行い,各遺伝子検査法と比較した。操作 法・判定法は添付書の指示に従った。 2)DNA 抽出 ①関節液 EDTA-2Na管に採取した関節液 200 μL にリゾスタ

フィン処理後(室温 10 分),DNA amp MiniKIT (QIAGEN)を用いて抽出した(QIA 法)。特に,粘 性が強い場合は NALC-NaOH 液(BD MycoPrepTM) 200 μLを添加し,1 分間,激しく混合して抽出試薬 の W1 液の洗浄操作を 2 回繰り返した。 ②術中組織材料 生体の組織は溶解しにくいが,簡易的で迅速性に 優れた超音波での前処理を行った 7)。滅菌サンプル バックに採取した組織材料は,無菌生理食塩液 1 mL を添加し超音波洗浄装置で 31 Hz,3 分処理後,QIA 法を用いて抽出した。 3)細菌遺伝子検査 ①PCR ラテラルフロー法(PCR-LF)による MSSA, MRSAおよび MR-CNS の検出 PCR-LF法は,Staphylococcus aureus が保有する

femA遺伝子と MRSA の mecA を同時に増幅する。

DNAの増幅の判定は,probe スティックに金コロイ ド液で染色を行い,その各バンドを陽性対照と比較 して目視判定した 3)。 ②16S 解析法 抽出した DNA は,16S-rRNA 遺伝子を増幅する ユニバーサル primer を用いた PCR 法によって増幅 した4), 5)。PCR 溶液 25 μL は,TAKARA Ex Taq (TAKARA)を添付説明書に従い調整し,抽出 DNA 5 μLを添加した(Ex-Taq 法)。PCR 法は,95℃5 分 後,35 サイクル(95℃30 秒,60℃30 秒,72℃1 分), 72℃5 分増幅した。DNA の増幅の判定は,Nuclease-Free Water(Cosmo BIO: N-の増幅の判定は,Nuclease-Free Water)を陰性の対象 として,電気泳動後,エチジウムブロマイド(ethidium bromide; EtBr)染色(ニッポン・ジーン)を説明書 に従い染色し増幅酵素由来の E. coli や,試薬中の他 の細菌によるコンタミネーションが陰性であること を目視判定した。PCR 産物は,PCR 産物精製キット Nucleospin Gel and PCR Clean-up(TAKARA)を用い て精製した。細菌の推定は,16S-rRNA の領域(約 1,500 bp)の保存性の高い約 500 bp の 519a と 907a のシーケンス primer を用いて測定した。その精製産 物を鋳型として,シーケンス PCR キット:BigDye Terminator v 1.1 Cycle Sequencing Kit( Applied Biosystems)を用いて添付説明書に従い標識反応し

た 。 シ ー ケ ン ス 産 物 は , 精 製 キ ッ ト BigDye®

Xterminator Purification Kit(Applied Biosystems)を用 いて精製した。精製済みのシーケンス PCR 産物は, シーケンサー 3500XL GenticAnalyzer 装置(Applied Biosystems)を用いて塩基配列を解析した。得られ た塩基配列は DNA Data Bank of Japan(DDBJ)の

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相同性がある菌種について検索を行った。 ③PCR 増幅試薬の比較

PCR 増 幅 試 薬 は , 市 販 3 種 類 の Ex-Taq 法 ,

AmpliTaq Gold®(ThermoFisher:AmpG 法)および

FastStart SYBR Green Master(Roche:SYBR 法)を 用いて,MRSA II の 16S-rRNA 遺伝子を増幅しバン ドの有無を比較した。また,真核細胞をホスト細胞 として作製した Eukaryote-made Taq polymerase(製 造:北海道三井化学株式会社,提供:三井化学株式

会社)は,Niimi らの方法 8)に従い解析した(E-Taq

法)。SYBR 法は Realtime PCR 装置(LightCycler Nano: Roche)を使用し,PCR 溶液 20 μL に抽出 DNA

5 μLを添加した。MRSA II 型の Macfarland 0.5 菌液 を無菌生理食塩で 10 倍希釈液を作製し感度試験を 検討した。PCR 条件は,95℃3 分後,(95℃10 秒, 60℃20 秒,72℃50 秒),72℃5 分増幅し,35,45, 55 cycleで増幅した。 4)各検査法から得られた結果の比較 PCR-LF法および 16S 菌検索法から得られた結果 を個々に比較検討した。 II 結 1.患者背景および検査所見 関節液および人工関節組織材料に由来した患者の 背景および検査所見の一部を示す(Table 1)。98 例 の内訳は男性 26 検体,女性 72 検体で,検査依頼時 の年齢は中央値 67.1 歳(16~88 歳)であった。細胞 数の中央値は 29,903 cell/μL(143~195,000 cell/μL), 血清 CRP の中央値は 6.25 mg/dL(0.03~30.6 mg/dL) であった。なお,細菌顕微鏡検査ではグラム陽性菌 が 4 検体,グラム陰性菌が 1 検体,抗酸菌陽性が 1 検体であった。 2.PCR-LF 法と 16S 解析法の感度および市販増幅試 薬の比較 1)感度試験 MRSA-IIの 10 倍段階希釈の菌液を用いて 2 重測 定した PCR-LF 法の検出感度は,1 × 102 CFU/mL,

50 cycle増幅した E-Taq 法の検出は 1 × 102 CFU/mL

を 50%検出できる感度であった(50%検出)(Table

2)。

2)市販増幅試薬の比較

4種類の PCR 増幅法を用いた陰性確認の電気泳動

を示す(Figure 1)。N-Free Water を用いて,35 cycle から 55 cycle の PCR 増幅を 3 日間測定し,E-Taq 法 では 55 cycle まではバンドが陰性であることを確認 した。市販 3 種類の PCR 増幅試薬に関しては,45

cycleから陰性対照の N-Free Water にバンドが認めら

れ,陰性が確認できた 35 cycle までは大腸菌ホスト のゲノムのバンドは認めなかった。市販の Ex-Taq PCR試薬を 35 cycle 増幅した場合,1 × 104 CFU/mL (50%検出)と E-Taq 試薬の感度に約 100 倍の差を認 めた(Table 2)。 3.遺伝子検査の検出頻度 関節液 98 例における PCR-LF 法を用いた細菌遺 伝子の検出結果を示す(Figure 2)。MSSA 5 検体 (5.1%),MRSA 9 検体(9.2%),MR-CNS 10 検体 (10.2%)から細菌遺伝子が検出された。PCR-LF 法 が陰性を示した 74 検体について,E-Taq を用いた 16S解析法で菌の推定を実施した。その結果,グラ ム陽性菌として,Streptococcus agalactiae 5 検体 ( 5.1% ), Finegoldia magna が 2 検 体 ( 2.0% ),

Propionibacterium acnesが 1 検体(1.0%),Clostridium

leptumが 1 検体(1.0%),Enterobacter Species が 1 検

体,Prevotella oralis が 1 検体(1.0%),Micrococuuus

Speciesが 1 検体(1.0%),Bacilius thermolactis が 1

検体を認めた。また,グラム陰性菌では Escherichia

coliが 2 検体(2.0%),Stenotrophomonas maltophilia

が 1 検体(1.0%),Klebsiella pneumoniae が 1 検体 (1.0%)であった。PCR 増幅が低濃度を示した 2 検

体に関しては,16S 解析法は判定不能であった。

4.遺伝子検査法と培養同定検査との比較

同時に組織材料が提出された関節液 91 例につい Patient characterstics (total: 98)

Cases mean (min~max)

All 98

Male 26

Female 72

Age 67.1 (16~88)

Synovial fluid (cell/μL) 29,903 (143~195,000) Bacterial microscopy 6 (GP: 4 GN: 1 MT: 1) Serum CRP (mg/dL) 6.25 (0.03~30.6) GP: Gram-positive bacteria, GN: Gram-negative bacteria, MT: Mycobacterium tuberculosis

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て PCR-LF 法と培養同定検査を比較検討した(Table 3)。全体として PCR-LF 法では 24 例,培養同定法で 16例が検出され,PCR-LF 法による検出率は培養同 定法の 1.5 倍であった。菌種による陽性一致率の比 較では,MSSA が 40.0%,MR-CNS が 70.0%,MRSA が 77.8%であった。また,材料の比較として同時に 依頼された関節液と組織材料 91 例について比較検 討した(Table 3)。組織材料との陽性一致率の比較 では,MSSA が 60%,MR-CNS が 75%,MRSA が 90%であった。

5.左人工骨頭置換術(bipolar hip arthroplasty;

BHA)後緩み患者の臨床経過 術中に左大腿骨頸部内側組織の迅速病理検査,培 養同定検査および細菌遺伝子検査が提出された BHA例の臨床経過を示す(Figure 3)。迅速病理診断 では「形質細胞,リンパ球などの炎症細胞浸潤,化 膿性炎症に矛盾なし」との診断で,好中球主体の炎 症性浸出液が出現していた。7 日間の培養同定検査 は陰性,PCR-LF 法では mecA が陽性を示し,16S 解 析法において S. epidermidis が推定された。その後, Cefazolinの投与により,炎症反応は改善を示した。 術中に使用した Vancomycin と Gentamycin はリン酸 Limit of detection for PCR-LF and 16S-rRNA

(CFU/mL) 1 × 108 1 × 107 1 × 106 1 × 105 1 × 104 1 × 103 1 × 102 1 × 101 PCR-LF (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (−) 16S-rRNA  Ex-Taq (+) (+) (+) (+) (+) (−) (−) (−)  (35 cycle) (+) (+) (+) (+) (−) (−) (−) (−)  E-Taq (+) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (−)  (50 cycle) (+) (+) (+) (+) (+) (+) (−) (−)

PCR-LF: PCR lateral flow method, 16S-rRNA: 16S ribosomal RNA method, PCR assay Ex-Taq (TAKARA Ex Taq), E-Taq (Eukaryote-made Taq polymerase)

Table 2 

35 cycle 45 cycle 55 cycle

① Bacterial contamination positive 500 bp

1,000 bp 1,500 bp

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

MW PC PC PC MW

② Bacterial contamination negative

Effect of bacterial contamination using eukaryote-made thermostable DNA polymerase and Escherichia coli-made polymerase

Gels showing the PCR assay products (35, 45 and 55 cycles) of bacterial 16S ribosomal RNA genes in the Nuclease-Free Water or MRSA II using the universal primers. Commercial bacterially made thermostable of three companies were tested. MW: 100 bp DNA Ladder ① No. 2・ 6・10: TAKARA Ex Taq No. 3・7・11: Amplitaq Gold No. 4・8・12: SYBR Green ② No. 5・9・13: eukaryote-made thermostable DNA polymerase (PCR assay 55 cycles) for bacterial contamination of nuclease free water using bacterial universal primers.

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カリシウムペーストに入れて局所に使用した。 III 考 人工関節における手術部位感染(surgical site MSSA, 5 MR-CNS, 10 MRSA, 9 S. agalactiae, 5 E. coli, 2 F. magna, 2 P. acnes, 1 Clostridum leptum, 1 P. oralis, 1 S. maltophilia, 1 K. pneumoniae, 1 B. thermolactis, 1 Enterbacter sp., 1 Micrococcus sp., 1 Signal weak, 2 (-), 55 PCR-LF 16S-rRNA

Detection of causative bacterial in prosthetic joint infection samples (n = 98: Syovail fliud)

MSSA: methicillin-sensitive Staphylococcus aureus (n = 5), MRSA: methicillin-resistant Staphylococcus aureus (n = 9), MR-CNS: methicillin resisitant coagrase-negative Staphylococci (n = 10), S. agalactiae: Staphylococcus agalactiae (n = 5), P. acnes: Propionibacterium acnes (n = 1), Clostridium leptum: (n = 1), F. magna: Finegoldia magna (n = 2), B. thermolactis: Bacilius thermolactis (n = 1), P. oralis: Prevotella oralis (n = 1). E. coli: Escherichia coli (n = 2), S. maltphilia: Stenotrophomonas maltophilia (n = 1), Micrococcus sp.: species (n = 1), Enterbacter sp.: species (n = 1), K. pneumoniae: Klebsiella pneumoniae (n = 1), signal weak: indeterminate (n = 2), (−): negative (n = 55).

Figure 2 

Comparisons of bacteriological test (synovial fluid) and PCR-LF (synovial fluid · periprosthetic samples) for the detection of MSSA · MR-CNS · MRSA

PCR-LF assay (synovial fluid) Total: 91

MSSA MR-CNS MRSA (+) (−) (+) (−) (+) (−) Bacteriological Test (synovial fluid) (+) 2 0 7 0 7 0 (−) 3 86 3 81 2 82 PCR-LF asssay (periprosthetic samples) (+) 3 0 9 2 9 1 (−) 2 86 1 79 0 81

PCR-LF: PCR lateral flow method, MSSA: methicillin-sensitive Staphylococcus aureus, MR-CNS: methicillin resistant coagulase-negative Staphlococci, MRSA: methicillin-resistant Staphylococcus aureus. Table 3  infection; SSI)は,抗菌薬が発達した現在において も治療に難渋する場合が多く,早期の感染診断が重 要である。日本整形外科学会では,骨・関節術後感 染予防ガイドラインを 2006 年 5 月に作成し,以後も 定期的に改定を行っている 9)。本来,骨・関節は無 菌的であるが,人工関節などの異物の存在下では少 量の菌により感染症を生じ,関節インプラント,プ レートなどの人工関節を抜去せざるを得ない合併症 が生じる。よって,PJI の迅速的な感染診断および 治療が重要であり 10),術中に採取した組織や関節液 に対する感染診断により,一期的置換か二期的置換 かの選択が行われる。なお,起炎菌同定の Gold standardは細菌検査であるが,迅速的な判定には細 菌顕微鏡検査が必要である。しかし,関節液や周囲 組織における細菌顕微鏡検査の感度は低く,報告時 間と検出感度に限界がある。近年,遺伝子検査技術 の向上により細菌感染症の迅速診断が可能となり, 関 節 置 換 術 時 PJI の 感 染 診 断 に 活 用 さ れ て い る 11)~ 13)。 今回,我々は PJI において,直接的に細菌の特異 的遺伝子が検出可能な PCR-LF 法および 16S 解析法 を用いて,術中の細菌遺伝子検査の有用性について 検討を行った。 検出感度に関しては,MRSA II の菌液を用いた PCR-LF法は 1 × 102 CFU/mLを示した。16S 解析法 では市販の PCR 増幅酵素を用いた場合,PCR-LF 法 に比べ約 1/100 感度が低下した。なお,通常に市販 されている E. coli 由来の PCR 酵素(Ex-Taq 法,

AmpliTaq法,SYBR 法)を用いて 35 cycle 以上で

PCR反応を行った場合,大腸菌ホストのゲノムにお

けるコンタミネーションがしばしば問題視されてい

る 8)。そこで,Niimi ら 8)が開発した E-Taq を用いて,

測定感度試験およびコンタミネーション試験を実施 した。E-Taq は bacterial DNA contamination free を初 めて実現した PCR 酵素であり,臨床材料から直接的 に高感度なバクテリア DNA の検出が可能となった が,通常,16S 解析法はオーバーナイトで解析を行 うため報告は翌日となった。今回,E-Taq の使用に より 50 cycle 増幅した場合でも,対照の N-Free Water は陰性を呈することを確認した。細菌の検出感度に

ついては PCR-LF 法とほぼ同等の 1 × 102 CFU/mL

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約 100 倍向上した。 今回の PCR-LF 法及び 16S 解析法による結果で は,MSSA 5 検体(5.1%),MRSA 9 検体(9.2%), MR-CNS 10 検 体 ( 10.2% ) 及 び Streptococcus agalactiaeが 5 検体(5.1%)と上位を占めていた。 なお,手術部位感染の起因微生物調査では MSSA に 次いで,CNS,Enterococcus Species,E. coli などが多

いことが報告されている 14)~ 18)。検出動向に関して, 日本整形外科学会学術プロジェクト研究「人工関節 置換術および脊椎 instrumentation 術後感染症例の実 態調査」では,MRSA や MR-CNS による SSI が人工 関節置換術で 4 割以上(46%)を示した 19)。本検討 においても MSSA,MRSA および MR-CNS が約 3 割 検出され,人工関節感染症に占める頻度がほぼ一致 した。組織材料で確認が可能であった 91 例中 24 例 から細菌遺伝子が検出され,組織材料で確認が可能 であった関節液の MSSA の 5 例中 2 例及び MR-CNS の 10 例中 1 例は組織材料での細菌遺伝子が陰性で あった。また関節液が陰性で組織材料が陽性であっ た MR-CNS の 2 例及び MRSA の 1 例が検出され, これらは汚染菌が示唆された。なお,PJI に関する Infectious Diseases Society of America(IDSA)ガイド

ライン 20)では,複数検体の培養検査から P. acnes, CNSなどの常在菌が 1 菌種のみ検出された場合は PJIとは断定せず,他の検査所見も考慮して判断す ることされている 21)~ 23)。分離培養法が陰性を示した 皮膚常在菌に関しては,PCR 法は死菌の遺伝子も検 出するため検体採取時のコンタミネーションによる 偽陽性の可能性があり,術中迅速病理所見,炎症反 応などから PJI との関連性は低いことが考えられた。 しかし,今回の BHA 症例では,16S 解析法を実施し た結果,S. epidermidis が推定され PCR-LF 法でも mecA遺伝子が確認された。同時に依頼された術中迅 速病理所見として関節内に好中球主体の炎症性浸出 Date 2015/11/20 2016/1/8 2016/2/3 2016/2/4 2016/2/11 2016/2/25 2016/3/22

Operation BHA(10 years ago) THA

Labo. data RBC( 106/μL) 3.8 4.0 2.7 2.8 3.5 3.6 WBC( 103/μL) 3.8 4.5 16.0 5.2 4.8 4.4 PLT( 106/μL) 24.4 23.9 16.9 28.8 37.4 26.6   CRP(mg/dL) 0.79 0.96 6.29 2.93 0.27 0.41 Culture Syovail fluid

Preiprosthetic sample culture negative(1W) Genetic Test

PCR-LF Syovail fluid

Preiprosthetic sample FemA(-)/mecA(+)

Syovail fluid

S. epidermidis Preiprosthetic sample

Rapid pathological diagnosis Neutrophil/purulent inflammation Therapy

Cefazolin

Vancomycin 5 g/100 mL

Gentamycin 2 g/V

200 mg/day

16S-rRNA positive (16S-ribosomal RNA was amplified by 50 cycled using Eukaryote-made thermostable DNA)

Clinical course (culture no growth, 16S-rRNA positive) BHA: bipolar hip arthroplasty

THA: total hip arthroplasty Figure 3 

(7)

液を認め,細菌培養検査では 7 日間陰性を示したが, 病態が感染症であることを考慮し,Cefazolin による 治療により,創部の浸出液は減少し炎症反応は改善 した。S. epidermidis はコンタミネーションとの鑑別 が難しい菌種であるが,迅速病理診断および遺伝子 検査法により原因菌と判断できたことは,治療薬を 選択する上で非常に重要であると考えられた。 以上より,術中検体を用いた細菌遺伝子検査は組 織と関節液を組み合わせることにより,PJI の感染 診断および適正治療に非常に有用であると考えられ た。なお,高感度な遺伝子検査を用いて PJI の有無 を判定する場合は,関節液および人工関節周辺組織 の採取時に生じる皮膚汚染菌などのコンタミネー ションによる偽陽性の注意が必要である。 IV 結 PCR-LF法は MSSA,MRSA,MR-CNS の 3 菌種, それ以外の細菌は E-Taq を用いた 16S 解析法の細菌 遺伝子検査の有用性が確認された。PCR-LF 法は約 3時間で結果報告が可能であり,PJI における培養同 定検査結果が確認できない時期の早期診断に有用で ある。今後は,皮膚汚染菌の判定及び 16S 解析法の 迅速性に向けた改善が必要である。 なお,本研究は北里大学医学部・病院倫理委員会 の承認を得て,患者情報保護法に準じた(B13-64)。 謝辞 本研究の遺伝子検査法に関して,ご助言,ご指導賜りました富 山大学大学院医学薬学研究部(医学)臨床分子病態検査学講座  仁井見英樹先生,北島勲先生及び北里大塚バイオメディカルアッ セイ研究所に深謝いたします。 ■文献

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(8)

Original Article

Applicability of bacterial genetic testing using intraoperative samples

from patients with prosthetic joint infection

Keizo SAKURAI 1) Ryuma YASUMOTO 1) Nobuyuki NAKAZAKI 1) Shinichi MUNEKATA 1) Katsufumi UCHIYAMA 2) Yuhsaku KANOH 1) 3)

1)Department of Clinical Laboratory, Kitasato University Hospital (1-15-1, Kitasato, Minami-ku, Sagamihara-shi, Kanagawa 252-0375, Japan)

2)Department of Orthopaedic Surgery, Kitasato University School of Medicine 3)Department of Laboratory Medicine, Kitasato University School of Medicine

Summary

In this study, the applicability of rapid bacterial genetic testing of synovial fluid samples or intraoperative periprosthetic samples was investigated. Three different strains of Staphylococcus (methicillin-sensitive

Staphylococcus aureus, MSSA; methicillin-resistant Staphylococcus aureus, MRSA; and methicillin-resistant

coagulase-negative staphylococci, MR-CNS) were detected in 98 synovial fluid samples and 140 periprosthetic samples from around prosthetic joints by the PCR lateral flow method (PCR-LF), and other bacterial strains were detected by 16S ribosomal RNA (16S-rRNA) sequencing for bacterial identification. The results obtained by the PCR-LF method revealed that 24 synovial fluid samples (MSSA, 5.1%; MRSA, 9.2%; MR-CNS, 10.2%) contained bacterial DNA. Seventy-four samples with negative results of the PCR-LF method were further tested using 16S-rRNA sequencing for bacterial identification. However, a problem with detection sensitivity arose owing to Escherichia coli (E.

coli) genome contamination of the enzyme solution used for amplification as well as additional bacteria present in the

reagents used in the 16S-rRNA sequencing. Therefore, bacterial infection was tested using Taq polymerase from eukaryotes (E-Taq). Results showed that the direct detection of bacterial genes in samples containing bacterial cells as low as 1 × 102 CFU/mL (50% hit rate) was possible. Bacterial genes were detected and bacterial strains were identified in 19 of 74 samples by 16S-rRNA sequencing combined with the test using E-Taq. The detection rate was 1.5-fold higher by genetic testing than by the culture identification method. Notably, bacterial genes were detected in eight samples (MSSA, 3; MR-CNS, 3; MRSA, 2) that tested negative in the culture identification method and in three periprosthetic samples (MSSA, 2; MR-CNS, 1) intraoperatively collected. Therefore, contamination at the time of sample collection was suspected. In conclusion, the PCR-LF method and 16S-rRNA sequencing combined with the test using E-Taq showed satisfactory sensitivity and may therefore be clinically useful for diagnosing prosthetic joint infection.

Key words: prosthetic joint infection, bacterial genetic test, PCR lateral flow method, 16S-rRNA sequencing

参照

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