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確率論的手法によるトンネル覆工コンクリートの劣化予測

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Academic year: 2022

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(1)

確率論的手法によるトンネル覆工コンクリートの劣化予測

○東京都市大学 正会員 丸山 收 東京都市大学 正会員 須藤敦史

(独)土木研究所寒地土木研究所 正会員 佐藤 京

(独)土木研究所寒地土木研究所 正会員 西 弘明 1.はじめに

山岳部には,住民生活のために多くのトンネルが存 在し,ほとんどのトンネルが高度経済成長期に造られ た.これらのトンネルを安全に使い続けるためには,

トンネルの維持管理を合理的かつ経済的に行わなけれ ばならない.本研究では北海道内の山岳トンネルを対 象として,供用期間中のトンネル点検データより得ら れた情報をもとに覆工コンクリートの劣化過程モデル を構築して,劣化予測を行うことを目的としている.

2.覆工コンクリートの劣化過程の同定

一般的に,山岳トンネルにおける点検項目は①ひび 割れ,②浮き・剥離,③漏水,④目地ずれ・開き,⑤ 豆板・空洞,⑥遊離石灰の6項目が存在する.今回は,

劣化度を示す指標として代表的な劣化現象である①ひ び割れ,②浮き・剥離の2つを使用する.ひび割れの 評価方法を示すと,幅 0.3mm以上と 0.3mm未満それ ぞれのひび割れ延長,ひび割れの交点の数(0.3mm以上 が関連するものと,0.3mm 未満同士の場合とを区別), またひび割れパターンで場合別される.

次に,トンネルの施工年代と劣化度の関係を求めるた めには,覆工コンクリートにおける劣化度の評価値を 算出することを行う.ここで覆工コンクリートの劣化 評価値は以下の様に,0 点を健全として評価点数が大 きいほど劣化が進行しているとして算出する.これら の評価は覆工コンクリートのセグメントごとに行われ,

トンネル全体の評価値は,それらの平均値として与え られる.

評価値=区間比×補正係数+交点数×交点ウェイト 補正係数=ウェイトⅠ×ウェイトⅡ×打音ウェイト

ウェイトⅠ:変状種類別の係数(重み)

ウェイトⅠ=ひび割れ長さ×ひび割れパターンウェイト ウェイトⅡ:発生原因・位置・状態による係数 打音ウェイト:打音検査による係数

3.点検データの概要1)

北海道内における181ヶ所のトンネルで実施された 点検データを劣化度とトンネルの経過年の関係で表し たものが図-1である.点検は, 1つのトンネルで毎年 行っているわけではないため,異なるトンネルでは同 じ経過年でも劣化度が異なる.また,トンネルの立地 条件などによって風化条件が異なるために同じ経過年 でもばらつきが生じる.

図-1 劣化度とトンネルの経過年の関係 4.確率微分方程式によるモデル化

覆工コンクリートの劣化度を評価するためには,同 一トンネルにおいて,一定期間ごとに,数多くのデー タを収集・蓄積する必要がある.しかし,実際に多く の点検データより覆工コンクリートの経年劣化の推移 過程として求めた事例がないのが現状である.したが って,実施されているトンネル覆工コンクリートの点 検データに基づいて覆工コンクリートの劣化予測を確 率・統計的手法を用いて行うことが本研究の目的であ る.

本研究ではトンネル覆工コンクリートの劣化状態は,

0 2 4 6 8 10 12 14

0 10 20 30 40 50 60

経過年

劣化度

キーワード: トンネル覆工コンクリート,健全度評価,確率微分方程式,最尤法

連絡先:〒158-8557 世田谷区玉堤 1-28-1 TEL 03-5707-0104, E-mail:[email protected] 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑149‑

Ⅵ‑075

(2)

確率過程を用いて表現することができると仮定する.

トンネル覆工コンクリートの健全度低下モデルとして 幾何学的ブラウン運動を表現する式(1)を用いる.

) ( ) ( )

( )

(t X t dt X t dW1 t

dX =

β

+

σ

(1) ここに

β

は平均劣化率(トレンド),

σ

は自然的劣化

の分散の程度を表すパラメータ(ボラティリティ)で ある.ここで

β σ

は最尤法2)により求めることがで

きる.W1(t)はウィナー過程であり,①W1(t)は連続 でありW1(0)=0 である.②W1(t)は正規分布

N ( 0 , t )

に従う.③増分W1(s+t)−W1(s)は正規分布

N ( 0 , t )

に従い,時刻 までのW1(t)の履歴とは独立である(マ ルコフ過程)3)という3つの性質を満足すると仮定する.

幾何ブラウン運動である式(1)のX(t)は,logX(t)な る変換により,算術ブラウン運動となる.したがって

) (

logX t はガウス過程となりその平均と分散はそれぞ れ(β −σ2 2)t,σ2tとして与えられる.

本研究では式(1)のパラメータを求めるために,区 間定常性を仮定して中心年であるn年を中心に,n±5 年のデータをもとに最尤法により計算を行った.

図-2には30年のデータを中心としてn±5年のデー タをもとに最尤法により求められた

β

=0.0332,

σ

0.0395 により 30 個のサンプルをシミュレーションし

た結果と観測値を示している.得られた結果において,

複数のトンネルの点検結果を用いていることが,ボラ リティリティ(分散)の推定に影響して,変動が大き くなっている.その結果,全体的な傾向はモデル化出 来ているが強度の回復現象がみられる.また図-3には,

100回のシミュレーションによる30年目の劣化サンプ ル実現値のヒスとグラフを示している.式(1)の幾何 ブラウン運動

X (t )

自体は時変型の対数正規分布に従 うということを,計算結果からも確認出来る.同様に 図-4 は 40 年のデータを中心として最尤法により求め られた

β

=0.0288,

σ

=0.0282を用いたシミュレーシ ョン結果である.

5.まとめ

本報告は,覆工コンクリートの劣化評価データから 確率微分方程式のパラメータを推定し,得られた予測 式を用いてサンプル実現値をシミュレートして,観測 データとの比較を行った.現状ではトンネル群のデー タを用いて計算を行っているが,特定のトンネルの限

られた観測データによる予測式構築のために条件付情 報更新理論の適用を行い,次段階として一般的に用い られているマルコフ推移行列の定量的な評価を行う.

計算結果の整理にあたり,倉田雅史君(現:セントラ ルコンサルタント)の協力を得た.

6.参考文献

1) 須藤敦史,三上隆,岡田正之,川村浩二,角谷俊次:

寒冷地トンネルの長寿命化に関する基礎検討-二次覆 工コンクリートの挙動観測から-,第17回ふゆトピア,

2005,2.

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0 10 20 30 40 50 60

経過年

劣化度

図-2 30年のデータを中心としたシミュレーション

0 5 10 15 20 25 30

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

20以降 劣化度

本数

図-3 30年中心30年

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0 10 20 30 40 50 60

経過年

劣化

図-4 40年のデータを中心としたシミュレーション 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑150‑

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参照

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