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減価償却および置換えと成長経済における諸問題-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

減価償却および置換えと成長経済

における諸問題

篠 崎 敏 雄 Ⅰり 減価依却と置換えとの轟離および長期不況−ケインズとハン㌦セ∴ン の問題−ⅠⅠ.成長経済における減価依却と置換えの関係一トーマ・− の問題−ⅠⅠⅠ.成長経済における,必要以上の償却基金と純投資−ハ ロッドとバドリの問題−ⅠⅤ 企業家の保守的態度および物価上勇と 必要以上の償却基金 Ⅴ、減価償却の諸方法と,減価償却および置換 えの間の燕離−ミ・−ドの問題− ⅤⅠ.必要以上の依却基金とハロッド の基本方程式 ⅤⅠⅠ.むすび 序 J.Mhケインズは,『雇用・利子および貨幣の一般理論』1)(1936)において, 減価償却と置換えとの関係に.つき,それが消費に対する影響せ通じて,有効需 要に影響を与えることについて論じている。そして,とくにこのような要因が, 非静態的な経済において重大な意味を持ちうることや,堅実金融主義との関係 についても述べている。A.ハソセソも,減価焼却と置換えとの関係が,経済 に重要な影響を与えることについて論じている。しかし彼らの取り扱いは静学 的なものであった。 E。.D.トーマー・ほ,「減価脱却,置換え,および成長」2)(1953)という論

1).JlM・Keynes,The GeneralTheorγ OfβmploγTneTltIncerest and

〟0花eγ,1936(塩野谷九十九訳,『’雇傭・利子および貨幣の仙般理論′』)

2)ED”Domar・,“Depreciation,Replacement,and Gr・OWth,” The

EcoTWTnLcJntLTTWl・March,1953・pp1∼32;EssaγS Ln the Theory

Oノ飢0花Omよc Growfん,195」7,pp・154−194(宇野健吾訳,F経済成長の理論.』,

(2)

香川大学経済学部 研究年報 21 J9 ∂2 − 2 − 文において,粗投資が一億の成長車で成長し,減価償却が直線法で行われる場 合の,置換えと減価償却との串離に関する諸問題を取り扱った。 他方,R小 Fl./、ロッドやA.バドリは,それぞれ「置換え,純投資,償却 基金」(3)(1970)および「必要以上の依却基金:数学的取り扱い」(4)(1972)にお いて,同様の問題を少し遮った視点から取り扱っている。すなわち,トーマ・− ほ置換えと減価償却との比率の問題を取り扱・つているのに対して,ハロッドや バトリほ.,置換えと減価依却との差額の問題を取り扱っている。また,トーマ ーは,置換えや減価償却の額を粗投資と関連させているのに対して,/、ロッド やバドリほ,それらを純投資と関連させて論じている。

また,丁.E.ミ・−ドほ,『新古典派的経済成長の理論』(5)(1961,1962)に

おいて,成長経済における,減価償却と置換えとの帝離が,減価償却の「直線 法」と「定額年賦法」の場合に.,どのような違いを見せるかの比較をなしてい る。この場合,利子率の問題が関係して来る。 (6) さらに丁.シュタイソドルほ,「停滞理論と停滞政策」(1979)において, 彼の新しい停滞理論に,この成長経済における減価償却と置換えとの帝離の問 題を組み込んでいる。 小論では,これらの諸学説を検討することを通じて,成長経済における,減 価依却と置換えとの関係についての諸問題を,統合的に把える試みをしてみた いと思う。このためには,若干の図解の工夫も行・つている。 また,ハロッドは,こ?ような問題を取り扱いながら,彼の晩年の力作であ

る『経済動削(7)(1973)においてほ,それを全く組みこんではいない。そこで,

3)R小 F Harrod,“Replacements,NetInvestment,Amortisation Funds,”TheEconoTnicJaLrnal,March,1970

4)A Bhaduri,“Unwanted Amortisation Funds:A Mathematical Treatment,TheEcoTWTnLcJburnal,June,1972,674−7 5=E,.Meade,A Neo−Claゞゞ上calTheoTγQfEcoTmLc GTOWth,始t

ed,1961,2nd.,1962 (山田勇監訳『経済成長の理論.』)

6).Jh Steindl,“Stagnation Theory and Stagnation Policy,”

Cαmムr∠dダe Joα川αJoノ βco花0爪上c5,Mar■Ch,1979。

(3)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −3− 彼の経済動学における中心となっている基本方程式に,この問題を組みこむ試 みも行ってみたいと思う。 第Ⅰ節においては,ケイソズや′、ソセソが取り扱った,減価償却と置換えと の帝離および長期不況の関係の問題について検討する。第Ⅱ節では,ドー・マー の取り扱った,成長経済における減価償却と置換えの関係について論じる。第 ⅠⅠⅠ節においては,ハロッドやバドリが取り扱った,成長経済における必要以上 の償却基金の純投資への貢献の問題を論じる。第Ⅳ節においては,企業家の保 守的態度および物価上昇が,それぞれ必要こ以上の償却基金に対して持つ関係に. ついて論じる。第Ⅴ節に.おいては,トードの取り扱った減価償却の諸方法が, 減価償却と置換えとの帝離に対して持つ関係について検討する。第ⅤⅠ節におい てほ,シュタイソドルの学説を参考として,必要以上?償却基金の問題を,ハ ロッドの基本方程式軋組みこむことを試みてみたい。そして,最後に結びの言 葉を述べたいと思う。 Ⅰ .トMl.ケインズは,その著『雇用・利子および貨幣の一般理論』8)(1936)に おいて,減価依却と置換えとの関係が,消費したがって有効需要に与える影響 について論じている。A.Hいハソセソも,『財政政策と景気循環』9)(1941)に おいて,同様の問題について触れている。いずれの書物も,1930年代に起こっ た世界的大不況の途中またほ直後に書かれたものであるので,減価依却と置換 えの関係カミ有効需要を抑え悪影響を与える点に力点をおいて論じている。 ケインズほ,『一・般理論』の第8章 「消費性向 一・、客観的要因」の第4 節において,この減価償却および置換えと消費との関係の問題について論じて いる。 ところで,ケインズによれば,消費の大きさに関連を持つ所得概念は総純所

8)トM“Keynes,rんe Ge几erαg r九eorγ 0/βm〆0γme几よJ几fereSg α几d 〟0几eγ,1936 (塩野谷九十九訳『雇傭・利子および貨幣の一服理論』)

9)AH.Hansen,FLscalPolicγand Buslness CγCles,1941(都留番人

訳『■財政政策と景気循環.』)

(4)

J9∂2 香川大学経済学部 研究年報 21 − 4 − 得卿gγ¢gα孟β≠βt五≠CO竹もβ である。これは,企業者が一億期間内に,完成産 出物を消費者または他の企業者に売却する額をAで表わし,使用者費用をUで 表わし,補足的費用をⅤで表わせば,A−U−Ⅴである。周知のように,−・企 業者についての使用者費用user costとほ,「…・彼が設備を遊ばし七おく 代りにそれを使用することによってこうむる犠牲,ならびに彼が他の企業者か ら購入しなければならないものの対価として彼等に.支払う額…」1◎であり, ここでのUほ国民経済でのその集計額である。また,補足的費用supr)1em占n− tar・y COStほ,「・・‥非自発的ではあるが期待されえないものでない設備の減 価を,すなわち,\期待される減価が使用者費用を超える額を・‥」11)言う0 このようにして,使用者費用は,おおよそ次のように言うことが出来よう。 すなわら,それは企業者にとって自発的な費用であるが,一一・部は自発的な資本 設備の減価の費用から成り,残りほ原材料の費用額である。また,補足的費用 ほ,非自発的ではあるが期待されえないものではない資本設備の減価について の費用である。したがって,使用者費用の−・部と,補足的費用の合計が,減価 依却の額を構成すると考えられる。 ところで,このようにA−U−Ⅴという内容を持つ純所得は,消費に関連を 持つ所得であると考えられているが,それほ次のような理由による。ケインズ

によれば,A−Uを「所得」または「総所得」the aggr・egateincome と

呼び,それは要因費用 factor costと利潤とから成っている。要因費用は生 産費困提供者の所得となり,利潤ほ企筆者の所得となる。そして,生産費困提 供者の所得としての要周費用は,それがそのまま消費に関連する所得部分とな る。 引いた純利潤または企業名の純所得が,消費決定にあたって関連する所得部分 である。このようにして,要因費用と純利潤の合計,すなわち純所得(または 総純所得)が,全体としての消費に関連する所得の額となる。 次に,減価依却および置換えと消費との関係についての,ケインズの所説に 移る。彼はまず,次のように述べる。「われわれほ,雇用量は期待された消費 1(沙 Keynes,rんe Geれe用Jrんeorγ・,pけ23(邦訳,27ベ・−ジ) 11)op“c上∫..P56(邦訳,66ベ・一ジ)

(5)

減価偵却および置換えと成長経済における諸問題 −5− と期待された投資との関数12)であるけれども,消費ほ,他の事情に変化のない

かぎり,純所得の,すなわち純投資の(純所得は消費プラス純投資に等しいか

ら)関数であるというすでに述べた事実の蚤要性を,過少評価してはならない。 換言すれば純所得を算定する際に取りおくことが必要であると考えられる金融 的準備が大であれは大であるほど,一・定の投資水準ほ消費に対して,したがっ て雇用に対して,有利となる度合がますます小となるであろう。」13)ここでは, まず,消費は純所得の関数であり,したがって純投資の関数であることを強調 している。そして,この純所得を算定する際に差し引く金融的準備すなわち補 足的費用Ⅴが大きけれは大きいはど,各所得水準に対応する純所得は小さく, 消費も小さい。すなわち消費性向は低下する。そこで,投資乗数も小さくなっ て,一・定の投資水準に対応する消費や有効需要,したがって雇用も小さくなる ということである。 つづいてケイソズほ,この金融的準備または補足的費用の全部が,既存の資 本設備の維持(すなわち設備の期待され得る非自発的減価に対する置換え)に, 実際に費されるときには問題がないとしている。しかし,この金融的準備が設 備のこの減価分の置換えに実際に支出する額を超過するときには,この金融的 準備(補足的費用)が消費したがって雇用量に与える悪い効果ほ,必ずしも正 しくは評価されてはいないとする。それほ,ここで関連する置換えを超える金 融的準備は,その分だけ新投資に.よって埋め合わされねばならないという,墓 要な問題があるということである。それゆえ,新投資の一骨;分はこのために必 要となり,そこで,−・定の所得水準したがって雇用水準を維持するためには, 新投資のためのいっそう強い需要が必要となるのである。14) ケイソズはまた,次のように言う。「さらにそればかりでなく,使用者費用 のうちに含まれる損耗に対する準備についても,その損耗が実際に補填されな いかぎり,これとまったく同じ考慮があてはまる。」15)これほ,使用者費用の中 12)原訳では「函数」となっていたのを改めた。 i3)0ク=C‘J,PP′ノ98−9“(邦訳,113ページ) 14)Cf」Op..cム‘,P99(邦訳,113−4ベ・−ジ) 15)0クりCよ古い,P99(邦訳,ユ14ベ・−ジ)

(6)

香川大学経済学部 研究年報 21 − 6 − J9 ∂2 に含まれる設備の減価(設備の自発的な減価)の金融的準備と,その減価分の 置換えの額との関係の問題である。この場合も,設備の非自発的減価の場合と 同じように,金融的準備が実際の置換えを超えれは,その差額だけほ,余分の 新投資で埋め合わさないと,一億の所得と雇用盈を維持できないのである。 このようにして,補足的費用に対応する設備の減価についても,使用者費用 に含まれる設備の減価についても,それに対する金融的準備だけの置換えを行 わなけれは,そのことほ所得水準や雇用量にとって有害であるとい うことにな る。前にも述べたように,これら二種類の金融的準備の合討ほ減価償却額とな ると考えられる。そこで,ケインズが言おうとしていることほ,減価償却額が 置換えを超えれば,それほ有効需要にとって有害であり ,したがって所得水準 や雇用量にとって有害であるということである。 ケインズほ,この問題に関して貸家についての例を説明した後,次のように 論ずる。「定常的な経済においてほ,これらのことはすべて指摘するに値しな いかもしれない。なぜなれば,その場合には毎年古い家屋に対する減価償却準 備金はその年に寿命の終わるものに代って建築される新しい家屋によって正確 に相殺されるであろうからである。しかし,このような要因ほ非静態的な経済 においては重大な意味をもちうるであろう。とくに,寿命の長い資本に対する 活発な投資のあった直後の時期においてほそうである。」16)ここで重要なのは, 「このような要因ほ非静態的な経済においては重要な意味をもちうるであろう」

というところである。ケインズは定常的な経済 stationary economyに対

して,非静態的な経済 non−Static economy と言っているので,後者は成 長している経済を指していると解される。そこで,ケインズは,置換えを超え る減価償却が雇用にとって有害であるという問題は,成長している経済にとっ て重大な意味を持ちうるということを言っているのである。しかし,ケインズ は基本的に,ハロッドの意味での経済静学の範囲に分析を限っているので,こ の間題については,詳しい分析を行っていない。そこでこの問題は,後にトー マ一等によって,改めて詳細に取り扱われることになるのである。 ところでケイソズほ,この問題と堅実金融主義との関係についても,次のよ 16)0βC↓‘,PP99−100(邦訳,114ベ・−ジ)

(7)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −7− うに述べている。「もしこのことの効果が「堅実金融主義」(董inancial

prudence)によって,すなわら設備が実際に損耗し尽すよりもより速かに原

価を「償却する」ことが望ましいと考えられることによって,−悪化させられる ならば,累積的な結果ほきわめて重大なものとなるであろう。」1乃これは,企業 名が堅実金融主義をとれは,減価償却が早めにすまされ,このことが減価債却 と置換えの畢離をそれだけ大きくし,問題をより深刻にするということである。 このことについてほ,後に,/、ロッドなども取り扱っている。 A.H.ハソセソも,『財政政策と景気循環』(1941)において,減価償却 に対して置換えが不足する問題について論じている。しかしハン㌧セ∵/は,直接 にほ,減価倶却と置換えとの関係のみを取り出して論じたのではなく,新貯蓄 (純貯蓄)に減価償却を加えた粗貯蓄に対して,粗投資が不足する問題につい て論じたのである。また,これらの問題が,経済成長や堅実金融主義によって 深刻化することについては述べていない。この点,ケインズの取り扱いとは少 し違うのである。それでも,減価依却と置換えの串離が,所得や雇用に悪影響 をもたらすことを論じている点では共通している。 ハソセソほ次のように言う。「ところで総貯蓄 gr・OSS SaVingの流れは, 一・部分経常的所得からの純貯蓄より成り,他の一・部分は工場や工場設備を全き まま維持するための減価供却18)費ないしほ補填費より成っている。もしも資本 施設・器具等への支出額全体が産業界によ・つて年々収得される減価償却費を吸 収するのにさえ不十分であるならば,所得の流れにたいしては二重の収縮的影 響が存在することになる。一つは工場や工場設備の拡張のために新しい貯蓄が 使われないということにより,いま一つほユ場や工場設備の補填ないしは作り かえのために産業会社がその稼得した減価倶却費相当額を使いき・つてしまわな いことによるのである。」19)ここでハソセソは,純投資も置換えも含んだ投資が, 粗貯蓄(または総貯蓄)に足りないのみならず,減価償却の額にも足りないよ うな,とくに深刻な場合を例として考えている。当然,置換えは減価倶却に足 17)OJ〉C∠f・,P“100(邦訳,115ベ・−ジ) 18)原訳では,「原∴価鎖却」となっていたのを「原価償却」と改めた。 19)Hansen,FLscalPoILcγand・・,P346(邦訳,380−1ベ・−ジ)

(8)

香川大学経済学部 研究年報 21 J9 β2 − β − りないのである。このような場合,所得への二重の収縮的影響として,第一・に, 純投資のためには純貯蓄が全く使われないことをあげている。それは,減価償 却費が粗投資全体をまかなって,なお余りがあるからである。第二にほ,置換 えのためには,減価倶却引当金が余ることをあげている。ここでは,この後者 のことが特に関係がある。 ところで,完全雇用時の粗貯蓄に対七て,粗投資が大幅に不足すれば,その 結果失業が発生するが,その失業のために消費支出も低下する。そこで所得全 体ほ,投資の減退に相当する額だけ減るだけでなく,消費の誘発的削減によっ ても縮少する。すなわち,負の乗数効果が働くのである。/、ソセソはこのこと について次のように述べている。 「資本投下の−J・ドルずつがいずれも所得にた いして乗数的すなわち挺作用的効果を持つと同様に,貯蓄または減価償却費で 資本投下のた捌こ使われない−イルにほいずれも,倍数的な効果をもって所得 を押し下げるのである。」20)このように,粗貯蓄に粗投資が足りない場合(小減価 償却に粗投資が足りない場合はなおさら),失業が発生し,所得が押し下げら れるのである。

ハソセソはさらに,−L般に貯蓄率の高い経済 high savings economyに

ついて,次のように述べる。「しかしもしかかる経済にして,その新貯蓄ない しは減価償却費のために十分な投資の捌け口を見出し得ないならば,それは起 動的性格を失い,多数の慢性的失業を生じて沈滞した経済となるであろう。尤 も政府がより積極的にのりだした場合は別であるが。」21)これほ,貯蓄率の高い 経済ほ,投資が十分であれば,起動的dynamicで前進的な経済であるが,投 資が十分でなければ,政府の積極的な政策のないかぎり,沈滞した経済となる ということである。 要するにハンセソは,置換えを越える減価償却は,雇用や所得水準にとって 不利であることについては述べている。それはその分だけは,粗貯蓄が粗投資 を越えることになるからである。しかし,なぜ減価償却が置換えを越えるかと いうことについては述べていない。さらには,成長経済の下でこの傾向が生ず 20)0ク・C上∫・,P346(邦訳,381ベ・−ジ) 21)0♪C上∼い,P,346(邦訳,381ベ・−ジ)

(9)

減価錬却および置換えと成長経済における諸問題 −9− ることなどについては,とくに論じていないのである。 ここで,これらの問題を論ずるため以下において必要な,基本的仮定を行い, また基本的な記号を定める。 く仮定> (1)投資ほ設備投資のみとする。22) (2)粗投資は「・走の成長率で成長する。 (3)各資本資産(設備)には一億の寿命があり,その間ほ,生産性も運転費 用も変化しなく(崩潰 sudden death23)の仮定),その寿命はすべての 資産について等しい。 (4)減価償却ほ直線法により行われ,スクラップ価値はない。 <記号>飢) J…‥粗投資 か…‥減価償却 β…‥ 置換え

E…‥必要以上の倶却基金 unwanted amortisation funds(D−R) J…‥純投資(ノ−β) ∬…‥粗資本ストック(設備の減価を考慮しない資本ストック) P…‥新資本資産の価格 肌…‥設備の予想される寿命 常 …‥設備の現実の寿命 g …‥粗投資の名目成長率 九 …‥粗投資の実質成長率 22)ドーマーやハロッドなども,この仮定を必ずしも明示的になしているのではないが, 暗黙裡にはなしている。

23)F HHahn and Rl,C・0Matthews,“The Theory of Economic、Gr・OWth :Survey”Thc EconomLcJouTnal,Dec(,1964,P821.トE.Meade,A Neo−ClassicalTheory of Economic Growth,2nd。,1962,P79.

(山田勇監訳,『経済成長の理論.』,80ページ)

24)これらの記号は,各論老が用いたものと必ずしも等しくない。しかしなるべく共通 のものを用いることにした。

(10)

香川大学経済学部 研究年報 21 −JO− J9 β2 宜 …‥物価上昇率 γ …‥利子率 Z …‥粗利潤 ⅠⅠ 最初に,設備の予想される寿命仇と現実の寿命彿とが一・致し,また物価が不 変の場合における,減価償却と置換えとの関係について考察する。これはド・− ・マ・−が取り扱った問題である。彷)基本的にはドーマ・−の考え方に従ってこの間 題の分析を試みてみよう。 0時点の新資本資産の建造率の単位を調整して1とする。また同じく0時点 の新資本資産の価格も1と置く。そして,0時点における粗投資をJoと表わ すと,次のようになる。

Jo=P=1

そして,粗投資ほgの率で成長するので,≠時点の粗投資Jfほ次の通りであ る。 J∼=Joβダf=βダ才−…一−−−−−−−−−−一一−−−…− (2−1) さらに,現在を鶴時点とし,現在の粗投資を単にJと表わせば,次のように.な る。 J=わβ卯=βグ花 −=−…−−一叫−−−−−−− (2−2) 次に,£時点の粗資本スtツク彪 は,設備の寿命が≠であるので,f一彿 時点からf時点までの粗投資の合計から成っている。したがって,£時点の粗 資本ストックは次のように表わされる。 β軋eク(巧)伊(1−β一動)祁) 一一−− = −−−−

八′−.仁一−㌧′一丁

(2−3) g g また,現在の粗資本ストックは,≠期間前(0時点)から現在(彿時点)まで の粗投資の合計から成っている。そこで,現在の粗資本ストックを単に∬と表 わせば,それは次のようになる。 25)Domar・,飢sαγ.S..PP‖,156−163・(邦訳,186−193ベ・−ジ) 26)Cf。,0クl‘Jf,P182・(邦訳,214ベ・−ジ)。ただしm=几である。

(11)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 − ノブ − 茸=J几¢卯朗= 0 叩−−−……− (2−4) ところで,直線法による孟時点の減価償却βJは,古い設備であれ新しい設 備であれ,すべてのf時点における現存設備の価値(粗資本ストック風‥)に ついて,その彿分の1だけ生ずる。(ただし,仮定により,れほ設備の予想さ れる寿命彿た等しい。) すなわち 茸f βダ∼(1−¢ ̄錘)㌘) βJ= −−−−−−−叩− (2−5) Il gJ! そして,現在(≠時点)の減価償却を単にβと表わせば,それは次のようにな る。 上,=⊥ β卯−1 ーーーーーーー=−一−−…−一−−−−− (2−6) ナ! gナl そこで,£時点における粗投資に対する減価償却の比率は次のようになる。 旦竺(卜β−ダ几)/gれ=1−β 一グル乃) _ βJ =−−−−−−−− (2−7) ・J′ ′ 一丁 p∼一 また,現在(常時点)における比率も同じ値となる。 刀 (針押」1)/gれ 1−β ̄ダ花 …−−−−−−…− (2−8) J β卯 g彿

次に,置換えと粗投資との比率について考えて−みる。f時点において置換え

をする必要のある設備は,£一冊時点において建造されたものである。そこで

物価が不変であるという仮定のもとにおいては,f時点の置換え虎jほ,≠一

升時点における粗投資Jf一花にちェうど等しい。すなわち

月∫=J√−Ⅷ=βダ(い几)叫−…−…−−−−−一叫−−−− (2−9)

それゆえ,£時点の粗投資に対する置換えの比率は次のとおりとなる。

虎£ βグ(い几) =β一夕几政一−−−一一…−−−−−一一−−一−(2−10) Jf βダf 27)Cfい,0クCエ∫・,P・・182(邦訳,214ベ・−ジ)。 28)Cf・,0ク・Cよ‘・,Pい182(邦訳,214ベ・−ジ) 29)Cf・,0♪・Cよ∫・,Pい182(邦訳,215ページ)

(12)

香川大学経済学部 研究年報 21 J9β2 ーJ2 − また,現在(≠時点)置換えをする必要のある設備は,れ期間前すなわち0時 点で建造されたものである。したがって現在の置換えRほ,0時点の粗投資Jo に.等しく,仮定により1である。そこ’で,現在における置換えと粗投資との比 率ほ,当然ながら(2−.10)式と同じく,次のような値となる。 月 1 ==β ̄ダ几 ̄…‖… ̄…… ̄ ̄ ̄ ̄ ̄… ̄−▼ ̄… ̄ ̄ ̄… 丁て市 (2れ11) さらに,密換えと減価供却との比率は,ドーマー・のしたように(2−7)式で(2 −10)式または(2−11)式を割・つても得られるし,また直接置換えと減価償却の値 からも得られる。後者の方法によれば次のようになる。まず豪時点に.おける比 率は次のようになる。 βf βダ(い・几) !′・」− _.._ . ………−−−− (2−12) βダJL−1 βf βダJ(1−β ̄ダ托)/灯≠ また,現在(れ時点)における\比率も,当然ながら同じ値となる。 月 1 グ彿 −−一一−−−−一一−−一一−−… (2−13)  ̄ (βダ軋1)/g彿 β ダ几一1 もし粗投資の成長率gがゼロであれば月/βは1となり,月とβとは値が−・致 する。しかしgが正であれは,そうではなく,後で説明するように,月/βほ 1より小さくなる。すなわち,置換えを超える減価依却が生ずるのである。 以上は,基本的にほ,すでにトーマーが述べていることである。次に,これ はドーマ・−が述べてはいないことだが,現在(れ時点)に.おける「必要以上の 依却基金」上)一月と粗投資Jとの比率も(2−8)式と(2−11)式から導出 することが出来る。すなわち 1 1 ̄ ̄節訂 1 β 月 1−β ̄ダ几 − β ̄グ几 = g彿 βダ花 しJ しJ ダ一! これほ別の記号を使えば次のことを意味する。 1 ト∴−/・・− こ ̄一千 ̄ 1 1−(1十g花)β ̄ダ几 (2−14) 、 .JJ ・−′、 ざJ′′ これはやや複雑な式となったが,「必要以上の償却基金」丘■と阻投資Jとの比 30)Cf,0βCifl・,Pけ182(邦訳,215ページ)

(13)

減価條却および贋換えと成長経済に、おけノる諸問題 −J3一 率が,それぞれを/くラメ一夕・−として考えたgとれとの横g竹の値の関数であ ることを示している。 この(2−14)式で表わされる,粗投資に対する「必要以上の依却基金」の 比率は,ハロッドやバドリが取り扱った,「必要以上の償却基金」の純投資に 対する貢献の比率β/J(後述)に一対瓜する概念である。 ところで,今まで数式で取り扱って釆た諸問題を,図解によって示してみよ う。第1図において,横軸に時間よをはかり,れ時点を現在とする。縦軸にほ 粗投資をはかる。設備の寿命ほれ期間であるので,現在使用されている設備は, 0時点から≠時点までに建造された設備の総討から成っている。言いかえると, 現在(≠時点)の粗資本ストック酌も 0時点から≠時点までの粗投資の総計 である。0時点の粗投資Joを1とすると,粗投資ほ一億の成長率gで成長し, 現在(常時点)に おいて,J=βタ柁 粗

の大きさ(nB間 買

の距離)になって いる。この場合, 粗投資の成長率ほ −・定であるので, 粗投資の描く時間 径路は,次第に険 しくなる曲線とな ∧ っている031)そし ゐ て,粗資本ストッ ク∬の大きさは, AOnB で閉まれ C 第 1 図 た図形の面積で表わされる。 ところで,現在(れ時点)における置換え別ま.,物価変動がないと想定して 31)粗投資の成長率を吉・焉とすると・一層の成長率の場合・dリ/蛮も同じ成長率 で増大するからである。

(14)

香川大学経済学部 研究年報 21 ーJ4− J9β2 いるので,≠期間前(0時点)における粗投資Jo=1に等しい。 次に,現在(≠時点)における減価償却刀の値を,この図形で考えてみる。 直線法によって行われる減価償却は,古い設備も新しい設備も,−・律に設備の 予想される寿命(明色==朋)で割って得られる。したがって,現存する設備の総 計すなわち資本ストックについての減価償却は,粗資本ストック茸をれで割っ て得られる。すなわちβ=∬/≠である。したがって,∬=か≠である。そし て明らかに,次の関係がある。 Jo≠<∬=刀厄<J彿 Joくβ<J ところで,粗投資はJoから現在のJに至るまで連続的に成長しているので, JoとJとの間に,必ずJ*元=㍉打となる粗投資J*の値があるはずである。そ の位置は0時点とn時点の中間よりほ,やや右側にあるであろう。このJ* の 値は当然β(=∬/≠)に等しい。したがって, J*=β=竺±主_ g≠ 今粗投資の成長率gが上昇すると,曲線ABはA点を軸として時計の針と逆 の方向に回転し上方へ・ンフトする。そこでJ*も大きくなる。また,gを一億 として設備の寿命≠が大きくなれば,n点は右方向に移動し,CFの位置も右 へ移動し,同時にJ*の値は大きくなる。このように.して,それぞれgと≠の 値が大きくなればJ*も大きくなり,したがってβの倦も大きくなる。この結 果,−・定のある虎とこのβとの比率兄/別ま小さくなる。すなわち,月に対し てβが相対的に大きぐなる。また,gと≠が小さくなれば,逆の動きが生ずる。 今,gだけが小さくなり0に達したとすると,粗投資の成長がない場合とな る。AB曲線の勾配は次第に緩やかとなり,ついに横軸に平行な半直線となる。 この時にほ,J=β=月となり,置換えと減価償却の帝離はなくなる。しかし, 投資の成長率が正であるかぎり,月/βは1より小さい。 ところで,今までは虎とβとの比率について考えたが,トーマ・−が取り扱っ ていない「必要以上の僕却基金」ヱ)一月も第1図に現われており,それと粗投 資との比率(β一月)/Jも,固から読みとることが出来る。

(15)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −J5−

ⅠⅠⅠ

続いて,成長経済における,「純投資に対する必要以上の償却基金の貢献」 の問題について考察する。これは/、ロ;ドやバドリが取り扱った問題である。

企業の減価償却額が置換え必要額を超過する部分は,「必要以上の償却基金」 ‘unwanted amortisation funds,と呼ばれる。これは企業の貯蓄の−−i部 となり,純投資を賄うために貢献する。R.F./、ロッドは,マクロ的見地嘉ゝ ら,「純投資に対する必要以上の償却基金の貢献」について論じ その重要性 を強調した。A.バドリほさらに.,この問題を数理的に取り扱い,一層精密な 考察を行っている。 まず,R= Fルハロッドは,「置換え,純投資,償却基金」32)という論文に おいて,彼が考え出した一山つの「基礎方程式」the“basiゝC equation”に ついて説明している。それは彼によれは,動学的経済学の基本定理としてラン クするに値するものである。そのねらいは次のようなものであった。「私は,

純投資の資金調達に対する,未だ必要とされないas yet unrequired償却

基金の継続的な貢献についての,一つの公式を見出すことに向かっての一歩と して,その中に表現される関係を定式化しようと努めた。」3⑳

ここで,「未だ必要とされない償却基金」というのは,「必要以上の償却基

金unwanted amortisation funds」とも呼ばれ,内容は次のようなもので

ある。すなわち,企業によって取って置かれる依却基金は,通常その企業の置 換えの必要額を超過する。このような意味において,償却基金の一・部は「未だ 必要とされない」のであり,「必要以上」なのである。そしてこの,企業の置 換え必要額を超える償却基金は,企業の純貯蓄に役立ち,純投資の】・部を賄う のである。 この基金の貢献の大きいことについては,一・般にあまりは評価されていない 32)RF・H聖TOd;“Replacements,NetInvestment,Amortisation Funds・” EconoTnic JozLTTLal,March,1970,PP‖24−31 33)0クCエf,Pい24 34)0ク・・Cよf,P・24。

(16)

Jクβ2 香川大学経済学部 研究年報 21 −J6一 が,/、ロッドは,次の二つの点において重要であるとしている。「これほ経済 計画にとり,若干の重要さを持つものである。」34)「それほ,個人貯蓄が不足し た傾向にある国々,著しくは低開発諸国の場合に.おいて,なお・一層重要なので ある。というのほ,それほ,償却基金の価値を侵食する価格インフレーシ/ヨこ/ を避けるという目的に,より高い優先性を与えるに至るからである。」35) それでは,/、ロッドが重要視するこの「基礎方程式」とは,どのようなもの であろうか。彼はこれを離散的な形で説明している。 まず彼は,「基推力程式」の内容について次のように述べている。「最初に 説明されるべき『基礎方程式』は,動学的均衡における純投資の価値に対する, 置換えの価値の関係について述べている。」36)/\ロッドが示した基礎方程式とそ の導出過程は次のようなものである。 純投資に対する置換えの関係37) J‘=亡年における粗投資 ∫f=£年における純投資 βJ=メ年における置換え ズ=投資の対前年度比率瑚 (もし投資が年当り5%で成長すれは,ズ=1‖05) れ=年数において測られた資本財の寿命の長さ £(添字)はある年を表わす。 IJJ= Jr+斤J JJ= ノJJ−hJ =」翫(ガ几) β∫(方托)=J∫+兄上 βJ(方′L−1)=.h 35)仇い由,P24〉 36)0♪C↓‘・,P。24 3′7)仇=山,P25“ただし,ここにおける記号法は,第Ⅱ節以下の記号法と統一する ため,若干変更した。 38)ハロット自身はこれを成長率と呼んだのだが,括弧内の数字例からすると,対前年 度比率であるので,このように改めた。

(17)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −ヱ7一 JJ ズルー1 (基礎方程式) 月J= 以上は,ハロッドの示した「基礎方程式」の導出過程であるが,ここで若干の 説明を加えよう。まず,Jf=∫f+兄上 は,粗投資と純投資の関係を示してい る。その次の或は,£年の粗投資が,他年後である亡・十≠年の置換えに等しい ことを表わしている。そして同時に,その値が局方のズ几倍になってし\ることを も示している㌔9)このことから,虎f(ズ几)=Jf+月f となり,この式を変形し て,基礎方程式が導き出される。これはすぐ分かるように,去年における純投 資に対する,同じ年の置換えの関係、を表わしている。 次に/、ロッドは,「純投資に対する未だ必要とされない償却基金の貢献 the

contribution of yet unwanted amortisation funds to netinve−

stment」の問題へ移る。しかしハT=ッドほ,これを表わす方程式の導出その ものほあきらめている。そしてその代りに,普通の算数と「基礎方程式」の助 けによって,関連があると思われる成長率と設備の寿命の長さの範囲内で,償 却基金の貢献の/く1−セソテ、−ジを計算するのである。 ハロッドは,この間題を図解により説明しようとするが,その場合,安定し た物価を仮定する。 第2図叫こおいてほ,左から右へ向かって時間が経過することを示している。 そして,説明のために,10年の置換え期間と,5%の成長率を採用している。 したがって,≠=10,ズ=1..05となる。 垂直に測られた畳の1単位は,f年の純投資の価値として定義している。し たがって,図において,£年の純投資の大きさは,1..0と表わしている。基礎

方程式に.よれは,絹の置換えの価値月fは了壷=1山5941)となる0純投

資は1であるから,粗投資は 2.59 となる。また,成長率が5%であるので, 純投資の価値は,f年の1から,£+10年における1り63に成長するであろう。

39)置換え虎∫の成長率もダとすると,㍍=(1+タ)几となる。

40)0ク‖C£f。,P…26・ 41)厳密には,159 強である。

(18)

香川大学経済学部 研究年報 21 −Jβ− J9 β2 年 吻純投資 轍置換之 第 2 図 ー・方置換えは,亡年における1い59から,£+10年においてほ2..59 にまで成 長する。そしてそれは,£年における粗投資2,.59に等しい。太い水平線が,£ 年の粗投資2い59のところを通って右へ引かれている。 ところで,ここでハロッドは,この太い水平線の下で起こることと,上で起 こることとを,取り扱い上区分する。また,線形の償却(垣線法の採用)を仮 定する。 £年の年央から£+10年の年央までの,太い直線より下の総粗投資額は, 10×2.59(=25.9)に等しい。もし,これらの凡てについて,10%の償却基 金が設定されるなら,f+10年においてほ,2‖59単位の償却基金が生じている。 このようにして,£+10年において必要な凡ての置換え(259単位)は,太い 直線より下の継続的な粗投資分から亡+10年において生じている,償却基金(2 59単位)によって,賄われるのである。 このような,第2図の太い直線より下の部分の粗投資分に基づく償却基金に 加えて,直線より上の,≠年からf+10年の粗投資から生じる償却基金がある。 この部分の上端は,第2図に表わされているように,AからBに向かって,水 平線に対して凸な形のか−プを描いている。それは,一・定率で成長する粗投資 の成長経路を示しているからである。しかし,単純化のために,仮にこれが直

(19)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −J9− 線を措いているとする。その場合には,太い直線より上の粗投資部分に生じて

いるけ10年における償却基金ほ,1・・63ׇである。このようにして,その基

金額イま,£+10年における純投資(すなわち1…∬)の2分の1の資金調達に十 分なのである。しかし,実際には,粗投資と純投資の変化は,このように直線 的なものではなくて,水平線に対して凸な形の曲線で表わさなければならない ようなものである。したがって,その場合には,生じる償却基金の額の解を得 るのほ簡単ではない。 /、ロッドほ,第2図に示されたような,成長率が5%で,設備の寿命の長さ が10年の場合について,£+10年に生じる依却基金の額を計算している。その 結果,第2図の太い直線より上の投資部分から≠+10年に生じる倶却基金を, 0.7485としている。 ハロッドは次に,この特殊な数値例から出発して,いろいろな成長率や設備 の寿命の場合に,一・般化をしようとする。それについて,彼ほ次のように言う。 「私ほ最初,供却基金ほ,必要とされるものの『ほとんど半分』を(永久に) 貢献するであろうと言いたかった。そして,『ほとんど半分』と正確に半分と の差異は,AとBとを結ぶ直線以下で粗投資の真の値を表わしている曲線の下 降を表わすのである。」42)すなわち,AB間が番線であれは,正確に半分だが, AB問が水平線に対し凸な曲線なので,ほとんど半分なのである。 ハロッドほ,次のような第1表勒こおいて,いろいろな成長率と設備の寿命 の場合について,純投資に対する(必要以上の)償却基金の貢献,を表わして いる。 第1表においては,成長率は3%から6%まで,設備の寿命は5年から30年 までが考慮に入れられている。/、ロッドは,これを,作業をするかいがあると 思われる値の範囲としている。そしてこの数値表においてほ,「純投資に対す る必要以上の償却資金の貢献」の数値が45%と50%との間にある場合(ハロッ ドはこれを,貢献が『ほとんど半分1』の場合としている)が半分を占めている0 また,二つの場合を除いて,貢献が40%から50%の範囲に入っているへ 42)0ク・・C↓‘,PP27−8 43)0♪1Cわ・,P」・29

(20)

香川大学経済学部 研究年報 21 J9β2 −20− 純投資に対する必要以上の償却基金の貢献 第1表 音 分 率 キ0年 15 年 20 年 30 年 3解 4873 4754 4634 45 111 4275

4%

4827 46 74 44 90 43 51 4052 59ら 4786 45 95 43 90O 4196 3831 69ら 4L731 45 144 42L78 4051 3610 またハロッ ドは,償却基金の価値において含意される設備の寿命の長さ(償 却率を定める際に仮定される寿命の長さ′)と,現実の寿命の長さとの関係につ いても述べている。この場合,先進諸国についてみると,企業家達が保守的で あるため,前者の方が短いと考えている。そして,企業家達が減価償却におい てより保守的な態度をとるときには,それだけ,「純投資に対する不要な償却 基金の貢献」のパーセンチージが高いことを,数字例で示している。 最後にハロッドは,以上の問題とイソフレ・−ショソとの関係についても,論 じている。「各年そして毎年における純投資に対する未だ望まれない償却基 金の非常に有用な貢献は,もし価格インフレ・−ショソが進行しているならば, 大いにあるいは全く失われるであろう。」44)ハロッドは前掲の数字例について計 算をし,このことを説明している。しかし,凡ての企業家が非常に深慮的で, 置換え費用を償うように,彼らの現行の償却基金を増すのであるならば,この インフレ・−シ′畠「/の特別な悪影響を除くことができるであろう,とし七いる。 それでも,凡ての企業家が非常に深慮的だというのは,ありそうにない仮定だ と言っている。そして,インフレーショソによって生ずる償却基金不足を償う ために,マ・−クアップを高めるということについては,その大きさは相当な大 きさでなければならないし,それがまたインフレ・−・ンヨソを刺執すると言って いる。このようにして,ハロッドは,償却基金に対するインフレ1−・ショソの悪 44)Op・CよJ,Pい30

(21)

減価償却および置換えと鹿長経済における諸問題 −2J− 影響についてほ,悲観的であるように思われる。 このようにして,ハロ、ッドはこの議論を,この間額と貯蓄不足の傾向にある 貧しい国々との関係について−述べた,次の言薬で結んでいる。すなわち「現在 の貯蓄が有用な投資計画にとって不適切であるような,より貧しい国々にとっ て,価格インフレー・ショソを避けることがとくに義務であるというこ・とは,も っとも重要な教訓であるように思われる。」45) 以上のようにして,「純投資に対する必要以上の償却基金の貢献」について のハロッドの所説を考察した。/、ロッドはまず,投資の成長率と資本財の寿命 が与えられている場合の,置換えと純投資との関係を表わす「基礎方程式」を

説明する。そして,それを手がかりとして,

基金の貢献」の百分率を,投資の成長率と資本財の寿命についての妥当な範囲 の数字例のもとに計算している。そして,その大きさがほぼ50%に近いはど大 きいということを強調している。そ・の場合,さらに,減価償却の計算に当たっ ての,企業家の保守的な態度によって,いかにこの百分率が変わるかというこ とについても考察している。さらにほ,この問題と,貯蓄が不足する傾向にあ る発展途上国たおけるインフレーショソとの関係についても論じている。 ハロッドほ,あまり高度な数学を使用せず,論述にスマ・−トさを欠くが,経 済分析にとり本質的で重要な要素を,直覚により鋭く把えていると思う。この 間題の分析は,後にA.バドリによって,数学的に取り扱われ,分析が発展さ

せられている㌘)バドリはすでに,この問題を「貯蓄過剰」の問題と結びうけて

考えている。そして,J.シ㌧タイソドルほ,この「純投資に対する必要以上 の償却基金の貢献」の問題を,彼の新しい停滞理論と結びつけ,そこで,−・つ の役割を演じさせているのである。 ハロッドほ,′「ケインズの真の弟子」として,慢性的不況すなわち停滞の問 題を非常に重要視していたわけであるが,彼自身は,頂屯投資に対する必要以上の 償却基金の貢献」を,‘その動学的な停滞理論の中に取り入れるまでには至らな 45)0クりCれ,P・31

46)AりBhadur・i,”unwanted AmortisationlFunds:A MathematicalTr・ea− tment”,EcoTWTnicJourT2al,.June,1972,PP.6L74−7.

(22)

香川大学経済学部 研究年報 21 一之2− J9β2 かったのである。 次に,A.バドリは,「必要以上の償却基金:数学的取り扱い」47)(1972)と いう論文において,今まで論じたような′、ロッドの問題を,数学を用いて取り 扱ったのである。すなわち,恒常的に成長している経済において,「必要以上 の償却基金」(企業の置換え必要額を越え.る償却基金)と,純投資との間の関 係を,数学的な表現で研究しようとしたのである。ここではバドリの議論を基 礎に,ハロッド=バドりの問題を,図解をも用いて,分かり易く説明してみよ う。 まず,減価償却と純投資との関係について考えてみる。バドリほ,先に置換 えRと純投資Iとの関係を示す,前述の′、ロッドの「基礎力程式」the“ba− Sic equation’’について述べてい る。そして,バドリはその後で,減価償却 βと純投資Jとの関係について定式化し,それらを総合して,「純投資に対する 必要以上の償却基金の貢献」の関係を定式化している。しかし,ここでは,前 節で論じたトーマ・−の問題の取り扱いと比較し易いように,減価償却βと純投 資Jとの関係を先に考えるのである。 ところで,−・般的に」時点における減価償却β∫の値ほ,f時点の粗資本ス トックを麒∼ とすると,(2−5)式から次のように.なる。 互J βグ‘(1−¢づ托) βダ‘/. 1 J)J =ニー(1−−=与㌻)−−−−…−=−− (3−・1) 彿 gれ g耽 \▲ βダ几 そして,現在(常時点)における減価償却をβとするとその値は,前節でも明 らかにしたように,次のとおりである。 旦 か== JI ♂JI (2−6) また,−・般的に」時点に.おける純投資J∫は亡時点における粗投資J古から 置換えRJを差し引いた値である。また,置換えほ≠期間前の粗投資に等しい。

′ 0時点(古=0)における粗投資Joを1としていたので,次のようになる。

∫と=ムい「軌=¢グしeダ(い几)=βダ{(ト友)−−−−−…−−−−(3−2)

47)A Bhaduri,“Unwanted Amor・tisation Funds:A Mathematical Trea− tment,”The EcoTLOTnLcJozL川al,June,1972

(23)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −2β− そして現在(≠時点)に.おける純投資,粗投資および置換えを,単にそれぞれ J,J,月と表わすと,現在の純投資は次のようになる。 J==J−β=βダ几−1−−−−=−−−−−−…−…一−−−−−……−(3−3) そこで,今度は,純投資に対する減価償却の比率を考えてみよう。まず,一 般的に.f時点におけるそれらの比率を考える。それほ,(3−1)式と(3− 2)式とから,次のようになる。 (1−お) β‘ (3−4) _ _ J∼ βダf(トお)g鶴 また,現在(≠時点)における純投資Jに対する減価償却βの比率も同じ値と なる。すなわち, β 1 ノ ダ†l (3−5) 次に,純投資に対する置換えの比率について考えてみよう。 前にも述べたように,置換えは耽期間前の粗投資に等しいから,£時点の置 換えほ次のとおりである。 局∫ = βダ(才一几) 現在(£=≠)における置換え月についてほ,虎=1である。 そこで,一・般的に,亡時点における純投資に対する置換えの比率は(3−2) 式から次のようになる。 虎∫ βタ(い托)

148)

(3−6) β叫 βダf(1−お) JJ

これは,次のように表わすと,ハロッドの「基礎方程式」に当たるJ9)

JJ βダrJl βJ= 48)

==

49)HarTOd,“Peplacements””,P.25 タ汀 1 βダ几−1

(24)

香川大学経済学部 研尭年報 2ト J9∂2 ・−24− ところで,現在、(れ時点)における純投資J転対する置換え虎の比率は(ノ3− 3)式から分かるように,次のとおりである。 β = ̄ 1 ア石戸ごi (3−7) すなわち,この比率は時点に関係なくig≠だけによって決まり,/ミラメータ ーとして考えたg弗の減少関数である。 このようにして,「純投資に対する必要以上の償却基金の貢献」の関係を導 き出すことができる。 まず,亡時点における純投資に対する,「必要以上の償却基金」飢の比率 は,(3−4)式と(3−6)式とから次のようになる。 釘∼\かi =一= 乱 丁丁丁 (3「8)

これほ,本質的に,バドリの示した式である喜0)また,現在(常時点)における

純投資に対する「必要以上の償却基金」gの比率も,(3−5)式と(3−7) 式とから,次のように同じ値となる。

g ′β 兄 1

1 = −− = ・■ ▲ J ナ ナ g≠ βダ几−1 (3−9) ここで,/、ロッドや/ミドリの問題を第3図によって説明し,ドーマ・−の問題 と比較してみよう。 第3図ほ,第2囲と本質的に同じ図である。横軸に時間亡,縦軸に.粗投資を はかっている。時間の経過につれて,粗投資は曲線ABに沿って増大し,、現在

(循時点)隼おいてnBの大きさに達している。図形AOnBの面積は,粗資

本ストック∬を表わしている。CFの距離で表わされるJ*は,J*=凡///耽と なるような粗投資の値であり,現在(彿時点)の減価償却飢こ等しい。また, HBの距離は,現在(彿時点)における粗投資Jと置換え月との差額,すなわ ち現在の純投資Jを表わしている。 ハロッドやバドリが特に問題としたのは,前述のように,成長経済における, 「純投資に対する必要以上の倍却基金の貢献」の問題である。それはg/Jの

(25)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 ー25− 比率で表わされ, それは妥当な関 連諸数値のもと で,約二分の− に等しいという ことであった㌔1) そのことは第3 図から読みとれ るであろう。 EニニD一−R H R また,トーマ −が特に問題とJo したのほ,粗投 資が成長する成 C 第 3 図 長経済のもとで

直線法の減価依却法が採用されれは,減価供却が置換えを超えて帝離するとい

うことであった。具体的には,月/βが1より小さいということである○この

ことも同じ図から読みとれる。なお,ハロッドやバドリも直線法を仮定してい

る。.したがって,ドーマーとハロッドやバドリは,成長経済において直線法が

採用されれば,減価倶却ほ置換えの額を超えるという同じ問題を,少し違った

観点から取り扱っているのである。

ここで,三つの問題を取り扱う。まず第一・私企業家の保守的態度と必要以

上の供却基金の関係の問題である。第二は,物価上昇と必要以上の償却基金の

関係の問題である。第三ほ,必要以上の償却基金と経済の長期的傾向(貯蓄不

足型であるか,貯蓄過剰型であるか)の関係の問題である。

ここで企業家の保守的態度というのは,減価依却の決定における保守的態度

51)Har・r・Od,“Replacements・”,P。27 Bhadur・i,“Unwanted・”,Pu675

(26)

香川大学経済学部 研究年報 21 J夕β2 −26−

であって,ケインズの言う「堅実金融主義」“iinancialprudence”5Z)と同

じである。すなわち,「設備が実際に損耗し尽すよりもより速やかに原価を

「償却する」ことが望ましいと考え.ること」53)である。言いかえれは,企業家

が減価償却額の決定に際して,設備の予想の寿命刑を現実の寿命≠に対して,

意図的に短かくするということである。この節では,このことが,成長経済に おける減価償却と置換えとの間の車離にどのような影響を与えるかということ を考察するので,もはや刑と彿とが等しいという仮定ほ置かない。この問題ほ ハロッドも取り上げ,バドリも数理的に取り扱っている。他方,ドーマ・−・はと くに取り上げていない。しかしここでは,「堅実金融主義」の問題をトーマ− の問題に適用し,図解も混えて説明しよう。その後,バドリの取り扱いとの比 較も行う。 ところで,設備の予想される寿命刑と現実の寿命≠とを区別すると,企業家 の保守的な態度のもとにおいては,一−・般に刑<≠である。そして,−・般的に」 時点に発生する減価償却額βJほ次のようになる。 βf=忘tニmβダfdf=要(卜おト………−…(4−1) 餅肌

そして,現在寿命が釆て置換えの必要のある設備を建造した時点を0時点とす

れば,現在は前と同様%時点である。現在(≠時点)の減価償却をかとすれば,

減価償却は次のようになる。 ∂=忘£m¢ ダfd壬=(卜)一…−−……一‥−一(4−2) g刑

現在(常時点)において現存している設備のもっとも古いものほ,≠期間前す

なわち0時点において建造された設備である。、しかし,設備の予想される寿命

は彿(仇<彿)であるので,償却の対象になるのは,現在から仇期間前以後に

建造された設備である。言いかえれば,彿一価時点以後に建造された設備なの

である。

52)J。MIKeynes,The GeneralTheoTry qF EmploymeTuITuereSt and

〟0几e外1936,P.100(塩野谷九十九訳,『雇傭・利子および貨幣の一一般理論.』 115ページ)

(27)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −27一 次に置換えの備について考えてみる。減価償却にとっては,設備の予想され る寿命仇が重要な意味を持っている。しかし,置換えにとって重要な関係を持 っているのは,むしろ現実の寿命≠である。f時点における置換えほ,それよ りれ期間前の粗投資に等しい。そこで,」翫 ほ,刑=≠の場合と変わりなく次 のように表わされる。 /Jト.l−−/J′ ‥lJl−〃 また,現在(≠時点)における置換え屈は1である。 このようにして,f時点における置換えと減価償却との比率ほ次のようにな る。 ノl二し L二⊥」 β∼ ̄富(1一言わ (4−3) す拓■\⊥ βダm また,現在(≠時点)における置換え虎と減価償却かとの比率も,当然ながら 同じ値となる。 β 1 (4−4)  ̄

訂慧(トあ)

ここで,gや例の値を一・定としておいて,彿の値が相対的に大きくなれば, 虎/βほ小さくなり,置換えと減価償却との帝離がますます大きくなることは, 容易に分かる。しかし,gや≠を一・定としておいて削が小さくなった時局/β がどうなるかは,この式を見ても直ちには分かりにくい。そこでこの問題を, 次の第4図で考えてみよう。 第4囲が第1図や第3囲と違うところは,まず≠一例時点が書きこまれてい ることである。設備の現実の寿命は耽であるので,現在(≠時点)の置換えR は0時点の粗投資Jo(=1)に等しい。しかし,設備の予想される寿命はれ よりも小さい刑であるので,現在において償却の対象となるもっとも古い設備 は,仇期間前すなわち≠一肌時点の粗投資分である。そこで,現在償却の対象 となる設備はn−n時点からn時点までの粗投資分であり,図のQ(n−m)nB で囲まれた部分の面積で表わされる。これを∬′で表わすと,オ/刑すなわちこ の場合の現在の減価償却けに.等しい粗投資の値が必ずある。それをTLの距離

(28)

香川大学経済学部研究年報 21 T▲ ハy β 9︼ −2β− で表わされる 粗 粗投資である 穿 としよう。こ のようにして, 刑=彿の時の 減価償却Dに * 等しいJ に 対し,仇く≠ の場合の減価 償却βに等し い粗投資は, より右にある TLの距灘で 」」 l l l ■■−−___」___.._ 」 H R ︸ Jo C T 第 4 図 O n−m 表わされるようなものであり,より大きい。それゆえ,〝♭==竹の時の減価償却

かより,刑<≠すなわち企業家が保守的な態度をとる場合の減価償却βの方が

大きい。 他方現在(れ時点)における置換え月は,例の値のいかんにかかわらず,耽 期間前の粗投資Jo に等しいので,企業家の保守的態度で影響を受けない。こ のようにして屈/釧£,企業家が保守的態度をとり,偶を小さくするほど,小 さくなるのである。すなわち,減価償却と置換えとの問の帝離は,ますます大 きくなるのである。 次に,/、ロッドやバドリが問題とした「純投資に対する必要以上の依却基金 の貢献」への,企業家の保守的態度の影響について考えてみよう。これは基本 的には,バドリの分析に.よる㌔4)設備の予想される寿命刑と現実の寿命%とを 区別する場合における,亡時点の減価償却の値は次のとおりであった。

βf(1一

莞志)

(4−1) これに対し,£時点の純投資ほ川寺点の粗投資と置換えの差であり,仇の値に 54)Bhadur・i,“Unwanted.”,P.675

(29)

減価償却および置換えと成長経済における諸問題 −29− よって影響を受けない。すなわち; ′′=ノ∼−βf=βダf(卜)−−−−−−−−∴−一叫−−−−− (3−2) そこで仇 とJfとの比率は次のようになる。 ヱ)£ 石 1 1−β「与り g刑1−β ̄ダ几 ーーー…−− (4−5) この比率は,現在(≠時点)における比率か/Jについても同じである。 また,吉日寺点における置換えβfと純投資わとの比率は,設備の予想される 寿命例の備に.無関係に定まり,前述のようむこ次のようになる。 月f l Jf βダ乃−1 (3−6) そこで,仇<他の場合における「純投資に対する必要以上め償却基金の買献」 を表わす或は次のとおりとなる。

志繍一両一…−−−−−…

(4−6) ガ′ 上)′ 抒J = ・−・− = Jf JJ JJ この値は,現在(≠時点)における「必要以上の償却基金」βと純投資の比率 についても同じである。すなわら, 1−ぐ ̄伽 β _・ (4−7′) 第4図において現在の純投資はHB間の距離で表わされ,これは例の値によ って影響を受けない。飢ま仇=耽の時にはHM間の距離であり,憫<先の時に は(たとえば)HN間の距離で表わされるものになる。「必要以上の依却基金」 ガほ後者の方が大きい。このようにして,g/Jの値は仰がれより相対的に小 さいほど大きい。言いかえると,企業家の態度が保守的であるほど,β/Jむま 大きくなるのである。 なおバドリは,飢とJ£との比率に関して,次のような便利な近似式を示し ている。 3ヶもー2仇 β上≒〔1・−ダ・ 〕J‘砿L一一−−一一−一一一 (4−8) 12

(30)

香川大学経済学部 研究年報 21 J9β2 −30− この式から直ちに言えることは,仇/雅が小さいほど,且g/ペfは大きくなると いうことである。すなわち,企業家が減価償却の決定の時に保守的であればあ るほど,純投資に対する「必要以上の償却基金」の貢献分の割合は大きくなる のである。 次には,置換えと減価償却との間の帝離に対する,物価上昇の影響の問題を 考察する。その場合,設備の予想される寿命瑚ま,現実の寿命一花に等しいとい う仮定に帰る。それほ,問題を整理して取り扱うためである。ところで,トー マ・−・はこの問題を取り扱っている。ハロッドも取り扱って−ほいるが,数式的に 定式化ほしていない。またバドリはこの問題の定式化をしていない。そこで, ここでほ,ド・−マ・−の問題およびハロッド=バドリの問題と,物価上昇との関 係を定式化してみよう。 前にも述べたように,gほ相投資の名目成長率である。また,九は粗投資の 実質成長率であり,壱ほ物価上昇率である。これら三つの相互関係は次のとお りである。 g == た+五 −一一一−……−−−−…−−…一−−−−…−−−=…− (4−9) したがって,粗投資の実質成長率九と物価上昇率、壱をそれぞれ一・定とすれば, 租投資の名目成長率もーL定となる。ここではそのように仮定しよう。 ところで,物価上昇はその分だけ粗投資の名目成長率を高める。また,物価 上昇ほ各時点の粗投資の名目額を高めることを通じて減価償却額を高める。す なわち,粗資本ストックを構成する各々の設備の騎入原価は,物価上昇の影響 で次第に上昇する。しかし,古い設備はど物価上昇の影響は小さく,新しいも のほどその影響は大きい。したがって,一・番新しい設備(−・番新しい粗投資分) は,過去耽期間にわたるすべての物価上昇の影響を受けている。また,置換え の実質額は,れ期間前の粗投資に等しい。しかし,花期間にわたるすべての物 価上昇の影響を受けて,名目額は増大している。このようにして,物価が上昇 している場合には,その影響は,減価償却に対してよりも置換えに対して大き な影響を与えるであろう。 55)0ク・C上‘,P675 なお,この式の解法については,次のところを参照されたい。 篠崎敏堆,「必安以上の依却基金」とハP,ドの基本方程式,香川大学経済論遊,第 53巻第2号,昭和55年10月,147−8ページ

(31)

減価依却および置換えと成長経済における諸問題 一乱仁一 次に,これらのことを数式で考えてみよう。まず,一・般的に」時点における 粗投資JJ,および現在(れ時点)における粗投資Jはそれぞれ次のようになる。 Jf=βダf=β(ん+J)f…−−−−−−−−……叩−……一…− (4−10) J=βダ几=β(ん+よ)乃一…−−−−−−=−−−一一−=……一川−−…… (4−11) これらは,物価変動がないと仮定した場合の(2−1)式や(2−2)式と, 形の上では全く同じである。ただ,(2−1)式や(2−2)式の場合には宜 =0であり,したがってg=九であった。これに対し,′(4−10)式や(4−・11) 式の場合にほ宜>0であり,したがってg>九であるところが異な年 次に,−・般的に」時点に.おける減価償却βf,および現在(常時点)における 減価償却βは,それぞれ次のようになる。 βタf(卜β ̄ダり 町 ーーーー=−− (4−12) β£= g≠ (九+壱)≠ β(ん+‘)ルー1 旦竺± β= (4−13) g彿 (九十壱)≠ これらも,それぞれ,物価上昇がないと仮定した場合の(2−5)式や(2− 6)式と,形の上では全く同じである。ただ宜>0というところだけが異なる。 今度はさらに,置換えについて考えてみよう。ところが置換えの場合には, 物価上昇がある時,実質的にだけでなく形の上でも変化のあることに注意すべ きである。物価変動がない場合における£時点の置換えは次のとおりであった。 月£=Jい几=βグ(い汀)−−−…−−−……−=…=−−…−一叫(2−9) これほ,f時点の置換えは,それより≠期前の粗投資に等しいということであ った。しかし物価が上昇すると事情は異なる。£時点の置換え(名目額)は, £−≠時点の粗投資より,その間の物価上昇の分だけ増大している。すなわち 次のとおりとなる。 点f=Jf一花・β↓花=βタ(‘一花)+エ㌔6)−−……−−−−−… (4−14) これはさらに次のように表わすことができる。 月‘=¢(紬)(f一乃)+玩㌧−−−−……−‥−−−−=−−−−−…一−… (4−15)

56)Cf.Domar,Essays Ln the Theorγ Of EcoTWTTLIc Growch,P”185(邦

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