愛知工業大学研究報告 第24号B 平成元年
超音波スベクトロスコピーによる
加熱を受けたコンクリートの劣化度評価
山 田 和 夫
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In this study, the ultrasonic spectroscopy was applied to evaluat巴qualityof concrete
exposed to high tempereture conditions, as one step to establish a new non-destructive testing technique for concrete and mortar.
The main results obtained in this study are summarized as follows:
1) Compressive and fiexural strengths of concrete decrease according to tempera -ture rise, especially the臼巴xuralstrength of mortar is sensitively affected by temperature nse.
2) Ultrasonic pulse velocity, maximum amplitude and energy of measured ultra目
sonic pulse wave decrease according to temperaturでrise,but energy moment and energy dispersion increas巴,independent of the wat巴r-cementratio of test specimen. 3) Maximum amplitude and energy of frequency transfer function of concrete decrease with increas巴oftemperatur巴,and these decreasing rate is hardly a妊ectedby water-cement ratio and heating duration 4) Local maximum amplitude and en巴rgyof the frequency transfer function in frequency ranges of50-100kHz and 200-250kHz are closely related to change of internal structure of concrete exposed to high t巴mperature. 1.まえがき 149 超音波を用いて材料内部のひび割れ,空隙,異物 などの欠陥を非破壊的に探査する方法は,すでに早 くから実用化されており,最近は材料の破壊過程の 追跡や,劣化度の診断など9 超音波法の活用範囲は ますます広くなってきている。しかし, コンクリー トの場合,金属材料などに比べて材質が著しく不均 きたこと,伝播波形の解析技術が向上したこと,な どによりコンクリー卜の非破壊試験のための超音波 の高度の利用研究が次第に増加しつつある2)-5)0 質であるため,伝播する超音波の減衰が著しく,検 出が困難なこともあって,その利用は他材料の場合 に比べて著しく立ち遅れており,せいぜい内部ひび 割れや空擦の探査,あるいは音速とコンクリート強 度との相関を利用した強度の推定などに用いられて いるにすぎない九 しかし,最近は,電子計測技術の発達に伴って, 材料中を伝播する微弱な信号の検出が可能になって
O.Ge
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児ck民E 提案した超音波スベク卜ロスコピ一法は,材料中を 伝播した超音波の波形に,材料特性に関わる各種情 報が包含されていることに着目して,伝播波の詳細 な波形解析により,材料の内部構造を調べようとす るものであって,最近コンクリート分野への応用研 究も見られるようになった。しかし,研究はまだ緒 についたばかりであって, とくにコンクリートの内 部損傷度の評価に関する系統的な研究はほとんどみ あたらない。 筆者も,超音波スベクトロスコピーによるコンク リー卜の劣化度診断のための一連の基礎的研究5)を150 山 田 和 夫 Fig. 1 Relation between h巴atingtemperature and time. (Mortar, W /C: 70%, H巴ating time= 120min.) 行ってきたが,本論は,その延長上にある加熱を受 けたコンクリートの劣化度評価に関する基礎的研究 の報告である。 2.実験方法 2 • 1 実験の概要 種々の加熱履歴を受けた各種調合のモルタルおよ びコンクリート試験体を用いて,試験体中を伝播し た超音波の諸特性を測定し,それらの特性値とモル タルおよびコンクリー卜の劣化度との関係を調べ た。超音波諸特性値以外の実験要因は,試験体の材 種(モルタルおよびコンクリートの2種類),水セメ ント比(W/C=50,60および70%の3種類),加熱温 度(無加熱, 100, 200, 400および600"Cの5種類), 加熱持続時間(15,30, 60および120分の4種類〕並 びに曲げおよび圧縮強度(JISR 5201による)であ る。加熱温度と加熱時間との関係の一例をFig.1に 示す。なお,加熱温度の評価および制御は,本来な らば試験体混度により行うべきであるがB 試験装置 の制約のために,それぞれ炉内温度および手動で行 った。 2・2試験体の製作および養生方法 試験体の製作には,普通ポノレトランドセメント, 天竜川産の川砂〔最大粒径=1.2mm, 表 乾 比 重 = 2.60)および天竜川産の川砂利〔最大粒径=10mm, 表乾比重=2.65,なお,本実験の場合加熱炉寸法な らびにそれに伴う試験体寸法の制約のために,組骨 材の最大粒径を10mmとした)を用いた。モルタノレ Table 1 Mix proportions W/C Unit Weight(kgJm') F I O'iior Ma leri a 1
(%) Wa ter Cemen t Sand G ravel S 1 ump (co) 50 H6 691 1106 248 Mor tar 60 352 587 1174 247 70 357 510 1225 260 50 200 400 685 1060 11.9 COl1crcte 60 200 333 740 1060 15.2 70 200 286 779 1060 15.5 およびコンクリートの調合は,所定のフロー値〔コ ンクリートの場合はスランプ値〉が得られるように 試し練りによって決めた。標準調合表,フロー値(ま たはスランプ値〕の実測結果をTable1 に示す。試 験体は,モルタノレおよびコンクリー卜とも
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4
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16cmの横打ち角主体とした。コンクリート試験体 は打設上面を打込み直後にこて仕上げし,モルタル 試験体は打設後約6時間目にストレートエッジを用 いて試験体表面を平滑に仕上げた。何れの試験体も 材令1日目に脱型し,以後試験材令 (6週〉まで養 生室内(温度 20士1'C,湿度・ 45:
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5 %)で空中 養生を行った。 2' 3 計測・処理方法 媒体中を伝播した後,検出用変換子によって検出 された超音波パノレスには,媒体の材料特性の他に, 変換子を含む計測システム自体の特性に関する情報 も含まれているO そのため,材料特性の評価に際し ては,後述のように,計測システムおよび試験体を 含む系における超音波パノレスの入・出力関係が近似 的には線形系とみなしうる7)ものと仮定して定式化 を行って,これらの計測システムにかかわる情報を 除去し媒体の材料特性に関連する周波数特性のみ を抽出して用いた。本研究では,媒体固有の周波数 応答特性を表わす指標として,媒体の応答関数(イ ンパルス応答〉をフーリエ変換して求まる周波数伝 達関数を用いた。使用した計測システムのブロッ クーダイアグラムおよび計測機器の各設定感度を, それぞれFig.2およびTableIIに示す。なお,アン プの増幅度は,後述の計測種類にかかわらずディス クリミネータが飽和しないように設定した。ファン クション・ジェネレータによって発生させた超音波 パルスを発振用変換子を介して試験体に入力し,透 過波形を検出用変換子で検出した。この検出波は,超音波スベクトロスコピーによる加熱を受けたコンクリートの劣化度評価 u 5) 7) 1)Fundlon Generalor 2)Sensor 3)Sensor
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Pre-A!npllfler 5)Olscriminalor 6) Aulo 0181 tlzer 7)Osc 111 oscope 8) GP-ID I nlerface 9)Com凹ter (a) Measuring system including trans -ducer (Type-I) 3) 5) 日〉 日〉 i)Fundion Generator 2)Sensor 3)Specimen 4)Sensor 5)Pre-Ampllfler ,6)Olscrlmlnator 7)Aulo Olgl tlzer 8) Oscllloscope 9)GP勾IB 1 nterface 10) C叩puter (b) Measuring system including trans -ducer and m巴dium(Type-II)Fig. 2 Block diagram of measuring syst巴m
一旦オートデジタイザー(サンプリング間隔および 個数 1μsecおよび1024個/1データ,分解能:12 bit)に記憶させた後, GP-IBインターフェースを介 して電子計算機に転送し,波形解析を行った。なお, 0 0 0 ω + ( ﹀ 玄 )
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3
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周波数伝達関数の算定方法 超音波パルスの伝播経路が線形系であるものと仮 定すると,入@出力関係は次式で与えられる。(
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計測システムのみの系の場合 YsC
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ω〕 変換子を含む計測系の周波数伝達関 数, GmCjω) 媒体の周波数伝達関数, X(jω) :入力超音波パルスのフーリエ変換。 OF+ ( ﹀ 玄 ) 臼u
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芝 《 0 10 256 612 768 1024 TIME (x10時時-6 SEC)Fig. 3 Example of measured waveform.
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; 6 0 l L i 2 0 l ¥ ; Heat lng tlme= 30 mln EZE n υ n υ n υ EE7 = = -c c c / / / 阿 阿 W O @ 申 _c プて 手 口 回 山 200 400 Heating temperature O D 0 o 100 200 300 FRE日UENCY (KHZ) O D . F 旧 h , 口 口 町 田 口 旧 同 口 主 コ E ト u u a 凹凶口コト同﹂且 x d ﹃ (a) Mortar.~UA
152 Heatlng tlme= 3日m!n WAWAWA 0 0 0 5E7 = -- 2 c c c / / / w w w O @ @ (b) Medium Example of result of waveform analysis. (Mortar, W /C: 50%, Heating time: 30min.) Fig.4 (b) Concrete Relation between fiexural strength and heating temperature Fig.6 z、 400í~ Heat開ミ
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200 400 Heating temperature 計測システムのみの系の場合: Gs(jω)=Ys(jω)/X(jω) 計測システム十媒体の系の場合 E Gm(jω〉二Yc(jω)/{Gs(jω),X(jω) } ー・(2)' 本実験では,計測システムおよび媒体の周波数伝 達関数を算定する際に必要な式(2)および式(2)'中の 入力波として,上述のように電気パルスを用いた。 なお,入力超音波パルスの幅は,そのフーリェ変換 値がなるべくフラットとなるように,小さく設定し た方がよいと考えられるが,本実験で入力超音波パ ノレス波の記録に用いたオートデジタイザーの性能を 考慮して, 2.5μsecに設定した。また,解析には, 計測した1024点のデータを全て用いた。周波数伝達 関数に関する処理結果の一例をFig.4に示す。 ...一ー・ (2) (1) (2) 600(
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200 400 Heating temperature (b) Concrete Fig.5 実験結果とその考察 強度特性 Fig.5およびFig.6は,それぞれ加熱を受けたモ ルタルおよびコンクリートの圧縮および曲げ強度と4
.
4 • 1 計測システムおよび媒体〔モルタルおよびコンク リー卜)の周波数伝達関数 (Gs(jω 〉および GmCjω)) は,それぞれ式(1)および(1)'より次式で与えられる。超音波スベクトロスコピーによる加熱を受けたコγクリートの劣化度評価
1
5
3
加熱温度との関係を,加熱持続時聞が30分の場合に ついて水セメント比(W/C)
別に示したものである。 図からわかるように,圧縮および曲げ強度は,いず れも加熱温度の上昇とともに低下する傾向を示し, とくに圧縮強度よりも曲げ強度の方が,またコンク リートよりもモノレタルの方が加熱温度の影響を顕著 に受ける。このように曲げ強度が圧縮強度よりも加 熱の影響を顕著に受けたのは,曲げ強度の方が試験 体の内部構造の変化により敏感であるためではない かと考えられる。また, コンクリートの方がモノレタ ルよりも加熱温度の影響を受け難いのは, コンクリ ート中の粗骨材のクラックアレスト効果のために, 加熱によって生じた潜在クラックの進展が阻止され るためと考えられる。このようなクラックアレスト 効果は,曲げ破壊よりも圧縮破壊において著しいこ とを示している。ところで,既往の実験結果9)によれ ば,加熱温度が2000C以上になると,コンクリートの 圧縮強度は急激に低下するという報告もみられる が,本実験結果によれば, Fig.5(b)から明らかなよ うに,加熱温度が4000Cまでの範闘のコンクリートは 圧縮強度がそれほど低下していない。これは,既往 の実験の多くは,H/D
(試験体の高さ(H)
と最小断 面寸法 (D)との比)=2の試験体を用いているが,本 実験で用いた圧縮強度試験用の試験体のH/D
は1
であるため, H/D= 2の試験体よりも載荷板と試験 体端面との摩擦による試験体拘束効果が著しく,加 熱によって生じた試験体内部の潜在欠陥の影響を受 けにくくなっていたためではなし、かと考えられる。 なお,図には示していないが,加熱による強度低下 の割合は,加熱持続時間の長短ならびに試験体の水 セメント比の大小には殆ど無関係であった。 4・2 透過超音波の減衰特性 Fig.7~Fig. 9に,それぞれ透過超音波の各種波形 特性値のうち,モルタルおよびコンクリートを透過 した超音波の伝播速度,最大振幅およびエネルギー と加熱温度との関係の代表例を示す。透過超音波の 各波形特性値は,いずれも加熱温度の上昇とともに 減少する傾向を示している。コンクリートの場合, これらの各波形特性値は,水セメント比が大きいほ ど小さくなっているが,モルタルの場合には,水セ メント比の影響はコンクリートの場合のようには明 確でなし、。また,伝播速度を除く各波形特性値の絶 対値比モルタルよりもコンクリートの方がかなり 小さく(モルタルとコンクリートの測定値の比,伝 in"4 . 0r
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200 400 600 Heating temperature (.C) (b) Concrete. Fig. 7 Relation between pulse velocity and heating temperature. 播速度.約1.5倍,最大振幅.約0.6倍,エネルギー: 約0.2倍), コンクリートの方がモルタルよりも超音 波の減衰が大きいことがわかる。これは, コンクリ ートの場合,粗骨材の存在により超音波の反射や散 乱などの影響をより大きく受けるためと考えられ る。さらに,水セメント比が大きいほど粗骨材と母 材モルタノレの音響インピーダンスの差も大きくなる ため, Fig.8(b)およびFig.9(b)に示すように,組 骨材の存在による超音波の減衰は,水セメント比が 大きいほど著しい。なお,紙数の関係で図には示し ていないが,波形の立ち上がりの鋭さを表わす指標 とされている検出波形のエネルギー・モーメント10) および波形の集中度を表わす指標とされているエネ ルギ一分散10)は,加熱温度の上昇とともに逆に増大 し,徐々に検出波形の立ち上がりが鈍くかっ波形の 集中度が分散化する傾向にあることも明らかとなっ た。また,透過超音波は,別報11)で示した実験の結果 と同様に,いずれも高周波数成分の減衰が著しいこ とがわかった。200 150 100 5
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0 2 0 0 4 0 0 . 5 8 0 Heating temperature (・c) Heating time= 30 min PUlse w!dth = 2.5 us o w/c= 50 X @ w/c= 60 X・
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Heatlng tlme= 30 mln Pulse wldth= 2.6 us o w/c= 50 X 由w/c= 60 X・
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(b) Concrete.
Relation between maximum amplitude of measured waveform and heating tem -Fig.8
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Heatlng tlme = 30 m!n Pulse w!dth = 2.6μs o w/c= 5O X @ w/c= 60 X・
w/c= 70 X perature. Relation between energy of frequency transfer function and heating tempera -ture (Concrete). Fig.11 Relation betwe巴nmaximum amplitude of frequency transfer function and heat -ing temperature (Concrete). Fig. 10 る。図は,紙数の関係で測定結果の中から代表的な ものを選んで示したものである。これらの図によれ ば,周波数伝達関数の最大振幅ならびにエネルギー は,いずれも加熱温度の上昇とともにほぼ直線的に 減少する傾向が認められる。なお,図には示してい 周波数応答特性 Fig.10およびFig.11は,それぞれ加熱を受けた コンクリートの周波数伝達関数の最大振幅および 1O~300kHz の周波数全域におけるエネルギーと加 熱温度との関係を水セメント比別に示したものであ 4・
3超音波スベクトロスコピーによる加熱を受けたコγ Fリートの劣化度評価 155 ないが,周波数伝達関数の最大振幅および、エネルギ ーは,加熱持続時間には殆ど影響を受けないことも わかった。モルタル試験体においても類似の傾向が 認められたが,各特性値の絶対値は, コンクリート の場合の 2 倍 ~4 倍の値を示した。 4
・
4 劣化度評価 4・4・1透過超音波の波形特性パラメータを用い る場合 Table班は,透過超音波の各種波形特性パラメー タ(伝播速度(Vp),最大振幅(Ampw),エネルギー (Epw) ,エネルギー・モーメント(Temw)およびエ ネルギ一分散(Edw)とモルタノレおよびコンクリー トの強度との単相関係数値を一覧にして示したもの である。表によれば,モルタルの場合,強度との単 相関係数値は伝播速度が最も大きく(曲げ強度: 0.922,圧縮強度:0.741),それ以外の特性パラメー タは伝播速度に比べてかなり小さな値となってい る。コンクリートの場合は,強度と超音波伝播速度 との単相関係数値は,モルタルの場合よりも小さい (曲げ強度:0.841,圧縮強度:0.279)が,強度と 最大振幅およびエネルギーとの単相関係数値は,モ ルタノレの場合に比べて相対的に大きく(曲げ強度: 0.820および0.651,圧縮強度:0.662および0.654) なっている。特に, コンクリートの圧縮強度との相 関は,最大振幅およびエネルギーの方が伝播速度よ りもよいことがわかる。 4.4・2 周波数伝達関数の特性パラメータを用い る場合 TablelVは,超音波スベクトロスコピーに関連す る周波数伝達関数の各種特性パラメータ(最大振幅 (Apmx),最大振幅時の周波数(Freq),エネルギー (Teng), 50-100kHzおよび200-250kHzの各局所エ ネルギー(Ep2およびEp5), 50-100kHzおよび200 -250kHzの各局所最大振幅(Amp2およびAmp5)) とモルタルおよびコンクリートの強度との単相関係 数値を一覧にして示したものである。なお,局所エ ネルギーおよび局所最大振幅は,予備解析の結果に 基づいて,比較的相関のよかった帯域の値を採用し た。表によれば,モルタノレの場合には, 50-100kHz および200-250kHzの周波数帯域の局所エネルギー および局所最大振幅が,一般に最大振幅,最大振幅 時の周波数およびエネルギーよりも強度との単相関 係数値が大きくなっている。しかし, コンクリート の場合には,最大振幅,最大振幅時の周波数および Table III Correlation coefficient between strength and characteristics of wave -form. Morlar Conerete ParameterCompression Flcxure Compression t.1喧 耳 目 "
くVp> ーPulse velocilY 0.141 0.922 0.218 O.8H <A罰pw>:MaxlmulIamp! i tude 0.426 0.720 目 ' " 0.820
O;p胃):Enerl!Y 0.331 0.585 O. 6 5~ 0.651 <r,臨曹>:Energy問。圃'"' 0.201 0.666 0.090 0.776 (Ed曹):Energy dlspersion 0.116 0.511 0.019 0.1H
Table IV Correlation coefficient between strength and characteristics of transfer function. Mロ"阜『 Concret目 Para岡etcr Co田presslon Flex
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Co圃,prcssIロ" '1目耳目 " < Ap圃耳>:Maxi岡昌聞allplilude O.lZl 0.403 。.621 0.119 <FreQ>:Frequencyal 同..1圃 昌 闇 畠 同plllude O.49( 0.534 0.625 0.'日5 <Tong):l!l1ergy( 10-300kllz) 0.155 0.293 0.515 0.644 <Ep2> :En白rgy( 50-!OOkllz) 0.650 0.559 0.309 0.574 <Ep5> :Energy(200-250kllz) O.5U 日 . " 0.618 0.596 <A圃p2>:Local圃..1四"'.田 p-0.690 日.608 札m 0.693 litude( 50-100kUz) <A町p5>:Local岡..1冊目田a四p -0.630 0.683 0.637 0.101 1Ilude(200-250kllz) Table V Correlation coe伍cient between strength and two or three parameters related to frequency transfer function. ! . Iortar Concrete Para四eterCompress ion Flexure Co田presslon Flexure <lip2>+<Ep5> 0.141 0.111 0.61' 0.'88 <Ep2 >+ <Ep5>+<Freq> 0.110 0.15' 0.108 0.16' <Amp2>+<Amp5> 0.168 0.153 0.611 0.18' <^~p2>+<A 四 p5>+<frcQ> 0.184 0.11' 0.703 0.817 エネルギーの方が,いずれも強度との単相関係数値 が大きくなっている。また,これらの周波数伝達関 数特性パラメータを2種類以上併用すると,強度と の相関係数は, Table Vに示すようにさらに向上す る。例えば,50-100kHzの周波数帯と200-250kHzの 周波数帯の局所最大振幅および最大振幅時の周波数 を併用すると,圧縮強度との相関係数は,モルタノレ の場合が0.784,コンクリートの場合が0.703となり, 上述の透過超音波の伝播速度を用いた場合よりも向 上する。ただし,曲げ強度の場合には, モノレタノレお よびコンクリートの相関係数は,それぞれ0.779およ び0.817まで向上するが,超音波パルスの伝播速度を 用いた場合(それぞれ0.922および0.841)には及ば ない。この点については,今後更に詳細な要因分析
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100 Fb-cal. (kgf /cm') (b) Flexural strength.。
。
Fig. 12 Prediction of strength by using three parameters related to frequency transfer function. を行い,推定精度向上のための方策を探る必要があ る。今回の実験の範囲内に関する限り, 3種類の罵 波数伝達関数特性パラメータを用いた場合の加熱を 受けたモルタルおよびコンクリートの強度推定結果 と実測結果は, Fig.12のような関係を示した。 以上のことから,周波数伝達関数に関連する特性 パラメータのうち, コンクリートの内部構造の変化 に敏感なパラメータを用いれば9 超音波スベクトロ スコピー法を用いて,加熱による材料内部の劣化度 をかなりの精度で推定できる可能性があることがわ 5.結 論 本研究の結果を要約すると,およそ次のようにな る。 1 )加熱を受けたモノレタルおよびコンクリートの曲 げ強度および圧縮強度は9 加熱温度の上昇に伴 って低下するが,加熱持続時間には殆ど影響を 受けない。また,加熱による強度低下率は,圧 縮強度よりも曲げ強度の方が,またコンタリー トよりもモルタルの方が著しし、。2
)
加熱を受けたモルタルおよびコンクリートを透 過した超音波の伝播速度,最大振幅およびエネ ルギーは,水セメント比にかかわらず加熱温度 の上昇とともに減少するが,検出波形のエネル ギ -,モーメントおよびエネルギ一分散は,逆 に増大する。 3)加熱を受けたモルタノレおよびコンクリートの周 波数伝達関数の振幅およびエネルギーは,加熱 温度の上昇とともに減少する。ただし,その減 少の割合は,水セメン卜および加熱持続時間に はそれほど影響されない。 4)加熱を受けたモルタルおよびコンクリートの周 波数伝達関数において,5
0
-
1
0
0
k
H
z
と2
0
0
-
2
5
0
kHz
の各周波数帯域の局所最大振幅およびエ ネルギーは,いずれも加熱によって生じる内部 構造の変化と密接な関係がある。 5) 周波数伝達関数に関連する特性バラメータのう ち, コンクリートの内部構造の変化に敏感なパ ラメータを特定することによって,加熱による 材料内部の劣化度をかなりの精度で推定でき る。 [謝辞] 本研究の実施に際して有益なる御助言を賜りまし た名古屋大学小阪義夫教授,並びに実験およびデー タ整理に際して御助力を得た土屋宏明君(名古屋大 学院生〕に対して謝意を表します。なお,本研究費 の一部は,文部省科学研究費補助金(奨励研究(A)) によったことを付記する。 引用文献 1)日本建築学会・コンクリートの非破壊試験法に 関する研究の現状と問題点, (1981)圃超音波スベクトロスコピ による加熱を受けたコンクリートの劣化度評価 157 2)尼崎省二,明石外世樹,高木宣章,平野博範, セメント技術大会講演要旨, 40, 92(1986). 3)坂田康徳,大津政康, コンクリート工学, 24, 7, 135(1986). 4)松藤泰典,河上嘉人,朝日真司,渡部嗣道, 日 本建築学会大会学術講演梗概集, 465 (1987)固 5 )山田和夫,小阪義夫, コンクリー卜工学年次論 文報告集, 9, 449(1987). 6) Brown, A. F., Ultrasonic Testing Edited by